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無理に思い出せないのならいいんじゃないか?
人っていうのは記憶するものであり忘却するものでもある。
思い出そうとしても思い出せないように、
心の奥底にしまわれてるってことは、それは過去に思い出さないようにしたからかもしれないしな
[少しまじめな調子で]
パンドラの箱は開けてから後悔しても遅いんだぜ。
もっとも気になったままでいられないのならどうにもならないがな。
[すぐに笑いかけて]
挨拶みたいなものね…、
この様子じゃそのうち女に後ろからさされたゼルギウスを見る羽目になるか、
いやそれよりそうならないように護衛頼まれたりするのか?
ヨハナ婆が言うと説得力あるなぁ。
[少しばかりしみじみとした声で答えて。
マテウスの言葉に厨房の方を向いた]
ありゃ、もう少し早く来れば一緒に頼めたか。
仕方ない、自分で取りに行くかな。
[厨房に向けて歩きながら]
なに、ゼルって悪い男?
じゃあヨハナ婆もベアトリーチェも気をつけないとね。
[マテウスとゼルギウスの真面目な会話には口を挟まず。
最後の部分にだけ、その場の女性達を示して茶々を入れた]
……まあ、お人よしなのは、わかっていたが。
得体の知れない俺の身元引受人、引き受けたくらいだしな。
[五年前の事を思い返しつつ、呟いて]
……俺には、人は、救えない。
余り……期待せんでくれ。
[頭を下げながらの言葉には、目を逸らしつつ、こう言うのが精一杯だった。
他者に踏み込むのも、踏み込まれるのも。
今の自身には、重いもの故に]
……元、な。
今は、違う。
[再び鍵盤に向き直り、旋律を紡ぎながら。
問いには端的な事実だけを返した]
ん……思い出したくないから忘れてるってのは、一応分かってんだ。
…けど、忘れてるのが大切な何かな気がして。
忘れてて良いのか、って言われてる気がして。
……まぁ、どのみち思い出せないから。
無理に思い出そうとはしない。
[真面目に返してくれるマテウスに頷きを返す]
[続く言葉には調子を戻して]
あのなー、いくら俺でも言う奴と言わない奴くらい弁えてるっつの。
言ってるのは俺がそう言う軽いことを言う奴だって理解してる奴らだけ。
中年のおばちゃん達には口説き文句が効果抜群なんだ。
けどまぁ、万一刺されるような事態になりそうだったら護衛頼むわ。
[良い笑顔になった]
婆ちゃん口説く勇者が居たら俺が見たい。
[エーリッヒの軽口に真顔で返した]
ベアタは……本気にしそうだから言わない。
と言うか、どっちかって言えば妹みたいな感じだし。
食べられ…。
それって、現場を見たという事…なんだろうな。
[語られる声に、軽く眉を潜め。]
私は見かけた事のない子だった。
…まぁ、住んでいる場所が場所だからな。
あまり村の近況に詳しくないせいもあるかもしれんが。
…私は、件の死体を見てきた。
あれは、人の仕業じゃない。
獣の仕業だと、これだけは、断言できる。
[そう、目を伏せゆるく息を吐いた。]
…ウェンデルは。どう、思っている?今回の件。
あー…。
[真顔での切り返しに、そうかも、と思ってしまった]
なるほど、サービストークも相手次第って?
まあそうだなぁ。
[妹みたい、というのにも同意を含む反応を返して。
厨房へと入っていった]
いいねぇ、もてる男は。
[エーリッヒの言葉に続いて]
ゲルダにも気をつけるようによく言わないとか?
[からかうように笑い]
ああ、万が一があったらそれなりの報酬でうけてやるよ。
ヨハナさん口説けたらゼルギウスのこと尊敬するわ。
婆ちゃんは口説くと言うより懐くだ。
[どんな力説]
そ、後でごたつくのは嫌だからね。
それでお得意様逃げられたりしたらたまったもんじゃない。
[それだけ返して、厨房へと向かうエーリッヒを見送った]
救わなくても。
…裏切らないだけでも、良いんです。
余裕のある範囲、無茶の無い範囲で。
[逸れた視線ごと、翠玉の眼差しが見つめる]
きっと貴方が倒れても、エーリッヒは悲しむから。
[淡々とした声。乗せる思いは分かりにくい]
…ウェンデルが、教会は人狼の存在を肯定していると言っていたから。
ライヒアルトさんも、そういう前提でエーリッヒに話したのかと思ったんです。
[流れる調べに瞼を伏せて、聴き入る]
…そりゃ言うまでも無く。
[マテウスにはそんな言葉を残して]
お邪魔するよ。
俺も食事欲しいんだけ…。
[声を掛けながら入った先、聞こえてきた言葉]
『獣の仕業だと、これだけは、断言できる』
…へえ。
[声を落とし。ウェンデルの反応を横目に見ながら奥へと進む]
良いだろう。
[無駄に誇らしげに言った]
ゲルダちゃんは……口説いたら食堂のオッサンにとっちめられそうだし。
他の若い衆にボコられそうだし。
そんなん割に合わん。
[この村でも冗談の利く相手にはちょこちょこやってるらしく]
[そのせいで逆に目をつけられてるとか]
いや、婆ちゃんは無理だって。
なん、でしょうね。
[正式なところはわからない。
だから、返す答えも、曖昧なものとなる]
見かけた事のない子が、今に。
奇妙なタイミングですよね。
よりによって、今の時期に訪れる者ばかりがいるときに、事件が。
……犯人は、狙っていたんでしょうか。
[犯人。呟く単語には、違和感]
ああ、ナターリエさんは、…ご覧になったんですか。
[左手を押さえる]
ただの獣の仕業だと。
そう断じられたのなら、良いのでしょうね。
けれど、……やはり。
人ならざるもの。人に仇なすもの。人を騙る、獣の――
人狼の仕業では、ないかと、…そう、考えています。
そして、そうであれば、争いは避けられぬとも。
[願いの言葉には、何も言わなかった。
否、言えなかった、というべきか]
……俺がどうなろうと、他者には関わりないだろうに。
まったく。
[代わりに、口をついたのはこんな悪態]
……確かに、教会は人狼の存在を認めている。
神に抗い、仇をなすものとして。
そして……俺自身、それを否定する要素を持ち合わせては、いない。
[エーリッヒには軽く手を上げて見送り]
ゲルダって結構人気者なのか。
[少し誇らしげな表情をして]
村にいられないようにはなるなよな…。
[少し心配する声は若干まじめそうだったとか]
うん、結構。
食堂の看板娘だしねー。
だから冗談でやったりしたら袋じゃ済まない。
そんなの割に合わない。
俺は俺の身が可愛い。
[両手で自分の身体を抱えるようにして]
[心配げに紡がれた言葉に身震いした]
―厨房―
どうなんだろうな。
仮に犯人が居たとした場合、犯人があの子をここに連れてきた可能性もあるのかもしれない。
[言いながら、左手を押さえ耐えるようなウェンデルに、微か頷いた。]
死を見、送り、安らぎを守る為の手助けをする。
それが私の仕事だからな。
[そして続いた言葉をじっと聞いた。
表情はやや硬く。
ウェンデルに気を張っていた為、背後の気配に気づくのは大分遅れる事になる。]
!っ、…エーリッヒ、か。
[急に現われたように見えたエーリッヒに、若干驚いた様子で。
だが聞かれた内容に嘘偽りもなく、また酷く隠したい、という内容では無かったため、視線は再びウェンデルに戻る。]
人狼の仕業の可能性は高くて。
そうなった場合、争いは避けられない…か。
[ウェンデルの決意めいた言葉にやや視線を落とし。
再び目を伏せ、視線をずらしたまま。]
人狼は御伽噺…。
私はそう思ってる。
いや、そう思いたい、というのもあるかもしれない。
それを疑うという事は、あの場に居る者を疑うという事になりかねんからな。
…疑いたくないよ。あそこには、知り合いが多すぎる。
それも、他より親しい者がな。
[そう吐く息と共に言葉を落とした。]
それは、教会の人間としての推測?
[視線を外し、奥でスープをよそいながらウェンデルに問う]
それとも確信があるのか。
[危なっかしい手つきは、話しているせいだけでもないのだが]
それによって動き方も変わってくるかな。
……ああ、エーリッヒさん。
お食事ですか。
そうだ。
ナターリエさんも、準備に来たんでしたね。
お引止めして、申し訳ありません。
[丁寧な口調は、他人行儀に響く。
やや早口に並べ立てた]
エーリッヒだから。
[名前を理由にすると言う、荒業。
明確な答えが無い事には気付いていたけれど、それ以上を告げることは無く。
調べを辿るよう、指先で拍を刻む]
だから、人狼は滅ぼさなきゃ、ですか?
でも。
その言い方だと、まるで否定したいみたいですね。
[横目で奏者の様子を眺めた]
[スープをよそうエーリッヒを見る。
何か忘れている気がする。
ウェンデルの言葉に、あ、と小さく声をあげ。]
…そういえば。
マテウスに配膳するって言ったんだっけか。
忘れていた。
[本人が聞いたら酷いとか言いそうな台詞を呟いて。
エーリッヒと同じように食事をよそった。
…よそいながら、ふとまだ何か忘れているような、何かが頭を掠めたり。
エーリッヒを見る。
何か、駄目な。]
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