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おお。すまないねえ。
[マテウスから水を受け取ると、小さく一口飲み込む]
ほっほっほ。
そのような考えを失念してしまいましてね。つい。
[つい、で済ませられるのだから元気な老婆である]
はい、そのようです。
災難ですね。
[抑揚に乏しい声が、講師補佐たる青年へ声を返す。
以前から村に居た訳でもない相手。
口調は常より堅いものに]
他にもまだ?
子供まで容疑者扱いなんて、…いっそ夢みたいね。
間違いなく、悪夢だけど。
[エーリッヒに向かい、少し疲れたように嘆息を。
それでも表情はあまり変じないままだったが]
お、さんきゅ。
[頼んだものを運んできたマテウスに気付き視線を向けて]
[置かれた水の入った桶にタオルを浸し]
[しっかり絞ってからエーファの額に濡れタオルを乗せた]
うひー、つめてっ。
手、ひりひりするわ。
[水に浸した手を擦り合わせて息を吐きかける]
[井戸の水は相当冷たかった模様]
は、婆ちゃんには敵わんな。
[受け流されたことと、エーファに対しての接し方]
[その両方にそんな言葉を返して]
事情、ねぇ…。
とりあえずは悪化しないように傍で見てやるしか無いか。
[そう言って再びエーファを見て]
[マテウスの問いに視線を向けて頷いた]
そ。
何を言っても要らないの一点張り。
苦くないのを用意するっても断られたよ。
[やや遅れて戻った厨房には、人の姿はなく。
そこは通り過ぎ、二階へと薪を運んで暖炉に火を入れた]
さて。
病人のいる部屋にぞろぞろといても、仕方ないな。
俺は下にいるから、何かあったら、呼んでくれ。
[場にいる者たちに、そう、声をかけ、廊下へ出る。
そのまま、何気なく窓辺に寄って]
……ん?
[はらはらと零れる、白の向こう。
こちらへとやって来る人影らしきものに、一つ、瞬いた]
あんな子になんて乱暴な…。
[わたしは事情は分からないけれど、ここの自警団の人たちは好きになれないな、と思った。]
[聞き覚えのある響きの声。
それも、よく知った親しい相手の。
微かに睫毛が揺れたのは、判りにくくも驚きの表情]
ナターリエ。
貴女まで。
…容疑者とは、違う、とか。
[信じたくないのか、可能性の提示を]
ん、さんきゅ。
症状が悪化しない限りは大丈夫。
だと思う。
[暖炉に火を入れてくれたライヒアルトに礼を言い]
[簡単に返答してその後姿を見送る]
ええ。
てっきり、僕みたいなのばかりかと思ってたんですが。
[硬さを気にする素振りはなく]
[余所者][苦笑いと共に口にする]
…ッて、
[声に振り返る]
[何とか持ち直した様子][息を吐く]
ついねぇ…。
[苦笑をもらして]
まぁ、それもこれもヨハナさんがエーファを心配する気持ちゆえかね?
[エーファの寝顔を見てから]
大丈夫か?ゼルギウス?
井戸から汲み立ての水だからな。
……やれ、やれ。
これはようやく、「事情のご説明」か?
[近づいてくるのが、自衛団長である事を見て取り、小さく呟く]
とは、言うものの……。
[語られるであろう言葉。
それには、予測もついていて。
暗い翠に、翳りを落としつつ、広間へと向かう]
[ゼルギウスの言葉に、一度大きく頷いた]
ええ。
子供が何をしても、すぐに補佐できるように、いつでも目を向けておくのもまた、大人の役目ですからね。
ナターリエに、ウェンデルに、イヴァンに。
戻ってきたマテウス。ヨハナ婆。
療養中だってのに、のベアトリーチェ。
それから…
[先ほど置かれていった身上書を軽く覗き込んで]
エーファって女の子。
熱があるって上でゼルギウス達が診てる。
で、ライにアーベルに、俺。
ゲルダも含めれば総勢12名。
[自分でも確かめるように、集められた人々を挙げる]
うひー、そりゃ冷たいわけだ。
暖炉に火が入ったからあっためとけば多分大丈夫。
凍傷までは行って無いし。
[訊ねて来るマテウスには平気だと笑みを向けて]
[大人の役目、と言うヨハナには]
そっか、そう言うもんなんだなぁ。
あ。
もし夜中俺寝ちまったら後頼んます。
[起きてる自信は無いらしい]
ありがとうよ。
ライアヒルト君。
[やはり、名前は間違えて覚えたままで。
マテウスの言葉には、やや困った顔を浮かべて]
エーファちゃんもそうだけど、療養でこちらに来ているベアトリーチェちゃんも、そのような傷を負って帰ってきたお前も、他のみんなも、全て私は心配していますよ。
みんな子供のように思える私からは、みんな私よりも先に死んでほしくは無いと願っているのですからね。
え、っつ、きゃ!
[エーリッヒの声に、慌てて短い悲鳴をあげて慌てて持ち直した。
一つ二つ空のコップが割れたり、ミルクが零れたり悲惨な目にあっていたが、被害は盆の中だけで済んだのは幸い。]
うぅ…割った。
[ちょっと情けない声でしょげた。]
─一階・広間─
……なんか、あったか?
[戻った広間には、妙に緊迫したような、違うような空気。
それにこんな呟きを漏らしつつ、暖炉の側に寄る]
ああ、そう言えば。
そろそろ、団長殿がこられるようだぞ。
[火の具合を確かめつつ、先に二階の窓から見えたもののことを、端的に告げた]
そうか、
薬でダメなら食べ物とかに混ぜられるようなのとかどうだ?
さすがにご飯までいらないってことはないだろうしな。
[部屋をでていくライヒアルトにならい]
さて、おれも出て行くかな。
警戒してるようすだったしな、あんな対応されれば無理はないが。
あまり人がいても快くないだろう。
病は気からっていうしな。
それに…
[一瞬、ヨハナに視線をめぐらせてから]
見た目に怖そうな人がいると落ち着かないだろうしな。
[そうつげてライヒアルトがでてしばらくして部屋を跡にした]
多少強引かもしれないけれど。
きっと全く理由の無い人まで集めてはいないのだと思います。
村人であれ、他所者であれ…きっと。
[無意識に口に出たのは、平等であるようで、村人である自衛団を庇う言葉]
[はぁと一度溜息をついた後、ゲルダの声にゆっくりと首を振って応えた。]
残念ながら、私も容疑者だ。
あの小屋に一人で住んで居るからな…アリバイも何も。
[ないからなと少し、苦笑して返した。]
[ゼルギウスの言葉に、笑みを浮かべたまま頷き]
ええ。分かりましたよ。
でも、なるべく無理しないうちに寝室へ入ってお休みなさいね?
私は、年寄りなので、睡眠時間は短くて済むのですから。
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