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[耳を劈くような怪鳥の悲鳴に顔を顰める。
骨を切断するには至らなくも、力任せに刺さったそれは
めきりと音を立てて怪鳥の足を軋ませた。
両足を地に着け、左翼で眼前をさっと庇う。
相手に突き立てた右翼を引き抜き、
相手の血流が幾分収まったところで宙に飛び立てば、
勢いの良い羽ばたきに、浴びた血液が振り払われ周囲に散った。
痛みに気取られ動きが止まっている隙に、一気に高度を取る。
高さは力に変わる――両翼を一纏めに束ね、重力を乗せて
翼の全質量と全体重を乗せた一撃をその頭上へと振り下ろした]
それでは、私には無縁な話だね。
残念な事だ。
[家事の腕に関しては軽く答え、
「その他」の腕については頷きのみを返す。]
対立が得策でないのは、確かだな。
無益に敵対する気は、少なくとも今のところは無い。
生を終わらせたくも――ないだろうから、ね。
[まるで、他人事のような言い草。]
何かあれば、また来ればいい。
「ブリジット」ではなく、「私」の方にね。
それから――奴の方でも無いほうが、いいかな。
[目の前の相手を見て、思案げに言う。具体的に何を思ったかは、さておき。]
刺されそうだ。
[赤から黒へと変わる彼に眼を細める。]
そうだな。
異性の前で、このような格好でいるのも失礼だろうしね。
[彼女の口調は変わらない。
緩く首を傾げる仕草は、ブリジットに似ていた。]
…聞いてくれませんかね? 僕ら用の娯楽施設の導入。
暇なのは、あまり性に合わないんですけど。
――危なすぎる暇つぶしは、個人的には好みじゃないんです。
[趣味で時間を潰すなら、もっと平和的なのが良いですね。
とか、何だか論点がズレているが、気付くことはなく。
続く言葉には、きょとりと翠を瞬いた。]
狩り、ですか?
やった事ないので、向いてるか如何かは知らないですけど――
まぁ、貴方が言うなら、向いてないんでしょうね?
[けら、と笑う。然程気に留めてない様子。]
[それは相手を昏倒させるには十分な威力で。
怪我をした足の所為で千鳥足にもならず、
ばたりとその場に巨大な体躯は倒れ込んだ。
地に落ちる前に両翼を開くと再び上空に舞い戻り、見下げる。
ぐってりと伸びた姿にはふと同情を抱き]
――ごめん、ね?
でもでも、“せいとうぼうえい”だもの。
[物騒な場所からは早く帰ろう。
ひらり翼を翻し、紅を散らしながら少女は南西へと飛び去った]
―→中央部建物・玄関前―
……え。
[ナターリエの言葉に、惚けた声と共に、一つ瞬く。
いきなり言われて驚いたのか、素で言われて驚いたのかは、定かではないが]
ああ……それは、どうも?
[それでも、すぐにペースを取り戻し、冗談めかした口調で言いつつ、一礼してみせる。
ふわり、と。銀色の羽が舞った]
[そこで、はっと気がついたのか、エーリッヒの方を向き]
そういえば、自己紹介をまだしてませんでした、よね?
はじめまして、私はナターリエ・ヘルゼーエンと申します。
どうぞ、よろしくお願いします。
[そう言ってぺこりと一礼。もし、近い将来闘う運命にある相手だとしても、礼を欠いてはいけない。]
聞いていれてくれるくらいなら、最初っからあるんじゃねーの?
ま、廃墟ん中には、古いモンが色々と残ってるらしいから、探せばなんか出てくるかも知れんが。
[ピアノの話はしないものの、そう言って。
論点のズレには呆れたような表情を僅か、覗かせたが、突っ込みは避けておいた]
『狩り』系のターゲットには、ゲテモノ多いからな。
心臓にいいぞ、かなり。
[きょろりきょろりと周囲を見渡しながら]
――建物の近くは、何もいないの、ね?
[十分な高度を保ちながら地上を眺めれば、
帰りの道中でも怪物の類を発見する事はできたようで]
あまり――遠くには行かない方が、良いみたい?
[ふと、高い空を見上げて]
――でも、それってつまんない。
こんなに広い、のに。
こんなに高い、のに。
[何処か釈然としない様子で、今度は俯いた]
…ブリジット様は未だ戸惑いが多い様子。
相対する者は少ない方が良いですよ。
では何かあればまた。
そちらも何かございましたらお呼び下さいませ。
…折角あちらを出せる相手が居ると言うのに私でなければいけませんか。
その方が良いと仰るのでしたら、そのように。
少々残念ですが。
[苦笑の後に承諾するように頭を下げて。
未だ口調の変わらぬ目の前の相手には深緑の瞳を細めて]
『アタシは心は女性よぉ?』
[口は開かず、声だけが聞こえた]
それでは失礼致しましょう。
出るところを誰かに見られても面倒ですので…。
[そこまで言うと再び影がオトフリートを包み込んだ。
ズズ、と言う音と共に影は小さく床に沈んで行く。
影が完全に床に沈んでしまうと、そこには何も*残らなかった*]
忠告は感謝する。
私としては、影でも赤でも、どちらでもいいのだが。
もし、他者に見られては面倒だろう。
[残念がる様子を見やりながら、端末を片手で弄る。
奴、が誰を指すか――齟齬らしきものには気づいたが、面倒だと思ったのか、敢えて訂正する事もない。]
それは失礼。
[声には、短い謝罪。
沈み行く影を見送り、ストラップを指先で弾いた。]
…ああ、えっと。ご丁寧にどうも。
エーリッヒです。――エーリッヒ=ハイゼンベルク
[こちらこそよろしくお願いします、と。
頭を下げられ、慌ててつられたように軽く会釈を返して。
握り締めたままだった端末についた鈴が、チリリと音を立てる。]
廃墟の中の娯楽施設、か。…何かあるんですかね。
まぁ、探してみるだけの価値はあるかな。
[青年の言葉に、ゆるりと首を傾げて考え込む。
危ない目に会うのは、好ましくないのだけれど――
暇つぶしを探すのも、良い暇つぶしだろうし。]
ゲテモノですか。
――それは、きっと向いてませんね。僕。
ここのクリーチャーたちも、なかなか面倒でしたし。
[何を思い出したか、小さく溜息。]
ま、何がどんだけ残ってるかは、わからんがね。
廃墟ん中は、クリーチャーの気配もねぇから……ま、あれだ。
急な崩落にだけ気をつければ、危険はねーし。
[予測がつかない分、クリーチャーより厄介な感もあるが。
そう言った部分も含めて、廃墟群というものには慣れているせいか、口調は軽い]
ここのクリーチャーは、まだ、素直だろ。
突発災害級と比べれば。
[ここで戦ったものを思い出しつつ、呟く。
比較対象は、絶対間違っているが]
[アーベルの惚けた声に、フフっと微笑むと]
娯楽……そうですね、何かいい物があるといいですね。
[しかし、一転。表情を曇らせると]
ゲテモノ……ですか。私もきっと向きませんね。『狩り』には。
[そう言って、たははと苦笑い。]
まぁ、宝探しみたいで面白そうですし?
近々暇なときにでも探してみます。
――崩落は、あれです。其のときは其のときで。
[運次第ですよね、と。何処かお気楽な返事。
慣れている訳では無さそうだが、ただ危機感が無いのか
軽い口調に釣られたのか、へらりと笑みを向けて。]
…素直、なんですか?
突発災害級は、出会ったことないんで判らないですけど。
[それはそれで凄そうですね、と小さく呟いて。
何処か楽しげに、液晶の壊れた端末を軽く放り投げる。
繋がった小さな鈴が、微かに白金の音を*鳴らして*]
あの廃墟が、いつのものか、にもよるだろうが……。
場合によっちゃ、お宝もあるかもね。
[壊れた理由が『変異』の破砕か抗争の破壊かでは、時代的なズレも多少はある。
当然、前者の方が歴史的価値の高いものは多いわけで]
……っていうか、そも、あんたの場合は、荒事自体が向いてない気もするが。
[苦笑するナターリエに、素で突っ込みを入れつつ]
ま、そうとも言う。
[エーリッヒの運次第、という言葉は、さらっと肯定した]
ああ、素直で直線。
突発災害級は……ま、文字通りのモンだからな。
[何度か狩ったそれを思い出しつつ、ちょっと遠くを見やってため息一つ]
……さって……。
いつまでも、冷えるとこで立ち話、ってのもなんだし。
俺は、そろそろ戻るけど……お前らは?
[軽い口調で、二人に向けて問う。
返る二人の返事がどうであれ、建物まで戻る事は変わらず。
……戻ってイレーネに探し物の結果を聞き、襲われた話を聞いたなら。
無事を安堵しつつ、多少、*小言は言うかも知れない*]
[ふと、垂れた翼の隙間に紅い色を見留める。
先程の怪鳥の血がまだ残っていたようで]
――っ。
[ばさばさと、嫌な思い出でも払うかのように乱雑に羽根を振るう。
やっている内に何だか遣る瀬無くなってきたのか、
完全に汚れが落ちたのにも気付かずその動作を続ける。
その姿を帰ってきたアーベルが見たなら、
どうしたのかと問うだろうか?
そうすれば、探し物が見付かった事も、
その後怪鳥――コカトリス――に襲われた事を話すだろう。
小言には、自分は悪くないもんと最初は愚図ったが、最後には
不注意で接近を許した事は自分の非として*理解しただろう*]
[荒事自体が向いていない気が、と言われ]
……そうですね。私なんてここに集められた他の方々と比べれば。
[そう言って、僅かに顔を伏せる。]
[突発災害級。予知越しに見た事はあれども、籠の鳥であった私は、実物を見たことはなく。
その実際の威圧感は感じたことはない。しかし、聞く限り]
……怖いですね。そんなものが人を襲うなんて。
[そう言って、肩を掻き抱く。]
[そして、そろそろ戻るというアーベルの言葉に頷くと]
そうですね。戻りましょうか。
[そう言って彼に付いていくだろうか。
イレーネから結果を聞いたアーベルがイレーネに小言を言えば、おろおろと2人の間を右往左往し、イレーネが非を認めた頃には、おろおろとしながらも*仲裁に入るだろう*。]
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