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ぬ、ぬすまれてしまったのは、
かんりがわるかったのかもしれない、けど。
いまは絵筆を見つける方がだいじ…。
[憧れの絵師様が責められてるのがいたたまれず、
事情を理解できないながらも、オロオロとミハエルを見上げて]
[ミリィの方から「実験」と聞こえて]
…?
[訝る視線をそちらへ移してみた]
[このひとは意味無い実験などはしないだろうと思っている]
絵筆ー…絵筆ー…にしても、そんなんして何になるんだか
[願いを託すのは誰しも僅かなりとも思うことだろう。
それを無駄にしてしまうようなことのようにも思いつつ]
あ、オトフリート先生。また
あ。
[わざと意識から外していたオトフリートが踵を返すさまに、
極々小さく、声が上がった。
先程の勘違いは解かれているわけではなかったが、
なんとなく罪悪感のようなものが沸いてくる]
……悪かった、なっ
[主語も何もなく、謝罪とすら取り辛い言葉は、
当人に届いたかどうか、わからなかったけれど]
だって。
本命は絵師様?
[不思議そうなミリィに対して、少女は声を小さくして言うと]
大丈夫、今度は内緒にしておきます!
つんつんしたいんですよね!
あー、んじゃ、また。
[図書館に戻る幼馴染の背に声をかけ。
弟へと訴えるベアトリーチェの言葉に、ふ、と表情を緩める]
ああ、いいんだ、実際俺の不注意だったんだし。
気、使ってくれて、ありがとなぁ?
[にこりと笑いつつ、ひょい、と手を伸ばして少女の頭を撫でた]
あ、あやややや、こちらこそ、
失礼で、ごめんなさい。
んと、わかってます、えと、何がっていうと…
[赤面して」
[ミハエルに対して言葉を紡ぐのに苦労しつつ]
たぶん…。絵師様とミハエルさんは仲良しだから、
そういうお顔もできるんだってこと…。
[そして聞こえたリディの台詞に、きょとんとした顔]
ん。そだよな。なったものも仕方ないもんなぁ
[色々思い悩んだが、ベアトリーチェの声が聞こえて思い直し、さっき勘違いのとき派生した言葉を口にする]
こんだけ噂してたら盗ったやつにも聞こえてるだろうし、素直に返してくれるなら返してくれるんだろ
[でも盗んだのを返すというのは少し浮かびづらいのだが、絵筆の持つ危険性まで知らないためオトフリートの疑問どおり気楽かもしれず]
[ため息をつく弟には、やっぱりけらり、と笑うものの]
ま、なんだ。
悪いな、色々と。
[小さな声で、ぽつり、こんな言葉を投げる。
色々に含まれるのは、心配をかけている事やらなにやら。
多分、思い当たる節はありすぎるだろうが]
あ、はい。
また。
[オトフリートには軽く頭を下げ]
ええ。
そうなんですけどね。
[ベアトリーチェの言葉、特に「管理が悪かった」云々には深く頷いた。
兄の顔が引きつったなんて知ったことではない。
仲が良い、には少し首を傾げて]
他の人にはできませんね、確かに。
[一応そんな自覚はあるらしい]
だ れが、
こんな青臭い馬鹿に、懸想するかっ!!
第一、絵師など私は嫌いだっ
[思いっきりエーリッヒを指差した]
……そうか。
さては、噂の発生源はお前か、リディ=ドーレス。
あ、でも、ミリィせんせーを応援します!
絵師様は……ええと倍率高いし、
じつはオトせんせーも倍率高いと思うけど。
[最初以外は声を落とした。]
頑張ってください。
それにしのぶ恋なんですよね。
二人っきりの時、邪魔しないようにみんなに言っておきます!
また、ごきげんよぅ!
[オトフリートの背に言葉をかけ、周りの様子を、きょろりと見て。
首を傾けて、また、リディへと視線を戻す。]
ふふふ。
なんだか楽しそう、ね。
[言って、周りを見渡せば
人々も自分の生活がある為か、幾分か広場から
減っているように思えた。]
絵師様はかっこいいですよ!
それに、ぶつかったときも心配してくれたし!
[あんだけ大きな音をたててたんだから仕方ない]
絵師様ってすごい職業ですよ!
すっごい有望株!
それに綺麗だし!
[本人そこにいます]
って、噂は私が発信源じゃない!
それはぜったい!
だって、ミリィせんせーが妊娠してるとか、三十過ぎて焦ってるとか、そんなこと私一言も言ってないですから!
……はぁ?
[リディのひそひそ声は聞き取れていなかったから。
唐突に指差されて、一瞬思考停止]
あー、えーと。
[反応に困った。思いっきり困った]
……まあ、『絵師』と薬師って、ある意味正反対の極みだしなぁ……。
[思わず口をついたのは、こんな呟き。
『絵師』は死に近しく、薬師は生を繋ぐ。
自身が薬師を苦手視している理由の一端には、それも関わっていた]
…ん。
まあ。
分かる、けど。
[視線は外しつつ。
こういう風に軽口は叩けど、兄は『絵師』。
その立場故の苦労もあるだろうことは分かっていたから、謝られてしまえばそれ以上は言えなかった]
懸想?
[と、ミリィの大声にきょとり。
指差された先は兄]
…ええと。
また、何か?
[そっち方面の話はさっぱり飲み込めていなかった]
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