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─繁華街・広場近く─
[オレは倒れた幼馴染の傍から逃げるようにして駆け出す。
時間の経った幼馴染の身体は、桜の花弁となり宙へと舞った]
(次の餌はどうするかな。
力あるものは早めに『処分』したいところだけど)
[もう一人、オレは司を知っている。
皆が憑魔であるオレを探す中、一人で生き抜くにはチカラが必要だ。
けれど憑魔と言えど、人の手でも殺される可能性があるのを先に見た。
人を侮ることも出来ない]
(ちっ、利用しようとした駒に痛手を負わされちまった。
けどまだ、オレの事には気付いてないはず。
やっぱ先に喰うとしたら──)
[考えながら、オレは先程喰った幼馴染の家へと駆け込んだ]
─繁華街・瑞穂の家─
[家へと戻ると従妹が丁度起きたところらしく、腹が減ったと言われてオレは冷蔵庫にあったものを出した。
料理なんて出来なかったから]
瑞穂は。
……いつの間にか、いなくなってた。
[そう答えると、従妹はしょんぼりしてしまった。
オレが喰ったと言えるわけもなく、言うつもりもない。
大人しく本を読み始めた従妹に気付くと、オレは窓辺へと行き窓を開けた。
何をするでもなく外を見遣る]
―瑶子宅―
どーいう意味だよ、それ。
[軽く睨むように見た後、苦笑に変わる]
ま、でもさ。
瑶とかあやみんがそんな風に……変になるとか、想像もつかねーし。
[本当はそうならないことを既に確かめてあるだけなのだけれど]
……だよな。
かと言って、他の人のこともよく知らねーしさ。
[コーヒーを一口、含んだ]
後は……疑わしきは罰せよ。
それぐらいなのかな。
それが、ひふみんでも、ちーちゃんでも、憑魔だと思ったのならば、迷わず、滅す。
ふふ……信じていた人が憑魔だったんだもんね。もう、誰が憑魔だったとしても驚かないよ。
[狂ってもいなければ、自棄にもなっていない。
それは単純に可能性の問題。
人としての情が、必要無いのであれば、そうするしかない]
───きっと。
これが終わっても、私は元に戻れないんだろうな。
こういう感情、欲しくなかったよ。
[伽矢が千恵に答える様を複雑な表情で見ている]
伽矢くんは、千恵ちゃんも殺すのかな?
[呟く声を聞く者はいない。
そこにいるのが少し心苦しくて自宅を離れた。
人の姿のない街中をすでに人じゃなくなった自分が彷徨う。]
ゴーストタウン?
[冗談の声に言葉を返す相手もいない。]
氷雨さんはどうなのかな?
[自分以外の死者の姿は見ていない。
自分より少し前に死んだはずの雪夜はどうなのだろうか?
適当にその姿を探してみることにした。]
―稲田家・二階―
[きみゃく、もきになったが、その次に並ぶ言葉も気になった。
いのちのしるし。きざむ、きざめ、かえる、カエセ。
暫くながめてから、ぱたんと音をたててとじ、てててと歩いて伽矢の隣から窓の外を見た。
しんと静まった静寂の世界。
それはおとぎの国のようにもみえた。]
かやにいちゃ、ももおばちゃもいないね。
………ちえ、おそとに捜しに行きたいな。
[勝手にどこへも行かないと約束したので、下から伺うようにいとこを見上げた。
うさぎは好きにすれば?とでもいうように、くたりと首をかしげていた。]
あの時に声が聞こえたのは夢じゃないよね?
自己犠牲愛か……。
そんな綺麗なものじゃないけどね。
[浮かんだのは自嘲だった。]
─繁華街・瑞穂の家─
(あの巫女以外にもう一人司が居る。
それが誰なのかが分からねぇ。
判ってるやつより先にそっち探すのも手か。
当てずっぽうになっちまうが……。
…そうなると、あの辺喰っちまうかなぁ)
[思い浮かんだのは印象の悪い二人の男。
特に節穴の野郎には膨れ上がった憎悪にも似た感情がある]
(どこに居っかなぁ。
司かそいつか、二択だ)
さーて。
何処に行こうかな。
というか、此処は何処だ。
[これからの方針が固まると、神楽がゆっくりと立ち上がり、辺りを見渡した]
適当に歩いてきたしなあ。
さっぱり地理が分かんないや。
ま。半径500m以内。そんなに変なところまでは行ってないでしょ。
同じく、適当に歩き回れば、知っているところに出るよね。
[軽い調子で語りながら、神楽が歩き出した]
─繁華街・瑞穂の家─
[遠くを探す様に窓の外を見ていると、従妹が隣へとやって来た]
ああ……落ち着いたら戻って来ると思ったんだが。
捜しに行くか、状況が状況だ。
[伺うように見上げられ、オレは承諾の頷きを返す。
窓を閉めると、従妹を促す様に右手を差し出した]
―自宅―
そのままの意味。
[睨まれても真顔で返す]
…礼斗さんは、信じていていいと思うよ。
でも、私は。確かに今は憑魔じゃないけれど。
[俯いてミルクの入った茶色の水面を見た]
桜花の力まで借りたけれど。
止めきれなかった。
ごめんね。
[最後の声は、いつもよりどこか幼いような]
全員……!
[私は言葉を継げなくなった。
礼斗君が目を落とすのを呆然と見つめる。
そうするうち、彼はぽつぽつと質問に答えをくれる]
見つける事、できるの?
そんな事、私に言っちゃっていいの?
[それは、経験しているから?
それとも、巫女さんの様に力がある人だから?
……それとも]
……貴方が憑魔で、私を謀っていたり。
なんて事、ないといいんだけど。
本当なら、こんなに、こんなに心強い事ない。
………………っっ!!
[しばしの間、痛みに耐えるようにうずくまっていたが、すぐに司の治癒能力が発現されて、その痛みは急速に薄まっていき、神楽が気を取り直すように立ち上がった]
結界傍じゃん!
ギリギリじゃん!
あぶねーな、クッソー!!
[愚痴を大声で掃き捨てて、逆を向き歩き出した。
さて、その足取りは何処に向かうのやら]
[聞き流すところだった]
……え?
[そこでその名が出るなど、思いも寄らない。
顔を上げた]
借りたって。
……なに、それ。
なんで、瑶が謝るの。
―自宅―
史兄さんを殺したりは、したくないな。
[最後に持てた思いにしがみつく。
自然と、微笑が浮かんだ]
だから。さようなら。
桜、力を貸して。大樹の下に。
[室内なのに風が吹く。
桜色の霞が身体を包み込み、その場から消え失せた。
テーブルの上に半分中身の残ったカップだけが残った]
三年前に、山奥で土砂災害があって、一人だけ生還した。
そんなニュースあったの、知らんかな。
……その時の、唯一の生存者が、俺。
あの時は、事故、って形で処理されたから、表沙汰には全くならなかったんだ。
[淡々と語る。
続いた問いと言葉には、肩を竦め]
……見つける術があるのは、事実。
神楽の力と対になる、生ける『憑魔』を見つける術がね。
謀っている可能性も、否定しない方がいいと思うぜ?
[ふ、と笑う。
確定はしない、させない。
語る言葉は、あくまで曖昧なまま]
―稲田家・二階―
[どこかぼんやりしていたいとこは、話しかけるといつもの様子。
いいと言われると、ぱぁと嬉しそうに微笑んで、差し出された右手にきゅ、としがみついた。]
いこういこう。
どこにいるかな?
[伽矢が不穏なことを考えているなんて知る由もない。
促されればいっしょになって、外へと捜しにでかけに行った。]
公園かなぁ
[なぜか、いつも思いつくのはそこだった。]
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