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[自分は何も残さなかったのに、代わりに残してもらった。
それは、さっきギュンターに語った想いとは裏腹の行為だったが。]
…ありがとう。
[気にかけてくれて、思ってくれて。
残してくれて。
声をかけてくれて。
小さく小さく、呟いた。]
─道具屋─
そうだね、無理してなきゃいいけど。
[仕事熱心だからねー、と笑って。
気を引き締める、と言ったミハエルにも微笑んだ]
うん、怪我なんかしたらそれこそゼルから大目玉だしね。
あ、レナ、ゲルダのパンこっちのバスケットに入れて。
よし、それじゃいこっか。
[レナは万一に備えすぐ動けるようにと、手持ちの荷物は持てる限り自分が持って。
戸締りを簡単に済ませると店を後にして、目的地へと向かった。]
─村の通り─
[そのあともやけにきょどきょどしていたわけですが、そんなことをしているとウェンデルが戻ってくる。]
あ、ウェ、ウェンくん。お、お………おいッス。
[明らかに目が泳いでいる。]
―自宅―
[本を書き終えて、それを巨大キノコの机の上におくと横になった]
父さんは、どんな気持ちだったんだ、その時。
[呟き、目を閉じた。
このまま眠りについて、また自分の影は、『死神』は誰かを刈るのだろうかと]
[きのこ畑のあの小屋に戻ろうとするユリアンの後を追いかけたが、
エーリッヒの所にベッティが来て、刈られた事が伝われば悲しげな表情を浮かべられて。
それをこっちも、少しだけ悲しげに見つめていた。
足が止まっていたら、ウェンデルの姿も見られて。
手にしたものと、行き先を見ると、あ、と小さく声をあげた。
そこに私はもう居ないと、告げる事も出来ずに背を見送って。
悲しげに、通りを去ってユリアンの後を追った。]
―村の通り―
食べてたから返事できなかったんだよ。
無視とかはしないよ。
集中してるわけでもないんだから。
[ごくごく普通に言った。
それから伝えられたことに、さっき行った道の方を見て。]
は? ゲルダが?
……だから居なかったの。
長も、刈られたんだっけ?
[なんとなく納得した、というような声をして。
ユリアンから聞いたんだけどとは付け足して。]
悲しいね。
いなくなるのって。
[言葉と表情とは違い、声はいつもどおりだった。]
―自宅―
ほお。
[返答に感心したような声を出しながら、巻かれた布を解く。
腫れた足が目に入ったのと、余計な一言が耳に届くのはほぼ同時だった]
……奥?
[顔を上げて、ユーディットを見た。
声の温度は先程よりも下がっている]
─道具屋→狩場へ─
無理?
[ゼルギウスについての心配には、あまり考えていなかった風できょとん。として]
う…。痛い目を見たのに、
さらに怒られるのは勘弁されたい。
[痛かったらちゃんと気をつけるのにな。と、言って、不満そうに膨れた。]
うん。宜しく、イレーネ。
[行こう、と誘いに、狩場の場所を知らない語り部見習いは、とてとてと離れないこと。といわれたとおりに二人の後にぴたりとついていく。]
[きのこ畑で働くユリアンの様子を見て。
ああ、普段こんな感じで仕事してたんだ、とかぼんやり思った。
感想小屋での作業も何となしに、少し離れた所から見て。
小屋に戻り、手にしたノートの中に書き加えた文字を、やっぱり困ったように見ていた。]
…緑髪、とかでもよかったと思う。
[髪と緑が繋がるのは分るが。
やっぱり美人とかいう箇所には、首を捻らざるをえなかった。]
─ゼルギウス宅─
うん、奥の……。
[小広場、と。
言いかけた言葉は、低音の声に途切れた。
見られているのはわかっていても、あわせられない視線があちこちを彷徨う]
……だ、だって。
かたつむりに、じいちゃのこと、教えてあげたかったんだもん……。
[しばらくぐるぐると視線を彷徨わせた後。
ぽそそ、と奥に行った理由を告げた]
─村の通り─
ああ、食べながらだったのか。
そりゃ返事出来ないね。
[ウェンデルの説明に納得して頷いて。続く問いには肯定の頷きを返した]
おそらくは。
そうだね、居なくなってしまうのは悲しい。
何度体験しても、慣れることは無い。
[思い出すのは両親のこと。それぞれ目の前で消失を見たことは、妹にも言っていない]
[ベッティの様子と、不思議そうにそれを見るウェンデルを見て]
(ふむ)
ああ、ウェンデル。
ベッティのこと頼めるかな。
俺は他の人にもこのことを伝えて来なきゃならないから。
[ウェンデルに頼んで、その場を離れようとした]
─村の通り─
[ウェンデルに対してちらちらと視線を向けたり外したりしていたが、顔や言葉に反して、いたっていつも通りなウェンデルの口調に、意外そうに目を向ける。]
…………ウェン……くん?
[だが、ウェンデルにこちらをじーっと見られると。慌てて視線を外した。あからさまに。あと、頬が赤く染まっていたり。]
[すぐ傍に立つことは、なんとなく出来なくて。
少し離れたところにあった、きのこの椅子に腰掛けた。
そうして届く声に、ぽつりと呟き返した。]
…寂しいとは、思ってない。
[そういえば、それは思っていない。
一人なのに。
長がいるからだろうか。
それとも死んだら、そんな想いは失せてしまうものだろうか。
続けられた言葉には、ゆるく首を振った。]
…むしろ、してもらってばっかりだったよ。
何もしなかったのは、私……。
[ごめんなさいと、今日何度口にしたかわからない言葉を、また唇に乗せて呟いた。]
─狩場─
[本人が逃げ足は速いぞ? と、主張したとおりにか、基本的な運動能力はそう悪い方ではなく、そう遅れずに後をついていき。]
レナーテ。
運良く──か? 蜥蜴に遭遇して、
狩りの様子を見れたなら、
死んだ蜥蜴を、持たせてもらうことを希望する。
[道行の途中お願い事を口にして。かなったなら、たぶん──長いことその重みを手の中で確かめたことだろう。]
―自宅―
お前な。
怪我したら安静にしろといつも言ってるだろが。
[声に違わず視線は冷たい。
けれど理由を紡ぐ声を聞けば、少し黙って]
……んっとに。
そんなんだから、長も心配すんだよ。
[呟いて、部屋を一度出た。
戻ってくる時には腫れを冷やす為の水と、いつもの染みる薬を持って]
[ふと、ユリアンの影が揺れた気がした。
はっとして、立ち上がり少し横になる人に近づく。
そして、再び届く声。
呟かれた声に、一つ、瞬き。
零れた力のない、本音のようなコエに、そっと目を伏せた。]
ああ、そっか…。
寂しいとか、そういうの以上に。
[苦しいからだと、呟いた。]
─狩場─
それと、
レナーテとイレーナが揃っている間に、
二人の、母様の家族の話を聞いてみたいな。
[そちらの話を切り出すは、休憩中。
── ゲルダのパンを、口にするぐらいの頃合か。]
―村の通り―
そうそう。
ってことでちゃんと食べてるからね。僕は。
[エーリッヒにちょっとえばった顔を見せ。]
何度も?
寿命を迎えたひとは、僕も見ているけれど。
[不思議そうな顔をした。
それから、ベッティをとの言葉に、そんな顔のままベッティを見て、それからエーリッヒを見て。]
?
そうだよね、他のひとにも伝えないとね。
でも頼むっていってもベッティは僕よりしっかりしているよ。
[至極真面目な顔だった。]
─ゼルギウス宅─
だ、だってぇ……。
最初、わかんなかったし……。
[精一杯の主張は、それはそれで怒られそうなもの。
冷たい視線ににぃ、と縮こまるものの]
……ふに?
じいちゃ、が?
[理由に対して紡がれた言葉に。
きょと、と一つ、瞬いた]
―村の通り―
[ベッティの口調には、困ったように笑って。]
だって僕はすぐに忘れるから。
それに、刈られるのって、誰でもおかしくないからね。
でもベッティが刈られたら、やっぱり悲しいよ。
美味しいご飯が食べられなくなっちゃうから。
………。
[それ以上は何も言えずに。
徐々に揺らいでゆく影を、じっとじっと、見つめていた。
仲間みたいなものだと言っていた、もう一人の死神憑きが。
これ以上、苦しむ事がないように。
寂しがる事がないように。
死神がこれからどんな結果を招こうと、それだけを今は想った。]
―狩場―
[イレーネにはおかえりと言って首を振った]
[ミハエルの褒め方には片眉が上がったかもしれない]
続けて怒らせたくはないな。
[ゆっくりと歩き出しイレーネお気に入りの場所へ]
[ここにいるのは革も柔らかく穏やかな種類が殆どだ]
[特に危険ということはなく小振りな二匹をイレーネと一緒にミハエルの前で仕留めた]
[鋭い視線は普段見せない種類のものだった]
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