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シスターは優しいですね。本当に。
ノーラさんも優しかったですけれど。
[振り返って微笑む]
わかりました。
それじゃあ、オニオンスープでも作りましょうかね。
あと、食べ物も。
そういえば朝作ったの、食べた人いないでしょうねぇ、きっと
[困った顔をした]
[激痛。
朱花と、その直下と。
内と外からの痛み]
…ッ!
[小さく息が漏れる。それ以上は声も出なかった。
銀狼の向き直る動きに、壁の方へと飛ばされた。
白を染めてゆく緋。
望んでいたけれど、今は望んでいなかったはずの色]
わたくしのこれは、優しいのでしょうか?
むしろ、習慣になっているだけかもしれませんよ?
[ここ数日で、祈ることの虚しさを知ってしまったから]
そうですね、お願いします…壊さないでくださいね?
朝、ですか…?
そういえば何も食べていませんでしたわね……
[男はユリアンの問いに、にやりと笑う]
お前さん達のデートを邪魔したかなかったんだがな。
[邪魔する気満々だったことは、口調からだけでも見え見えだろう]
足に自信が無いなら、抱いてってやろうか?
[更に付け加えた言葉は、恐らく相手にとっては最悪だったろう]
いらねーから、逆らうんだよ。
[さらりと返して]
……はあ。
お前一人なら、簡単に運べるけど。
……そっちの旦那も考えるとあ……。
[ハインリヒの方を見やりつつ、一つ、ため息を零して]
こんなときまで、みんなを心配できるでしょう?
だから優しいですよ。
それに強い。
[しかし続いた言葉に、ため息を吐いた]
シスター。
俺だってちゃんと壊さずに作れますよ?
…ま、それならちゃんと、スープだけでも栄養が取れるようにしておきましょう。
グリーンピースとにんじんは、たっぷり必要でしょうね
[*それからキッチンで野菜を切る音が響くことになる*]
[ハインリヒの先の言葉の意図は見えたから、肩を竦めたが]
……ねえ。
二人して、その提案はないと思うんだ。
[抱いていくとか運べるとか。
僕をなんだと思っているんだろうか]
[ざくざくと雪を踏んで、歩みだした]
[アーベルの言葉に、男は肩をすくめる]
あー、お前さんが抱いていきたいのか?
まあ、デートを邪魔したことだし、俺は一人で寂しく帰るんでも構わないぜ。
[くるりと、手の中でダガーを反転させる]
こいつの扱いには慣れてる。薬に狂った狼程度なら相手に出来るさ。
……そう、言われる自分の状態をだな……。
[呆れたように言いつつ、自分も歩き出し]
……つーか。
なんだその、デート、ってのは。
[呆れたように言いつつ、刃の煌めきに目を細め]
……数、多いぞ。
[呟くように、ぽつり]
だって、他にすることがありませんもの。
[祈ることだけを教えられてきたから]
[そして続く言葉にくすりと笑う]
もちろん冗談ですわ。
食欲がなくてもスープなら大丈夫かも知れませんし。
……セロリは入れないでくださいね?
[最後に付け足した言葉を後悔する事になるかもしれないが]
そうだね。
[変わらず抑揚の無い声は、一度頷いた。]
でも、もう無理なんだよ。
ぼくらはシステムから外されてしまったから。
なんの話してる……
[クルりと振り向きかけたところで、]
の?!
[お約束のように、足を滑らせてこけた。
雪に埋もれる。
……夜闇のせいで、更に悪くなった視界が悪いわけで]
……何の話って、俺が聞きた……。
[見れば、雪に埋もれる姿。
……ため息が、落ちた]
……言ってる側から、何してやがる……。
[言いつつ、そちらに歩み寄り。
ふと、動きが止まった。
視線は、空へ]
[男は、くっと、喉の奥から笑い声を漏らす。この状況で笑える時点で、もう自分の神経も相当逝ってるなと、頭の隅に過りはしたが。先に歩き出したユリアンと、アーベルの後をついて歩き出す]
多勢に無勢ってのも初めてじゃねえし。
それに、獣は獣だろう。
[人じゃない。そう言外に言って]
[足を切られ、動きは鈍る。][それでも人狼の身体は尚有利で。][ただその朱金の瞳が邪魔で仕方なく、忌々しいと思ってはいたが。]
[口の中は赤い花でいっぱいで。][ただそれだけは酷く心地よかった。]
[マテウスの剣先はギリギリのところで避ける。]
[埒があかないと思われたのか。][その剣先がゆらと、誘うように揺れた。]
[朱金の瞳とそれは合間って。][ぐらりと視界を、思考を鈍らせる。]
[ふらと、体が傾きかけた所で。][マテウスの一撃が襲う。][反転して、避けようと。]
[だが間に合わず。][喉を、鈍い一撃が襲った。]
―――――がああああああああああ!!!!!
[銀色をした獣の、悲鳴があがる。]
痛い、痛い…。
いたいよ…壊れるのは、やだ、なぁ…。
[呟いて、扉から飛び出し。][そのすぐ傍に居たミハエルを巻き込んで。][窓ガラスを割り、彼をその下雪へと落とし踏み台にして外へと逃げて。]
[その姿は森へと*消えてゆく*]
……なんでしょーねー。
[自身でも呆れ混じりの声を零した。
止まった動きに訝りつつ、天を仰いだ。
木々の合間に、――月。]
[歩き始める生者の群れ。]
ばか。
[足を滑らせる幼馴染に、小さく呟く。
輪に加わることのできない少女は笑いすらしなかった。]
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