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[ミハエルが告げた言の葉は、予想も付かないもので。
あまりの驚きに、主と呼んでしまった事にも気付かず、必死で届かぬ声を張り上げる。]
あぁ、なんて事を…っ!
何を言ってるかわかってるんですかっ!
此処に来て、無事に帰る事の出来る保障なんてなにもないんですよっ!
フィリーネ様を…悲しませるつもりなんですかっ!?
お願いやめて聞かないでユリアンさんっ!!!
そこまでして――怒りにこなくってもいいですからっ!
此処から出ることが出来たら逃げずにちゃんと謝りに行きますからっ!
こっちに来ちゃダメーーーーーーーーーーー!!!
あ……。
[告げられた言葉。
それだけで、なんとなく。
意図は、つかめた気がした。
なんでこんな事には気が回るのかと。
相棒はため息をついていそうだが]
ああ、確かに。同じ場所……同じ、隔離結界の中だ。
団長、エーリッヒ、ミリィと……あの子も、間違いなくそこにいる。
[静かに、答え。
それから、こちらも微かに笑みを]
意地……か。
わかった。
意地を貫くなら、向こうに送る。
その『ついでに』、発生する力を、俺の親子喧嘩の収拾のために使わせてもらうぜ。
ふーむ、いっちょ前に漢だねぇ。
[なんとなく思い出したのは、幼い頃にフィリーネを連れに来た貴族のこと。
ねーちゃんをわたすもんかとかかっていくつもりが、コイツにはかなわないと、すんなり祝福する気になったっけ。
確かにミハエルはあのヒトの子なんだなぁ、と。]
―――ミハ君がいうなら、あたしは止めない。
[沈黙を守っていたものの。
2人の言葉に、小さく息を吐けば。ぽつりと]
―――…ユリアンにぃの言葉が本当なら、
…ちゃんと『終わり』にしたら、団長さんもエリにぃも、
ユーディットさんも、ミリィもミハ君も、…戻ってくるんだよね?
[“声”と言う単語に、僅か反応したけれど]
[…そうですか、と頷く。驚くのにはもう慣れてしまっていた]
[視線はずれて、暗い空へと]
ミリィちゃんは、合意の上だったって聞きました。
…エーリのほうは、如何して?
[金の光に崩れる様に消えた、銀の光を思い出して。気になっていた事を、淡々と口にする]
[呟くようなリディの言葉に、軽く、そちらを振り返って]
『一生信じない妖精』に言われても、アレかも知れねーけど。
帰って来る。
そして、それを成し遂げるのが、俺の『約束』だ。
…聞いても…ね。
あたしには、何の力もなかったわ…"見る事"しか。
ユリアンが…もし、悪い子だったら、何も出来なかった。
もし、協力を求められても、何も、出来なかった…
皆に教えよう物なら、可哀想だったでしょう…?
ミリィ…って子…ユリアンが、好きなんだから。
遠くに、行って…帰ってこれるかは、王様次第、って。
あんな、我が侭な王様で…それを期待するのは酷、よ。
[小さな声で囁くように呟く]
…リディにも、聞きにくかったしね…王様に対して、怒るのも、分かったから…
…結局…あたしは、見ていることを、選んだわ…
悪い子も、人攫いとか…罪を、侵すまで。
[ランプ、という単語に言葉が詰まり…]
…上手く、いかなかったランプは…何度も、作り直したわ…
大体…失敗していたら、すぐ…わかったから。
[頭を撫でられると、瞳を微かに濡らし]
…でも…あたしの、せいで…
全て、おかしくなったら…困る、じゃない…
ランプとは、違って…何度も、やり直せないんだから…
[少女は、どう言えばいいのか判らなかった。そもそも、ミハエルと同じことをユリアンに頼んだ身で、何かを言えるはずもない。けれど…けれど、感じ取れたことは、やはりあって…]
ユーディット…少し、あなたが羨ましいわ…
[小さく、小さく、呟いた]
一度決めたのならば、その意地は――貫く。
そうだろう。
[ふっと、笑みを消して]
何度も言うが。
君の問題は、僕にも、僕以外の者にも関係無い。
ここまで来た以上、きっちり事は収めろ。謝罪は後回しだ。
[何方の方が年上なのだか、解らない物言い]
妖精の王様も石に宿ってたそいつも、ミリィを連れてっちゃった妖精も、
皆一緒。妖精の言うことは、もー信じない。
……けど。
[小さく息を吐けば、ユリアンへと視線を移して]
……「戻ってくる」って、ミリィが言ったから。
ミリィと約束をしたのがユリアンにぃなら、
―――あたしは"ユリアンにぃ"を、信じる。
[ぽつりと]
そうだな。決めたこと、意地は貫き通すもんだ。
……ああ、わかってる。
俺の問題は、俺の手でケリをつける。
絶対に、な。
[物言いは気にした様子もなく……むしろ、らしいな、などと考えながら。
はっきりと、頷いた]
[ゆるゆると息を吐き出し、視線は更に下へ。
視線が辿り着いた珈琲は購入した時そのままの量を保っている]
…最初に、団長が消えたろう?
その時に妖精王の気配が彼からして、な。
……それだけといえば、それだけだ。
[言い訳にもならない、と心の内で呟いて]
[はっきり言い切られる言葉に、胸が詰まって――言葉も出なくなって。
(少年の言う『大馬鹿者』が、自分ではなくエーリッヒだったりして…なんて一瞬現実逃避しかけたりもしつつ)
ぼろぼろ泣きながら彼らの会話に耳を傾ける。
――ミリィと繋がれたままの手に力が入るのは、消して逃げようとしている訳ではなく。]
……リディ……。
[ぽつり、呟かれた言葉に、わずか表情が緩んだか]
……ありがと、な。
[小さな呟きには、安堵と、それから感謝の響き]
色々難しく考えすぎなんだよイレーナは。
先に回り込んで考えすぎて…動けなくなってる。
[青年はイレーナの”もし”が沢山ついた言葉に苦笑し
イレーナの髪をぐしゃぐしゃと撫でる。]
ユリアンが悪い奴かって言われれば、
大馬鹿だとは思うけど悪い奴じゃないって信じられないかな?
それに王様に期待できなくても
ユリアン自身が打破するかもしれないとかも
……俺はさ……ランプ扱ってないからかな…
ランプよりも人間の方が案外頑丈だって信じてるよ
……悪いことばっかじゃなくて、色々信じてみようぜ?
なんせ妖精がいるなんて信じられないことがある村なんだから
[ミリィの小さな呟きは、半分自分自身の嗚咽に紛れて聞こえなかったけど。
それでも、同意するように、何度も何度も *頷いた。*]
[リディとユリアンとの遣り取りを見れば、……小さく溜息]
僕はリディと違って、君が嫌いだし、信じている訳でもないが。
それは、君が人間だろうが、妖精だろうが、関係のない事だ。
[そもそも数日前まで、妖精の存在等信じてすらいなかったのだが]
……僕が見るのは、あくまでも個人だからな。
[髪をくしゃりと掻いて、両の手を腰に当てる]
で。此方は何もしなくていいのか。
モノの見方なんて、人それぞれだろ?
見んな違ってる。
んで、だからこそ、面白いんだ。
[さらり、返して]
ん、そのまま立ってれば大丈夫……。
……ああ。衝撃がでかいかもしれんから、それに対する気構え作っとくとかはしといた方がいいかも。
[ユリアンの言葉にふるふると首を振って。
小さく息を吐けば、ぺしりと自分の頬を叩く。]
…っ、はい!あたしの八つ当たりはこれにて終わりっ!
ごめんね、ユリアンにぃ。 多分、…八つ当たりなの。
――― ミリィに守るよって言ったのに、あたしが守れなかっただけだから。
[ごめん。と小さく謝罪を口にすれば、
投げてしまったペンダントへと掌を差し出して。]
[ゆっくりと席を立つ。
満たされたままのカップは椅子の上に置いて。
天を、睨みつける]
……今日こそは、連れて行ってくれるのだろうな?
[揺らめく銀の陽炎は、誰かの目に留まっただろうか]
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