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[宿に戻れば程無く幼馴染の姿は見つけられる。
ゲルダが蹲っているのに気付けば、心配に表情が歪んだものの。
それでもベッティやミハエルが彼女に手を差し伸べるのを見れば、大丈夫だと。
安堵の色を浮かべ、そっと彼女達の傍らに立てば生きていることを確かめるように二人の背にそっと手を乗せた。
すり抜ける手は、温もりも伝えてはくれなかったけれど。]
[獣に銀が刺さる様を見ても何も言わない。
泣き叫ぶ事をしないのは、昨日でそれが枯れてしまったからか。
それとも、自分以上に彼らを嘆く人がそこに居たからか。
それ以上に、覚悟はあったからか―――――
ただ涙だけはとめどなく、静かに溢れて頬に落ちた。
そっと、黒い獣に近づいて。]
ライ………。
[その隣に膝を付いた。
ゲルダが縋っているのが解っていたから、
遠慮がちに、その毛の触れられるところに屈みながらそっと頬を寄せた。]
――……。
[蒼を持つ幼馴染の言葉に金色が揺れる。
期待させながらいつも置いていくから
もう期待しないと決めていたのに。
同族の因子を持ちながらならぬ彼が
愛しくも恨めしくある]
莫迦、だよな。
[もう誰に言うべき言葉なのかも分かりはしない]
/*
こんばんわ。
追いつくどころか、直近の状況以外さっぱり理解しちゃいないわけで。
適当言って、色々誤魔化してますわ。
[幼馴染達が、ライヒアルト達を探しに行くと言い出せば表情は翳った。
今彼らの元にいって、彼女達が無事でいられる保障などどこにもない。
─…それでも。]
識りたいん、だね。
[ただ、見ているだけしかできないのなら。
最後まで、見守ろうと。
そう想った少女は、大切な幼馴染達の傍から離れまいと決めた。]
[眼下の光景をただ、じっと見下ろし]
……ああ、なんて皮肉。
運命とは、斯くも悲劇を好むか。
[そう言って、ハッと笑うと]
……まったく。神なんざ居やしないな。
もし居るとしても、そんなクソったれこっちから願い下げだぜ。
[俯き呟いた言葉は、どのような色を帯びていたか]
/*
クロエさんこんばんは。
ん。流れで乗ってしまうと佳いと思うんだ。
若干、中の人がネムネムなので反応薄くてごめんなさい。
更新までは頑張りたいのだけれど……。
↑を独り言で落とすほど、アレな感じなんで、察してくだs(くずおれた
[微かに聞こえた、名を呼ぶ声。
誰のかはわかるから──は、と息を吐く]
……なに、らしくねぇ声、出してんだ、ばかやろ。
[投げ出す形の左の手に、微かに触れる感触。
握る力はないから代わりに]
……ごめん、な。
[小さな声で、こう、紡いだ]
[名を呼ばれ、顔をあげて。]
ユリアン、さん。
…ごめんね、私…役に、立たなかった。
[人狼を見つけられぬまま、止められぬまま。
犠牲にさせてしまった人に、謝った。]
[重なる蒼と黒。
それに赤が加わるのは程なくしてだった。
人からも獣からも、同じく赤が零れ落ちている]
──ラィ…………。
[再度名を紡ごうとして、声が掠れた。
本を通じて交流を深めた相手。
獣と転じたその姿に恐怖が無いわけではなかったが、慄く程では無く。
眉尻を下げてその姿を見詰めた]
[命が零れてゆく光景を、隔たった場所から眺めながら。
カルメン、ゼルギウス、クロエ。この一件が始まってから死に捕らわれた者の姿に足りないことに気がついた。
あの摩訶不思議な男はこちらでも摩訶不思議かもしれないけれど。
彼女はどうしたのだろう。気になった]
――ああ、
[溜息の音が零れる。
影は頭を擡げ、亜麻色の形を為す]
何もできなかったでしょうけれど、
手すら伸ばせないのは、切ないわね。
[独り言だったか、それとも。
人形のような細い指が、胸元で組まれた]
僕だって…家族の事は良く解らないよ
それでもさ―――…嬉しかったんだよ
怪我の手当して呉れたり、クッキー呉れたり
……お墓に、花を手向けて呉れたり
見守ってくれるのが、嬉しかったの
[ふるふると頸を振って。ぽろぽろと涙が漆黒の獣の毛並みを濡らす。
流れる血は、彼から熱を奪うのだろうか。]
必要なら……私、食べられてもよかったの
誰かを奪う分、生きていて欲しかったから
[演技が、はがれる。
仮令、彼の手が大事な人達を殺めていたとしても。
それでも、傍らの青年に言の葉を綴り続けて。]
[先に命を無くした幼馴染の声も聴こえて。
その光景を、自分の目でも捉え、痛みに堪えるように眉をひそめた。]
…そうだね。神さまなんか居ない。
ライ兄も、ベル兄も。皆も。
こんな目に遭わせる神様なんて、要らない。
いらない……そんな言葉……
[返される言葉、握る手にむこうからの力は返ってこない。
彼の身からこぼれおちる紅と共に命が零れ落ちていくのを、ただ自分は見ることしかできず]
ずっと……ずっと……好きだったんだよ……
ただ、私は……アーベルと……一緒に………
[ぎゅっとただその手を握れば、命をつなぎとめられないかと、
祈りを込めて握る手に額をこすりつけて]
ごめん……ごめん……わがままで……
[背後に増えた死者の聲を聴きながら、
白銀の髪を持つ男は、静かに、唯2つを見詰める。
もう傷まぬ筈の胸元に手をあて、いつかのように唇が音なくなぞる言の葉。]
『 ご め ん ね 』
[一言では表せきれない想いを、けれどその一言に乗せて。]
[銀の毒が漆黒の獣を侵してゆく。
熱くて苦しくて仕方がないけれど
其れは一つも表に出さない]
――…は。
[結局、アーベルの心臓を喰らう事も叶わない。
ぽた、ぽた、と人と同じ赤い血が胸から滴る。
幼馴染の上からは動こうとはしなかった。
――…誰かに奪われるのも、厭だったから]
ライ兄は、私のこと。
どう、思ってたんだろう。
勝手なこと言って、泣いた私を、どう思ったんだろう。
[あの時。
湖畔で泣き言を言った自分に、悪いのは人狼だと、あの人は言った。
そんな言葉を、どんな想いで、口にしたというのか。
その心は解らないけれど、自分の知る彼ならば、きっと。]
私、きっと。ライ兄のこと、すごく、傷付けた。
…悪くないって、言えればよかった、のに。
[今更悔やんでも、遅いけれど。]
…………。
[紡がれる告白に、返す言葉はない。
それは、だいぶ前に捨てたつもりのものだから。
だから、ただ、静かに、聞いて]
……謝ることか、それ。
っとに……もう。
[掠れた声で紡げるのは、やはり。
呆れたような口調の一言だけだった]
でも……らしいっちゃ、らしい、か、ね……?
[自分に謝るユリアンに、どうして、と不思議そうに視線を向ける。
護れなかった、と言われればふと、伝承で聞いた力を思い出して、あぁ…と想ったものの。
死を視続けさせたと言われれば、そんなことないよ、と。]
私は、視ることしかできないし。
視ていくって決めたのは、私だから。
…私を、護ってくれたんだね。
ありがとう、ユリアンさん。
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