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[確りと伝わる、手応え。
一度上へ、そして、下へと落ちる姿を視線で追って]
……は。
[短く息を吐き、それから]
……焼き鳥、嫌いじゃ、ないっすけど、ね……。
生憎、俺は……堕ちられ、ませんので。
[それが、『あいつ』との約束だから、と。
掠れた呟きは、恐らく届きはしなかったろうが]
……て、わけ、で。
従姉殿への手出しは、断念して、いただけましたでしょーか?
[未だその手に武具を握る様子に。
こちらも天凰刀を構えたまま、低く、問う]
[声を掛ける前に足が止まったように見えたのは気のせいだろうか。
だが、唇端上げて手を振る様子はいつものケイコに見えたので頷く]
落ち着いたってーか、お裾分け掠めてきたってーか。
また横取りされる前にサッキーに回復してもろうた方が良さそうやし、急いで来たんよ。
ちょい待ってくれたらサッキーも起きるかもしれへんしな。少しだけ下がっといて。
[そう告げて、扉を軽く叩く。
キョウヤの声が返れば、うちやでーと暢気に返してお邪魔する]
わ、目ぇ覚めてたんか。よかったわー。
少しお裾分け来たんやけど、ええかな?
[返事を聞く前に、サキの横にぺたり座り込む]
今のことが終われば、嫌でもやることは、増えるよ。
[逸る恭也にそれだけを告げて]
んー、何も出来ないって、言うけど。
目が覚めた時、傍に居てくれたのは、嬉しかったよ?
[臆面も無くそんなことを言ったり。何か要るなら、と聞けばお腹空いたかも、と食べるものを要求するかも]
……っ。
[ぎり、と確かに奥歯が鳴る。
それは、純粋な悔しさ。
痛みをこらえるとかそんなことはどうでもよく]
……勝手にしろ。
[するり、と。右の手から朱雀はか細い炎になって消える。
明らかに苛立ちを含んだ声は、相手のほうを欠片も見ることなく。
もう馬に蹴られるのはたとえそれが麒麟の足であろうともうごめんだとばかりに、大きく息を吐き出すとその姿はふい、と屋上を遠く*離れて*]
[あれこれ話をしていると、再び来客。応じた恭也を見やりつつ、入ってきたのは同属の璃佳]
ん、ついさっき、だけどな。
お裾分けって。
してもらえるのは、ありがたいが、そっちは、大丈夫なのか?
お裾分け?
でもうん、自己治癒高めるのは大切だ。
[頷く。壁近くで普通に立ったままリカが中に入るのを見て]
さて、気合気合と。
余計なこと言って気を散らさないでくれ?
[ぶら下げたままだった黒狐を床に下ろし。
頭を撫でながらそんなことを言うと、軽く目を閉じた。
殴られるかと思ったのか頭を抑えていた黒狐の、馬鹿だコイツと言わんばかりの視線はあくまでも*無視して*]
……勝手に、してますよ、昔から。
[自慢にならない一言を返し。
それから、消える姿にあ、と短く声を上げる]
……傷、大丈夫……じゃ、ねぇよな……。
[今更のよに呟いたところに感じる、眩暈。
翼のまとう銀焔が消え失せ、翼の力が抜ける。
下へと向かう力に逆らわず、ふわり、降り立って]
……あー……こりゃ、また小言くらうな……。
[ふと零れたのは、*そんな呟き*]
[家出組の寮生に食事を作る技能など皆無だが。
キョウヤが出てきたなら運ぶ手伝いくらいはするだろう。
それらを用意くれるのは、今顔合わせると平謝りしかできない先輩だったかもしれない*けれど*]
まあ、いらへんって言っても押し付けるけどな。
少しは顔色ようなったけど、まだまだスポーツ少女には遠いからな。
[軽口叩いて、身を起こしている背に掌を当てる。
まだ子供っぽい細い腕を伝わり、淡い金色の土気をゆっくりと送る]
あ、食べもんやったらリビングにお茶菓子ならあったで。
それ以上のもんはしらへんけど。
[なんやら食べ物運搬を命じられたらしいキョウヤの背に投げて、大丈夫なのか問うサキには首を傾げて見せた]
や、他に出来ることもあらへんし。
さっきも言ったとおり、いらんゆーても押し付けるかんな。
やから早う元気になり。
[キョウヤんも心配してるし、と呟いたのは罪滅ぼしもあったのか]
……さて、と。
[呟きつつ、空を見上げる。
先ほど自分から喰らった焔撃連打は、属的にだいぶ抑えられてはいたものの、内に通った衝撃はかなり大きく。
直前に全快していなかったら、どうなっていたかは想像に難くなかったりしたのだが]
……取りあえず、陣を律して、それから……。
[『天帝』に直訴したりなんだり、色々と問題があるなあ、と思いつつ、しかし、むしろ今は]
……ここから、をどう乗り切るか、だなぁ……。
[その場に座り込みつつ、ちらり、と陣の出入り口を振り返る。
ふわり、と舞い散る翠の光。
それが意味するものと、これから来るであろう出来事と。
それを思って、*ため息一つ*]
だからって、お前が倒れるくらい、送ろうとするなら、流石に止めるよ。
[押し付けると言う璃佳には、釘打ちを一つ。背に掌を当てられると、流れ込む土気に瞳を閉じる。必要以上に送り込むようなら、直ぐにでも止めさせることが出来るように。
茶菓子の話を聞けば、恭也に持って来るように頼み。彼が出て行ってから、璃佳が最後に呟いた言葉に]
…心配してくれてるのは、分かってるよ。
そうじゃなきゃ、目を覚ますまで傍に居たり、こうやって世話したりは、しないだろう。
ありがたいことでは、あるけどね。
[穏やかに、小さく笑う。恭也が居なくなってから返したのは、居る時に言えば、恭也が恥ずかしがったりしそうだったから]
いやいや、もうしませんてば。
それに様子見に行きたいトコもあるし。
[つまりは既にしたってコトなのだが、突っ込まれても笑って誤魔化し。やり過ぎないように気を送っていく]
…うん、そやね。
[キョウヤに関する話には誤魔化しでない笑顔を浮かべて、同意を返す。友情に意外と厚いクラスメイトは親戚のお姉さんにもそれなりに色々あるんだろうなーとか、うん]
よし、ここまでにしとこっかな。
おケイはんとか待ってるし。それに、ゴハン食べにくいやろ。
ほななー、養生しいや。
[元の亜麻色に戻った髪を揺らし、サキの部屋を*後にした*]
[そっか、と突っ込んでもどこ吹く風な璃佳には小さく笑いが漏れ。ここまでに、と言う言葉に、すっと瞳を開き直して]
……ああ、だいぶ楽になったし、結構蓄積されてる。
ありがとう璃佳。
これなら何が起きても、ある程度は対応出来ることだろう。
[改めて璃佳に礼を言い。部屋を去る姿を見送る。入れ替わりで戻って来た恭也が持って来た和菓子他を、あれこれ話をしながら平らげていく*ことだろう*]
[ やがて入って来たヒサタカを見やり、
問われる侭に、答えを返す。
其処に反省の色など、見られたか、さて。
掴まれるのにも抵抗する事はなく。
重い一撃に、口内に血の味がする。
それもすっかり慣れたなんて、笑い事だ ]
聞いたねえ。
お前が勝手に暴走して、さっさと落ちて、
何にもしてやんねえから、こっちで面倒見た――そんだけ。
あのまま天界に負けるのだって、癪だったろ?
[ だから利用した、それまでの事。
―― 全く、魔に何を期待しているのやら。
去り行く背を見送る合間にも、其処に、笑みはある侭だった ]
……あー、くだんね。
[ 閉まった扉へと眼差しを向けること、暫し。
そう呟いて、手の甲で口許を擦った ]
まあ、どうなるにせよ、
敗者は勝者に従うのみ、ですかね、っと。
[ 魔が抑えられても、この性根、治る気がしませんが。
他人事のように言って、壁に凭れかかった侭、*目を閉じた* ]
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