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[いつもより、遠い場所に、或いは、まったく異次元に、少女は旅していたようで。はっと気付くと目の前に、覗き込む瞳]
…きゃあああああ!!
[お約束]
はいはい並んで並んで〜♪
[きゃぁきゃぁはしゃぐ子供たちを誘導したり、喧嘩してるのをなだめたり。
楽しそうにおかしの包みを持っていく子らを見送ったり。
未だに特賞のクマちゃんは、棚の上に鎮座したまま。]
…あれ?
フィー姉さん〜! 久しぶりっすー♪
[見物客の中に、見忘れるはずも無い姿を見つけて手を振ってみたりとか。]
[振り返った姿に安堵したように此方も笑みを浮かべた]
こんばんは。
良かった、もしも間違えていたらどうしようかと。
[そう言って、ふと彼女の手にある紙袋に目を留める]
…それは?
[漂う甘い匂いに興味を惹かれたか、僅かに首を傾げて問う]
わとっ!?
[いきなり悲鳴を上げられればそりゃまあ、さすがに驚く訳で。
思わず、後ろに下がって硬直。
突然の悲鳴に当然の如く周囲の注目は集まる訳だが]
え、あ、え?
俺、なんかした?
[多分、何にもしてないから問題なのだろうけど。
肩の相棒、呆れたようにきゅうう、と鳴いて]
[はたと気付くと、困り顔のユリアンと、周囲の奇異の視線…というか、すでに取り繕う隙もなさそうな状況で]
あ、あ、あ…ご、ごめんなさいっ!なんでもないんですっ!!
ええと、あの…さっき、そこに妖精さんが見えた気がしてっ!!
でも気のせいだったみたいです。ごめんなさい、ごめんなさい!
[それでも少女は、必死にお下げをぴょこぴょこ振り回し、回り中に頭を下げる]
嗚呼、人も多いですしね。
知り合いを見かけても似た人だったら如何しようかなんて、良く思います。
[周囲を見渡して小さく笑い。それから視線につられ、紙袋のほうを見て]
あ、良かったら食べますか?
[袋の口を開けて差し出す。幾つ買ったのやら、結構詰まっている]
[にこにこと見詰めていた母が、手を振る人影に視線を移す。
あら、と頬に手を添え、其方に歩んでいくと、ふわりと優雅な礼。
「御久し振りね、エーリッヒくん」
親しげな口調で、元気だった?などと尋ねている。和やかな雰囲気]
[彼は、そんな母と、目の前の男――この間の毛布男だ――を見比べ]
……御知り合い、ですか?
[嫌な予感。]
[周囲の人々が苦笑と共に視線を外すと、漸く息をついて、少女はユリアンに向き直り、真っ赤な顔で頭を下げる]
ほんとにごめんなさい…
[今度は消え入るような声だった]
あ、あー、えーとー……。
[何か必死に頭を下げるミリィの様子に、しばし呆然としていたものの、何とか気を取り直して]
そ、そーかぁ、妖精さんかあ。
ま、まあ、祭りだし、そんな気がしても不思議はないよなっ。
[何とか強引に話をまとめよう、と試み]
あー、いやども、すいません、お騒がせしちゃって。
[遠巻きにしている通行人に、自分も頭を下げてみたり]
[ほぼ一年ぶりの再会に積もる話も以下略で。]
ぉー、この子がミハエル君っすかー。
ほんっと、賢そうでいい子っすねぇ。天使のように可愛いって…話以上っすよー。ほんっと。
[馴れ馴れしくしゃがみこんでミハエルの頭をなでてみたりとか。]
あ、雪投げゲーム参加していかない?
私は土地勘もないから、不安からか人を知り合いと見間違えることも実際にあってね。
[少し肩を竦めて苦笑する。
何処でも土地勘はないだろうという話なのだが。
差し出された大判焼を思わずじっと見つめて]
ああいや、ちゃんと自分で……
[言いかけて、袋の中に随分詰まっていることに気付く]
…もしかして、誰かのところに持って行くところだったのかな。
[邪魔をしてしまっただろうか、と]
[取りあえず、周囲が落ち着いた所で、一つ息を吐いて。
落ち込んだ様子のミリィの様子に、苦笑めいた表情を向け]
ああ、いや、気にすんな。
それよりほら、木箱しかないけど。ちょっと、座って休んどけよ。
[さっきまで自分が座っていた木箱を示しつつ、軽い口調でこう言った]
[少女は泣きそうな気持ちだった。しかし、ここで泣いてもなんにもならないどころか、ユリアンを益々困らせてしまうのは明白で、それだけはなんとしても避けたい事態なのも明白だった]
ありがとう。
[だから、零れそうになる涙を飲み込んで、座るように奨めてくれたユリアンにがんばって笑いかけてみた。うまく笑えたかどうか判らなかったが]
[会話の内容は何ともほのぼのしていて、長閑な空気]
[どうやら、この男の、彼に対する記憶はすっぽ抜けたかどうかしているらしい]
……………
[母の方は我が子を褒められて、嬉しそうに花笑みを浮かべている]
[しかし、彼はと言えば、それどころではなくて。
やけに親しげに頭まで撫でてくる手を振り払おうにも、思考が停止している]
……あの、母上……この者……いえ、方は……
[きょとん、とした表情の母。知らなかったの?という風に]
「エーリッヒくんはね、貴方のはとこに当たるの。
優しいお兄さんだから、仲良くしてね?」
[にっこり。笑みと共に、紡がれた言葉]
[出店の数々を、一つ一つ丁寧に覗き込んで、ゆっくりと歩く。大き目の侍女服に身を包み、髪を後ろに緩く纏めている彼女が、昨日の『舞姫』と気付く人はほとんどないようで、気を張ることなく存分に祭りの雰囲気を満喫していた。
――いくつ目かの角を曲がろうとしたその時。
「妖精さんが見えた(気が)」という声が響いて。
びくっ、と反射的に身を竦めてそちらを見れば、見覚えのある青い髪の青年と紅い髪の少女がいて、思わずくるりと踵を返し、反対方向へ。]
嗚呼、いらっしゃるのは初めてでしたっけ。
[相手の方向音痴っぷりは多分知らなかったと思う]
え?…あ、いえ。
そんなつもりは無かったんですけど、お店の人がおまけだって。
[だから遠慮なさらず、と肩を竦めて。…にしても貰い過ぎだ]
[しかしそんな我が子の様子に、フィリーネは首を傾げるばかり。
それどころか、照れているのかなどと思っているらしく。
エーリッヒの誘いの言葉に、彼の代わりにとばかり、「遊んでいこうかしら」と、暢気に答えている]
[向けられた、ややぎこちない笑顔に笑みで返して。
それから、台の上に置いたままだったオカリナを再び手に取る]
取りあえず、なんだ。
落ち着いたら、見てってくれな、俺の細工?
[軽い口調で言いつつ、再びオカリナを奏で始め]
今まで祭りと休暇が重なることがなくてね。
ずっと来たいと思っていたら、今回は運良く休みが貰えたんだ。
[方向音痴はこの村で知っているのは恐らく一人だけ。多分]
おまけ…
[一体どんな豪気な店員だったのだろうとちょっと思ったが]
では、遠慮なくいただこう。
[礼を述べてから一口齧り、口内に広がる甘さに頬が緩む]
…ん、美味いなこれは。
んー?ちょっと人見知りさんなのかな?
ま、いきなり知らない人ばっかのとこ来たんじゃしかたないかー。
[にこにことしゃがみこんで笑顔で覗き込んでみたりとか。]
[他の団員から、何サボってんだと叱責の声。]
あー、はいはい、いま戻りますよっと。
[振り向いて適当に返答すると、ミハエルに向かって手を差し出し。]
ほら、いくぞ?
お母さん見てるんだからいいとこ見せて来いや。
男だろ?ん?
[たくさんの人を見ていたから、
子供は二人の人に気づくのが遅れた。
首を傾げる。
綺麗な金色の髪の女の人。
一緒にいるのは、ミハエルだ。
子供はすぐに思い至って、手の袋と顔を見比べる。
でも少年は雪投げをしようとしているように、
子供には見えた。]
えーと……。
[正直、色々と暴れたい気分だったのだが、母の手前、それは出来ずに。
覗き込まれれば、それはもう。僅かばかり、顔が引き攣っただろうか。
差し出された手を、ちらと見るも、それには触れず]
言われなくとも、解っている。
[……むっすりと。]
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