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[鍋からは細かな湯気が沸々と立ち上り、それが十分に煮えたことを自己主張していた。
火をそっと止め、水屋から食器を取り出そうとし、ふと気になって居間を覗いてみる]
やぁ、みなさん。 いつの間にかおそろいで。
小腹がすいている方がいらっしゃりましたら、挙手を。 少しですが、食べられるもののご用意があります。
メインディッシュを作ったのは私ではありませんがね。
んー……
[顔洗ってくる、と立ち上がり、矢張りランプは手に持ったまま、洗面所の方へ。ずり、と毛布が床に落ちて足に絡みつき、暫く引き摺られた後、ぺしゃりとその場に残った]
[納得したらしいユリアンの様子に、僅か、笑みを浮かべる。
オトフリートの笑顔は視界に入れてない。
避けただけ、後が怖いのは感じているけど、取りあえず逃げた。
そんな同居人をちら、と見やりつつ、仔猫はまた、心配そうに鳴いてアーベルを見つめ]
[困ったような笑みに首を傾げ]
俺のでいいんならあるけど。
[身長は恐らく似たようなものだろうが、何分此方は体格が比較的良い方。
アーベルが着るには少々余るかもしれない]
[ちなみに着替えは道具一式を持ってこられたときについでに渡されていたらしい]
[オトフリートに気にするなとでも言うように持ったままの布をひらりと振って]
…牛乳飲めなくても乳製品は食べられるのが多いからいいんだよ。
[どう聞いても言い訳]
あ、頂けますか?
[ザムエルの言葉に、顔を向けて]
[イレーネが毛布を落としていったのを見るが、戻ったら気づくだろうと]
[エーリッヒには後でしっかり怒っておこうと思ったようだった]
[彼はオトフリートに頭を拭かれ、一瞬固まる。逃げ出そうかどうしようか、迷うように視線を彷徨わせ、結局、やっぱり動けずに、常に無い気弱な声をぼそぼそと漏らす]
ご、ごめんなさい…後は自分で拭くから
[タオルの端を引っ張って、顔をごしごし。ユリアンの申し出にも戸惑う顔で]
いや、大丈夫だから、ほんとに。ユリアンだって着替えが無いと困るだろ?
[厨房からかかる声にそちらを見やる。
まともに話していない相手のためか、一瞬、誰だっけ、と悩みつつ]
あ……少し、もらえるかな。そんなに、量はいらないんだけど。
[昨日はまともに食べていないし、と思いつつ。
その一方、心の奥には、諦観の念がひしひしと]
アーベル?
大丈夫ですか…?
[手を止めるも、覗き込むように尋ねる]
私のもありますよ、着替え。
[外に行ったときに持ってきていたらしい]
それに、一応、外に出られるようですし…持ってきましょうか?
[ひらり、ザムエルからもらった紙を取り出して]
[オトフリートの微笑みから恐怖を感じて目を逸らす。
シチューなどは平気なのだが何を出されるか怖い]
[何となく、アーベルの様子がおかしいなと思って。
暖炉の前、彼の横にしゃがみ込んで顔を覗く]
別に一枚くらい貸したって困らないけど。
つーか…大丈夫か?
[自然と頭は傾げるような形に]
[撫でられた仔猫、心配そうにアーベルに擦り寄って。
そんな同居猫と青年の様子に、僅か、眉をひそめる]
……どうしたんだ?
元気……ないぞ?
[戻って来て見れば、アーベルを中心にして、心配そうな様子の皆。
床に落ちた毛布を拾い上げつ、首を傾げる。濡らした髪に、まだ残っていた水滴が落ちた]
……………?
[ザムエルに気付けば、私にも貰えますか、と尋ね]
ひとり、ふたり。
[と数え厨房に引き返す。
しばし後、掌と腕に皿を載せ戻ってきた。]
オトフリートさんと、ユリアンさんと。
[名前を呼びつつ、並べていく]
[オトフリートとユリアンに覗き込まれて、彼はぱっと顔を上げるとふるふると頭を振る]
大丈夫!なんでもないない!
着替えはえっと…それじゃ、ユリアンのシャツだけ貸してもらおうかな?
[にこりと笑う顔に不自然な色は無い]
[余りに屈託無く笑うから。
疑問は頭に引っかかるものの、頷くしかできず]
んじゃ、持ってくるわ。
[立ち上がり、半ば駆け上がるように二階へ。
然程時間もかけずに、言われた通りシャツを一枚持って戻ってきた。
頭の布もいつの間にか巻き直してある]
[アーベルの様子に、内心、首を傾げつつも]
[ぽふ、と頭を一撫でして]
[ユリアンが何を思ったのかは知る由もないが、微笑み]
[チャイでも作ろうかと]
[そしてザムエルに微笑んで]
ありがとうございます。いただきますね
イレーネさんと、私……と。
後ほかに欲しい人が居たら厨房にまだありますのでどうぞ、ご自由に。
[皿、食器を並べ終わって、ソファに腰掛ける。
ブリジットはまだ厨房のようだが、並べておいたので気が向けば食べるだろうと判断し、スプーンを使い始める]
[チャイってやっぱりミルクティーのあれなのか。
そんなの出されたらきっと逃げる]
[やっぱり微笑みが怖くてオトフリートの表情を視界に入れないように必死]
[昨日の様子を思い出しながら。頭を擡げてきた疑問を口に]
………アーベル……
…撫で…られる、の………苦手?
[並べられた食事に、ザムエルに小さく頭を下げ]
………ありがとう…
[いただきます、とスプーンを使い始める]
[なんだかユリアンがおびえているようで]
[困ったように微笑む]
[コーンスープとかどうだろう]
[中華風のとろみスープ]
[もろもろに溶けたチーズを人参の塊と一緒にすくい、口に運んで味わってみると、凝縮された甘みがチーズに包まれてその対比が面白い]
ふむ、不格好だが味はなかなか。 チーズフォンデュみたいなものだな。
ブリジットといったな、やるものだ。
うん、行けますな。
[安心した顔で、オトフリートに視線を向け]
どうぞご遠慮なく。
[と、ほほえんだ]
[彼は、ユリアンの取って来てくれたシャツを受け取ると、ありがとう、と微笑んで、オトフリートに撫でられると、軽く首をすくめる]
え?苦手、なんてことはないと思う、けど…
[イレーネの指摘に、浮かべた表情は、どこか不思議そうだ]
[犠牲者が増えて行くな、とか内心で思いつつ。
ふと、仔猫にミルクをやらないと、気づいてゆっくりと立ち上がる。
厨房に連れて行こうかと思うものの、仔猫が動きそうにないのでその場に置いて行く事にして]
よっ……と。
[目眩、なし。身体が落ち着いている事に、安堵しつつゆっくりと移動開始]
[コーンスープなら恐らく平気。
自分でもダメな物の境目がわからないらしい]
[困ったような笑みに変わるのに気付いて、ぽり、と頭を掻いた]
[アーベルの礼の言葉には気にすんな、と返して]
[ようやく席につき、手を合わせてから食事開始]
[アーベルの挙動を眺めて]
……………そう? …でも………
[とかく、慣れていないのは確かだと思うのだが。
言葉を続けようにも、何と言ったものか解らず。首を振り、なんでもない、と一言]
[遅れて、彼女も食事を始め。ゆっくりと味わう。
治り切ってはいないものの、食欲はそれなりにあるようで]
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