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[少女は、不思議な面持ちで、辺りを見回した。力あるものの声…それは、どこか遠いところから響いてきたように感じられる。そして、あの風は…?]
[風と共に金色の光が、自衛団長を包み込んだようにも見えて…
バシャン!!
]
…ぬぅぁ!
[背中から源泉におっこち、びしょ濡れで身を起こす。
あたまふるふる。]
[状況が上手く掴めず、呆然としていたところに、アーベルに声をかけられ、はっと我に返り]
いや……俺にも、何がなんだか……。
ていうか、おーい、エーリッヒ!
無事か、生きてるかーっ!!
[どこかぽかん、としつつ答えた後、ふと気がついて呼びかけた]
[今思えば如何して“声”だと思ったのか]
[似ていたから、だろうか?]
[我には返ったが、源泉に突っ込んだ青年の心配までは未だ頭が回らない。
…冷たくはないだろうけど]
[とりあえず、子供は問題を先送りすることにした。
忘れるかもしれないけれど、それはそれ。
落ちたからか、少し落ち着いたのだろう。]
ええと、
ダーヴィッドさん、ミリィさん……
助けてくれて、ありがとうございました。
[お礼の言葉を告げる。
だんだんと収まってゆく騒ぎに、ほっとする。
籠の中は死守したようだ。]
何をやっているのだか……
[呟くその声は、事態を理解していないようで]
[微かに聞こえたユーディットの声に、振り向いて。
僅かばかり眉をひそめ、顔には疑問符を浮かべている]
………そうなのか…
[ユリアンの返答に困惑したまま
ユリアンの後を追おうとした時に気づく]
………ギュンター団長が…消てる?
[源泉の所で待ち構えているはずのその人の姿がない。
クライマックスに席を外す…理由が見えず
かと言って今いないのは事実で]
[女の子に声をかけられると、少女は慌てて体勢を立て直す]
わたしこそ、ごめんなさい。ちゃんと避けようと思ったのに、結局巻き込まれてしまって…怪我はない?ベアトリーチェ。
…まぁ…今年は、ユリアン、って…事だよね?
[勢い余って源泉に飛び込む輩も居なかったわけではなかったのだが…どう判断して良いのか良く分からず…源泉を覗き込むようにして見て…]
…まぁ、寒いから…ちょうど、良いかも知れないけど。
[少し無責任なことを言うと、ふと、毎年恒例の…声が聞こえない]
…?
[いつもなら、此処で自警団長が、おめでとう!という声と共にやってくるのだが…]
ならいいけど……って、問題違うだろ。
[どこかぼんやりとしているものの、落ち着いてはいるらしいエーリッヒの様子に、ひとまず大丈夫そうだな、と思った所に、アーベルの呟きが]
……え?
団長のおっさんが……消えた?
[言われて見れば、確かに。
走りこんだ時には確かにいた、自衛団長の姿はどこにも見えなかった]
やーしっかし…お話に違わず、随分張り切ってるなー…。
[びしょ濡れの状態で身を起こすエーリッヒを傍目に見つつ
姿を消した自衛団長のいた場所へと視線を移せば
…ぽつりと、状況から脈絡の無い言葉を呟いて。]
けど「違う」とか、どーなの。
[ただ、一言。
―――低いその声は、誰の耳に届いたかどうか]
[問い返されて、少女は微笑む。子供の優しい気持ちが嬉しくて]
ええ、大丈夫よベアトリーチェ。心配してくれてありがとう。
[そう言って、そっと頭を撫でた]
[呼ばれる声は、何処か遠く。]
[繋がれた手に込められた力に、ようやく、はっと意識を戻して。]
[主の顔を見、もう一度、空を見上げて。
わからない、と言うように、ふるふると首を振った。]
[落ち着いてきた周囲に抱えていた腕を解いて。
礼の言葉を受けて微笑む]
無事で何よりだ。
君も、ね。
[赤髪の少女にも微笑んで。
先程までの体勢などすっかり忘れてる模様]
……団長まで、温泉で溺れてる…わけじゃないだろうし
[青年は暫し考える…がある1点に思い辺り
周りに聞こえないようユリアンに囁く]
……今団長が消えたと騒ぐと、観客が動揺し事故が起きる危険性がある
とりあえず、エーリッヒを立たせて仕切らせよう
[ミリィに、ふるふると首を横に振った。
子供はそれから、小さく頬笑んだ。]
大丈夫で、良かったです。
[それから、ダーヴィッドの言葉に、
もう一度、頭を下げた。]
ありがとうございます。
僕、転ばなくてよかったです。
転ぶの、怖いです。痛いです。
…消えた?
[ユリアンとアーベルの言った言葉に目を瞬かせ…]
…消えたって…
エーリッヒ、に、仕切らせるの…?
[…温泉に浸かっているエーリッヒを見て…アーベルにもう一度視線を戻す]
[観客たちは大抵のことはイベントの見世物の一部と納得し、ぞろぞろ宿へと帰っていく。
団長が消えたことに気づいているものは少なく。]
……ん、そーだな。
騒ぎ、でかくしねー方がいい。
[アーベルの言葉に、わずか、表情を引き締めて頷き。
何やら呟いているエーリッヒへと近づいて]
ホレ、立てるかー?
[声をかけつつ、手を差し出し]
[首を振る侍女に、訳が解らないと言った様子で、僅かに頭を傾け]
……幻聴でも、聞こえたか?
[彼にとっては、冗談のような事を]
[それから源泉に近付こうとして、見た事のある長い髪の女性を認め]
ノーラ、だったか?
[誰かを探しているような様子に、つい、声をかける]
[頭を下げられ少し慌てたような様子で首を振り]
礼など言われることじゃない。
私が勝手にやったことだしね。
[言い訳みたいなことを言っていたらベアトリーチェにもまた頭を下げられて]
ああだから気にしなくていいから。
怪我がなかったようで良かったよ。
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