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無邪気に信じられるほど子供でも、強くもありませんよ。
[封筒を傍らに置く。
マテウスを上目に見た]
………どうせ、暗いです。
[自分も、常日頃からこんなものだと嘯いて。
すぐそっぽを向き、カップに手を伸ばした]
そうかい?
[ライヒアルトの様子に]
性格的なものを抜かしても元気そうにはみえないがな。
[それは以前にあったことのある姿とも重ねてのことだが]
ウェンデルはあったとき元気そうだったけどな。
[頭を撫でる手はそのままに]
いくら15年離れていたからって、
いまのウェンデルが普通じゃないことはわかるつもりだが?
…。私より。
ライヒアルトさんを撫でて差し上げればよろしいのでは。
[ねえ、と。
同意を求めるような眼差しを、暖炉傍の猫へと向けた]
……そう、見えるんだとしたら。
状況のせい、という事にしておいてくれ……。
[呟きに、偽りはない。
教会から離反する契機となった出来事。
それと、余りにも似すぎている状況への憂鬱があるのは、確かな事だから]
……て、待て。
何故、そこでそうなるんだ。
[ウェンデルの言葉に、暗き翠が一つ、瞬く。
同意を求められた猫は、思案するよに首をこてり、と傾げ。
それから、なぁう、と鳴いた。
意図する所は、多分、肯定]
まぁ確かに、
今回の事件に関して言えば二人は俺達よりも思うところのおおい話かもしれないしな。
[紅茶を一口、窓の外に視線をやり]
俺なんかとは見方も考え方も違うし、感じ方もぜんぜん違うんだろうな。
撫でられていると、飲み辛いですから。
[答えになっていない答え。
口元へと、カップを運んだ]
15年は、長いですよ。
本当に。
今は、1日だって長いのに。
…何も起こらなければ良いと思う反面で、
何か起これば、決心もつくのにと思ってしまう。
確かに、思うところは、多いな。
……抑圧は、暴発を引き起こす要因となり得る。
触れなければ、接しなければ。
揺り動かさずにすむものを、刺激する可能性は高い。
[それは、先にも思ったこと。
しかし、この場を設えた者には、それは届かなかった]
荒療治。
なのでしょうかね。
犠牲が…止むを得ないのなら、最小限、に
[紅茶を飲むのは誤魔化し。
意を理解しようとすればするほど、くらき面を知るようだ]
[ウェンデルを撫でていた手を頭から離し]
そうだな、15年か…。
昔はウェン坊の頭を撫でるとあんなによろこんだのにな。
今では難しい悩み事を抱えるようなお年頃になってしまって、
お兄ちゃんはちょっと寂しいぞ。
[笑いながら、ライヒアルトの言葉には]
まぁ、その分うちらがしっかりしろってことだろう。
世の中言葉だけでなんとかなるなら、争いもなにもなくなるさ。
話し合いで解決で世界平和ってな。
そのときは俺は商売あがったりだけどな。
……そんな所、だろう。
[荒療治、という言葉に小さく呟く]
最小限に……済ませられるなら、いいが。
[そうでなければ。
先にあるものは。
それへの拒絶は、微かな痛みを呼び起こす]
……ち。
[呻くような声は、届くか否か。
物思う風を装い、テーブルに肘をついて額を押さえる]
……しっかり、ね。
そういう事なんだろうが。
……話し合いでカタがつくなら、どれだけラクなんだか……。
[ため息まじりの呟きを漏らして。
痛みを抑えるべく、そのまましばし*黙り込む*]
そこまで放置した、マテウス兄さんが悪い。
[ほんの少しの軽口。
半ばまで飲み終えたところで紅茶を置いた。
発する言葉は次第に遅くなり、数も減っていく]
[ふと口を閉ざし、瞼を下ろした。封筒は膝上。
多少は気が落ち着いたか、一時の眠りが訪れるのは*そう遠くない*]
[肩をすくめて]
難しいお年頃だね。
[それはウェンデルに当てた言葉か、ライヒアルトに当てた言葉か、
窓の外をみやりつぶやく。]
[三人しばし静かに紅茶を飲む。
誰かの分がなくなればおかわりを注ぎ、
いずれウェンデルが眠りにおちると毛布をかけてやりほっぺを*軽くつつく*]
―二階・自室―
[浅い眠りは夢を呼ぶ。
夢の中には祖父がいた。]
『―――欲しいか?』
[大きな手の平で薄金の髪を撫でながら、祖父は自分にそう尋ねる。優しいながらも、どこか真摯に。
自分は何と答えたか。
あの時何を、望んだか。]
…ん。
[目を開けると、夢はすぐに立ち消えた。
ぼんやりと瞬いてから、辺りを見回す。そういえば、と現状を思い出してややげんなりした。
夜着から着替えて汲み置きの水で顔を洗う。水は夜を過ぎる間に冷たくなっていて、手の先が赤くなる。
ふる、と震える指をすり合わせてから、枕辺に置いてあった木箱を手に取った。
そっと表面を撫でてから、やや考えた後その場に置いたままに。]
…大丈夫、だよな。
[そう呟いて、部屋を出階下へ行こうと廊下を歩く。
二階は静かだった。音を立てないよう、ゆっくり階段を下りてゆく。]
―二階自室→階下へ―
んー…。
[ごろん、と寝返りをうって、わたしは目を覚ます。]
[いつの間にか眠っていたらしい。寝室に自分で戻ったようなそうでないような…]
[ぼさぼさの頭のまま、起き出した。]
―階段―
[一瞬、何か殺気というか、妙な気配がしたが。
声をかけられ振り返ると、そこには同じく集められた少女が。]
(気のせいか?)ああ、おはよう…ええと。
すまない、まだ名を覚えていないんだ。
私は墓守のナターリエ=シェルツだ。君は?
[どこかぼんやりしているような少女に、そう尋ねる。]
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