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[転がった荷物もランプも拾わぬまま。
流れ落ちる緋色も気にせずに、立ち上がって]
[わらう少女へと視線を向ける]
………ブリジット……
[掠れた声で名を呼んで。
それすら逆効果だろうかとは思うも。他にどうしたらいいかは解らず]
[ベアトリーチェの呼びかけに、ゆっくりとそちらを振り返り]
ん、いや……なんでもない。俺は、大丈夫。
[それから、窓の外へ視線を向けて]
俺よりも、外で何が起きたか、の方が大事のような気がするんだが……。
人狼を何とかしてもその場しのぎなのです。
人狼騒ぎというシステムを止めない限りはね。
ここを生き延びることが出来たら、システム自体を破壊しに行きますか?
ただし、今まで私が調べてもその方法は判りませんでしたとだけは。
闇に埋もれた秘密を引っかき回すために、宝石に関わったり、政治屋として働いたりとしてきたわけですが、それで得た地位や財をもってさえ判らなかったのです。
[居間にやってきたベアトリーチェ気付き]
こんばんは。
[と声を掛けて]
[大丈夫と言う言葉は俄かに信じ難かったけれど、本人にしかわからぬ事と思い。
その先の言葉にはどう答えるべきか考えて]
置いて…?いつも…?
[だけど結局それ以上何も言えずに]
或いは……システムを利用しますか?
自身の命を守り、騒ぎの中から自分の利になる物を掠め取る。
それもまた道でしょう。
もしくは、システムに殉じるというのも有りでしょう。
ギュンターがそうでした。
彼は天に召されましたが、至福の中で逝ったことでしょう。
私は彼がその道を選ぶ時に止めたのですが、すっかり偽りの感情に引き込まれ切ってましたよ。
[幾許かの時、沈黙が流れ…。]
…仇を討ちたい、それだけだ。
[小さく、一言告げる。
ひよっこ同然の新米だった自分を、一人前になるまで育ててくれた元上司。
常に傍に在り、最後は自分の身すら盾にして自分を守りきった相方。
彼らを死に追いやったヤツらを滅ぼすためなら…
だが、この気持ちすらも…もしかしたら。]
[何もしない、という言葉も、遠かっただろうか。]
…ごめん、………ブリジット。
………あなたには、…怖い事、だった……んだ、ね。
[痛みに僅か眉を顰め、その場にしゃがんで]
それとも、また別の道を探しますか?
[しばしの沈黙が流れた。
私はハインリヒの迷いを見て取り、ふっと息を吐き出す]
なに、今すぐに決める必要はありません。
>>514
[少女はエーリッヒの返事を聞き、彼を一瞥して]
顔色を見るかぎり、血流が滞っていますね。
これは余り良い状態ではありません。
コンディションが整ってないと、作業効率が低下しますので、休憩しながら仕事を行うことをお薦めします。
……外?外で何かあったのですか?
いつもいる方々の姿が見えませんが?
[少女は窓のほうを見る。夜の帳が降りていて何も見えない]
そう、いつも。
動こうとすれば、何かに絡めとられる。
……逃げることも、できしやしないんだ。
[ふ、と息を吐く。口元には、僅か、自嘲の笑み]
[ベアトリーチェの論理的な言葉に、苦笑を浮かべ]
……いや、これでも俺としてはいい方なんだけど。
外……わからないが。
何かあったのは間違いないと思う……。
[見に行く体力はあるか否か。ある、と言えない身体が、微妙に恨めしく]
…あなたは恐れているのね…また、誰かがあなたを置いていくのでは無いか、と…
[だけどそれは自分にはどうすることも出来なくて。
また、窓の外に目を向けてそっと歌いだす。
少しでも、安らげるように、と]
Amazing Grace! How sweet the sound
That saved a wretch like me!
I once was lost, but now am found;
Was blind, but now I see.
'Twas grace that taught my heart to fear,
And Grace my fears relieved;
How precious did that grace appear,
The hour I first believed……
…システムに飲まれちまった…そういうことか。
[額を押さえて、数度頭を振った。
怖い。
己の感情が、何処まで本当に自分のモノなのか、全く自信がもてない。
コレすらも全て…望みのまま、に?]
そういう事……なんだろうな。
[エルザの言葉に小さく呟いて。
紡がれる、静かな歌に気を鎮めようと。
それでも、先ほど聞こえた声の招いたざわめきは、消えそうになくて]
……私を、嫌っても……いい、よ………
[慣れているから、と呟いて]
でも、……外は…、寒い…から………
………中に、入って?
…きっと、エーリッヒや………ベアトリーチェも、いる、から…
[その場から動かずに――動けずに]
[先程の狼のものなのか]
[遠吠えが一つ、二つ、三つと増えていく]
[寒さも夜が深まるにつれて強くなってきた]
[ブリジットはエルザの歌声がどこからか聞こえてきたので、目の前にイレーネがいる事も半分忘れて周りを見回した]
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