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そういえば、なんかまた騒がしかったような気がするけど、何かあったの?
[手紙を渡したところで、ようやく口を開く。
とはいっても沈黙に飽きたからいったに過ぎず、昨日からそんなものだろ。ぐらいに思っていたのだっただが。ザムエルとナターリエの話を聞いてしばし閉口する]
ザムエルさん…ナターリエさん…
今度は二人も?……か……
[しばし呆然としていたが、その反応を注視しているような、使用人に気づき出て行け。という仕草をして、また一人になる。]
―――…、
[ふいに、僅か吐息が零れて。
活字を追っていた長い指が、紙面の端を捉え、ぺらりと紙を捲る。
流れるように動いていた視線は、一瞬、ふと伏せられて。]
…―――やはり、
[ポツリと落ちる呟きは、何処か低く響いた。
闇の帳が下りつつある室内で、僅か伏せた瞳の輝きを見る事は叶わずに。
続く言葉は音に成らない儘、青年は再び頁を*捲り始めた*]
[潜んでいた場所から僅かに移動して、邸の門の方角を見やる。
そろそろ、侍女と郵便配達人とがやり取りを終え、去っていく頃か。
昼から無理を言って引き止めていたから、不審に思われたかもしれない。
魂を奪われたものの容態や、犯人の逃亡も考慮すればやはり、]
……時間がない、か。
[呟いて、庭園に一歩、足を踏み入れた]
[...は疲れか、苛立ちか。髪をかきあげる頭を抱える。
昨日予想していたわけだが、犠牲は一つに留まらなかった。
悲しくないといえば嘘だが、抑えきれないほどでもない。
思慮深く穏やかなザムエル。古く想いのこもった綺麗なものが好きなナターリエ。
どちらもあったばかりだが嫌いではなかった。
特に、ナターリエとは感じかたが似通っていたからか。特にその印象がある。でも…]
わからないのはどうしようもないってのがまいる
[さまざまな感情を吐き出すように。深く息を吐いた]
[丁度、召使いの少女と擦れ違うも、いつも通りの笑みを向け挨拶を交える。
訊ねる間も与えず通り過ぎたから、相手の反応もまともには見ていない。
白と黒の咲き誇る一角まで辿り着くと、刺に僅か付着した赤に目を眇めた]
─2階・客室─
[意識が戻れば、周囲は淡い闇の内。
その色彩に、ずっと眠っていたのか、と嘆息して]
……それにしても、『暴走』……ねぇ。
[小さく呟いて]
基本的に、存在が暴走してるようなモンだろうが、あれ……。
[はあ、とため息をついて、起き上がり。
テーブルの上のレポートを一冊手に取って、ぱらり、ページをめくっていく]
[薄い口唇を震わせれば、
零れ落ちるのは音のない旋律]
――……………
[否、それは人ならざる者には呪として聴こえるか。
白の花弁は風もないのに微かに揺らめく]
ま、止まっていても意味はないか……俺が動いたことで意味があるかなんて知らんけど
[なんて不満げにぼやきながら、とりあえず借りたまま返していない本を返そうか。
その後は、どうするか…なんて考えて部屋を後にする]
[再度確認した、過去の記録。
一度に複数の魂を得た事が、なかった訳ではない。
ただ、その後に『暴走』と称してもおかしくない事態が発生していたらしいが]
暴走の兆し……とでも、言いたいのかよ……。
……それだけ示唆して、どうするつもりだ?
そうしたくなければ……って?
[苛立ちをこめた呟きに答えはなく、やれやれ、と息を吐いて立ち上がり、窓を開けて夜風を呼び込もうと]
[――紡ぎ終えて、微かに口端を上げる。
それは時を巡る為の呪。残滓から過去を読み取る為のもの。
今の執事には個人の近しい記憶しか辿れず、それも朧げだが]
……なるほど?
[孔雀石を細め、くすりと、小さく笑む。
夜風が吹き過ぎて、結わえた髪が闇に靡びた]
[…椅子の上で足をブラブラとさせていると、扉のノックが聞こえ…]
どうぞー。
[ドアの方を見やり、姿勢を正した。
入ってきたのは予想通り、使用人の女性で部屋と荷物の確認を要求される]
はい…あたしが持ってきたのは、その鞄の中身…だけ、です。
[使用人が頷けば、失礼します。その声と共に確認作業が始まる。
その様子をじっと少女は見ていた]
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