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[ベッティの傍にアーベルが見えたなら
じ、と向けられるのは物言わぬ深緑。
驚愕の色を見せるミハエルにゆると眼差しを伏せる]
――…折角知らせて呉れたのに、な。
俺が来た時にはもう動かなくなってた。
[イレーネの事を問うベッティに]
泣いてたよ。
辛そうだったから、俺が部屋に連れてった。
今は部屋で…………
[昨日まで隣にゼルギウスが居た部屋。
余計哀しむかもしれないと気付いた時には既に遅い]
……まだ、泣いてるかもな。
ゼルギウスは………
自衛団の奴らに連れていかれたよ。
[クロエも其れを見ていただろうか。
一度視線がその姿を探すも
彼女が何を紡いだかまでは知らず。
上へと視線を向けたゲルダに]
ついててやりたかっただろうな。
けど、止められなかった。
―宿屋・食堂→厨房―
すまない……
[ライヒアルトの言葉に呟くのはそんな言葉、周りの反応はどうだったか]
水取ってくる……
[そう、厨房へとゆっくりとした足取りで*向かった*]
――…何でお前さんが謝んだよ。
[ベッティに向けた声は覇気のないまま。
此処での出来事を青年は知らない。
案じた二人が言わずにいたから
最期の言葉以外、何も、知らされてはいなかった]
……、…
[朝の件で此方を気にするイレーネの姿を想う。
訊ねようとも考えたが今の自分に何ができる訳でもなく。
見上げた視線を下におろし、先程までゼルギウスがいた席に視線を写した。]
そう、なんだ…
こんな時に傍にさえいられないなんて…
[慰めにもならない言葉しか紡げず、娘は憐憫を漂わせて。
クロエは何を識ったのだろうか知る由もなく。]
そんなの、悲しいじゃないか
せめて、今だけでも…一緒にさせてあげたいよ
[しゅん、と俯き、泣きそうになりながら娘は言葉を綴り。]
哀しくても、さ。
自衛団のやつらがそうと決めたなら
如何しようも無いだろ……?
……嗚呼、気持ちは有り難いが、な。
[泣きそうな表情を見せるゲルダが
ゼルギウスを疑っていたのは知らないから
感謝の言葉を彼女へと向ける]
さて、と。
……俺もそろそろ休ませて貰うよ。
お前さんらも疲れてるだろ?
早く休めよ。
[ミハエル、ゲルダ、クロエたちにそう声を掛けてから
疲れを見せる青年は部屋へと戻っていった**]
[水を取ってくるベッティに、行ってらっしゃいと声を掛けて。
自分も戻ろうかとしているうちにライヒアルトの言を聞けば、]
―――…本当にどうしようもないのかな
せめて、死者を弔うくらいの人情はあると想っていたのに
……駄目もとで聞いてみようかな
[休むらしき青年にはそう応えて。]
…おやすみなさいなのだよ
祈るなら僕の分まで祈ってて欲しい
[そう言って、自分も部屋に戻ろうと。
クロエがその場にいたのなら、共に行こうと誘いを掛けたか*]
─宿への帰途─
[大丈夫か、というゲルダの言葉>>26に返したのは曖昧な笑み。
今、ここで知った事実と言う名のカードをどう切るか。
巡るのは、何を生かし、何を切り捨てるか、という思考]
…………。
[道中交わされるやり取りには、口を出す事はしなかった。
今になって重く圧し掛かって来ている、呪に寄る疲労が主なものだが。
何より、自分の考えをまとめたかったから。
ゼルギウスが示したという力。
ユリアンから示唆されていた話の裏づけ。
自分の視点からすれば、ゼルギウスが全てを知っていた事は容易に繋がり。
手にしたカードから繋がるのは、もう一つの推測。
刹那、陰る蒼に気づいたのは、今は肩に居場所を移した蒼鷹のみ]
― 朝・宿屋/自室 ―
[ゼルギウスの弔いは其々密やかに。クロエが落ち込んでいる様子ならば彼女を気遣って部屋に行こうと促し、息をひそめながら自室で過ごした。疲れからか深い眠りに落ちてしまってたようで。]
もう、朝なんだ…
…こんなこと、何時まで続くのだろうね
[不安そうにしていれば何時も幼馴染に励まされてはきたが。それは一時的なものに過ぎず、この状況を耐えうる術でしかなく。]
――――…クロエ、起きてるかな
[もそりと寝台の上で身じろぎする。窓から見える朝焼けを見ながら寝台から降りることにして。]
―――…あのね、こんな時間にごめん…起きてる、かな
ちょっと話しておきたいことが、あって
[小さく控え目にノックをし、反応を待つが返事はかえらない。少し待っては見るが動いた気配は覗えず。ドアノブに手を掛ければ回る手ごたえに眸を瞬かせ]
あれ…若しかしていないの?
[其の時娘はまだ気がつかなかった。廊下に漂う以前の血の匂いで判別が付かなかったのだろう。、クロエの部屋からも鉄錆の予感を感じるまで時間が掛かってしまっていて。]
―――…、これって…
[想わず口許を覆うのは濃くなる血のにおいのせいだけではなく。変わり果てた姿で寝台に横たわる幼馴染の亡骸に、娘の呼気がとぎれとぎれとなり。]
クロ、エ………そんなの、って
嘘…こんなのって、ないよ…
お願いだよ、眼を開けて……
[ぼろぼろと涙を零し、もう手遅れだと解っていても。其れでも尚、娘はクロエの亡骸を揺さぶり続けていた。損なわれた心臓から零れる血が、娘の手指をとめどなく濡らしていく。]
や、だ…ぁ 厭、だよ…
おきて、よ……… クロエ
なん、で…………
[肩を震わせ、血まみれの敷布に涙が落ちて濃い染みを作る。クロエの、眠った様なその貌が苦悶に満ちていなかった事が、娘をそんな想いにさせていた。
すすり泣く声に気が付いた者はそのうち此方に遣ってくるだろうか。涙に濡れた貌を隠す事なく、娘は幼馴染の死を皆に伝えて。騒ぎに気が付いた自衛団の者がクロエの亡骸を連れていくのに対し連れて行かないでと縋るがそれは叶わずに。
部屋には血の跡だけが取り残された。何か想い詰めた表情で娘は、服越しに聖痕を薄くなぞりあげて*]
― 宿/食堂 ―
[長い間、憔悴しきった面持ちで俯いていたが、
ふと貌を上げ辺りの面々を見やり。]
… 皆に伝えたいことがあるのだよ。
構わない、かな?
[自分を含め6名となり、半数の命が喪われたと識る。
もう、時間も余裕も、ないのだ。]
―――…今まで隠してて御免ね
もっと早く明かしておくべきだったのかも知れない
[謝罪の後、娘は自ら纏う黒のワンピースの裾を摘まみたくし上げて。すらりと引きしまった白い右腿が露わとなる。
―――そこには、自衛団長と同じ銀の刻印――聖痕と呼ばれる証が鈍い煌めきを宿していた。]
[皆に聖痕を晒しながら、背筋が冷えて行くのが解る。聖痕は人狼を甘く誘う―――毒(poison)のようなものだとも娘は聞かされていた。
クロエが殺されてしまった今、この中に人狼はまだ居るのだ。自衛団長達の亡骸が脳裏を掠めながらも、ややしてスカート裾を指先から離した。]
僕はもう、逃げも隠れもしないのだよ
―――…僕は此処に居る
叶うならば、僕は……お話がしたい
[誰が、とは云わなかった。もし聖痕の事を尋ねられれば応える心算か其々の貌を見渡し。ややして部屋に戻るよと伝え、娘は自室へと向かった。*]
―前日/宿屋・自室―
……さっすがに、きっついなぁ、これ。
[ふらつきながら自室に戻り、ベッドの上で壁に寄りかかりつつ、小さく呟く。
きついのは状況だけではなく。
自分の身体]
……今の状態で視れるのは、あと一回が限度、か。
なら、確かめておくべき、だよな。
[帰途につくまでに得た情報から、推測はついているが。
それでも、と思うのは、自分の甘さなのだろう。
苦笑が滲む。
その笑みに、蒼鷹が物問いたげな視線を向けるのに、なんでもねぇよ、と返し。
受け取ったきり、飲まずにいたワインの封を切った。
酔いに任せて何かするには、酒に慣れすぎてはいるけれど。
その時は、眠りを呼び込む助けとなってくれたようだった]
―宿屋・自室―
[翌朝。目覚めの時間は、いつもと変わらず。
けれど、身体には気だるさが残る]
……バテてんなぁ……。
[浮かぶのは、自嘲の笑み。
それでも、机の上に瑠璃のダイスを並べ紅を落として、呪を紡ぎ――]
……やっぱり、か。
[灯る黒光。
かちり、と。パズルのピースがはまる感覚]
……ま、ふつーに考えりゃ、ねぇもんな。
こんな状況で、身重の女が放置されてるとか。
[ずっと引っかかっていた疑問が解ける。
知り得るカードは、恐らくこれで、全て。
ならば、これをどう切るか。
どう使えば]
……あいつら、死なせずに、済むかね。
[自分の命は、既にAll-In――全額賭けに注ぎ込んだ。
だから、それを惜しむ気はない。
問題は、賭けに如何にして勝つか。
生きて勝つ、は生かして勝つ、に。
死んで負ける、は死なせて負ける、に。
自分の中では置き換わって]
……とりあえず、まずはライと。
話の仕切り直し、だな。
[小さく呟き、蒼鷹を連れて二階へと上がり]
……あれ、あそこって……。
[目に入ったのは、不自然に開いた扉。
蒼鷹が落ち着きなく羽ばたく。
嫌な予感に足早にそちらへ向かい、そして]
……クロエっ!?
[目に入ったものに、言葉を失う。
蒼鷹が甲高い声で、鳴いた]
……ゲルダ……。
[蒼鷹は、命を失したクロエの傍へ。
起きて、と訴えるよになくのを聞きつつ、泣き濡れるゲルダの頭をぽふり、と撫でて]
……これ、答え、って受け取っていいのかね……。
[掠れた呟きをもらした後、部屋を出る。
ベッティやミハエルが来ているなら、ゲルダの事を頼み。
食堂でのゲルダの宣の後にか先にか。
いずれにせよ、ライヒアルトの姿を見たなら、一言]
……話。
まだ、終わってねぇからな。
[短く、それだけを告げて。
蒼鷹と共に向かうのは、道連れを喪った馬の所**]
─昨夜/宿屋・食堂─
[言葉を失ったまま、ライヒアルトの報告を聞く。
戻って来た時には手遅れで、遺体も自衛団に運ばれたと聞くと、軽く俯いて唇を噛んだ]
───容疑者だから、か。
イレーネの気が済むまで傍に置いても良いだろうに。
[非情とも言える自衛団の対応にそんな言葉が漏れる。
早く休めと言われると、応じる頷きを返して。
ライヒアルトが部屋へと戻るのを見送る]
─ →昨夜/宿屋自室─
[各々部屋に戻る様子に続き、自分も部屋へと戻り。
休む前に考えを巡らす]
……ゼルギウス、君は僕に嘘をついて居たのか…?
それとも、僕は君を信じていて良いのか…?
[揺らいだゼルギウスへの信頼。
もう一人見出す者が居ると言う確信は無かったが、ゲルダが言い出したことであるため本当に居るように思えて。
上着の内ポケットから取り出したパペットごと膝を抱える]
僕とユリアンについては本当のことを言っていた。
ライヒアルトは──分からない。
本当のことを言ったのかもしれないし、嘘をついたのかも、しれない。
……僕の取るべき途……考えなきゃ。
[今まで起きたことを思い返して整理し、自分の中の「順番」も組み直す。
そうしている間に、いつしか深い眠りへとついていた]
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