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―クローディアの部屋―
ふぅん・・・これは相当の使い手だなぁ。彼女が抵抗した跡も無さそうだ。
二発だから自殺、な訳はないし。何より僕の「耳」が防音加工であれ銃声を逃す筈は無いんだけど・・・一体、どうやって?
それもわざわざドールまで消すとは・・・まぁ証人の排除、と考えればごく自然か。
・・・此れだけじゃ証拠は掴めないか。ある程度の憶測は立つけれど・・・
[しばし死臭の漂う部屋の中で口に手を当てて考えるも]
・・・ダメだ。流石にそう上手くはいかないなぁ。
じゃあおやすみ、クローディア。
[それだけ言い残し、ドアを閉じる。そしてそのまま自室へと向かう]
[部屋で目を覚ます。まだ3時間程度しか経っていない。]
[この騒ぎが起きて以降ほとんど眠っていないが、いつ寝首をかかれるか知れない以上、熟睡など出来よう筈がない。]
[厨房に連絡し、適当な食事を頼むと、眠っている間に来た部下からの報告に目を通す。]
…やはり、か。
[部下の行動に制限がかかり始めたらしい。騒ぎの起こりからこうなる事は予想していた。むしろ遅い・漸くかと思ったくらいだが、裏切り者がいる事がはっきりするのを待っていたのかも知れない。]
─客室─
[自室となった客室に戻り、はあ、と一つ息を吐く。
感じる軽い目眩を振り払うように、首を軽く振って。
部屋に控えていたアイリスに、帽子とコートとマフラーを預けて、シャワーを浴びるべくバスルームへと向かう]
に、しても、なあ……まったく……冗談になってない……。
[勢い良く出したシャワーの勢いに紛れさせるように、ぽつりと呟く]
……トキノカミの過去視は……Chronosの力は、オレに偽りは見せない。
それは、オレ自身が一番理解してる……しちゃ、いるけどな。
なんだって、あの御方が?
いや……それならそれで……納得いく部分もなくはない……が。
[呟きは、水の流れる音に紛れて、それと共に消えていく]
……なんにせよ、問題は。
今の状況でそう告げて、果たしてどうなるか。
……読めないねぇ……動き難いっちゃねぇ。
[なすべき事、その結論は一つだが、しかし。
少なくとも、それだけでは終わらない、とわかっている以上、先まで読まねば、という意識が働いて]
さあて……どうするか。
[いつになく真剣な呟きは、水と共に流れて、消える]
ま、取りあえず、と。
[軽く言いつつ、水流を止めて]
……消耗した分は、補わないとなんないか。
何があってもいいように、ね。
[いつも通りの軽い口調で言いつつ、部屋へと戻り]
……あの、さ?
また、もらっても、いいかな?
[濡れた髪を乾かすより先に、アイリスに投げるのは悪戯っぽい笑みと問い。
指先は既に、脈打つ部分に添えられて。
……肯定の返事を得れば、にっこりと、本当に嬉しげな笑みが掠めるか]
―自室―
[ベッドに座り、時計を見ると、丁度夕方に差し掛かろうとしている時刻。さして眠気もないが、なんとなくベッドに横になる。]
ふぅ・・・
[突然の全員召集。このような状況も勿論予想はしていた。それでもこのような状態は、若干11歳の子供が耐えるには少々荷が重過ぎる。そして昨日見た悪夢。根拠はごく薄い物ではあるが、今まで何の躊躇いも無く人を殺めてきた少年の心にも、若干の揺らぎが生じていた。
その様な揺らぎを明るみにすれば、次に狩られるのは間違い無く自分であろう。分かっては居ても抑えきれない焦燥感と不安。それらを纏めて吐き出すように、仰向けになり、自分自身の手を枕に呟く。]
・・・困ったなぁ。
[携帯を開き、メッセージをチェックする。送られてきたのは、作戦中止の伝達。
ふぅ、と一つ溜め息をつき、「了解」とだけ返信を返しておく。]
アレを中止してまでこちらを優先するとは・・・
『もし仮に、裏切り者を見つけ出し、殺したとしても。僕達は元に戻ることは出来ないだろう。
もし仮に、ここで裏切り者が僕等全員を殺したとしても。ボス側は何らかの手筈を打ってくる筈。
つまり、もう僕は・・・用済み、という事だろうか?そして恐らく。ボスは既に「替え玉」を用意しているだろう。
僕達に匹敵する・・・いや、それ以上の上質な「替え玉」を。そうなれば僕等に残された道は・・・』
[ふぅ、と一つ大きな溜め息。]
どちらに付いても辿る道は同じ・・・か?
だが僕は・・・
―客室:シャワールーム―
[柔らかな湯煙の中、細い体が起き上がる。
白いタイルの上に、白い体。
今は閉じられた目蓋の下に紅は隠れる。
銀の髪、銀の鎖。
胸に咲いた紅の花が、シャワーの湯を弾いた。
熱い体を押し隠す様に、一度水を浴びると、手早く体を拭って服を着込む。
昨夜した行為の加減は、矢張り今まで影響して居る。体が高ぶって、仕方が無かった。
――兇したい。
思うと同時に、ぞわりと、二つの手が波打った。]
流石に此処のは手が折れる。
其れにメイドも兇しては、余り望ましくは無いだろうね。
[11星を考え、呟く。]
此の欲を抑えるには、確かに良かろうが……厄介過ぎる事を更に厄介にしてもね。
取り敢えず――真実に外に出られないのか、確かめるか。
―部屋→エレベーター前―
[円卓に着く。もはや会議を解散した以上、ここに来る意味は無いが、部屋にこもるよりは十二宮の様子を]
観察しやすい。
[あえて口に出す。]
[エレベーターのボタンを押す。
然し其れは拒絶の意を。
クローディアの云っていたと云う言葉を思い出し]
嗚呼、其う云えば蛇のカードは如何成ったのか。
兇されたと云うならば、もう其処には無いのだろうが
其れに。
一度、見て置くのも悪くないか。
[手向けの花でも用意しようかと、メイドに聲を掛け]
其うだね、柘榴でも用意して遣って貰えるか?
アハッ、良い事だと思うけどね。
紅一点とも云うし――僕はあれが好きだしね。
それじゃあ、宜しく頼んだよ
[くすくすと哂いながら、向かう先は彼女の部屋。場所を聞いて向かった先に、聞いた状況が在った。]
[クローディアの部屋の中、騒ぎを聞きつけたのかフラリと現れて]
…死んじゃったかあ。
…死んじゃったねえ。
…自分がこうなることは星詠みで判らなかったかい?
…それとも、こうなることを知っていたのかい?
[死体を見下ろしポツポツと呟いて]
それにしても無粋な奴も居たもんだね。
女性の顔に傷をつけるなんてねぇ。
[袖口からふわりと紙が一枚舞って彼女の顔の銃創を覆う]
…それにしても銃ねえ。
屠る術を知らせぬ為か、或いは是が適していたか。
ま、いずれにせよ、ここから糸を手繰らせるような間抜けな真似はしてないだろなあ。
[数秒目を閉じたのは、情報を整理する為か、或いは祈りか]
さて、彼女は柘榴の何を用意するだろうね。
花かな、木かな。
アハッ、如何でも良いか。
[部屋の中に足を踏み入れる。空気に触れた紅は変色していた。其処に倒れる蛇の姿と、もう一人。
命を失った物は其れだけ。
そして其の中に居たもう一人の姿]
やァ、双児の。
お前も手向けを?
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