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[エーリッヒの言葉にふと気になるものを感じて問いかける]
…痕、が?
…聖痕を持つものが邪魔……って、その痕があったからベアトリーチェが…?
[「俺から」と言う言葉に以前聴いた事を思い出す]
……残される、って……
[だけどそれは憶測で、それ以上問う事は出来ず]
―二階・個室―
[身体の熱も、傷の痛みも、忘れて]
[揺らめく焔に][聞こえる声に][酔い痴れる]
[くすくすと、わらうわらう]
……ああ。
アーベル、ベアトリーチェ……
[朱く蒼く燃える][魂の名を呼んで]
[ベアトリーチェに縋り笑うブリジットを離そうとしたけれど、いやいやをするように強い力で縋っていて]
[ブリジットの服もその血で少し汚れているけれど、それは気にせずに]
[そっと、ブリジットの髪をなでる。
それしかしてあげられる事がなくて]
『聖痕』を持つ者は人間……それが、『決まり事』らしい。
その『決まり事』があるから……人狼は、特にそれを厭う事もある……。
以前……同じような騒ぎに巻き込まれた時、そう、聞いた。
……それだけが理由なのかどうかは知らない。
でも、それだけが理由なら。
[言葉を途切れさせ、きつく、唇を噛む。
……力が入りすぎたのか。つ、と、紅い色が滲んだ。
それに気づかず、ふ、と息を吐いて]
ほっといたっていつまで生きられるかわからない俺よりも、未来のある方が生きるべきだろ……なのに、なんで……。
………ぅ、あ……?
[頭を強く振り、再び窓の外を見遣る。
複数の人の姿。悲痛な声は、此処まで聞こえて来るようで]
…また……………
[息を吐いて、ランプを置く]
[身体は気怠さを訴えていたが、手早く上着を纏って、扉を開ける]
……同じような事が、あったの?
[確かに、人に紛れると言う人狼には確実に人と証明できるそれは邪魔なのかも知れない。
だけど]
それだけの理由、で……?
そうね…ベアトリーチェはまだ子供だった…まだこれからいくらでも楽しい事はあったのに…
でも、だからと言って、あなたが先に行っていい理由にはならない……
誰にも死んで欲しくないわ……そうでしょう?死んで良い人なんていないのよ?
ああ……かれこれ、四年位前、かな。
まさか、また……しかも、生まれ故郷ででくわすなんて……思いたく、なかったけどな。
[小さく、ため息をついて]
それだけなのか他に理由があるかは、それこそ、当事者に聞くしかねぇだろうな……。
[答えてくれるなら、だが、と付け加え。
それから、静かな問いかけの返答に困って、しばし沈黙する]
俺は、元々死んでたはずだったから……ってのは、理由になんないかな……。
確かに、誰にも死んでほしくない……だけど。
誰かが死ななきゃならないなら、俺がって、そう思ってるだけ。
……まあ、確実に殴られそうな考えだけど。
…そうだったの…
[エーリッヒの告白にそれしか言えず。
当事者に、と言う呟きには溜息を吐いて]
答えてはくれないでしょうね……
元々?どうして…
[そういえば体が弱いのだったと思い出し]
誰かの代わり、って言うのは…どうかしら?
あなたにも悲しむ人がいるでしょう?
殴るのは…そうね、オトフリート辺りならやりそうだけど。
[そしてその後しっかりお説教するに違いない、と]
[ふとブリジットとベアトリーチェを見て。
知らず、口をつく鎮魂の歌。
去った物が迷わぬよう、願いを篭めて]
The angels bow down at the thought of You
The darkness brings way to the light for You
The price that you paid gives us life brand new
What's his name? Hosanna forever we worship You Say it again
For you are the joy that my soul longs for
The lamb that was slain for my sins and the One I adore
King of kings, Ruler of everything
What's his name? Hosanna forever we worship You Say it one more time!
For your patience and kindness
And favor and mercy
And honor and glory
Because you are worthy
We can't live without You……
答えてくれるなら……。
[続く言葉は、途切れた。ほんの一瞬、どこか、遠くへ視線を向けて]
まあ……色々と、ね。
俺が死んだら……確かに……色々と、悲しませる事になるだろうけど。
[それでも、と呟いて、右肩を左手で撫でる。
オトフリート辺りなら、という言葉は信憑性『しかなくて』、ただ、苦笑するしかできなかった]
―二階・廊下―
[倒れるのが流行っているのだろうか――と、他人事のような呑気な考えが浮かぶ]
……ユリアン?
[近付いて、頬を軽く叩く。
誰かを呼ぼうにも、皆、下に掛りきりだろうか]
ん……、と。
[担ぎ上げる事は流石に出来ないだろうから、彼の身体の下に自分の腕を差込んで上体を起こさせ、ようとして。
予想外に重い。体力が落ちている所為もあるだろうが]
[苦笑するエーリッヒにほんの少し笑って]
死んだら殴っても貰えないわよ?
[そういって、もう一度ベアトリーチェを見て]
彼女…埋葬してあげないと…このままじゃ可哀想だわ。
それにブリジットも心配…このままじゃ風邪を引いてしまうもの。
…勿論あなたもよ、エーリッヒ。
いつまでも立ち話じゃまた倒れてしまうかも知れないわ。
[そのせいで自分までお説教されては、とは暗に思うだけで]
[殴ってもらえない、という言葉には、苦笑。
それから、埋葬しなくては、という言葉には頷いて]
ああ。そういや、埋葬するつもりで、人手呼びに行こうとしてたんだっけ、俺。
それに、ブリジットも。落ち着かせて、休ませないといけない……。
[亡骸を抱きしめる少女見やり、ふと、表情を陰らせる。
陽のひかりと呼んでいた一人が生命を落とし、錯乱する少女。
もし、自分も命を落としたら、完全に壊れてしまうのだろうか……ふと、そんな疑問が過ぎり]
……そう、だな。
これで俺が体調崩したら……壊さなくていいものまで、壊すかも知れない……。
[休ませなければ、との言葉には頷いて、そっとブリジットの髪を撫でる]
何を知っているのかしらね、ブリジットは。
[ベアトリーチェに、エーリッヒに言っていた言葉…]
陽のひかり…陰る事はあっても絶えてはいけない物…
一つのひかりは絶えてしまった…だからもう一つは…途絶えてはいけないわ。
そうでしょう?
[そう小さく呟いて、ブリジットを集会場に連れて行こうと、そっと手を取って]
何を知ってるかは、わからないけど……。
壊れてほしくは、ないかな。
[小さく、呟いて。
静かな問いかけに、一つ、頷く]
ああ……陰らない、壊れないって、約束したし。
……はは、思わぬ所から、自棄になれなくなってるな、俺。
………さあ……
外……見て、いたら…音が聞こえて………
[ああ、でも、と昨日の居間での事を思い出す。
あの時も、体調が悪そうだった――ような]
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