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俺が知ってたことは案外に少ないよ。
だから――…、
[知りたくなったと口にはしない。
好きの言葉にリップサービスでも返ってきていたなら別だろうが]
そういうふうに、きちんと、さん付けしない辺り、なんと言うか。
[呟いたところで、ユリアンの声。
応答はせず、扉を見た]
…こりゃお二人さん。お揃いで、逢引にしちゃ物騒な場所なわけだったり、ダーヴィッドさんが女性を泣かせてるのかとも思うわけだったり、ちょぉっとゲルダさん血に汚れすぎてて不快じゃない?って思うわけだが
[さらさらと流れるように軽く冗談を口のようにするのは]
…やっぱ視えたってことは…そういうわけだよなぁ
[ロミルダの遺体に目を落として嘆息する]
[扉を開いた先。
最初に目に入ったのは、妙に見慣れてしまった感のある──あかい、いろ]
……ロミっ子。
[予め、わかっていた事、だけれど。
目にする事で現実感が増し、それがつきり、と頭痛を招いた]
……で、これ。
どういう、状況な……わけ?
[その痛みを振り払うよに数度、頭を振ってから。
低い声で、室内の者へと問いかけた]
逢引……
なら、良かったんでしょうね。
[ゼルギウスの言葉に、弱く、笑って見せた]
見ての通り、って言っても。
ビュルスさんには見えないんですよね。
ああ、ある意味では……見えて、いるのかな。
[伏せた眼。
視線は地面へと落ちた]
私が、ロミルダちゃんを、……食べた。
そういうこと、です。
…三人とも、か。
もうこれで、全員、とも言えるけど。
[ゼルギウスの軽口に取り合うことはせず、ただ軽く俯いて]
俺から言えることは少ないよ。
ロミちゃんが、オオカミさんに…ってことくらいかな。
[雑多な感情を堪えられぬ、そんな表情で涙を浮かべるゲルダを見る]
[部屋の中、そこには生ある者が二人。
それはゼルギウスの言葉で知れた。
そしてゲルダが血濡れであることを知る]
───ど、っち?
[小さく問うたのは一言。
光持たぬカルメンの瞳にゲルダの涙は映らない。
それに重なるようにしてか、ゲルダの声が耳に届いた]
…ゲーダ、が、ローミュ、を。
じゃあ、ゲーダ、が、じんろー。
[左手で左眼を押さえる。
痛みが強くなって来た。
頭の中で、殺せ殺せ、と騒ぐ声がする]
いや、むしろ…この子の安全が欲しければ…とかいってダーヴィッドさんが迫ったとか?
…と、まあその辺りはこの辺にしとくか
[取り合わないダーヴィッドには気にせず反応をしたゲルダに答え
なんだか雰囲気が色々台無しになってるかどうかは知らないが]
…食べたね…一つ聞きたいことあんだが…なんで?
[それはロミを殺したということよりも、ハインリヒを引き渡せば解放させてもらうように交渉したのに。というニュアンスをもって聞く]
[返される端的な答え。
額に、押さえるように手を当てて、ぐしゃり、と前髪をかき上げた]
……随分、あっさり言うんだな。
[声は低いまま。
状況にざわめく『護り手』としての意思は、しばし、押さえようと試みる]
それなら、もっと体のいい人質があるかと。
[ゼルギウスの軽口と聞こえる言葉に、寝台の上の赤子を一瞥した]
出来れば、こんなところから離してあげて欲しいです、ね。
……そうするつもりでした。
[ゼルギウスの疑問には、沈痛な面持ちになる]
先生を喰らった、アイツを、殺して。
自衛団に差し出して。
それで、おしまい。
そうしたら、もう、誰も死なずに――喰らわずに、済む。
そう思った。
[一時止まっていた涙が、また一粒零れ落ちた]
でも、……言うんです。
誰かが。
――「喰らえ」って。
[演技としては、真に迫ったもの。
嘘と真実を巧妙に入り混ぜて、僅かに震える声で語る。
手の甲で涙を拭い、鼻を鳴らした]
この状況で、「やっていない」なんて、通ると思います?
それに。
そんな言い訳する気あったら、さっさと逃げてます。
……ロミルダちゃん、このままにしていけないでしょう。
ま、確かに、ここは空気が悪い。こんな子がいちゃならんよな
[赤子を一瞥する人狼のその言葉には頷き、疑問に答える言葉を聞く]
誰かって誰かはこの際置いといて、そういうことにしといておくか
[「喰らえ」という言葉について、わからないものはわからんと切り捨てるようにいう]
で、だから殺しちゃったのか。
ってことは自衛団長の辺りからもそんなところなのかね?
こんな閉鎖空間で殺人するなんて人狼って自殺願望があるのか?とまで思ったぐらいだもんな
[目の前の沈痛な面持ちで涙をこぼすゲルダよりも。だ、己の湧いていた不振な思いを確認するように頷く]
[額から手を放して、ゆっくり下ろし。
それから、きつく握り締める。
蒼は、何かを見定めようとするかのように、真っ直ぐにゲルダを見る。
微妙に、引っかかるものがあるのは、気のせいか、とか。
そんな思考も、ちらほらとあるのだけれど]
そりゃ、この状況でやってない、なんて言ったら逆に問答無用な気もすっけど。
……今までは全部ほっぽってったのに、ロミっ子だけ別格なのかよ。
[ゲルダの紡ぐ言葉を静かに聞く。
声でしか判別出来ぬカルメンだが、そこにも演技を織り交ぜられてしまうと、それが偽りであると見抜くのは難しい。
弁明をしないゲルダ。
自分の意志では無いと言う言葉に、一つ問いかけた]
…ゲーダ、これいじょう、ひと、おそいたくは、ない?
[この子の安全が――…、とは言おうと思わなかったわけでもない。
それは別の想定だったけれど、図星を刺されたようで。
べ、と、軽くゼルギウスに向かって舌を出す]
…。
[それでも眼差しは三人の反応に注がれて。
ひたすらに沈黙を守る]
――そもそも。
私、ここに来るまで、自分が人狼だなんて知りませんでしたから。
最初の漁師だって、アイツがやったこと。
[ゼルギウスに答えるその一瞬は、心底、憎憎しげな目になった]
放って置きたかったとお思いで。
私が。
……何より、エリ先生を。
[低い声。悲愴感に満ちたとは、別のもの]
言ったでしょう。
終わらせたかった。
アイツを、殺して。
それまでは、逃げるしかなかった。
今度こそは、耐えようと思った。
[軽く舌を出したダーヴィッドをみて、こいつもしかして本当に…なんて少しだけ誤解しつつ]
む?…ダーヴィッドさんは何か聞くことやら。感想はないんかな?
[ロミルダが人狼にやられたというのが持ってる情報のようだったよな?と思いつつ聞く]
[低い声に、緩く瞬く。
エーリッヒに関する物言いに嘘がないのは、名だたる鈍感でも知れるわけで]
……んでも、結果として、耐えられなかった、と。
[つき。
話している間にも、痛みは止まらない。
『役割』に殉じる事を求める痛みは]
……っつーか。
場、って、なんだよ。
人狼って、いつのまにかそうか違うかわかるものなのかね…?
[ゲルダの言葉に、ふと思ったこというように。まあわからないわけだが、少なくとも漁師を殺したという言葉はそうなのだろう。
縄張り争いとか…違うか。などと思考がそれつつ、一つ一つ話を聞いて]
[頷くゲルダは見えなかったけれど。
声は本当に望んでいるもののように聞こえた。
けれど何者かが急かすような声が聞こえると言うことは、カルメンも同じ。
だからこそ望みが事実だと捉えたか]
…そっか。
ここに、いる、かぎり、おそうって、しまう。
ゲーダ、もう、おそう、いや。
なら、しゅだん、ひとつ、だけ。
[それは屁理屈にも近かったけれど。
取れる手段はたった一つだけ。
カルメンは既にそれを行う覚悟が出来ている]
[ゼルギウスに誤解されているとは、知らず。
ただ、問われたことを答えるために眼差しを向ける]
俺は…先にゲルダちゃんと。
話、したから…。
[強張ったような声を作り、嘘ではない程度の言葉を]
…だから、ずっと。考えてるだけだよ。
どうしたらいいのか、さ。
ふむふむ…そいじゃ、もう一つだけ。………言い遺すことは?
[とゲルダに無情なほどにあっさりと告げる。それはこれから行うことを暗示させるもので]
番外としちゃあ、ロミちゃんをハインリヒさんが殺したってことにして、解放されるまで待つっていうのもあるが、「喰らえ」って声はあんたの意志じゃないしろ。逆らえなかったってことだろ?
[ことの真贋など知らず、演技であるか否か。考えるでもない…いや、涙は胡散臭く感じたが、ただ与えられた情報からのことを口にするだけで]
ってか「場」って…俺いい加減わけわからなくなりそ
[なんだか違うところで愚痴った]
私に聞かれても、わかりません。
此処に来て、「声」――声ではない、何かが聞こえて。
お前は人狼だと言われた。
それだけの話。
[抱えていたロミルダを、ゆっくりと、横に寝かせる。
疑問に答えた後は、カルメンの言葉に顔を向けて]
――一つだけ?
[続きを促すように、問う]
アイツ、って、ハインさん?
[ふと過ぎるのは、いつか聞いた御伽噺]
場を壊す……条件を、崩すために。
喰らった?
[一つひとつ、自分の中で考えをまとめていた矢先。
聞こえた、カルメンの声に蒼をそちらへむけた]
エーヒュ……って、あのにーさんか。
人狼を、救う……。
[唐突な言葉に、瞬く。
話はぼんやりとしか聞いていなかったけれど。
言わんとする所に、察しはついていた]
[ユリアンとゼルギウスの後ろから、一歩、また一歩と歩を進める。
歩む先はゲルダが居る場所。
広がる真紅を踏み、声で判別した方向へと歩み進めた]
うん、ひとつ、だけ。
[問いにはその一言を返す。
そうして歩み寄ったゲルダの前。
しゃがみ込んで、ゲルダの顔に手を伸ばした]
へぇ…なのに黙ってたんだ
[ダーヴィッドさんのこわばった声に胡散臭そうな目で見る]
どうしたらって…半分は人だから?ってことか?それとも他に何か?
[昨日からのことを思い出すように重ねて問う]
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