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――Midnight with the stars and you
Midnight at a rendezvous――
[人の良い老夫婦の営む小さな農場]
[長い髪を後ろで纏め、袖を捲り、くすんだ色のエプロンをつけて]
――Your arms held a message tender
Saying I surrender all my love to you――
[小さな声で歌を紡ぎながら、慣れた手つきで袋の中身を容器に移し替える。さらさらと音をたてて流れるのは、小さな穀物の粒の様だった]
よ…っと。
[重みのあるそれを持ち上げ、慎重に運ぶ]
[今日は祭りで忙しい農場主に代わり、家を空ける間の動物の世話を頼まれていた]
[不用心な気もしなくはないが、それだけ信頼されていると思えば悪い気はしない。何より生活費の為でもある]
[容器をあけると、鶏たちが我先にと群がり餌を突つく。これが終われば仕事も一段落、といったところだった]
[暫く眺めた後、外に出る。農場は殆どが雪や水溜まりで覆われていて、長靴越しでも地面の冷たさが伝わる様だった]
[祭りで賑わう大通りとは違って、此処には何時もの静けさがある。その横に伸びる道を真っ直ぐに行けば、村の入口が見える筈]
[と]
…――ッ
[くらり]
[一瞬視界が霞む]
[まるでそれ以上其方のほうを見ることを拒む様な]
[如何してそんな事を思ったのかは分からないけれど]
[再び顔を上げた時には、視界は正常を取り戻していた]
…
[きっと疲れているのだろう。今日は働き詰めだし――何より昨日は祭りの始まりの日だった]
少し、休みましょうか…
[台所を借りて、お茶でも淹れて]
[考えながら、家の中へと*入って*]
[子供は、目を覚ました。
明け方、太陽、上る頃。
すてきな舞姫は窓から眺めた。
綺麗だったから嬉しかった。
ううん、それよりもっと嬉しいことを
子供は思う。綻ぶ。]
お祭りは楽しい。
楽しいは幸せ。
あまいものも、嬉しいことも、いっぱい。
[それから子供はふと気づく。
どうして今までと違うんだろう。
お祭りだから、かわったのかな?
ううん、それはおかしい。
子供は首を傾げた。]
去年もいたのに・・・
[でも、子供は子供。
嬉しいことだからいいやと笑う。]
[子供はとことこ、村の外れに。
いつもの木の実をとりにいった。
はず。]
・・・?
[でもなんだか、同じところをくるくる回る。]
困ったなぁ。
[小さな声で、呟いた。
いつもと同じ道を、
*すすんでいるはずなのに*]
[自身で思っていたよりも疲れていたのか、それとも……他に要因があったのか。
いささか寝過ごしてしまい、飛び起きたのは太陽が真上にかかろうとする頃。]
すみません…でした……。
[恐縮しまくって先輩に頭を下げるも、起こさなくていいと言われていたとの事で。更に頭が下がったのは言うまでもなく。]
[主親子が散歩に出掛けるのを見送って。
寝坊した分まで張り切って、別荘中を駆け回る。
ぱたぱた。ぱたた。
両手に抱えた真っ白なリネンが、花弁のようにひらひら揺れる。]
[少女は、見慣れぬ部屋で目を覚ました。いつもより高い天井、少し広いベッド。森の中とは違う空気。しばらく首を傾げて、ああそうだったと思い出す。今日から祭りが終わるまで、街の宿屋に泊まっておいでと祖父に言われたのだ。毎夜人の数倍の時間をかけて夜道を行き来する孫娘を心配しての配慮だった]
明日になったら、おじいちゃんに何かお菓子を買っていこう。
[お下げを編み直しながら、少女は呟く。森番の仕事に祭りの休暇は無く、祖父が会場にやってくることはない。けれど、土産話をしながら一緒にお茶を飲めば、きっと喜んでくれるだろう。けれど、それは明日の話。今日は1日、祭りを楽しむつもりだった]
[つやつやとした赤い髪を念入りに編んで、少女は鏡を覗き込む]
がんばるのよミリィ、今日こそきっと。
[鏡の中の少女は、僅かに頬を染めている。スカートについた大きなポケットの中には、街でベビーシッターのアルバイトをして貯めた少女の全財産を入れた財布が入っている。どうしても、このお金で買いたいものが、少女にはあった]
……戻ろう。
[子供は、遂に諦めた。
諦めたから、踵を返した。
踵を返したら、なんと迷路を脱出した。]
……なんだろう、これ。
[少し首を傾げて、酒場へ向かうことにした。
出られない理由なんて、まったく浮かばなかった。]
あら?
こんにちは、椋鳥さん、こんなに寒いのに餌を探しに来たの?
そうだ、クッキーがあるわ。食べる?
[真っすぐ祭りの広場に着くのは、やはり少女には*無理らしい*]
─工房前─
[日々、賑やかさを増す通りの一画。
そこに、広場の楽団の奏でるものとはまた違った音色が響いている。
音の源は、宝石工房の前。
ランプの灯りに煌めく細工の並んだ台のすぐ隣。
木箱の上に腰掛けた青年が紡ぐ、オカリナの音色が澄んだ空気に響いて行く]
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