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─教会─
[距離は手を伸ばして届くか届かないか]
[立ち上がっても遥かに低い友人を見下ろし]
[承諾に感謝するように口端を持ち上げた]
まどろっこしいのは嫌いなんでな。
単刀直入に聞く。
──お前だろう、失踪事件の犯人は。
[訝しげな顔をするのもお構いなしに]
[探りを入れることなく言い放った]
血筋……なんじゃない?
[笑う気配に、返す言葉は軽口めいたもの]
あは……避けてたのは、お互い様、だけど。
[振り返った翠。
真っ直ぐ見れなくなったのは、いつからだっけ、とふと考えつつ。
決意を秘めた蒼に、姉を映して]
ん。
もう、後悔、積み重ねないって。決めたから。
[返される微笑と提案にんー、と考えていたが]
……そうですね、じゃあお願いしようかな
といっても、ハンスさんも知ってる人物なんですが
……アーベルくん、何処にいるか知りませんか?
[にっこりと満面の笑みを浮かべ、消息を問う]
良い返事ね?
[腰に片手を当てる]
さっきも言ったけど、ちゃんと食べてからね。
お腹がすいて一歩及ばない、なんて馬鹿馬鹿しいにも程があるでしょ。
[それで話は終わりとばかり、片付けを再開する。
が、ふと何かに気づいたように再度視線を向けて]
終わったら色々と洗いざらい聞くから。
[宣告した。]
…。
[単刀直入過ぎる言葉を受け、小さく見開いた眼の中に、僅かに動揺が混じる。
けれど次には目を伏せ、息を吐いた]
…なんだい、それは。
こんな時にそういう冗談は、流石に笑えないよ。
それは、わかってるってば。
[食べてから、という言葉に、素直に食事を始め。
直後の宣告に、ぴしり、と音入りで固まった]
……洗いざらい、って。
[どこからどこまでをさすのか、とか。
ちょっとだけ気になりつつも。
その時までは、考えない事にした。
怖いから]
―大通り―
アーベル?
俺は今日はまだ会っていませんね。
家にいるか練習場……には居られないかな。
普段から閉じこもっていられない方だ。
[言葉の後半は苦笑混じりとなった]
[近くの顔見知りに聞くがまだ見かけていないとの返事]
彼に何か用事でもあるんですか。
[特に深く考えてではなく問いかけた]
─教会─
[隻眸は友人の動きを見つめ続ける]
[動きの全てを見落とさぬために]
[故に瞳に宿った動揺も捉えていた]
こんな時だからこそ。
この俺が冗談を言うと思うか?
…それに俺は『見た』んだ。
お前が人を消す様を。
[正確には記憶を『視た』のではあるが]
[結果的に嘘はついていない]
…何で、お前がんなことしてんだ。
金のためか、それとも何か脅されてるのか。
──……何でお前なんだよ。
[声色は感情が籠らず平坦だった]
[けれど最後だけは、信じられぬとでも言うような音が混じる]
大丈夫よ。
素直に生きていれば、怖い事はないわ?
[裏を返せば、という台詞は置いておくとして。
弟の食事の合間に洗い物や簡単な掃除を終わらせて、
普段と変わらない、ラフな服装に髪を結った姿で戻って来る]
アンハルトさんのところに行くのよね。
……私がついていってもいざというときには足手まといだろうし。
それに、自衛団にも寄りたいから、別行動がいいのかな。
[首を傾げつつの台詞]
……素直に、ね。
[裏側は、考えないようにしつつ。
行く先を確かめる言葉に、一つ、頷いた]
うん、そうなる。
……足手まといっていうか……何かあったら、直接『呼ばれる』だろうから。
そうすると、屋根上走ってく事になるだろうし……そうなると、きついでしょ?
[屋根上を走れるのは、長年の慣れと、風の制御故の事だから、そう言って。
自衛団、という言葉に、きょとり、と瞬いた]
―教会―
…。
[団長と少女の2人に関しては、彼は後始末をしただけだ。
けれどそれ以前には直接手を下したこともある。
何より『消す』という表現が、確かにそれを見たのだということを裏付けるように思えた。
俯いたままで、拳を握り締める]
…そうかい。
[小さく呟く声は抑揚のないもの。
足元から伸びる影が、ぞわりと蠢いた]
そうですか、見てないですかー
[残念そうにそう呟く
続いて投げかけられた質問には、んー、と考えていたが]
ちょっと聞きたいことがあって
[ひどく端的に答えた]
きついっていうか無理よ。
姉さんの歳、考えなさい。
[何故だか威張りさえして言う。
それはともかくと、きょとりとした顔に手を振って]
あの後、どうしたのか、聞いてないもの。
泣き寝入りは性に合わないし。
それに、これの「お礼」も言っていないわ?
[これ、と指すのは自分の腕のこと。
裏の意味を含むにしても、何処まで本気かわからない口調で言った]
─教会─
[何かがざわめく感覚]
[肌でそれを感じ、左手はポケットへ捻じ込んだままだが]
[自然体のまま臨戦態勢へ]
[紫煙が男の周囲を取り巻く]
……取材を希望する。
俺が危険を冒してまでここに来たのはそのためだ。
何故こんなことを始めた?
誰に頼まれた?
人を消し、何をしている?
──……何故、俺を呼んだ。
[最後だけは取材内容ではなく、ただ己が聞きたいこと]
……歳の話は、禁句だと思って言わなかったのに。
[ぽつり、と呟いて]
「お礼」……って。
あんまり、キツイのは、ナシね?
[どこまで本気かわからない口調に、は、と息を吐く。
自分が言えた義理でない、という自覚があるせいか。
それ以上は突っ込めないらしい]
……何にしても。
気をつけて、ね?
[気をつける対象は、複数。
自衛団の方もそうだが、昨夜の状況は、どこにいても危険がある、という事を思い知らせたから]
……さて。
だいぶマシになったし、そろそろ行くか、な。
事実を指摘されて怒る程狭い心はしてないし、
そんな暴力に訴えたりもしないから大丈夫。
誰かさんと違って、か弱いし。
[後の台詞にも危機感を覚える様子も見せず、
行き先も違うのだから先に行くと、家を出て行った]
さて、どうだろうね。
[質問を一言で一蹴して、上げた顔に表情は無かった。
それが不意に、口端を持ち上げ笑顔を作る。
心の無い笑み]
ああ、そうだね。
最後だけは教えてもいい。
――…利用する為だよ。
[すいと指を持ち上げる。
影が一本の細い錘の形を作り、襲い掛かった]
……か弱い……ねぇ。
[先に出て行く背を見送り、ぽつり、と呟く。
それから、小さく息を吐いて]
……洗いざらい、か。
ん……だよな。
ちゃんと、話さなかったら、結局。
……逃げるだけ、だもんな。
[僅かに目を伏せ、小さく独りごちて。
それから、自分も家に出る。
少し進んだ所で地を蹴り、いつものよに屋根の上へ。
待ち構えていたかのように、隼が肩へと舞い降りてきた]
―大通り―
お役に立てず申し訳ない。
聞きたいことですか。
何かやらかしでもしましたか。
[その姉が言いそうなことを言った]
[見逃すか見逃さないかだけで見方は変わらないものだった]
まあ、見かけたら言っておきましょう。
―――噴水傍―――
[いつも通りの大股で街中を色々と歩き回り、露店で色々なものを食い続けた末に、噴水傍まで歩いてきたレナーテがそのへりにどかりと座り込んだ]
ふう……毎日毎日歩き回っても、何も掴めやしねえな……いや。
[自らの言葉を否定するように頭を振った]
―――今回のアタイは外側かね。
何も知らないうちに始まり、何も知らないまま終わる。
物語に加わることの出来る人数は、何故だかいつも決まった人数だ。
あったとしても……少しだけ関わった。それだけかもしれないな。
[通りを進んでいくと、立ち話をしている二人の姿。
あら、と小さく声をあげて近づくと、]
こんにちは。
……昨日は、すみません。
[まず先にと、ゲルダに謝罪を投げかけた]
[小さく息を吐き、視線を上げると、屋根の上をかけていくアーベルの姿が見えた]
おー。青髪の。
また随分と元気だな。
……アイツは、物語の重要人物になっているのかね。
[感想はただそれだけ。
他に思うことは何もなかった]
─教会─
[回答は無い]
[予測の範囲内ではあるが、溜息は出る]
[注視して居た隻眸に映る友人の表情]
[無表情から作られる冷めた笑顔]
……そうかい。
それを得られただけでも収穫、だ!
[戦場での感覚が呼び起こされる]
[頭で考えるより身体が動いた]
[迫る錘型の影]
[ポケットから左手を抜き出し、強引に迫るそれへとぶつける]
[左腕に影が刺さる]
[握られた左の拳には数枚の紙]
[強引ついでに左腕を横に振り払うと、距離を取るべく後方へと飛び退った]
もう一つ聞く。
それは自首する気は無いと言うことか?
[何かやらかしたかというハンスの問いに暫し、んー、と考えていたが]
……まあ、そんなところですかね?
[にっこりと笑う
『やらかした』というよりは『やってくれた』というのが正しいところなのだが、そんなことは口に出さない]
ええ、それじゃ見かけたら宜しくお願いします
[そう言ってぺこりと頭を下げた]
[とそこへ掛けられる声に、ん? と振り向くと]
ああ、エルザさん。こんにちは
……昨日のことは。うん、謝られるようなことじゃないですよ
私も結局のところ何も出来ませんでしたし
[そう言って、はははと寂しげに笑う]
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