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[オトフリートが此方を見て。
ああ、気付かれたか。なんて考えたのは何故だろう]
大丈夫、って?
…俺、何かした?
[途切れた記憶の先を知る筈もなく。
知っているように見えたオトフリートに問う]
[エーリッヒにも気付かれ手を振られ。
何となく保ったままだった距離を少し詰めた]
よ。
…そんな格好で平気なのか?
[寒そうだ、と呟く。
あまり人の事は言えない服装だったりするのだが、普段からこれなのでどうしようもない]
[ユリアンの問いに、苦笑し]
まあ……平気と言ったら、嘘になるが。
上着、やってきちまったからな……。
[誰に、とは言わず。ただ、ふと遠い目をして]
[遠い目になるエーリッヒに首を傾げる。
まだ、何も知らないから]
…ふぅん?
そんなら一回部屋行って着てきたら?
[腕を組み促すも、よくわからない、という顔で]
ああ、まあ、一応は、そのつもり。
ペルレも、ずっとほっといてるしな。
[首を傾げる様子に。まだ、何も知らないのか、と気がついて]
[イレーネの言葉に、「そうか、ベアトリーチェが」と呟き、続く消えたとの言葉に]
消えた? ……とは?
遺体があがったわけではない、行方不明ということなのか?
オトフリートからは殺されたと聞いたと思ったが、それはどういう……。
[と疑問を呈する]
一応は、じゃなくて今すぐ着てこいよ。
ただでさえ具合悪いんだから、悪化するぞ?
[ぴ、と腕を組んだままで器用に扉が連なる廊下の奥を指差す。――エーリッヒの部屋が何処だか知らないので適当に指してるだけだが]
ベアトリーチェが狼に殺られたそうだ。
それと……アーベルさんが居ない。
オトフリートさんからは殺されたようだと聞いたが……。
[と、あやふやに受け答える]
……………
[ザムエルの疑問は、尤もで]
そう、……見付から…ない……
……でも。
………死んだ、のは……確か、だよ…………
[その単語を口にする事は、些か、勇気の要る事だったが。
あの青年の死を、認めてしまう事に、なるから。けれど。
――今更、何を。
直後、そう、心の中で自嘲した。腕を掴みかけ、止めて]
聲が、聴こえたから。
[いつの間にぼんやりしていたのか、人が増えた気配に気付き顔を上げる]
[そこにはやはり二人の姿は無かったけれど]
[自分に寄りかかるようにしているブリジットをそっと支えて、周りの皆の話を聞いている]
わかってるけど、気になる事があってね……。
[それを先に確かめたい、と。言いかけた言葉が、止まる。ユリアンの指し示す方に動くものが見えたから]
あれは……。
[音もなく動く影は確か昨日、バージョンアップを終えたと言っていた機械犬]
……探し物の方から、出てきたみたいだな。
[部屋の扉、ちゃんと閉めなかったのかな、などと思いつつ。走ってくる影を見つめ]
[イレーネが口にした言葉に、俯いて]
…アーベルは居ない…と言っていたわね…
……死んでしまったの…?本当に……
[予想はしていた事、だけど改めて言われるとそれは酷く重くて]
気になる事?
[言いかけたエーリッヒの視線が何かに止まって。
それを追うよう自分の視線を廊下の奥へと]
…N901i?
気になってたのってアイツのこと?
[エーリッヒの方に視線を戻し]
[脚に、衝撃]
……おい。
[見下ろせば、機械犬が自分の脚に噛み付いていた。
勿論痛くはないのだが]
自分自身のことを後まわしにしないでください
[少し険しい顔でエーリッヒに言う]
[それからユリアンには、]
覚えていないんですか?
ええと、私もあとから来たので……詳しくはイレーネに聞いて欲しいんですけれど
[そこに倒れてましたよ、とドアのところを指差す]
[ハインリヒの言葉を横に聞きつつ]
聲……が。
こえが……か。
[イレーネの答えを二度繰り返す]
そうか、死者の思念を拾える存在か、あなたは。
ああ……姿、見えなかったから、どうしたかなって、ね。
[呟くように答えつつ、早速じゃれつく様に、思わず苦笑して]
……好かれてるな?
[覚えてないって?と問う前にその言葉の意味を聞く]
…倒れてた?
[全然知らない、とでも言い出しそうな表情で。
それでも首を傾げて少し思い出したのか]
…そっか、夢じゃなかったんだ。
一回起きたような気はしてたんだけど…
……ってことは、運んでくれたのってオトフリート?
[険しい表情を見せるオトフリートに、小さく、ため息をついて]
……これを言ったら怒られるのは承知の上だが……。
今は、自分の事、考えるのが、怖い。
……『自分』を、繋ぎ止められなくなりそうだから。
[ブリジットはエルザの服の裾を持ちながら]
[一同に介した人々を見ている]
[窓の外ではまた夜が来る]
[ベアトリーチェはまだ外なのだろう]
[あんなにきれかった陽のひかり]
[無残になって、こわれてしまった]
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