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[見慣れた茶髪がぴょこぴょこと。]
……おいっ!!
[持ち主に頼まれた水風船をわらぬよう、
左腕を、精一杯リディの方へと伸ばす]
[しっかりとしがみ付いてくれたベアトリーチェに安堵しつつ。
絶えることの無い人波の中に立ち続けて居た…が]
へ…?
[此方に向けて投げられた気がする声に振り返り。
その少女も流されて行きそうなのに気が付きはしたのだが。
生憎、腕は二本とも埋まっていた]
[注目すべき花輪に目を遣る余裕は…残念ながら、無かった]
[目の前を、リディが通過していく、そして、気付くと、ユリアンが視線の先に…もう、何がなんだか、少女には判らなくなりつつあった。これももしや、妖精の祭りの魔法だろうか?と思わず現実逃避したくなるほどだ]
…ぉー。
[流石についていけなかった者が棚ぼた、という状況は避けられたようで…小さく声を漏らす]
…もうそろそろ…っと。
[投げ入れる姿を見るならば、人が魅入っている隙に良い場所を取りに行こうと、人の間をすり抜けていく]
ここまで来てっ……。
[にい、と浮かぶ、悪戯っ子の、笑み]
取られるかっての!
[花輪を抱え込むようにして、前方へと飛び込むように一回転。
ついた片手のみでバランスを取り、態勢を立て直す、という無茶を決めた後。
一気に走る。目指すゴールへと]
[我先に前へ進もうとする群衆の中で
その群衆の中の人をつか前ようトする動きは異質で
なかなか、思う様に腕が伸びなくて。
何度か指先がリディの髪を掠めるも
まさか髪を掴むわけにいかなくて。]
……っ!…・……・リディ!掴まれッ!!
…ちょっと…すいません…っと。
[するする、と人の間を通っていき…
歓声が聞こえた気がして、軽く振り返ると…ユリアンが走り出していた]
…ぁ。
[急がないと。
しかし、人々も移動しようとするのか、先ほどよりも進むスピードは遅く…]
[一瞬、騎士らしい男性と目があった気がした。…が、それ所ではなかった。
自分の浅はかさと共に『……あぁ、こりゃ流されるなー』とぼんやり、思考を巡らせた瞬間
聞き覚えのある声が聞こえて、反射的にそちらを振り向く。
視線の先には、先ほど荷物を預けたはずの青年が腕を伸ばしていて]
…っ、アーベルにぃ…!
[…あれ、何でいるんだろ?とか内心チラリと思いつつ
反射的に、差し出された腕へと手を伸ばして]
[蒼の風の気合を背後に捉えつつも、軽く視線を投げるのみで]
いよっ……っとお!
[掛け声。
次の瞬間、その身が高く、跳躍した]
せえのっ、と!
[ジャンプの頂点から、手にした花輪を源泉へと投げ込む。
ふわり舞う、白]
[元気だなぁと子供は思った。
なんというか……
少し考えて、子供はため息。
しかしそれもやっぱり、
人ごみに消えていった。
来年のお祭りの時は、これに巻き込まれないようにしよう。]
…っ、とっ…!
[なんとか人混みを押し退け、源泉の近くの空間に出て…]
…
[息をのむ。
ちょうど、視界に入ったのはユリアンが花輪を投げた瞬間だった]
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