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あ―― そ。
んじゃ、
[ 薄く。薄く、されど違いなく、笑みが滲んだ。
白炎の舞う間、天を仰ぐ。
一度、目を閉じる。目蓋越しにも、注ぐ光は痛い ]
Wehe, Blas, Tobe... Spirale,
[ 風を呼ぶ、呼ぶ、呼ぶ。
生まれるは幾つもの渦、巡る巡る、螺旋。
それは混ざり合い、小さき流れが一つの大きな流れと成る。
視えないそれらを感じ取り、掴む。そのイメージ ]
……やりますかね。
[ 闇を孕んだ眼を開いた。
高く、高く、舞い上がる。
一対の輪持った手に力を篭め、腕を交差させ―― ]
[刀よりもよっぽど持ち慣れた獲物に変われば、その重みを確かめるように柄を握りなおして静かに息を吐き出す。
風の渦は龍のように天より来たりて。
す、と息を吸う。酸素を吸い込み。巡らせ煽らせ]
──fayra hymmne prasrity>>ruinie tussu…!
[一閃で竜巻を薙ぎ、そこに生まれたわずかな空間に身を滑り込ませれば中心は柔和。
ぐ、とさらに柄を握りなおし]
─── Rudje fayra::ousye!
[轟、と大朱雀の纏う紅蓮の炎は竜巻を飲み込み炎は花弁のように舞い踊る。
朱に視界が染まり、瞳ははっきりと丹朱の色に耀きこちらを目指して下降してくる姿に対峙し、漆黒の翼を撃ち落とすかのように上空めがけて一閃──
力と力のぶつかり合いは、どん、と空気を烈しく揺らす大きな爆発のような*音*]
─屋上─
[閉ざされていた目が、不意に、開く。
何かによって、集中が途切れでもしたかのように、唐突に。
真紅の瞳、そこに宿る色は、困惑と、苛立ちめいたもの]
[ 真昼の太陽が如く、焔を巻き込んだ風は夜天を照らす。
切り裂かれ入り込まれた内部は無の空間、
荒れ狂う風に全ての音は呑まれ、
其処だけ刻の止まったかのような錯覚を覚える。
朱に染まりゆく視界、身体が熱くなってゆく。
されど視えるものは昏く、心は酷く冷えていた ]
――……………、
[ 迫り来る姿を両の眼に映して、
口唇が象った感情は己すら知らない。
二つの刃、二つの力、
闇と陽が触れ合った瞬間、世界が震えた ]
……ったぁく……。
[なにやってんだよ、と。
零れ落ちる声は苛立ちを帯びて。
がし、と頭を欠いた後、翼を羽ばたかせる。
向かう先は、グラウンド]
無事……じゃ、ないな。
まったく……だから、迷うな、っつたんだ。
[意識を失い、倒れた幸貴の様子に露骨に呆れた口調で呟く。
それでも、このままには出来ぬ、と抱え上げる。
……こちらのダメージやら何やらで、ちょっと運び難そうだったのはさておいて。
再び、翼を広げて屋上へ向かい、『隔離の陣』の内へと*向かう*]
[ ――次に眼が映したのは、
数多の星が輝く天だった。
世界はまるで、何事も無かったかの如く静まり返っている。
其処に在る乱れは、力在る者ならば感じ取れようが。
空を舞う為の翼は折れ、風は大気に散っていた。
胸に鋭い痛みに、恐らく緋が滴っているのだろうと思う。
気怠けに持ち上げた手には、何も在りはしない ]
……ちぇ。
いっつも、…勝てねぇーん、だもんなぁ。
[ ああ、喋り辛い。
咳混じりに言葉を吐き出す ]
[ 火傷も幾らか負っているのだろうか。
茫とした頭では上手く把握出来ないが、
少なくともフードは外れて、地には金が零れ落ちる ]
レッドって、柄じゃねぇだろ、
精々……ブラックとか。
[ 相手は何と言っていたか、
聞こえぬ侭に、場違いな文句を垂れる ]
…………あー。 楽しかった、んかな?
[ やがてそんな台詞も止まり、
己の手の向こうに、月を睨む。
深く、深く。息を吐き出して ]
……単に。
壊したかった――んかな。
壊れたかったか。
まあ、 どっちでもいいか。
[ それは天魔らしいとも言える望みで、
彼の口から零れた本心。
くだんねぇ。
小さく晒って、手を下ろす。
闇色の瞳を目蓋の裏に隠し、
翔る事を絶たれた翼は無に帰す。
* 離れた場所に、赤の羽根が一枚、落ちていた *]
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