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……っと、キミたちには危害加えるつもりはなーいのっ!
[阻むように動く榛名や、こんらんしているゲルダににこり、と笑いかけ]
……今くらいは、動けよっ!
[深紅の光に向けて力を凝らし、羽ばたく。
高く飛ぶことはできなくとも、二人を飛び越して行くくらいは可能で]
ま、それはそうだろうけどねっ!
[止められる義理はない、というイヴァン>>142]
それでも、こっちにゃ、止めたい理由があるんだよっ!
[怒鳴りながら、自分の腕に爪を立てて血を流す。
零れた真紅は、煌めきながら結晶化してゆき、細長い針のような形となった。
血の結晶──血石で作られた針は、イヴァンの行く手へ、その動きを阻むように投げつけられる]
[反対方向へ駆け出すイヴァンと、それを追う翼有る者と化したナタル。双方に取り残される形で、男は頭を振る]
だから、待てと言ったんだ。
[自分は追って行かなかったのは、既に十分すぎるほど混沌とした現状に、手を出す必要を感じなかったから、らしい]
っちょ、…――っ
[走り出したら止まらない。
つるつる滑る氷に 血石。
派手にぶつかり、蜥蜴は一度バウンドして
ふっとんだ]
って――
[握った薔薇色の白引が 手からこぼれ 地面に落ちた]
[地面凍らせて蜥蜴おっさんの動きを鈍らせたあたいは満足した。
いやコレどっち道止めないと駄目だろ。
ってもナタルと蜥蜴のおっさんの取っ組み合いになるのもマズイ様ないいぞナタルもっとやれ。
……は、なんか漏れた。
とにかく二人がどうなったか、見える所まであたいは行こうとしたけど、何か急にくらっときて座り込んだのさ。
……あ、れ?
え、まさかさっき力使っただけでコレか?
何処も痛くねぇし、疲れてるわけじゃない、単にバランス取れなくて、立ってられないって感じだ。]
[ずっこけてつるるーーっと氷の上を滑り、そのままイヴァンが落とした杖の近くまでヘッドスライディングを]
け、計算どおりなの〜…
[なみだ目で鼻血とかだらだらたれていた。
ナタルがその場にせまるのなら対峙するような形になるだろうか]
[必然、最後方になったせいで、ベッティが、座り込むのが見えた]
大丈夫か?
[いつもと同じ案ずる声音で、近づき、手をかざす。この姿の彼女にこれほど近づくのは、初めてのこと、剣の束に、強すぎる天聖の力の気配を、今のベッティなら感じられるかもしれない]
今はナタのが〜…危ない気がするの〜…
[杖をかばうようにそちらを見ながら、でも自分からその杖に触れることはしなかった。
それを手にすると自分によくないことが起きる、そんな予感がしていかたら。
ぼたぼたとたれる鼻血はそのままに]
こんなもの…、よくないの〜…
[また秘宝をこんなもの呼ばわりしていた]
[氷の上での戦闘とか難しすぎる。
相手は自在に飛べるようになってるのだし]
…王様。
王様、流石に気づいてるでしょうっ!
[これだけの騒ぎになってれば]
ナタルさん、止めてーっ!
[苦しい時の王様頼り。いくない。
なんて言ってる場合じゃないと思った。
何より今度は榛名が危ないのだ。滑りそうになりながら、わたわたとそちらへ向かう。
…イヴァンは大丈夫なんだろうか]
へい、き。
[実際大して力は使ってねぇしな。
出してくれた手を、あたいは遠慮がちに(いつもなら余裕で借りるんだけど、こっちだとそうもいかねーのが)借りたんだ。
座ってたせいで、騎士のおっさんの剣が結構近くに来て…ん?
立ち上がる前に、あたいは何かに反応するみたいに剣の方を見た。
剣の柄に、女の子の顔が入った薔薇色のカメオ。
それから感じるのはつい最近見たアレの気配―――]
っ、これっ。
[秘宝じゃねーか!?
って言いかけたんだけど、あたいは喉に引っかかったみたいに、その単語が出なかったんだ。
驚いた顔のまんま、騎士のおっさんの方を見上げたんだ。]
理由…ちゃんとお話しないと…納得できないの〜…
[眠気と、自らに眠るそれを抑えなきゃいけないと、ナタルの方を見て対峙をしながら]
だから、どけないの〜…
[ゲルダが近寄るのには気付かず、そこまで気を回してる余裕が今の自分にはない。
対となる属性だったはずの彼は、今は自分とは別の属を持つ存在となっていたのだろうか]
いいから…、ろくでもない理由なら、あきらめなさいっ!
[内に眠るものが目覚めようと、それが自らの覚醒を早め、
変化は外見ではなく内面に多く、そのしゃべり方も変わっていた]
[離れてはいても、ナタルの姿は見えていた。ベッティに、天の力を送りながら、深淵の青は、堕天使の姿を見る]
………
[言葉を発することは無かった。ただ、その場には不似合いな程、穏やかな笑みが浮かぶ。それがナタルの目に映ったかどうかは判らない]
明けの明星…!?
[氷の上でどうにか身体バランスを取って。
イヴァンに説明するナタルに翡翠をまるくした。
詳細は分かるようで分からないけど。
珍しいとかいう世界なんだろか]
…榛ちゃん…?
[それと対する榛名も雰囲気が全然違う。
二人にあと数歩という所で、ほけっと動きを止めてしまった]
[鼻血は流れたまま、そのままで当然しゃべれば呼吸は難しく、
隙は大きかったかもしれない]
さぁ、まだ幼い私にはゲルダのこと意外、大事なことはありませんので。
[難しいことはわかりませんねと言外に]
あなたが自分の信ずるものに従いいくというのなら、私も自分の道を行くだけですよ。
[その場所を譲る気は無いという意思を含めてそちらを見ながら]
[あたいは言われた言葉にぎくりとした。
…それは、そんなのは。
言われなくても分ってる、でも]
…マテウス、は
逃げてないの?
[あたいは、おっさんを真っ直ぐ見上げて問いかけたんだ。]
[自分に向かう炎、それは見ることのできるものの力の片鱗だっただろうか]
……っ!
[同様の色は隠さず、それを避けるように、けれどもその力が自らに向かうのをとめることはできず]
見るなっ!!!
[奥底に眠るものとともにそれを避けようとするように]
触れるなっ!だめっ!嫌っ!!!
[叫び声を残し、どこか逃げる場所はと選んだその先は…]
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