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ふーん、剣道か。
[凄いな、と。
相手の言葉に、適当にも取れる返事を返して。
直後ヒサタカの問いと、マコトの返事に緩く瞬くと、
近くの机に、座るような形で凭れ掛った。
会話に口を出すこと無く、ぼんやりと会話を聞きながら
マコトの『理解』している物言いを統合して、漸く。
先ほど感じた感覚の正体を理解する。]
あー…。
[小さく、一人納得するように声を上げた。]
うん、バトンですよ。
[にこっと笑う。疑問には答えずに]
そうです。
ゆめってはかないものじゃないですか
だったら、はかなくなれば、ゆめになるかもしれませんし。
[それは普段の様子であるのに、
どこか壊れてはいて]
ううん、ただ……ゆるせないだけですね
だって、ぜんぶ壊したんですよ
[せんぱいは?と尋ねる]
私の、力……?
[にっこり微笑むその表情は、なぜか遠いモノに思えて。伸ばされた手を避けるように彼女は立ち上がる、ヨウコを見据えたままで。]
それは……どういう、意味?
『…何の話、だろ』
[桜の少女の語る話を耳にしてはおらず、
フユの端的な説明しか聞いていないショウには、
(先程のマイコの話もまたそうではあったが)
中で交わされている話の内容は理解し難い。
今まで、漠然としかわかっていなかったのだ。
それがゆえに、考えるのを避けていたとも言えるが。
なんとなく扉を開くのが躊躇われて、
耳をそばだてたまま、息を殺す。]
[揺らいだ様子のないヒサタカの様子に、ふと、末姉の評価が頭の片隅を掠め、笑みが零れた]
……七恵姉さんが言ってたけど……ほんと、落ち着いてる人……ですね。
[その言葉は、どこか冗談めいて。
それでも、一度目を閉じ、開いた時には、瞳も表情も真剣なもの]
皆の……ケンや……他の人たちの命を奪ったのは……確かに、人であって人でない、もの、です。
……でも、その根源は……人の、感情。
何かをなしたい、何かを手にしたい……そんな思いが、高じて生じる……『憑魔』と、呼ばれるものたち。
だって、このままじゃ出ることもできないんです。
司が邪魔をするから。
それにわたしは音色にちかづきたいから。
そのためにも力がひつようなんです。
おなかがすいたら力もでないでしょう?
だから、ほしいの、あまいの。
[どこか幼い口調となって]
そこに、あるの!
[その手を心臓に向けて伸ばす]
[少女が何を言っているのかは多分半分も理解できていない。
ただ、]
…そっか。
そうだったね。
[瞳の奥で、何かが動いた。]
……あのさ、
[少女の問いには答えず。]
[アズマの小さな声に、ほんの一瞬そちらを見やり。
扉の向こうの気配には気づいても、何か言う事もなく]
『憑魔』は、人から生じて……そして、人に憑いて。
憑いた人間の、一番深い所にある願いを叶えるための力を人に与える……。
『憑魔』の力を得た者は、大きな力を振るえる、けれど。
……生きていくために…………他者を。喰らわなければ、ならなく、なる……。
そうして、人を喰らって、でも……。
そうする事で、願いからは遠ざかり、狂気に堕ちていくのだと……。
[訳のわからない言葉。]
……司?
……音色?
欲しい?
貴女……違うっ!!
[背筋に冷たい汗が流れるのを感じる。]
[じりじりと近づいてくるヨウコを見据えたまま、最小限の動きで伸ばされた手をとっさに払いのけようと右手を内から外へと振るった。]
[本来憑魔は、人間の心の奥の願望や欲望を刺激して、それを叶えるために、宿主に力を与えて邁進させる存在。
複数の憑魔が居た場合
互いの宿主に対して影響を及ぼし合うのだろうか。
それとも、単に個性の問題なのだろうか。]
うん、いいですよー
[にこっと笑って]
じゃあ、教えてもらえるようにセイシンセイイ努力しますねー
[その努力の中に何が含まれるかなど、言わずとも。]
……みつけたら、はんぶんつにします?
[首をかしげて、同じようにわらう]
今ここには司はいませんよ。
だからじゃまもされないの。
[振り払われた手、大きく弾かれたその爪は異様に伸びて]
違わないよ。
わたしはヨウコ。
[笑顔を浮かべたままそう答える]
食べたいの。
食べれば一緒にもなれるもの。
[一歩大きく踏み込む。
逆側、右の腕を伸ばし、その身体を捕えようと]
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