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─ 広間 ─
[アマンダとブリジットが台所へ向かうのを見送り。
ベアトリーチェの疑問>>213も、聞こえてはいたものの]
……え?
[そちらへ説明するより先、届いた姉の告白>>215に、幾度目か、言葉が失せた]
死を、見極める者。
『双花支えし、見出す者』……?
姉さん、が?
[間を置いて、零れ落ちた声に込められるのは、戸惑いの響きだった]
(あ、あれ?)
[大丈夫かだの、笑いを取りにだの>>205言われれば、ちょっと驚いて一瞬手を止めたかもしれない]
……熱はないですよ。
ええと、もう世界の終わりとでもいうような顔をしておられたので。
[微塵も信じてない様子には、とりあえずそう言って誤魔化そうと]
こういう作業は確かに、使用人任せですけど。
これでも一応、騎士としての訓練もしてますから。ボクは問題ありません。
むしろ、エーリッヒさんこそ大丈夫ですか?
昨夜のお酒も残ってらっしゃるでしょうし、日ごろ研究室に篭ってばかりなのでは?
(え。バレてた訳じゃないの?
じゃあ、あの妙な態度って何???)
[疑問を残しながら、手だけは再び動かし。そんな応答をしておく。
実は、エーリッヒの反応に、ちょっぴりムカムカしてたりするのだが。それが何故なのかは、当人は全く気づいてない]
生きたい。
……死にたく、ないよ。
[他に誰をと言われれば、それも未だ答えられはしない。
ただ本心だけを答えて]
……うん。わかった。
[話を、という言葉に小さく了承を返す。>>*38]
そう、かな。……力持ちって関係あるの?
[ユーディットに関する言葉には疑問符。
肉質の違いは分からない。何せまだ老人の肉しか食べていないのだから]
……?
まあ、いいけど……
[わざとらしい繰り返し>>*37にも疑問を覚えても、更に問い詰める程敏くはなかった]
[>>219 うんうん、と唸って]
確かにな。何だ、当たり前のように人狼が闊歩していることを前提に話が進んでいるのに、自分だけ取り残されているように思えてな。表情に出てたかもしれん。
[青年から見たら、人狼が最初の殺人起こったんだったら、どうして教会からの文章を回収しなかったんだ、とか、どうしてこうも目立つようにギュンター爺を殺したんだ、とか、そんなミステリー小説にケチをつけるようなケチがたくさんあって、それが現実として進行しているからなのであるが、まぁ複雑な心理である]
酒なら醒めたし、研究っつっても体資本だし、やっぱ付き合いとかもあるからなー。
休日はコネの為に狩りに付き合ったり、玉転がしたりいろいろだよ。
まぁ、早く終わりそうでよかったよかった。
[都会もいろいろあるんです。そうこうしていたら気もまぎれただろうか、どんよりとする気持ちは少しは晴れた。日常の話は、ほっとする。こんなときでも]
まぁ、グルメの口から言わせると、筋肉ついてる奴はこりこりとした食感はなかなかなんだけれど、食べるの面倒なんだよ。
生で食べるんだったら、やわらかいお肉がいい。ぷにぷにほろほろな感じ。
─広間─
え?
[ゼルギウスから返った言葉>>221に目を円くしたあと、俯いた。
ジュースの入ったコップは先程からあまり減っていない]
そっか、……帰れないんだ。
[相手の目が泳ぐのには気がつかなかった。
呟きを落としたのとローザの声>>215が聞こえたのは、どちらが早かったか]
……それって。
人狼のおとぎ話に、出てくる……?
[顔を上げてローザを見た。
小さな頃から本を読むより外で遊ぶ方が好きだったベアトリーチェでも、寝る前に読んで貰った本の内容は、まだ薄らと覚えている。
何より此処に集められた理由くらいは聞いていたから、思い出すのも容易だった]
― 集会場外・西側 ―
切欠かぁ……。
[クレメンスの言葉は曖昧だが>>216、曖昧だからこそか説得力はある。ただ切欠が何なのか、思いつけるはずもなかった。ちらりとクレメンスを見るが、先の曖昧さを聞く限り、問いかけても答えなさそうな気がした。
ともあれ今は埋葬中だ。あまりそぞろにすると怪我をするだろうと意識は一度切り替えた。]
えへ、よく言われます。
[可愛らしく返しながら、>>220掘られている穴へと向かい団長をその中へと降ろした。]
……そ、か。
[表でなされた宣言の為に、肉評>>*41に対する返事は何処か上の空で]
エーリにーちゃん。
ローザねーちゃん、が。
─ 広間 ─
びっくり、って。
いや、それはそうだろう、けど。
[しみじみと頷く姉>>223に、戸惑いを消せぬまま、言って。
は、と一つ息を吐いた後、大分冷めてしまった紅茶のカップを手に取る。
天鵞絨には声音と同様、戸惑いのいろが浮かんではいたが。
意識の隅には、安堵も一つ、浮かんでいた。**]
― 回想・子供の頃の事 ―
[10歳になるかならないかの冬。
静養に来ていた母と一緒にまたこの村を訪れていて、いつものように村の子供たちに遊びに誘われた。
雪合戦など、他ではやった事がない。雪まみれになりながら楽しく遊んでいたところで、突然他の子供から「逃げろ」という声が上がった。
何があったのかすぐ理解できず、オロオロしていたところ。
ユーディットが駆け寄ってくるより早く、自分の腕を掴んで引っぱって逃げるよう促してくれたのは、年長の少年だった。
その子が自分をかばうようにして、山犬だか小熊だかに噛み付かれたのを見て、一人逃げることもできずに泣き出してしまったのだが。
それでも、怪我はたいした事なかったらしく、それから間もなくまた遊びに誘ってくれた時は安堵したものだ。
その事件を切欠として、兄弟の居ない自分は彼の事を『頼りになるカッコいいお兄ちゃん』として憧れの目で見ていた時期があった。
彼に対して、ちょっとドキドキするようになったり。その後「貴族様」などと呼ばれるようになった事が寂しかったりショックだったりしたのも。
全て、自分にとって『お兄ちゃん』のような存在だったからだろう]
なるほど。
ローザねえさんは辛い能力持ってんだな。
あの人は、死んだひとが見えるんだよ。そして、その人の正体がな。
ギュンター爺も見たんじゃね?
ちなみにおれたちが死んだら、狼の姿が見られるから。まー、ねえと思うが、おれがお前さんより先にくたばったら、「この狼」って罵る覚悟はしといてくれ
狼だとバレたやつの末路は遺体も満足に葬られない
あ。ありがとうございます。
[先帰ってろ、というエーリッヒにはそう頷いて、スコップを手渡して先に集会場の中に戻る途中]
………伯父上は、その格好寒くないんですか?
[などと、エーリッヒが離れたのを見計らって、試しにクレメンスに言ってみたり]
─ 集会場外 ─
[これ以上、と言う言葉>>232には何も返すことが出来なかった。
『場』が出来ている以上、それはきっと避けられないことなのだから。
エーリッヒがスコップを片付けると言うので、クレメンスはミハエルとユーディットと共に集会場内を目指す。
放置しておいた上着は拾うだけで、やはり羽織ることはしなかった。
血に濡れていたのだから、出来るはずもないのである。
そのため、クレメンスの格好はミハエル>>234が言う通りに寒々しいものだった]
そりゃ寒いぜ、上着使えねーんだもんよ。
……………つかその伯父上って何だ?
[うっかりそのまま応答してしまい、その数拍の後。
みょーに長い間を挟んで問いを返した。
呼び名の違いに気付くまでに時間が掛かったらしい]
そう。なんだ。
[団長が人狼の存在を告げた時とは違い、からかいや脅しの類とは受け取らなかった。
ローザの言葉とゼルギウスの相槌に、素直に頷いて。眉を下げた]
……じゃあ、誰か……?
[最後まで言う前に口を閉ざし、辺りを見回した。
ベアトリーチェが覚えている本の中で、その力を持つ人物が名乗りを挙げたのは、
誰かが死んだ後のことだった]
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