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[拙い。
即座にそう思考を戻せたのは幸いだったか。
残っている人数が減っていることにも気付かず、無言のまま広間を出、そのまま建物からも出る。
足早に廃墟を抜け、広場のようになった場所へ。
そこで足を止め、膝を突く。周囲の空気全体が帯電し始めていた]
[何時の間に、部屋を抜け出したのか。
彼女の姿は廃墟と化したビル郡の中にあった。
瓦礫に腰を下ろして、膝を抱え、ぼんやりと、何処かを見つめていた。
風が、ウェーブのかかった髪を流していく。]
[広間に起きている人がいたならば挨拶をしつつ、ふらりと部屋を出た。
自分の部屋へと戻り、顔を洗う。
なんとなく重い目を瞬かせ、あけたままの窓から外を見た。
見える風景は有限。
どこかに、入り口出口がある、場所…。]
…よ、っと。
[窓の桟に足をかけ、壁に鎌を突き刺して足場をつくると、ひょいと屋根の上へと上がった。
風が、冷たい。]
[無作為に飛び交う電子の流れ。
この状態の時に誰かに触れるわけにはいかない]
…ハァ。
[深く呼吸をしながら少しずつ押さえ込んでゆく。
どうにか火花は散らない程度まで整えて、傍にあったベンチの名残を残す石に腰掛けた]
何時以来だよ、こんなの。
まったく、らしくない。
[そのまま一晩、ここで過ごすしかないかなと思った。
部屋に戻れば備品を壊さない自信が無かったから]
[そう遠くない場所で、何かが光ったような気がした。]
……なんだろう。
[近付くのは、無用心かもしれなかった。
けれど、いつまでもここにいても、仕方ないのは確か。
立ち上がり、ふらりと歩みだす。
片手には、普段の癖か、端末を握っていた。]
…ん?
何か、光った?
[屋根の上から見下ろすと、ぱちぱちりと断続的に光が見えた。
背伸びをすると、その光は徐々に間隔を伸ばしていっているようで、きょとりと首を傾ける。]
なんだろ?
[ひょい、と屋根から飛び降りる。
片手に握った鎌は夜の闇の中で平たく広く形を変え、まるでグライダーのようにそれにぶら下がる形で光の元へと滑空した。
人影が見えれば、その前にたん、と着地する。]
おっと!
[気を抜いた直後だったからか、その気配に気が付くのが遅れ。
慌てて右手を軸に小さく跳んで距離を取った。
目の前に着地する影を認めて]
…よく降ってくる人だね。
[薄く笑う。パチリと再び火花が散った]
こ、こうもり……?
[にしては、大きすぎる。
ならば、巨大蝙蝠だろうか?というのは、単純過ぎる考え方。
広場に降り立ったそれ――ブリジットの位置から、少年の姿は窺えていなかった――を、幾らか離れた場所から、怪訝そうに見る。]
[滑空中、誰かの近くを横切った気がしてチラリと顔を向けたが、顔を確認する事は無理だった。
着地してその手のものがぐなりと曲がって銃の形になって手の中に納まると、小さく跳んだ人物の方に顔を向けてにこりと笑…おうとしたが、ぱちりと散った火花に驚いた表情。]
あははは、そういえば昨日も降りたところで会ったねぇ。
光ってるの、キミだったんだ。
どうしたの、それ?
[散る火花から目線を離さず、手の中の銃は後ろに回さずに握ったまま、首を傾けた。]
さて、ね。
僕の能力のこと、全く知らないわけでも無いだろう?
[言いながら煩わしそうに右手を振った。
伸びた電光はユーディットからは離れた場所へと。
大きな瓦礫の手前で散ってバチッという音を立てた]
ね、そこの人も。
今苛立ってしまうと危険なんだ。
できれば出てきて欲しいな。
わ……っ
[音を立てて、散る火花。
手を当てるのは遅く、声は零れる。
……ばつの悪そうな顔をして、影から出た。]
ごめんな、さい。
そういうつもりじゃ、なかったんだけれ、ど。
[先日とは違って――放送の件を聞いたゆえか、二人の間に流れる空気に、奇妙なものが混じっていることには、気づいているようで。自然、及び腰になる。]
[バチ、と音を立てて火花が散ったならば、にんまりと笑顔。]
あはははは、イライラしてるんだ。
ボクに当たらない方がいいよぉ、斬っちゃうかもしんないからねぇ。
[笑いながら、火花の散る先に目線を動かした。]
あ、ブリジットさん。
こんばんはぁ。
[こちらにも、上機嫌な笑顔。]
−回想−
[部屋に戻り、扉を閉める。
一度キッチンに立ち寄ってから、迷いのない足取りで部屋の隅に進み、ある一点で立ち止まった。しゃがみ込み、何かを探すように床に触れる。暫くそうしていたが、不意に、指先を滑らせた。カチリと音がして、一部分がずれて、開く空間。
高さなど関係ないかのように降り立ったのは、一階のモニタールームだった。
いつもは煩く音を立てる飾りは片手に握り、動きを止めている。微かな靴音だけが響いた。
『遊技場』の各場所を中継する画面を横目に見ながら、今度は壁にまで歩み寄り、掌を当てた。横にスライドする、壁。予め位置を知っていたものにしか有り得ない動き。その先にあるのは、エレベーターだった。
開くだけならば誰にでも出来るが、それを起動させる事は、一部の人間にしか出来ない。即ち、任務を与えられた者にしか。
――そして彼女は、それに乗り込んだ。]
[地下は、静寂に包まれていた。
幾つも扉の並ぶ通路を抜けた先には、地上にあったものとよく似た部屋が存在した。データ部分は共有しているのだから、それも当たり前だが。
中に足を踏み入れて、端末の前に置かれた椅子の傍らに立つ。慣れた様子で、片手で操作を始めた。
呼び出していくのは、参加者のデータに、こちらの用意したクリーチャーとの戦闘の一部始終。分割された画面に、複数の映像を一度に展開させる。
その中には、無論、彼女のものもあった――が。
それは突然、獣が動きを止め、苦しみ出したかと思うと、地に倒れ伏したかのようにしか見えなかった。対面する少女は、何も手を下していなかったにも関わらず。]
相変わらず、見応えが無いと言われそうだな。
[無関心に視線は過ぎり、他の参加者の戦いを眺める。]
また、癖のある者ばかりを集めたものだ。
[眼を細めた。
何処か、無感情にも映る表情。
其処に、少女らしさは存在しない。]
[そして、その佇まいに、油断はなく。
けれどもエレベーターの駆動音には、敢えて余裕を見せるような――ゆったりとした動きで、振り返る。]
久しぶり、
というべきかな。
エーリッヒ=ハイゼンベルク。
[*口許に浮かぶ笑みは、人の手でつくられた三日月の如く。*]
/*
裏は回想形式で進めてみます。
しかしもそもそとしていたら、時間切れに。
付け足せたら付け足しますが、繋げて頂いても。
ところで、メモの個人データには0:を足すといいと思います。(飛んだな)
*/
…いや、こちらこそすまない。
八つ当たりみたいになってしまったね。
[どこか及び腰のブリジットには首を振って。
その間もユーディットの銃からは目を離さない]
やっと得た機会だからね。
もっと上手にやるつもりだったのだけれど。
だから斬られたくはないな?
[繋がるような繋がらないような答えを返す。
トントンと地面を蹴っている様子はまだ平静には程遠い]
ブリジットさん、元気ないねぇ?
[声はブリジットにかけつつも注意はティルに集中していて]
機、会?
なぁに、それ?
[トントン地面を蹴る足に、にこにこ笑いつつも目線は流して。
黒銃を握る手はきゅ、と強くなりつつも]
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