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[人込みの中のライヒアルトには気づいたか、否か。
肩の相棒は、一瞬そちらに視線を流したやも知れないが。
ともあれ、蒼が黒衣を捉える事はなく]
……なんか、空気が重いみたいだけど。
なんか、あったの?
[右手を上げるヴィリーの近くまで行って、足を止め。
投げかけたのは、短い問いかけ]
―広場・噴水より少し離れた場所―
結びつきにくいのは分かります。
さっきの通り、俺も本人からはそう受け取れなかった。
ただ状況的なものがどうしてもね。
[変身魔法と言われれば眉を寄せて]
そうしたものを考えていたら、キリがありません。
確かに可能性がないとも言えませんが。
……いや。
多分追いかけても無駄でしょう。
エルザがカヤ君を疑えているとは思えない。
それで俺は、こうですからね。
[手のことも気になったが]
[行っても逆に意固地になられるのだろうと]
[苦笑交じりの溜息が落ちた]
─広場・噴水傍─
ああ、ちょいとな。
[そう言って、聞こえたままのことを青年へと伝える]
[青年の姉が、連れて行くなら自分を連れて行けば良い、と言ったことも]
それでハンスが止めに行ったが、その後どうなったのかまでは知らん。
[視線はすぐに逸らされて、目指す方向へと歩いて行く。
途中ですれ違った青年と隼には気づかない。
そうして暫く歩いたところで、大柄な剣士と行商人の姿を見留める]
…。
[少し考えて、そちらへ足を向けた]
─広場・噴水傍─
……て。
[端的になされた事実の説明に、言葉が失せる。
蒼は僅かな焦りを帯びて、周囲を見回すものの。
捜す姿は、人込みの先で捉えられず]
なに、それ……何考えてんだよ、一体……!
[とっさ、口をつくのはこんな言葉]
[ゲルダの疑問への答えはあったが、今は紡がない]
うん。
[カヤの台詞に、微笑む]
……よかった。ありがと。
[親指の腹が、目元を擽るように撫ぜる。
言葉とは裏腹に、泣くことを促しているようだった]
[気まずいと思っていたが、なにやらほっこりした空気に]
(…………んー、これはこれで居辛いなぁ)
[とりあえず、二人の世界が出来てるような気がしたので、静観]
─広場・噴水傍─
どうもカヤってガキについてで自衛団員と揉めたらしい。
その流れで、あのガキを連れて行くぐらいなら自分が、と。
何を考えてそんなこと言ったのかは、本人にしか分からん。
止めに行ったハンスなら何か聞いてるかもな。
[青年の動揺も無理はないな、と]
[流石に口にはしなかったが]
性格とかじゃなく、状況が、か。
まあ……確かにそのほうが正しいんだろうけどね。
女は裏にいくつも顔を持ってる。なーんて言うしな。
[まるで自分が女性であることを忘れたかのように言い放った]
けど、それでも、アタイはカヤが犯人ってのは信じらんねえ。
もし、仮にそうだったとしても、自ら望んでやったんじゃないって信じるよ。
例え、その答えが誰に間違ってるって言われてもな。
[言った後に、ため息がこぼれるのを見ると、もう一度苦笑した]
アンタと、エルザの関係はアタイにはよくわかんねえけど、まあ、頑張れ。
応援はしてやるよ。それとも、精神注入代わりに飲みにでも行くかい?
…――――
[手を掴むと眉をひそめたのは、何かあったのだろうか?と想い
少女はエルザの手から離した手を、彼女の二の腕に触れられて。
眼元を撫でる手が優しくて、泣きそうな顔で見上げ、く、と一度下唇を噛んだ。]
…オレ…
[小さな呟きの後、目線をゲルダへと流し、ぱちぱちと。]
─広場・噴水傍─
カヤのこと……で?
[蒼を一つ、瞬く。
わかっていない事の方が、きっと、多いけれど
気持ちが全くわからない、とまでは、言わないから]
……そういう、問題……かよ。
[言えたのは、ただ、こんな言葉だけ]
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