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いいえ、気になさらずに。
[周囲の視線を受けつつ、起き上がる修道士に手を貸して]
あら……擦り剥けてますよ。
[怪しげな食べ物に呼ばれる女剣士を横目に見ながら、ポケットから布を取り出すと、修道士の額へと近づける]
[ライヒアルトの言い訳には、意外に神妙な顔でうなづいて]
あー、そうか。
確かにアタイも殺気ある攻撃以外は、あんまり察知できねえからなあ。
そこらへんアタイもまだまだ甘いんだけど、ぼんやりしてたらしゃーねえよなあ。
[うんうんと素直に頷く。
純粋なのかアホなのかは不明だが、レナーテのそういうところは、かなり危ういところはあった]
俺だって、「はしこい」ぜ。
[意味が判っているのか判っていないのか
少女は少しむくれたまま、隼を睨むように見て。
エルザの声に、ぱっと表情は明るくして]
こんにちはっ!
[辺りに漂うのは割れた香水の臭い。
エルザがアーベルを小突く仕草をするのに、
にししし、と、アーベルを笑ってやった。]
そう。ここでは。
[ゲルダに頷きつつ返すのは、笑顔。
彼女を見た刹那、物思う表情が浮かんだのは、人形師の話題を思い出してのことだったが、ライヒアルトの指す人物とは結びつかなかった]
まあ、この子のするような悪いことって、大抵はすぐに知れますから。
その点では安心なんですけど。
ご迷惑をかけていないなら、安心しました。
少なくともアタシ的にはディープインパクトよ。
あははー、素敵な親子愛よね。
……お父さんからすれば、レナさんはいつまで経っても可愛い子供なのかしら。
[エルザとした会話を思い出してつぶやく]
[あっさりと請け負う言葉も、続く条件に]
報酬……そこが問題なのよね。
……例えばこの街の裏通りだとしたら、一日幾らくらいになるのかしら?
……その、『ここでは』って強調は何なんだよ。
[ゲルダの物言いにぼそり、と突っ込みつつ]
それは知ってるけど。
人と鳥で比較したり張り合うのもどーなんだよ?
[隼に向けられる、睨むような視線に、呆れた声を上げる。
もっとも、笑う様子に、ちょっとだけ不機嫌そうな様子は見え隠れしていたが。
なお、当の隼は、やっぱりわかっていないようで、きょとり、としていたり]
[アーベルに向き直る頃には、真剣さを含んだものになる。
明確には示されずとも、口振りで察しはついた]
じっとしていられないのはわかるけど。
……、夜くらいは帰ってきなさい。
[足を突っ込むな、とは言わない。
軽く目を伏せただけだった]
あ、ああ。
本当、すまないね。
[少女に再び謝りつつ、手当てを受ける。
心身ともにいろんなダメージを受けていた]
殺気ですか。
ぼくにはそれすら分かりそうにないですね。
[案外あっさりと頷いた剣士に、しかしその道中を思ってか、苦笑いめいた表情をした]
?
[エルザに一瞬浮かんだ物思う表情に僅かに首を傾げるが]
そうですね。あらゆる方向からバレますよね
まあ、迷惑は被っていないから大丈夫ですよ
[強い香り。発生源は此処らしい。
けれど花らしきものは見当たらず、視線を巡らせた後に香水かと気づく。
練習に励んでばかりいるエリザベートには、あまり縁のないものだった。着飾らないだけはなく、化粧をまともにするのは演奏会などの必要時だけ、艶やかな髪も無造作に放っているくらいなのだから]
……うーん。
本当に、何もしていないのよね?
[あまりの強さに若干不安になったようだった。]
香水屋でもいたのかしら。
[少女が知っている裏通りは、或る意味本当の意味の「裏通り」。
主に抜け道、それも人がとても通るとは思えないような屋根の上や人の家のベランダを通るような。
しょせん、少女は未だ17。
仕事として与えられるのは本当に下っ端の事だけだ。]
ん。
[はりきっている少女は、聞こえた声に
思わず漏れそうになった笑みを、必死で堪えた。]
ん、ああ。
[カヤの疑問の声。一つ、瞬いて]
俺が『爺様』なんて呼ぶの、他にいるかっての。
……良くない噂聞いたから、その事でちょっと話、聞いて来たんだよ。
[新たな行方不明者の噂は、大分広まっているだろうが。
やはり、道端で大っぴらに話せる事でもないので、適当にぼかして]
……うん。
なるべく、そうする。
[目を伏せる、姉の言葉。
先の別れ際、ハンスに言われた言葉がふと、掠めた]
まあ、お袋の件があるから、もう自分の知ってる奴を死なせたくないんじゃねえかな。
……親子だから気持ちは分かるんだがね。
けど、そのわりに、親父の助けにまだなれないってのは悔しいかな。
[さらりと紡ぎだされる親と娘の想いの丈。
だが、仕事の話になると、すぐに頭は切り替わり]
この街の裏通りを一日拘束かい?
大体150Gってところかな。
[5Gでリンゴ一つ買える位の値段だと思ってほしい。
宿屋の1泊が100Gぐらいである]
良くない噂?
なに聞いたんだ?
[足を出しながら、アーベルの言葉にきょとんと見上げ、ボカした空気も読まずに首を傾ける。
エルザの疑問には、うん、と大きく頷いて]
ローザって香水屋が居たんだ。
ほら、俺一個貰った。
綺麗だろ?
[言いながら上着のポッケから瓶を取り出して振って見せる。
綺麗な硝子の瓶の中、透明な液体がたぷりと揺れた]
噂は噂、よ。
確証はないんだわ。
[カヤとアーベルの会話に口を出す。
行方不明。謎の失踪。
だからこそ「確証」が出ることはないとも言えるのだが]
ああ、そうなの。
確かに、綺麗だわ――お金、大丈夫?
[カヤの取り出した瓶に疑問が晴らされた直後、
つい、そんな疑問が浮かんだのは所帯染みている所為。まだ嫁入り前の娘としては、ある意味情けない]
[アーベルの言葉にきょとりとして]
……だって、別の場所のことまで私には把握できないし
[つまり他で何かやらかしてる可能性あるとみてるわけですね
わかります]
っと、私そろそろ行かないと
お祭りのことでちょっと話してこないといけないんで
[そう言ってぺこりとお辞儀
そして立ち去り際に、ああそうだ、と呟くと]
……帰る家があるなら、そこに帰った方がいいよ
[アーベルに対し、肩越しにそれだけ言う
僅かに覗けた顔は、少し寂しそうな色を*浮かべていた*]
[ライヒアルトの苦笑いの意味をいまいち理解してない様子で、少々的外れめいたことをレナーテが言った]
いや。
殺気に関しては、実際に感じてみれば結構分かるもんなんだよ。
首の後ろ側がピリピリした感覚なんて、そうそうないからね。
ただ、それに反応できるかどうかってだけさ。
―――感じてみるかい?さっきの侘びに今ならサービスで無料にしてやるよ。
[鎧は着てなくとも、剣だけはいつも腰にさしている。
その剣に軽く手を当てながら、そう問うた]
[足を踏まれかけている事には気づかずに。
いや、腕の隼は気づいていたのだが、当人はそちらに意識を回す余裕がないようで]
姉さん、そこまで言うか……。
[ぼそ、と呟いた後。
首を傾げるカヤの様子に、音を散らす風を巡らせて]
結構、噂、広まってるみたいだけど。
……旅人が一人、行方不明になったらしい。
他にも、それっぽい人がいるから、爺様、警備強化に余念がないみたいだった。
金は、払って無いぜ。
あ、いや、そうじゃないんだ、アレじゃなくて。
貰ったんだ!何なら、証人も居る!
[と、視線をゲルダに移した所、彼女が去る所だったから
手を振って、またな、と声をかける。
やけにそわそわしたのは、スリをして捕まったりした時を思い出したせい。]
と、ああ。
それじゃ、またなー。
[立ち去るゲルダにひらり、と手を振るものの。
立ち去り際の言葉。
向けられた表情と共に、その意を測りかねて、一つ、瞬いた]
今のレナさんでも助けにならないなんて……どれだけ強いのかしら。
[とりあえず想像できる範囲を超えている。目の前の剣士の胃袋も十分に破天荒だ]
150G……何とかならない額じゃないわね。
あ、ええ。相場は大体わかったわ。ありがとう。
[金額を聞くと右手の親指の爪を噛みながらつぶやいた後、レナーテに笑いかけると、修道士とのやりとりを眺めている]
ぁー…
面倒くせぇな。
爺っちゃんの自警団も結構やるなぁ。
[アーベルから言葉を聞いた直後
口の中で出た感想は、本音。]
旅人が行方不明になったとか、噂立ってるらしいぜ。
どっちかがやったんか?
[どちらかがやっててもどちらもやってなくても
取り敢えず自分の仕事はふたりの橋渡しなのだから
関係無いのだけれど。]
ああ、ちなみに
[道すがら、先程の寂しそうな雰囲気を一切感じることのない口調でそう言うと]
私もカヤちゃんを頼りにしてるからね
餅は餅屋に。『利用』できるものはとことん活用しないとね
[くすりとした笑みも通信機を通して送られるか]
ええ、また。
[お祭りのこと。彼女にも任があるのだろうかと考えつつ見送る。
弟に向け零れた台詞に、表情こそ見えなかったが、ゲルダの纏う空気に変化があったように感じられて、暫し、小さくなる背を見つめていた]
[なんだか不自然に笑う様子のアーベルの足の上に
力いっぱい、だん、と一度自分の足を落とそうとしてから
その紡がれた言葉に、翠の目玉を見開いた。]
そんな噂、立ってんだ。
まー祭りのせいで特に気になるだけなんじゃねぇのかなぁ?
[首を傾けて、からからと。]
そういうものですか。
[実際に受けたことがないから、いまいちピンと来なかったようだ]
…い、いえ。
結構ですよ?
[剣に手が掛かるのが見えて、少しばかり後退り。声も上擦った。
今の彼ならそのまま剣の錆になりかねない]
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