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…ぁーぁ。
[ブリジットが近づけば、自然と視界に入ってくる、紅。]
兄さん、状況説明必要?
ちなみに、現場は台所ですヨ。
[肩を竦めながら。とりあえずはそれだけを。]
[バチン、]
[音がして、折り畳まれた刃が姿を現した]
「同じ力を使えるものは、
同時に二人居るはずが無い」
[彼の昨夜の台詞を、なぞる]
なら、あなたがいなくなれば――
[苦しかった。
それでも、言葉を紡いだ。
刃を振り下ろした。
位置はわからなかったから、出鱈目に。
ただ、まずは力を使うためのその右腕を、次に、胸を刺した]
[普段は忘れる事のない敬称すら忘れて]
ユリアン、止めて!
彼は違う!わかるでしょう?
[叫んでいるつもりだけれど]
[実際の声は彼に届くかどうか]
[どこに刺さったかは、わからなかった。
ただ、また、赤が増えるのだけが見えた。
僕を掴むエーリッヒの手の力が緩んで、代わりに肩が掴まれる。
刃は、彼の身体に残された]
俺は王子なんてガラじゃございません。
[ふ、と。
疲れたような笑みで返すも束の間。
イレーネの言葉と、聞こえる声。
そして、物音に]
……なに……?
なんなん、だ、よ。
[声は、微かに震えて]
……茶化すな。
[声は辛うじて、届いている。
叫ばれるユリアンの名も]
直接、見に、いけねぇんだ。
だから。
[教えてくれ、と。
コエは、かすれる]
[ユリアンの凶行を。][エーリッヒへと銀の煌きを振り下ろす様を。]
[瞬きもせずに見つめていた。]
[恐怖。そんなものは、どこかに置き去りになってしまったように。]
[ただ見つめた。][赤い赤い色を。]
[どうしてこんなに、この場所では血が流れるのだろう。]
[それが酷く不思議なことに思えた。]
[伸ばした腕は、またも間に合わず、刃は振り降ろされる]
やめ、ろォ!
[間に合わない、間に合わなかった、それでも肩を掴み、朱に染まる身体を引きはがすと、そのままユリアンを床の上に組み伏せた]
どしたんだ本当に
[やっと目を開けたイレーネ。だが何が言いたいのかはわからなかった、だがその様子はおかしく。急にざわめきだした集会所へと振り向き]
[教えてくれといわれた事には少しだけ間が空く。][いやに自分に対して素直だなと。][それは叫ばれる名、故か。]
んじゃ手短に端的に。
[請われれば、嘘を教えるつもりもなくて。]
ユリアンがエーリッヒを刺した。
おそらく死にましたヨ。あの兄さん。
[声は何時もの如く明るい。][それは彼にとってどちらもトクベツでは無いからか。]
[疑わしきは殺せ、先手を取らなければ殺される、と、エーリッヒの言った言葉が蘇る。目の前の青年は、では、敵なのか?]
なぜだ…!?
[ダガーをユリアンの喉元に突きつける]
[身体を打ち付けられて、息が詰まる。
赤く染め上げられた視界――違う、それは幻視だ――に、青が滲む。
一瞬目を閉じて、開いて、恐らくはハインリヒであろう、それを見る]
……邪魔、しないで、ください。
[何があったのか。厳密にはわからない
だが気配から察した。微かに声を震わせて集会所を見ているアーベルの前にすっと体を入れて一歩、足を踏み出し、一旦止めて]
ついてくるならば、俺の後ろからにしな
[そういうと、足は止めずに集会所へと]
[蒼の瞳はほんの一瞬、虚空を見ていたやも知れず]
先に、って……。
って、あ、ちょっと!
[イレーネの言葉に答えるより早く、マテウスは行ってしまい。
一つ、息を吐いて、そっと少女を座らせる]
……ザフィーア、お前は、ここにいろ。
彼女と、一緒に、いるんだ。
[短く、言い置くと。
巨漢の後を、追って]
……。
諦めていたんだ。
だって、僕には、どうしようもないことじゃないか。
男か女かなんて、生まれたときから決まっているんだから。
[現実を捨て、真実を視通す力を持つのは、女だけだと]
そんなの、努力したって、変えられない。
それなのに、見えなくなるなんて、
……視えないのに、見えなくなるなんて。
[おかしかった。なんで、僕だけ]
だから、それは、きっと、他に原因があって、
原因があるなら、それを取り除けばよくて――
僕は、ただ、自身の最善を、尽くそうとしただけだ。
[さきにいって。という言に従うまでもなく、先程くぐった扉をくぐり広間へと向かい]
どしたっ!何があった!!
[そして最初に見たのは、ずたずたに刺されているエーリッヒと、ユリアンをハインリヒで
それだけでどういうことがあったのかを悟る]
やーねェ。
何でもかんでも人狼の所為にしてくれちゃっても、こっちは困りますってネ。
[ハインリヒの怒声には肩を竦めるばかり。]
なんだよ、それっ……。
[緋色の世界を介したコトバに。
コエが、震えた。
そう言えば、昨夜も。
ユリアンは、彼に銃口を向けて]
……これも……システムとやらの、仕組みなのかよっ!
[苛立ちを帯びたコエが。
響く]
[昨日、エーリッヒがアマンダを殺す所を見ていなかった為。][人(と見えるもの)が、人(と見えるもの)を殺す様を見るのはこれが初めてだった。]
[その様はなんだか酷く。][滑稽に見えた。]
狼じゃないのに…。
[声はどこか、低い。]
……人狼?
[ユリアンを見る]
[だけど、変わらない、わからない]
あなたが人狼だから、あなたを見つけるかも知れないエーリッヒさんを……?
[違う、と思いたかった]
[だけど、味方である筈のエーリッヒを、彼は手に掛けた]
あなたは……何?
[青年の言葉は、男には半分も理解できない。けれど、彼が何かを、何かの力を欲しがっているのだけは伝わった]
最善ってなあ、何だ?!それが人殺しか?
お前が欲しかったのは、人を殺すための力なのか?!
[ダガーを握る手に力が込められる。刃を押し付けられて、薄く喉の皮膚が傷ついたかもしれない]
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