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『番人』が。
[それが意味する所は察しがつき。
同時、左の腕が、疼く。
それを抑えるように掴みつつ]
……名乗りを上げるくらいなら、こうはならん、だろうな。
[呟くよな言葉の後、蒼氷は布団へと。
空白の後、足がそちらへ向いて動いた]
見たいなら見れば良いが、倒れても放っておくぞ
[近寄るハーヴェイにそう言うだけ]
[シャーロットの様子は、ただみるだけだった]
[何も無い空間、そこに何かがあるかのように視線を注ぐ。しかし夢幻は直ぐ様掻き消え、滅紫は紅紫へと戻る]
……っ。
…クインジー。
さっき、番人が身を以って証明したって、言ったわよね。
…もしかして、これって…。
[訊ねながら、紅紫は布団を捉える。その傍にはいつの間にかハーヴェイが移動していた]
……あんたな。
俺を何だと。
[クインジーの言葉に、そちらを見やりつつ、ため息混じりにこう返す。
それから、布団の傍らに膝を突き、ほんの僅か捲って、その下を垣間見た]
……これは……。
[零れるのは、掠れた呟き]
はい。
[名を呼ばれ、短い答えを]
[足を留めた少年の傍らに寄り、首を傾げる]
[豊かな金色が、僅かに揺れた]
遅くまで、起きていらしたのでしょうか。
[酷く眠たげな様に、問い掛けて]
[碧の眼差しは声の響く方角へと向いた]
…賑やかですね。向かわれますか?
んーんー……
きちんと、寝たよ。
いつもより遅かったかもしれないけれど。
[ゆるゆると頭を振る度に、
寝癖のついた髪が揺れた。
続く問いには、かくん、と一度頷いた]
何か、あったのかな。
[目を擦り、女と同じ方向へ眼差しを転じる]
………そう。
[肯定を含む言葉に返した言葉は短いものだった。両腕で自身の身体を抱えるようにし、身を小さくしながら微かに震えた。それで居て倒れずに居たのは、半ば意地だったかも知れない]
……それが、真実ってことね。
よぅく分かったわ。
[紡がれる声は覚悟を決めたような低いもの]
……は。
まったく、笑えやしない……。
[隠されていたものを再び隠し、低く吐き捨てる]
『終焉』……ね。
こうなりたくなければ……って訳か。
[呟きは、瞳の色さながらに冷えた声]
そうですか。
[リィン]
[緋の爪先で、癖のついたあかを摘む]
[そうして、華奢な掌を乗せて撫で付ける]
私には、分かりませんが。
[頷く態を見て、緋色の靴は騒ぎの方角、玄関へと向かう]
[人影が幾つかと、布団]
[床に広がる緋の色に、女は瞬いてくれないを閉じた]
[微かに手首の鈴が震える]
[進む足を追って進み、玄関ホールに辿り着く。
未だ現実か理解していない態で、声をかける]
おはよー……
最悪の、かたち?
[イザベラの台詞に一度瞬き、
ゆっくりと開いた]
[増えた気配に紅紫はすっと細められる]
──番人は終焉を望まぬなら探し出し殺せと言った。
終焉の使者たる人狼は己が正体を知る。
それを殺せと言われて黙って居られるかしら?
あの時は信じてなかったけど、これはあの話がなされた時点で見えていた結果なのかも知れないわね。
[それはイザベラの言葉に対してのもの。未だ腕は身体を抱えていたが、紡ぐ言葉ははきとしていた]
己が正体を知るは己のみ。
誰が人狼なのかも分からない。
信じられるのは自分だけ、ってところかしら。
[そこまで言うと踵を返し、玄関ホールから立ち去ろうと歩き始める]
ま……私も、ここまでのものとは想定していませんでした。
[藪睨みの左眼が小刻みに震える。]
私は止めませんけど、実物を見ようとすると
周囲の皆さんは止めると思います。
[ラッセルにため息まじりで。]
そういうことです。死にました。
[近くの扉から、窓から、風が通り、緋の気配が散っていく]
[十字を切る人の仕草は、死者を悼むもの]
どなたかに、終焉が。
[誰に問いかけるでもない呟き]
[その場を離れていく人影を碧は映し、女は被せられた布団の傍らへと寄る]
怪我人
[ハーヴェイにかえすのは軽い一言]
[シャーロットは見ないのだろうと、男はふたたび横たわった死体を見た]
[鈴の音、イザベラの声]
[やってきた人々に、男は場を譲った]
見ない方が良い
[ラッセルには一言を]
[ホールで話される会話を背に、足は廊下の奥へと向かう。突き付けられた事実に約束は頭の隅へと追いやられ、少女の姿はとある一室へと*消えて行った*]
変な事を、謂う。
終わりを齎した――
唯、それだけなのに。
そう、口にした者が、番人が、
初めに終焉を迎えるのなんて。
当たり前なのに。
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