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― 昨夜の回想・広間 ―
[ライヒアルトも台所に向かえば、広間には自分とギュンターだけになった。
なんとなく居心地が悪かったので、お酒台所に運ばせたのは失敗だったかもしれない、と思いながらも、台所の面々が広間に戻ってくるまでは、無言でジュースを飲んでいた。
ふと。そういえば、子供の頃母の旧友のところで、その弟さんと一緒にぶどうジュースを貰ってのんだなぁ、思い出す。
自分より6つ年上の彼は、よく他の子供たちと一緒に遊びに誘ってくれた。
村でも特に親しくしていた内の一人だったのだが]
………いつからだっけ、あんな風になったの。
[子供の頃は名前で呼ばれていたように思うのだが。
いつの頃からか、貴族様だの子爵様だのという呼び方に変わってしまって。それを真似したものか、他の子たちも同じように呼ぶものが増えていった。
最初の頃は、酷く寂しく思ったのを覚えている。
次第に、その寂しさは『女だって事がバレたんだろうか』という疑問に変わっていったのだが**]
―翌朝 個室M―
[当たり前に続いていた昨日が、今日も続くもんだと思っていた。
そんな望みは、朝から打ち砕かれた。
クレメンスの叫びが小さいながらも鼓膜を震わせ、ライヒアルトが出て行く音に目が覚める。ただ、事態の理解はほど遠く……]
[ガンガンとする頭を抑えながら、簡単に身支度を整えた]
[そして、変わり果てたギュンター爺の姿を目撃する]
→集会場 外
―集会場 外―
[到着したのは、全員の中でも遅い方だろう。部屋が遠いのもあるし]
ギュンター……爺?
[もう血圧の心配をしなくてよくなったんだな、とかつまらないことはさすがにいえないほどの無残な姿だった。
足跡は降りてきたものの数だけ。犯人がどこへいったのかもわからない。
そしてその傷は、刃物や銃などによってつけられたものだとは到底思えず。むしろ、熊やそういう野生の獣の襲われたものを連想させる。
そして、引き出された腸は 散らかされた、というばかりに体を大きく跳ねて飛び散っていたりもした]
うそ、だろ…?
[口を押さえる。すっぱいものがこみ上げてくる。>>78クレメンスが掻き乱して凍結させられた血の臭いもまた鼻について]
[そして、先に到着したものから出る呟きに、地面ばかりを見つめそうだった顔が、はっと上を向く>>91]
――こっから先は、未成年と女はお断りだ。見んナ。
見ちゃだめだ。
[ミハエルと、そしてその場に出てきただろう面々に、そういって。上記の条件だったら来ていいのは、自分、ライヒアルト、クレメンス、そしてゼルギウスくらいになってしまうだろうか]
クレメンス先生……検死とかまでできるんすか
[こういう時素人は現場を荒らさないのが常識だろうのに。
遺体に手を早速触れたクレメンスは、頼りになるとも異様だともどう捉えればいいのかわからない]
ほんと、何だって、こんな時にっ
[雪を殴りつける。ただ冷たかった]
いつ気付いて助けてもらえるか……
下手したら、春までこのままかもな。殺人犯なんて、閉じ込めたまんまがいいもんな……
[この谷底の村では、孤立する民家の住民は冬の間だけ仮住まいに引っ越すということがある。その家開きをするのが、だいたい雪解けを待って、だ]
[空気は湿っているというのに、喉はカラカラにかわいてしまっていた**]
なぞるしかねぇんだろ、こうなっちまったら。
現に被害が出た。
少なくとも、この村に人狼が居るって証拠だ。
[未だ村との繋がりが断たれたことは知らないため、含める範囲が広義になったが、ライヒアルトの呟き>>84には同意の意思を見せる。
集会場に限定しなかったのは、未だ集められた者達の中に人狼が居ることを認めたくなかったからだ]
細かい検死はしたことねぇが、死体を見るのは初めてじゃねぇ。
外傷見て何が原因かくれぇなら、判断出来る。
……つっても、原因なんざ一目瞭然だがな、これじゃあ。
[エーリッヒ>>95からの問いには短く息を吐きながら答える。
どのように見られたかまで気にする余裕は無かった]
自衛団が来るまではこのままになるかね…。
皆中に入っとけ。
見て気分が良いものでも無ぇ。
[とは言え、目に触れやすいままにするわけにも行かず。
かと言ってシーツかけてしまうと、確認しに来た誰かが知らず踏みつけてしまう可能性が頭を擡げて、仕方無しに自分の上着を目隠し程度に団長へとかけた。
上着なしの寒々しい姿になってから、外へと集まって来た者を集会場の中へと促す。
全員が中に入るのを確認してから、クレメンスも中へと入って行った]
[思わず呟いた後、制止する2人の声>>95>>100には、小さく吐息を零して。
顔色はあまりよくないだろうが、それでもゆっくりと首を左右に振った]
ボクは、大丈夫です。
亡くなった方を見るのは初めてじゃありませんから。
[若手貴族として、表向きは男ということになっているので、一応騎士団にも所属していたりする。
実戦経験はないが、斬り殺された遺体なら見た事は幾度かある]
さすがに、ここまで酷いのは見たことありませんでしたが……それでも。
ボクは立場上、こういう事から逃げ出す訳にいきません。
[他の女性や若い者が来たなら、さすがにとめようとするが。
自分は平気だと、そう言い張る。
ライヒアルトとエーリッヒが村へと向かう背には、「よろしくお願いします」と声をかけ。
上着をギュンターの遺体へかけるクレメンス>>103には、同意して集会場の中へ]
ユーちゃん。
わるいけど、温かいお茶でもみんなに用意してもらえるかな?
[ユーディットが起きてきているなら、彼に声をかけただろう。
なお、さきほどのエーリッヒの「未成年と『女』はお断り」という台詞に、(やっぱり、女ってバレてたんだな)と勘違いしたのはお約束というやつだろう**]
─ →広間 ─
……あー、手ぇ洗ってこねぇと。
いっそ風呂入った方が良いか。
[遺体に触れ、近くにも居たせいで血の匂いが移ってしまっている。
そのままでは他の者の気分を害してしまうだろう]
茶ぁでも淹れてやりたいところだが…仕方ねぇ。
[他に茶を淹れてくれる者が居るなら頼み任せて。
呼び止められなければ湯を浴びて来ようと歩き*始めた*]
[幼い頃の記憶、赤に沈む両親の姿。
その時住んでいた村の大人達は、仔細を教えてくれなかった。近付く事も許されなかった。それは子供に対する配慮だった、のだろうが。]
[当の子供がこうだったから、孤児院に預けた大人は、保父にも何も伝えなかっただろう。両親が亡くなった娘だと唯それだけ。]
[大人は怖いと思う気持ちが薄らと残った。教えてくれない、触れされてくれない、置いて行く。
開院当初、クレメンスに懐かなかったのは幼心にその感情が理由だった筈。自分の他にも4人程の子供>>0を抱えていた彼がようよう皆を寝かし付けようとしても、一人眠たくないと駄々を捏ね、放って置いて、と部屋を抜け出した事も良く有った。]
[それが変わったのは半年程経った頃だっただろうか。懲りずにこっそり部屋を抜け出した自分は、近くの森まで足を延ばして、案の定迷子に成ったのだ。]
[道を失えば途端に一人取り残された気に成った。怖くて怖くて堪らなくて――その時、クレメンスの声が聞こえたのだ。
迎えに来てくれたのだと気付いた時には泣いていた。クレメンスは如何したのだったか。兎に角、酷く、怒られたが。唯、それが保父としての責任感が理由であれ、とても嬉しかったことを覚えている。]
[その翌朝、クレメンスを父と呼んで固まらせたのだった。]
→ 集会場・広間 ―
[その保父の掌が、亡くす象徴の赤に染まっている事は、恐怖でしか無い。過去に彼が流血した際にも、他の子供より蒼褪めて取り乱したように思う。
それでも、年下にも関わらず気丈なミハエル>>104たちの姿も在ったため、平静を保とうとは努めた。幸い、団長の姿は部屋からの遠目にしか確かめて居なかったから、踏ん張れる。]
…クレム兄さん、……うん。
[唯、手を洗うという声には、安堵したように頷いてみせただろう。
広間へと自分も足を戻し。]
……団長さん、は。
[それから、誰へともなく、ぽつりと問うように呟いた。
――ライヒアルトとエーリッヒが目にしている、白き壁>>86>>98の存在は、未だ知らない。**]
― 集会場・外 → 広間 ―
[立場上、といった自分の言葉には、無意識に『人の上に立つべき貴族として』と、『人々の指導者・蒼花を持つ者』としての、両方の意味を含めていただろうか。
クレメンスが眉根を寄せた様子>>106には、僅かに首を傾げたものの。
相手が伯父だとまだ知らないので、単に年少者に対する気遣いだと思って特に気にしないことにした。
もしかしたら、コートにはべったりと赤い手形がついたかもしれないが>>100、今はそんな事を気にしている状況じゃない]
ブリジットさん、貴女は中に……
[自分の名を呼ぶ声>>109が聞こえれば、振り返り。集会場の中に促そうとしたが、その前に彼女の顔色は悪くなっただろうか]
大丈夫ですか?
[ユーディットがその場に駆けつけているようなら、彼にブリジットを支えてもらうように頼んだろうか。
屋内へ戻る時には、自分もブリジットを支えようとしただろう]
― ライヒアルト&エーリッヒが戻った後・広間 ―
[ライヒアルトとエーリッヒによる、村へ続く道を塞ぐ白い壁の報せを受けたのは、広間で紅茶を飲んでいる頃になるだろうか]
自衛団もすぐには来れない、ということですか。
[閉ざされた場がつくられた事を知ると同時に、屋外に放置されている遺体の事を考えて]
…………では、ギュンターさんをあのまま放置しておくわけにもいきませんね。
[この場に居る中であの手の遺体に免疫があり、それなりに腕力がありそうなのは、クレメンスとユーディットと、自分くらいだろうか?
彼らの協力が得られるようならば、ギュンターの遺体を別の場所へ運び、雪による仮の埋葬を行なう事を提案する。
クレメンスが上着をかけたとはいえ、あのままにしておけば、ベアトリーチェや他の女性の目にも付くだろうと思えば、人目につかない場所へ移動しておきたかった]
現場を荒らしたとかなんとか言われたとしても、ボクが責任を取りますから。
[自衛団がこの場に駆けつけた際に、自分が生きていなかった場合は責任は取れないが。
その場合でも、『貴族の我侭』があったとなれば、彼らが必要以上に責められる事はないだろう**]
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