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─隔離結界内・ユリアン近辺─
[巨大ふわふわに背を向け、二人を助けに足を踏み出すのと同時。
迷宮への転移と似た感覚――ただし今回は自由落下による重力加速度つき、が起った。
背後に一度弾んで着地した巨大ふわがその巨体で転移罠のパネルを押し、一番近くにいた者を巻き込んだのだろうと思い当たったのは誰かに受け止められた直後。]
――っと、と。すまない。
どうやら転移トラップにかかったようだな。
ありがとう。おかげさまで無事のようだ。
君、いい背筋してるね。
[真横で聞こえた声と溜息に、想像できる事情を説明。
立たせてもらい、礼と問いへの返答と余計な一言をさらり返した。]
[助けてもらって即さようならも何なので、相手の邪魔をしない程度に自己紹介。]
生命のアーベルだ。ベルとでも。
そちらこそ腕は大丈夫かな?
[握手、とばかりに差し出した手には多少ぴりぴりする治癒を付与。
もし握り返せば、落下加速度の衝撃ダメージ相殺+α程度の疲労回復をもたらすだろう。**]
[ふわりと漂いながらダンジョンを進む。周囲には景気良くトラップに嵌る参加者達が見えた]
「”なかなか難易度は高く設定されているようだな。
トラップの内容は然程危険なものではないが。
否、危険ではないが故の難易度の高さであろうか”」
………………。
[ベルデザンカイトの呟きに、ディルスタンは無言で頷く。ふわふわを多用したトラップは他でも良く使われるもの。その辺りのバランスはトリスタンもしっかり考えていたようだ。時折、ふわふわ増量サービス!的な量のトラップもあったりしたかも知れないが]
[ふと視線を巡らせると、目の前を過って行く大量のふわふわ。その中に男子生徒が巻き込まれていった。その生徒の盟約龍らしき灰銀の雌龍が溜息をつきながらその後を追って行く]
「”ちと量が多すぎる気がしないでもないな”」
…………。
[過って行くふわふわを視線で追いながら、ディルスタンは同意の頷きをした。それでも心中では、まぁ大丈夫だろう、と考える。それを察したか、ベルデザンカイトもそれ以上は何も言わなかった。ディルスタンが他に聞こえぬ位に何事か呟く。その後、ふわふわが溢れそうになっている各所には巨大な網が現れ、過剰なふわふわを回収して行くことだろう]
[買って来た飲食物を半分消費した頃]
「うっしゃ、第一次ふわふわ排除敢行するとするか」
[傍に開けておいた次元の歪みに手を突っ込むと、何とも無造作にごそごそ動かす。これでもちゃんと回収出来ているのでその辺りは流石と言ったところか]
「……うー、腹減った」
『そんだけ食ってまだ言うんか』
「だってさー、結界作成に結界維持、大量転移にふわふわ回収だよ?
ぜんっぜん足りない」
『ワレは元々魔力もそないに多くあらへんからなぁ』
[一仕事終えた頃には、満腹度は(02)%ほど下がっていた]
[さて、如何にマイン型トラップを回避出来るようにしたとは言え、用意されたトラップはそれだけでは無く。ダンジョンを進んで行くと、天井から垂れさがる怪しい紐が見えて来た]
………………。
「”…ディル、分かって居ると思うが…”」
[ベルデザンカイトの忠告に頷きはしたものの、ディルスタンの視線は怪しい紐へと向かったまま]
……………。
[やっぱり気になって、ディルスタンはぐいっと紐を引っ張った]
「”……だから引っ張るなと”」
……つい……。
[済まない、との呟きに、ベルデザンカイトは深く溜息をついた。周囲に沸く雑魚の群れ。無言のままそれらを見遣る]
……まぁ……暇潰しには…なる……。
「”ゴールで暇を持て余すのが嫌なだけであろう、お主”」
[本来ならいつ参加者がゴールしても良いように現地で待たなければいけないのだが。それをせずにダンジョン内の散策を選んだのはそんな理由だったりする]
ありゃ、何で雷……?
まぁでも当たったからいっかー。
[いや駄目だろう、と突っ込み受けそうな暢気な台詞を口にしながら。]
イレーネ先生、じゃ綺麗になったし行きましょー。
[ちょっと大きくなったふわふわ×2と一緒に笑顔で振り返った。
先生のおかげで被害が最小限だった、なんて事は当然知る由も*ない*]
んーにゃ、その辺はお互い様っしょ?
大体それ言い出したら先に罠にかかったボクのが、ほら。
[ねぇ?と苦笑しながらカルメンの手を取り立ち上がらせて。
罠についての予測を聞くと、あ〜…と納得したように。]
んじゃ、ベル先輩はどっか飛ばされたってとこか。
どうせ飛ばすならこのふわふわ達飛ばしてくれりゃ…ぉ?
[カルメンが脱け出した為に増殖が収まったものの山盛りになっているふわふわ達がどこからともなく現れた網に回収されていくのをきょとんとした態で見守り。]
…アフターケアは万全っぽい?
今の見た限りじゃベル先輩もそう遠くに飛ばされた訳じゃなさそうだな。
[仮に何かあればおそらく導師のフォローが入るだろうということは今のふわふわ回収で読めた。
それ故ベルが飛ばされた先がどこかは解らないが少なくとも危険は無いだろうと判断し、先程よりは気楽にカルメンに向き直って。]
そんじゃ、カル姉。
気を取り直して行こっか。
[そういって手を差し出して、歩き出そうとした、ところで。]
─…え?
[もふり。
足元が何時の間にか柔らかい感触に変わっていることに気付いたが時既に遅しで。]
うそだろおおおおおおお!?
[さっきのふわふわがまだ残ってたのかなんなのか。
一気に増殖していくふわふわにカルメンを巻き込まないように咄嗟に手で彼女を後ろに突き放した。
その反動で自分は更にふわふわに埋もれてしまう事になったわけだが。]
だーーーーーー!!!
良いからさっさとどけ、てめぇらーーーー!!!
[魔法を使えば感応で余計増殖するのは目に見えている為、物理的に蹴散らすことにした。
結局ふわ溜まりから抜け出したのは[03]分くらい格闘した後。**]
─隔離空間内─
[腕がふるふるしていたのは、十分に気取られる範囲のこと。
もっとも、表層上は何でもないように振る舞っているのだが]
あー、転移トラップかー。
ま、大事無くて良かった、って事で。
[礼の言葉に軽く返して]
そりゃま、ヒマがあれば鍛えてるからなー……ああ、俺は機鋼学科のユリアン。
あー、何てことないよ、このくらい。
[相手の名乗りに、一瞬何かが引っかかる。
確か、同じ学科の仲間がよく口にしていたような、と。
それが何でか、を思い出す前に、差し出された手を反射的に握って]
……んにゃっ!?
[伝わるぴりぴりした感触に、ひっくり返った声が上がる。
それが通り過ぎた後に、腕は軽くなっていた……のだけど]
……な……なに、今の……って。
あー。
[疑問を発した直後に、引っかかっていたモノを思い出した。
錬成実験でよく怪我をする同期が世話になっている、という生命学科の生徒の名前と、先に聞いた名乗りが一致して]
…………。
[表情が、ちょっと、引きつった。
どうしたのか、と問われたなら、手をぱたぱた振って何でもない、なんでもない、とへらり、笑って]
あー、えーと、んじゃ、俺、そろそろ行かないと。
フォルカーと、どっちが先に抜けるか、勝負してるから、時間惜しいしさ。
[負ける心算は毛頭ないので、時間が惜しいのは事実。
それでも、一応は気になるのか、走り出す前にそっちはどーすんの? と問いかけて**]
[2対2は普通にユリアン&ベッティ、フォルカー&誰かの組み合わせで
どっちが先に着くかってやればいい話じゃないのん?と思っただけらしい。
その結果がどうなったかなんて現時点で知る由もなく。
十字路のところをまっすぐ歩きつつ、
オーヴァンは同じ属性の異界龍が盟約者と共に流されていくのを見た。]
『…あのトラップ健在なのな。』
[そりゃぁね。
この学校名物(?)ですから。
とか言ってる隙に落とし穴に引っかかったとか。]
[もっぐもぐ。トリスタンは熱量摂取継続中]
「うんうん、良い具合に引っ掛かってるなぁ。
つーかディルまで何やってんだ」
『分かっとってもやりたなるんがあんトラップやからな。
ディルかて例外やないで』
[ディルスタンまでトラップに引っ掛かっている様子に、笑いながらトリスタンとヒュレストは眺めていた。そんな折、白黒のちまもふーずがフォーチュンクッキーを持って巡回に来る]
「お、お前らは確か影輝学科の…。
へー、クッキー売り歩いてるのか、偉いなぁ」
[みゅっ、と返事をする白もふをわしわしと撫でて。コインを一枚渡すとクッキーを一つ貰った]
『あー、お前らまた来おったんか。
反応に困る味やったでー』
「何だ、ヒューはもう食ったのか?
反応に困る味ってどんなのだよ」
『美味くも無く不味くも無く、可もなく不可も無く』
「なんだそりゃ」
[呆れたように言いながら、トリスタンはクッキーを口の中へぽいっ] *中吉*
………落とし穴、あるのね。
[オーヴァンにぷらーん、と首根っこ掴むように助け出されながら目が半眼。]
『怒るなよ?たかがトラップなんだから』
トラップに怒っても仕方ないでしょうよ。
“この学校らしい”とは思っても、ね。
[そう言ってとてとてとダンジョンアタック再開。**]
[少し考えるそぶりを見せてから、ベッティに先を促されると頷いて]
そうですね、歩きながら少し話しましょうか。
[大きくなった頭の上のふわふわとか、いろいろと突っ込みどころは満載だったが、ヴィターも珍しくおとなしくしている。
ベッティと並び歩き始めながら]
えっと、雷を出すつもりではなく、炎を出すつもりで、
イメージも炎なのに雷が出てしまったのでしょうか?
それと、威力はどの程度のものを予定しておりましたか?
[とりあえずの質問を二つ重ねていた]
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