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[べそをかきつつ、遺体はなるべく見ないようにして、ゲルダを部屋から出そうと試みながら]
ハインおじさん、
こっち、お願い、するです。
[ロミルダには赤くなった部屋をどうしたらいいかなんて分からなかったから、ハインリヒに向かってそれだけを言う。
もしかしたら、言う前にもう動いてくれていたかも知れないけれど]
――集会所2階・エーリッヒの部屋――
[ハインリヒが訪れても、微動だにしなかった。
腕を引っ張られて、ようやく、顔を動かす]
ロミルダちゃん。
そんなに泣いて、どうしましたか。
……ちょ。
なに……まさ、か?
[空気の感触、そこに混ざるにおい。
意味するものは、嫌な話だが──悟れた。
逡巡数刻、歩みは自然と違和を強く感じる方へ]
どうしたって、
…人狼が、…
[相変わらず引っ張りながら、答えようとして。
それからようやく異変に気がついたように、ゲルダの顔を見た]
…ゲルダさん?
─2階・エーリッヒの部屋前─
[たどり着いた先。
最初に目に入ったのは、ハインリヒ。
それから、彼を呼ぶ、ロミルダの声も聞こえて]
……ここ、って。
誰の、部屋、だっけ。
[零れたのは、小さな呟き。
実際問題、自分の部屋と、後はクロエたちの部屋以外は、ちゃんと場所を把握していないから。
その疑問は、ごく自然に口を突いた]
はい?
私なら、大丈夫ですよ。
怪我一つしていませんし。
[軽く手を振り、笑みすら浮かべてみせる。
掌は赤く、濡れていた]
ご心配おかけしました。
……ああ、ここ、なんとかしないとですね。
ユーリにぃ。
[ユリアンの声に、泣きべその顔を向ける。
遺体はなるべく見ないようにしていたから、質問にはゲルダの顔を見上げるだけで]
…そう、です、か?
[ゲルダは大丈夫というけれど、何故だか安心はできなくて。
服を掴んだ手はまだ離そうとしない]
[目に入る、部屋の状況に、蒼を一つ、瞬かせる。
広がるあか、それが意味するものは明白で。
そんな中、疑問の呟きにあっさりと答えたゲルダの様子に、何を言えばいいか、一瞬わからなくなって]
……て、おま。
大丈夫、か?
[口を突いたのは、困惑した問い]
あは。
頭を撫でてあげたいところですが、
あいにく、手、汚れちゃってますね。
[ロミルダに視線を落として、困ったように笑う。手を無理に振り払うことはなかった。
日常的な素振り。部屋の光景さえ、なければ]
……大丈夫って、何がですか?
[ユリアンに小首を傾げて問い返す]
大丈夫、ですよ。
[泣きべその顔を顔を向けるロミルダの様子に、眉を寄せる。
鸚鵡が、案ずるようにくるる、くるる、と鳴いた]
いや、ええと。
[ゲルダからの問い返し。
逆に、返答に困る]
あんまり、大丈夫に見えないから、そう、聞いたん、だけ、ど。
……そう、ですか?
[さらに首は傾ぐ。
視線がさ迷って、ほんの一瞬だけ、表情が歪みかけた。
けれど、]
気のせいですよ。
[次の瞬間には笑みに戻って]
案外と心配性ですねえ、クロイゼルングさん。
[ねえ?と、鸚鵡に同意を求めた]
…はぅ。
[大丈夫だというゲルダと、大丈夫じゃないというユリアンと。
2人を困ったような顔で見比べて、ロートスを見て、それから服を掴んでいた手を*離した*]
気のせい、って……。
そう言われて、はいそーですか、って納得できる状況なのかよ、これっ……。
[床を染める紅、倒れた者。
昨日もあった、異変]
こんな状況で、普通にしてられたら、心配性とかそんなの関係なく、気になるだろって!
[困惑はあるけれど。
危ういのは何となく感じているけれど。
言葉を綺麗に飾れるほど、器用じゃないから、思うままにしか言葉は紡げない]
―二階・エーリッヒの部屋―
[どれくらいそうしていたのか。
掛けられた声に驚いてそちらを見た]
ロミ、か…
[まだ幼い子供は涙を零しながら、それでもゲルダを気遣いここから離そうとする。
ここを頼む、という声に頷いて]
ゲルダも、向こうで休んできたら…
[いいかけて、その二人の後ろにもう一人やってきたのを見つけた]
ユリアン…エーリッヒが…
[それだけを告げる。
それ以上は言わなくてもすぐに判ってしまうだろうから]
―回想。昨夜―
いや、俺は男女差別しないやつだしな
[なんてゲルダに、ローザにも言ったことを口にする。とはいえ言わないならば自分がいうつもりだったが、ゲルダは湾曲的にダーヴィッドへと説明を聞いて]
ま、一応流民だしな。商売も生計を立てる一つとしてやってるよ
[と暖めたスープを飲むダーヴィッドにいいつつ、ゲルダの説明だけでは不足だったようで、促す言葉には頷き。やっぱりざっくりとしたことを伝えた]
[そしてしばらく調理に没頭…なのだが]
………しまった……無計画すぎた…
[当人も無自覚の内にさばかれた山盛りの魚。ってかこれどんだけあるんだよとか。どれだけ捌いたんだよとか。とてもじゃないが食える量じゃない。もう色々突っ込まれそうだが、...としては一番突っ込みたいのはこんだけさばいてもまだ豊富な備蓄だったりもする]
…刺し身と…煮付けと…潮汁…焼くのと…
[そのままのわけにもいかないと色々振り分けて作ることになって]
…疲れた……じゃ、カーラ、いこっか
[と食事を待っていたのであろうカーラに声をかけ、広間へと誘った
…ところで、食べさせるときに、なんでかひな鳥に餌付けをする図が浮かんだりしたのは秘密である]
とりあえず、手、洗いに行きましょうか?
[手を離したロミルダへの問いかけには暢気な響き。
しかし声をあげるユリアンに、ターコイズグリーンの眼を瞬かせた]
……だって、
[間を置いて紡がれるのは、言い訳めいた口調]
しょうがないじゃ、ないですか。
壊れちゃったんだから。
もう、戻らないんだから。
[俯き加減。睨むのではなくユリアンを見上げる]
お嫌いでしょう、私の事なんて。
わざわざお気にかけて頂かずとも、結構です。
[突っぱねた言い様の割に、覇気はない。
部屋を出ていこうと、一歩踏み出す]
怒ってるよ?
独り占めされちゃったもの。
[何処か冗談めかして、娘は答えを返す。
どちらが演技なのか傍からは分からぬ素振り]
まあ、でも、仕方ないよね。
[そして食事を取りながら…内心他のやつも食べて欲しいと思いながら尋ねる面々に自衛団員の話をする]
妊婦を見て…手を差し伸べないやつらだぞ…既に一般的な判断なんて…するきないんだろ
[とそれ以上何もいえなくなるハインリヒに。
そしてロミルダにはどう伝えたものかと最初思ったが、事態が事態。隠すことのほうがむしろひどいと。彼ら彼女らと同じように説明して]
気遣って言うのは苦手で、すまんな
[と一応いうものの、意外に冷静にみえるロミルダを少し不思議に思いつつ、カーラの歌を聴いたり、他にも聞くものがいたりしたら答えた後、自室へと戻った]
―回想終了―
[平静を装うゲルダは、それ故に大丈夫には見えなくて]
大丈夫じゃないだろ、お前。
[彼女がエーリッヒを慕っていたのは判っていたから]
ユリアン、その二人を連れて行ってやってくれないか?
ここは…きついだろうし。
後…他のやつらにも報せてきて欲しい。
オレがここにいるから。
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