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[セレスの言葉に、私は慈しみを込めて優しく撫でる。
「オト」
そう呼ぶのは躊躇われたけれども、否と言える状況になく。
私はただ頷いて、名残惜しい指先を獣の仔から離した。
練習の邪魔をしたかったわけではない]
[空を行くを見送れば、私はその場へと座り込む。
衣の上から左後脚を緩やかに撫でれば、白金の輪が*腕を回った*]
[嘴に触れる指を避けるように、再び大きく羽ばたくと
その手を反撃とばかりに突こうと、鋭い嘴を開いて――
ぴくりと、止まる。
ばさと一度翼を動かして、一度開きかけた嘴を閉じると
やはり無言のまま、少年の頭へと再び居座って。
しかし、何があったのか今度は触れる指も避けようとはせずに]
[そんなアルを他所に、
俺は巨大チーズオムレツを食べるのに勤しんでいた訳で。
多分、余ったオムレツは炎竜が片付けてくれるに*違いない?*]
[稽古の再開、という言葉に従魔はやや、不満げだったが]
また落ちたら、みんなに心配かけるでしょーに。
[それに、ぴしゃり、とこう返し]
……と、そうそう。
落ち着いたら、屋敷に戻ってちゃんと休んだ方がいいと思うよ。
[心配されてるかもしれないし、と。
そう、ナターリエに声をかけてから、再び*空へと*]
私の仕事は半分趣味みたいなものだからなぁ……。
[色んなものを許容する、あの空間で行きかう素直な感情達を見ているのも愉しくて。]
うん、なかなか悪くなかったわよ。
分かつ二つの青と。その境界に生まれる緩やかな波のエッジと。
生憎、のんびりとは見ていられなかったけど。
草原、か……月夜の散歩なんてのも悪くはなさそう?
[そうして、他愛無い話を*続けていくだろうか?*]
趣味が仕事か。
好きなことを仕事にするのは長続きの秘訣、ってか。
[誰もそんなことは聞いていないが、思ったことは口に出て]
ありゃ、ゆっくり見てられなかったのか。
次はのんびり見れると良いな。
俺も見てみてぇや。
月明かりの中での草原の散歩か。
それも悪くないな。
[笑いながらそう返して。しばらく楽しげに会話を続けていく]
[その間ふと視線を広間内に巡らせば、鴉を頭に乗せた少年が満腹になったのかオムレツを余らせていて。その余ったオムレツを大食らいの赤髪の青年が残らず平らげて行くのを見たかも*しれない*]
[たとえ啄ばまれても][意に介さなかったろうが]
[鴉の奇妙な挙動を目にして、不思議そうに瞬き]
……?
[大人しくなった様子に首を傾けつつも]
[上から下へと緩やかに羽を撫ぜていく]
[その間にも着々と消費される巨大な黄色の塊]
[勧められても応じる素振りもなくて、]
[食事よりも目の前の生き物の方が好いらしい]
ん。
[少年が腹を満たした頃、]
[漸く満足したのか手を離す]
[交えられる会話には積極的に加わる事無く]
[時折思い出したように言葉を付け加えるだけ]
[視界に飛び込んでくる]
[不規則な文字の羅列]
[或いは、]
[聴覚に割り込んでくる]
[抑揚の無い音の連なり]
[近しく][遠い][“コエ”]
[共振]
[共鳴]
[同様のちからを有する者たれば]
[それは当然であったのかも知れず]
『誰。
……何を?』
[されど問いかけに答える声は無い]
[此処では、まだ、遠いのだ。]
[片側の青は細められて]
[認識不可?]
[零れた息は声とならず]
[発声失敗?]
[それに気付いた者は居たか否か、]
(既に広間に気配は無かったかも知れず)
(他者が居ようが居まいが意識には無く)
[*機鋼の属性を有した魔は何処かへ*]
/*
感知してみましたが、遭遇するか否かは未定。
ミリィに時間の希望があれば合わせますし、
要求の都合上、同時でないほうが好ければそれでも、勿論。
一応、協力者が他にも居る事は、きっと機鋼竜が伝えてくれる。
今日もオフなので、それなりに覗けるかと。
それでは。
*/
[なし崩し的に、イレーネとアーベルにくっついて屋敷へ来て、何となく壁際へ行ったあとの記憶はリディ自身には無い。部屋のひとつでとっぷりと、健康な眠りを*貪っている*]
[深淵で
声を発するものが居た。
声、音波は振動として塔を伝い、外周区画を巡り、見えない壁を駆け上がり、微かに、微かに振るわせた]
(……誰?)
[夢現での問いかけに、応える現は*無し*]
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