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─ 地下 ─
[スコップに付いた雪を丁寧に削ぎ落とし、元あった場所──物置へと戻しに行く。
雑多に物が置かれたその部屋の、持ち出した場所へとスコップを置いて物置を出た。
地下には物置の他に貯蔵庫があり、そこには一冬越すには十分な量の食料が置かれている。
酒に至っては年代物のものがあり、それを知る者が酒を目当てにここを訪れることも少なくないらしい。
酒は嗜む程度、深酒することも無いマテウスにとってはそこまで興味が惹かれるものでは無かったが]
[普段あまり入らぬ場所であるために物珍しげに見るのみにして、旋律の止んだ地上へと戻って行った]
─ 聖堂 ─
[旋律が止むのに少し遅れてピアノを視界に収め、若干遅まきながらも拍手を送る。]
見事な演奏ですね。
心によく響く。
[そう、ピアノの裏にいるであろう奏者へと声をかける]
─ 聖堂 ─
[こてりと首傾げる様子にばつが悪い気持ちを抱きつつ。
彼女の返答を聞くと、そのばつの悪さも吹き飛んで]
ちょ、それってほとんど見られてたってことじゃないの!
もう、それならそうと声位かけなさいよ。
…恥ずかしいじゃない。
[人の目を気にしないで思いきり没頭していた自分の姿を見られていたと知ると、微かに頬を赤らめて文句を言った。
そこに恥ずかしさを感じる前にもっと違うことに恥じらいを持てと突っ込み入れたい人も居るだろうが、エルザはどうだろうか。
ともあれ、お久しぶりと言われれば気を取り直して]
えぇ、お久しぶりね。
元気そうで何よりだわ。
エルザ、前に会った時より綺麗になったんじゃない?
[彼女の名を呼び、笑顔を向けた]
―談話室―
この部屋なら大丈夫だろうけど、夜まで火は灯せないしね。
[肩の上で首を傾ぐ蒼に、そっと右の指先を近付ける。
どういう反応をするだろう、と興味本位の行為]
そうだねえ、仲間と共に在るのが本来の姿なわけだし。
ま、望んで戻らないのならそれは自己責任かなあ。
[小鳥へ視線を送っていたから身体は少し屈む態。
小さく息を吐く>>269のに目線を移そうとすれば、自然見上げる形になろうか]
[それが、エーリッヒの言葉の後に向きを変える。
追って向けた藍鉄色は、風に吹かれる白を見留めて]
……気付かなかった。
寒かったのはこの所為なのかもなあ。
─ 回廊 ─
[地下から出て来て回廊を歩く。
ふと視線を向けた中庭にも白は舞い降りていたが、外ほどの風は感じられない。
けれど、音は徐々に強くなってきている]
………不安にしてなきゃ良いが。
[外から届く音にほんの少し眉尻を下げた。
幼い長男はきっと、音に怯え妻にしがみ付いていることだろう。
それほどまでに天候は悪化の一途を辿っていた]
イレーネを連れてでは外に出られんな…。
[1人でならば強行も考えたが、今ここにはイレーネが居る。
団長もまだ話し込んでいるようだったから、ここから離れることも出来なかった]
12人目、行商人 イヴァン がやってきました。
─ 聖堂への道 ─
[勢いを増す風の中、雪を踏んで坂を上っていく男が一人]
……ひっでぇ天気だなぁ。
まあ、まだここが登れるうちでよかったが。
[ぼやくように言いながら、男は歩みを速める。
風が強くなれば、丘の上の聖堂の扉も閉ざされてしまうだろう。
その前に、たどり着かねばならなかった]
あそこなら、いくら泊まっても金はとられんからなぁ。
[にや、とどこか下卑た笑いを浮かべた顔に、風まともに吹き付ける。
男はマントのフードを引き被ると、先へと足を動かした]
─ 聖堂 ─
[と。
雑貨屋の女性と久しぶりの再会を済ませた所で、新たな拍手の音が耳に届き]
え、
あらやだ、エルザだけじゃなかったの。
[>>268拍手と声のする方へと視線を向けると、見慣れぬ姿。
おそらくは旅人だろうか、向ける笑顔はエルザに対してのものよりにこやか]
ありがとうございます。
耳障りにならなくて良かったわ。
[風変わりなピアノ奏者として名が馳せている自覚はある。
どんな所で評判が落ちるか解らないからと、愛想良く返した]
─ 聖堂前 ─
シスターさん、いるかーい!
行商の、クルックだ!
シスターさーん!
[がんがんと無遠慮に扉を叩く音は風の響きの中でもよく響く。
その音と声に気づいた者が応対に出たならば、横柄な態度で以前ここを何度も訪れていた行商人である事を語り]
宿をとる前に挨拶を、と思ったらこの天気でなあ。
すまんが、泊めてもらうぜ。
……ああ、案内はいらねぇよ。
後で、メシと酒だけもらえれば。
[こう言うと、勝手知ったる様子で奥へと入り込み。
客室として普段から整えられている一室を選ぶと、さっさとそこにこもってしまうのだが]
[そんな男の記録は、村役場には辛うじて、こんな形で残されている。**]
──────────
■名前:イヴァン・クルック Iwan Crook
■年齢:不詳
■職業:行商人
■経歴:以前から聖堂に出入りしている自称・行商人。
あまりよくない噂もついて回るため、村の者からは厭われているが、老尼僧は変わらぬ態度で受け入れ続けていた。
──────────
─ 聖堂出入口 ─
[談話室へと戻るつもりだったが、風の音に負けないくらいの声と扉を叩く音>>278が耳に届いた。
ライヒアルトまで音が届いたか分からなかったし、音が聞こえる位置に居たのだからと応対に出る]
……アンタか。
[そこに居たのは見覚えのある男だった。
常から表情の変化が乏しいマテウスだが、顔を見るなり眉根に険が寄る]
シスターは今取り込み中だ。
挨拶は後にしてくれ。
[以前からここを利用しているのは知っていたから、案内は要らないという言葉に返すことも無く。
無遠慮に奥へと向かう様子に嘆息を一つ零して、その背から視線を逸らした]
─ 聖堂 ─
耳触りなんてとんでもない。
素晴らしい演奏でしたよ。
……おや?
[奏者である彼女へと称賛を送り近づいていくと彼女の顔に見覚えがあった。
あれは確か2年か3年前の都でのことだったと思う。]
もしかしてウドヴィルさん?
もし人違いだったら失礼、ピアノ奏者のオクタヴィアン・ウドヴィルではないですか?
これは不思議な縁だ。
あ、失礼。
レナーテ・ソレルと言います。
あなたの演奏会を何度か警護したことがある。
─ 談話室 ─
ええ……夜も、冷え込みますからね。
[渡りをする鳥には厳しい環境、とは常々思うこと。
自己責任、との言葉>>273には何も返せなかったが、滲む苦笑は内心を物語るか。
伸ばされる指先を、小鳥はじい、と見つめて動かない。
そうして触れたものが、乱暴に扱わなかったが故の慣れがそこには覗いていた]
……あまりに酷いようであれば、無理に降りない方がいいのでは?
[そんな小鳥の様子に微かに頭を痛めつつ。
雪が降らなければ、との言葉>>272に、軽く眉を寄せる。
とはいえ、それで道が埋もれてしまうような事になれば、違う意味で厄介だな、という思いもあって、自然、天鵞絨は険しさを帯びた]
─ 聖堂出入口 ─
[行商人の男が立ち去った後、入れ替わるように老尼僧と団長が現れた。
どうやら話は終わったらしい。
老尼僧に、「あの人が来たのね」と言われ、はぁ、と曖昧な返事をした]
団長、用向きは終わったので?
[問いに返る声は是。
けれど表情は厳しいままだった。
その様子に訝しげにしていると、シスターから天候についてを聞かれる]
えぇ、随分と荒れています。
外に出るのは危険かと。
[それから他にも訪問者が居る旨を伝え、泊まってもらうのが一番良いと言う話になる。
その間も団長は至極渋そうな表情をしていた]
─ →談話室 ─
[それから進路は談話室へと。
老尼僧と団長も同行し、室内へと足を踏み入れた。
老尼僧は居る者に挨拶し、先程話した通りに宿泊についてを伝えていく]
……イレーネ、大丈夫か?
[美味しいパイの秘密を知るエーリッヒが居る割には大人しい娘に気付き、声をかけた。
既に眠っているなら、ひとまずはそのままにして部屋の確保に向かうつもり]
─ 聖堂 ─
あら、ありがと。
そりゃ確かに集中はしてたけどね。
遠慮なんかいらないから、声位かけて頂戴。
[>>280エルザの言葉に、頬にまだ少し赤みを残しながらも苦笑を返し。
綺麗になったといったこちらへの反応には、若干不服だと目を細め]
あら、アタシが嘘をつくとでもお思い?
確かにアンタの顔なら化粧映えするでしょうから、それはそれで綺麗だろうけど。
素顔のままでも充分綺麗よ。
やっぱり若いっていいわね、肌の張りが違うわ。
[そう言って笑んだ後、小母様も元気かしら?と問いかけた後旅人に視線を移して]
あら…それはまた奇遇というか。
ありがとうございました。
[>>282問われたことに目を見張った後、警護してくれていたことに礼を述べた]
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