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[そこで、はっと気がついたのか、エーリッヒの方を向き]
そういえば、自己紹介をまだしてませんでした、よね?
はじめまして、私はナターリエ・ヘルゼーエンと申します。
どうぞ、よろしくお願いします。
[そう言ってぺこりと一礼。もし、近い将来闘う運命にある相手だとしても、礼を欠いてはいけない。]
聞いていれてくれるくらいなら、最初っからあるんじゃねーの?
ま、廃墟ん中には、古いモンが色々と残ってるらしいから、探せばなんか出てくるかも知れんが。
[ピアノの話はしないものの、そう言って。
論点のズレには呆れたような表情を僅か、覗かせたが、突っ込みは避けておいた]
『狩り』系のターゲットには、ゲテモノ多いからな。
心臓にいいぞ、かなり。
[きょろりきょろりと周囲を見渡しながら]
――建物の近くは、何もいないの、ね?
[十分な高度を保ちながら地上を眺めれば、
帰りの道中でも怪物の類を発見する事はできたようで]
あまり――遠くには行かない方が、良いみたい?
[ふと、高い空を見上げて]
――でも、それってつまんない。
こんなに広い、のに。
こんなに高い、のに。
[何処か釈然としない様子で、今度は俯いた]
…ブリジット様は未だ戸惑いが多い様子。
相対する者は少ない方が良いですよ。
では何かあればまた。
そちらも何かございましたらお呼び下さいませ。
…折角あちらを出せる相手が居ると言うのに私でなければいけませんか。
その方が良いと仰るのでしたら、そのように。
少々残念ですが。
[苦笑の後に承諾するように頭を下げて。
未だ口調の変わらぬ目の前の相手には深緑の瞳を細めて]
『アタシは心は女性よぉ?』
[口は開かず、声だけが聞こえた]
それでは失礼致しましょう。
出るところを誰かに見られても面倒ですので…。
[そこまで言うと再び影がオトフリートを包み込んだ。
ズズ、と言う音と共に影は小さく床に沈んで行く。
影が完全に床に沈んでしまうと、そこには何も*残らなかった*]
…っと、――?
[何ですかこれ、と反射的に受け取った其れ。
掌に収まった長方形の箱に、眉を寄せて。
――告げられた言葉に、更に顔を顰める。
それはもう、あからさまな嫌悪に。]
……、…うっわ。
[感謝のを述べるどころか、失礼な一言を口にした。
と、己を呼び示す名に、ゆるりと視線を向けて。]
…――嗚呼、また。 「スピカ」。
[背を向けたままひらりと、箱ごと手を振って。
其の足取りは、地上へ向かうエレベーターへと]
忠告は感謝する。
私としては、影でも赤でも、どちらでもいいのだが。
もし、他者に見られては面倒だろう。
[残念がる様子を見やりながら、端末を片手で弄る。
奴、が誰を指すか――齟齬らしきものには気づいたが、面倒だと思ったのか、敢えて訂正する事もない。]
それは失礼。
[声には、短い謝罪。
沈み行く影を見送り、ストラップを指先で弾いた。]
…ああ、えっと。ご丁寧にどうも。
エーリッヒです。――エーリッヒ=ハイゼンベルク
[こちらこそよろしくお願いします、と。
頭を下げられ、慌ててつられたように軽く会釈を返して。
握り締めたままだった端末についた鈴が、チリリと音を立てる。]
廃墟の中の娯楽施設、か。…何かあるんですかね。
まぁ、探してみるだけの価値はあるかな。
[青年の言葉に、ゆるりと首を傾げて考え込む。
危ない目に会うのは、好ましくないのだけれど――
暇つぶしを探すのも、良い暇つぶしだろうし。]
ゲテモノですか。
――それは、きっと向いてませんね。僕。
ここのクリーチャーたちも、なかなか面倒でしたし。
[何を思い出したか、小さく溜息。]
[そういう反応が返ると、予測していないはずはなく。それは、ある種、嫌がらせのようなものだろう。明らかに、親愛を示すものではない。
正反対の使われ方をしては、記念日も形無しだ。
鉄の扉の彼方へと消える背を見送り、画面に目を戻した。]
ま、何がどんだけ残ってるかは、わからんがね。
廃墟ん中は、クリーチャーの気配もねぇから……ま、あれだ。
急な崩落にだけ気をつければ、危険はねーし。
[予測がつかない分、クリーチャーより厄介な感もあるが。
そう言った部分も含めて、廃墟群というものには慣れているせいか、口調は軽い]
ここのクリーチャーは、まだ、素直だろ。
突発災害級と比べれば。
[ここで戦ったものを思い出しつつ、呟く。
比較対象は、絶対間違っているが]
[鉄の扉が閉じる。低い静かに響く起動音を背後にしながら、
手の中に納まった長方形の箱を軽く放り投げた。
軽いそれは、くるりと一回転して再び掌の中へ収まって。]
……、…。
[舌打ち交じりに、翠を伏せたまま溜息を零す。
と、僅かに引っ張られるような浮遊感と共に
エレベーターが止まった。地上へと到着した合図。
ゆると、*視線を上げた*]
[アーベルの惚けた声に、フフっと微笑むと]
娯楽……そうですね、何かいい物があるといいですね。
[しかし、一転。表情を曇らせると]
ゲテモノ……ですか。私もきっと向きませんね。『狩り』には。
[そう言って、たははと苦笑い。]
まぁ、宝探しみたいで面白そうですし?
近々暇なときにでも探してみます。
――崩落は、あれです。其のときは其のときで。
[運次第ですよね、と。何処かお気楽な返事。
慣れている訳では無さそうだが、ただ危機感が無いのか
軽い口調に釣られたのか、へらりと笑みを向けて。]
…素直、なんですか?
突発災害級は、出会ったことないんで判らないですけど。
[それはそれで凄そうですね、と小さく呟いて。
何処か楽しげに、液晶の壊れた端末を軽く放り投げる。
繋がった小さな鈴が、微かに白金の音を*鳴らして*]
あの廃墟が、いつのものか、にもよるだろうが……。
場合によっちゃ、お宝もあるかもね。
[壊れた理由が『変異』の破砕か抗争の破壊かでは、時代的なズレも多少はある。
当然、前者の方が歴史的価値の高いものは多いわけで]
……っていうか、そも、あんたの場合は、荒事自体が向いてない気もするが。
[苦笑するナターリエに、素で突っ込みを入れつつ]
ま、そうとも言う。
[エーリッヒの運次第、という言葉は、さらっと肯定した]
ああ、素直で直線。
突発災害級は……ま、文字通りのモンだからな。
[何度か狩ったそれを思い出しつつ、ちょっと遠くを見やってため息一つ]
……さって……。
いつまでも、冷えるとこで立ち話、ってのもなんだし。
俺は、そろそろ戻るけど……お前らは?
[軽い口調で、二人に向けて問う。
返る二人の返事がどうであれ、建物まで戻る事は変わらず。
……戻ってイレーネに探し物の結果を聞き、襲われた話を聞いたなら。
無事を安堵しつつ、多少、*小言は言うかも知れない*]
[暫くの間、モニタ越しに「参加者」達を眺めていた。
無機質な双眸に映り込む映像。
しかしそれにも飽きたのか、立ち上がり、機械に囲まれた無人の部屋を後にする。エレベーターを起動させて、地上へ。
そして、外へ。
風は、冷たい。]
[夜闇に包まれた廃墟の中に佇み、汚泥のような沈んだ色をした髪を靡かせる姿は――そして、いろの無い空虚な眸は、まるで幽鬼の如く。
唇が、緩やかに動いて、音をつくった。]
ひふみ よいむなや こともちろらね
しきる ゆゐつわぬ そをたはくめか
うおゑにさりへて のます あせえほれけ
[紡がれる東の国の詞は、唄の響きを帯びる。
ぶつかり合う玉が、結ばれた鈴が、鳴った。]
[ふと、垂れた翼の隙間に紅い色を見留める。
先程の怪鳥の血がまだ残っていたようで]
――っ。
[ばさばさと、嫌な思い出でも払うかのように乱雑に羽根を振るう。
やっている内に何だか遣る瀬無くなってきたのか、
完全に汚れが落ちたのにも気付かずその動作を続ける。
その姿を帰ってきたアーベルが見たなら、
どうしたのかと問うだろうか?
そうすれば、探し物が見付かった事も、
その後怪鳥――コカトリス――に襲われた事を話すだろう。
小言には、自分は悪くないもんと最初は愚図ったが、最後には
不注意で接近を許した事は自分の非として*理解しただろう*]
[荒事自体が向いていない気が、と言われ]
……そうですね。私なんてここに集められた他の方々と比べれば。
[そう言って、僅かに顔を伏せる。]
[突発災害級。予知越しに見た事はあれども、籠の鳥であった私は、実物を見たことはなく。
その実際の威圧感は感じたことはない。しかし、聞く限り]
……怖いですね。そんなものが人を襲うなんて。
[そう言って、肩を掻き抱く。]
[そして、そろそろ戻るというアーベルの言葉に頷くと]
そうですね。戻りましょうか。
[そう言って彼に付いていくだろうか。
イレーネから結果を聞いたアーベルがイレーネに小言を言えば、おろおろと2人の間を右往左往し、イレーネが非を認めた頃には、おろおろとしながらも*仲裁に入るだろう*。]
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