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[駆ける先、きのこ目掛けて野ねずみがぴょいと飛び掛る]
あ、
[ギュンターよりも先に、野ねずみがきのこへとしがみ付き、きのこが歌を止めてふるふると震え始めた。
嫌な予感、と思った矢先、ボンッ!ときのこの笠から胞子が飛び散る]
うわぁ!
[駆け込む形になったギュンターは胞子の舞いに巻き込まれ、きのこの姿を見失ってしまった。
近くからは、ちゅーちゅー!と野ねずみ達が騒ぐ鳴き声が聞こえる。
突然のことに野ねずみ達は一目散にどこかへと走り去ってしまった]
げほっ、……油断したぁ。
[緩やかに四散して行く胞子の中から出て来て咳き込む。
青いきのこは当然のようにどこかへと逃げてしまっていた*]
[こちらの申し出に表情が明るくなった>>25ギュンターからの感謝に、笑顔を返して]
良いって良いって。
その代わりって言ったら何だけど、アタシも怒られそうだったら助けお願いね?
ドロテアちゃんとゼルマおばちゃんも。
[時間かかるかもとは言って出てきたけれど、夜になっても帰らないなんて思ってはいなかったから。
帰宅後のお叱りは免れなさそうだし、ここで保険を立てておいた。
自分とギュンターだけじゃなく、ドロテアとゼルマもそうだろうと思って視線を向けて。
そういえばホラントは、と此処でようやく噂を持ち込んだ当人の姿が見えないことに気がついた]
[こんな状況で離れる様な人じゃないけど、と思いはしたものの今はきのこがぽっふぽっふ飛んでいる上暗くなった空の下きのこの青い光が眩くて探すのもちょっと難しい。
ホラントだって子供じゃないんだし、先ずは目先のお願いに応えようときのこの捕獲に集中しようと思い直して。
>>17>>23小さな妖精がドロテアと話をしているのに気付いたのは、そんな時]
……ほんとに?
[絵本で見たままの姿を現実に見た驚きに丸く見開いた目は、そのまま妖精を追いかけて。
>>24耳に届いた澄んだ歌声と、応じる様に音を奏でるきのこの光景の美しさは少しの間時間を忘れさせた]
[こちらが我に返ったのは、>>29>>30マリオンがきのこ達に近付きふわりと柔らかな仕草で腕に抱える一連の動きを見ていたから。
すぐ傍ではなかったから囁きまで聞き取ることはできなかったけれど]
そうだった、見とれてちゃダメだったわ。
というか、マリオン捕まえるの上手ね。
[きのこに逃げられる事もなくさらりと捕獲していた様に見えたから、自分とは大違いだと感心しながら拍手を贈って。
>>28ギュンターの困り声が聞こえて、そちらに視線を向ければ彼の腕にもきのこが抱えられているのが見えた]
ギュンターもすごい、良い調子じゃない?
[彼は結構捕獲成功しているはずだ。
森防人のおじいちゃん譲りの何かがあるんだろうか、と思いながらやっぱり拍手を送った]
わっ
[足元を不意に横切る何かに気付いて足を引っ込め。
何だろうと目を凝らしてみると、大きな尻尾がゆらんと揺らめいた。
目が慣れてくれば、その姿がちゃんと見えてきて]
…なーんだ、リスか。
もう、人の足元走ったらダメよー。
踏まれちゃったらどうするの。
[め、と叱る様に指を振ったら、それに合わせる様に鈴のような音が鳴った。
あれ?と思ってもう一度指を振ってみても、やはり同じ音がして。
周りを見回すと、すぐ傍にふるふる佇んでいるきのこの姿]
…ふむ?
[もしかしてこれが鳴ったのだろうかともう一つ、試してみたいことが思い浮かんだ]
[どうやらきのこは指を振る動きが気になる様。
上手く行けば捕まえる隙が作れるかもしれない、と思って試したのは半分成功だった。
しゃらんしゃらん、と音を奏でるきのこは表情とか無いはずなのに楽しそうに見えて。
これなら抱っこしても逃げられないかもと手を伸ばしかけたのだが、指の動きが気になったのはきのこだけでは無かった模様]
ひゃああん!?
って、ちょ、待っ──
っふ、ごほっんん、けほっけほっ
[突然背中を何かが駆け上がっていった驚きに動きは止まった上、変な声まで出てしまった。
驚かせてしまったか、ぽふん!ときのこは大きな動きで跳ねて逃げてしまい。
しかもその拍子に噴出した胞子を思い切り吸い込んだこちらは追いかける事すらままならなくなった**]
、もうっ
いったい、何、がー…っ
[けふけふと咳込みながら、悲鳴の元になった背中の何かを確かめようと手を伸ばして。
もふ、とした毛並みに触ったと思ったらぺたりとした感触が手を伝って腕に移ってきた。
そうして目視できる所までやってきたのは、つい今しがた見たのと同じ大きな尻尾を持った小動物]
……もしかして、さっきの子?
[そう問えば、返事の様に小さな鳴き声を返すリスに気勢を削がれ、けふん、と力の抜けた咳をついた**]
[とはいえまだ立ち上がるまでには至らず、
どこかおろおろした様子にも見える妖精に、
何と言葉をかけたらよいのでしょうか……と思っていると、
視界を横切る小さな影がまた一つ。>>36
もっともこちらは私にとって馴染み深いものでしたが]
……!
[ゼルマおばあ様の連れている黒猫さん――フィリックスです。
何がそんなに気になって駆けだしているのでしょうか。ひょっとしてさっきのリス……?
飼い主たるゼルマおばあ様も追いかけてきましたが、
おばあ様のお目当てはフィリックスとは一緒ではないご様子です]
…………満足したら、きのこもおとなしく手元におさまってくれるでしょうか。
[妖精に声をかけるゼルマおばあ様を横目にぽつり。>>37
無事に事が運ぶかはわかりません。それでも、]
……私からもお願いです。
もう一度歌ってくれないでしょうか。
おばあさまの言う通りきのこもなんだか楽しそうでしたし、
それに私も、妖精さんの歌が好きになっちゃいましたし……
[じいっと妖精を見つめて頼み込めば、やがて、
『……もう一度やってみる』という、か細いながらも確かな返事が寄越されました]
[ふわふわ、ふわり。
妖精は月の光を吸い込んだかのように青く染まったきのこに近付いて、
きのこをその場に縫い留めるかのような歌を澄んだ声で響かせます。
心なしか、先程よりずっと大きな声で歌っているような……。
だからでしょうか、
歌に合わせて傘の部分を振っているきのこの数もひとつやふたつではありませんでした。
きのこにお顔がついておりましたら、
きっととってもほのぼのとした表情をしていたことでしょう]
……これは、すごい、ですわね……。
っと、ゼルマおばあ様も今のうちに。
捕まえちゃいましょう。
……!
[今私の手の中にはもっふりとしたきのこの感触があります。
胞子をふき出すこともなく実に大人しくしております]
や、……やりましたわ!
ってそうだ籠の中に入れちゃいませんと……!
[慌てて私は籠へと一歩を踏み出します。
その後は小動物に足止めされることもなく途中で転ぶこともなく、
捕まえた青いきのこひとつを籠の中へ入れることができました*]
はい、いらっしゃい。
[フフ、と笑いながら受け止めたキノコを抱き込んで、ゆるりと振り返る]
ドロテアちゃんも上手くいったみたいねぇ。
本当に素敵な歌だものねぇ。
[同じように籠へとキノコを納め、ニッコリ笑った*]
[……そういえば青いきのこが現れるようになってから、
すっかり素手で捕まえてばかりになってましたわね……なんとなく。
イゾルデさんが貸してくれた虫取り網、
まったくお役に立たなかったわけではないのです。
ただ、きのこの逆襲に遭ったりうっかり空振ったりしてしまっただけで。
もっと採集上手な人なら網を使ってもバンバン捕まえられたのではないでしょうか。
今は邪魔にならないよう草むらに置いております。
あとで丁重にお返ししませんと]
ふふ、ここにも妖精さんの歌のファンがおりますわ♪
[ゼルマおばあ様の言葉を聞いてそう言った私は、
当の妖精さんより嬉しそうにしていました。
素敵な歌。
もっと色んな方に聴いてほしい気もしますが、
この妖精さん、あんまり観客が増えたら隠れてしまいそうでもあります。
……噂は噂のまま、その方が綺麗なのかもしれませんね――とも思いつつ]
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