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[利吉には僅かに微笑むが。涼の声にそちらを見て]
涼さん…。
[ただ必死な声に、それは以上聞くこともできず]
…うん、だいじょ、うぶ。
やらなきゃいけないことも。あるんだから。
やると、決めたんだから。
[詰まった声ではあったが、史人にもそう返した。
小さく手が震えているのには気付かないまま]
[声が聞こえた気がする。
でも、止まることなんてできなかった。
りきっちゃんは無事だった、でも見てないおばーちゃんが心配で。
椅子の分とか、ドアまでの距離とか、ドアがしまりかけてた分とか、そんなちょっとした障害で、りきっちゃんに追いつかれるのは、いつもよりも時間がかかることは、気付いていないけど。]
[走って走って、なにかに足をとられて、転んだ。]
これが格好よいといわれるのは予想外
いや、忘れて。主に私のために
[いつものように笑う裕樹にこちらも同じような笑みを返して]
まあそうだったらいいんだが…って
[涼の行動。それに続く利吉の動きに立ち上がり、追おうとする]
ご主人…誰かついてきてくれるなら、探しに行きたいところだが。
[小百合の疑問にはそう返して。
また何人か旅籠に入ってきた事に安堵の表情を見せる]
良かった。まだ無事な人間がいた…。
っ、や、だ…っ!
[あぁ、そうかって思った。
これ、だ。
白い棒みたいな人の腕、その先の体は赤い。
桜はこれだったんだ。
最初は、宮司さん。次は誰って、――]
涼!!
[雨が降っている。
視界がよく利かない。
すぐそばにいたはずの涼の姿がよく分からない。
自分が何処を走っているのかもよく分からない。
何も何も分からない]
涼!
何処だ!涼!
[もう一度大きく叫ぶ。
名前を呼べば安心する。まだ自分は忘れてないと。
なのに、この心に広がる不安ななんだろう。
自分には―――分からない]
[涼の様子にはやや表情を険しくするものの、利吉に任せるのが得策かと思い。
玲へと声をかける]
……お前の決意は、わかってるつもりだ。
けどな……お前一人が、背負う事じゃねぇ。
それは、忘れんなよ?
[静かに言って、入ってきた晴美や孝博、聡によ、と言いつつ手を振った]
死体だらけだ。
ああ、これぁ俺の血じゃねぇよ。
[自分の服を示して言う。]
誰か、死体だらけ、村の外に出られない、って以上の事を…、この村で何が起きてるかわかるやつぁいるか?
・・・・聡?
[琉璃のコエに、ちらと聡を見る。
先程からずっと行動を共にしてきた青年。]
イイんじゃ、ないスかね。
[返しは、軽かった。]
[琉璃の傍に佇み、新たに旅籠へと入って来た者達を見ると安堵の色が浮かぶ。生存者が居る。それだけでもありがたいことではあった]
晴美君、孝博君、聡君…。
無事、だった…。
…涼、ちゃん…!?
[入れ違うかのように駆けて行く涼の姿。それを追う利吉。自分は動けず、ただ見つめるばかりとなり]
ありがとう、玲。
[水を取りに行ってくれた玲を見送った後、飛び出す涼と利吉の姿。
追いかけようにもその姿はすでに見えなく。
今追っても逆に場が混乱するだけだとその場にとどまることにした]
おかえり、君達は…無事だったんだね…。
[入れ違いで入ってきた聡、晴美、孝博に視線を向ける]
あ。 ぁ……
やだ、やめて
やめ、……
[強い人。顔を、しぐさを、あたたかさを、思い出して、立ち上がる。でも、
――とめにむかうことなんて、できなかった。]
涼ちゃん?
[走り出しかけた涼の方を向くが、一足遅かった。
走り去る二人を見送りながら。]
…まぁおとーさんが、それこそ死に物狂いで保護してくれるわよね。
[ぽつり。
入れ替わりで入ってきた3人にはひらと手を振る。]
これで…ひーふーええと、12人かしら?
[言えばぐるると鳴き声が聞こえた。]
たす1匹、ね。
ああ、裕樹。ご主人探すなら私も付き合うわ。
[そう申し出た。]
[戻ってきた面々とすれ違うように、涼が飛び出して行くのに立ち上がりかけ。
けれど、追う人物の姿を見れば腰を下ろした]
…無事で帰ってきてくれれば良いが……。
[手は自然、祈るような形になった]
っと。すみません
[入ってきた晴美、孝博、聡にそういいながらも、扉を開ける
驚いていた間に反応が幾分遅れて]
涼さん!
利吉さん!
今は単独行動は駄目です。わかるでしょう
……うん。
[史人には素直に頷いて。
涼たちと入れ違いに戻って来た三人に、安堵と不安の両方を強くしながら]
…聡さんには信じがたいかもしれない話、でいいなら。
涼さんと探偵さんが行ってしまったけれど…。
[奥へと向かいながら、入り口を振り返りそう言った]
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