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[川べりに倒れたままの旅人のからだの周りには
蛍が弔うように集っていました。
牧師は、旅人のからだを眺めた後、
祈るような姿勢で、言葉をつぶやきます]
ええ、本当に。
寂しいものです。
[牧師はそう言って、
ごちそう、ごちそうと鳴くからすたちを見上げます]
いや、何も得られていない。
少なくとも、噂男も羊飼いも美味な獲物ではなかったようだな。
そういえば、何だかドロテアが余所余所しいのだが。
さっきも私がアナと話しているのを見ながら、
こちらには近寄りもしなかった。
[狼の耳は、普通よりも敏感なのです]
何か勘付いたのではないだろうか。
……弔いはどうするんじゃ?
1日に二人も、では……。
[それに、明日もまた、それは増えるのかもしれません。
追い付けないほどの早さで、村人は減ってゆきます]
ゆっくり休んでくれ、とも言えそうにないのう。
やれやれ……。
[時折からすを手で払うようにしながら、ルイのからだを包みます。
このままこの場所においておくのは、余りに可哀想でした]
そうじゃのう。
[二人を味わったおじいさん狼もまた、そのことはよおく知っていました]
ほう、ドロテアが。
ならば今夜は、あの子を味わってみようかのう。
邪魔者の言葉を飲み込んでしまうのも悪くはないわい。
[おじいさんは、仲間の言葉に頷きました。
しかし、他に自分を疑う人間がいることには、まだ気が付いていなかったのです]
村のお墓は、村人たちのもの。
旅人には過ごしにくいでしょう。
蛍の集う綺麗な風景の中、
このまま、ここの川の畔に眠るのが
ルイさんにとっては、いいのかもしれませんね。
[そう言って、ご隠居の同意が得られるならば
太い木の枝を使って、墓穴を掘り始めるでしょう]
〔先にいる人が誰か見えたはずなのに、さっきのドロテアのおはなしは聞いていたはずなのに、アナは気にした風もなく、川のそばへと近付いていく。
お供の羊はと言えば、足を止めてしまっていた。〕
ベリエスお爺ちゃん。
ちょっとだけ、待ってください。
〔ランタンの炎が、一際おおきく揺れる。
アナは、からだを包もうとするベリエスに、近づいていった。〕
……落ち込んでいる場合では、ありませんわね。
決めたからには、動かないと。
[小さく呟いて、周囲を見回します。
アナと話している間に、牧師様は何処かへ行かれたのでしょうか、姿も見えません。]
……探し歩くよりも、教会で待っていた方がよかったかしら。
[こぼれたのは、小さなため息でした。]
ふうむ、それもそうじゃのう。
……旅人は、何処に骨を埋めるを望んだことやら。
[そういって、地面を掘る牧師を手伝おうとしたのですが]
おや、嬢ちゃん?
どうしたんじゃ。あんまり近くに来ちゃいかんぞ。
[からだを包む前のルイに近寄ろうとするアナを見て、おじいさんは慌てた様子]
[ご隠居の言葉に、牧師は少女の来訪に気付きます。
少女がランタンを手に、ルイのからだに近づいてきます。
あれが、こころの欠片なのでしょうか。
牧師は手を止めて、少女のする行為を見つめています]
慌てると、落ち着きがなくなるのが悪いところ、とは、ずっと言われていたけれど。
[呟きながら、歩き出します。
でも、今日は仕方ない、と思いました。
願っていたのと、真逆のいろを見てしまったのですから、驚くな、というのが無理なお話なのです、きっと。]
欠片はここにあるから。
お人形みたいに、くっつけたら、なおらない?
〔まるで壊れたおもちゃを直すのを頼むみたいにアナは言う。
けれど、ぶら提げていたランタンを差しだすと、白銀の炎はゆらめいて、あっという間に消えてしまった。〕
[ドミニクが足を速めたので、慌ててついていきながら]
あたしが言ってどれだけ信じてもらえるかは分らないけど、もしあたしが人に化ける獣なら、ヴァイスは紛う事なき獣だわ。おそらくだけど、この子のほうがそういう感覚は鋭いのだと思う。
あたしが女将さんを、というのはタイミングとしてはすごく都合が良いとは思うけど、あたしも女将さんの行方が知れないことについては正直手を尽くして探したし、それ以上は神様しか知らないことだと思うわ。
[精一杯の答えをドミニクがどう受け取ったかは背中しか見ていないゼルマにはわかりませんでした。]
……あれ、れ。
いなくなっちゃった。
〔アナのまるい眼は、もっともっと、丸くなる。
めぇ、めぇ、めぇ。
羊が何度も、鳴いている。
きょろきょろと辺りを見回したアナは、川のそばになにかを見つけた様子で、目を留めた。〕
欠片?
[おじいさんはランタンの炎を見ましたが、それはあっと言う間に消えてしまいました]
……生き物はな、切られた所をくっつけても元通りにはならんのじゃよ、嬢ちゃん。
生き物は、壊れたら治らんから生き物というんじゃ。お人形とは違うんじゃよ。
[おじいさんは、膝をかがめるようにして、アナに言い聞かせます]
[教会に着いた二人は牧師が戻らないまま弔いの支度をはじめます。
ドミニクの話ではルイの亡骸はまだ川べりに置いてあるというので牧師はそちらに行っているのかもしれません。
ドミニクは連日となった棺の準備をしに奥に入ります。]
せめてドロテアが居ればもう少し勝手がわかるのだけど。
[あまり立派な教会ではありませんがそれでも中はそれなりに広くて、いざものを探すとなると大変なのでした。]
[暗い暗い、森の中。
牧師は、少女の様子を見つめています。
夜は、もうじき。獣の時間が近づいています]
……どうか、されましたか?
[牧師は何かを見つけた様子の少女に、一歩。
仔羊の鳴く声が、牧師には大合唱にも聞こえました]
だめなの?
お兄ちゃんやアルベリヒさんみたいに、
食べられてしまったのではないのに。
なくしたからだは、ここに、きちんとあるのに。
〔ベリエスに聞き返すけれど、アナの視線はよそへと行っている。
川のそば、草の陰。
旅人の落としてしまった短剣のきらめきに。〕
……とにかく、一度戻りましょうか。
亡くなった方が出たなら、忙しくなりますし。
……勤めは、果たさないと、いけません。
[自分自身に言い聞かせるように呟いて。
教会へ向けて、歩くのです。]
本当に、面白いことを言う子ですね。
[アナの持つ、揺らめいて消えたランタンの炎。
牧師はふと、ホラントさんのことを思い出しました]
繋がらないんじゃよ。
病気で死んでしまった人とおんなじじゃ。
からだが残っていても、切り離された魂は二度と元には戻らん。
[それがアナのいう"欠片"のことなのか、おじいさんにはわかりませんでしたけれど。
ただ、どこかに行ったアナの視線を追い掛けて、そこにきらめきを見付けたのでした]
[ゼルマは棺の準備を終えたドミニクとともにアルベリヒを棺に納めます。
昨日と同じく、すきまの多く残る棺でした。]
ドミニク、あたしの知っている話もしておくわ。
人に化ける獣の話はホラントが噂話を出すよりもずっと昔、まだ先代の牧師様の時代にも流れたことがあったの。
神罰で人が獣の姿に変えられてしまうことがあった。その者たちの一部が悪魔にそそのかされて道を踏み外した。昼間は人間の姿に戻ることができるけど夜になると元の獣の姿にやはり戻ってしまったのだと。
もし、あたしに何かあればこの話は役にたつかもしれないわ。
[ドミニクはそう付け加えるのでした。]
そっか。
〔ベリエスの言うことを理解したのか、アナの眉が下がって悲しそうになる。〕
それじゃ、それじゃ――どうしたら、いいのかな。
[そんなことを話すゼルマをドミニクはどうおもったことでしょう。
ヴァイスはどんなことを思ったでしょう。
それは神のみぞ知ることなのかも知れません。]
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