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僕は自分の失態を取り戻しに行くだけだ。
……それで取り戻せる、だなんて、容易には考えていないが。
[其処まで言い切ると、ふっと溜息を吐く]
これは、僕の“意地”でもある。
[口許には僅か、笑みらしきものが浮かんでいたろうか]
あ……。
[告げられた言葉。
それだけで、なんとなく。
意図は、つかめた気がした。
なんでこんな事には気が回るのかと。
相棒はため息をついていそうだが]
ああ、確かに。同じ場所……同じ、隔離結界の中だ。
団長、エーリッヒ、ミリィと……あの子も、間違いなくそこにいる。
[静かに、答え。
それから、こちらも微かに笑みを]
意地……か。
わかった。
意地を貫くなら、向こうに送る。
その『ついでに』、発生する力を、俺の親子喧嘩の収拾のために使わせてもらうぜ。
―――ミハ君がいうなら、あたしは止めない。
[沈黙を守っていたものの。
2人の言葉に、小さく息を吐けば。ぽつりと]
―――…ユリアンにぃの言葉が本当なら、
…ちゃんと『終わり』にしたら、団長さんもエリにぃも、
ユーディットさんも、ミリィもミハ君も、…戻ってくるんだよね?
[“声”と言う単語に、僅か反応したけれど]
[…そうですか、と頷く。驚くのにはもう慣れてしまっていた]
[視線はずれて、暗い空へと]
ミリィちゃんは、合意の上だったって聞きました。
…エーリのほうは、如何して?
[金の光に崩れる様に消えた、銀の光を思い出して。気になっていた事を、淡々と口にする]
[呟くようなリディの言葉に、軽く、そちらを振り返って]
『一生信じない妖精』に言われても、アレかも知れねーけど。
帰って来る。
そして、それを成し遂げるのが、俺の『約束』だ。
…聞いても…ね。
あたしには、何の力もなかったわ…"見る事"しか。
ユリアンが…もし、悪い子だったら、何も出来なかった。
もし、協力を求められても、何も、出来なかった…
皆に教えよう物なら、可哀想だったでしょう…?
ミリィ…って子…ユリアンが、好きなんだから。
遠くに、行って…帰ってこれるかは、王様次第、って。
あんな、我が侭な王様で…それを期待するのは酷、よ。
[小さな声で囁くように呟く]
…リディにも、聞きにくかったしね…王様に対して、怒るのも、分かったから…
…結局…あたしは、見ていることを、選んだわ…
悪い子も、人攫いとか…罪を、侵すまで。
[ランプ、という単語に言葉が詰まり…]
…上手く、いかなかったランプは…何度も、作り直したわ…
大体…失敗していたら、すぐ…わかったから。
[頭を撫でられると、瞳を微かに濡らし]
…でも…あたしの、せいで…
全て、おかしくなったら…困る、じゃない…
ランプとは、違って…何度も、やり直せないんだから…
一度決めたのならば、その意地は――貫く。
そうだろう。
[ふっと、笑みを消して]
何度も言うが。
君の問題は、僕にも、僕以外の者にも関係無い。
ここまで来た以上、きっちり事は収めろ。謝罪は後回しだ。
[何方の方が年上なのだか、解らない物言い]
妖精の王様も石に宿ってたそいつも、ミリィを連れてっちゃった妖精も、
皆一緒。妖精の言うことは、もー信じない。
……けど。
[小さく息を吐けば、ユリアンへと視線を移して]
……「戻ってくる」って、ミリィが言ったから。
ミリィと約束をしたのがユリアンにぃなら、
―――あたしは"ユリアンにぃ"を、信じる。
[ぽつりと]
そうだな。決めたこと、意地は貫き通すもんだ。
……ああ、わかってる。
俺の問題は、俺の手でケリをつける。
絶対に、な。
[物言いは気にした様子もなく……むしろ、らしいな、などと考えながら。
はっきりと、頷いた]
[ゆるゆると息を吐き出し、視線は更に下へ。
視線が辿り着いた珈琲は購入した時そのままの量を保っている]
…最初に、団長が消えたろう?
その時に妖精王の気配が彼からして、な。
……それだけといえば、それだけだ。
[言い訳にもならない、と心の内で呟いて]
……リディ……。
[ぽつり、呟かれた言葉に、わずか表情が緩んだか]
……ありがと、な。
[小さな呟きには、安堵と、それから感謝の響き]
……妖精フェーンは信じなくても。
人としての俺……ユリアンは信じる……か。
……なんか……あったかい、な、そういうの。
[かすれた呟きが、意識の狭間に、こぼれ]
色々難しく考えすぎなんだよイレーナは。
先に回り込んで考えすぎて…動けなくなってる。
[青年はイレーナの”もし”が沢山ついた言葉に苦笑し
イレーナの髪をぐしゃぐしゃと撫でる。]
ユリアンが悪い奴かって言われれば、
大馬鹿だとは思うけど悪い奴じゃないって信じられないかな?
それに王様に期待できなくても
ユリアン自身が打破するかもしれないとかも
……俺はさ……ランプ扱ってないからかな…
ランプよりも人間の方が案外頑丈だって信じてるよ
……悪いことばっかじゃなくて、色々信じてみようぜ?
なんせ妖精がいるなんて信じられないことがある村なんだから
……ダーヴィッドさん、聞こえる?
今日、ミハエルの坊ちゃんが隔離結界に行く。
上手く、波長、合わせて。
なるべく、でかい衝撃当てるから!
[呼びかける声は、妙に力が入っているかも知れない]
[リディとユリアンとの遣り取りを見れば、……小さく溜息]
僕はリディと違って、君が嫌いだし、信じている訳でもないが。
それは、君が人間だろうが、妖精だろうが、関係のない事だ。
[そもそも数日前まで、妖精の存在等信じてすらいなかったのだが]
……僕が見るのは、あくまでも個人だからな。
[髪をくしゃりと掻いて、両の手を腰に当てる]
で。此方は何もしなくていいのか。
[零れてきた声に、静かに微笑んで]
ああ、聞こえているよ。
ミハエル…そう、彼か。
わかった、其方に力を送る。
[そうして、少しだけ間が開いて]
…後は、任せた。
モノの見方なんて、人それぞれだろ?
見んな違ってる。
んで、だからこそ、面白いんだ。
[さらり、返して]
ん、そのまま立ってれば大丈夫……。
……ああ。衝撃がでかいかもしれんから、それに対する気構え作っとくとかはしといた方がいいかも。
[任せた、という言葉に、うん、と返して]
ああ、任された。
……みんなに。よろしくって。
後でいくらでも殴られるからって、言っといて!
[ユリアンの言葉にふるふると首を振って。
小さく息を吐けば、ぺしりと自分の頬を叩く。]
…っ、はい!あたしの八つ当たりはこれにて終わりっ!
ごめんね、ユリアンにぃ。 多分、…八つ当たりなの。
――― ミリィに守るよって言ったのに、あたしが守れなかっただけだから。
[ごめん。と小さく謝罪を口にすれば、
投げてしまったペンダントへと掌を差し出して。]
[ゆっくりと席を立つ。
満たされたままのカップは椅子の上に置いて。
天を、睨みつける]
……今日こそは、連れて行ってくれるのだろうな?
[揺らめく銀の陽炎は、誰かの目に留まっただろうか]
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