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[勢いを殺すこともなく、
まわりに人の集まるのを気にすることもなく。
芽吹く時のような強い強い力をただただぶつけて、
ぐいと、剣を掴むように抱え込むように
赤い赤い血が飛ぶのは、その剣にぶつかる勢いがひどかっただろうか。
それでも握った茎を離さずに、そのまま横に引くように――
かれの身体を、斜めに裂くように]
[身を切り裂こうとする、茎を左の手で握る]
痛いだろう、ティル。
けれどお前は、怖れはしないな。
魔は怖れを知らぬから。
[それは少年の声ではなく、そして、どこか優しく響く声で]
……封護結界が、動いている……?
[波動を感じ、はっと上を見上げる]
しかし、この状況では……。
[封護の力、それは求めるものを見分けられるのか。
それは、何者にもはかれぬ事]
[溢れる力が左の目を壊し、金を広げる。
影の王の結界が、力を強くする翠樹にのしかかる。
それでもそれより、
苗床は負けられぬと。]
[膨れ上がって揺れる力に翻弄されそうになる。
声を上げることだけはどうにか抑えて、必死に戦う二人を見る]
!!
[そして力は力を呼ぶ。
大きなうねりが向かってくるのを感じる。
けれどやはり、彼女には何も出来ない]
[己の対を侵した相手を、見極める事が出来ずに逡巡。
舞う血が虚実の境界を曖昧に見せる。ユリアンには解っているのだろう。問い質すべく、振り返った。]
[争いあう二つの力が乱れ舞う。
ゆがみと、うねり
それは昨夜のように]
[遅れて着いていたブリジットをみとめ、]
お前は戻れ!王のもとへ…さもなくば、巻き込まれる
[近づいてくる、うねり
昨夜、イレーネは力を放ち、そして囚われたのではないかと聞いた]
だめだ、ティル! 逃げてっ!
―― 囚われる…っ!
[叫びつつ、アマンダが見たのは、対の少年。
まだ力を上手く制御できぬ彼もまた危険ではないかと、荒ぶる力を受け入れようと――支えようと、*試みたか――?*]
「この愛しき世界が、無に帰するとき...」
「私は怖れを感じるだろうか?」
「ああ、ただ、それが…」
「知りたい…」
[笑う、嗤う]
……っ!?
[空間に放たれた、天聖の力に息を飲む]
これは……これほどの力が、一体、どこに!?
[反射的に、時の流れを繰る。
均衡を、崩さぬために]
[ぶつかり合う翠樹の力の奔流に
か弱い...は立っているのがやっとだが。]
『ティル、約束だから。負けないで』
[コエをださず、声にも出さす。
ただ一人のティルから目を離さない]
−中央部・広場−
[ベアトリーチェは、睡りには落ちませんでした。彼女がそうしようとしたのを、首を振ってとめたのでした。じっと眼を見開いたままに、巨きな力がうねってゆくのを感じています。]
[ミハエルの声はかろうじて聞こえた。
しかし既に動くことは出来なくて]
だめ、なんだからっ!
[逆に表情が引き締まった。
多少の無理はこの際仕方がない。
膨れ上がりすぎた力を均そうと手を伸ばした]
ああ、
[ようやく納得いったように、ベアトリーチェは呟きます。]
そうだったんだ。
[ひとりごとは、誰にも聞えなかったことでしょう。かちりとようやく、どこかで歯車が合ったような気がしました。]
[たとい同じ姿をしたとて苗床はためらいなどしない。
ただただ、そのゆびわの力に。
それに、何かを思って、伝えようとしたかもしれないけれど。]
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