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こんな感じかな。
[「ノブ」の言いそうな事を、「ノブ」のように。
長らく意識の中に潜んできたからこそ、それは難しいと思わなかった。それなりに自信もあった。「ノブ」と親しかった航宙士であっても、少しは惑わせられるだろうと。
その隙をつけば、次の宿主にも出来うるだろうと]
言いくるめやすいのは子供の方か。
αもそれを望んでいたしね。
[しかしこちらはどうすればいいか。
子供と接した記憶は少ない故に悩みながら話しかけていた]
─ 第二階層・通路 ─
分からないか。
[胸を押えていた右手は緋色に染まっている。
左手には銃を握ったまま、けれど銃口はまだ向けていない]
オーフェン。
銃はむやみに使うなって言われていたよね?
使う時には迷うなって。
[それは少年の父親が、銃を持たせる時に言っていたはずの言葉]
怖いのなら、撃った振りだけしていればいいんだ。
それでシステムは誤魔化せる。
[内緒話のように小声で。
冷たい目の下で口元は笑って言った]
後は私が、なんとかするよ。
─ 第二階層・通路 ─
まったくだね。
誰を信じればいいのか。何を信じればいいのか。
[追いついてきた航宙士に視線を投げる]
殲滅プログラムなんてものまで用意されたから、ゆっくりと検討する時間もなくなった。
PMC排除のための必要性を認めないとは言わないけれど。
用意周到すぎたと思わない?
まるで、こうなることを分かっていたようにさ。
─ 第二階層・通路 ─
[一番信じていて、大好きだった人が嘘だった。
いつから嘘だったのか、どこまで嘘だったのか、もう解らない。
優しいノブが好きで。
尻尾のあるエリカも嫌いじゃない。
怖いと思うのは、
偽者だったと、失望するのが怖いから――。
何を信じていいのかわからない。縋りたい人はもういない。]
………
[「とーちゃん」と、いない人の事は呼べなかった。
ずる、ずると、ゆっくりさがって、起き上がろうと身体を捩る。]
[少年>>21の謝罪にはゆっくりと頷いた。
許すかのように。あるいは大丈夫だと言うように]
宇宙船という閉鎖空間で、わざとPMCを逃がす。
それこそ小説のような話だけれど。
実験としてはありなんじゃないか、なんて思ってさ。
[銃を握る左手はまだ下げられたまま。銃口は床に。
右手は胸に当てたまま、航宙士>>20に答える。
「ノブ」らしい口調を保ったまま]
だとしたら、最後は殲滅プログラムで終わる、とは思えない。
実験に使ったPMCのことも、回収できるような何かがある。
そんな可能性を考えていたんだ。
[ありえない話をもっともらしく。
それは「ノブ」もよく使っていた話術]
……まぁ、確かにねぇ。
ここまで非現実が続くと、そんな可能性もありかなあ、なぁんて。
そんな考えも浮かぶけど、ね。
[淡々とした口調を崩さず言って、目を細める。
向ける視線は、真意を探るようなもの。
黒の猫尻尾が、思案するようにゆらり、揺れる]
……けど。
ウチ、そういうご都合主義は信用しないタチなんよねぇ。
それに……。
[ふと、思い返すのは、先に通路で交わしたスティーヴとのやり取り]
そんな都合のいい裏があるんだとしたら。
……あのセンセがあそこまで必死になる必要って、ない気もするし。
それこそ、てきとーに死んだ振りでもして、やり過ごせばいいんじゃないの?
エリカちゃんらしいお言葉で。
[ご都合主義と切り捨てられ、模倣ではなく苦笑が浮かぶ]
必死でなかったら、もっと早くから疑ってたよ。
死んだふり?
……それは思いつかなかったな。
念のためとかでトドメ刺されたら怖いじゃないか。
[軽く首を傾げて。感情の浮かばない眸は真意を読ませ難い]
オーフェンはどう思う?
そんなにご都合主義な考え方かな、これ。
まあ、スティーヴ先生がPMCじゃなかった時点で、色々間違ってる部分はあるみたいだけど。
[できるだけ軽い口調で少年にも声をかける。
ちゃんと気にしているのだと見せるために。答えを強く希求してのものではなかった]
親を失ったばかりの子供。
頼るべき依り代になればいいか?
[航宙士には迷いを持たせようと話しながら、少年を気遣うのは親代わりになろうかという意図]
αに聞ければもっと確実な方法を取れるというのに。
[αがいればそもする必要のないことだが。
小さく溜息を吐くような気分を抱えていた]
夢だけでできる仕事しとらんもん。
ウチら航宙士が『現実』見んかったら、どないするん?
あるかないかの可能性に賭けて、乗員を犠牲にする道を選ぶ事はできんのよ、ウチらは。
[勿論、例外的に賭けに出る事はあるが。
それを行うにしても、最低限の確実性は求めるように。
それが、自分の教官の持論だった]
そりゃ、ふつーは思いつかんわねぇ。
システムの目ぇ誤魔化す必要があるんだし、どんだけ面倒なんだか。
……ま、死んだ振り云々の話は、どーでもいいわねぇ。
[真意の読めぬ瞳。
は、と息を吐いて、一瞬だけ目を伏せる]
……にーさん、ウチな。
生物学者とか、研究者とかって肩書きつく相手は、まとめて嫌ってた。
絶対信用なんかしてやるもんか、ってずーっと思っとった。
[その辺りは、常の態度からも読み取れる事だったろうが]
……だから、あの学者センセも、最初は疑っとったよ。
けど。
さっき集まる前に、サシで話して。
……学者は嫌いだけど、この旦那は信じてもいいな、ってそう思えたんよね。
…………けど。
[目を伏せたまま、綴る言葉は、そこで一度、途切れた]
『まもなく皆様に一斉射撃を……』
[臨時プログラムの放送は途中で途切れ]
『まもなく、当選は目的地の宇宙港******に到着いたします。
各員所定の配置についてください。』
[目的地への到着が近いことを告げる放送が流れた]
[ご都合主義。そう、そんなものはない。
何故ならこの状況の原因は自分だから。
同種が船内に運ばれた時から、特にそれが逃げ出してからは。
どうにかして「同胞」にできないかと刺激をしてきたのだから。
殲滅プログラムから逃げるにはどうしたらいいか。
「ノブ」の知識の及ぶ範囲で艦橋のメインフレームに仕掛けてきたカウンタートラップが働けば一番良い。
それがダメならば。仮死状態の肉体に潜り込む。
一種の賭けになるが群を崩せば、最低限の継承だけで諦めれば可能性はあると思っていた。でなければ此処にも居られなかったはずだから。
殲滅プログラムが解除されたとは限らない。
狙うのは航宙士の身体]
……さすがに、十の歳で嫁にいけん身体にされちゃ、好きにはなれんわ。
[さらり、と問題発言含めて言って。
響く放送に、伏したままの目を一度、閉じた]
……けど、なぁ。
今のにーさんは、考えの底が見えん。
曖昧な物言いされる事多いなぁ、て、前から思うてはいたけど……ま、それはそれ。
少なくとも……今のアンタの提案に乗っかって、危ない橋を渡るのも、オーフェンくんに渡らせるのも、ウチには選べん、ってこと。
[言いながら、組んでいた腕を解く。
右手の黒銀は、迷う事無く、同僚へと向けられた]
ウチの考えと選択肢。
……御理解、いただけますかしらぁ?
[何を信じるのか、誰を信じるのか、何をすべきなのか。
「考えろ」
胸に刺さった棘は抜けない。
逃げることを許さないように、じぐじぐ痛い。
だから考えた。
ありったけ考えた。
今までの事を、全部思い出すように。]
は?
……そりゃあ、また。なんていう。
[さらりとした問題発言を聞いて。
「ノブ」の思考をトレースしていたが為に、呆とした声を上げた]
……そりゃ、見せてないもの。
危険だと思ってる対象にはさ。
よーく分かりましたよ。
[クッと笑っい。
航宙士の腕が解かれるのと同時、こちらも左腕を動かす]
[エリカとノブの会話をきいて。
エリカとノブが、互いに銃口を向け合うのを見て。
ポケットから、玩具のようなレーザー銃を取り出した。
子供の服は柔らかく、音を立てずに人を傷つける機械はそこから取り出される。
目は閉じない。
表情には脅えは沢山残し、手は震えたまま。
だが明確に、
意思を持って。
銃口を向けた先は――――]
[横目にオーフェンの様子を見た後、エリカへと銃口を向け。
その途中で通路の壁に打ち込まれているエンブレム、星のマークに「希望」と文字の入ったロゴが眸に映った]
――adeus.
[さようならと笑い]
……信じてる。
[自分の唇が紡いだ言葉に驚きの表情を浮かべた]
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