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[焼き芋を濡れた新聞紙にくるみ、ハーヴェイに差し出す]
…とりあえず、温かい物でも食えよ。そんな青い顔してないでさ。
しょうがないんだ。他に術はないんだから。
[本当に?と自分でも思う。けれど、自分がそう言い切れば、この青年は楽になれるだろう]
―イストー邸・ネリーの部屋―
[クッキーを(大量に焼いた)半分ほど包んで持ち、仕事報酬の一部としてネリーにあてがわれている自室へ。
ネリーは、あの奇妙な女性(たしかカミ−ラ)へ何か衣服を見繕うと言った事を取り敢えず忘れては居なかった。
何よりあのような格好でいつまでも居られては、少なからず周囲への悪影響だと思うと同時に、彼女の素性には興味が在った]
[彼女もまた容疑者なのだろうか。
考えれば昨夜は馬鹿な事を言ったと思う。
娯楽小説や雑誌の読み過ぎでは無いだろうか。
だって現実に探偵が活躍したという話はついぞ聞かないし。自分ひとりが張り切ったってどうにかなる訳ではない、きっと]
みんな分かってるとは思うけど、やっぱり確認はしておくべきだとも思うのですよ。
この村にいるのは囁き狂人なのですよ。
婆が指摘するのは後でCOすることを考えたら胡散臭いのだけど、占い師じゃなく『語り部 デボラ』としての役割柄から、自分が言うべきと思ったのですよ。
―集会所 前―
ありがとうございます。
[新聞紙に包まれた、熱い芋を受け取る。手は棒を握り締めるため、皮もあついし豆だらけだ。]
ほかに、ないのですか……
[言い切られた言葉に、彼は俯く。そしてそのまま、ゆるゆると手を口に近づけ、一口、芋をかじった。]
婆さんにも持っていこうか。
[扉を開けたとたん、デボラと目が合って瞬きする。3匹目の狼、と聞こえた。
…そいつは、オレの知ってるただの協力者と違うのだろうか。
尋ねようか。一瞬迷って、結局こう言う]
…焼き芋、一緒に食うか?
多分こっちの焚き火のそばのほうが暖かいと思うぜ。
―集会所・会議室―
[ こっそりと会議室の様子を伺う。見知った顔がそこにあった。様子を伺うつもりだったことさえ忘れて、豪快に扉を開け放つ。]
デボラのばーさん!
なんでばーさんがこんなところにいるんだ……?
[ひりひりする口元を反対の手で押さえながら、振り返ったギルバートに首を横に振った。
少し冷たい空気を吸い込んで、微笑う。]
大丈夫です。
[デボラの話は、火の爆ぜる音にまぎれてしまう。
彼女に声をかけるギルバートの声を聞いて、そちらを見やった。]
こんばんは。
[集会所の中に、焼き芋の香ばしいにおいが流れ込む。
ふと、今しがた渡された調書に目を向けた。
その中に、グラハムの苗字と、ローズマリーの名を見つけて愕然とする]
ちょっと待て。アリかよ…こんなことって。
−集会所・会議室 → 集会所前・ギルバートの焚き火−
お言葉に甘えるよ。
ああ、ちょっと待っておいで。甘酒を持って来よう。
[デボラはギルバートの言葉にニヤリと笑って頷くと、一度奥の部屋へ引き上げた。
そして薬缶と巾着を手に戻ってくる。外へ出ようとして、リックの姿に気がついた]
坊やもおいで。なに、とって食やしないよ。
[と、集会所の中から声。
知らない二人の、声だった。
中をのぞいて、二人にも頭を下げる。
と、ギルバートの様子に首を傾げた。]
ギルバートさん?
[一度に現れた二人の人物に目を丸くした。
次に、少年の年恰好を見て、調書と見比べる。
8歳…リック…リック・G・グラハム…!?〕
…甘酒?
ここはどこの国だったんだ。C国には甘酒もあるのかな。
…いや、現実逃避をするな。
リック。まだ心の準備も出来ていないのに。どう話せばいい、君の父親は…!!
ああ、済まない。
人が増えたから驚いただけだよ、うん。
[あからさまにごまかしと分かる下手な言い訳]
芋が焼けてる。みんな、食うか?
―集会所・会議室―
[デボラ以外にも人がいたことに気付く。リックやカミーラに向かって]
あー。えーっと。怪しいもんじゃないぜ!
[充分怪しい。]
いや、無理矢理連れてこられたんだ。来たくて来たわけじゃなくて……。
だからそのうち家に帰るから気にしないでくれ。
[デボラが向かった先を見た。知らない男が二人。そのうちの一人に頭を下げられてどぎまぎした。ぽりぽりと頬をかく。豪快に腹が鳴った。情けない顔をする。]
―集会所 入り口―
……そう、ですか。
[ギルバートの様子に、しかしそれ以上突っ込まずに。
彼は、自分のもらった調書を開く。
年齢、文字。
名前を考える。
特徴の書かれたもの。名前はすぐに分かった。
頭の中に、名前を叩き込む。
そうしてしまいこむと、また一口、かじった。
窓辺の女性が振り向いたのを見て、微笑って、軽く頭を下げる。]
[軽く手を挙げて、その場に居合わせた面々に、冗談めかした自己紹介をする]
あー、はじめまして、だな。オレはギルバート。あんたらと同じ容疑者らしい。ま、ヨロシク。
[巧く笑えたかどうか、自分でもよく分からない]
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