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―― 廊下 ――
俺は、誰も敵だとは思っていませんよ。
[水竜の言葉には、静かに答えた。が、流水の気配を嗅ぎ付けられると、また目が泳ぐ]
それはその…
[適当な言い訳を思いつく前に、地竜が示した腕輪に目が吸い寄せられる]
腕輪?そんな形に変化を?すごいなあ!
[きらきらきらきら]
あぁら。
私は「偽者」なのかも知れないけれど、嘘をついたことは一度も無くてよ?
[それこそ、本当か嘘か分からないことを、ナターリエは堂々と答えた]
ふぅん……。
つまり、貴方は先日の混沌のカケラには全く関与していない、とそういうことかしらぁ?
[表情にはおくびにも出さずに問いかけるが、やはり、影の奥を見通すのは難しい、とナターリエは感じた]
死ぬ死ぬ言っても、いっつもしぶとく復活してるのに、よくゆーよ。
[呆れたように言い放ち。
それから、説明された内容に]
あー、そういうこと……って、人の勝手に食うなっ!
[いや、食ったとは言ってない訳で。
ともあれ、反射的にもう一撃を繰り出していたり。
そして、当人は無自覚ながら。
疾風竜の生命力に触れたのであれば、多少なりとも異質さは感じるかも知れない。
二種類のものが複雑に絡み合っているようなそれは、酷くおぼろげなものなのだが]
ん。
[闇竜殿の言葉にぱたりと椅子へと駆け寄る。
僅かな新緑を芽吹かせながら辿り着いた其の先、
仔は半ば攀じ登るようにして腰掛けた。]
ブリジットもね、疲れてるみたいだから。
あとで、おみずもってってあげるの。
[差し出されたグラスにありがと。と小さく言葉を紡ぐと仔は其れへと手を伸ばした。
掌に包んで、そうしてから闇竜殿へと視線をじと向ける。]
…まだオト、中 いかないよね?
[心配げに仔が呟く言の葉の意味は、私には判らぬが。]
―食堂前/回廊―
[闇色の毛を持つ馬が嘶くのをレンズ越しの紺碧は見つめ、馬が蹄を翻した瞬間、誘うように駆け出した]
――おいで。
[青年の混沌の気配に引かれたか、馬はその後を追う。目指すのは剣を持つ大地のいる方向]
それがよろしいでしょうね。
[微笑む。
それで少しはごまかせるだろうと、思ったのもある。]
ブリジット殿もお喜びになると思います。
――ええ。まだいきません。
大丈夫ですよ。
…暴走せしはお主の力ではあるまいな?
陽光が欠け、安定を欠いたのではないか?
剣の力は安定しておる。
仮とは言え契約せし儂がおるしの。
[ノーラの見解にはやはり異を唱える。あの時の力の増大は己を護るために働いたもの故に。
腕輪を見て目を輝かせるエーリッヒにはやや呆れの表情]
お主は…。
そのように感動して居る場合では無かろうが!
[こん、と拳でエーリッヒの額を小突いた]
[その直後、響く嘶き。何かの思惑を乗せたその気配はこちらへと近付いてくる。急速に。
ハッとして、そちらに視線を向けた]
…普段から……。
[自分の力も吸われているのだろうか?
と思うと、一瞬額に青筋が浮かんだのはきっと気のせいじゃない。]
で。
もうひとつ…「ここ」で、何をなさってるんですか?
…、…おうまさん?
[どうやら回廊から響く嘶きらしき音に、幼子は一度きょとりと瞬いた。
しかしその意識も、闇竜殿の笑みに意識が逸れる。
または殿の中に馬が居る事など無いと思ったからやも知れぬ。]
うん。
ブリジット、すごく、つかれてたみたいだったから。
…ほんとう?
[返る言葉に、幼子はほうと安堵の息を零す。
何処へ行くというのか――私にはやはり会話の流れを汲むことが出来ぬが
幼子には其の言葉で十分であったか、こくりと一口喉を潤す。]
―東殿/回廊―
[角を曲がると同時、集まる竜達の姿が見えた。躊躇いなくそちらに走り抜ける]
混沌の欠片が!
[するりと間を抜けた所で振り返り、指差すのは闇色の毛を持つ馬]
―― 回廊 ――
[地竜に、ごつんと拳を当てられて、額に左手を当てる]
てて…っ!
[駆けてくる闇の馬の気配に気付いたのは、その直後だった]
――おそいと。
…どうなるの?
[続くかの様に見えた闇竜の言葉に、仔はゆると視線を上げ。
しかし外へと向けられた視線に、同様に其方へと視線が流れる。]
[額に当てた左手が、ぼうと天青石の光を帯びる、呼応するように肩の機械竜が、カシャカシャと羽ばたきながら空中へと舞った]
本当ですよ。
約束をしたでしょう?
[にこりと笑って、水を飲む仔を見る。]
だから、今は、行ってきます。
ベアトリーチェ殿。ここで待っていてくれますか?
……ナギ殿。
[仔に問いかけ。
それからそっと蛇に呼びかける。来てもらえるかと、目で尋ね。]
……していないとは、言い切れませんわねぃ。
私とて、影輝に属するものですもの。
しかも今は、対の一を欠いている。
けれど、私のみであれほど影響が及ぼせると思わないわぁ。
< 眼差しは大地の老竜へと移ろい、細められる >
なれば、あの時感じた力の増幅は何ゆえに?
何から逃げておられたのかの。
< 答えの返るより前に、精神の竜の声が届く。視界には、闇色の馬 >
[視線の先、駆け込んでくるのは精神の竜]
アーベル殿!?
[間を抜けて行ったアーベルから視線を闇色の馬へと転じる]
ええい、またか!
[こちらへ直進してくる闇色馬に、苛つくように吐き捨て、相対すべく構えを取った]
生命の一部…。
[不思議そうに呟いている間に、またイイ音がして首を竦めたり。
ミリィの問いに、答えを求めて再びクレメンスを見た。
口は挟まない]
―廊下―
うっはっは。流石おいさんだろう。
[威張れる事なんだろうが今威張る事ではない。
反射的に飛んだ一撃もやっぱり喰らい。
首が反対側に華麗に曲がったが、こちらは何時もの時間で元通った。]
残念、もう食っちまったからなぁ。
ほーれほれ、今ティルの生命力が…
おいさんのこの頬の 血 肉 に !
[いやらしい言い方である。
言いながら、ふいに感じた違和感。軽く首を傾げ。]
あれ、ティルお前…風と別属性の竜の混血だっけか?
[純血種だと聞いていたような気がするので、思わず訊ね返した。
この感覚は混血のそれに近い。が。]
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