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[こちらを見つめ、揺れる、蜜色。
それを、紅緋にてきょとり、と見つめ返し]
……だーれ?
[その訪れの時には眠りに落ちていたこともあり。
その問いは、自然に投げられて]
…ゆら。揺藍、という。
そなたの名を…我に教えてくれるか、わらし。
知らぬままではそなたの名が泣いてしまう。
[粥を掬った匙を持つ手を止めて少し首を傾げれば、くすんだ空色がさらりと落ちようか]
海は空の鏡と言うたかな、
天は彼方の世界の入り口にしか過ぎねども。
[独り言ちるは届かぬ場所を思うよう]
湯浴みか、それも好きかな、
此方も後でしにゆくとしよう。
先程から書き物をしていたものだから、
手に僅かばかり墨が移ってしまったよ。
[象牙のおのこに名を褒められれば、そうかと一つ頷いて。
あやめの問いには首を振るばかり。]
わからぬよ、我は何も。
まこと呼び声に答えし招きなら、何故に再び返すのか。
…乞うた覚えもないけれど。
[弧を描く朱を見ることなく、知らず止まりし歩を進め。
腰を下ろした揺藍とは逆に、白は廊下を歩みゆく。]
今日和じゃ。
…入れ替わりですまぬの。
[白が藍に染められるよに、青空と白夜が追いあうように。
よく似た姿と入れ替わりて*縁側から立ち去らん*]
揺藍。揺藍の……。
[どちらだろうか、と。
どちらでもあるような雰囲気より、思い悩みて]
……にいさま?
[僅かに首を傾げつ、感じたままに呼び]
風漣は、風漣。
[ついで、自身の名を告げて]
…褒めたところで何も出ぬよ、詠殿。
[名を何度も繰り返す様子に少しだけこそばゆいと表情を俯きかくして]
…左様か。
それならば手水を頼めばよいもの。
…けれど花の君が湯浴を好まれるならそれもよかろう。
海は…空の鏡などではないよ。
海には涙しか流れ着かぬと聞く。
[つぶやく。茶粥を一匙口に含み、嚥下する]
[アヤメへと返す言葉に心過ぎるは、返された時のこと。
辛い記憶は霧か霞の彼方たれど、揺れる琥珀は止められぬ。]
返したものを…今になって、何故に。
わからぬ…わからぬ…
[浮世離れた気配の藍が、瞼に浮かぶ。
――似た姿たれば、まがい物の我は要らぬであろうにと。]
/*
雅「風漣と音彩は間接的に聞いたからまあ良いとするか…しっかし本当に初期設定から変わりすぎだぜ…最初は烏みたいな『飄々としたお兄さん』だったはずじゃねぇのか?おい…」
[と、一枚の紙片が風に乗って落ちてくる。以下内容
一人称メモ
普段:僕
紅露には:私
独り言、または本性時:俺]
雅「(拾ったメモを見ながら)っつーかこんなのたった今書き上げて渡すくらいならとっとと復活しろや背後…」
何ゆえに呼んだのかは確かなれど、
何ゆえに応えたのかは定かならず。
己等が真に、
己等の共に在るべきか。
それを見るために、
今一時の刻を頂戴な。
…いえ。
時の流れを、人の定めも行くところも我には止めることはかないませぬゆえ。
[えいかの去りゆく姿を匙を加えながら眺めゆく。
ふとわらしの迷う様子にすこうしだけ蜜色を甘く揺らし]
…どちらでもよいよ。そちに任せる。
我にすら自らがどちらなのかわからぬのよ。
[空になった椀に匙を下ろし、それを童子が片付けていくのを見ながら]
…そうか、風漣と言うのか。
仲良うしてたもれ、漣坊。
[少しだけ唇が柔らかくつりあがる]
中/
贅沢を言うであれば、actとしおりの色は逆が良いな。
否、我の好みというだけじゃが。
(しおりは明るい色の方が目立って好きなのじゃ)
学生 エリカは、――やがて、一人森にて小鳥と笛で戯れようか。
左様に気が向いたのだから仕方なかろうね。
[己が事ながら他人事のように揺藍に返して]
涙しか流れ着かぬか、
なれば感情の往きどころかな。
うれしきものなれば好いけれども、
かなしきものなれば悪しものよな。
[立ち去るえいかにまたね、と声をかけ。
揺藍の返事に、こく、と頷く]
じゃあ、にいさまとお呼びする。
わからないの。風漣と同じだ。
[ふわりと笑みつ、こう言って。
仲良う、との言葉に、またひとつ、頷く]
うん、仲良くするの。
ねいろも一緒に、ね。
[未だ起き出す気配のない─先の事には気づかぬ故、未だ眠りの内と思うまま─、もう一人の童の名を呼びつ、首を傾ぐ様は嬉しげで]
さて。
此方は川でも見に往こうかな、
身を清めるにも好いだろうから。
天狗の里へ連れて往かれるなら、
それなりの準備も必要だろうてね。
[終わりの言葉は誰にともなく諧謔めかして]
濃色の子も臙脂の子も、
しっかりと食を取るようにね、
寝る子も食べる子も好く育つと言うのだから。
…何が残念なものか。
人をからかうのはそんなに楽しいか?
[次に顔をあげたときには雅詠を見ゆる蜜色は微かな憤りに満ち]
…左様か。
良し悪しなど海には解らぬ。
ただ海は受け入れて湛えるのみ。
…雨とて空の涙と聞く。
[幾分乾き始めた髪に指を絡ませ背の中ほどまである髪をゆるく編んで梔子色の布で結び]
性などわからぬ。
揺藍は女であった。
それ故に母は愛で、社は揺藍を妻に欲した。
…朱蘭は、どうであったのかなど。
もう、どうでもよい。
好きにしたらよい。
[同じ、と言う言葉。僅かに首を傾げる。
けれどそのうち頷くだろう]
ねいろ…?
…そう。その、ねいろとやらとも仲良うしたいな。
[ふむ、と呟いて童子の用意した干果を一つ摘んだ]
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