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呼び寄せたのは果たして何か。
その意を誰一人知る由もないまま、人々は集い始める。
1人目、自衛団長 ギュンター がやってきました。
自衛団長 ギュンターは、村人 を希望しました(他の人には見えません)。
召集をかけたものの、まだ集まってはおらぬか……。
とはいえ、どこまで真実かもわからぬ噂、焦る事もなかろうて。 全員集まるまで、ゆっくり待つとするかの。
切り立った崖に挟まれた道を抜けると、その集落は見えてきた。
オパールが産出される故それなりに豊かではあるものの、都会の喧騒とは離れた、のどかな村だ。
だがそんな村の入り口近く、獣避けを兼ねた門の前で彼は難しい顔をしていた。
自衛団長 ギュンター。この村の平和を守り続けてきた人物。
彼の悩みは、まだその胸の内のみに。
そして、今はまだ語られざる物語の紡ぎ手達は――。
2人目、音楽家 エーリッヒ がやってきました。
音楽家 エーリッヒは、守護者 を希望しました(他の人には見えません)。
[白と黒の鍵盤の上を滑る右手と、膝の上の譜面の上で踊る左手。
二つは連動しているようで、でも、ちぐはぐで。
二つの間を取り持とうとするかのように、低い呟きが旋律を紡いでいたが]
……んー……。
一時、中断。
[結局零れたのは、何度目かのその言葉。
譜面はテーブルの上に、鍵盤には蓋がされ。
立ち上がった彼は両腕を上に上げて身体を伸ばし、それから、ふとある事を思い出してあ、と短く声を上げた]
……しまった。
/*
と、言うわけで。
夕石村に続いてまたお前一番手ですかと突っ込まれそうではありますが、時間の都合にて、一番手入村させていただきました、たすく@猫化けでございます。
村の設定を見て、ふと浮かんだのがこのキャラだったりするのですが、さて、上手く立ち回れますか。
今回、初同村は確かお一方のはず。
ともあれ、これからの数日、皆様どうぞよしなに願います。
さて。
しばし、己が現実に返るっ!
できれば今夜中には下書きを仕上げんと……!
3人目、画家の卵 ミリィ がやってきました。
画家の卵 ミリィは、村人 を希望しました(他の人には見えません)。
ん〜……。
[小難しい顔を浮かべながら、キャンバスに向かって唸る少女が一人。
廻りには、絵画を描くための道具がずらりと並んでいる。
窓は締め切り、淀んだ空気が部屋の中で停滞している。
その手にもたれている筆はぴたりと止まり、1mmも動いていない。
キャンバスに書かれているのはこの村の風景画。
だが、空の色だけがこの絵には描かれていなかった]
……はぁ。
[ため息を一つ零して、ついにはその筆を傍らの机の上に置いてしまった]
駄ー目だー。
どうしても、空の色をどう表現すればいいのか思い浮かばないや。
[天井を見上げ、もう一度ため息]
父さんは、「見たままキャンバスに残せばいい」って言うけれど、その見たままの色がどうしても出せないな。
[視線はそのまま、窓の外にある村の風景へと移る]
―――あの色。
美しい自然の色。
それを、表すのって、なんでこんなに難しいんだろ。
[視線をキャンバスに戻し、それから、ばつが悪そうに目を閉じて、3度目のため息]
……やっぱ、才能無いのかなあ。
[次に視線は、ある一枚のキャンバスに移る]
……私が絵を描き始めたきっかけは、父さんが画家だってこと。
それから―――あの人をいつでもそばに感じたいってこと。
……どっちにしろ、動機が不純だったから、そんなに強い意志を持っているってわけでもないんだけど―――。
[更に視線は移動し、その隣にある父の描いた絵を見つめる]
―――父さんの絵を見ると、なんか、こー、私も描きたい!って気持ちになるんだよなあ。
うん。
絵で生計を立てられるようになるってのはすごいことだね。
努力とか、才能とか、そういう言葉じゃくくれないってのは分かるけど―――。
[最後にもう一度、視線は今自分の描いていたキャンバスに]
……へこむなあ。
どうすれば、満足できる絵になるのかな?
[キャンバスを強く見つめ、次に外の風景を見つめ、またキャンバスを見つめ、と何度も何度もその二つの光景を繰り返す]
ん〜……ん〜……。
[眉間にしわが寄り、知らず知らずのうちに険しい表情になっていたが]
『―――ミリエッタ?
そろそろ、切り上げて、ごはんにしましょう?』
[扉の外から母の声が聞こえて、作業は中断される]
あ。はーい。
今日のおかず何ー?
[扉を開けながら、ミリィが母へと食事の内容を聞いた。
すでに、絵のことは*頭に無い*]
4人目、少年 ティル がやってきました。
少年 ティルは、村人 を希望しました(他の人には見えません)。
―オパール鉱山入り口―
はいよ。今日掘って来た分。
[一人の少年が、鉱山技師にバケツいっぱいの原石を渡している]
今日は結構がんばったんだぜ。こいつなんかいー感じだろ?
[一番上に置いた石を指で指し示せば、技師もうむと首を振る]
それじゃ、今日の分のお給金よろしく。
[ひょいと技師に向かい手を差し出す。
技師が、数枚の硬貨を袋から取り出して、少年の手に乗せた]
まいどー。またよろしくな。
[おどけた笑顔で挨拶をして去ろうとした少年に、技師が声をかける]
ん?なんだい?たまにはガッコ行けって?
そんなこと言ったって、みなしごの俺には自力で稼がないと飯も食えねえんだぜ。
おまんまの方が重要だってーの。
[苦い顔をした技師を尻目に、少年はその場を*立ち去った*]
/*
ということで、幻夢国にははじめまして。
seiha_iというものです。
めいさん経由でお邪魔しております。
本格的なRP村はあまり経験がない人間なので、ぽかしないようにがんばろう…
5人目、娼婦 イレーネ がやってきました。
娼婦 イレーネは、囁き狂人 を希望しました(他の人には見えません)。
[衣ずれの音がしたので視線を窓から離し、扉から客が出ていくのを、寝台の上から小さく手を振り見送った。]
また来て下さい。
[そう告げる声は穏やかで、ついさっきまで客と体を重ねていた少女にはどこか似つかわしくなかった。
扉から出ていく直前、振りかえった客に微笑む。
柔らかな笑みは、これもやはり少女に、そして花売り娘にも似つかわしいとは言えぬ透明なもので。
その笑みに誘われてなのか、客が何か言ったようだったが、よく聞き取れなかった。
それでも聞き分けよい娘のように、少女は小さく頷いた。*]
6人目、召使い ユーディット がやってきました。
召使い ユーディットは、占い師 を希望しました(他の人には見えません)。
[村からやや離れた場所にある、埃っぽい街道。
夏の眩しい夕陽に照らされて、乗合馬車が一台、がたごととやってくる。御者台に乗っていた男が、不意に手綱を引いて馬を止めた。]
[馬車の中に何事か声をかける。
ややして、馬車の扉が開いて小さな荷物を抱えた小柄な女性が一人出てきた。
車から伸びた短いステップを落ち着いた足取りで降りてきて、危なげなく地面に降り立つと馬車から3,4歩離れる。
女性がくるりと御者の方に向き直って丁寧なお辞儀をすると同時に、乗合馬車はまたがたごとと音を立てて出発した。]
[顔をあげ、女性は背後を振り返る。街道から分かれ、この先は崖沿いの道が続いている。]
ちょっと街までお使い、ってだけなのに、遅くなっちゃったな。
お夕飯の支度間に合うといいけど。
[そのまま足早に、吸い込まれるように崖沿いの道へ歩いていった。]
/*
よく見れば、みなさん「肩書き」が変わってるー
あわててメモ修正。オトフリートでも、先生じゃない可能性もあるってことかーorz
[鉱山から、村に向かい歩いて行く。ポケットの中で、小銭をちゃりちゃりと音を立てていた。
ふと見上げれば、きれいな夕日。まぶしくて、軽く目を細めた。]
もうこんな時間か…飯でも食いにいくか。
[足は村の中心地の宿兼酒場へと向かう。いつものことだ]
[村の入り口の門まで来ると、難しい顔をして立つギュンターに出くわした。]
あら、ギュンターさん、見張り番ですか。お疲れ様です。
ええ、街までお使いに。そうです、寄り道してたらこんな時間になってしまって。
[いつものように笑顔で話を交わし合い――
――老団長の顔に浮かぶ微かな陰に気付く]
……どうしたんですか? おでこに皺が寄ってますけれど。
[きょとんとして尋ねるも、彼は「何でもない」と言うばかり。]
そう……ですか? 本当に?
[まだ気になるようにギュンターの顔をまじまじと見ている彼女に、ギュンターは慌てたように、「急いでいるんじゃなかったのか」と指摘する。]
あっ。そうだ、いっけない! 早く帰らないと!
[しまったというように口に手を当て、後の挨拶もそこそこに彼女は村の中へと急いだ。
残されたギュンターの顔に浮かぶ表情には気付かずに。]
/*
ようつべで、オパール鉱山の映像があったので、参考に見てきたり。
http://jp.youtube.com/watch?v=xQLtQ2U-dUQ
参考になればいいなあ。
[一人暮らしにはやや似つかわしくない家に戸締りをして、外に出る。向かう先は、村の中央にある宿屋兼酒場。
3年前、父の病死を知って帰郷し、後を追うように母も眠りに就いてからというもの、食事は大抵酒場で済ませるようになっていた。
作ろうと思えば作れるらしいが、その時間を作曲に割きたい、というのがあるらしい]
ふぅ……どーにも、上手くイメージがまとまらん……。
―宿屋兼酒場―
[程なくして、酒場についた]
女将さーん、晩飯おねがいー。
[元気な声を上げて、ドアを開ける。いらっしゃい、という女将の声を聞きながら、定位置のカウンターの隅っこの席に座る]
7人目、詩人 ハインリヒ がやってきました。
詩人 ハインリヒは、村人 を希望しました(他の人には見えません)。
[壁越しから聞こえてくる咳きの音に気付き、小さく舌打ちした後で、体を起こし窓の外の景色を眺め]
やれやれ…またかよ。
ったく、もうちっと寝てたっかったんだがな。
[咳の音の続く部屋へと続くドアを軽くコツコツとノックして]
大丈夫か?お袋。
嗽用の水差しはベッドの横に置いてるからな。
俺はちょっと出かけてく…。
あー、わかってる。わかってるよ。
今度、俺の書いた詩を本にしたいって言ってる奴がいるんだよ。それがでりゃ、まあバカ売れとはいかなくてもちゃんと金が入るから。あー、はいはい。んじゃ、出かけてくる。
[椅子にかけてあった上着を羽織り、ぼさぼさの頭を手櫛で適当に整えると家を出る]
[家から離れ路地に出たところで上着のポケットに手を突っ込む。中にあるのは数枚の紙幣と幾ばくかの小銭]
…っち。だいぶ減っちまったなぁ。
今日も俺には金は無し。されども世は事も無し、ってな。
やっぱり詩人だねえ、俺は。
/*
わー、エーリッヒありがとうありがとう!
正直、主人が見つかると思ってませんでした!
全力で忠誠を誓いますよ!!
*/
/*
料理下手の……ドジっ子メイドさんでせうか。
ところで、口調が定まりません。
まあ、ノリでいいか、ノリで。
[それがいつものことと申します]
─宿屋兼酒場─
……風、空、虹……。
[小さな声で呟きつつ、広場を横切って酒場へと。
曲のイメージの元を零しながら歩くのは珍しい事ではないためか、その事を奇異と見る向きはないらしい。
ともあれ、酒場に無事着いた所でカウンター席に陣取り、女将に声をかける]
……取りあえず、シードル、と。
何か、軽く摘めるもの。
食事は、後から考えるから。
[調子に乗ったのか、その場に立ち止まりいくつか言葉を重ねていたが]
んっんー。どうにも調子がのらねえな。
やっぱり脳に栄養がいかねーとな。
[足はそのまま酒場へ向かい。ドアをゆっくりと開け店内へ。数人の視線が集まり、聞こえよがしの「噂話」が耳に入ってくるのを無視してカウンターの隅へと座る]
とりあえず、ビール。つまみはいらねーよ。
[カウンターに硬貨を投げるように置き、ジョッキを受け取る*]
[程なくして、簡素な食事を女将が持ってきた。パンが1切れ多いのは、育ち盛りの少年に対する気遣いだろうか]
いつもありがとー、女将さん。いっただきまーす!
[勢いよくパンに食いついていれば、聞きなれた声がする。振り向けば金髪の青年の姿]
あ、エーリッヒ兄ちゃん。こんばんはー。
相変わらず音楽のネタ探ししてんの?そーいうのも大変なんだねー。
[食事に夢中になりながらも、挨拶をした]
8人目、工房徒弟 ユリアン がやってきました。
工房徒弟 ユリアンは、智狼 を希望しました(他の人には見えません)。
……親方、今日の分は?
[工房に入るなり疑問を投げかける。
投げかけた言葉はどこか気だるげな雰囲気を含んでいて。
それが常のものなのか、声をかけられた技師は咎めるでもなく先程運び込まれたオパールの原石を示した]
…へぇ、今日は随分とあるな。
俺がやる分は?
……またちっさい方かよ。
そろそろでかいのもやらせてくれよ。
[不満げに言いながらも、選り分けられた原石を自分の机へと運んだ。
この文句もいつものことなのだろう、技師は「また今度な」とお約束の言葉を返してくる]
…いっつもそれじゃん。
分かったよ、今はこれやっとく。
[渋々という言葉が合う様子で原石に手を加え始めた]
[家に帰り着くと、まず真っ先に主人の部屋に向かい、そのドアをノックした。]
ユーディットです、ただいま戻りました。
頼まれていた楽譜をお持ち致しました。
[返事がない。作曲に没頭しているのだろうか。]
ええと。……失礼します。
[声をかけ、ゆっくりとドアを開ける。誰もいない。]
……あれ。
[少し嫌な予感がして、キッチンへ行ってみる。お昼にと用意しておいたサンドイッチが、全く全然これっぽっちも手がつけられないままテーブルの上に鎮座していた。]
………。
[主人の居場所に見当がついたものの、一応家の隅々を探してみる。居ない。]
………………。
[肩で大きくため息。荷物を片付けると、酒場へ向かうことにした。]
今日は表にはもう出ないでおこう。
憧れの人を誰にするかで動き方変わるし。
さて、大雑把に最初の印象だけでの中身当て。
ユーディット→ヒサギさん
ティル→たぬさんorめいさん
イレーヌ→たすくさん
ハインリヒ→まず間違いなくろこあさん
エーリッヒが悩む・・。
なんとなく、会ったことのない二人のどっちかだと思うなぁ。
ま。ここまでの発言だけなので、間違ってる可能性はありありだけどね。うむ。
……お、と。
[呼びかける声に、遠くへ行っていた意識は再び現実へ]
やあ、こんばんは。
大変というか、一応、これが仕事だからね、俺の。
好きでやってる事でもあるし。
[くすくすと笑いつつ返し、出されたグラスに口をつける。
ハインリヒがやって来たならそちらに向けて軽く会釈を。
もっとも、返礼は余り期待していないが]
/*
初狼希望、頑張る所存。
『工房徒弟』ってだけでMeyさんにはバレるだろうこれ。
中バレなんて気にしないから良いんだ(ぁ
さて、一日目更新の時に完全鳩らしい俺ですが。
ぎゅんさん襲撃描写やりたいんだよなぁ。
少し考えてあるんだ。
[続いて入ってきたハインリヒにも軽く挨拶をして。
次のパンをぱくりと食べつつ、再びエーリッヒの方を向く]
そーだよね。何でも仕事って大変だし。
仕事しなきゃ、飯食っていけないんだもん。
[笑いながら、手元のパンを軽く持ち上げた]
働かざる者食うべからず、とは、よく言ったものだよね。
[ティルの言葉に頷いて、つまみのチーズを一口。
作曲という自身の仕事が、古くからここに生きる者からはそう見なされていない事は帰郷してからの3年で思い知っているためか。
掠める笑みは、やや苦笑めいていたが]
/*
はい、今更ですがここで自己突っ込み!
シードルはフランス圏メインですよー。
……寝ぼけてますな。
まあ、気にしたら負けだ、きっと。
親が好きで頼んで入れといてもろたとか、そういう逃げ道もあるっ!
[日暮れの道をずんずんと歩いていく。
すれ違う人が見えれば笑顔で挨拶をしたが、それも人がいなくなれば、半分怒ったようなむくれ顔に戻ってしまう。]
もうっ。戻り次第お夕飯は作ります、ってきちんと言っておいたのに。どうして私の作ったものは食べてくれないのかしら。
[いっつもそうなんだから、と今度はどことなく悲しそうに俯き。かと思いきや瞬時に顔を上げる。]
違う違う、私のせいじゃない。
……えーと、私のせいかもしれないけどそうじゃない!
ネガティブ反対。前向き前向き。
[よし、と掛け声をかけて酒場の扉を開けた。]
[こつ、こつ、こつ。
工房の中で加工・研磨の音が鳴り響く。
今まで積み重ねてきた技術を使い、割り当てられた原石を宝石へと変えて行った]
……………。
…全部、ブラック、かな。
[磨かれたそれは黒色、濃青色等の暗い色を示した。
残念ながら、プレー・オブ・カラーと呼ばれる部分はほとんど無かったが]
……ま、この原石だとこんなもんかな。
でかいのだとまた違うんだろうけど。
[言いながら視線を親方である技師へと向ける。
技師は丁度大きな原石を研磨しているところだった。
見る見るうちに宝石へと変わっていく原石。
磨かれたそれもブラックオパールと呼ばれるものではあったが、ユリアンが磨いたものとは違い、その中に閃光のような輝きが見て取れた]
……あんなのも、手がけてみたいよなぁ。
[ぽつりと漏らされたそれは、普段の気だるさは含まれておらず。
羨望の色が濃く滲み出ていた]
エーリッヒ様っ、探しましたよっ!!
[わざと大きな声で、よく見知った背中に言葉を投げつける。
本当は探してなどない。最初からここだと判っていたのだから。
けれど、それを認めるのは何となく癪だった。
例え、これがもはや毎度のことであったとしても。]
どうして家にいらっしゃらないんですか!
お昼ごはんはちゃんと食べたんですか?
[と、エーリッヒと談笑していたティルに気付き、丁寧に会釈する。またエーリッヒに向き直り。]
お夕飯も用意するって、言っておいたじゃないですか。
どうしてここにいらっしゃるんです?
/*
思ったよりも感情はっきり素直な子になってるかな。
周りが何となく暗めなので、相対で。
足引っ張る子になってないといいけど。
*/
[エーリッヒの苦笑めいた表情には気がつかずに、続いておかずのソーセージをぱくり]
そーそー。いい言葉だよね。
俺、馬鹿だから兄ちゃんの仕事がどんなもんかよくわかってねーけど。兄ちゃんも大変なんだよねー。
[そこへ酒場のドアを開けて、大声をあげてやってきた女性の姿を見とめる]
ユーディ姉ちゃんこんばんはー……って。またエーリッヒ兄ちゃん、姉ちゃんほっぽらかして出てきたんだね…
[いつもの事なので、呆れ顔で2人の様子を眺めている]
[扉の開いた気配に、また誰か来たか、と呑気に考えていた所に飛んできた、声。
表情がほんの一瞬引きつったのは、ティルには見えたかも知れないが。
声の主を振り返る時には、そんな名残はどこにもなく]
やあ、ユーディ、お帰り。
……昼か……昼は、いつの間にか過ぎていたんだ、うん。
[この点、嘘は言っていない]
で、我に返ったら、君はまだ戻っていないようだったし。
お使いで疲れているのに、無理をさせたら悪いと思ったのと、あと、気分転換に出てきたんだよ。
[にっこりと、向ける笑顔は無邪気とすら見えるかも知れない]
[サイズが小さく、数も多くないために、技師よりも早く仕事が終わるのは道理で]
……分かってるよ。
晩飯、貰ってくれば良いんだろ。
[言われる前に技師に言い、代金を貰って工房を出た。
向かう先は村中にある宿屋兼酒場。
工房は鉱山麓に構えているため、少し歩くことになる]
……めんどくさ。
[ぶつくさ文句を言いながらも、宿屋へ向けて歩を進める。
腹が減るのは自分も同じだし]
大変だけど、遣り甲斐はあるよ。
目に見える成果を出すのが難しいから、大きな評価は期待できないけど。
[引きつりは一瞬、ペースを取り戻せばティルに答える態度はいつもと変わらず。
それでも、呆れ顔を向けられると、ほんの少し、心外な、と言いたげな表情を覗かせ]
ほっぽらかし、というわけではないんだけどなぁ。
[そこだけは反論した]
[ぶらぶらとだるそうに歩を進め、ようやく宿屋に辿り着く]
……女将さん、何か適当に。
[宿屋に入るなり注文。
持ち帰りだというのを言わずとも、向こうで用意してくれていることから、この光景もいつものことだというのが見て取れるだろう]
……なに、痴話喧嘩?
[カウンターに凭れながら言い合う男女を見、晩飯準備中の女将に言葉を投げかけたり]
いつの間にか、って……。
[呆れ顔を隠そうともせずに、はあ、とため息をつく。
何か(主に作曲だが)に没頭すると、他のことを忘れてしまうこの主人の癖は何とかしたい。本当に、いつか何とかしないといけないだろう。]
無理だなんて、そんなことはありませんから。
それが私のお仕事なんですから、そんなことに気を遣わないでください。
[純粋な笑顔を向けられれば、困ったように返した。
主人の言葉を素直にそのまま信じている。]
気分転換は良いことですけど……。
ええ、エーリッヒ様は楽譜や音や記号のことで頭が一杯なんです。私の作ったごはんのことなんて考える余地もないんですよ。
[ティルには大げさに頷いてみせた。]
/*
今回ユリアンを選んだ理由。
工房徒弟やりたかったのもあるけど。
幻夢で女子とおっさんはやったけど、青年ってやってないなぁと思って。
漆黒流星のあれは青年と見なしてませんかr(ぁ
どこをどう見れば、痴話喧嘩になりますか。
[投げかけられる気だるげな声に、至極真面目にこう返し]
うん、いつの間にか。
[呆れ顔の影でユーディットが固めている決意など、知る由もなく素で頷いた]
いや、そうかも知れないけれど、あちらまでの使いは大変なんだしね。
無理を重ねて、具合を悪くしたら大変だから。
[にこにこと。笑いながらの言葉は、一応は真意も含んで]
気分転換にでも出ないと、ピアノの前に根を張りかねないからね、俺は。
へー。成果だすのが難しいんだ。
俺がなかなかいい原石見つけられないのと同じようなものかな?
[スープをこくこくと飲みながら、エーリッヒの反論の声を聞いて]
はいはい。
[気のない声で返事を返した]
ユーディ姉ちゃんのご飯の事を忘れてるなんて、もったいないよなあ。
[ユーディのご飯の味の事は知らないので、そうつぶやいた]
[ドアが開く音に気がついて、そちらを向く]
あ。工房の…ユリアン兄ちゃんだよね、こんばんはー。
[見知った顔を見つけて、挨拶をする。
そして、ユリアンの『痴話喧嘩』という声に、うんうんと首を縦に振った]
[見知った顔を見つければ、ティルに対して「…よ」と片手を上げて]
……男と女が言い合ってたら、痴話喧嘩にも見えるって。
[常の表情の乏しい顔でユーディットとエーリッヒに返した]
自分がいいと思っても、他者が皆そう思うとは限らない。
そういう意味では、原石探しにも通じるのかな。
[ティルの言葉に、緑の瞳をゆる、と瞬いて呟く。
その後の気のない物言いや呟きには、また少し、引きつったりもしたが]
見えるといわれても、違うとしか。
[ユリアンへの突っ込み返しは、やっぱり真面目だった]
私はちょっとやそっとのことじゃ倒れませんよ。
お気遣いは嬉しいですけど、それじゃ私がいる意味がなくなってしまいます。
私みたいなのを雇ってくださって、感謝してるんですから……ごはんぐらい、作らせて下さい。
[真面目な顔でエーリッヒに頼み込む。]
そうですね、このままだとエーリッヒ様はピアノと心中しかねないと思います。
[諦めたように同意する。]
[ティルの言葉には嬉しそうに]
そんなこと言ってくださるのは貴方だけですよ。
そうだ、今度何かご馳走しますね。
[手を胸の前で合わせて、笑って言った。]
[次いで、ユリアンの無表情に近い顔には首を横に振り。]
男と女と言っても、私はエーリッヒ様に雇われている者ですから。そういうことはあり得ないです。
……ふーん。
なんだ、詰まんないの。
[エーリッヒとユーディットからの言葉にそんな言葉を言いつつ。
やり取りの間に準備が出来た晩飯を、女将から貰って代金を払った]
…ところでティル。
今日も原石持って来た?
[視線をティルに向けて話題転換]
いやいや、助けられているのは俺の方ですから。
[一人で住むには広い家、という事は、掃除などの維持はそれなりの労働。
そこを補ってくれるユーディットの存在は、それだけで十分ありがたいのは事実。
とはいえ]
……まあ、取りあえず、今日は遅いし。
一緒にここで済ませて行こう、うん。
[頼み事はしれりと受け流した。
最後の同意の方は、あはは、と笑って誤魔化して]
9人目、医師 オトフリート がやってきました。
医師 オトフリートは、智狼 を希望しました(他の人には見えません)。
…あ、しまった。
[読み終わった本を閉じ、顔を上げて呟く。
角灯の油は残り僅かで頼りなく炎が揺れる]
少しだけのつもりが。
また医者の不摂生と笑われてしまいますね。
[やれやれと立ち上がりながら肩を叩く。
寝台の上に放り出してあった上着を羽織って外へ出る]
まだやっている時間ですよね。
[村の中心にある酒場へと向かう]
エーリッヒ兄ちゃんのお仕事って難しそうだねー。俺にはよくわかんないけどさ。
[相変わらず真面目なエーリッヒに苦笑しつつ]
わー、姉ちゃんのご飯!楽しみにしてるっ!
[日銭を稼いで生きている少年には、食わせてもらえるだけでうれしいものだ。笑顔で返事をした]
[スープを飲み干していれば、ユリアンの声が聞こえて、そちらを向く]
うん。今日はちょっといい石が掘れたから持っていったよ。狭い坑道だったから、俺みたいな身体のちっちゃいガキの方が、いい石取れるんだよね。
[へへと笑いながら、カップを置いた]
[実のところは何か面白いことがあれば、とそれだけの意味で詰まらないとか言ってたり]
……あの一番上に乗ってたやつか。
親方も褒めてたな、あれは。
…俺に回されたのは小さいやつばっかだけど。
…狭い坑道潜り込むのは良いが、出られなくなったりしないように気をつけろよ。
落盤が無いとも限らねーし。
[ティルの言葉にそう投げ返す。
空腹が頂点に達したのか、自分の分の晩飯を少しずつつまみ始めた]
/*
はい、村立てたまま出かけていたというのが来ましたよ(殴
この度は兎猫の企画した村にご参加くださいまして、誠にありがとうございます。
不慣れでは在りますが、皆様に楽しんでいただけるよう、精一杯努力致したいと思います。
希望の男女比が少し偏っているので、様子見しながら変更も考えようかとも思ったのですが。ティルのメモを見落としていたので慌ててお邪魔しておくことに。明日明後日といらっしゃれないようですし。
設定?帰り道に思いついたのを適当に出しましたが何k(爆
そんなわけで変更するなら別にー、なんですよね。
でも、……
[尚も言い募ろうとするも、それはエーリッヒの受け流しで有耶無耶になってしまい]
……そうですね。もうエーリッヒ様は食べちゃってますし。
それじゃ、私も食事の方お願いします。
[すみません、と女将さんに頭を下げて、椅子に腰掛ける。
今更家に戻って自分の分だけご飯を作るというのも味気なかった。]
ええ、それじゃ家の方にいらっしゃい。
エーリッヒ様もたぶん、私と二人だけでご飯を頂くのに飽きてらっしゃるから。
[ティルに笑顔で返し、ちら、とエーリッヒを見やる。ティルが来ればもう夕飯から逃れることは出来ないだろう。]
[そんなことをしつつ、ユリアンとティルの遣り取りには興味深そうに聞き耳を立てていて]
ユリアンさんの言う通りです。あんまり危ないところは行っちゃ駄目ですよ。
[なんて、ティルに注意したりする。]
中:
ふぅようやく落ち着いた。
というわけで娼婦ですt_nukeですこんばんは。
メイさんに呼ばれてまったり参戦です。
何かこの村設定だとまた薬草使いやりかねなかったので、ふっと頭に沸いて出た娼婦をやってみようかと思いました。
えろいと某蛞の人に言われるからいっそ本業エロくしてみたよ。とかそんなね!(ぁぁぁ
でも性格は普段のあれな子とかわらなーい。
まあ、難しいと言えば……。
[ティルの言葉に、考え込むように首を傾げ]
そう、だね。
上手く行く時は本当に綺麗にイメージができるけど。
どうにもならないときは、どうにもならないしなぁ……。
[ため息混じりにぽつり、と。
今が正にその、「どうにもならない」状況なのだが]
[ユーディットがティルに向ける言葉には、何も言わなかった。
その時が来たら来たで、必死で考えるのだろうけれど]
[酒場の扉をノックする。
それからゆっくりと扉を開けて中へと入る]
こんばんは。
少々遅くなりましたが、食事をさせていただけますか。
うん。今度ご飯食べに行くね。楽しみにしてるー。
[ユーディに招待されて、うれしそうに返事を返しつつ。
ユリアンの声にうれしそうに]
わー!親方さんも褒めてくれたんだ、よかった。
いつかユリアン兄ちゃんにも、俺の採ったいい石加工してもらいたいよなー
[そして、ユリアンとユーディに注意されれば]
うー。気をつけるよ。
けど、ちょっと危険なとこの方が、いい石取れるんだよなー。
[小さな声でぽつりとつぶやいた]
[ドアが開く音に気がついて、そちらを向く]
オト先生だ。こんばんはー
[笑顔で手を振った]
10人目、青年 アーベル がやってきました。
青年 アーベルは、霊能者 を希望しました(他の人には見えません)。
[細身の青年と思しき影が夜空の下を歩いている。こつりこつりと硬質な、ゆっくりとした足音をたて、人の姿も疎らな村の中を進み]
……。
[やがて辿り着いたのは、灯りの漏れる宿屋でもあり酒場でもある店の前。その看板をゆらりと見上げて]
[やがて運ばれてきた食事に、女将さんにお礼を言って食べ始める。エーリッヒの独り言のような呟きに対しては肩を竦めた。]
どうにもならないときは、そこで少し休みなさいっていう誰かからの合図なんですよ。
エーリッヒ様の場合、上手くいくときは本当に上手くいく、ってことなんですから、焦ることはないんです。
[言ってから、主人に対する言葉ではなかったな、と気付く。
慌てて]
……と、私は思います。
[少しだけ取り繕ったところで、扉のノックが聞こえて振り向いた。]
先生、こんばんは。今までお仕事ですか?
[ちょっと驚いたように目を瞬かせる。]
[早めに訪れたお客が帰ってから、自分に客入りはなかった。
同じ場所で働いている姉さんらには何人か客がついているようで、時折艶のある声と、古木の軋みが耳に届いた。
それをぼんやりと聞ききながら窓の外を見る。空にはちかりと星が昇っていた。
暫くぼんやりと眺めていたら、扉を叩く音がしたので内側から開けた。お客かと思ったのだが。]
あ、女将さん…。
………。
…そうですか、はい。わかりました。
[女将から今日は早めに切り上げるよう言われ、素直にそれに従う。
その替わりに明日一番に、自分を気に入っている老人の元へと行くように言われ、一瞬沈黙したあとこくりと頷いた。
老人はいわゆる彼女にとっての上客だが、あまり良い客とはいえなったからだ。それでも嫌な顔だけは、しない。]
それじゃ食事取ってきていいですか?
夕飯食べそこねたから。
[女将の了承を得たあと、一人先に娼館を出て、女将の親戚がやっているらしい宿屋へと向かった。]
[オトフリートの姿が見えれば、会釈を返す。
修行の合間、怪我をすることもあるため、世話になることもしばしば]
……俺にはまだまだ任せられないってさ。
もう4年もやってるってのに。
…いつか加工させてやるとは言ってるけど、どれくらい先になることやら。
[ティルの言葉に肩を竦めながら返した。
もぐりとパンの欠片を齧り、租借。
ぽつりとティルが漏らした言葉には、租借したパンを飲み込んでから]
…気持ちは分かるけど。
危険だと、入り込む人が少ないから、良いのが残ってるんだろ?
……けど、命には代えられないし。
はい、こんばんは。
君も丁度食事の時間ですか。今日は怪我はしませんでしたか?
[柔らかな笑みを浮かべティルに手を上げ返す]
ユディもこんばんは。
いえ、それがつい本を読んでいたら、ですね。
[軽く頭を掻く。本に没頭して時間を忘れるのがよくやる失敗であることは、村人の多くが知っていることだろう]
[入ってきた医師には、会釈と共に挨拶をして]
[ユーディットの言葉に、一つ、瞬く]
あはは……そうかも、知れないね。
まあ、納期がある訳でなし、もう少しゆっくりと進めていくか……。
[軽く言って、途中で止めていた食事を再開する]
/*
お誘い受けてきました、飛び込みです。
お、お邪魔します……。果てしなく緊張してます……
思うままにやったらこんな暴走設定ですみません。
独り言中は大丈夫だったよね……(不安)
*/
まぁ、またですか。先生。
[頭を掻くその様子に苦笑のようなものを漏らす。]
先生もエーリッヒ様と同じ病気なんですね。
始めたら止められなくて、何もかも忘れてしまう。
……ちゃんとご自分の食事や健康にも気を遣ってあげて下さいね。
[エーリッヒはピアノ、オトフリートは本。
何かに集中し、時を忘れる]
……皆似たようなもんか。
[かく言う自分も、研磨や加工に没頭する癖があったりするわけで。
人のことは言えないために咎めの言葉は出なかった]
[その戸を手の甲でこつりと叩く。また二度続けて叩いてから、一度頷いて戸を開いた]
……今晩は。
お邪魔しますね。
ええ、今晩は。
[挨拶をしながらも店内の面々は見ないまま、ふらりとカウンターの方へ歩み寄り。女将に向けて「ミルクを」と注文し、硬貨と引き換えに品を受け取る]
……。
[適当な席に就くと、親指の爪をがりがりと噛みながら、ようやく店内を一望し]
[会釈を送られれば笑みと共に会釈を返し、声を掛けられれば軽く挨拶を返してゆく]
はい、いつもの水と。
ティルと同じものをいただけますか?
[彼は滅多に酒を飲まない。
祭りで飲まされた時にも酔った素振りは全く見せなかったのだが]
はは、面目ありません。
できるだけ気をつけるようにしますよ。
医者が倒れてしまうわけには行きませんからね。
[エーリッヒの方をチラリと見て苦笑を浮かべる。
ユーディットに顔を向け直すと軽く頷いた]
[宿の前でアベールと丁度鉢合わせ、立ち止まり軽く頭を下げた。この人は少し苦手だった。何となくだが、怖いと思ってしまう。
アベールが入った後に続いて店に入ると、中には人が何人か居た。視線を感じ、アベールにしたのと同じように軽く頭を下げる。声は出さなかった。
そしてどこか空いている席をと見回すと、知った顔を見つけ、どこかほっとした様子で近くに寄った。]
こんばんは。ユリアンも夕飯?
[そうして微笑んでみせた顔は、歳相応に近いごく自然なものだった。]
でも考えてみれば、この村ってそういう人多いのかもしれませんね。
工房で宝石を加工なさってる方たちも、時間を忘れてお仕事に集中してらっしゃいますし。
[と、ユリアンがティルに言った返事が耳を掠めて]
そんなに長い間修行なさるんですね。
……凄いです。
[素直に感心した。
言葉の裏にある苛立ちに似たものには気付いたのかどうか、実に怪しい。]
[と、また扉の開く音。
後ろを向いて、アーベルがいることに気付き――
――なんとなく、複雑そうな顔をした。]
中:
にしても14から客取りってあれかなぁ。
まぁ近代じゃないし。いいかなと。
ところでユリアンろこあさんだろ!ありがとう!(ぁ
エーリッヒはいわずもがなの猫さんで、ユーディットがメイさんか?
[叩かれた戸に視線をやる。
現れた人物を確認すると、直ぐに視線を逸らした。
この村に来てからどこか理解に苦しむ行動をする人物。
関わらぬが得策、といつも見てみぬ振りをしていた]
……女将さん、水一杯。
ここで食ってくわ。
[持ち帰る予定だった晩飯を一つ広げ、カウンターで食べ始める。
工房で技師が待っているだろうことは考えないことにした]
…イレーネ。
そっちも、飯?
[かけられた声に視線を向け、晩飯を食べながら片手を上げた。
元々表情の変化が乏しいため、懇意にしている相手であっても無表情のままなのだが]
[感心するようなユーディットの言葉に]
…親方に言わせれば、まだまだひよっ子だとさ。
手先の器用さには自信があったんだけど。
未だに良い石には触らせてもらえない。
[紡がれる言葉には不満の色]
おや。
[アーベルを見て軽く目を細める。
少しだけ笑みが小さくなり、憂いに近いものが一瞬浮かぶ。
それもイレーネに会釈を返す時には元に戻っていたが]
いただきます。
[やがて届いた食事に手をつける。
一つ一つをゆっくりと租借する。食事の量はティルに比べかなり少ないのだが、時間はやたらと掛かる]
[アーベルの後ろからイレーネが入ってきたのを見てとり、こんばんは、と会釈をする。
こちらに対しても、アーベルに向けたのと同じような、複雑そうな表情が一瞬浮かぶ。
けれどそれはすぐに、普段通りの優しい顔の下に隠れる。]
/*
…おっとと。
アーベルは使用希望者さんじゃありませんでしたか(苦笑
元々の希望者さんと上手く調整できればいいのですけれどね。
ごめんなさい、当事者さんにお任せしますよ。横から口を出すと混乱の元になりそうな気がしますので。
必要がありそうなら介入も致しますが。
[ユリアンの不満そうな顔に目を見開く。]
そうなんですか?
良い石っていうのがどういうものかはよくわかりませんけれど……。きっとユリアンさんなら、そのうち扱わせて貰えるようになりますよ。
親方さんは、ユリアンさんをもっともっと凄腕の技師にしたいんですよ。4年も育てるってことは、才能を見込んでいるということですからね。
[1年前、この村にやってきたときから変わらない、ポジティブ思考。]
/*
気づいてない人には村立てと思われていそうな気がしたがまあ、気にしない。
つーか、一時的にぎゅんさん使えばよかったんでね、俺?
[今更か。今更だな]
[ふと気が付けば辺りには随分と客が増えており。皆の食べている食事の匂いが鼻に届く]
んー、いいねえ。随分賑やかになってきたじゃないか。
俺もなんか食うとすっかな…。
[何を食べるか思案したが決めかねて、他人が食べているものでも参考にするかと見回した。その中にオトフリートがいるのに気付き、軽く会釈した]
…サイズのでかいやつとか、価値が高そうなやつとか。
削りすぎたり、傷つけたりしたら、儲けが減るからな。
[元も子もない言い方でユーディットに返す。
才能を見込んで、と聞けば僅かに首を傾げて]
……そうは、見えねぇけどなぁ。
体の良いパシリだと思ってんじゃねぇの。
[事実、仕事の雑務や、住み込みであるために洗い物等も任されていて。
便利に使われている部分は多分にあることだろう。
ユーディットの言うように期待している部分もあるのだろうが]
[ユーディットが見せた視線には気づいたが、あえて気づかないふりをした。少なくとも表面上だけでも優しく接してくれている以上、こちらから何かを言う事も特に無く。]
うん。明日忙しいから、先に休んでいいって。
[そう告げユリアンの隣に腰掛ける。おそらくこの中では一番、ここが落ち着ける場所だった。
宿の女将に、安めの夕食を頼んで代金を払い少し待つ。
ユリアンの表情が乏しいのは、出会った頃から今も変わらないのでさして気にしてはいない。むしろ急に笑われたりした方が、きっと驚く。
そのうちパンに野菜とハムを挟んだものが届くと、それを少しづつ、食べ始めた。]
[人の気配が増えているのには気づいているのかいないのか。
食事の間にまた、イメージ模索に入り込んでしまったようで。
無意識、カウンターの上で指が動く。
とん、とん、とリズムを取るように]
ああ、ハインリヒ。
新しい薬の材料も届いたのです。明日またお邪魔しますね。
[没頭していた本はどうやら同時に届いた物である様子]
イレーネ。
女将さんにも明日お届けしますと伝言お願いできますか?
[一旦食事の手を止め、少女に静かに声を掛けた]
…明日…。
[忙しいと言うイレーネの言葉に、食事の手が止まった]
……また、『あそこ』に?
[言葉に乗るのは心配の色。
全てを知っているわけではないが、明日忙しい、とイレーネが言う時は、必ずと言って良い程とある屋敷へと向かうためだ]
…今日この後お前のところに行こうと思ったけど。
それなら、止めておいた方が良いかな。
[薬。それは毒にもなるもの。
使い方を誤ればいとも簡単に。
両者に渡すものに使う素材は同じ。
だがその効能は全く違うものだったりするかもしれない]
仕事、大変そうだね。
[ユーディットとの会話を聞きながらぽつりと呟く。
店でも宿でも会えなかったのはその為かとは少し思った。
とんとんと、小さな音が聞こえたのできょろきょろと探し、その音の元を見つけると、エーリッヒ指先を目を瞬かせながら見つめていた。興味深げに。
食事の手を止めぼんやりと見ていたら、オトフリートから名を呼ばれ、顔をあげた。]
あ、はい。いつものお薬、ですよね。伝えておきます。
明後日には切れるって言ってたから、丁度よかった。
あの、いつもありがとうございます。
[そうオトフリートにぺこと頭を下げた。]
それは見えないだけですよ。
[フォークを振ってユリアンに力説する。]
あとちょっとしたら、判ります。大丈夫ですよ。
[にこりと笑う。と、エーリッヒの様子に気付いて]
……また始まった。
[しょうがない、とでも言いたげに、しかし優しい眼差しでそれを見ている。]
あ、ああ。いつもすまねーな。先生さん。
あんたが来てくれるとお袋も喜ぶよ。
[新しい薬と聞いて、代金の事が頭に浮かび一瞬表情を曇らせるが、気付かれないように慌てて愛想笑いを浮かべる]
あー、俺は鶏肉とパンのサンドをもらえるか。
野菜はいらねーよ。酒の味が薄くなっちまう。
[一瞬でも金銭のことで表情を曇らせたのがバツが悪かったのかカウンターに向き直り注文をした]
いえ、これも仕事ですから。
[僅かに眼を伏せ、イレーネに首を振る。
唇に浮かんでいるのは変わらぬ笑みに見える]
よろしくお願いします。
…ん、今日はティルが沢山持って来たからな。
今まで買い取ったのも、いくつか残ってるし。
[イレーネの言葉に頷いて、再び食事に手をつける。
力説するユーディットを見ると]
……そうなんかなぁ。
[疑わしげに呟いた]
青年 アーベルが村を出て行きました。
[周囲の視線などは気にした様子もなく。
指運びはその内、鍵盤の上を滑るにも似た動きとなり]
Jenseits der Himmel nach und nach erhoht und sich auf in….
[呟きが零れた後、ぴたりと止まった]
ん、なんとか……かな?
ええと…。
[少し口篭った後、こくりと頷いた。
1から全て話した事はないが、すぐに治らない傷痕を何度か見られた事もそれを追求された事もあり、察しはつけられているだろうと思いながら。
それでも、来ようと思ったというユリアンの声に嬉しそうに、ふるふると首を振った。]
あ、来てくれるんだったら…今日がいい。
きっと明日は忙しいだけで終わるし。
[そう微笑んだ顔は、お客に見せる透明なそれ。]
[奥のほうからハインリヒの声が聞こえ、そちらにもぺこりと頭を下げた。小さく、こんばんはと口にしたが、届いたかどうかは分からない。]
[オトフリートの内心は窺い知れないまま。
変わらなくみえる笑みと言葉に、もう一度小さく頭を下げた。]
私が行くことで元気になってくださるなら。
一番大切なのは、薬ではなく患者さんの気力ですからね。
[相手の微妙な表情にはピンとくるものがある]
それでも助けとしての薬の力は必要です。
…すぐにでなくても構いませんから。
ずっと忘れられてしまっては私も困りますけれど。
[最後の一言は悪戯めいた響きを含む]
[頷くイレーネには「……そうか」と声が漏れる]
…じゃあ、親方に晩飯届けたら行くよ。
ここで、待ってるか?
[食事は粗方終わり。
後は腹を空かして待っているだろう技師へと届けるのみとなる。
訊ねかける直前に見えた透明さが浮かぶ微笑には、ほんの少しだけ、気付くか気付かないかくらいに眉を顰めたか]
[注文を待つ間、イレーネに気付き、ニカと笑みを浮かべてジョッキを傾けてウィンクをした]
久々に…もいいかもしれねえなぁ。
[いつぞや客として会った時のことを思い出し、ぽつりと口からそんな言葉が零れたが、さすがにそれは誰にも聞かれぬ小さな声で。]
……ん、ああ。
なんとか、少し、形が出来たな、って。
[ユーディットの疑問の声にくす、と笑い。
ポケットから出した手帳に、今浮かんだ音階を書き込んでおく]
一度、弾いてみないとなんとも言えないけれどね。
[少し楽しげに見える笑みに、こちらも自然と笑顔になって]
そうですか。
それじゃ上手くいくときになってきたんですね。
[だからエーリッヒ様は焦ることないんです、と、うんうんと頷く。]
うん。夕飯、途中だし。
女将さん通すと断られるだろうから。
[女将には規定の取り分を出せば、個人的に客を取るのは構わないだろうと思い。
ユリアンが眉を潜める様子には気づいたが、何度か瞬きを繰り返すだけだった。
そこには透明なものはもう浮かんではいなかったが。むしろ、自分がどういった顔を見せていたのかにも気づいてはいない様子ではある。]
さて、それならいいんだけど。
[メモをし終えた手帳をポケットに戻しつつ、肩を竦め]
落ち着くならここから続けるし、落ち着かないなら、散歩でもして、違うイメージを集めるさ。
[頷くユーディットに苦笑めいた面持ちでこう返す。
その散歩の最中に入り込み、そのまま行方不明間際となるのもまた、*お約束なのだが*]
[ハインリヒの砕けたような笑みに瞬き、その一瞬後でふわりと微笑んだ。
自分にとってハインリヒは良い客だったので、彼への印象はよい。
寝物語に聞かせてくれる、村の外の話などはとても好きだった。
流石に小さく呟く声は聞こえなかったが、小さく会釈をかえして食事の続きを始めた。]
[マイペースな食事はいつのまにか終わりを見せる]
さて、その薬を仕上げてしまいませんと。
ごちそうさまでした。
[その場に居た者達には会釈を送りながら立ち上がる]
ん……。
それじゃあ、ちょっと行って来る。
[元に戻るイレーネの表情に、内心安堵の色が広がる。
食べ終えた食器を宿屋の女将に返し、冷めかかっている晩飯を持つと、宿屋の扉を潜った。
向かう先はもちろん、技師の待つ工房]
10人目、小説家 ブリジット がやってきました。
小説家 ブリジットは、霊能者 を希望しました(他の人には見えません)。
[夜空の下、人通りの少ない村を歩く一人の女がいた。女は小脇に、筆入れやノートや紙の束を重ね、紐で十字に縛った物を抱え、どことなくゆらゆらとした足取りで歩いていて]
……。
[やがて辿り着いたのは、宿屋と酒場を兼ねる一軒の店の前]
[いつもより戻る速度が早かったのは、イレーネを待たせていると言う心境からか。
辿り着いた工房の扉を開くと、未だ作業をしている技師の下へ]
……晩飯、買ってきた。
ここ置いとくよ。
[食事に使うテーブルの上に晩飯を置く。
技師が作業を続けながら「遅かったな」と声をかけてきた]
…向こうで飯食った。
ちょっと出かけてくる。
[端的に言葉を返し、再び工房を出る。
出かけてくるという言葉に、技師の溜息が聞こえたが、そんなことは知ったことではない。
来た道を戻り、宿屋へと歩く。
その動きはやはりいつもよりきびきびとしたものだったか]
[暫らく惚けた顔でイレーネの方を眺めていたが、立ち去るオフリートに気付きジョッキを掲げる]
おー、先生さん。明日よろしく頼むぜ。
おつかれさんだ。
[届けられた鶏肉のサンドを口に頬張り、掲げたジョッキをそのまま口に運んでビールで流し込んだ]
どちらにしても、きっと良いものができますよ。
[微笑む。]
でも、ちゃんと食事はとってくださいね。
あと睡眠と、休憩も忘れちゃダメです。
何かあってからじゃ遅いんですから。
[ぴしっと言い渡して、丁度食事を終える。]
ご馳走様でした。
[手を合わせて挨拶をし、最後にコップ一杯の水をこくこくと飲み干す。]
……はぁ、美味しいです。ありがとうございました。
[女将に改めて礼を言う。]
[丁度、立ち上がったオトフリートの姿が目に入り]
あ、おやすみなさい、先生。
……エーリッヒ様、私たちもそろそろ……。
[促しながら席を立ちかける。]
はい、ではまた明日。
[ハインリヒやユーディットに軽く手を上げて酒場を後にする。
もう少し遅ければ、一人の女性とも出会えただろうか]
[診療所は工房より大分手前、だが鉱山に近い場所にある。
ユリアンとすれ違ったなら再び会釈が交わされたか]
…朝一に届けた方がいいですかね。
[机の上に道具を揃えて呟く。
酒場で見せていた柔和な笑みは跡形も無く、双眸は冷たい翠の光を*宿していた*]
/*
またこんな設定ですみません。
変な目で見られたいんです……いや、Mとかじゃなく……
ブリジット可愛いコなのに私がやるとごにょー
予約さんは本当にすみませんでした!
*/
[宿屋へと戻る途中、オトフリートとすれ違うと会釈を交わし。
何を言うでもなくその場を後にする。
戻った宿屋の前。
誰かがその前に立っていたようだが、気にも留めずその横をすり抜け宿屋の中へと]
……戻った。
[食事を続けるイレーネの傍へと向かい、声をかけながらその隣へと座った]
[イレーネに声をかけようかとも思ったが上着の中の金の残量とオトフリートの言った「新しい薬」のことが頭をもたげ]
あー、ちくしょう。色々めんどくせー。
[ジョッキを片手にカウンターに突っ伏して]
金なあ。金さえあればな…。
[今日はもう少しだけ飲んで帰ろうと心に決めて、再びビールを注文した*]
[食事の手を止め、オトフリートにぺこりとお辞儀し見送って。
立ち去ろうとするユーディットらをぼんやりと見ながら、視線は入り口の方へ。
あんまりぼんやりしていたら、女将にコップを置かれた。
ああと、慌てた様子で視線を戻し水を飲み食事を続けると、ユリアンが帰ってきたので残ったパン一切れを口の中に放り込む。]
おかえりなさい。こっちも終わった、よ。
[若干けほりと咽せつつ、もう一度水を流し込んで一息。
女将にお礼を言って、席を立った]
[しばらく戸の前に棒立ちになっていたが、横を一人すり抜けていくのを確認すると、ぱちり、一たび瞬いた後]
……お邪魔しよう。――やあ諸君、今晩は。
盛り上がっているかい。いないかね。それもまた結構。
ブリジット=フリーゲがお邪魔するよ。
[閉じた戸をまた開いて中に入り、女性にしては低めだがよく通る声で、続けざまに挨拶らしき言葉を紡ぐ。それからカウンターへと歩み寄り、「フルーツを」と注文し]
…大丈夫か?
[咽る様子に訊ねかけて。
立ち上がるのを見ると共に席を立つ]
……じゃあ、行くか。
[イレーネの横に立つと、その腰に手を回し、移動を促す]
/*
娼館の女将を介せ無いとなると、場所は宿屋になるんだろうか、と考えつつ。
分からなかったのでイレーネに丸投げ(おま
うん? 違和感、違和感。
何だね。何か妙な気がするが……
嗚呼、そうだ。私はフリーゲではない、フレーゲだよ。
誰だね、私の名前を間違えたのは?
[ぶつぶつと、どこか不満げに。女将が「自分で言ったんだろう」と口を挟めば]
おや、そうかい。
成る程違和感を覚えるわけだ。
どうにも最近記憶力が悪くていけない。
/*
そう言えば17歳の時から娼館入り浸りって、何してるんだろうこの人(爆
まぁハインリヒよりは稼いでるだろうけどさ!(何
/*
ところでハインリヒとは早々に対立フラグですk
どうやって暴れてやるかなー。
はっ、ぎゅんさん襲撃のために鳩に文章仕込んでおかないと。
う、ん。大丈夫。
[こくこくと頷いて、店に残っていた人たちに小さく会釈した。
低く声高に話かけるブリジットには少し驚いたが、促されれば入れ違いに店を出る。]
[腰に手を回されると少しだけきょとんとしたが、丁寧に扱われているのだと朧気に解かり、やはりどことなく嬉しそうな様子で。
まだ灯りのついている娼館の裏口へと、二人で向かって*行った*]
[途中で(いつの間にか)出て行ったユリアンが帰ってきて、イレーネの腰に手を回す仕草を見て。
先ほどの複雑そうな顔の上に、更に複雑な表情が塗り重ねられる。
どちらかといえばそれは、希望、だとか、諦め、だとか、相反するようでいて同じ方向に向かう、そういったものの表情だった。]
[入れ違いになるようにして入ってきた女性には、こんばんは、と挨拶をする。
こちらに向けたのは、困ったような顔。
どう応対してよいのかわからない、という困惑。]
[けれど女将には食事の代金を払い終わっていたので、
幸いにして――と思って、自分でその感じ方はどうかとユーディットは反省した――彼女に深く接することもなく、二人は*酒場を後にした*]
[一人ぶつぶつ呟くブリジットには一瞥をくれてやるだけ。
本当に興味のあるもの以外には、あまり関わろうとしない性質故に。
宿屋に残る者達には形式上の会釈を向けて。
どことなく嬉しそうなイレーネをエスコートしながら、宿屋を出て娼館の裏口へと共に*向かった*]
[驚きや困惑の反応には気付かずか、気付いても気にならないのか、どちらにしても気にしていない様子で。無関心に対してもそれは同様、どの人物にもひらひらと手を振り]
やあ、今晩は。
そしてさようなら、またお互い無事であいまみえる事を望むよ。
[数人が店を出ていく姿を見送った]
中:
あ、ミリィはひさぎさんと予想してるんだけど違うかな?
でもひさぎさんならもっと喋ってるかもしれないとかも思ったり。
予想ー。
エーリッヒ:猫さん
ミリィ:ひさぎさん
ユーディット:Meyさん
ユリアン:ろこあさん
恋かい。良いじゃないか、恋とは人生の見せ場だ。
衝動かい。良いじゃないか、衝動とは人生の演出家だ。
良いね、若いというのは。そう思わないかい、女将。
私もまだ若い? それは光栄。しかし私は何歳だったか。
女将は何歳だったか――
[出て行った内の青年と少女についてか、そんな事を女将に向けて話し。最後に言いかけてじろりと睨まれれば]
……ああいや、これはやめておこう。
私はまだフルーツを食べていない。
中:
ぶりじったんなめさん?
でも蛞さんならキャラ予約とかしそうだしなー。
でもこのNPCの使いっぷりは。はて。
ついでにこの手のキャラは蛞さんお得意っぽいし。はて。
[ノートなどの束を脇に置くと、フルーツを指でつまみ、縦に長く積み上げ始める。そのうちにできあがるのは赤黄橙薄紅の鮮やかな、けれども今にも倒壊しそうな塔。満足そうにそれを眺め]
塔。やあ、これこそ塔ではないか。
木の棒などで行わないところが……
そう、あえて! フルーツなどでやるところが。
私の讃えられるべきところだよ。
女将。
讃えたければ幾らでも讃えてよいのだよ。
客人諸君も止めはしない、好きにしたまえ。
[店中に響く声で言う。女将は呆れたように溜息を吐き]
<中メモ>
ユリアン:お客としても好ましく、また普段から気安く接してくれているので好き。恋に近い感情持っているが、恋とかそういう感情をよく理解できていないから対応が微妙。
ハインリヒ:お客として好ましく思っている。
オトフリート:お医者様。頼りにしている。
ユーディット:普通、かそれ以下(含むものを朧気に感じ取っている)
エーリッヒ:普通。何となく知らないことをしている人なので興味がある。
ティル:生い立ちにだぶるものを感じている。
ブリジット:怖い。
ミリィは返事きてからだけど、一応幼馴染予定。好き。
塔……
塔。ふむ、……
[それから塔を見据え、暫く考え事をしていたようだったが]
……世界が、塔だったら、どうするね?
[ふいに、ぽつりと零す。問いかけの形ではあるが、誰に向けて問うたわけでもなく]
塔だったら……
塔だったら。
――バベルの塔だよ、諸君!
[次には大声をあげて椅子を揺らしながら立ち上がり]
そう、バベルの塔だ。知っているだろう。
神は驕りし人々の計画を砕かん。
人々は言葉を分かたれそれによって分けられた。
もしこの世界が塔……その塔なら。
我々は……またしても分かたれるのではあるまいか。
今度こそは個々で言語を持つようにまでされるかもしれない。
真の個人主義だ、群れの消滅だ。
すなわち文化と生態系の緩やかな退化、もっといえば死だ。
嗚呼、なんて恐ろしい。
そうなれば小説とても消えてしまう。
何を書いても自身の日記にしかならないのだからね。
実に……恐ろしい。
[演説じみた口調で矢継ぎ早に語った後、テーブルに手をついて再び席に就き。積んだフルーツを少々零しながらも食してから、束を取って腰を上げ]
さて。お邪魔したね、女将。
代金は明日原稿料が入るので気長に待っていてくれ。
無論。明日以降来ないという事はないから安心するとよい。
――この世が塔でない事を願って!
[カウンターに向け、また店内に向けてそう言い残すと、腕を振るように大きく手を振り、店を*後にした*]
/*
なんだこの小説家。
楽しいがCでなくLレベルで敬遠されそうな気がします。
<自重しない飛び込みですみません!
*/
[ユリアンが暗いうちに帰って行ったのは、おそらく彼の親方と自分らへの配慮だろう。
それから日が昇り始めた頃に目を覚まし、桶の水で体を清めて、持っているなかで一番上等の衣類と帽子を身につけ部屋を出た。
外で帳簿をつけていた女将に昨日分の代金を渡すと、いくらか引かれた分が戻ってきた。
それを鞄にしまい。]
「何時もの通り裏から。
くれぐれも、粗相するんじゃないよ?」
[念をおされこくりと頷く。]
[そうして老人の屋敷へと向かおうとして、ふいにオトフリートの言伝を思い出し女将に伝えた。]
「あぁ、流石というか。用意いいわね医者センセ。ちょうどいい案配だわ。
あんたも、飲んで行くの忘れないように。」
[頷き、鞄の中から薬が入った紙袋を取り出し中身を水で流し込んだ。苦みを覚え眉をしかめる。
もう一度水で喉の奥へ流し込んだ後、娼館をでて、老人が待つ屋敷へと向かった。おそらく今日はほとんど一日、そこから出ることはないだろう。**]
お持ちしましたよ。
[娼館の裏扉をノックする。
出てきたのはトウが立ってもまだ美しさを見せる女。
客を鬻ぐことは減っても、これが彼女の矜持だ]
「朝飯でも食べてくかい?」
[つい、と腕が伸ばされる。
それが絡みつく前に軽く右手で押しやって首を振る]
薬を届ける先はここだけではありませんから。
お邪魔したらそれだけで済ませるつもり無いでしょう。
[ニィと女の唇が紅い三日月を描く。
こめかみを押さえて鞄を抱えなおす]
嘘じゃありませんからね。
ああ、痛み止めも入っています。それでも間に合わないようならご連絡下さい。他も、用意してはあります。
[再び女の顔を捉えた翠の温度は低い]
――薬とも毒ともなる。
詮無いのは承知しておりますが、お忘れなきように。
[苦笑う女の手に唇を掠めさせる。
女はそれで諦めたか、後ろ手を振って中へ入っていった。
彼もまた踵を返してそこを離れる]
おはようございます。
[すれ違う村人らとは柔和な笑みで挨拶を交わす]
ええ、今はバウムさんのところに。
後でそちらにも寄りましょうか。
[たかが半年、されど半年。
いつのまにかその姿は村の中に*溶け込んでいた*]
11人目、新妻 ノーラ がやってきました。
新妻 ノーラは、霊能者 を希望しました(他の人には見えません)。
えぇ、いってらっしゃいアナタ。
[契りを交わし、共に暮らし始めた幼なじみの鉱夫を送り出し、
取り込む洗濯物の、おひさまの香りを胸いっぱい吸い込む。]
ふふ…幸せだなぁ、わたし。
[小さく鼻歌をうたいながら、洗濯物を畳んで。
二人で囲んだ食卓を片付けたら、姉の宿を少しだけ手伝いに。
エプソンの上からまだ膨らみはじめる前のお腹をそっと撫でるたびに、なんとなく笑みがこぼれてしまう。]
まだ、もう少し先だけどね。
[三人で囲む食卓を思い浮かべ、自分の頬に手を当てた。*]
12人目、青年 アーベル がやってきました。
青年 アーベルは、占い師 を希望しました(他の人には見えません)。
お早う、ギュンター爺。
[村の入り口。朝陽を迎え入れるように、外へ向け門は聳える。
その傍に佇む老齢の団長に歩み寄り、すっかりと白くなった髪に眼を細めた。片手をジーンズのポケットに突っ込み、片足に体重を預ける]
どうしたのさ、変な顔して。まあ、いつもの事か。
見回り御苦労様、若いのに任せればいいのに。
[返ってくる答えと言えば、その“若い”自分達が頼りないからだ、などとの御小言めいた台詞。苦笑すら滲ませず、青年は平然とした風で老人と向かい合い]
人には向き不向きがあるんだよ。
[そんな軽い物言いと共に、笑った]
根詰めるとよくない。
たまには息抜きに、うちにおいで。
白のいいのを仕入れたんだ。
甘いのばかりって言ってたから、食事によく合う辛口。
[言うだけ言って、碌に相手の言い分も聞かずに踵を返す。
何処にいたのか、真っ白な毛並みの猫が、青年の足に絡みつくようにするりと身を滑らせた。彼が屈み込み手を伸ばすと、白猫は当然のように腕に飛び乗り、肩口に収まった。
薄い笑みを浮かべ、立ち上がって歩を踏み出しつつ、頤の下を擽る。
*なぁ、と小さな鳴き声が零れた*]
/*
あー、まじぃなー。
イレーネ依存度が高くなりつつある。
狂気に走れば手を下せないことは無いけど。
この村を気に入ってる最大要因の一つにしてはおくか。
一つは宝石加工、一つはイレーネ。
イレーネが誰かの手にかかったら、確実に暴走するなww
[帰る、というオトフリートに軽く挨拶をして。
やって来たブリジットには、特に態度を変える事無く、こちらも軽い挨拶を向ける。
連れ立って出て行く二人には特に感慨ある様子でもなく、それ故かユーディットの表情の微妙な変化にも気づかぬまま]
ああ、帰ろうか。
[ごちそうさま、と女将に笑いかけ、酒場を後にする。
自宅に戻ってからも、楽譜の確認やイメージの練り直しなどに没頭して。
結局、眠りに就いたのは深夜の事]
─昨日─
[イレーネとしばしの時間を共にした後は、明日の彼女の負担を考えて早々に娼館を後にする]
……………。
[裏口から娼館を出て、一度振り返る。
先程までイレーネと共に居た場所を見つめてから、娼館を離れた]
[その後向かった先は村はずれの丘、そこに佇む一本の木の上に登る。
工房に戻ると技師があれこれ言ってくるため、一人になりたい時は専らここへ足を運んでいた]
……今の俺じゃあ、なんにもしてやれねぇんだよな。
[虚空を見つめながらぽつりと呟く。
今自分がこの村に留まる最大の要因。
その一つを想い、小さな溜息が出た。
自分が好意を向ける数少ない人物が、明日辛い思いをするのだと考えると、僅かに苛立ちが募る。
工房に戻る気も失せ、そのまま器用にも木の上で眠り*始めた*]
[翌日、目が覚めたのは夜明け前。
まだ薄暗い中起き出して、窓越しの空を見上げる。
しばしそうやってから窓を開け、流れ込む大気の感触に目を細めた後。
メモ書き用の手帳と、飴玉の入った袋をポケットに突っ込み、テーブルの上に『散歩してくる』という走り書きを残して、窓からひらりと外に出る]
……晴れて、空が見えれば。
少しは、まとまり良くなるかな……?
[そんな事を呟きつつ、当人だけは気ままな*散歩へと*]
/*
タイミングニアミスな上に、作ろうと考えていた場所までニアミスしていた!
なんですか、この素晴らしきシンクロ。
[昨晩は、遅くならないうちに宿を出た。
帰り際に、何時もより多く給金を貰ったからと、何時ものお礼とばかりにほんの少しばかり多く払えば、『子供がそんな気使うんじゃないよ』と、パンの耳やハムの切れ端を渡してくれた]
女将さん、サンキューなー。
[笑顔で宿を出た]
[帰り道、パンの耳をかじりながら歩く]
へへーん。ちょろいもんだよな。猫被ってりゃ、こーやって食いもん分けて貰えるしー
[親の無い子供にとっては、このように大人にたかるのも処世術。悪気は全くない]
そーいや、今度ユーディ姉ちゃんが飯作ってくれるんだよなー、おだてときゃ定期的に食わせて貰えるかも。
[宿での約束を忘れずに、*帰途についた*]
[翌朝。いつものように早くに起き出して、こまごまと朝の用事を済ませた後、エーリッヒの朝ご飯を用意した。今日のメニューはトーストにサラダ、ハムエッグ。
テーブルに並べ、頃合いを見計らってエーリッヒを起こしに向かう。]
エーリッヒ様、朝ですよ。
起きて下さいな。
[ノックをして、中に優しく声をかける。]
今日は幾分か過ごし易そうですよ。
起きて下さい。
[返事はない。]
……エーリッヒ様?
[さすがに変だと思い、失礼します、と断りを入れてドアを開けた。
部屋はもぬけの殻。開かれた窓にはカーテンがはためき、テーブルには小さなメモ書きが置かれているのが見てとれる。]
エーリッヒ様……また、ですか……。
/*
さて。
改めまして、Sol・la(そら/そるら)です。
飛び入りの身で、御迷惑おかけしてすみません。
自重すればいい。
言い訳等は後に回すとして――
言い換えなしということもあり、初心に返って遊びたいと思います。
よろしくお願いいたします。
/*
皆縁故取りまくってるねぇ。
俺はキャラ設定上、親しい人はそんなに要らないんだよな。
村の人だったら基本顔と名前くらいは知ってるだろうし。
と言うわけでほとんど動かない俺様でした。
ふむ。
[ちょっとだけ思案顔をしながら、村の中をぽてぽてと歩く。
どうしても空の色が描けなかったので、父にアドバイスを聞いてみたら「根つめすぎだな。ちょっと村の中を散歩して来い。絵ってのは考えるんじゃなく、感じるもんだ」という言葉を受けて、今日は絵画を中止して、村の中を散策中]
考えるんじゃなく、感じるかあ。
むっずかしいなあ。
数学とかのように答えあればいいんだけどな。
[元々、理数肌だったらしい。
村の学校なので高が知れてるとは言え、成績がトップクラスではあったようだが、所詮村から出たことのない身としては、自分がどれだけのランクなのかは知る由も無い]
空の色も、恋模様も、方程式じゃ解けないってね。
乙女は大変だ。うむうむ。
[なにやら、一人で納得して頷いている]
それにしても―――
[立ち止まり、広がる草原を見つめて、目を細めた。
ふわりと、風がミリィを包む。
風に吹かれて、三つ編みの髪が少しだけたなびいた]
―――いい天気だね、こりゃ。
しばらく、家にこもりっきりだったから、外がこんなに気持ちいいってこと忘れてた。
[なだらかな丘の上に移動して、両足を伸ばして座り込んだ]
─昼・村はずれの丘─
[日も高くなってきた頃、木の上でふと目を覚ます。
木陰になっているため、太陽に晒されずに済み、寝苦しさは無かったが如何せん木の上。
身体が痛いのは止むを得なかった]
……あー、工房。
[無断外泊。
外泊と言うほどでもないが、朝帰りどころではない時間が経っていて。
それならいつ戻っても変わりないだろう、と直ぐに帰るようなことはしなかった。
工房へ戻らないこともほぼいつものことだったりする]
/*
ぉぉぅ。
結構人がいるっぽいが、あと40分で花火大会だから、抑えるべきかっ。
それに、予定よりも下書き遅れまくってるからなぁ……。
耐えよう。
村の設定が変更されました。
[夕方過ぎ、門を潜る間際執事らしき人にぺこりとお辞儀をしながら、屋敷の裏からひっそりと外へ出た。
足取りは重く、真っ直ぐ歩いているつもりだったが僅かにふらついて頼りなかった。]
…。
[帽子を目深にかぶり、誰とも視線を合わさないようにしながら、なるだけ急ぎ足で娼館へと戻っていった。
痛む体を宥めながら。]
……。
[ぼーっと、空を眺めている]
青。
[一言、呟く]
そして、赤。
[瞳に赤色が浮かんでいる]
最後に、黒。
[ぷふーっと息をもらす]
単純に言うだけなら、これで終わるのに、どうして絵に表そうとしたら、難しいんだろ。
[ユーディットがどんな思いでいるかなど。
全く考えていない……訳ではないが、曲の事に集中している時は大抵は抜け落ちており]
空の果て……。
虹……。
架かる橋……。
[例によって例の如く、呟きながら歩いてゆく]
んー……つかめそうで、つかめない、な。
……流石に戻るべきか。
[しばらくぼけーっとしていたが、一応仕事は残っているわけで。
工房へと戻るべく、登っていた木の上からぴょいと飛び降りた]
/*
ちなみに、今回のイメージは
・虹架ける橋
・木漏れ陽
・願い
の三曲がメイン。
ちなみに全て、『また逢えるよね』収録verです。
あーあ。
長い間見つめていたけど、やっぱわかんないな。
[見つめていたというよりは、半分以上ぼけっとしていただけなのではあるが]
赤って言っても、色んな種類がある。うん。それは分かる。
でも、その色は何の色なのか?ってことを考えたら分からなくなる。
感じるまま、かあ。
……先に頭で考えちゃう私は、画家には向いてないのかなあ。
―――くしゅん!
[そろそろ、夜に近づき肌寒さを感じてきて、くしゃみをもらした]
わ。鼻水、鼻水。
[慌てて、鼻を押さえて、服のポケットをまさぐった]
[あまり忙しくならないうちにと、頼まれたのは配達の仕事。
本来ならそれは店の範疇ではないのだが、相手が親戚となれば、話は別で。赴く先――娼館という場所に関して、抱くイメージは格別良くも悪くもない。そういう需要もあるのだ、という、その程度だった。……とは言え、]
捕まらないようにしないと、ねぇ。
[別に欲がないわけではないが、金を払ってまで欲しくはない。
その上、冗談だろうが、仕事を「させよう」とするのは勘弁願いたかった。そちらの需要も、あるにはあるのだろうが。
呟く青年の足元を、白猫がちょろりとうろつく。
何を見つけたか、ぱちりと白金の眸を瞬かせて、先んじて歩んでいった]
……ふう。
[足を止め、空を見上げる。
時間は既に夕刻過ぎ。
時折、飴玉を放り込む程度で、食事らしい食事はとってはいないが、それもそれでいつもの事。
余りの不摂生さを見かねた周囲の勧めでお手伝いさんを雇い入れても、その辺りは全く改善の兆しもなく]
ああ。
また、食事忘れてる。
……というか、ここ、どこだ?
[意識して歩いてはいなかったようで。
周囲を見回し、村外れの丘近くである事を、どうにか認識した]
[―――と。
ミリィの近くに伸びていた木の上から何かが落ちてきた―――降りてきた―――音が聞こえた]
うひゃあ!?
な、何!
[慌てて振り返るも、思わぬことに混乱して、それが何なのかよく理解できない]
えーと!
うん!こんなときに父さんは、よく観察することだって言ってた!
対処法も分かるかもしれないし、ネタにもなるからって!
よし!落ち着け、私!
[混乱する頭を、ぶんぶんと左右に振り、無理矢理に自制させると、眉根をよせ、険しい―――が、愛くるしい目つきでよーく見つめた。
……敵対意識があるものならば、こんなことしてる間にやられるのは目に見えているが]
-→娼館-
[戻る道すがら、アベールの姿が見えて一瞬、足が止まりかける。が、軽く頭を下げただけで脇を抜け娼館へと戻った。無論、行き先が同じなどとは思ってもいない。
普段より少しだけ音を立てて扉を開け、裏口から飛び込むように中へと入る。
瞬間、緊張が取れたのか体はぐらりと傾ぎ。丁度そこに居た女将に、抱きとめられるように支えられた。]
「お帰りイレーネ。…見せてごらん。」
[言うが早いが、女将が被っていた帽子を剥ぎテーブルへと投げ、服を脱がせ始める。いつものことなので、されるまま。辛うじてテーブルを支えにして立っていた。
露になった薄い背を見て、女将は眉を潜めた。]
「はぁ…あの狒々爺、相変わらず悪趣味な。
酷いね、こりゃ。」
[背中には薄赤い軽めの痣と、血が滲むか滲まないか程度の切り傷がうっすらと残されていた。が、これ自体は然程酷いものではない。
問題というか、深く刻まれた切り傷や血が滲む青痣が残されたのは、一見しただけでは見えにくい、脇や首の裏、髪の付け根。女将からは見えないが、膝や肘の裏などにも残されている。
老人いわく、『すぐ分かる所に傷が残っては商売の邪魔になる』と。彼なりの自分に対する優しさらしい。が。
女将は軽く溜息をついて、痛み止めだよと、今朝方オトフリートが置いていった薬を持って自分に渡した。]
すみません…。
[辛うじてそれだけ呟くと、水と一緒に一気に流し込んだ。]
[すとんと綺麗に着地する。
下に誰か居るなど考えもせずに]
………何してんの。
[驚きの声の後にじっとこちらを見つめてくる人物。
確か村に居る画家の娘だったか。
慌てる相手とは対照的に、落ち着いた様子でミリィに声をかけた]
……なんだ?
[訝るように呟いて、そちらへと足を向ける。
平和な村だけに、荒事ではなかろうが、と思いつつも。
一応、聞こえたのが女性の声だったのは、気にはなった]
うおお!?
声かけられた!知性ある生物だ……って、ユリアンさんじゃない。
……驚かせないでよ。
[思わず、ほうっと息をもらした。
そのはずみで、さっきたれそうになっていた鼻水がたりっと伸びた]
わ。
鼻水が……!
[慌てて、服のポケットをまさぐるが、慌てているせいか見つからない]
うわん。
ティッシュが見つからない!
……何をそこまで驚くのかが不可解だ。
[驚かすつもりはさらさら無かったわけで。
不思議そうな視線をミリィに向けた。
途端慌てだすミリィ。
ティッシュ、と聞いて手をポケットへと伸ばす]
……ほら。
[持っていた自分のティッシュを取り出すと、ぽい、とミリィに投げ渡した]
[白猫の気侭さは何時もの事と、特に追いもしない。
そもそも飼っているわけではないと、当人も常日頃から口にしている程だ。
そちらに気を取られているうち、小柄な姿が脇をすり抜けていった。一礼と向かう方向、何よりその様子に正体は悟れたが、声をかける事はせず、むしろ歩を緩めた。明確に明かされずとも、情報の集まる酒場にいては、事を全く知らぬわけではない。
十分間を置いてから、それでも客ではないゆえに、館の裏口に辿り着く。
拳を軽く握り、戸を三度叩いた]
お届けものですよ――っと。
[中にかろうじて届くか、という程度の声]
[丘の方へと足を伸ばし、目に入ったのは非常に対照的な様子の青年と少女。
何をしてるのかと思いつつ、そちらに向かい]
おや、お二方。
こんな時間に、散歩かな?
[こんな時間まで散歩、の人間がいう事でもないと思いつつ、声をかけてみた]
[声をかけられ視線を向けると、そこには昨日痴話喧嘩(?)をしていた青年の姿]
……ども。
[一応年上なので会釈を返し。
散歩かと訊ねられると首が僅かに傾いだ]
…散歩、なのかな。
正確には、さっきまで木の上でぼけっとしてただけだけど。
わ、わ。
[投げ渡されたティッシュを取りそこね、お手玉のようにしていたが、やがてしっかり掴むと、中から2枚ほど取り出して、ちーんと鼻をかんだ]
ふう。一息ついた。
……って、ユリアンさん。
乙女の鼻から鼻水たれた姿見るなんて、ひどいよ!
それに、すごく驚いたんだからね!
そこにいるなら、いるって言ってよ!
それから、ティッシュありがとう!
[罵声と、怒った声と、感謝の声が同時に入り混じった声と表情で、ミリィが一気にまくし立てた]
[痛み止めが効くまでまだ暫く時間はかかりそうだったが、水を飲めばようやく一息ついた。
女将が塗り薬をと奥へと引っ込んでいったので、暫く待っていたが。]
あ、っ。
は、はい。少し待っててください。
[入り口から聞こえた聞き覚えのある声―先ほど見かけた人物―に、慌てて服を着なおし扉を開け応えた。]
こんばんは…アベールさん。
[今度は声に出してきちんと頭を下げる。
先ほど会った事はとりあえず、無かった事にでもした風に。]
届け物…と、何だろう。
すみません、ちょっと待ってて下さい。女将さん呼んできますから。
[そう言ってぺこりと頭を下げ、一旦奥へとひっこんだ。]
ん?
[ひとしきり声を荒げたところで、違うところから声が聞こえてきたので振り返ると、そこにはエーリッヒの姿]
あ。エーリッヒさん。
こんばんわ。
んー。
散歩って言うか、なんというか、父さんに外を散策して来いって言われたから、ぽてぽてと。
[それを散歩と言います]
そうだ。
エーリッヒさんなら、分かるかな?
父さんが、芸術家には考えるんじゃなく、感じるってことが大事とか言ってたんだけど、エーリッヒさん分かります?
私、そんなこと言われても、考えなきゃ、何も出来ない気がするし、散歩してても、やっぱり空の色ってのがよくわかんないしで困ってるんですよ。
中:
ところでぶりじったんがC狂っぽいのが。
被る?被る?
でもストレートすぎて逆にないのかな…。
こっちももう少し設定ねりねりしておこう(ここ2日ほど考えっぱなしなのにまだ決まらないとk
[まくし立てるミリィに瞬き一つ]
…そっちが勝手に垂らしたんじゃん。
ミリィが下に居るなんて、知らなかったし。
[どこまでも対照的に、表情を変えず淡々と言葉を紡ぐ。
反論も端的で、自分は悪くないと言わんばかりの雰囲気。
最後の言葉には小さく頷き、ティッシュを返せと言うかのように右手を出した]
木の上でぼけっと、って。
[それがいつからか、によっては色々問題なんじゃなかろうか、とふと思いつつ]
……いや、だから、それって散歩って言うんじゃ。
[ミリィには律儀にこう突っ込んで。
投げられた問いには、腕組みをして、思案の素振り]
ああ、何となくわかる。
俺も深く考えないで音を連ねた方が調子いい時が多いし。
空の色、ねぇ……それは、俺も今、悩んでるところだなぁ。
/*
予想が外れているのでなければ、ミリィの中の人も、段々わかるようになってきたような気がしなくもない(何。
そしてオプション分離がきたー。
…起きて、動く気しなかったから。
[その言葉で、木の上で寝ていたと言うことが伝わるだろうか。
芸術家二人の会話を端から聞いて、僅かに首を傾げ]
……どこも大変なんだな。
[呟く顔は無表情のまま。
成される会話は半分も理解していないが]
[ユリアンに向き直り]
知らなかったじゃすまされないの!
男の人は、女の人にもっと優しくしないと駄目なんだよ!知らないの?
大体、木の上にいるなら、下に何があるかぐらい眺めるもんじゃん!
[言いながら、ユリアンが登っていた木を見つめて]
うわ。たっか。
よくこんなのに登れたわね。
いいなぁ。男の人は、こういうのに登っても何も言われなくて。
私が、木に登ろうとしたら、両親に総出で止められたことあるし。
[それは男女関係無しに、ミリィの運動神経が悪いせいです]
……ん?何?
慰謝料?むしろ、私が欲しいんだけど。
[もう一度視線を戻すと、ユリアンが右手を伸ばしている姿が眼に映った]
[改まったイレーネの挨拶に追求をする事もなく]
こんばんは、イレーネ。
届け物って言っても、お裾分けみたいなものだけどね。
[呼ばれて応対に出た女将に、袋を差し出す。
中に入っているのは酒が主。客に出すよりは、個人の趣味の部分が大きそうだった。渡そうとして、女に重いものを持たせるのかと言われて、首を僅かに傾ける]
普段は、客以外の男は入るなって言う癖に。
従業員になれば、別だっけ?
それに、取り込み中みたいなのに、僕がうろついてもいいんですか。
[取り込み中――その単語を発するときには、視線をイレーネへと向けて]
お疲れだろうし、労ってあげないと。
[若干、含みのある言い方になったのは、わざとか否か]
……ん。
[ふと、感じた視線。
何となく振り返った先には、白い影]
……猫?
[どこかで見たような、さてどこでだっけ、と首傾げ]
って、君ね。
確かに、そこの木の上は寝心地いいけど、夏場は辛いんじゃ。
[自分も子供の頃はよくやっていたので、そこらは妙に身に染みていたりする。
大変な、という言葉には、軽く、肩を竦め]
[頭がズキズキと痛む。昨日はあれからいつの間にか家まで戻っていたらしい。今日は咳の代わりに静かな寝息が隣の部屋から聞こえてくる。]
ああ、そいや昨日、先生さんが薬がどうのと言ってたっけか…?
[母親を起こさないように静かに家を出る。キッチンの食器棚の母親のへそくりから数枚紙幣をくすねた後で。]
[エーリッヒの言葉に少しだけ詰まりそうになったが]
散歩じゃないよ。
なんてゆーの?イマジネーション高める作業?それなのよ。
[さっき、思いっきり散歩って言ってました]
あー。でも、やっぱり父さんの言ってること間違って無いんだ。
んー。いや、疑ってたわけじゃないけど、私にはよく理解できないかなって。
げいじゅつかって難しい……。
空の色はさ。ほら。以前に、私が練習がてら村の人達全員集合のスケッチ取ったことあるでしょ。
もっとも、村の人達全員がヒマなときってありえないから、何十人もいないけどさ。
その時のあれがまだ出来ていないの。
いつか、芸術家ミリィの最初の作品とか言って、家に飾っておきたいんだけどなあ。
[女性に優しく、と言われてしばし考え込む]
………一応、してるつもり、だけどなぁ。
[その思い出す対象がイレーネな辺り、優しくの意味はミリィが求めているものとは異なることだろう]
…下じゃなくて前見てた。
眺め良いし。
……木登りは慣れてるからな。
昔からよく登ってた。
…ミリィ、登ったら降りれなくなるだろ。
[まるで仔猫扱い。
慰謝料とか言われると、ゆるりと首を横に振ってただ一言]
ティッシュ。
俺の場合は、その作業が目的で散歩するんだけどね。
[詰まりかける様子に、くすり、と笑い]
君の場合は、考えすぎているような気もするが。
まあ、俺も人の事は言えないけれど。
……集合絵の空、か。
描いた時とはまた、季節も変わってるし、確かに悩むかもしれないね、それは。
最初のって事で、気持ちが急くのはわかるけど、もう少しのんびり構えてもいいんじゃ?
[こちらを見ている白猫は気にも留めず。
エーリッヒの言葉に「…んー」と唸る]
……木陰、出来てたし風も吹いてたからそこまでは。
無風だったらきつかったかも。
[あまり頓着しない様子]
[ユリアンの言葉に、眉根を寄せて首を小さく振った]
うむ。
君は認識を改める必要があるようだよ?
今日此処ですっぱりはっきり言ってあげよう。
してない。全くしてない。ビックリするくらいしてないよ。
[びしぃ!と指差す]
後さ。前見るのはいいけど、降りるときぐらい下見ようよ!注意力が無いよ!
それに私だって降りれるよ!昔、こーんな高い木に登ったことあるもん!
[ミリィが両手をいっぱいに広げて説明する]
うん。降りたときに、骨折したって両親が騒いでいた覚えあるけど。
[一般的に、それは落ちたといいます]
[白猫は、エーリッヒとは逆方向に首を傾げ返す。
芸術家と自称する割には、何だか理屈っぽい少女――ミリィの傍までいくと、つん、と鼻先で突っついて、白金の眼で見上げてみた]
[アベールの視線と含みのある言葉。
意味する所は容易に知れたので、半ばああと、気にしなくてもいいんだと安心したような、諦めたような、そんな曖昧な事を思いながら、ふるふると緩く首を振った。]
平気です。…いつもの事だから。
[向ける微笑は透明なもの。
だから気にしないで下さいという前に、屁理屈言ってないでさっさと運びなと女将がアベールを娼館へと引っ張り入れ、今度は逆に宿への届け物なんかを押し付けたりするのを少し楽しそうに、小さく笑いながら見ていた。]
[二日酔いが酷く、今はまだ酒場に行く気にもなれず、ぼんやりと空を眺めて酔い覚まし?も兼ねてブラブラと歩く]
…こういう時になんか言葉がふわっと浮かんでくるもんなんだろうな。詩人て奴は。
[言葉を掘り出すとっかかりに空を見上げてはみるけども、特に何も浮かんではこず]
あー……あったま痛え…。
[出てくるのはそんなボヤキの言葉だけ。視点を前に落としてみれば、珍しい組み合わせの三人組が居るのが見えて]
うむ、適当な木陰ができるのは知ってるが。
……一体、どれだけ寝ていたのかによっては、やっぱり色々と問題だと思うんだけど。
[無頓着さでは定評のある自分だが、さすがにここまでできないな、などと自慢にならない比較をしつつ、ユリアンにこう返す。
それから、視線はこちらにやって来て、ミリィを見上げる白猫へ]
むむむ。
[エーリッヒの言葉に、ミリィが唸る]
と、とにかく、散歩ではないの!
[無理矢理に締めくくる。
そして、次の言葉には、腕組みをして考え込んだ]
それ、父さんにもよく言われるんだけど、うーん。
難しいよ、それ。まだ数式を解いているほうが簡単かな。
……のんびりとやってるつもりなんだけど、さすがに時間かかりすぎてるから、ちと、気にかかるかなって。
何しろ、あれってユーディットさんが村に来てからすぐに描いたやつだから……わ。もう1年経ってるじゃん。
まあ、だろうね。
[透明な笑みと共に返された言葉に、返すのは労いでも何でもなく。
それだって、「仕事」の一つ程度にしか思っていないという言い様]
強引だねえ……、使用人じゃないんだけど?
[往復便となったことに口応えをしつつも、女将に言われる侭に動く。足を踏み入れたのは一度や二度ではないから、慣れたもの。
一通り終えると、荷物を足元に置き、腰に手を当てて一息吐いた]
他にやることあったら、使われますけど。
イレーネは今日はもう休み?
……ティッシュあげたのに?
[優しくしてないと言い切られてこれも違うのかと訊ねかけた。
実際、興味の向かない者に対しては常にこの調子だと言うのは、興味ある者に対する態度の違いを見ない者には分からないだろう。
あれこれ言われるのが煩わしくなってきたのか、ほんの少しだけ眉根が寄る。
注意力云々の話はスルーして、高い木に登ったと言う話を聞くと]
……それ、落ちてるだけじゃん。
[すぱ、と言い切った。
ティッシュが返されると再びそれはポケットの中へと仕舞う]
うひょお!?
[白猫が近づいてきたのに気づかなかったミリィが、いきなり鼻先でつつかれたので、飛び上がった]
何かいる!?
へ、蛇!?
[視線をずらすと、そこには、少しずつ暗くなっていく帳の中でもなお目立つ、白い毛を持つ猫の姿]
……猫?
わあ。なんだ。驚かせないでよ。
足音も立てずに近づいてくるなんて、このお茶目さん。
[ユリアンに驚かされたのとは真逆の反応で、猫の鼻をつんつんとつついた]
生憎と、エサは私持ってないよ?
[会話に耳をすませてみれば、何やら芸術の話らしく。あまり興味を持てなかったが自称詩人なりの矜持なのか、その会話から詩のヒントでも得ようと思ったのか、少し離れたところから]
こんな所に人が集まってるってのは珍しいな。
揃ってなんの話をしてんだ?迷惑じゃなけりゃ俺も混ぜちゃくれねーか。
[会話に混じろうとすると同時に上着からメモとペンを取り出してしまうのは記者をしていた時の癖がまだ抜けきっていないからか。]
……陽が傾く前には目は覚ました。
[どれだけ寝ていたのか、との言葉に、目が覚めた時の陽の位置を告げる。
どちらにせよ、呆れられる時間帯であることは間違いない。
エーリッヒの視線が下に向くことで、ようやく白猫の存在に気付いたり。
何かじーっと見つめている]
……そうなんですか。
[これ以上は堂々巡りだな、と思い、散歩の話題は打ち切って]
数式って。
感覚とか感性は、理論的には解析できないものだから、公式的に当てはめるのが問題なんじゃないかな。
ん、もうそんなになるんだ。
……早いもんだなあ……。
[一年、という言葉に、妙にしみじみと呟いて]
でも、焦って仕上げて、本当に自分の作りたいものじゃなかったら、それはそれで辛いんじゃないかな?
―回想/バウム家―
はい、新しい薬です。
朝と晩には欠かさず飲んでくださいね。
少しでも症状を抑えてくれますから。
[教わったとおりにカップへと水を入れ、その朝の分を飲ませた。
もう一人の住人はまだ寝ているようだった]
ああ、それは後でハインリヒから。
大丈夫ですよ、ちゃんと取り立てておきますから。
[すまなそうに謝る老女に首を振り、最後は軽口めいて答えた。
鞄を抱え直すともう一度穏やかな笑みを向け]
今日はこれで失礼しますね。
また伺います。
[村の往診は他にも何箇所か。
全てを回り終えれば診療所で怪我人や突発の腹痛を訴える者などを診て。一段落すればいつものように本を開く]
[ユリアンの言葉に]
それとこれとは、話が別!
[きっぱりはっきりと言い切った]
それに、ちゃんとお礼言ったじゃん。
え?何?もっと、強いお礼必要だった?
何よもー、意外に、恩着せがましいんだから。
[意地悪く笑いながら、うりうりとユリアンを肘でつついた。
最後の言葉には]
落ちてないの。降りてきたの。
ちょっと、骨折しただけ。
人間、歩いただけでも足の骨折れることあるんだもん。それと同じよ。
[自分に対しての反応と全く違う反応を猫に返すミリィを見て、訳分からん、と思ったのは言うまでも無く。
ハインリヒがこちらへと向かってくるのを見れば、軽く会釈だけはした]
…何の話って…雑談?
[見も蓋も無い]
……と。
やあ、こんばんわ。
[やって来たハインリヒに会釈を一つして]
何の話……と言われても。
感性と感覚の話と、夏場に木の上で寝る事の危険性に関する考察?
< 白猫、蛇呼ばわりされて、なぅ、と抗議の鳴き声。
しかし突かれ、ぎゅ、と鼻上に皺を寄せつつ尻尾を揺らす。
餌を持っていない事は気にしていないようで、
背後からのユリアンの視線に、今度はそちらを振り向いた。
じーっと見つめ返す、白金 >
[理解されるも追求もされず、ある程度の距離を置いた会話は、自分にとって楽でありがたいもので。こくと小さく頷いた。]
[女将はついでなんだからと何処吹く風で。
他にやる事、と言われて少し考え始める。
運良く何か思い出せば折角だからの一言で押し付ける気満々だ。]
はい、今日は特に。
[ですよねと、一旦女将へ確認しながら。]
そっちで夕飯、食べようと思ってました。
[ハインリヒの言葉に気づいて、振り向くと]
おや。ハインリヒのおじさん。
うんと。まとめて言うとなんだろう?
井戸端会議?
まー、取り留めの無い話だよ。
それよりも、おばさんの様子はどう?
少しは元気になった?
……礼より罵声が多かった。
[相手が言い切るのには既に諦めた様子。
肘でつつかれても反応は薄く、無表情のままで「…別に」と返すだけ。
落ちたことを否定する言葉には]
……ああ、カルシウムが足りなかったんだな。
[暗に怒りっぽいもんな、とか言ってますこの人]
……まあ、外での転寝は程ほどに。
[返って来た答えに、何となく諦観めいたものを感じて。
自身の日常を良く知る者が聞いたなら、説得力皆無な一言をユリアンに向けた。
ちなみに、白猫をどこで見たかはまだ思い出せていないらしい]
[エーリッヒの言葉に、少しだけ頬を膨らませた]
もー。だから、難しいって言っているんじゃない。
エーリッヒさん、意外に人の話聞いているようで、ちゃんと聞いてないことあるんだから。
駄目だよ。そんなんだから、いっつもユーディットさんを困らせてるんだよ?
[最後の言葉には少しだけ顔を曇らせて]
……あー。うん。
分かってるんだけどさ。
でも、1年も何の進歩も無いと、やっぱ才能無いのかなあって思っちゃうわけよ。
これも芸術家に家に生まれた運命ってやつ?わはは。
[見つめ返してくる白金をしばし見つめて]
…………。
[不意に手を伸ばし白猫の頭を優しく撫でた。
何を言うでもなく、ただそれだけを何度か繰り返す]
― 広場 ―
[筆入れやらノートやらを縛った物を小脇に、ゆらりとした足取りで店や家が並ぶ沿道を歩き、女性はそこへ辿り着く。赤茶けた地面、中央に噴水のある開けた場所――もとい広場]
……。
[入り口で立ち止まり、ぱらぱらと人のいる周囲を見回す。その瞳には険しい色があり]
ありゃ。猫ちゃん。今度はユリアンさんのほう向いた。
移り気の激しい子は持てないよ?
[フフッと小さく笑う。
そして、ユリアンに向き直り]
お礼は、ティッシュの件。
罵声は、驚かせた件。
全て一緒にしちゃ駄目。そんな大雑把なくくりで宝石細工なんて出来るの?
[カルシウムが足りないという言葉には、少しだけ考え込んだ]
カルシウム。小魚とか牛乳ね。後、卵のカラもいいとか言ったかな。
んー?カラはともかく、他のはそんなに嫌いってわけじゃないんだけどなあ?
[言葉の言外にある嫌味には気づかなかった様子で]
[さらさらとメモにペンを走らせながら]
なるほどねえ…感性と感覚と夏の木の上で寝る事の危険性と井戸端と雑談…ね。
[ふぅとため息をついてメモをぱたりと閉じ]
俺が言えた義理じゃねえが…おまえら平和だよな。ホント。なんかこうおもしれー話はねえのかよ。俺の詩の題材になるよーなよ。
[頭をポリと掻いてから]
ああ、お袋なら今日は落ち着いてるみた…落ち着いてるぜ。お陰で俺はのんびり散歩できるってこった。
それじゃ、戻るとき、一緒に行こうか。
一人で行かせたら、途中で倒れかねないし。
[半ば冗談めかして言った後、タイミングよく思い出したらしい女将からの頼まれごと。支度を終える間の、待ち時間の暇つぶしを兼ねて改めて引き受け、*奥へと向かった*]
……いや、そこでユーディを引き合いに出されても困るんだけど。
[言ってからふと、思う。
朝からの行方不明は、また色々といわれるなあ、と。
取りあえずはその程度なのだが]
……ん、取りあえず、「難しい」と考えるのを止めてみる所から始めるのをお勧めする。
そういうところから変わることって多いしね。
運命、かぁ。
その点では、俺は楽してたのかも。
両親ともに、芸術とは無縁だったから。
平和が何よりでしょうに。
[ハインリヒの言葉に、思わず苦笑を浮かべつつ]
詩の題材、と言われましても。
自分が、自分の音作りに苦しんでる時に、人の方までは中々手は回せませんて。
[続けた言葉は、冗談めいた響きを帯びる]
[日中。出かけたきり帰ってこない主人のことは気にしないよう精一杯努めることにして、ユーディットはとりあえず家の用を片づけることにひたすら専念することにした。
屋根裏から貯蔵室まで隅々の掃除・整理をひと通り終えると、幾分か気も紛れた。
綺麗に磨かれた玄関の床を、ふぅ、と汗を拭って満足げに見渡す。]
うん、こんなものかな。
これならもし今日突然国王様がいらっしゃっても自信を持ってお迎えできる!
[気持ち、えっへんと胸を張ってみた……後で苦笑いして]
まぁ、うちのご主人様はこの力作に気付くこともないだろうけど。
[でも気付く気付かないの問題じゃない、そうだ自分の気持ちの問題なんだから! と励ますように独り言を続ける。]
[皆の前で見せるポジティブな姿勢は、一人になれば途端にパワーが弱まる。だからこういった独り言は欠かせない。
この辺り、まだまだ自分は治りきっていない、と感じる。]
……強くならないとなぁ。
[一人きりの家の中、小さな声がやけに響いた。]
そか。良かった。
おばさんには、昔可愛がってもらった覚えがあるからさ。少し心配だったのよ。
[題材云々には]
うん。おじさん。
それは、感性が足りないのよ!
考えるんじゃなく、感じるってことが大事なのさね!
[受け売りの言葉をそのまま伝えようとしたら、最後ちょっと噛んだ]
[何冊めかの本を読み終えて、新しい一冊を開く。
どうにも薄暗くて読み難い]
…………あ。
[気が付けばもう陽も山に隠れようかという時間である]
忘れないうちに食事しておきますか。
[夜は酒場で食事を取る事にしている。
会わなかった村人たちの様子も知ることが出来るように。
名残惜しそうに手にした本を置くと上着を羽織り外に出た]
……全部混ぜ込んだ顔しながら言ってたのは、そっち。
礼が礼に聞こえなかった。
………まぁ、そこまで感謝されることでもないだろうけど。
…宝石の加工には関係ないし。
[ミリィが思っているほど大雑把な加工はしていないが、いちいち説明するのも面倒なのでそれだけしか言わなかった]
……体内に蓄積してないってことだな。
理解した。
[含んだ厭味は理解されなくても、気にしないどころか更に厭味を含めたり]
[エーリッヒの言葉に少しだけ勝ち誇ったように]
わはは。
ユーディットさんが優しいから言わないことを代弁してあげたのよ。
天知る地知る人が知るってね。
―――うーん。そうか。
なら、難しいって言わないでおこう。空の色なんて簡単、簡単だー。
……うん。すごく無理があるような気がしてきた。
…何もおっさんのために日々を過ごしてるわけじゃないし。
題材欲しけりゃ、親方のところで宝石の加工でも見れば?
[足しにはなるだろう、と白猫を撫でながらハインリヒに視線を向けて言い]
…腹減った。
飯食ってくる。
[その場に居る者に端的に告げて、その場を離れようと]
[メモを再び開いては「なのさね」とペンを走らせて]
っはは。「なのさね」ねえ。
感じるのが大事…か。男と女のアレみたいなもんか?
[下品な笑いを浮かべた後で]
…平和がなによりってもな。
味のねー飯喰ってても死にはしねーが退屈だろう?
ちょっと味が濃かったり、スパイス効いてるのもたまには喰わなきゃつまんねーのと一緒だよ。
ああ、おまえんとこのメイドが作る飯は除外だけどな。
[とエーリッヒに向かってニカと笑う]
[宿がある方、反対側の教会に続く方と交互に見てから、一度俯き、すぐにさっと顔を上げ]
――道行く諸君! 同じ星に住む同胞達よ!
私は今驚くべき……
そして慄然たる事実を諸君らに伝えねばならない!
この世は……明日にも! 滅亡するのだ!
[空いている方の掌を天に向け、仰々しく予言じみた事を叫ぶ。表情は至極深刻げに]
あっ、はい。
それじゃ、これ着替えてきます。
[冗談を断る理由が無いので、素直にこくりと頷いた後、まだ少しゆっくりとした足取りで部屋へと戻っていった。
薬は少しずつだが効いてきているようで。ここに戻る間に味わった痛みは大分薄れてはいたが、怪我が急に治ったわけではないので、無理はしないよう心がけながら。
着ていた服を脱ぎ起き普段のものに替え、出て行こうとした所で一旦テーブルの上に置いてある小さな袋を上から撫でた。とても大事そうに。]
……左様ですか。
[勝ち誇られた。
でも、反論は自分が不利だと思ったので止めておいた]
いきなり切り替えようとしても、無理でしょうに。
まあ、あんまり身構え過ぎないように、ね?
[苦笑混じりの最後の言葉は一部、自戒も含んで]
[立ち去ろうとするユリアンへ]
宝石の加工なあ…おまえの親方のって…おまえのは見ても参考にはならねーって事かそりゃ?
で飯喰いに行くのか。もうそんな時間だっけか。
ま、おまえが喰うのは飯だけじゃねーかもだがなー?
[メモに何やら書き込みながらニヤニヤ笑う]
[ゆっくりと道を歩く。
前方から女の叫び声が聞こえて足が止まる]
…今日もお元気そうで。
[軽く伏せた睫の下で翠が翳る。
見ない振り聞かない振りの村人たちに混じり再び歩き出す]
[離れようとするユリアンの言葉。
そう言えば、今日もまともに食事をしていないなあ、と。
一度は忘れかけた事を再び思い出し]
ん、まあ、刺激が必要なのは、否定しませんけど。
……って、そこでユーディを例えに出さんで下さい。
[ハインリヒの言葉に、零れるのはため息一つ。
他の事は任せて安心できるのだが、どうにも台所だけは、というのは、わりと切実な悩みの種だったりする]
[ユリアンの言葉に、にひと小さく微笑んだ]
むむう。
こやつ、このやうな顔して中々根に持っておりまするわい。
殿ー。この顔に騙されないように注意してくだされー。
[彼方に向かって声をあげる。
その後の言葉には]
んー。蓄積されてないのかなあ。
人によって、体内に摂取できる量は変わるって話だからなあ。
でも、これ以上食べたら、お腹がピーゴロ言っちゃうし、無理っぽい。
[やっぱり嫌味を理解してないようで。
頭が良いと言う割には、意外にぼけてます]
……俺のを見るよりは、親方のを見た方が手際とかは良いだろ。
…ああ、刺激が欲しいってなら、俺のを見た方がハラハラはするかもな?
──あんたが怪我するかもしれねぇけど。
[常の無表情から、ほんの少しだけ口端が持ち上がったかもしれない。
そんな顔をハインリヒに見せてから、続く言葉にはちらりと視線をやっただけで、直ぐに背を向けて宿屋へ向かおうとする]
[ハインリヒに復唱されて、ちょっとだけ赤面した]
はい。そこを復唱しない。
触れないでおくこと。アンタッチャブル。
[後半の言葉には、ジト目になり]
……おじさん。
それを乙女に言うかね。
そんなんだから、もてないんだよ。ちょっとは女の子の気持ち分かるようにしましょう。これ。宿題ね。
[続けざまに、エーリッヒに視線を向けて]
うん。まー、頑張ってみるよ。
解けない数式はこの世に存在しないってことわざもあることだし。
[袋を撫でると思い出すことがいくつかあった。]
…。
[小さく口を開くが声は出ない。
それはまだ、形には出来ない曖昧なもの。]
…行かなきゃ。
[袋は置いたまま、部屋を出て下へおりてゆくと、アベールが壊れて傾きかけていた棚に釘を売っていた。
力仕事が大分進んで御満悦な女将を少し困ったような、苦笑するように見て。
暫く後、作業の終わったアベールの後をついて宿の方へと向かって行った。]
何故この世が滅亡するのか?
それはこれからこのブリジット=フレーゲが順序立てて話そう。
だから少しばかり足を止めるとよい。
止まる暇がない? それは結構。
忙しいというのは生命が滾っているという事だ。
――だが、しかし!
その生命が終わる危険に晒されているというのだよ。
何もお代を取りはしない。
ゆっくり聞いていきたまえ。
[一様に立ち止まらないか端の方へ行く村人達に、それをさして気にする様子もなく続けて声をかけ]
[ミリィの彼方への言葉には、誰に言ってんだか、なんて思いつつ]
……無理なら、諦めるしかないな。
[それはどちらの意味で言ったのか。
呆れの色が声に乗っていることに、彼女は気付くか否か]
日曜大工は得手じゃないんだけれど。
あの子を気に入ってる彼にやらせたら?
得意そうだよ。
[そんな台詞に返されたのは何だったか、二人以外に知る者はいない。
言葉の割には手慣れた様子で傾いていた棚を直していると、イレーネが戻って来た。会話は其処で終わり。
ややして作業を終え、女将に渡された届け物を抱え、宿へと戻る道を往く]
[ユリアンの言葉と表情に軽く肩を竦めてから]
おー、そいつは危ねーな。見学行くなら親方の方にさせてもらうぜ。飛んでくんのが破片だけとはかぎらねーっぽいしな。
[肩を竦めたままヘラヘラと立ち去るユリアンに手を振って]
まあ、ほら些細な言葉も記録しとかねーとな。何が題材になるかわかんねーだろ?感じるのが大事ならよ。
それとなー。この程度のネタで乙女だなんだってぎゃーぎゃー喚いてっから「乙女のまま」なんだよ。お前は。
芸術の為に「おじさん」とそっちの勉強してみっか?
[そう言い放ってミリィの頭をポムポムと撫でる]
[どこまでも数式に準えるミリィの様子に浮かぶのは苦笑。
とはいえ、それは一瞬の事で]
ん、まあ、お互いに頑張ろう。
……さて。
俺も、そろそろ行くか。
[この場合、行き先は自宅か酒場の二択なのだが。
さて、どちらに行ったものか、と真剣に悩む辺りはどうなのかと思ってみたり]
さてと。
私もお腹がすいてきたかなあ。
[お腹をさすると同時に、小さくクーという可愛らしい腹の音がした]
家に帰ったらきっとごはんあるんだろうけど……うーん。今日はイマジネーション上昇作業中だから、酒場でごはん食べようかな。
きっと、そろそろイレーネもいるだろうし。
うん。乙女二人で会話したら、なんかまたつかめるかもしれない。そうだ。そうに違いない。決めた。酒場に行こう。
[一人で完結させた。
ユリアンの言葉には気づかなかったようだ]
……賑やかだねえ。
[向かう途中、朗々たる――芝居がかって聞こえる声が響き渡る。
運悪くも誰かが呼び止められる様を、遠巻きに見た]
[ハインリヒに対する言葉はユリアンなりの退屈を払拭させるためのものだったが、それを知る者は他にはなく。
その言葉にハインリヒが乗ってこなかったため、詰まんねー、とか思ってたりする]
[丘に残る者達を振り返ることもせず、すたすたと宿屋のある広場付近へと歩を進めた]
……取りあえず、近い方に行くか。
[何となく、周りは酒場に流れていく様子なので、自分もそれに乗ってみる事にした。
白猫がまだいるようなら、お前も酒場に行くか? と声をかけてみたりしつつ]
[避け損なったことに溜息をつく。
顔の前まで伸びてきた指に諦めてブリジットへ向き直り]
村人の不安を煽るようなことはおやめなさい。
第一、医者が医術を放り出してどうしますか。
助けを必要としている人がいるというのに。
[村人の何人かが「物好きな」という視線を投げる。
それには苦笑を浮かべて軽く頭を振り、通行の邪魔にならぬようブリジットを広場の端へと促した]
[足を踏み出しかけてからハインリヒに振り返り]
私だって、何も知らないままじゃありませんよーだ。
おじさんは、都会ではナンパの方法とか覚えてこなかったの?
そんなんじゃ、おじさんの誘いにはノーサンキューとしか答えようありません。
じゃ、またね。
[口元から小さく舌を出して、歩みを再開した]
[女将はアベールの言葉に溜息をついた。よく見かける青年の深入りを、あまり快く思っていないようだった。
無論その辺りをイレーネが知ることはないが。]
すみません、お待たせしました。
あ、持つもの。何かあれば手伝います。
[そう歩きながらアベールに告げる。
途中で、なにやら高らかな声が聞こえ、きょろと辺りを見回し、続いて遠巻きに声の主と、捕まったように見える人物を見た。]
あ、お医者先生…。
< はっきりと開いた双眸は周囲の様子を
余すところなく見つめていたが、
声をかけられて、ぱちりと一度、またたいた。
同意のひと鳴きをすると、くるりと方向を変え歩みだす >
ま、そう邪険にすんなよ。
俺もあっちじゃ結構モテてたんだぜ?
[腕を頭の後ろにかかえてフラフラと宿に向かう皆についていく]
勘違いすんなよー。おまえらについていくんじゃなくて、俺が行きたい方におまえらが行ってるだけなんだからなー。
[一体誰に向かっての言い訳なのか判らない言い訳を呟きながら食事をしに宿へと向かう*]
[イレーネの申し出には、素っ気無く断りを入れていた。落とされでもしたら困るから、との理由も添えて。
何が入っているのか、荷は軽いとは言い難いが、頼りなく見られることも多いとは言え、仮にも男。ふらつくことはない。
捕まった男の一人へと意識を向ける彼女を見て、こちらにも矛先が向きそうだ、などと他人事のように思った]
私は不安を煽っているのではない。
きたる不幸を先んじて伝え被害を防ごうとしているのだ。
そう、使徒のように……否、今の私はまさしく使徒だ。
予言し救済を行おうとしているのだからね。
[やはり饒舌に語りつつ、少々端の方へと追いやられる。
強い光があるようにも、対して虚ろなようにも見える瞳をじっとオトフリートに向け]
死んでしまっては医療など役に立たない。
そうだろう?
滅亡を免れてからこそ真に医師が必要とされる。
[ぽてぽてと酒場への道のりを歩いていると、広場で演説しているブリジットの姿が目に入った。
村の人達は色々言っているが、ミリィが結構ブリジットのエキセントリックさは結構好きだ。
思わず近づき、声をかけようとして―――]
おーい。ブリジ―――
[そのまま、フリーズ]
せ……んせい……?
[ブリジットのそばに半年ほど前から、ミリィの家に住み込んでいる医師オトフリートの姿が、目に入った]
あ、あわわわわわ!
[一気に赤面して、挙動不審に左右を見渡した後、酒場まで猛ダッシュ!]
[広場に足を踏み入れると、何やらいつもより騒がしい]
………?
[見れば一人の女性が往来の村人に対し、滅ぶだのなんだのと声を張り上げている]
……アホらし。
[抱く感想はそれだけ。
関わり合いにならないように、歩む速度を上げる。
端に追いやられているブリジットを横目に、宿屋への最短ルートである広場の真ん中を突っ切る形で歩いて行った]
[同意するように鳴いて歩き出した白猫を、聡いな、などと思いつつ]
……誰も、そんな事聞いてませんよ。
[ハインリヒの言葉に苦笑しながらこう突っ込んだ。
やがて広場へとたどり着いたなら、耳に届くのは朗々たる演説の声]
……まあ、うん。
相も変わらずお元気なようで……。
それならばもっと別の伝え方もあるでしょう?
聞いて貰えない言葉では予言も救済もありえませんよ。
[柔らかい口調で言いながらも、端的に切り捨てる。
向けられた瞳を映す翠眸は冷たく無機的な光を返す]
ええ、死んでしまった人は助けられません。
そうならないよう備えるのが医者の役目ですよ。
[落とする可能性は否定出来なかったので、ちょっとだけしょんぼりしたり。
オトフリートとブリジット、二人の会話の内容は聞き取れなかったが、何やら剣呑な雰囲気に僅か首を傾げ。
ていたら、今度は別方向から知った声が聞こえてそちらへ顔を向けた瞬間、当の本人は何処かへ走り去ってゆく。]
…ミリィ?
[幼馴染の様子に、二人を見ている時以上に首を傾げた。]
原稿料は入ったのかな、フレーゲ先生。
滅亡するというだけじゃ、対策の打ち様もないと思うけど。
避けられる方法があるなら教えて欲しいものだ、
何せツケも払って貰わないといけないしね。
[歩み寄ったのは僅かばかり、そんな声は届いたか。
聞こえていたとて、返ってくる台詞に期待してはいなかったが。
逃げるように歩んでいく人の群れの中に、奇妙な程に速度をあげて駆けていく姿を認める。一つは少女であり、彼女の来た方向へと眼差し向けると、もう一つ、それよりも大分遅いが、歩むにしては早い青年の姿]
其処行く若者、お目当ては食事かな。
[片手に荷物を抱え、もう片手をあげてユリアンへと声をかける]
[家の中の時計が昼時を告げ、そわそわと昼ご飯を用意して待ってはみたものの、案の定主人は帰ってこなかった。]
お腹が空いて倒れても知りませんよ……?
[自分用の昼ごはん――簡単に、ソーセージとザワークラウトにした――をつつきながら、主人に向けて呟く。]
……このぶんだと夕飯も帰ってこないかな。
酒場の食事なんかより家のご飯のほうがずっと美味しいと思うんですけどねー……。
[至極真面目な顔。そこには冗談などヒトカケラもない。
実際、見た目でいえば彼女の作る料理は酒場のそれに遜色しないのだけれど。]
[しかし虚しくも時は過ぎ、もはや今は黄昏時だった。]
[―――しばらく走った後、酒場の影で息を切らして、しゃがみこんだ。
顔に手を当てるとほのかにあったかい]
……もー。
なん、で。いきなり。
[村の中にいれば、会ったりするのも当たり前です]
……見られなくって良かった。
きっと、風が吹く中にずっといたから髪ぐしゃぐしゃ。
[言いながら、手ぐしでどうにか髪の毛をそれなりに見れるように手直す]
あー。もう、私らしくないなあ。
なんで、先生がこんなに気になるんだろ。一日中、頭の中に先生のことが浮かんで、何も手につかないよ。
[困ったような、嬉しいような顔を両手で覆った]
うん。落ち着け。私。
ちゃんと可愛くなった。酒場にこられても大丈夫。心の準備も出来た。
だから今から順序立てて説明しようと言っている。
そう! 今から。皆も聞きたまえ。
[結局変わらない態度のまま、最後の言葉は大きく、広場全体に向けて。医者の役目というのには]
ほう? ほう。
それは関心な心がけじゃないかね。
人を救いたいならばこそ……
医師殿も私を手伝うべきではないかと思うが、どうか。
[移っているようで主張自体は移らず、話を真の意味で聞いているかは怪しい様子で]
おや。
やあ、ミリ――
[ふと声をかけてきた少女に其方を見て返事をしかけるが、硬直するのに此方も声を止め。赤面し駆けていく姿を見送り]
……相変わらず変わった少女だ。
元気そうで何よりだが。
< 白猫は演説に耳を伏せた。
されどその、ある種の喧騒の中でも見つけたものは合ったらしく、
一度、エーリッヒを振り向いてから、一方向へと向かう >
[ミリィを見やっていて少し速度が落ちたか。
その間に声をかけられ、そちらを向いた]
……それ以外にここには来ないし。
[宿屋を指差して言う。
傍らのイレーネに気付けば、ほんの少しだけ雰囲気が和らぐか]
[オトフリートとブリジットのやり取り。
何とはなしに、足を止めて聞いていた。
何だかんだと言いつつついてきたハインリヒも、演説には耳を傾けていたかも知れない。
その内、白猫がこちらを見てから喧騒の方へと向かうのに気づいて、その背を見送る]
お。
主殿がおられたのかな?
[零れたのはそんな、冗談めかした呟き]
他の欲なら、他の場所だろうしね。
丁度良かった、連れて行ってあげてくれる?
俺は少し、別の用事が出来たものだから。
[誰を何処に、という主語も目的語もなかったものの、ユリアンに向けていた顔を横へと動かして、視線でイレーネを、次に宿屋を指し示す。
僅かに変わった雰囲気には気付くも、特別、反応は示さずに]
……でも。
ちょっとだけしか見えなかったけど、先生の顔、りりしかったな。
[また、ほにゃんと顔が緩んだ]
……!
[それに気づいて、二度三度首を振り、頬を手で打ち鳴らした]
駄目駄目。
しっかりしなさい。ミリエッタ。
まずはそれよりも絵を完成させることでしょう?
[幾分か真剣な顔つきに戻ったが、絵のことを思い出すと、こっそりと描いたオトフリートの絵を思い出して、またふにゃり]
人の話、聞いていますか?
私が手伝う手伝わないの前に、貴女は他者との交流の仕方を学ぶべきだと思いますよ。
[溜息混じりに返す。
これはもう暫く話に付き合わねばならぬだろうかと思ったが、女の視線を追いかけて振り向く]
…ミリィ?
[声を掛ける暇もあればこそ、その姿は宿の中に消え]
差し詰め今は食事を摂ることが先でしょう。
栄養を摂ることは生命活動の基本ですから。
[ここぞとばかりに強引に話を切り上げようとする。
少女の消えた扉へと顔を向けたまま]
よくぞ聞いてくれた、若者よ。
[名前の部分から反応してか、その声を聞き取ったらしくアーベルの方を向き]
無論。原稿料は入ったよ、無事にね。
ツケは後で払うから安心するとよい。
[ふ、とどこか自慢げに言った後]
滅亡についての話は……まず。
私が何でそれを知り得たかというところから話さねばならない。
私は……ブリジット=フレーゲは。
何を隠そう、――予知夢を見たのだよ!
[途中からは広場に響かせるよう。空いた手と空いていない手と、両方を腕ごと挙げ掲げ]
[ユリアンを見かけると小さく、嬉しそうに手を振った。]
こんばんは。お疲れ様。
[ユリアンがほぼ半日眠って居たとは知らず、そう声をかけた。
アーベルとユリアンの会話を聞いた後、促されるようにされれば意図には気づいて。ぺこと小さく頭を下げた。連れてきてくれて有難うございますといった意味を込め。]
……。
……。
……はっ!
[少し長めの回想が打ち切られた]
……まあ、よだれが。
[顔が弛緩していたせいか、口からよだれがたれていたので、赤面しながら、服からティッシュを取り出して、ふきふき]
人を救いたい、か。
[自嘲交じりの声。助けられなかった命を思う]
[同時に心の底で何かが揺れた]
…どうしたんでしょうね。
[少女の姿がそれを吹き消す。
望まぬ記憶から目を背ける様に、少女へと意識を向ける]
……分かった。
[アーベルにより示された事柄に一つ頷く。
今日何があったかは知っているため、イレーネの傍に寄り、表情は変わらずとも心配げに見やる]
…うん、お疲れ。
……大丈夫か?
[寝ていたことなんて言うことではないために言葉には出さず。
イレーネを支えようと控えめに手を差し伸べた]
[イレーネの礼は見て取ったか否か、ともかくそれきり、二人に注いでいた意識は途切れて、声をあげるブリジットへと向いた]
それは何より、何を言っても、
結局、世の中は金がないと回りませんから。
[俗っぽい事実を述べつつ、大袈裟な身振り手振りを見やる]
へえ、予知夢――
先生にはそんな能力がおありでしたか。
して、どのような?
[丁寧な言い様もそうと聞こえ難いのは、奥には敬意など篭っていないからに他ならない。薄く笑みを浮かべるさまは、酔っ払いの与太話を聞くときに似ていた]
[ブリジットの意識がアーベルの方を向いたのを幸いに一歩下がって踵を返す。
立ち止まっている人々には、いつもの柔和な笑みで会釈をして。
目的地であった宿へと逃げた]
と――
[問いの答え、演説を待つまでの間。
白猫の細い鳴き声に視線を落とす。何処へ行っていたのかとも問わず、ゆらりと尾を揺らして、白金の眸がアーベルともブリジットとも別方向へ向くのに、視線を移す。その先にいた人物の方へと、歩を進めた]
こんばんは、エーリ兄?
[姉の幼馴染である彼へと、向ける笑みは親しげではありつつも、やはり何処か、含みを持っていた]
[いつもより酷かった、など言えるはずも無く。
一瞬考えるように黙った後、こくりと頷いた。]
いつもの事だから。
[そっと笑って。差し出された手を、子供のようにぎゅっと握った。]
……予知夢、ねぇ。
[ブリジットの言葉に、零れるのは呆れたようなため息]
あっちにいた時もいたなあ、たまにこうやって街路で叫ぶやつ……。
[街では、そう言った手合いは大抵公儀に連行されていたものだが。
自衛団は、この時間だと外の見回りに忙しいのか、姿は見えなかった。
まあ、長引くようならでてくるだろう、などと考えた矢先、声をかけられ]
……と。
や、こんばんは。
[軽く、片手を上げつつ。アーベルに挨拶を返し]
予言書などから読み取るのではなく……
そう、直に! 自身で予知夢を見るというのが。
私の畏怖されるべきところだよ。
驚嘆したくばするがよい。
尊敬したくばするがよい。
[アーベルに頷いて空を仰ぐ。その態度の真意には気付かずか否か。ぽつりと、神妙に語り出し]
……私はこの世が滅亡するという夢を見たのだ。
黒い闇に呑まれ――海は割れ森は枯れる――動物は異形の羽根を纏い――人々は腐れ朽ちていく! 嗚咽――悲鳴――軋む! 嗚呼、軋んでいるのは何だ!
薪を……薪をくべろ! 星を仰ぎ祈れ!
[途中からは断片的な映像を言語化するように。叫びに近い声で言葉を重ね、俯きがちに頭を抱えてニ、三歩よろける。オトフリートが去ったのには気が付かず]
バウムさんも、どうも。
詩作は進んでいらっしゃいますか。
[真実を知っていながら言うのだから、性質が悪い。
相手の反応はさらりと流して、面白い演説が聞けますよ、とブリジットへと意識を向けさせてから、エーリッヒへと向き直り]
お元気そうで、何より。
と言っても、昨日、見たばっかりだけどね。
ああ――そうそう。
今日、うちに、エーリ兄に食べさせるものはありませんので。
[にっこり。
これまで以上にイイ笑顔で、言い放った]
< 白猫はその足元で、ゆらゆらり、尾を揺らしている >
[いつもの事。
そう言いながら笑うイレーネがどこか痛々しくて。
眉間に小さな皺が刻まれる。
ぎゅっと強く手を握られると、眉間に刻まれた皺は直ぐに消えて、優しくその手を握り返す]
……それじゃあ、行こうか。
飯、食いに来たんだろ?
[宿屋へ連れて行けとアーベルに言われた。
ここへ来るとすればそれしか考えられず。
訊ねながら、握った手を引いて宿屋へと向かい、その扉を開けた]
[その直後、耳に届いたブリジットの語りに、エーリッヒの追及を避けるように、体の向きごと変えた]
フレーゲ先生、大丈夫ですか。
なるほど、己が力のみでとは、
それは全くもって、畏怖すべきですね。
そのような御力を用いては、きっと、疲労も濃いのでは。
[口許に手を添えて神妙な様子を見せつつも、その下にあるものは別]
黒い闇、その正体とは如何に?
て、一日二日でどうにかなったら、それはそれで問題な気がするんだけど。
[昨日も、という言葉に、思わずこんな言葉を返し。
続いた言葉と笑顔に、ちょっと沈黙した]
……ええと。
それは、どういう意味かな?
[言いたい事はなんとなく理解しつつ、首を傾げつつ問うてみた。
青年の足元に揺れる白い尾に、白猫を見かけた場所をようやく思い出しつつ]
……ふう。
[さらに何度か深呼吸をするとやっと落ち着いてきた]
うん。もう大丈夫。
多分大丈夫。
きっと大丈夫。
大丈夫なんじゃないかな。
……大丈夫だといいなあ。
[ようやく立ち上がり、酒場の影から出て、酒場の扉をくぐった。
「らっしぇえ!」という気前のいい声を尻目に、イレーネの姿を求めて、酒場の中をぐるりと見渡して、オトフリートの姿が目に入り―――]
―――ほへぇえ!?
[という声が漏れそうになったが、今度はなんとか抑えられた]
え?だって、さっき、広場にいたよね?なんでいるの?え?
[それは、ミリィがいつまでも妄想していたせいです]
感受性豊かな芸術家がその理由もわからないようじゃ、
この先やっていくのに、困るんじゃない?
[視線のみを動かして、エーリッヒに返すのは何処かずれたような指摘]
売り上げ伸びるのは願ったり叶ったりだけれどねえ、
他人の仕事を奪うのは趣味じゃないんだ。
無駄に女を泣かせるのもね。
< なぁ。追従するように、白猫が鳴いた >
おや。中に入られていたのではなかったのですか。
[扉が開くのに振り返り、苦笑しながら頭を掻く]
こんばんは、ミリィ。
今日はこちらで食事をされるのですか?
よろしければご一緒しましょう。
[軽く手を取って近くのテーブルへと誘った]
ええ、間が悪くて捕まっていました。
丁度興味が逸れたようなので、逃げさせてもらったのですよ。アーベルには申し訳ないことをしましたが。
[クスリと笑う]
[眉間の皺には気づいたが、どうしてユリアンがそんな顔をするのかは、気にしてくれているんだ、程度しかまだ分からなかった。
だから平気と、小さく首を振る。]
うん。明日まで仕事、ないから。
途中までアーベルさんに連れてきてもらって。
…あ、ひょっとしてミリィも、なのかな。
[そんな取り留めないことを話し、手を引かれ宿の中へと一緒に入った。
先に居た人らにいつものように頭を下げる。
ふと振り返ると幼馴染の姿を見止め。こちらに気づけば手を振り返すなりするのだが、それは暫くなさそうな。そんな華麗な慌てっぷりを遠くから見たり。]
……ああ、大丈夫。私はこう見えても丈夫だ。
それに予知夢を見たのはこれが最初ではない。
丁度一年前も隣隣村の水害を予知したのだからね。
[乱れた髪を直しながらアーベルに向き直り、自慢げに言う。実際一年前その場所で水害はあったが、それを当時彼女が予言していた事実はなかった。いわゆるいつも通りの妄想だったが]
黒い闇。
それは怒りだ。愚かな人類に向けられた……
そう、この世はやはり塔だった。
そう、言われましても。
[感受性云々、という指摘には肩を竦めて返し。
続いた言葉に、緑の瞳はどこか、遠くを見た]
……まあ、言わんとする所、わからんとは言わんけど、ね。
[割と切実な部分もあったりするのだが、彼に通じるとは思えず。
それに、朝から戻っていない事も、気にはなっているのは確かな事で]
……。
[ぽっぽっぽとミリィの体温が上昇していく]
あ、えう。
先生。おはようございますり。
ご機嫌いかがじゃろうか。
[オトフリートに声をかけられて、思いっきり噛んだ上に、言葉が訳の分からないことになってる]
いや。何言ってるんだ、私。
えと。んと。
あ、あの、今日はイレーネに会いに……ちょっと、トイレ行きます〜!!
[脱兎のごとくその場から逃げ出して、トイレへと駆け込んだ]
……。
[男女別ということもさることながら、個室つきというこの時代にはふさわしくないトイレの共有場所で、ミリィが頭を抱え込んでいた]
ぐおおおお!
何やってんだ、私ー!
こ、これじゃ単なる変人じゃない!もしくは、お腹ピッピー人間よ!
はぅ!
それどころか、このままじゃ、先生のこと避けているみたいに見えるじゃない!
うわーん!
おやおや。
振られてしまいましたか?
[逃げてしまった姿を見送りながら軽い口調で呟いて。
一度カウンターまで行くと軽い食事と水を頼む]
[通じていたとて、意に介するアーベルでもなく、敢えて無視するに違いなかった]
解るなら、行動に移すのも男の甲斐性。
そんなだから、幼馴染の中で置いて行かれるんだ。
[何を指すかは、言わずとも明白。皮肉にもならないだろうが]
あまり余所事に気を移していると、先生の機嫌損ねそうですので。
< カイン、と呼ばれた白猫は片耳を動かして、
じぃっとエーリッヒを見つめた。
白金の眸は人の言葉を語らず、しかし、物言いたげ >
…あらー、ミリィちゃん。
そんなに慌てて、転ばないでね?
[奥からジョッキをいくつか運んできて、慌てて逃げ出す少女とすれ違った。]
はい、おまちどうさま。
今夜も陽気なのねぇ。景気はどう?
[鉱夫たちとの他愛ない世間話。]
/*
絶妙なタイミングでの投下になったw
さてさて、兎猫とてこの余裕ある側は苦手だったりするわけですが。どうなるんですかねえ?w
まあ、憧れて貰えただけであって、今後どう転ぶかも不明ですが。
アーベル、こちらのお客さんに黒の12年もの出してあげてくれる?
[喧騒の中でもよく通る声。
奇しくもそれは、弟を窮地から救う助け舟になったかもしれない。]
いかん。落ち着け。
こういうときは、素数を数えるといいって、父さんが言ってた。
えーと。
0。
……。
[いきなり終わった]
な、なんか違う。
と、父さん。こんなときに素数なんて思い浮かばないよ……。
いや、置いてかれた、というのは表現としてどうかと。
[そこだけは真顔で突っ込んで。
余所事に、というのは同意できなくもないので、それ以上は言葉を重ねず。
物言いたげにこちらを見上げる白金の眸を苦笑しつつ見返しながら、大げさなため息一つ]
それは初耳です。
[ブリジットの台詞に、目を見開いてみせる]
塔とは何を指すか。
真っ先に思い出すのは創世記ですが。
造られた地であるが故か、何れ崩れる場所である故か、
それとも身の程を知らず、上を目指そうとする愚かさ故か。
[彼女との会話は苦にしておらず、むしろ、楽しんでいる風ですらある]
御話をもっとお聞きしたいのは山々ですが、
此処では、真に聞くものもいるとは思えない上、
先生も御身体を悪くされそうです。
場所をお移しになりませんか。
……そっか。
じゃあ今日は、ゆっくり休まないと。
[先程村はずれの丘でミリィには見せなかった優しい雰囲気をイレーネへと向け。
宿屋の女将に短く挨拶してから、空いている席へとイレーネをエスコート]
……まぁ、多分、ミリィも。
[どたばたと騒がしいミリィを見やりつつ、頷いておいた]
大丈夫かしら、ミリィちゃん…
思春期ねぇ…大人の階段昇ったり昇らなかったりするのかしら…。
[のんびりとした調子で、様子を見に行って。]
えーとね、素数って「素敵な数」の略なのよ。
だから、好きな数を数えたらいいんじゃないかしら。
< エーリッヒをスルーする事に決めたアーベルに代わり、
見つめ続ける、白金の眼。
どうするの?と言わんばかりに、斜めに頭を傾けた >
[首を傾げる白猫の様子に何となく和みつつ]
……ま、心配させるのもなんだし。
これ以上、ここにいても、気が滅入る、か……。
[言いつつ、視線は一瞬ブリジットの方へ]
……それじゃ、気の効かない音楽家は、大人しく帰るとしますかね。
[口調だけは冗談めかして言いつつ、白猫をぽふり、と撫でてから、広場を離れる。
……とはいえ、広場を離れ喧騒から抜け出したなら。
今度は、星空に捕まる可能性も少なからずあるのだが]
大丈夫なのでしょうか。
[ノーラが向かうのを見ながら、少し心配そうな顔になる。
入ってきたイレーネたちにはいつものような笑みを向け]
こんばんは。
ミリィもタイミングが悪かったようですね。
[視線はイレーネの様子を窺うように。
それでも隣にユリアンが居るので何かを問うことはしない]
[トイレの外から、ノーラの声が聞こえてきた]
素敵な数字。
好きな数。
……それって、気持ちを落ち着かせるのに役立つのかな?
ん?
あ。でも、無駄に考え事してたら落ち着いてきた。
サンキュ。女将さん。
えーと、うん、さて、まあ、だね。
[言葉になってない言葉を繰り返し、落ち着かせたとは言え、早鐘を起こす心臓の辺りをぎゅうっと掴むと、意を決して、トイレから出てきた]
[オトフリートの挨拶には会釈を返して。
ミリィについては]
……さっきまで普通だったのに。
何があったのやら。
[原因が目の前の医者であることには流石に気付いていない]
聞いた事がない? それは当然だ。
こうして言ったのは初めてだからね。
そうだ、聖書にあるバベルの塔。
人々の驕りに怒れし神は言語を分かち人々を分離された。
信じぬ王に疫病や虫害、子の死を齎し……
海は使徒によって道となった。
「神の子よ悪魔に跪け、さすれば楽にならん!」
[内容は途中から塔についてではないものになり。最後は一際声を張り上げ芝居がかった調子で言った。アーベルの提案には頷き]
ふむ。それもよい。
なるべく多くの者に伝えたいところでもある。
[無駄に無い胸を張りつつ、なんだか尋常でないオーラを出して、オトフリートへと近づく。
一般人はオーラに気圧されて、その場から移動していった]
先生!
先程は、いきなりトイレに行ってごめんなさい。
えーと、なんでトイレに行ったのかは乙女の秘密です!
/*
しかしエーリッヒを追い返す形になってしまったかな。
そろそろお休みの時間かな、と思ってやりはしたのだけれど。
むぅ。
[出てきたミリィの様子に、やわらいだ笑みを。]
ま、女の子には、いろいろあるものね。
一歩づつ真っ直ぐ行くのが、近道だったりするかもしれないわ。
[ひらりとエプロンを揺らして、鼻歌混じりにキッチンへ。
新しい命がノーラの中に宿っているのを知る者はまだ少ない。
精々が、家族と医者くらいのものだろう。]
[去ったミリィを見送りながら、残されたオトフリートにぺこと、深く頭を下げた。薬のお礼を暗に含ませて。
顔をあげて視線があえば、いつもの澄んだ笑みを湛えてみせるだけで。]
お医者先生、こんばんは。
…ミリィ、おなか痛いのかな。
[そういえばミリィからオトフリートの事を何か聞いたような気はするのだが、今はすっかり忘れている。
ノーラに軽く頭を下げながら、ユリアンにこくと頷いて、添われるまま嬉しそうに隣に座った。
座った瞬間、足の付け根に微かな痛みを覚えたが、それには耐えた。]
そうなのですか?
…お腹の調子でも悪かったのでしょうか。
[心配そうにまた振り返る。
ミリィが丁度出てきたところで笑顔が浮かぶ]
乙女の秘密ですか、それでは聞かずにおきましょう。
ミリィは何にしますか?貰ってきますよ。
[オーラの異様さには気付かないのか、普段の調子で話す。
隣の椅子を引いて勧め、自分は逆に立ち上がる]
[しばらく歩き、ふと足を止め。
何気に見上げた空に、やはりと言うか、しばし捕らわれる]
……星……か。
……Wo kommt die Strömung der Milchstraße dabei an?
[独り言めいた呟きの後、歩みは再び、先へ。
帰り着いた家で待つのは、*さて何か*]
では、僕が――引いてはこの場にいた者が、
初めて耳にした人間ということですね、光栄です。
[それは「予言した」と言えるのか否か。
そんなことを考えたかはさておき、ブリジットの語る話に、幾度か真面目ぶって頷いてみせた]
しかし怒り、ですか。
もし神の怒りたれば、僕等に何が為せましょう。
滅亡は避けたいことではあれど、それが問題ですね。
[同意を示した彼女を宿屋へと促しながら、言葉を返す。
わざわざ場所を移したのは、仕事に戻るためもあったが、逃げたオトフリートに対する嫌がらせも少なからずあったに違いない。
扉を押し開いた後、こちらに向いた客の視線には、厭う色も少なからずあったが構いはせず]
[戻って来たミリィの放つ尋常ではないオーラは意に介した様子も無く。
また興味もほとんど無いため、イレーネを座らせると料理の注文へと向かう。
故にイレーネが痛みを覚えたことに気付くことが出来なかった]
…イレーネ、何食べる?
[自分の好みで注文しかけて踏みとどまり。
イレーネを振り返り食べたいものを聞いた]
[イスを薦められたのを見て]
ああ。いえ!
私は、イレーネと話がしたいので、イレーネの横に行きます!
で、行く前に、一つお聞きしたいんですが―――。
[ちょっとだけ顔が赤い]
先生は、私の家に戻っては来ないんですか?
ああ。ああの、その、変な意味じゃないですよ?
ただ、そ、その、なんていうか、両親も先生がいなくなって寂しがってますし、部屋も余ってますし、なんなら家を改装して、診療所にしてもいいと言っていますから!
……どうでしょう?
[最後は、少し声のトーンが落ちた]
/*
なんか物凄く遊んでますね、この男。
つか、恋愛感情はあるのかないのかw
[そこは流れですよ、うん]
[はい、エピでこれ見てる諸氏、どうせ流されるorやっぱり流されたとか言わないように]
そうでしたね、これは失礼をしました。
[苦笑を浮かべる]
お宅に戻って、ですか?
そう言っていただけるのはありがたいのですが、あそこは鉱山にも程近く、怪我をした人もすぐに運んでこられる場所です。
私の一存で動いては困る方も出来てしまいますから。
またご一緒できれば楽しいだろうとは思いますが…。
[困ったようにミリィを見つめ返す]
[ミリィのオーラには気づかず(何度も見かける事があったので、その異様さが分かっていない)
ユリアンに尋ねられれば少し考え。何時ものパンを頼もうとして、やめた。]
ん、ユリアンと同じのにする。
量は少し少な目がいいけど…。
[そう見上げ答えた。
同じ姿勢を続けていれば、微か針を指すような痛みはすぐに消えた。痛み止めは良く効いてくれているようだった。]
ただいま――って、そんなに怒らないでよ、
届け物は無事済ませたし、客も連れて来たんだから。
昨日のツケも、払ってくれるってさ?
[ブリジットを彼女の望む席へと案内してから、カウンターへ。
アーベルの姿を認め、開口一番文句を言う上の姉に対して反省の色の薄い笑みを返しつつ、娼館の女将からの届け物を渡す。招き入れた客が誰かを悟った彼女の複雑そうな表情を見て取るも、何かを言われる前に、さっさとキッチンに引っ込む]
ノーラ姉、お疲れ様。
あまり無理はしないでよ?
[掛け値も含みもない、労いの言葉。
碌に返答も待たず、出来上がった料理を手に、すぐさま店内へと引き返す]
何、そう畏まる事はない。
新たな予知夢が旧き予知夢を引き出したというだけだよ。
畏まりたければ止めないから幾らでも畏まりたまえ。
神の怒りを鎮めるには薪をくべなければならない。
火を囲んで星を見上げ祈りを捧げなければいけない。
自身が宇宙と繋がれし媒体となったかの如く!
[アーベルの開いた扉を軽く押さえつつ店の中に入る。室内を一度見渡して]
やあ、今晩は諸君。
芳しき事はあったかい。ないかね。それもまた必然。
ブリジット=フレーゲがお邪魔するよ。
[嫌悪や困惑の視線があっても気に留める事はなく、よく通る声で誰宛でもなく、誰宛でもある挨拶を]
[オトフリートに困った顔をされると、ミリィの心のオーバーリミッターが外れそうになったが、なんとかそれを押し留めて]
あああ!
いえ!
無理にとは言いませんから!
そうですよね!
鉱山に近いほうが怪我人の方に良いですもんね!
わはは!
では、私はこれにて!
[しゅぴ!と何故か敬礼をして、オトフリートの横からイレーネの横へと移った。
場所的には、ミリィ・イレーネ・ユリアン・オトフリートなので、そこまで遠い位置ではないが、酒場の喧騒と、食器などにより、そう言葉や行動が届くことも無いだろう]
……イレーネ。疲れた。
[イレーネの横に座り込むと同時に、テーブルの上にあごを乗せて、目を細めた]
…分かった、少なめだね。
[イレーネの言葉に頷いて。
カウンター奥の女将に若鶏の香草焼きとサラダのセットを頼む。
もちろん一つは量を少なめにしてもらった。
出来上がるまでカウンターで待ち。
二つの料理が揃うと、自分で運ぶ旨を伝えてイレーネの下へと戻った。
量が少ない方の料理をイレーネの前に起き、その隣に自分の分を置いて、イレーネの隣に座る]
……それじゃあ、頂きます。
[食事を促すように、食べる前の言葉を紡いだ]
/*
[工房徒弟 ユリアンは、画家の卵 ミリィをぺい、とイレーネの横から寄せたかも]
とか入れようと思ったけど、長椅子だったら座れるよな。
[ブリジットの声に気づき、テーブルに突っ伏したまま、力なく手を振った]
やっほー……はあ。
[いい終わりと同時にため息]
……人生って、難しいなあ。
ミリィ?ええと…大丈夫?
[何だかぐったりしているミリィの様子を心配しながら、整えられていた赤毛をぽふぽふと撫でた。]
…お医者先生と話すの、そんなに疲れる?
[そんな雰囲気が醸し出されていたので、こっそり小声で聞いてみた。
ちなみに理由は未だ忘れっぱなしだ。]
薪とは即ち、生贄でしょうかね――?
[離れる間際の呟きは喧騒に紛れ、ブリジットに届いたかは怪しい。
呼ばれた事を理由に、彼女との会話は一端切り上げていた。
予言者の言葉を他に聞きたいものもいるだろうから自分ばかりが独占しては、とは、理由というよりも言い訳だったが]
はいはい、適当に。
高いのでいい?
[投げられたミリィの声に、さっくり返す]
申し訳ありません。
[ミリィが移動し、食事を頼む様子を見て再び席につく。
そこに響いた通る声に、思わずこめかみを押さえた]
…嫌がらせですか。
[呟きは隣に聞こえるかどうかの低いもので。
いつものようにゆっくりとした食事が始まる]
[イレーネに髪を撫でられると、少しだけ幸せそうにほにゃっとした]
ありがと、イレーネ。
ええと、理由は言ってなかったっけ?
うん。でも、今はどこからどう言葉が動くのか分からないから言えない。
今度また、二人のときにそれはお話しよ。
そんでさ。
[イレーネに撫でてもらって気力が少し復活したのか、顔を持ち上げて]
イレーネ。もし、空の色を、生まれてから一度も目が見えない人に表すとするなら、どんな言葉を使う?
うん。考え込まなくていいんだ。ぱっと印象でお願い。
[ブリジットの姿と言葉は見ない聞かない。
関わらないのが一番だと思うが故に。
イレーネを挟み反対側でテーブルに突っ伏すミリィを見ると、首が僅かに傾いだ。
かと言って何か言うでもないのだが]
やあ、ミリィ。久し振りではないか。
悩み事かい。良いじゃないか、悩みとは人生の付添い人だ。
そしてそれは特には若い頃に似つかわしい。
走るというのも同様にだ。
[ミリィに手を振り返し、そんな事を言ってから。アーベルを見送って不敵に笑ったが、声が届いたのかどうかは怪しかった]
了解。
きっと、御医者様が奢ってくれるのに。
[後半はオトフリートにも聞こえるように言い、「ねえ?」と笑いかけた。
呟きは届いてはいなかったものの、何を感じているかは予想がつく。
注文の方は女将へと告げ、料理の作成は其方に頼む。
アーベル自身も料理は出来るが、こういった場には出すことはなかった]
[ブリジットの言葉に]
うーん。
実際に悩みの真っ最中だと、良いことだとはとっても思えないけどねえ。
それに言っちゃ悪いかもだけど、若い頃云々って言葉、ちょっとババくさいかもよ?ブリジットさん。まだ28歳でしょ?その年から老け込んじゃいけないでしょー。
乙女の魂100までだよ。うん。
[先ほどと変わらず、高らかに自分の名を宣言するブリジットには、遠くからぺこりと頭を下げた。
突っ伏したミリィを撫でていたが、そのうちユリアンが運んでくれた夕飯が並べられると手を止めた。
ユリアンと一緒のものにしたのには、普段食べない肉類を今日は少し無理をしてでも取らないとという現実的な理屈と。何より同じものが食べたいという理由からだった。
運んでくれた事にお礼を言って、軽く手を合わせて。]
いただきます。ミリィ、先に頂くね。
[そう一言断りを入れた。]
えーと………うん。
[食事に手をつける前に、うっかりこうだっけ?と言いそうになって慌てて黙った。
続いてミリィから尋ねられた事に2,3瞬く。空の色。目の見えない人。そも目が見えないのなら色を知る術もないような、とか。
少し、考えて。]
…その人が思う、一番好きな色。
それが、その人の空の色で…いいんじゃないかな。
[そう答えた。]
ええ、そのくらいは勿論。
[アーベルの声に答えながらチラリと視線を向ける。
逃げてきた自覚はあるからそれ以上は何も言わない。
耳に届く会話をそれとなく聞きながら食事を*続けていた*]
おや、医師殿も元気かい。元気かね。それは結構。
元気でない? それも結構。医者の不養生というやつだ。
嗚呼、そうだ。滅亡を防ぐには薪をくべねば駄目だ。
火を囲み星を見上げて祈り――
[オトフリートの方を見ると歩み寄り、一方的に語りかけるが、女将から「何か食べるか」と聞かれてカウンターの方を見]
そうしよう。
適当に宜しく頼むよ。ああ、酸っぱい物は無しで頼む。
や!
先生に御負担かけるわけにはいかないし!
[アーベルの言葉に慌てて言った]
それに、私あまり高い食事嫌い。
なんか訳の分からないもんだされて、「これが高級なんだ!」と言わんばかりの主張されるから。
美味しいものは安いってことも大事。
[イレーネが料理を食べる様子を眺めつつ、自分も料理を腹に収めていく。
頼んだ料理は自分が一番気に入っている、よく食べるセットで。
イレーネも気に入るだろうか、などと考えながら食べ進めた]
[しばらくは食事に集中し、イレーネとミリィの会話に口を挟むことも無く。
聞かれたら答える程度に二人の会話を*聞いていたり*]
ふむ。なるほど。
好きな色、か。
さっすがイレーネ。的確なアドバイス。
絶対に、私なんかより、イレーネのほうが感性高いよね。
[エーリッヒと、イレーネ。それから、父親の言葉を総合して、空の色がなんとなく見えてきた]
好きな、空の色。
[もう一度反芻する]
ああ言ってるんだから、素直に奢られとくといい。
それだって、男の顔を立てることになるんだから。
それに、学生の身に支出は辛いんじゃない?
芸術にはお金も必要、今のうちに貯めとくといい。
[若干の揶揄いを交えて言う]
その点は安心するといいよ、
所詮は大衆向け酒場、高級料理なんて出せっこ――
[耳聡い女将に小突かれて、終わりまで至る事はなかった。お袋の味だからいいの、なんて言葉と共に]
まあ、高いものっていうと、酒になるね。
[大して痛みもない頭を擦りつつ、奥へ引っ込んだ姉を横目で見やった]
青春が過ぎるのは早い物だ。
過ぎてからそれを夢見る事になる。
私もまだ若いかね。それは光栄。
二十八。ふむ。久し振りに思い出した。
つい昨晩八十五くらいかと検討をつけたんだが。
[ミリィに向け、冗談とも本気ともつかない調子で返し。カウンターで料理を受け取ると適当な席に就き、束ねた荷物を脇に置いて食事を始める。
先程彼女を見て席を一つ分離れた客に、時折予言を説きつつ]
[そんな会話を交えつつも、それなりに仕事には励む。
やがて出来た料理――ミリィにはリーキ(西洋ネギ)とじゃがいものグラタンを、ブリジットには豚肉のカレー・クリーム煮を、それぞれ、熱いから気をつけてという忠告と共に出したが、それは耳に入っていたかどうか。
夜更けまで賑わう酒場の中を動き回りながら、*薄い笑みは絶やさずにいた*]
……。
[宙を見上げて、しばし考え込む。
その頭に浮かんできた光景は―――]
ねえ。イレーネ。
覚えているかな?
昔さ。
一度だけ、空の色が緑色に染まったことあるじゃない?
青でも、赤でも、黒でもなく、緑。
あの時は良く分からなかったけど、夕焼けが終わるほんの一瞬だけ緑色に空が染まることがあるんだって。
そして。
それを見たものは幸せになれるって噂。大人になってから知った噂。
うん。でも、そんなのはどうでもいいんだ。
ただ、イレーネと二人のときにそれが見れたのが、嬉しかった。
そして、この村でよく産出されるオパールのように虹色に変化する空の色。
なんか―――奇妙な符合だよね。
よーし!
燃えてきた!
やるぞー!
絶対あの絵完成させてやる!
そして、芸術家ミリィの名前を有名にして見せるんだから!
……でも、その前に腹ごしらえ、と。
[オトフリートの奢りと言う言葉に少しだけばつが悪そうな表情をしたが、奢らないほうが失礼にあたるという言葉を受けて、甘えることにした]
[ブリジットの言葉にミリィが笑う]
あはは。
85って言ったら、宝石商のおじいさんと同じ年じゃない。
無い無い。
それとも、ブリジットさんの背中にチャックでもついてる?
それを開けて、中からもうすっごいのが出てきたら納得しちゃうけど。
[驚きやすく、怖がりやすい彼女だが、順応性は高いほうだ。
きっと、30分もすればどんなもけけぴろぴろが出てきても、あまり気にしなくなるに違いない]
[ミリィにこくと頷く。あの時の幻想的な、奇妙な出来事は子供心にも鮮やかに残されていた。]
空に森が出来たのかと思った。
それくらい、綺麗な緑だったね。
私も、嬉しかったよ。ミリィと一緒で。
[言いながらふと、途中の一言が耳に残った。
それを見たものは幸せに。
ならば今の自分は。
今の自分は幸せとよべるものなんだろうかと。]
オパールみたいな空、かぁ。
そんな空があったら…綺麗で、目が痛くなるかも。
[そう言って小さく、数少ない、気心しれた親しい人らに見せる歳相応の笑みを、変わらないでいてくれる幼馴染に向けた。]
確かに普通に見ればそうなのだろう。
生憎……そう、生憎。
私の部屋には水溜りもないから、確認する機会は少ないが。
だが、もし。
もしも……
私が怪物であったなら、どうするね?
不死の怪物であったなら……
吸血鬼や屍鬼やかの「人狼」であったならば。
嗚呼、考えただけで恐ろしい。
そうであれば気付かず凶行を働きいずれは駆逐されてしまう。
――正義の勝利!
[ミリィに対し、途中からは半ば独り言のように言ってぐっと拳を握ってみせる。やがてカレークリーム煮を食べ終えると椅子から立ち上がり、束ねた荷物を手に取って]
中:
返答が遅いというのに寝落ちそうです(駄
そしてユリアンメモ(*ノノ)
流石優しいというか。こう、扱いが完成されてるよなーと。
ありがとうございます。お礼は床でかえしまs(待
うん。
あの空を見たからこそ、あの絵の空の色をどう描けばいいのか、分かった。
あれは、私とイレーネの大事な宝物。
しっかりと閉めた宝箱の底にはいいもの詰まってるね。
そして、それに気づかせてくれたイレーネ。ありがとう。
さっすが、我が親友。
わはは。
[心から嬉しそうな笑みを浮かべて、イレーネの体をぎゅっと抱きしめた。
やがて、食事が終わり、イレーネとの話が終わると、きっと鼻息荒く*家に戻っていくことだろう*]
女将、代金だ。
つけていた分も入っている。
お釣りはいらない、貰っておきたまえ。
[カウンターに行くと女将につけを含めた代金(丁度)を渡し]
――私が異形でない事を祈って!
[そう言い残すと、店の外へと*出て行った*]
[ぴくりと、ブリジットの言葉に顔をあげる。
荷物を手に取り、立ち去る彼女を食事をするのも忘れて見送った。ユリアンに声をかけられるまで、視線は入り口の方へと向けられていただろうか。]
ううん、何でもない。
…ええと、ブリジットさんが変なこと言うから、その。
気になって。
[彼女が変なのはいつもの事なわけだがそれは置いておいて(そもイレーネにとってブリジットは、『変』というよりは『良く分からなくて怖い人』であったので)。]
…ブリジットさん、普通の人、だよね。
[最後の言い回しにはそう、首を傾げ。
誰かしらに尋ねるというよりは、確認するかのように呟いた。]
いい匂い。
[元々肉全般を余り食べる方ではなかったので、香草と共に焼かれた若鶏を口にしたのは初めてだった。
やはり肉を食べるのには時間がかかったものの、香草で匂いづけられたそれは、他の肉料理よりは随分食べやすいように思え、残す事はなかった。
美味しいと、ユリアンに告げるとほっとしたような顔をされただろうか。
最後に水を頼み、持ってきていた痛み止めを水と一緒に飲みこんだ。]
ご馳走様でした。美味しかった。
[そう告げ他の人へと食事を運んでいたアーベルに、代金を払おうとしたらユリアンに先に払われていた。
自分で払うと言ったが、いいからと首を振られ。アーベルにも受け取ってもらえず、少し申し訳なさそうにしながらも、彼の好意を受け取った。]
中:
ミリィとユリアンの発言量に吹いた。
二人ともwwwwww特にミリィ、昨日殆ど居なかったはずなのにwwwwwwwwww
[ミリィに抱きしめられ一瞬きょとん。
暖かな体温と、言葉が伝わってくると、こちらも心から、嬉しそうに微笑んだ。]
ううん、こっちこそ。
…ありがとう。
[ありがとう、には色んな意味を込めて。
そうして鼻息荒げながら帰ってゆくミリィを見送り、自身も帰路へつこうと席を立った。
立てば再び一瞬だけ足の付け根に痛みが走り。ほんの少し動きを止め眉を潜めると、今度はそれをユリアンに見られていた。
心配そうに手を差し伸べられ。平気だからとその手を取る。そうしてゆっくり、娼館まで送ってもらった。]
……異形と言うよりは、奇妙かな。
あれの言う事は気にしない方が良いよ。
[確認するようなイレーネの呟きにぽつりと返して。
夢物語に近いブリジットの言葉は半分も聞いていない。
信じる理由も無いし、道理も無い]
[黙々と食べていたために料理はイレーネより遥か早く食べ終えていて。
しばしの間料理を食べるイレーネを眺めることになる。
肉料理は滅多に口にしないと思っていたので、自分と同じものを、と言われた時には少し戸惑ったが、イレーネはその料理を美味しいと言ってくれて。
自分が作ったわけでもないのにとても嬉しく感じられた]
……良かった、口に合ったみたいで。
[食べ終える様子に柔和な雰囲気が漂う。
代金を払おうとするイレーネには「…良いから」とイレーネの分も持ち。
食べ終えた皿を二つ、カウンターへと運んだ]
[友情を確かめ合うようなミリィとイレーネを見ると、表情は変わらねど、微笑ましげに見つめて。
イレーネを支えてくれる存在が居ることに僅かに安堵感を覚える。
立ち上がろうとしたイレーネの動きが止まるのを見ると、今日何があったかが思い出され]
……送ってく。
[そう言って手を差し伸べた。
乗せられた手を優しく握り、支えるようにしながら、ゆっくりとした足取りでイレーネを娼館まで送り届ける。
娼館の女将に遭遇したなら、良い顔はされず、形式ばった礼だけ成されることだろう。
イレーネと分かれると、今日は流石に工房へと戻った。
もちろん、ろくに仕事をしなかったことを咎められて、技師から雷を*落とされる訳だが*]
お気になさらず。
私がそうしたいのですから。
[恐縮するミリィには笑顔でそう答えた。
8割方の食事が終わったあたりで鉱夫に呼ばれた]
ああ、急いで戻ります。
ノーラ、食べ切れていませんがこちらで。
[怪我人との言葉に頷いて食事を切り上げた。
代金を近くに居た女将の妹に渡す]
[聞こえてきたブリジットの声に軽く眉を寄せた。
気にしなければいい。そう自分に言い聞かせて席を立つ]
ミリィ、お送りできずに申し訳ない。
またそちらにも顔を出しますから。
[テーブルを回って近くへと寄り、軽くその頭を撫でた。
周囲には家族に向けるような親愛の情と見えるか]
それではお先に。
[急かす鉱夫に連れられて宿を*出て行った*]
[去っていく客の一人一人を、カウンターに頬杖を突き、微笑を湛えて見送る。
ユリアンやイレーネ、ミリィに対するオトフリートだけでなく、ブリジットにさえ同じ眼差しを向けていたから、微笑ましく見守る、というにしては少々奇妙なものだった]
面白いねえ。
[呟きを聞き留めた上の姉が、歳の割には達観したような様子に溜息を零す。そんな弟に浮いた話はないのかと訊ねてみれば、]
さあね。
そういう話が聞きたいなら、
ノーラ姉にすればいいんじゃない?
[話の矛先を逸らす返答。
悪戯めいた笑みに、*女将はどんな表情を返したやら*]
中:
何となく、オトフリートとユーディットが狼候補だったりとか思ってたり。
ユリアンは違うっぽいんだよなぁ…。
これで狼だと困るかもしれないし(イレーネは狼を信望する予定)
─昨夜─
[星空に惹かれて立ち止まったり、軽く寄り道して小さな花束を一つ手にしたり。
そんな事をしてから帰り着いた自宅で待っていたのは、やはりと言うか、朝からの放浪ぶりを諌める言葉。
それを例によって軽く受け流し、追撃が来る前に、持ち帰った花束を預ける]
好きな所に、好きなように活けておいて。
ユーディがいいと思う形に。
あと、食事まだだから、何か軽いものを。
[花束を持ち帰った経緯やら何やらには一切触れずにこう言って。
食事の後は自室に戻り、昼間集めたイメージの断片を手帳から拾い出す作業にしばし没頭した]
[翌朝、夜明け前に目覚めるのはいつもの事。
起き出して、また、窓越しに空を見上げた後、窓を開けて風を呼び込む。
吹き込むそれにしばし、金の髪を遊ばせた後、向かうのはピアノ。
鍵盤の蓋を開き、音を一つ、二つ、紡ぐ]
ん。
[ごく短い声を漏らした後、書きかけの譜面を広げ、綴った音を一通り繋げて行く。
開いた窓から、まだどこか覚束ない旋律が風に乗って*運ばれて行った*]
─坑道の中─
[こつり、こつり。少年が岩を掘っている。
程なくひとつの岩を掘り出して、手にとってじっくりとみる。そして苦い顔をした]
ちぇ。これもいまいちかぁ。今日は全然いーのが採れないなぁ。
[とりあえず中身の少ないバケツに入れてはみたものの。これでは今日はほとんど稼ぎにならない]
仕方ねーな。あっち行くかぁ。
[坑道のわき道から、奥に入っていく狭い場所。身体の大きな大人には入れない場所]
ユリアン兄ちゃんやユーディ姉ちゃんに言われたけどなあ。万が一にでも怪我したら、オト先生にも大目玉で怒られちゃうだろうなあ。
[言う言葉ほどは軽い口調で言いつつ、そちらへと向かう]
気をつければ大丈夫、だろ。
[そういって、狭い場所へと*もぐりこんでいった*]
[昨晩。やはり今日も酒場まで主人を迎えに行かなければならないだろうかと(若しくは捜索願いを出すべきだろうかと)諦めかけていた頃、エーリッヒは飄々と帰ってきた。]
あ……こんな時間まで何やってらっしゃったんですかっ。心配したんですよっ!?
[玄関で出迎えるや否や、いつも通りの台詞を浴びせた。]
お昼はどうなさったんです?
…………飴だけ?
[返答に眉を寄せる。]
……そんなの喉が乾くばっかりじゃありませんか。一度家に帰ってらっしゃれば良かったのに。
[大体、と小言を続けようとしたところで渡されたのは、小さな花束。白、黄色、薄紫などの淡い色をした可憐な野の花が、微かな夏の香りを放っている。]
え、どうなさったんですか、これ。
[可愛い、と思わず顔をほころばせながら、意外な行動にきょとんと目を瞬かせる。しかしそこに更に意外な言葉が。]
……お食事、まだなんですか?
は、はい、すぐに用意致します!
[花束を手にしたまま、慌ててキッチンへ向かう。
頼まれた「軽い食事」には、いつも以上に気合いが入れられたことだろう。
渡された花束は幾つかに分けて水差しに入れられ、食卓や玄関先を暫く*彩ることになった。*]
─工房─
[戻って大目玉を食らった後は、サボった分も合わせて研磨を行い。
合間合間に休憩は入ったが、流石に細かい作業が続いたために疲労はピークに達する]
……疲れた……。
でも、サボっちまったのも事実、だしなぁ…。
[元々宝石加工に対しての姿勢は真面目なもので。
それがあったために今ここで修行の許可を貰っている。
仕事の開始に遅れたり、夜出かけたまま戻らないことも多々あるが、その真面目さがあるのを知っているために技師も咎めはすれど追い出すことはせずに居てくれた。
何ともありがたいことである]
……後もう一息……。
[研磨を続け、残り数個となった時。
磨き終わった一つの小さなオパールを手に、その動きが止まった]
……あ。
入ってる。
[ぽつりと声が漏れた。
研磨していたオパールは、ホワイト・オパールと呼ばれる乳白色の地色のもの。
一般的に市場に出回っているものではあるが、今研磨したホワイト・オパールの中には美しいプレー・オブ・カラーが入っていて。
小さくとも映えるその輝きにしばし意識を奪われた]
………似合いそう、だな。
[そう呟くとそのオパールを手に技師の下へと。
オパールを見せながら会話を交わし。
しばらく渋っていた技師がようやく首を縦に振った]
……我侭聞いて下さってありがとうございます。
[常ならば滅多に言わぬ丁寧な言葉での謝辞。
深々と頭を下げてから自分の作業場へと戻った。
手にしているオパールを、水を入れた小瓶へと移し。
その小瓶の口に首から下げられるようチェーンを括りつけた。
満足げにそれを見やり、机の上に置くと、再び研磨へと没頭。
夕方まではずっと仕事に集中することであろう]
―昨夜/診療所―
無理をして怪我をしたのでは元も子もないでしょう。
私に出来るのは治るお手伝いだけなんですから。
[包帯を巻き終わった傷口を軽く叩いた。
当然相手は小さな悲鳴を上げる]
それだけ元気があれば十分ですね。
「だってよ、最近どうも当たりが悪いんだ。
俺らじゃそう狭い場所には入れねえしなあ」
奥ですか?良い石はあるかもしれませんが、支えを確保出来ていない場所では何が起こるかも分からないでしょう。
「そりゃそうなんだが。金も必要だし」
…あそこに通うのを控えればいいだけでしょうに。
[苦笑しながら道具を片付けた。
鉱夫の仕事は肉体的にも精神的にも辛いものだ。
その気持ちを理解できないわけではないが]
いずれにせよ。
自分から危険に向かっていくようなことはしないで下さい。
診療拒否しますよ?
[鉱夫は慌てて首を振った。
それには柔らかい笑みで頷きを返す]
ああ。奥に入れそうというのはティルですか?
あの子も無理をする方ですから気をつけていてあげて下さいね。
「おうよ」
[家へと戻る鉱夫を見送り扉を閉めた]
[奥へと戻れば食事に行く前に開きかけた本があった。
妊産婦の症状について書かれたその本を手に取る]
ふむ…。
[知識の確認をするようにゆっくりとページを捲る。
紙の音は灯りが頼りなく揺れるまで続いていた]
─自宅・私室─
[音を連ね、紡ぎ。
手を止めては譜面の上にペンを走らせ。
もう一度奏でてはまた手を止め、違う譜面に目を向ける。
他者が声をかけても、容易くは破れる事のない集中。
しかし、それでも]
……あー……あと、もう少しなんだが。
[ため息混じりの呟きと共に、手が止まる。
まとまらないわけではない、けれど。
どこかまとまりのつかない感覚。
それを持て余しつつ、鍵盤に蓋をして譜面を片付けると、また手帳をポケットに突っ込んで部屋を出た]
……ちょっと、散歩してくる。
そんなに遅くはならないから。
[行く先を問うユーディットに軽くこう言って、例によって例の如く、当てのない散策へと]
[いつもより中身が少ないバケツを抱えて、坑道から出てくる。少ないがこれで何とか今日の生活費は確保できただろう。
外に出てみれば、少し周囲が騒々しい]
ん?誰か怪我でもしたの?
[近くの鉱夫を捕まえて聞いてみる。聞いてみれば軽い怪我ですんだようで、すでに医院へと向かったらしいと聞いた]
オト先生のとこかぁ。怒られてくるんだぜ、きっと。
[軽く笑いながら話していれば、複数人が集まり話の輪ができる。
鉱夫の中ではもちろん最年少のティルだが、人懐っこい性格もあり、会話で浮いているようなことはなく。人の話をききつつ、時には茶々をいれつつ、話の輪に加わっている]
「おいおい、また惚気話はじめちゃったよ」
「美人の奥さんうらやましーぜ」
「ひゅーひゅー」
[一人の鉱夫が、気がつけばまた新妻の話を始め、それを周りが茶化している。
そんな会話になりはじめたころ、鉱夫の親分が会話に顔を覗かせ]
「お前ら何時まで話しこんでるんだ」
[そんな声とともに、話の輪が崩れていく]
兄ちゃんも怪我には気をつけなよ。ノーラ姉ちゃん泣かしちゃ駄目だよ。
[笑いながらからかいの茶化しを入れ、その場を立ち去った]
―現在―
はい、それではお大事に。
[熱を出してしまった子供を往診し終わり。
ぼんやりと歩いたら診療所の前を行き過ぎてしまっていた]
……おや。
[立ち止まり、軽く首を振る。
この先には工房と鉱山くらいしかない]
[バケツを持って、今日の給金をもらいに行く]
うー。やっぱりいつもより少ねえなあ。しょーがないか。
[いつもより少ない小銭を手に、鉱山を降りていく。腹も減ったことだし、酒場へと行こうかと歩いていたら、先ほど話題になってた人の姿]
あ。オト先生ー。こんにちはー。
[軽く手を振って、近づいていく]
-昨夜-
[ユリアンと分かれてから、娼館の女将にもう一度服を脱ぐよう言われ、晒し素直に背を向けた。深く残る傷痕には布を当て、浅いそれには傷薬を塗られる。改めて治療を受けながら聞くのは女将の呟き。内容は、あまりユリアンと親しくするなといったようなものだった。]
…どうしてですか?
[見上げる目には困惑が。
女将がユリアンを快く思っていないのは薄々気づいていたが、その理由がよくわからず尋ねた。]
「一人の娼婦に入れ込みすぎると、ロクな事にならないからさ。」
[溜息と共に告げられた理由は、自分には理解できぬもので。
だったら今日の人はどうなんだろうとか思っていたら、「狒々爺とあの子は違うよ」と先に言われた。
ユリアンが駄目で老人が良い理由などさっぱり分からず。
困惑の色を湛えたまま、自分の部屋へ戻りますと軽く頭を下げて女将の傍を離れた。決して頷きはせずに。
後ろで女将が小さく息を吐いた。]
女将さん。
[階段を登る前に立ち止まり、振り返る]
私のしてる事は、いけないことなの?
[素朴な、そして常に胸の中にあるそれを口にすると、女将は緩く、だがはっきりと首を振った。
その答えに微笑んで、今度こそ自室へと下がってゆく。
女将の深い溜息は、自分が部屋へと入ってから為されたため聞こえなかった。]
[部屋に戻るとベットには座らず、傍にある小さな椅子に腰掛け、机の上の袋をなぞった。
この位置からは窓の外が良く見えて。今日も星が綺麗だと思いながら、いつものようにぼんやりとしていた。
ふと、ミリィが言った事、女将の言った事を思い出す。
娼婦という仕事。老人ならよくて、ユリアンが駄目な理由。
そして、幸せの事。
女将はこの仕事は悪い事ではないと言った。だが村の人から感じる、好意的でない視線は何なのだろう。
ユリアンが駄目で老人が良い理由は何なのだろう。
「緑色の空を見た人は幸せになれる」という。ならば今の自分は。]
…幸せ。
[今が?]
…幸せ、なのかな。
[それすらもよくわからなかった。
幼い頃から強制されたような人生しか生きてこれなかった自分には、他の生き方が分からない。
例えばミリィの人生と自分のものを比べる事は出来るが、そもそもミリィには家族がいる。自分にはとっくに失われたものが。
無いものを欲しがった所で仕方なく。
仕方ないと諦めているから、現状のままで。
諦める事と受け入れる事に慣れてしまって。
時折、自分の立って居る場所が分からなくなる。]
[漠然とした不安を覚え。テーブルに置いておいた袋をあけ、中にあった親指ほどの丸い何かをそっと舌に乗せた。]
ん…。
[口に含み、目を閉じる。
暫くころころと飴のように転がした後、ぺろりと舌から取り出して汲み置きの水で洗い、再び袋の中にしまった。
そうすればどこか安心したような顔をして、ゆっくりと眠りに落ちていった。]
[オトフリートの柔和な笑顔を見れば、つられて微笑んでしまう]
ん?俺は元気だよ。ぴんぴんしてる。
今んとこ、先生のお世話になるようなことはしてないって。
[腕をぶんぶんと振り回して、おどけるように言う。
危険な仕事をしているからこそ、心配をかけないように]
そういえば、今日誰かが先生のお世話になったみたいだね。
俺も気をつけないと。
─広場─
[宛のない散策は、やがて、広場へとたどり着く。
昨夜とは打って変わって静かなその場に何となくほっとしつつ。
ふと、見やるのは教会の建物]
……ああ。
そろそろ、時期か……。
[自身の帰郷の切欠となった、父の命日。
それが近いな、と今更のように思い出していた]
お元気そうでなによりです。
ええ、鉱夫の方々はどうも無理される事が多いようで。
[怪我人の話には頷き]
昨夜の方ですか。腕の傷は浅くありませんでしたが、あれなら動かなくなるほどではないでしょう。
新しい鉱脈を探るつもりで無理をなさったのだとか。
医者の立場から言わせてもらえば、安全第一でお願いします、なのですけれどね。
[そうもいかないようで、と苦笑を浮かべる]
―娼館→外―
[朝一で用意された果実汁と薬を飲み、娼館の掃除や各部屋への水の汲み置きなどを始める。
傷を負った身とはいえ、館の中で一番下位にあたる自分の仕事は多かった。
あれこれと働いていると日はすぐ夕暮れ時となり。]
女将さん、夕飯食べてきます。
[そう断りを入れて、宿の方へと向かっていった。]
[かたり。
手にしていた工具が机に置かれる音が鳴る。
集中したお蔭でやるべき研磨は全て終わらせることが出来た]
……疲れた……。
[呟きながら椅子の背凭れに力なく寄りかかる。
酷使した目を閉じ、指で目頭を揉んだ]
……親方、後は終わりだよな?
じゃ飯貰ってくる。
[技師に声をかけてから、日課である晩飯の調達のために立ち上がり、代金を手に工房を出る。
疲れを取るようにぷらぷらと振られた手の指には軽くテーピングが成されていた]
─工房→宿屋方面─
よかったー。それほどひどい怪我でもなかったんだ。
[十分酷い気もするが、動けば大丈夫という認識のようだ]
…確かに、今鉱山の石も結構少なくなってるからなぁ。俺もこの身体生かして細い所の石見つけてるからなんとかなってるけど。
安全第一っていうけど、石みつけないとおまんま食えねえし。怪我しない程度に無理しないとやっていけないんだよね。
[苦笑を浮かべるオトフリートに]
あ。俺は無茶しないように気をつけるよ、うん。
[言いつくろうように、あわてて言葉を付け加える]
[ごそりとポケットに手を入れる。
引き出されたのは先程チェーンを括りつけた小瓶。
水で満たされたそれの中で、ホワイト・オパールがゆっくりと転がった]
…………。
[珍しく口端が僅かに吊り上がる。
穏やかな表情にも見えるそれは、小瓶をポケットに戻すと同時に消えてしまうのだが]
― 広場に続く道の一つ ―
[漂うような歩き方で沿道を進む女性。前から来る村人は彼女を遠回りに避けるようすれ違っていく]
「あ、ブリジットのおねーちゃんだ」
[途中小さな女児がそう言って指差したが、手を繋いでいた母親らしき人物に引かれ、すぐにどこかへと去っていった。女性自身は考え事をしている様子で、その声に反応する事もなくただ広場へ向かい]
[さくさくと宿の方へと向かうと、広場のあたりでエーリッヒを見かけ小さく会釈した。]
こんばんは。
[言いながら視線の先を見ると、教会で。
そういえば、この時期に誰か亡くなったんだっけかと、朧気に思い出していた。]
ま、何れにせよ、間に合いそうにはないな……。
[小さな呟きは、僅かな自嘲を帯びて。
陰りを帯びた目は数瞬閉じられ、開いた時にはいつもと変わらぬ緑がそこに]
っと。
[直後に声をかけられ、はっとしたようにそちらを振り返る]
ああ、こんばんは。
これから、食事かい?
[聖なるかな、聖なるかな、聖なるかな――
蓋の閉められたオルガンの傍に佇む修道女の紡ぐ歌を、アーベルは机に頬杖を突いて眼を閉じたままに聴く。白い毛並みの猫の姿は椅子の上で身体を丸めている。
ミサに出席することも稀にはあれど、自ら祈りを捧げることはなかった。そんな青年を、馴染みの修道女はどう思っているかはわからないが、請われれば歌う事を拒否はしなかった。
やがて旋律は途切れて、ゆるりと目蓋を持ち上げ青の瞳を覗かせる。
伴奏がないのが残念だと言う彼女に、演奏は専門外だと笑ってみせた]
さて、あまりお邪魔してると拙いかな。
[立ち上がると同時、眠っていたように見えた白猫も身を起こす]
まったく君達は。
[鉱夫たちの判断基準に苦笑は深まる]
そうですね、生活が掛かっている以上はあまり強くも言えません。
鉱山のことに関しては素人でしかありませんし。
…君は特に気をつけてくださいね。細い場所に潜るのが危険だろうということくらいは見当つきますよ。
[重ねて釘を刺す]
こちらに向かっていたということは、上がってきたところですね。
私も鞄を片付けたら酒場に行きましょうか。
体力を回復してもらえるよう、一品位は奢りますよ。
[往診の時に持ち歩く鞄を示して言った]
[小さな呟きは耳に聞こえたが、何に間に合わないのかは知れずそのままに。]
はい。エーリッヒさんもですか?
[ユーディットが家で首を長くして待っている等の経緯はよく知らないので、単純にここに居るから夕飯だろうかと思ってそう尋ね返す。
ふと教会の方から歌が聞こえて、そちらにも少し気を取られたが止んでしまった。]
いや、俺は、散歩の途中。
ここから先の、行く先は未定、かな?
[零した呟きとそれに伴っていた陰りなど、微塵も感じさせぬ様子でにこりと笑いつつ、返す言葉は冗談交じり]
どっちにしろ、少し休憩しようか、とは思っていたけどね。
[歩む速度はゆるりとしたもの。
途中何度か大きな欠伸をした]
……眠ぃ……。
半徹夜だったしな…。
[注意力散漫な様子でふらりと広場に足を踏み入れる。
周りを気にすることなく広場を突っ切り、真っ直ぐ宿屋へと向かった]
――共和!
[やがて広場の入り口に着くと、そう一度叫んだが。ふう、と小さく溜息を吐いて噴水の方へ歩いていき、その縁に腰掛ける。紐を解いてばらけた荷物を横に重ね、ノートとペンを手に取ると、ノートを開き何やらがりがりと書き始めて]
[修道女に別れを告げ、静寂を取り戻した教会を後にする。
夜の帳も下り始める頃、空は刻一刻と色を変え、闇に沈んでゆく]
おや。
珍しい取り合わせ。
[程近い場所にあったイレーネとエーリッヒの姿に零れたのは、そんな呟き。それは酒場で顔を合わすことはあれど、対話している姿は、という意味で]
< アーベルに代わり、白猫が挨拶の鳴き声をあげる >
中:
>ユリアン
こっちも恥ずかしいよ!独り言で書くかどうか迷ったんだ!
でもあえてメモにのこしてみた。
一緒に恥ずかしくなればいいんだとおもtt(ちょ
や、折角だから伝えとこうというのもあったり。
まあ、俺達が、オト先生の治療に何も言えないのと同じようなことかなあ。
[そして、釘を刺されれば]
う…うん。細い場所よく行くし。確かに…気をつけます…
[オトフリートに注意をされれば、どうしてもおとなしく聞いてしまう。人間、どうしても頭が上がらない人もいるものだ。
少し小さくなっていれば、酒場に行こうという提案に話題をそらすように、元気な声で]
うん。今日はもう上がってきたんだ。
やった、先生おごってくれるんだ、ありがとうございますっ!
早く行きましょうよー。
[うれしそうに言えば、オトフリートの先導をするように歩き始めようとする]
[唐突に響いた声に何事か、とそちらを見やるものの。
そこに、ブリジットの姿を認めれば、いつもの事か、と結論付ける。
続いて聞こえた、猫の声。
振り返れば、白猫と青年と]
おや、こちらもこんばんは。
[挨拶は自然、白猫へと向いたかも知れない]
風の向くまま気の向くまま、ですか。
[冗談交じりの声には、思わずこちらも小さく笑む。]
歩きながらお仕事、大変そうですね。
あ、ならやっぱり、宿の方ですか。
[そう言って視線を外したときに。]
あ…ユリアン。
[真っ直ぐ宿へ向かおうとする人に声をかけた。
一瞬、女将の言葉が思い出され躊躇うが、胸の奥にしまって。]
[エーリッヒを送り出して、今日も1日家の仕事を片付ける。
毎日やることなのだから1日ぐらい手を抜いても良いだろうに、ユーディット自身にはそういう気は微塵もない。仕事をしている、というより、させて貰っている、という意識が強いのか。]
あっついなぁ……。
[ベッドシーツを庭で干しながら、目を細めて太陽を見上げる。
夏の陽射しはきらきらと魅力的、且つ洗濯物を素早く乾かしてくれるので大変助かるものではあるけれど。]
[何気なく、喉に手をあてる。そこに乾きを覚えて。]
……雨のほうが、やっぱり好きだな。
[ぽつりと独りごちた。その顔に浮かぶのは微かな翳り。
しかしそれは一瞬で掻き消え。]
あっ、そうだ、お買い物行かないと!
[ぽんと手を打ち鳴らして、干したシーツを改めてぴんと張って整えた後、洗濯籠を持って家の中へ。
数分後には、机に(一応)エーリッヒ宛に「買い物に行って参ります」とメモを残し、戸締りをして出かけるユーディットの姿があった。]
[ブリジットの叫びに、少しだけ肩を竦めそちらを見る。が、何か主張する前に別のことを始めたので不安を覚えただけで終わり。
代わりにかかってきた声の主に小さく頭を下げた。]
アーベルさん、こんばんは。
あ、カインも。
[よくアーベルの傍にいる白猫に近づき、屈みこんで頭をそっと撫でた。]
疲れが残っていては怪我しやすくなりますからね。
[元気良く歩き始める姿に苦笑ではなく笑った。
大人に混じり生き抜いていこうとする少年の強さには感心する。
だから気になるのかもしれない]
はいはい、一足先にどうぞ。
この鞄を置いたらすぐに行きますから。
[診療所までは先導されるままに後ろを歩く]
今から御祈りにでも?
……と言う程、信心深そうには見えないけど。
[向く先が異なる故か、単にそういう性格か。
夜の挨拶を返す事はなく、投げる問いと次いだ台詞は、他人の事は言えないであろう内容]
そこまで、突き抜けてはいないけどね。
[イレーネの言葉に返すのは苦笑。
村を最初に出た時は、そんな生き方に憧れもしたのだけれど]
正確には、歩きながらするものじゃないんだが、ピアノの前に根を張ってても思うようにはいかないもんだから。
[軽く、肩を竦めつつ。
宿の方に、という言葉は、そうなるかな、と否定しなかった]
[叫ばれた一言は聞こえていたとしても反応することは無く。
内心、またか、などと思っている。
無視を決め込んだ時、聞き慣れた声が耳に入った]
……イレーネ。
[ゆっくりとした動作で振り返る。
その雰囲気はだるそうな、眠そうな、どこかぼーっとした感じに見えたかもしれない。
振り返った先に他の者の姿を見止めると、会釈ではなく、かく、と首だけで頭を下げた]
いや、そういう訳じゃないけれど。
そろそろ、命日が近いな、と思い出しててね。
[挨拶抜きの問いを気にした様子もなく、さらりと返し]
……信心に関しては、大きなお世話ですよ、と。
[それに関しては、自覚らしきものもあるらしい]
わぁい。美味しい飯が食えれば、結構疲れも吹っ飛ぶしー。
オト先生にもこうやって心配してもらえるんだし、俺も気をつけまーす。
[オトフリートの笑顔が見えて、心からうれしくなった。
そして、オトフリートの前をうれしそうに歩く。時々後ろを見ては、他愛のない話を振ってみて。
何事もなければ、程なくして診療所の前までたどり着くだろう]
[アーベルに緩く首を振る。]
私は、教会には行かないですから。
[正確には、教会には行くなと女将に命じられているからで。それは教会に来ないで欲しいという村側の意向があったからだったが(神父や修道女の意志はそこに加わってはいないようだが、与り知る所ではなく)]
何だか、ミリィみたい。
ミリィもずっと座りっぱなしじゃ筆が進まないって。
[エーリッヒに、幼馴染の言っていたことを反芻しながら。]
自分の内側で物を作ろうとする人は皆、大変なんですね。
[彼女にとって、芸術家と称される人はそう見えているらしい。]
……う〜い。
肩こったあ〜……。
[青い顔で、肩をごきごきと鳴らし、がに股の大きな歩調で、ミリィが気分転換に道を歩いている。
乙女のカケラも無い仕草だ]
……やっぱ、あれだね。
何事も根つめすぎるのは良くないね。うむうむ。
あぁ、……成る程。
[誰の者かは知らない筈もなく、僅かな間、逸らした眼差しは過去を思い起こすように遠くを見た。
視線を戻したときには、いつもの薄い笑みに戻り]
まあ、いいんじゃない。
見えもしないものを信じるという方が難しいし。
……信心深いエーリ兄、っていうのも。
[終わりまで言わずとも解るだろう、と言いたげな切り方をして、緑眼をまじまじと見つめた]
[青果店やら精肉屋やら、もはや顔馴染みになった商店を巡り、挨拶を交わしてにこやかにお喋りに興じ(「エーリッヒの旦那は最近どうだい?」「相変わらずですよ、でも少し上手くいってるみたいです」「あんたも大変だねえ」「いえ、私は全然お手伝いできてませんし」)(いつも通りの日常風景)(和やかなひととき)、気付けば夕暮れが迫っていた。]
今日はお夕飯どうするのかな……。
[一通り買ったものを確認しながら道を歩き。
未だ散策中である主人に思いを馳せる。
だが結局、要らないだろうと判断しても、彼の分まで作るのは無意識の決定事項。]
[小さくのどを鳴らすカインに微笑んで、抱き上げようかと手を伸ばしかけたが。]
ユリ
[カインを撫でていた手を止め、疲れが見えているユリアンに慌てて心配そうに近づいた。]
…大丈夫?お仕事、大変だった?
[そう下から見上げた。]
実際、ただ、ピアノや譜面に向かっていても、求めるものは見えてこないからね。
ん……ミリィもか。
作るものは違えど、あちらもやっぱり似たようなものだろうな。
すぐに「目に見える」という点で、俺とはまた違うんだろうけれど。
[目で見るか、耳で聴くかの違いを思いつつこう言って]
んー……内側だけで作ると、結局は自己満足だから。
そこから、踏み出す必要はあるけれど。
確かに、大変、かな?
……。
[ふと、空を見上げる。
夕暮れの赤い光が、ミリィの紅玉色の瞳をさらに赤くする]
……赤い、な。
もう少しすれば、黒。
緑になるには、夕暮れが終わる一瞬。
それから、なんか色々な要因があるって話だったっけか。
青、赤、黒、緑。
他には何色になるだろ?
[エーリッヒを見つめていたのは数秒、わざとらしく息を吐き出して、ユリアンへと視線を滑らす。
行かない、とのイレーネの言に理由は想像出来たか、重ねて何事かを言う事はせず、「そう」と短く言を返したのみで]
行き倒れる前に、宿まで行ったら?
[心配そうなイレーネと交互に見て、提案した]
ええ、そこが一番大切です。
[酒場の新しいメニューの話など、他愛ない会話が弾む]
では置いてきてしまいますね。
[一言断り診療所の中へ。数分もすれば戻るだろうか]
[ユリアンの様子に、大丈夫なのか、と思いつつ]
ああ。
さすがに、それを忘れたら怒られるから。
[アーベルの言葉に、軽く肩を竦めつつ言って]
俺の仕事は、「目に見えないもの」を追いかける事だけどね。
……というか、何が言いたいのかな、君は。
[一応わかってはいるが、ややジト目になって聞くだけ聞いてみた]
[考え事しながら歩いていたら、なんとなく、店が集まっている方向へ歩いていたようで。
そこで、普段あまり見ない姿を見つけた]
うお。
あそこにいるのは、ユーディットさんじゃない。
[手を振り、大声を出しながら近づく]
おーい!
ユーディットさーん!
略して、ユーディーさーん!
[あまり略されてません]
ん………。
ちょっと、寝てないだけ。
[見上げてくるイレーネに状況を端的に伝えて。
それから思い出したようにポケットに手を突っ込んだ]
…そうだ。
これ、イレーネに。
[引っ張り出したのは小瓶にチェーンを括りつけたもの。
小瓶の中には水と、その中で漂う乳白色の小さな宝石。
宝石が動くたびに、キラキラと何色にも輝いた]
[本当に鞄を置くだけならば、数分ですら必要なわけが無い]
…は。
[しっかりと洗う時間までは無い。
桶にある水に布を浸し乱暴に顔を拭いた。
内に篭る熱を隠すように。表に出てきてしまわないように]
俺は生憎、自分の目で見た事のないものは信じないので。
[芸術家とはまるで意を異にする上、教会から出て来た者とも思えない発言。
ジト目を向けられても、平然とした顔。同じ親から生まれた姉弟で、どうしてこうも違うのか――そんな印象を持たれても、仕方がない]
……御自身の想像力を働かせてみたらお分かりになるかと思います。
[わざわざ丁寧な口調で言い退けた]
[さてそろそろ帰ろうか、と踵を返しかけた瞬間、自分の名前を呼ぶ声に気付いた。
辺りを見回しかけて、前方から手を振り近づいてくるその姿に、すぐ声の主を理解する。]
あら。
[夕陽の赤に彼女の髪の赤が流れて、ああ綺麗だな、なんて思いながら。その声の主の言葉にくすくすと笑う。]
こんにちは、ミリエッタさん。えっと、……略してミリィさん?
[冗談めかして真似っこして返し。]
珍しいですね、こんなところで。
お買い物でも頼まれたんですか?
うん、まってまーす。
[診療所の中に入っていくオトフリートを見送り、しばし外で待つ。
ふと空を見上げれば、きれいな夕焼けの色。
ゆっくりと日が落ちていくのを眺めながら、オトフリートが戻ってくるのを待っていた]
[意識に留まったのは、ユリアンのぼけっとした返事より、その挙動]
さて、と。
まだ行くところもあるので、失礼しようかな。
お客様方、当店にてごゆっくり。
エーリ兄も、程ほどに。
[確りと二人の遣り取りを横目に見ながら、おざなりな挨拶と、エーリッヒに対しては意図の読み取り難い言葉――それは彼の癖であったり、それ以外の事であったりするのだが――を投げ、歩みだす]
< 白猫もまた、尻尾を揺らしてから、*その後を追った* >
……相も変わらず、現実的ですこと。
[ぐしゃ、と金の髪を描きつつ、大げさなため息と共にこんな言葉を吐き出す。
昔から見知った相手ではあるが、こういう所は反りが合わない、と妙にしみじみ思ってしまう]
……端的な解説、ありがとう。
[丁寧語の返答には、低く、こう返して]
お買い物は頼まれてないかな。
絵画モードになってるときは、訳の分からんもん買ってくるって、両親が覚えたみたいで。
おかげで楽してます。わはは。
[何故か、胸を張って言い放った]
ユーディットさんは、夕げのお買い物?
毎日毎日、大変よねえ。
献立考えるのもそうだけど、放蕩癖のあるご主人様が、ご飯食べてくれないんじゃないかってことまで考えなくちゃいけないんだから。
今度、無理矢理縄で縛って家に拘束してみるといいかもよ?
[にひ、と笑う]
あ、そっか。作ったものを、他の人にも分かってもらわないといけないんですよね。
難しそう…。
[そういった漠然としたものは理解しずらい。
もっとも理解するものではなく感じるものなので、分かり難いのは当然なのだが。]
[アーベルの言葉に頷いてよいものか、ユリアンの方を見て。寝てない、には微かに表情を曇らせた。]
そんなに大変だったんだ。…今日はちゃんと寝ないとね。
えっと、なあに?
[取り出されたものに一瞬、何だろうと目を瞬かせ。
それが小さなオパールだと気づくと、わぁと、小さな溜息のようなものをついた。]
綺麗…。あ、でも。いいの?
[工房で研磨したものだろうというのは分かったが、それを自分が貰ってもよいのか、一瞬躊躇う。]
ふぅ。
[首を振る。後ろで無造作に束ねた髪が大きく揺れた]
お待たせしました。
それでは行きましょうか。
[扉を開け、茜色に染まった空に目を細める。
ティルに視線を戻すと、促すように声を掛けた]
村の設定が変更されました。
……程ほどにって、何を。
[何となく、言わんとする所はわかるものの、一応、立ち去るアーベルの背にはこう突っ込んでおいた。
勿論、返答があるとは思っていないが]
ああ、そうだね。
創り手としての俺と、受け取り手としての周囲と。
ここに行き違いがあると、思うような評価は得られない。
評価を気にしなくてもいいんならともかく、『仕事』として成り立たせてる以上は、そうも行かないしね。
[イレーネに向き直り、返す言葉はやや苦笑交じり]
難しいのは確かだけど、好きでやってる事だから。
気にはならないよ。
…親方に飯持ってたら、寝るよ。
飯は食いたいし。
[この状況でも食欲はあるようで。
食べる前に寝潰れる可能性は否めないが、今は戻るつもりは無いようだ。
取り出した小瓶をイレーネへ手渡し]
…ん。
イレーネに、似合うと思ったから。
……本当はちゃんと加工してネックレスに出来れば良かったんだけど。
[そこまではまだやらせてもらえなくて。
「…この状態で悪いけど」と付け足した]
絵画モード……。じゃ、今は芸術家の散策ってとこかな?
[うちのご主人様みたいに、と付け足す。]
何かに打ち込んでると、他のことは気が回らなくなるんですね。わかります。とっても。
[大きく頷いてみせて]
……特に、ミリィさんのご両親の気持ちがね。
[くすり、と笑う。]
ええ、お夕飯は毎日作らないといけませんしね。作るのは楽しいからいいんですけど。
まあ……でも、エーリッヒ様はそういう方ですから。
仕方ないですよ。
[肩を竦めつつも、そこにあるのは柔らかい表情。提案には、ふと考えるように宙を見上げて]
……縄で縛っても、あの方、いつの間にか抜け出してるんじゃないかしら。
[ふるふると首を振って。小瓶を両手で受け取って、そっと握り締める。]
ううん、嬉しい。
[その後に微かに唇が動いたが、声にはならなかった。]
ありがとう、大事にする。
似合うかは…わからないけど。
[それくらい、水の中をたゆたう小さな宝石は美しいと思った。
暫く握った後、鎖をといて首に回し着けようと手をもたつかせた。]
芸術家の散策。それだ!
うん。さっすがユーディーさん。分かってるう。
[満足げにうむうむと頷く]
そう頭が回らなくなっちゃう。
昔、じゃがいも買ってきてと言われたときに、間違ってドリアン買ってったことあるらしい。
「臭え!持ってたお前の体も臭え!」って、言われたときはショックだったなあ。乙女に言うセリフじゃないよね。あれは。
[間違ったほうが悪いと言う考えはないらしい]
そかそか。作るのが楽しいか。
私が絵を描いてるのと同じ感覚なのかな。楽しく出来ることはよきかなよきかな。
[最後のセリフには、眉根を寄せて]
……うーん。あやつなら、ありうる。
いっそ、鞭とかで打って調教するほうが早いような気もしてきた。
[こちらも真顔]
―ささやかな新居―
お帰りなさい、フランツ。
[汗と土で汚れた逞しい胸板に飛び込んで。
結ばれてからもっと優しくなった腕の中に身を預けるこの一時が最も幸せな時間。
あまり無理をするなと言ういたわりの言葉もうれしくて。]
心配かけちゃってごめんなさい。
…ううん、大丈夫。
お医者様もね、安定してるなら適度に働いた方がいいって。
[あまり遅くならないようにすると言い残し、実家へと。]
[仕事についてはこくりと頷く。
お金にさほど執着はないが、その価値と必要性は彼女にも理解できていた。]
思うままに作ったものが評価される事が、一番良い事なのかも。
…好きな事を仕事に出来る事は幸せな事、なんですよね。
[ふと、幸せの定義を一つ、見つけた気がした。]
[重い溜息を吐いて立ち上がった。
机に残された伝達書簡の最後にはこう記されている]
『場合によっては全員を対象とすることも在ると心得られよ』
[表に出ると硬い表情で呼び集めた団員に指示を下してゆく]
荒唐無稽と思うかもしれないが、太守殿も冗談でこのような規模の行動をされたりはしないだろう。
[団員の間にピリリとした空気が流れた]
該当者には私が話す。
皆は他の村人達がパニックを起こさないように動いてくれ。
[嬉しいと言う言葉が聞こえると、安堵の雰囲気が漂った。
動いた唇は、丁度見えない位置にあったために気付くことは出来ず]
……貸して。
つけたげるよ。
[手をもたつかせる様子にテーピングが成された左手を伸べた]
……ん、そうだね。
思うがままに創ったものが評価されれば、嬉しい。
……もっとも、音楽なんてのは流行り廃りも激しいから、そこの所がままならないんだけど。
[冗談めかした口調で言いつつ、肩を竦め。
続いた言葉に、緑の瞳を一つ、瞬かせる]
ん、それは、そうかも知れない。
……勿論、それ故の辛さもあるけれど。
じゃがいもとドリアンを?
それはまた、凄いですね。
[武勇伝(?)に素直に感心し。ひとつ頷く。]
まあ失礼な。紳士だったら女の子にそういうことは絶対言っちゃいけません。
……でも、もしじゃがいもでスープ作ろうと思ってたのにドリアン持ってこられたら、私だったら困ってしまいますね。
ドリアンのスープなんて作ったことないですし。
[じゃがいもでドリアンのスープのようなものを作れるのがユーディットの凄いところだが、本人はそれには気付いていない。]
ええ、楽しいことは素敵なことです。
何かに夢中になれるってことは、もっと素敵なこと。
[更にエスカレートした提案には、苦笑を返した。]
調教なんて言葉、どこで覚えてくるんですか。
もっと女の子らしくしないと、男の子に嫌われちゃいますよ。
うん、行こうー
[オトフリートと一緒に、夕焼けの道を歩く。
ふと、両親と一緒に歩いた昔のことを思い出して、ぶんぶんと首を振った]
『もう、あの人たちのことは忘れたんだ…』
[つぶやいた声は、そばにいたオトフリートにも聞こえないくらいの小さな小さな声で。
程なく歩いていれば、宿屋にたどり着くだろう。]
/*
>Meyさんmixi日記
出来ることなら、狒々爺を手にかけたいと思っていた俺が通ります。
でもそれをやると即バレすると言う楽しさ。
やるとしたら俺かイレーネしか居ないわけで。
あれ。
ユーディットに、ミリエッタ。
こんなところで井戸端会議?
[店の集う辺り、姦しい女性二人の姿を目に留めて歩みを向けた。
ころころと移ろう話題は混ざって聞こえて、何の話なのやら、焦点が掴めない]
/*
「女の子らしい」って言葉はあんまり好きじゃないけど。
まぁ、この時代だし、ユーディットなら言いそうです。まる。
*/
[アーベルとカインを見送りながら。
頷いて、一度小瓶を鎖ごとユリアンに返す。テーピングに微かに指が触れた。
ユリアンの仕事柄、指をよく怪我するのは仕方の無いこと、とは分かっているが。やはり少し心配そうに。]
自衛団長が向かったのは村の中心にある酒場。
人が多く集まり、また11人の中には女将にとって大切な者達の名前も記されていたからだ。
取れる手段は知れている。
だが少しでも犠牲を減らしたいと思った。
大切な村人達。名前の記された11人も含めて。
それが何を自分に引き寄せるのかも知らずに。
―― 物語の扉は、人知れず開かれた。
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