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そして、物語は動き出す。
目覚めたものが何処へ向かうか、それは一人一人の思うがままに。
どうやらこの中には、村人が7名、占い師が1名、霊能者が1名、守護者が1名、囁き狂人が1名、聖痕者が1名、天狐が2名、呪狼が1名、智狼が1名いるようだ。
おお、どうやら全員、揃ったようじゃな。 皆に大事な話がある。
先日から噂になっておるので、皆も聞いておるやも知れんが……この地に『人狼』と呼ばれる脅威が潜んでいるらしい。
噂の真偽の程は定かではない。 何事もないとは思うが、皆、念のため気をつけてな。
自衛団長 ギュンターが「時間を進める」を選択しました。
[竜皇殿へ向かう竜王たちに、そろそろ会議開始の気配を感じ取り、]
……では、私は主様を起こしてまいります。
気がお変わりになっていなければいいのですが。
/*
指差し確認オッケー。
あなたは、智狼です。人間を人狼と同じ人数にまで減らせば勝利となります。あなたは殺害した相手の役職がわかります。
「人狼のささやき」は人狼(と囁き狂人)にしか聞こえません。仲間との連絡にご利用ください。
/*
は、他の作業もしてたらいつのまにか更新に。
そして私はどこにいるんだろう。誰も動かしてない・・・かな?
まあもっと読んでからでてこよう。
はいはい村人村人。
薄々判っていたものの。
…さて、どうしようかな。
聖痕者だとやりたいことがあったのだけれど、
村人だと、それが叶わないしなぁ。
んー、まあ、虚竜王が出てくる、なんてのは、この先あるかどーかわかんねぇしなぁ。
[エインシェントならいざ知らず。
如何に純血種とはいえ、通常種の自身には、正に千載一遇の機会……では、あるのだが]
んでも、会議の間はオレらする事ないし、そんなに楽しいもんでもないんじゃねーかなぁ。
てか、兄貴ならともかく、オレに会ったくらいでんなに喜ぶもんかよ?
―竜都―
[なにやら騒動が起こっていた酒場とはまた別の酒場で、王が満足する迄酒を飲んで外へと出る。
幾らか付き合うも、欠片も紅くすらならない可愛げの無さを笑われたりしつつ、竜皇殿への路をまた歩く。]
久方ぶりに会う方も多いと思いますのに、全くそのような様子で。
エミーリェは恥ずかしゅうございますよ。
[深い溜息は、空へと消える。
そうして、ふたりの姿はやがて竜皇殿の中へと消えて行く。]
―→竜皇殿―
そう。いい名前。
[ 幼児に似た口調と緩やかに頷きを返す動作は、よく合っている。見た目よりも格段に幼い気配が漂うのは致し方なかったが。]
うん、一緒。
主さまと、一緒に来たの。
[ イズマルームの、先へと促す言葉が届いたのはそのときだった。]
はい。主さま。
リーチェも、行こう?
/*
そうだ。ご挨拶。
kairiです。このたびもお邪魔します。
えーと。
思うところが少々あって、この村を最後に、
幻夢の入国を控えようと思っています。
自分がRPLとして成長するに当たって、
此処での経験や幻夢住民の方のロールはとても良い糧になりました。
深く感謝しております。
名残はつきませんが、自分のロールを出し切ってから
ここを卒業しようと思っております。
約一週間、宜しくお願いいたします。
だって友達に会えるのは嬉しいじゃないですか。
ティルさんは、俺に会っても嬉しくないですか?
[ちょっとだけ悄気た表情で自分より下にある疾風竜の顔を見つめる。目線は下がっているのに、なんとなく上目遣いに見えたかもしれない]
[ その時のイズマルームの脳裏に過ぎっていたのは、闇竜王と交えた会話であろう。久方振りにあった彼女の様子に、洒落たことなど己には合わぬと切り捨てた事を悔いる気持ちが、少なからずあったに違いなかった。
しかしそれは億尾にも出さず、紫紺のドレスを身に纏った命竜王へと寄り、伸ばした手は肩口に落ちる髪を掬おうとしてか、微かに触れた。
気侭なる王は今ばかりは貴婦人を導く騎士が如く、彼女へと手を差し伸べる。
彼の事だ。取られなければ、その手は直ぐに引っ込められ、我先にと中に向かってしまうのであろうが、彼女が望めば、望むようにするのだろう。]
…一緒。
[影の答えに、何処か安堵にも似た響き。
父親が一緒とは言え、知らぬものに囲まれては緊張も聊かあったか。
それも、今し方までの懸念であったが。]
うん。
リーチェも、行く。
[父親の脚から数歩離れ、影の方へと。
一歩、二歩。仔の足跡を辿るようにして、一寸草木が芽生え、萎れる。
数秒後には跡形も残らないその場所へ、父である王は視線を落とし
しかし何事も無かったかの様に諸々の後へと続く。
…何を思ったかまでは、知り得なかったが。]
/*
あ、取れた。弾いちゃった方、ごめんなさいです。
そして中会話をいつ出すかで少し悩んでみたり。
ついでにメモで指摘してしまったことについて。
修正が変な方向に行く前にと思ったのですが、逆に混乱や停滞を起こしてしまったらごめんなさいです。
でもどうにも気になってしまって…。
さて、中は出来るだけ抑えるようにしないと。
そして念話との両立も頑張らないと。
―竜都―
逃げてないヨ。ウン。
[語尾がうそ臭いのは実際嘘だからではあるが。]
まーうちの海も水には大変世話になってますが―って。
何ぃお前も!?
[驚いて振り返る前に、首筋からぞくりと冷たいものが背筋まで走る。あはんとか気持ち悪い声をあげながらも、純粋な竜でない彼女―といってよいのか。ともあれ彼女が随行者の任に就いた事は、少なくとも衝撃的だった。]
…って事は会議終わるまで顔合わせる事になるのか…。
[主に上記の意味で。
以前、身体を重ねた時の記憶は―色んな意味で壮絶だった。快楽の後にアレが来るのならば、正直二度目は勘弁願いたい。
尤も、ナターリエに己が命の全てを吸い取られきる、とは思ってはいないのだが。]
あーっと、挨拶遅れまして水竜王お久しぶりです。
[今更ながらに、ナターリエに抱きつかれたままの大変情けない格好で水の王に辛うじて頭を下げ。
一緒と言われればどのみち目的地は同じなのだし、逃げた所でまた追いかけられるのは目に見えていたので無理をすることはせずに。そのまま道中を共にするはめになる。]
その窘めも己が糧と成すのじゃ。
お主は儂が教えることをどんどん吸収していったしのぅ。
先が楽しみじゃよ。
[出来が悪い子ほど可愛いとも言うが、出来の良い子も可愛いことに変わりなく。エルザを褒める間、その表情は嬉しげに、また穏やかに笑みを浮かべていた]
─無限なる虚─
[竜都から姿を消した彼女は、ほとんどのタイムラグなく慮竜王の眠るこの場所へと戻ってきていた。
眼前にはあさきゆめみし彼女の主。]
主様。
[短く彼女が虚竜王を呼ぶと、ゆっくりと瞼が開かれる。]
お気持ちにお変わりは……
「ええ、ありません。ではいきましょうか、ユーディー。」
了解いたしました。全ては主様の御心のままに。
[彼女が短くそう告げると、次の瞬間にはこの空間に存在するモノは何も無くなった。
そして同時に、主が還るまでの間、この無限空間は完全に閉ざされることとなるのであった。]
―竜皇殿:東殿の部屋のどこか―
……王。
私は戻っても良いですか?
[ぱたりと名簿を閉じて、オトは真剣な顔で尋ねた。
もちろん、色好い返事などない。
眉を寄せ、困ったようなため息を吐いた。]
出来うる限りあいたくない人がいたものですから。
嬉しくねぇとは言ってねぇだろーが。
……つーか、この程度でしょげるな、情けねぇ。
[一転、消沈した様子に呆れたよに言うと、ピアが怒ったようにてちり、と頭を叩いてきた。
気を使えとか、色々と言われたらしく、一瞬だけ軽く眉が寄る]
ま、そりゃ、知り合いに会うのは嬉しいもんだけどさぁ。
オレ、大分離れてたから、出くわす可能性とかあんまりないし。
[行く先に、両親の死後に懐いた地竜がいるとか、思ってもいなかったりする]
―竜皇殿/回廊―
いえ、顔を上げてください。
貴女は幼かったし不安定でしたから無理もありません。
名を覚えていただけていただけで嬉しく思います。
[下げ返されたエルザへと顔を上げるように告げ、申し訳なさ毛な気配をかき消すように小さく首を振る]
此方こそどうぞ良しなに。
[柔らかく告げて師と弟子の邪魔にならぬよう一歩引き、青年は口元に微かな笑みを浮かべた。交わされる言葉に興味を払う様子で耳を傾ける。
その姿が微かに動きを止め、巡らせた紺碧が会議場の方を向く。虹竜王の心話に無言のまま深く頭を垂れて返した青年は、顔を上げた時には変わらぬ穏やかな笑みを浮かべていた]
−→竜皇殿−
[文字通り白い翼で幼子を抱えた陽竜王はふんわりと裳裾を揺らして竜皇殿に舞い降りる。
幼子はいい気なものですっかり眠りこけていたのだが、頬に当たる風の気配がなくなったことで目を覚ます]
…んー…。
[布に埋もれた両の手が淡緑の瞳をこする]
…ヨン、ついた?
『着いたよ。
よく寝ていたね、空の旅は楽しかった?』
[幼子は首を傾げたあと小さく欠伸]
ぐっすり眠れた。
[まぁ、何とも肝の据わった子供だことで]
「酷い言い様だな」
[などと言いながら月闇王はどこかへ行く。
当然白い花を持っていったので――ほぼ間違いなく誰か被害者にわたしにゆくのだろう。
それから、オト本人もそこを出た。小さく呟いて。]
……あの態度さえなければ、良いんですけどね。
[心話で告げられたのはやがて会議が開始するであろう旨とそれまでの自由。
それと同時に青年の勤め――記憶するべき事を刻んでいくようにとの今一度の命]
御意。
王の務めが果たされるまで、全てを記憶に。
[会議中なにか異変の気配あらば、何が起こるか全て刻むと誓う]
[舞い降りる、陽光の気配に目を細めて空を見た。
背後から、王がのたくたと体をくねらせ背の翼を揺らしてそちらの方へと寄っていく。]
「やぁ、これはまた小さな随行者だな?」
[にこやかに話しかける王の後ろ
赤い髪の少女はぴしっと背筋を伸ばしてつく。]
う、ごめんなさい。
[ティルに情けないと言われ、肩をすくめたものの、嬉しくないわけではないという言葉には安心したように微笑む]
そうか、ティルさんは長いこと色んな所を巡ってるんだものね。
でもさ、会えないとは限らないよ?何しろ今度の会議は特別だし。すごく珍しい人にも逢えるかも。
焔竜 ダーヴィッドは、自衛団長 ギュンター を能力(占う)の対象に選びました。
[クレメンスの答えには]
ふふ……まぁ、いいわぁ。
会議の間中ずっと傍にいることになるのですからぁ。
[ジロジロとクレメンスの体を下から上まで見つめて―――ぺろりと唇を舐めた。
その様は捕食動物の舌なめずりに近いかもしれない]
前回は、貴方にばかり働かせたから……次は、私が攻める番かしらねぃ。
[冗談とも取れないような言葉を口にする]
『……』
[クレメンスから水竜王へと挨拶の言葉には、軽く手を挙げ]
『……縁を紡ぐ力。偽者だからこそ、本物とより強く引き寄せられる。
これもまた、偽者の力か。変化としても、幻としても、良い傾向、か』
[と、訳の分からない言葉を*ブツブツと呟いた*]
にゅ。
[恐らく陽竜王にかけられただろう声に先に反応したのは弟。
抱えたまま、ゆっくり後ろを振り返った竜王は瞳を細める]
『生まれたてピチピチですから』
…ぴちぴちゆーな。
[長い袖を持ち上げて、長子の顔をべし、と叩く。
それから赤い髪の姿を凝視。
興味津々]
や、そこ、謝るとこ違うから。
[突っ込みだけは入れといて]
長いっつっても、やっと100年だけどなー。
凄く珍しい……ねぇ。
んー、まあ、なら期待だけはしとくかね。
[笑うエーリッヒににい、と笑い返す。
そんな義弟の様子に、嵐竜王が「お気楽……」とか呟いたのはさておき。
そぞろ歩きの道は、竜皇殿へと達しつつあった]
/*
……一体、裏でナニをしてるんですか、りばいあのひと!
しかし、300でも年中……やらりましたな。
んでも、通常種だしねー。
刻印もらえるまでに、そのくらいはかかってても不思議ないよねー。
にしても、年齢層がすさまじい。
まあ、解説キャラはみんなに任せたぜwwww
オレは、解説性能に頼らない機動を追及するっ。
[左手甲を軽く押えるような仕草をするエルザを見、ふむ、と小さく声を漏らす]
とは言え気負いすぎるもあまり良くない。
期待に潰されてしまうものも少なく無いのでな。
大切な教え子に圧力をかけるのはこのくらいにしておくとしよう。
[転じておどけるように笑う]
さて、そろそろ他の竜王や随行者達もここへ集まるころかの。
十五竜王が集まった様相は、さも荘厳じゃろうな。
[言いながら、視線は己が通ってきた門前へと視線を向けた]
―竜皇殿―
[回廊を歩き、竜皇殿から出るために外へ向かう。
どこか騒がしいような場所もあったが――、あえて関わろうとは思わなかった。]
お会いしたい方もいますけど
[名簿の名前を思い返し、少し笑う。
注意力は散漫であり、のんびりと歩いていた。]
あーはいはい。とりあえずこっちじゃパスだからな。向こう戻ってからなら相手しなくもないけど…。
んでもなるべく吸うなよ!そう易々と死にはしないが、それでも色々面倒なんだからな。
…やっぱ戻るべきじゃなかったかねぇ。
[果たして次の水との邂逅はどうなることやら。
盛大に嘆息しつつ、また水竜王の不可思議な言葉は右から左に流しつつ。
ナターリエを背負ったまま、ようやっとたどり着くのは竜皇殿。
そこで主を探しにと言い分けて背中から引き剥がすと、殿の中へと逃げ込んだ。]
―竜都→竜皇殿。―
[感知した歪みを追った先に、それを見つけたときはそりゃあ驚いたものだった。
忘れられたようにそこに置き去りにされ、冷えかけたその大きな卵。
されど、消えることなく息づいていた命は…確かに同族のもので。
まだ不安定だったその炎で、慎重に温めながら救助を呼んだのは、もうかなり前の話。]
それにしても…今回の会議、どうなるんだろうな。
…噂のあのお方もいらっしゃるらしいし。
[虚竜王が領域から外へお出ましになる。それだけでも…そりゃぁもうかなりの大事件。]
─竜皇殿─
[頷くエーリッヒに、頷き返したのは頭の上のピア。
当人はといえば、久しぶりに踏み込んだ竜皇殿の庭をぐるり、見回し]
ここに来たのって、刻印もらった時以来かあ……。
[妙にしみじみと呟く]
「しみじみいうよーな事か。
さて、んじゃ、俺は会議場に顔出して来るわ」
[その様子に呆れたように言うと、嵐竜王は会議場のある西殿へと]
[十五竜王の揃う会議場。
そこで起こるかもしれぬ全てを記憶を刻む為に選ばれた秘なる書。
口伝としてのみ残されていく生きた禁書として知を司る青年が事の中核になるは*偶然か必然か*]
―― 竜皇殿 ――
[近付くにつれて、感じていた気配はその建物の中に足を踏み入れると一層確かなものになった。竜王達の強き力の気配はもちろんだったが、良く知る気配が、幾つか。中でも間違えようもない火炎の若竜の気配]
やっぱりダーヴ来てるし。
[そういや炎竜王の直系だったんだっけとか、今更なことを思い出した]
えぇ、全属性揃い踏みなど、前代未聞の出来事で…
[師の言葉に相槌を打ちながら、なんとなく胸騒ぎを感じていた。
何かが起こるかもしれない、そんな漠然とした不安。]
何事も無ければいいんですが…。
―竜皇殿入り口―
[そのまま中から、竜都へ出ようと足を向け――
ぴたり、と、止まった。
嫌そうに顔をしかめたのは、丁度向かってくる人影を捉えたからか。]
[だけれども、ため息を吐くのみであった。]
「ピチピチか、それは良いな。
ひと呑みにしたい位可愛いかろう」
[赤い少女を見つめる仔を、蛇はその虹彩の細い目を細めて見る。
当の赤い髪の少女は、人差し指で眼鏡の真ん中を押し上げ、見つめられる目を、真っ直ぐに見返した。]
…初めまして。
雷竜王様が随行者、エミーリェ・アパトと申します。
お。
[逃げた先、丁度入り口の所に知った顔を見つけ、その人物に向かってダッシュして―相手がどんな顔してるのかとか全く構わず、がばりと抱きついた。]
オトじゃんすげぇ。久しぶりだなー。
肉食ってるか肉。
[物凄くイイ笑顔でオトフリートの肩やら腰やら腕やら色々触りまくっている。]
―竜皇殿/回廊―
[交わされる師弟の声を興味深く拾いながら、紺碧の眼差しは窓を向いた。降る陽光の気配と共に窓の外を白が舞い降りていく]
光竜王もいらしたご様子。
後は虚竜王をお待ちするだけでしょうか。
[ザムエルの言葉に添えるように静かに呟き、若焔の声に頷く。
何が起こるかわからぬまでも、何が起ころうと全てを記憶する為に来た青年はレンズの奥で瞼を半ば伏せて今ある心の気配を探った。先に刻み終えた随行者名簿と照らし合わせながら]
[集まる気配。会議の際には良く顔を会わせていた者達の他にも感じ慣れた気配も多々あり。こりゃまたどうしたものか、と考える]
何やら珍しい連中も居るのぅ…。
賑やかになりそうじゃて。
[顎鬚を撫でながら呟く。
不安げに言葉を漏らすダーヴィッドに視線を転じ]
全くじゃな。
十五竜王が一堂に会すは全くもって珍しい。
何事も無ければ、か。
無いのが一番じゃが、はてさてどうなるか。
[揺れる、揺らしやすいもの。
たとえばそれは、女でありながら、男のなりをして。
男のなりをしながら、女であると認識をして。]
[願いなどはとうの昔に捨て去ったはずであった。
今も、捨てている。
心の奥底に根付いていることに、"オティーリエ"はまだ気付いていない。]
『趣味悪いな。
誰が飲み込んだりするものか』
[顔をはたく布を手でやんわりと抑えながら、蛇を穏やかに牽制する。
めがねを押し上げる様子をじい、と見ていた子供はその様子を真似してみる。
顔がたっぷりの布で隠れた]
『夏玲、ご挨拶は?』
[たっぷりの布で遊んでいるようにも見える弟をおろして、陽竜王は初めての外交に挑戦させようとしていた]
…夏玲。明 夏玲(ミョン ハリョン)
龍(ヨン)は、夏玲の…ええ、と。
保護者?
[それは陽竜独特の音韻。
単純に音を拾えばミ、とかハ、とかそんな音が拾えるはず。
自分と長子の関係の説明ができず、後ろを見上げて尋ねたら、重そうな帽子が、ぼと、と音を立てて落ちた]
― →竜皇殿 ―
[影竜王と命竜王の後を追う様にして殿へと到る頃、はたりと仔が立ち止る。
傍に佇む影も仔に並ぶようにして、共に止まった。
何事かと巻きついた腕から視線を上げれば、――嗚呼成る程。
その視線の先には、雷撃の竜と陽光の竜。
見慣れぬ竜がこうも多くては、幼子は少なからず怯えもするか。
…否、陽光の腕に抱かれた、似た年頃の仔への興味が強いかも知れぬ。]
……?
ちいさい、こ?
[己かて幼いというに、影に隠れるようにして、仔竜は遠巻きに一歩下がる。
その父はと言うと、その様子を楽しげに無言で見守るのみ。
…少し離れた場所には、久方ぶりに合う王方も居ると言うのに。]
/*
いや、その。
そこらは。
事前に書きました故。
大丈夫だと思っていたんですが。が。
とゆーか、陽光と雷撃はどこにいるんだ(汗。
御師様はお優しいです。
[ザムエルのおどけた物言いに小さく笑う]
虚竜王様も揃われるのは初めて、でしたか。
…何かあるのでしょうか。
[命を繋いでくれた相手に向くのは好意。
だが恩人と師の会話に不安が掠める]
/*
Σ相方オトか…!
[中身が大変動揺しました。エルザかオトかとは思ってましたが。
とりあえずもう一人待ちつつテンション上がったのでよしとする]
……
[その時のオトの反応は、よく我慢したものだと、後で自分で忍耐力を褒めるところだった。]
離して下さい。
[あちこちをべたべたと触ってくる生命の竜の手を、己の手でガードする。少し遅い気がしないでもないが。]
何度言ったらわかるんですか。
いちいち、触らないで下さい。
「ああ、冗談だ飲み込みはしないさ。
可愛いな。」
[大きな袖で顔が隠れる様子を、蛇は楽しそうに見る。
チロリ、舌が見えて引っ込んだ。
後ろ、赤い髪の少女は、ぺこりと陽竜王に深くお辞儀をしてから、眼鏡の奥の目を少しだけ微笑ませる。]
ミ…ハル?
[小さく首を傾けた。]
……わりと、知ったのも多い?
[小さく呟いている間に、エーリッヒは先に行ってしまったようで。
とりあえず、突っ立っていても仕方ない、と西殿の方へと向かう。
竜皇殿の雰囲気に気圧されたのか、竜王たちの気にあてられたのか、ピアは少し、縮こまっていたりするのだが。
そんな相棒を腕に抱えて宥めつつ歩き出し]
……あれ?
[目に入ったのは、知った顔がいくつか]
[教え子の小さな笑みに広がるは安堵の念。初の随行役で気が張っているところにプレッシャーをかける事となった己の言動に僅か後悔の念が浮かんでいたために。
アーベルが紡ぐ虚竜王の名に、ふむ、と声を漏らし]
此度の会議に”全員出席”の義務をつけることとなった虚竜王、か。
彼の竜王は気まぐれとの噂であるが、途中気が変わったりして居らんじゃろうな。
そも此度の会議に参加しようと思うたには何ぞ理由でもあるのじゃろうかの。
[浮かぶは疑問ばかり。万年欠席だった虚竜王が参加すると言う事には、やはり何かしらの意図を勘繰ってしまう]
やーだって、ほっとくとどんどん痩せてくような気がしてこうやって毎日でも確かめておかないとおじさんは心配で心配で。
肉食ってるか肉。
[オトフリートの手にガードされればされたで、その手をとる。おそらく本人は指の太さあたりを見ているのだろうが。
指を丁寧にゆっくりなぞるそれは、はっきり言ってセクハラだ。]
元気してたか?こっちに帰ったって聞いてはいたけど。
そういやここに来てるって事は、オトも竜王のお付なのか?
肉食ってるか肉。
[事ある毎に肉とか言うのは、思いやってるのか何なのか。
当人の意図などお構い無しに、手を止めようとは全くしない。
ある意味いつものこと、なのだが。]
―西殿/回廊―
[ザムエルの懸念に伏せていた眼差しをあげる]
流石にそれはない…と思いたいものです。
いらっしゃられなければ理由も窺う事が出来ませんから。
[勿論、竜王達が尋ねぬ訳はないとの推測から出た言葉だが。
何も無いのが一番である事に異存はないが、何か起こった時の為に青年は此処にいる。その為には成すべき事があった]
では、私はこれにて失礼します。
ご挨拶に窺いたい所が幾つかありますので。
[各竜王の集う会議場には虹竜王がいるのだから青年のすべき事はない。だが彼等の随行者達を把握する必要はある。
交友を温める師弟等に深く一礼し、回廊から去っていく]
[少し遠く近く、対する翠樹の気配を感じ。
眼鏡をくい、と上げ、一度視線をそちらへと向ける。
王は知ってか知らずか、陽光の方を向いているけれど。]
[そうして、竜都へ再び降り立った彼女と虚竜王。
その出で立ちは先程とは僅かに異なる。
彼女──ユーディットの姿は、服装こそ変わらないものの、腰にいくつかのボーチバッグのついたベルト。そして、両太腿に巻かれたナイフホルダーとそこに挿されたナイフ一対。
そして、虚竜王はというと……明らかに縮んでいた。
手乗りサイズ……とまでは行かないものの、頭に載せて丁度いい位の大きさ。
というか、現在ユーディットの頭の上に鎮座しておられるわけで。]
……主様。威厳の「い」の字もありませんよ。
『相変わらずエグい趣味で。
…でも、うちの子に手を出したら───赦さないよ?』
[陽竜の長はにこやかながらも物騒に言い放つ。
クスクスと小さく、落ちた帽子を拾い上げて弟の頭にのせてやる手は王である前に確かに保護者だった。
両の手をたっぷりと長い袖がうずめてしまって、自分で帽子の角度すらなおせないのが苛々するのか、仔龍の頬はまあるく不機嫌そうに膨らむ。
───と]
。
[ぷす、とまあるく膨らんだ頬が、紙風船を強くたたいた時のようにぺしゃりとつぶれて空気が抜ける。
視線を感じて淡翠の視線を向けた先に、自分と同じくらいに見える存在]
──ちっさい!
[自分も小さい、という認識は仔龍の中にはない。
聞こえたミハル、という音にまた頬が膨らんで眼鏡の向こうにべえ、と舌を出した]
みはる、じゃない!明夏玲、ハリョン、だ!
えーっと
[なんか一人は知ってる相手のような気がした]
こういう場合はどうすればいいんだっけ?
[肩でカシャカシャと羽ばたいている機械竜の顔を見て、首を傾げる]
あ、そうか。
[インストールされている知識の中から、答えを引き出し、とことこと抱擁する生命竜と月闇竜に近付いていく]
お邪魔して、ごめんなさい。
[ぺこりと頭を下げた]
[まさかこの状況を見られているなど露知らず。
手を止めてもまだ続けられる行為に、毎度のことではあるが、堪忍袋が軽く切れてしまうのも仕方のない話であった。]
―― いい加減に
[片足に力が入る。もう片足を軽く持ち上げ、その間わずか。]
離してください
[口調だけは丁寧であれ、オトのまわりにはしっかり殺気が漂っている。
足はいつも通りに、吹っ飛ばすため、その腹めがけて繰り出された。]
……いえ。
[わざわざ近付いてきたエーリッヒが何の勘違いをしたのか、考えるのも頭が痛い様子。
声をかけられた瞬間に足は既に出ていたのだったが。]
邪魔なのはアレですから。
─西殿・入り口近辺─
[月闇と、生命の竜。
そこにいる双方、それぞれと知り合いではある。
月闇の方は、記憶違いでなければ、という前提があるけれど]
……なぁにやってんの、あんたら?
[とてとて、と近づいて問うのと、見事な蹴りが放たれるのは、どちらが先だったか]
─西殿回廊─
それはそうじゃがの。
[返されるアーベルの言葉に肯定の頷きを見せ]
今は竜王が集まり、会議が無事に終わるのを待つしかあるまい。
会議の間は儂らは特にやることも無いしの。
今から気構えることもあるまいて。
[少しでも不安を取り除ければと思っての言葉だったが、果たしてどこまで効果があっただろうか。立ち去るアーベルに頷きに似た会釈を返し]
うむ、承知じゃ。
[その後姿を見送った]
/*
ところで、中発言ですみませんが
1.いつ揺らすものと出会いますか?
2.場所どこにしましょうか?
挨拶が遅れましたがどうぞ宜しくお願いします。
―少し前、命竜王―
[生命の竜王はゆるり差し出された手を掴む。離さないで欲しいと言わんばかりに、ほんの少しだけ力を込めて。
些細な優しさが嬉しくて仕方ないといった様子で笑み返し。
影王に連れられ、会議場のある西殿へと向かっていく。
今だけは、傍らに随行者が居ない事をささやかに感謝したことは。心の内の内のその奥に閉まっておいたとか。]
[勘繰ったところで何を出来るでもなく。ただ持ち得る知識の中で予測することしか出来ず]
[予測したところでこの後巻き込まれることは変わらず。それを知るよしも無い]
[必要以上に厄介事を押し付けられるだなどと、誰が予想出来ただろうか]
……!
『随分だな雷撃殿。気付いてその仕打ちか。
それとも、雷撃の長とあろう方が、本当に気付いていらっしゃらない?』
[レンズ越しに向けられた視線に、仔は僅かに怯えたか。
主の下を離れて、今は幼子の傍に佇む影の後ろへと実を隠す。
巻きつく腕にも振動が伝わった。
尤も対なる属、――苦手意識を感じ易いのは詮無き事か。
対する少女の父は、それすら楽しげに笑みを零す。
…此処まで平気になれとは云えねども。]
…リーチェより、ちいさい。
[叫ぶように向けられた言葉に対抗してか否か、ぽつりと一言。
相変わらず影の後ろから離れぬまま、
しかして仔竜の視線はやはり興味深いのか、陽光の仔竜へと注がれる。
一時も逸らさない注視具合は、先ほどの影を思い起こさせるが
…幼子故、仕方なかろう。恐らく。]
[そう言われたのが堪えたのか、そのあとはふわふわと空中を浮かびながら移動していたわけで。
そうして、竜皇殿へとたどり着く。
するとそこには幾人かの人影。あ、綺麗な蹴りが入った。]
……あ。
[そこらへんでエーリッヒの存在に気づく。
一瞬足が止まるが、虚竜王はお構いなしに中の方へと。
ああ、随伴者たる私が立ち止まっては。ああでも。
とかそんな葛藤があったのかなかったのか。結局の所、間も無く虚竜王の後を付いて歩いていき。]
こんにちわ……と先ほどぶりでございます。
[そう言って深く一礼。]
/*
此方こそよろしくお願いします。智狼担当精神です。
もうお一方が来てからにしようと思っていましたが、希望だけでも書いておきます。
1、自由時間になった後の白昼夢で影響を受けるつもりです。
2、揺らすものは無意識の内に揺らすので場所は関係ないと思っておりました。
3、囁きの理由。
よろしければ揺れた心を感じ、此方から心話で話しかけようかと。
[陽光王の言葉には、楽しそうに裂けた口をあけて笑う蛇。
小さな仔龍に舌を出され、赤い髪の少女は驚いて目を丸くした。
こほん、と、軽く握った拳に小さく咳払いをし、眼鏡を人差し指で上げて]
ハリョン殿、でしょうか。
宜しくお願い致しますね。
[頭を下げ、お辞儀をする。
それから、ちっさい、と声をあげられた翠樹の気配のする方向へと目を向ける。]
[腹を蹴られればげぶら!とか、奇怪な声をあげながら後ろにもんどり返り、軽く倒れた。
きっかり3秒。
経てば瞬時に立ち上がる。]
はっはっは。うん元気そうで何より。
でもやっぱりもうちょっと肉食ったほうがいいぞ。前よりやっぱ軽い気が。
[殺気も蹴りも何処吹く風。
先ほどと同じようなイイ笑顔でびしっと立てた親指をオトフリートに向けた。]
/*
嗚呼、此方は呪狼です。いれわすれました。
なるほど、場所は関係ないですね。了解しました。
私の方も、では適当に空白の時間でやっておきます。
一緒に、という指定はなかったと思ったのですが、一緒にするかどうなのかなーと思った次第でした。
3について 了解しました。揺らされてから、囁き使用かな。揺れる前でもゆらゆらなので、まあお好きなように。
はい、ではまた後程に。
[挨拶に行くというアーベルを見送り]
特にすることは無いのですか。
我君はこれを機に学べと申されましたが、それならば私も他の随行者の方々へと挨拶に行くのが良いでしょうか。
[師の言葉に軽く考えて、心竜の消えた方を見ていた]
[華麗、と言ってよいのやら。さくっと立ち上がれば金色の髪がふたつ。
どちらも知った顔ではあるが、それは人間界でのこと。
竜卿で同時に二人と会う事、など初めてではあった。]
おお?
なんだオトのさり気無い健康診断に気を取られて気づかなかったけど。
エーリッヒにティルじゃないか。
あるぇ、ってことはお前らも随行任務か?
[未だ名簿は見ておらず。
人間界で見知った竜らの登場に、へらりと笑ってひらと片手を上げて答えたり。]
[翠樹の王の言葉に、蛇は半身を捻って顔を向ける。
頬に当たる肉をあげ、チロリと先の割れた舌を出しては引っ込みを繰り返す。]
「これはこれは、翠樹の。
どうにも私は未だ未熟なもので、ね?」
[楽しそうに、歌うような低い声。
鱗に揺れる羽毛が、ゆらゆらり。]
……なんでしょう。このドツキ漫才は。
[とりあえず、傍らに浮かぶ虚竜王に問うてみる。
虚竜王も、知らんがなと言いたげな雰囲気。]
/*
ごめん、実は居るはいるんだけどちと表に追いついてなかった。
先揺れる発言してから中を、とも思ったんだけど時間押すから先に。
こちら囁き狂人です。以後よしなに。
そうなんですか?邪魔じゃないなら良かった…
[蹴りが綺麗に決まって、生命竜が三秒で復活するのも目撃]
良かったけど。相変わらずですね、クレメンスさん。
[あはは、と笑った。多分どっかで似たような場面を見たらしい]
[ユーディットに、や、と言いつつ手を振って]
おー、さすが命竜。
復活だきゃはぇぇな、おっちゃん。
[へらりと笑うクレメンスに返すのは、にい、という笑みとこんな言葉]
何をやっているのかと言われましても
[と、言いかけ、そちらを見る。]
久方ぶりですね、ティル殿。
[その背後で、しっかり復活したクレメンスがいた。
オトは再びそちらを向きなおる。]
私が肉を食べていようがいなかろうが、あなたには何の関係もないと思いますが。
あなたはいつもながら、しぶといですね。
[それから、すぐに向き直ったクレメンスが告げた名前。
ティルは知っていたが、もう一人。]
……エーリッヒ殿?
お初にお目にかかります。おかしなものをお見せしてしまい、申し訳ございませんでした。
[アーベルを見送りし後、エルザの言葉に深く頷き]
学べとはまさに他の随行者と交流せよと言う事じゃろう。
ここより出歩かぬは、如何にこの竜都に様々な属の竜が居ようとも、それ以外の竜とは邂逅出来ぬと言う事。
どうやら儂の既知も多いようじゃ。
それらの者達は人間界へも足を運んでおる。
古びた儂の知識より新しい物を持っているじゃろうて。
[行ってみるかね?とエルザに訊ねかける]
―西殿→―
[西殿を出た所で命竜王を誘う影竜王の姿を視界に捕え、脇へ避けて深く頭を垂れる。二人の間に漂う僅かな心の波に伏せた口元の笑みが僅か深くなった。
それから静かに顔を上げて、話をしていると思しき陽光と電撃の竜達に眼鏡越しの紺碧を向け邪魔にならぬよう会釈した]
[外からやってきた方々にも頭を下げる。
そうして、――ああまだ白い花束は誰の手にも渡っていないのだなと、そのような事を考えた。]
はい。
私はまだ竜都より外を良く知りませんので。
人間界にも。ダーヴィッド様のように?
それは是非お話を伺ってみたいと思います。
御師様の知己であればご紹介も願えますでしょうか。
[チラリと恩人を見ながら答えて。
頷いた顔は不安より期待が上回った表情をしていた]
あー、やっぱりあんたかぁ。
お久しぶり、こっちに戻ってたんだ。
[人間界で何でも屋稼業を始めてすぐ、その仕事で知り合った月闇の竜。
ピアも知った相手に気づいたのか、抱えられたまま、きぃ、と鳴いて手を振った]
―― 竜皇殿・入り口 ――
はじめまして、機竜王の随行で参りました。エーリッヒといいます。どうぞよろしく。
[オトフリートの挨拶に、微笑んで一礼する。それから、近付いて来た虚竜王と時空竜に気付いて、目を輝かせた]
ユーディットさん!お久しぶりです。お元気でしたか?
[にこにこと嬉しそうに近付く]
もしかして、ユーディットさんも、随行で?え、ということは…
[視線がなんだかふわふわちんまりと浮かんでいる虚竜王その人に止まった]
/*
月闇殿が呪狼、生命殿が囁き狂人了解しました。
1、ではそのように。合わせるも合わせぬもご自由に。
3、話しかけは揺らされてからに。何か感じるかもしれませんが。
囁き殿>協力するかどうかは任意ですし、心和での話しかけがまずいようなら一言いただければ。
邪魔とかナイナイ。俺はいつでもオープンだから。
[オープンすぎですと、主たる王がいれば叩かれていただろうか。
エーリッヒにそう答えながら。]
そりゃまぁ特に変わったことも無かったしな。
こっちは平和平和。
[つい今しがた平和でない光景が繰り広げられていた気がするが。当人はお構いなし。]
おんや、そっちは…。
[と言いかけ、エーリッヒの丁度後ろのあたりにいたユーディットと、その前を行く存在をちらと見て、ああと足跡のついた腹の土を落とし。]
お初お目にかかります虚竜王。
随行者殿も。
[声を正し礼を取った。
一応、自分の所の竜王意外に対する態度は、それなりのものらしい。
それ以外はあれだが。]
『なぁに、気にしちゃいないさ雷撃の長殿。
私とて、まだまだ精進の身だよ。
――して、陽光殿。その御仔は如何した。』
[王は暢気に言葉を交わすが、得てする相手ではない。
仔の腕に巻きついたまま僅かに舌を出し入れするも、
私の意思など虚しく、王の気にする所では無かった。
さてと見れば、雷竜王の揺れる羽毛に仔竜の視線が楽しげに動く。
…嗚呼、幼子の眼には全てが玩具に映るか。
溜息こそ出ないが、僅かに私の眉が寄る。
否、蛇の姿を変えた身では、それすら判りもしないだろうが。
ふと、我が王の視線が僅かに動く。
眼を僅か伏せ会釈を返す相手へと視線を移せば、精神の属を帯びた者の姿が映った。]
まあなー。これが俺の少ない取り得のひとつだし。
[自覚はあるらしい。ティルにそういいながら、ふと思い出した事一つ。]
そっちは少しは自己治癒力上がったか?
まだ危ない事してるんだろ。
若いうちに鍛えておいて損はないぜ?
[ティルの笑みに、相変わらずへらへら笑いながらそんな事を軽くいう。]
ええ。
少し前から、王の子たちの教育を任されまして。
[生命の竜に向けていたのとは違い、穏やかな微笑を浮かべてティルを見た。]
あなたもお戻りだったのですね。
[そしてエーリッヒに挨拶をし、挨拶が返り。]
私は月闇王の随行で参りました、オトフリート=カルクと申します。
こちらこそ、我らが王が多々のご迷惑をおかけすると思いますが、どうぞ宜しくお願いいたします。
うむ、ダーヴィッドと同じかそれより若い者達じゃがな。
いや、年食ったのも居るか。
[感じられる気配から誰が居るのかを記憶から照合しつつ]
共に学ぶことも多かろう。
儂からも自慢の教え子じゃと紹介したいしの。
[かか、と笑い、気配のする方へと向き直る。ダーヴィッドに、お主はどうするか、と訊ねてから、賑やかなる西殿の入り口付近へと]
─西殿回廊→入り口付近─
『おや』
[弟が騒ぎ出したようすに、陽竜の長はちらりとそちらを向く。
もはや雷竜の長など知った事かとばかりに。
彼の竜のトリッキーさはいつものことだ]
お前だって小さい!
[ジタバタと両の手を動かして抗議するもしかし、長い袖がはたはたと揺らめいてちっとも怒っているようには見えなかった。
それこそ日の光が照りつけるようにこちらとてまっすぐに見ていたのだが。
雷竜の従者がちゃんと自分の名を発音で来たのをほめるようにぴ、と手を挙げると、ふうっ、と袖が舞った]
ん。よろしくしてやってもいい。
[あくまで態度は大きい、自分のほうが小さな存在であるにもかかわらず]
『何、生まれたてのうちの弟ですよ。
見せびらかそうと思って。可愛いでしょ?』
[一人で忙しい弟を見ながら陽竜の長は翠樹の竜へと首をかしげれば長い髪がさらりと揺れる]
つか、治癒能力以外の取り柄ないじゃん。
[一応とはいえ、生命の恩人に、酷い言い草です]
んー、まあ、そっちはぼちぼち。
それより、くらわねぇ方が早いから、そっち鍛えた方が効率いいし。
[それはそれで、当たると落ちる、とも言うが気にした様子は全く、ない]
―竜皇殿・入り口付近―
「……他の方々、いっぱいね?」
[氷竜王アウロラは、少しだけ困ったように入り口のあたりで立ち止まっていた。
ブリジットは、薄く息を吐いて、]
だからって、こんな所で立ち止まってどうするんです。
ほら、参りますよ?きちんとご挨拶しないと。のんびりし過ぎましたね。
[促すように、ゆっくりと先に歩いていく。
氷竜の王は、少しだけ慌てて、その後をついて行った]
/*
返事遅くてすいません。
1:こっちも揺れるのは後で、かな。余裕とれた時間に。
2:場所はてけとーで。
>智狼殿
3了解。揺らされ後なら心話問題なしです。
協力するかどうか、まだ決めかねてました。
ただ表で占いっぽい事はするかも。
漠然と、呪狼に白出ししようかとか考えてはいましたが。
教育係……せんせー、か。
[オトフリートの返事に、なにやら思案する素振りを見せ]
あー、なんか似合うかも。
あっちでも、学者肌っつか、そんな感じだったしなー。
[出会いの時を思い出しつつ、言って]
オレは、兄貴に泣きつかれて仕方なく、ってとこだけどな。
やっぱり…
[生命竜の礼を取る姿に、確信して、続けて背筋を伸ばす]
お初にお目にかかります。機鋼竜が末席エーリッヒと申します。
[丁寧に頭を下げたあと、すぐに顔を上げ、きらきらと目を輝かせて虚竜王の姿を見つめる]
[にこにこと嬉しそうに近づいてくるエーリッヒに、ほんのちょーっとだけ複雑そうな顔をする。]
ええと。……はい。こちらが私の主様の虚竜王様でございます。
[そういって色々と説明。
ちなみに、彼女が僅かとは言え感情のある表情をしたことに虚竜王は一瞬だけ驚いたような眼を向けるが、すぐに元の眠そうな眼に戻っていた。
なお、虚竜王は挨拶されても眠そうに「ん」とだけ言って、∞の軌跡を描きながら浮かんでたり。]
それでも私よりは経験を積まれた方々でありましょう。
ですが共に多くを学べるのなら嬉しいことです。
[まさか見せびらかしやら親馬鹿やらで小さな竜が多いという状況は予想もつかず。
恩人の答えを聞いてから師に従って歩を進めた]
― →入口付近―
美点と言っておくれ。オトたん。
[酷いあだ名に悪意が見れない所がより性質が悪いという。]
褒めてくれるのは嬉しいけど。
[しぶとい、をかなり前向きにそう受け取る。
悪意は無い。少なくとも表向きには感じられない。
だからそれがより性質が悪いとか。]
[それからまた新たにやってきた――氷破の竜王とその随行者。
挨拶を聞き、竜王の方々へ向け頭を垂れる。]
月闇が属、此度の随行者として参りました。
オトフリート=カルクと申します。
我らが王が多大なご迷惑をおかけしていることにお詫びいたしますと同時、此度の会議でもどうぞよろしくお願いいたします。
[当の竜王は、また迷惑なことに、白い花束をもって遊んでいるのだが、そのような事を知らないのであった。
知っていたらもっと酷い云い様をしていただろう。]
……お、と。
[新たに聞こえた声と、増えた気配にそちらを見やる。
ひやり、空気が冷たく感じたのは気のせいか]
あ、氷の。
[直接の面識はないが、話には聞いていた氷竜王に、とりあえず一礼する。
何となく、ピアを抱える腕には力がこもったかもしれない]
[眼を僅か伏せ返る樹竜王の会釈に青年はもう一度頭を垂れた。
そして上げられる紺碧の眼差しは影輝に隠れる幼仔とその腕の黄蛇を直視せぬよう流れていく]
随行者の方々でいらっしゃいますか…?
[記録と黄蛇の持つ気配を僅かいぶかしむ様にレンズ越しの瞳が黄の胴体を見た]
[それからティルを見て、にこりと笑った。]
あなたも、勉強をしますか?
教えますよ?
[冗談を帯びた言葉を告げた後に、]
お兄様ですか。
ティル殿は良い弟君なのですね
『ほう、弟君であったか。めでたい事と知れば祝いでも持ち合わせたものの。
そうとは知らず失礼した、光竜王殿。』
ちいさいのにちいさいなんて、いわれたくない。もん。
[影の背後へと身を隠したまま、対する光竜の仔に言葉を返して
ぷい、と顔を逸らす様はまるで音すら聞えそうな拗ね具合。
…初の社交場にてこれで良いのか、聊か不安ではある。
同じ年頃の仔など、竜族にはそう多くも居ないのであれば尚更。]
『…何、可愛いのは否定しないが。
我が仔の可愛らしさには適うまいよ。
――リーチェ、挨拶は?』
[…我が王の子煩悩さには、聊か閉口する。
一度父王を見、傍に佇む影を見やって、幼子は渋々と名を名乗った。]
[声のする方へと歩めば、そこには様々な属の竜達と一部の竜王も居て]
これはまた盛況な。
[ほっほ、と笑いながら彼らの傍へと歩み寄る]
久しく見る顔も多いの。
虚竜王様と氷竜王様においてはご機嫌麗しく。
[その場に居る竜王に対しては深々と敬意の念を込めて頭を下げる]
虚竜王様においてはお初に御目文字かかりますれば。
地竜王の随行を務めるザムエルと申します。
[虚竜王に対しては再び挨拶と共に頭を垂れた]
[そうこうしていると、彼女たちの入ってきた方から新たな声。
それに振り向くと、そこには氷竜王と……コレも知っている顔。
検索─該当。]
おひさしぶりでございます、氷竜王様。それに、ブリジット。
[そうして聞こえてきた言葉――の内容に、やはり嫌そうな顔をしてクレメンスを見据える。]
あなたに名前を呼んでほしいと言った覚えはありませんが。
……名乗ったのが問題でしたね。身にしみています。
どこを取ったら褒め言葉に聞こえるんですか。
しぶといだけではなく、記憶の類もどこかにやってきましたか?
何度、人を見るたびに抱きつくなと言っていると思ってるんですか。何度蹴られれば気が済むんですか?
[精神の竜が会釈するのを見て、蛇は体をうねらせた。
翠樹の王の言葉にも嬉しそうに咽を鳴らす。
2人の仔龍の様子と煩悩な二人の王の様子に、眼鏡の少女は目を細めてまるで昔を懐かしむかのように、表情を一瞬和らげた。
直ぐ引き締めて、眼鏡を押し上げたけれど。
精神の竜にも会釈をすると、体に巻かれた鎖がじゃらりと音を立てる。
翠樹の幼子にも目を向け、合わせて朗と響く声で]
雷竜王が従者、エミーリェ・アパトです。
この度は会議の間、宜しくお願い致します。
[告げると、深く頭を垂れた。]
おやこちらも。
お初、ですかね。氷竜王と随行者殿。
命竜王側近、クレメンス=ガエデと申します。
以後よしなに。
[改めて、氷竜王とブリジット、そして虚竜王とユーディットにも同時に名乗り、腰を折る。
きちんと正し礼をとれば、曲りなりにも古き竜の一人。それなりに威厳も微か見え隠れはするのだが。それが長続きしないのはもはや言わずもがな。]
[勉強、と言われて大げさに肩を竦め]
パスパス!
机で本広げるより、自分で歩いて、飛んで、見た方がずっとオレの性に合うって!
[冗談めかした言葉に軽く返して]
ま、正確にはねーさんの旦那だから、義理の兄貴だけど。
世話焼けて仕方ねぇったら。
[王を称してこう言うのもどうか、と言われそうだが。
物心ついた頃からの付き合いのせいか、こういう所は大雑把になってしまうらしい]
「ご丁寧にありがとう、カルク殿。こちらこそよしなに願います」
[氷竜の王は、オトフリートへと穏やかに微笑み挨拶を交わした。
その後も、他の竜王や随行者へと、丁寧にお辞儀を行う]
[生命の竜に対する様子と、疾風の竜に対する様子は、かなり差がある。
クレメンスに何度目にもなる文句を言った後に、ティルを見たオトは、しばらく考えて笑う。]
そうですね。
あなたには、勉強しているよりも空の方がよく似合います。
……義理のお兄様、ですか。
王に近しい方なのですね。
[氷破の竜から向けられた笑みに戸惑ったのは束の間のこと。
近づいてきた気配と聞こえた声に、青の瞳はそちら──大地の竜の方へと]
わっは、ザムエルの爺ちゃんだっ!
爺ちゃんも来てたんだあっ!
[はしゃいだよな声を上げる様子は、外見の年齢相応のもの]
[うつらうつらしている虚竜王を、それでも嬉しそうに見つめている。ユーディットの複雑そうな表情にはまるで気付いていない]
すごいなあ、存在そのものが無限を示しておられるんだね。
[夢中になっているその頭を、肩の機械竜がカシャカシャと羽根で叩いた]
いたた、痛いよ、ユル。
[ちかちかと機械竜の瞳が赤く明滅する、示す先には氷竜王とその随行者の姿。慌てて正式の礼を再び]
あ、失礼しました。氷竜王様。
機竜王が随行のエーリッヒと申します。どうぞ御見知り置きください。
[礼をとった後、どこかで聞いたような低い声に顔をあげればバンダナを巻いた老人と、その背後には始めてみる顔―だがそこから感じる気配は忘れる事は無い―の少女が一人。
まずは馴染みの老人に近づいて、ばしばし肩を叩きながら。]
おおっ、ザム爺さん生きてたか!
あれ相方どこだ?居ないのか?
[もう一人、たまに顔を見る大地の古竜の姿を探し辺りを見回す。
クレメンスの中で、二人はどうにもセットになっているらしい。]
[時空竜の声が聞こえれば、スカートの裾を摘み、お辞儀する]
ユディ、お久しぶり。
相変わらず…というのも言い飽きるぐらい、相変わらずね。
[微妙な物言いだが刺々しさは無く。ブリジットは穏やかに笑いかけた]
[辿り着いた先は人が集まっていて気後れしかける。
だが挨拶が交わされるのを見れば慌てて居住まいを正した]
此度、皇竜の随従として皆様とご一緒させて頂くこととなりました、エルザ=ネーベルと申します。
未熟なる身ではありますが、どうぞ宜しくお願い致します。
[深く一礼して顔を上げ。
ミハエルやベアトリーチェの存在に思わず動きを止める]
『この仔が、私の正式な随行者だな。
――こやつには、私が少々無理を言って来てもらった。
私の随行者では無く、この仔の目付けに。』
[幼子と、私を順に示す王の言葉に、ちろりと舌を零す。
応じるようにしゅるりと己の身体を幼子の肩へと滑らせた。
…いぶかしむ気配を向けられるは心地好いものでは無いが、致し方ない。]
…エミーリェ?
[響く声に、幼子は真直ぐに雷撃の竜へと視線を向ける。
変わらず影の後ろではあったが、先ほどの怖れは何処へ行ったか。]
いい名前。
―中庭―
[仔竜を可愛がる風潮のある竜達の中でも、光竜王と樹竜王の子煩悩ぶりは一、二を争うと青年の記憶に刻まれた。会議までの時間がもっとあればどちらがより重症かも正確に記録されたであろうが、話途中からでは判断は付かず断念する]
此度の虹竜王の随行者アーベル=ケシェットと申します。
此方こそ、よろしくお願いいたします。
[電撃らしく真っ直ぐなエミーリェの挨拶に此方も他への自己紹介も兼ねた挨拶を返す。視線を合わさぬよう会釈すれば瀟洒な銀鎖の音が電撃竜のものに隠れ小さく音を立てた]
ザムエルさん!
[現れた地竜に、また嬉しげな声を上げる]
わあ、本当に、色んな方が集まってるんだ…て、ティルさん?
[ザムエルに知り合いが多い事を今更不思議とは思わないが、常に無い疾風竜の様子には僅かに目を見張った]
[嫌そうな顔にも笑顔一つ。
無駄に歯が光ったりするのはきっと気のせい。]
呼び方気に入らないなら、オっちゃんでもいいんだけど。
それだとオッサンみたいなのがなぁ。
[代用品は最悪だ。]
えーあれも愛情の一つだと思ってるんだけど。
照れなくていいって、俺とオトたんの仲じゃぁないか。
[どこまでも嫌がらせだろうと思われても仕方ないくらいに限りなく前しか向いていない。
―――少なくとも、この月闇竜に対しては、なのだが。]
[そうして聞こえてきた声にそちらを見る。
そうして、微笑みを浮かべる。]
久方ぶりです、老君。
近頃は御伺いすることもなかなか出来ず、不義理をいたしました。
[軽く頭を下げ、共に現れたエルザにも礼と、名乗りを。]
[月闇の竜の、相手別の温度差の事はあまり気にしてはいなかった。
多分、低温側が低温側だから、なのだろうが]
ま、それがオレら疾風の眷族のあり方だしー?
ん、義理の兄貴。
ウチは何でかんで、側近ずっとやってたからね。
[そも、こうして随行の任につくのは、以前は父がやっていて。
父が亡くなり、姉が嵐竜王妃となってからは彼女の務めだったのだが、それはそれ。
夫婦喧嘩は大きな壁であるらしい]
『いえ、構いませんよ。
祝っていただける気持ちが何よりうれしい』
ちっさいのをちっさいっていって何がわるいんだよ。
玲(リョン)のがお前より大きいもん。
[それは主に重たい帽子の高さゆえ。
べえ、と、後ろに隠れたままの小さな竜に舌を出す。
さすがにそろそろ長子も見かねたのか、帽子の上からゆっくり拳骨を落とした]
『夏玲。
ごあいさつをいただいたらどうするのだっけ?』
[ぽふぽふ、と帽子をたたくと中に仔龍の頭が埋まってしまいそうな勢いであった。
布に埋もれた袖でたたかれた帽子に沈まないようにそれを押し返し、不満そうに名乗る。
名乗ってから、やっぱり、べえ、と舌を出した]
[氷竜の長は次々に挨拶され、少しだけ気恥ずかしそうに微笑む。
見知った顔のザムエルとユーディットにはお久しぶりですね、とお辞儀し]
「……命竜のガエデ殿、機竜のエーリッヒ殿ですね。
こちらこそ、どうぞよしなに」
[新たな顔ぶれには、また丁寧にお辞儀を交わした]
[竜王への挨拶の後、エルザにも竜王達への挨拶を促し。
はしゃぐ声が聞こえると、ふと顔を綻ばせた]
久しいのぅ、ティルや。
ここに居ると言うことはお主が嵐竜王の随行者と言うことかの。
どれ、少しは大きくなったかの?
[近付き頭をくしゃりと撫でる。
そこに近付く馴染みの気配。声をかけられると同時に肩を叩かれた]
生きとるとはまた随分な挨拶じゃの、クレメンス。
だーれが相方じゃ!
あやつは今頃里で留守番しながらハンカチ噛み締めとるわい。
[ふん、とどこか勝ち誇ったような表情へと変化。セットにされるのは不満のようだが、周りはいつもセット扱いだったりする]
まぁな!
[酷い言い草も事実だからショウガナイこれが。
ティルの返事にああーと納得したような間延びした声を返しながらも。]
そっちはそっちの伸びのがいいっちゃいいか。
んでもあんま過信すんなよ?
あの時みたく死にかけても、今度は運良く俺が居るとは限んないわけで。
[けらりと笑いながらも、目の奥は流石に少し真剣ではあった。]
[常日頃は感情を抑えているのに、生命の竜に向かっているときはそれが現れるという事実は、本人が目をつぶっている場所である。
エーリッヒをつつく機械の竜に和む様子ではあったのに、酷い呼び方で動きを止めるのだった。]
もういいです。
あなたには言っても無駄だということが判りました。
[諦念。]
誰が照れていると。何が愛情表現だと。
だいたい何か特別な仲だというような言い方は止めてください。
[ブリジットは、ザムエルの姿を見かけると]
あら、お久しぶり、ザムエル。静謐の樹海でばったり会った以来かしら?
[人気者の老地竜へ、ひらりと手を振って]
今回は、ザムエルの番だったのね。
[エーリッヒの困惑には気づいているのかいないのか。
頭を撫でられ、嬉しそうに目を細める様子は、いつになく子供っぽく]
へへ、爺ちゃん、元気そうだねっ。
んー、今回はねーさんの代理。
兄貴、こないだ喧嘩してから仲直りしてないらしくてさー。
つか、身長は伸びてんぜ、ちゃんとっ!
[そこだけは主張した。しっかりきっぱり]
『主も、仔を儲ければよかろうに雷撃殿。可愛いぞ、仔は。
――と、皇竜殿の随従か。
畏まらずとも、暫くの間此方こそ頼む。』
[雷撃の竜王へと笑みををくつりと零す彼の王に、思わず溜息を零して。
そこへ姿を現した天竜に、視線を向ける。
ふと、突如動きを止めた様子に、ゆるりと身体を揺らめかした。
幼子も気付いたか、不思議そうに相手へと視線を向けた。]
…?
[幼子には理由すら判らなかったか。一度振り返り。
光竜の仔を見、父を見、影を見て、最後に私を見てから
再び、天竜へと視線を向ける。
嗚呼、王、笑っている場合では無かろうに。]
そっか、ティルさん、会いたい方に会えたんだ。
[小さく呟いて、肩の機械竜と顔を見合わせる]
良かったねえ。
[にこにこと、興味深そうに会話を聞き、時々は口を挟みながら、やがて挨拶も一段落すれば控えの間に移動するだろう**]
[会釈を返す電撃の竜達から翠樹の竜達へと視線を戻し、樹竜王の説明に青年は納得と非礼を詫びる眼差しを随行者達に向けた]
……それは、失礼いたしました。
ベアトリーチェ殿と…お名前を窺っても?
[記憶から滑らかに樹竜王末子の名は引き出せたが、黄蛇の名は出てこずに尋ねる。いぶかしむ気配は完全に消え失せていた]
んー、それはわかってるってー。
[クレメンスの言葉に返す言葉はやっぱり軽い。
軽いのは、多分性分なのだろうが]
痛い思いはしたくないし、気はつけてるって。
[落石トラップを力技で叩き潰すヤツがいう事ではない。
かも知れない]
[そうしていると、さらに新しい参入者。
検索──該当。]
こんにちわ、ザムエルさん。
今日も変わらず立派なお髭でございますね。
[待て。それは褒めてるのか。
ちなみに、深々と挨拶された虚竜王だが……廻りながら寝ていた。]
ある程度は教養も必要だとは思いますが。
特に人間界ですと。
[クレメンスに対しては諦念しかなく、ティルを見たオトは、少し疲れたような様子だった。]
今回お会いできて嬉しく思いますよ。
おーおー、エーリッヒも来ておったか。
お主も随行の任を受けたのかの?
[ティルやエーリッヒを相手する顔は、孫へと接するそれに変化し。教え子に会った時とはまた違う嬉しげな表情となる]
全属性の竜が集まるからのぅ。
まさかこんなにも知る者が集まるとは思わなんだが。
[その場に居る者達の顔を見回し、良く話を聞きに来ていた月闇の竜の姿を見つける]
オトフリートも久しいの。
なに、お主には教育係と言う任が与えられたのじゃろう。
光栄なる任を放ってまで訪ね来るものでもあるまいて。
気にするな。
[ゆるりと否定するように手を振り、オトフリートに笑いかけた。その後にようやく動きを止めるエルザの姿に気付く]
エルザや、どうした?
[話しているときに、時折覚える、背筋が凍るような感覚。
それは一体何のせいなのか、理解はできずにいつも放置しているのであったが。]
[――そう、恐らく気のせいだ。高ぶっているだけだ。]
[結論付けて、普段の調子を取り戻すために微笑む。
感情をつかさどる属性であれど、それを抑えるようにしているのは、魔族の血も混じるがゆえに。
そして。
今は男であるということを、忘れぬために。]
[オトフリートの疲れたような様子、その原因はわかっているのかいないのか]
何でも屋やってる分には、計算だけできれば何とかなるからなぁ。
[それはいくらなんでも極端すぎます]
ん、そだなぁ。
久しぶりに知り合いに会えて、オレも嬉しい。
[嬉しげな様子のまま、こくりと頷いて]
あは、期待しといてよかったっぽい。
[エーリッヒにも、こんな事を言って笑って*見せた*]
いやーそろそろ頃合かなと思ってたんだけど。
まだまだ先は長そうで嬉しいわ。
ぶははははは!やべ、そいつは見てぇ!
[ハンカチ噛みしめるザムエルの相方の姿を想像し、腹を抱えて笑ったり。
ひとしきり笑った後で、爺さんの背後に居た少女の方へとひょいと近づいてみた。
名はさっき聞いた。出会うのは初めて、だが。]
ん…随分大きくなったな。
何より、何より。
[ぽすりと、頭を撫でた。
その様は200年前、いつかの卵をなでた時と同じ。
だがそれを知るのは、おそらく焔の竜のみだろう。]
[ご機嫌斜めな光竜王末子の様子にも青年の笑みは変わらない。文字では得られない発音も刻みながら会釈する]
明 夏玲(ミョン・ハリョン)殿、よろしくお願いいたします。
[月闇竜の名も得れば、青年はまた他の場所へ*移ろうのだが*]
そう言っていただき、ありがとうございます。
[微笑みを大地の竜へと向ける。]
未だ若輩者ですが、立派な子になるように精一杯がんばらせていただきます。
老君となかなかお話が出来ないのは、私にとってとても哀しいことですから。
は、はい。
[樹竜王の言葉に頷きを返しつつも、あまりにも幼すぎると見える仔竜に戸惑い、お見合いに状態になってしまう]
そう、このような仔でも立派な随行者として…。
[独り言が漏れているとも気付かずに]
[翠樹の仔龍の言葉に、ぴしと引き締めた表情が思わず少し緩みかけ]
有難う御座います。
呼びにくければ、ミリィと呼んで下さい?
[今やいう事を聞かない蛇をちらり、横目で見て。
精神の竜にも目を向けてから仔龍の様子に眼鏡の奥で目を少し細めた**]
久しいの、ブリジット。
そうじゃな、あそこで会って以来かのぅ。
儂の番と言えばそうじゃな。
あやつなぞ毎度留守番をしておれば良いと言うに。
地竜王様は何故か交互に随行の任を与えなさる。
儂一人でも良かろうもんに。
[ブリジットに挨拶を返してから、随行の任の順番の話にやや眉根が寄る。
ティルの頭を撫で身長を確認すると]
そのようじゃな、大きくなったのぅ。
儂ゃいつでも元気じゃよ。
お主も元気そうで何よりじゃ。
ほむ、喧嘩とはまた穏やかではないのぅ。
何が原因かは分からぬが、早う仲直りして欲しいものじゃな。
うむ、こんにちはじゃ。
ユーディットも壮健そうで何よりじゃな。
ほっほ、お褒めの言葉ありがとうじゃよ。
[ユーディットに挨拶を返し、褒められた髭を満足げに撫でる。嬉しいらしい。寝ている虚竜王に気付くと]
…虚竜王様や、会議前じゃが大丈夫でございますかな?
[声をかけつつ、良いのか?とユーディットへ視線を向ける]
[虚竜王が寝ていることに気づいた彼女は、こほんとひとつ咳払いをすると、]
……主様。
「ぴっ!?」
……他の竜王様も続々と集まられており、まもなく会議が開かれると思います。
そろそろ議場へ入られたほうがよろしいかと。
[こころなし嫌な汗かいてる虚竜王にそう進言。
落ち着いた虚竜王が同意すれば、その場に居合わせた面々に「ではまた後ほど」と言い残し、彼女も虚竜王とともに*西殿の中へと*。]
ああ、いえ。
失礼を致しました、ベアトリーチェ殿。
ハリョン殿も。
[師に尋ねられれば首を振って。
一度膝を突き、ベアトリーチェや陽光の仔竜と目線を合わせ直して謝罪をした。
或いはそうすることが逆に相手を刺激するかもしれないが]
…は…?
[立ち上がったところで近付いてくる影。
明らかに自分に向けられたとおぼしき声に視線を向け、唐突に頭を撫でられれば、先ほどとは別の意味で硬直した]
まだまだ儂ゃピンピンしておるわっ!
[ふんっ、と鼻息荒くクレメンスへと言い返し。腐れ縁について大笑いしているのを見ると]
そうじゃろう、儂も見たいところなのじゃが、生憎と随行の任でここへ来てしまったために見ること叶わず。
全く持って残念じゃ。
[くかか、と共に笑い上げる。
エルザの頭を撫でる様子には、知己じゃったかの?と疑問を浮かべていたり]
そう言葉より行動が大事、ってな。
肉食っとけよ肉。
[肉は関係ない。]
照れなくていいから。
[聞いちゃいない。]
別に特別でなくても仲は仲だしょうに。
あんまり深い意味をそこにつけるとおじさんが照れるよ!
って何かぐったりしてきてるけど。大丈夫か?
[もはや何もいうまい。
オトフリートが何か言う前に、クレメンスはちょっととか言いながらその場を少し離れるわけだが。]
[命竜のテンションの変わりように、少しだけ瞳を瞬かせながら。
ああ、そういえば風竜の噂で、変わり者の命竜の名前が紡がれていたかな、と思い返す。
老地竜のぼやきにも似た呟きにはくすりと笑って]
ふふふ。彼の人も同じ事を言っていたのは、3回前の時だったかしら。
[口元に手を当てて、穏やかに微笑んだ]
計算だけでは後々、不便ですよ。
[などとティルに言い。
虚竜王の様子、そして中へと向かうのを頭を下げて見送った。]
……王、本当に虚竜王にあの花束を差し上げる予定なんでしょうか
[少し不安げに呟いた。
よもやまさか本気で渡して、いやらしいほど褒め称えたりするなんて、思いもしなかった。]
『随分と遅い祝いだが、また後にでも何か送ろう。
私の送れる物などたかが知れているが。』
…リーチェ、ちいさくないもん。
[影にしがみ付いたまま言葉を言い返す。
幼子に纏わり付かれたままの影が、どの様な反応をしたか
…己から見えることは無かったが、困惑している様ならば後で注意せねばならぬ。
と、光竜王の指導の元、漸くに仔竜の名を聞くことは適ったが
仔竜が、この場で光竜の仔の名を呼ぶことは無かった。
意固地な部は、父親似か。…さては要らぬ所が似てしまった。
珍しく同世代の竜だと言うに。]
[と、精神の竜の問いに、ちろりと舌を滑らせる。
――さて、随行するまでは良いが、名乗るまでは良いものか。
王の指示を仰ごうと、主へと視線を向ける。
翠樹の王の頷きを見て取って、ゆるりと黄の体をくねらせた。]
「――此方こそ、この様な姿で失礼致します。
名乗る程の者では御座いませんが…樹竜王が側近に御座います。
「ナギ」と、――記憶の端にでもお留め頂ければ。」
[其れだけを告げて、するりと幼子の衣服へと姿を隠す。
私とて元々郷から出入りする事も少ない身。
――人型を取らぬ理由など、まさか言える筈も*無く*]
……早く帰りたいものです。
[自分の血管が切れる前に。
命竜王は何を考えているのだろうと、ほんの少し恨み言を思ってしまったのは、*決して口外しまい*]
[オトフリートへ穏やかな笑みを向けたまま]
うむ、精進するが良いぞ。
そうさな、話は儂がお主のところへ行くことで解消出来ようぞ。
いずれ伺わせてもらうとしようかのぅ。
[うむうむ、と言いながら一人納得し決定。
西殿へと向かうユーディットと虚竜王には頭を下げ見送った]
[力の強い竜王と随行者達。その中であっても心の襞の揺れが幾つか届く。それは命司る対の鼓動か、情司る闇の動揺か。
砂に描かれた波のような残滓をおさえるように、青年は心の臓の上に袖の内で握る拳を当てた]
………。
[透明な青玉の嵌る腕輪と指輪を繋ぐ精霊銀の鎖が*さざめく*]
[氷竜の長は、その場の面々と挨拶を交わし終えると、皆に向かって]
「楽しいお話を聞いているのも楽しいけれど、他の方々を待たせては行けませんね。
またお目にかかりましょう。それでは」
[再度大きく一礼し、氷竜王アウロラは、西殿の方へと歩み始めた]
――と。積もる話は、お勤めを終えてから、か。また後ほど。
[その場に残る竜たちへ、小さくお辞儀を行い。氷竜王に伴い、西殿へと*向かっていった*]
[いつもペースが崩されてしまう。
それを堪えるほどの年月は生きておらず、揺れる感情に振り回されるばかり。
もっと、感情を堪えなければ。]
[封じ込めているその感情の鍵が、開かれることを、*望みはしないのだ*]
…………。
[ブリジットに腐れ縁と同じことを言っていると言われると、ただ沈黙するしかなく。この辺りの思考や行動が似ているからセット扱いを受けているとは気付いていない]
…あやつめ、戻ったら覚えておけ。
[漏れ出たのは若干不穏な言葉]
[エルザの傍に居た子竜、王竜、随行者には深く一礼、名を名乗り。
硬直するエルザに構わず、ぽすぽすとひとしきり頭を撫でてから、満足したのかけらりと笑って離れる。]
折角産まれたのに不安定、って聞いてたからちっとは心配してたんだけど。
まー杞憂だったかねぇ。
ダーヴィットは相変わらず面倒見てるのか?
なんかこう、俺の使命!みたいな雰囲気だったから、ほっといたんだけど。
[自分が彼女にとって何をした存在なのか、はあえて告げる事無く。
代わりにある程度過去を知る事が伺えるような言葉をかける。]
そいつぁ残念だ。
…そうだ、次の会議には俺留守番役しとくわ。
是非ハンカチ齧る爺の姿を何かに焼きつけとかないとな。
[100年後はむしろザムエルがハンカチ齧ってそうだが、それは黙っておく。
浮かべる疑問符の意味は何となく読めたが、片目を瞑って答えた。機会があればそのうち語る事もあるだろうが。]
[西殿へと向かう氷竜王とブリジットを見送ると、エルザが会話する一角に気付く。その場に居る者が誰なのかに気付くと流石に少し慌ててそちらへと向かい]
これは雷竜王様に樹竜王様、それに光竜王様も。
ご挨拶が遅れまして申し訳ありませぬ。
[各竜王へ深々と頭を垂れて挨拶をし、随行の者にも同じく挨拶を行う。雷竜王の随行であるミリィは知己であったが、残るニ竜は幼子とも言える者達で。聞けば各々実弟と末子であると言う。そのニ竜に対しても自己紹介を行い、相手からも紹介を受ける]
お二方とも、目に入れても痛くないと言ったところでしょうかのぅ。
[幼き仔竜を見やると優しげに表情を崩した]
[先に去る虚竜の王、そしてその随行者には軽く一礼し見送る。
ふと目が合ったブリジットにはいい笑顔で手を振ってみた。他意はない。
微か聞こえた言葉には、心の中でうんうん大いに頷いた。
そして氷竜の二人にも軽く礼をとり、見送る。]
命竜王様がそれを許せばの話じゃろうて。
お主が見物に行くというなら、儂は二度連続で随行役に選ばれるようにせねばなるまいな。
[交互であるのは自覚あるため、言われずとも危惧し、本気で二度連続選ばれるようにと考え始めたり。
疑問にははっきりとした答えをもらえなかったが、エルザへとかけた言葉から大体の推察は可能で。エルザの出生に関わったと言うのは理解出来たことだろう]
[クレメンスが離れてもまだしばらく呆然としていた。
ギュンターではそうした接触もまずありえず。慣れない事態な上に自分からは知らない相手だったのだから]
は、い。
今はこうして他者とも接触することが叶うようになりました。
皆様のお陰で御座います。
[ダーヴィッドの名前を聞いても相手が「もう一人の恩人」だというところまでは繋がらなかった。ただ幼少の頃を知る一人であるとだけ理解して、深く頭を下げる]
ダーヴィッド様には、今もまだお世話になっております。
外の世界のことも多くご存知であられますので。
皆様にも色々お聞きできれば幸いです。
[諸王が中に入るまではそのまま会話を続けるだろうか。
やがてギュンターがやってきて、会議中はこちらに近付かないようにと言われると、素直に頷き場所を移動*するだろう*]
次はサボるぜ俺は。
[さも当然のように断言する。
遠くで命竜王がくしゃみでもしたかもしれない。]
…まぁ今回はほれ、虚竜王が来るっていうから俺が無理やり呼び出されただけで。次は無い無い。
[随行任の選出理由が生命力だったのは命竜らだけの秘密だ。
分かる人には分かる話なのだろうが。]
ザム爺なら問題ないっしょ。楽勝楽勝。
それとも相方に負けてハンカチ噛む姿、そっちが先に拝ましてくれるのか?
[けらりと笑う様はまるで煽っているようで。
顔に浮かんだ疑問符が消えた事で、察しはついたかとへらり、一笑い。]
可愛いと思う。その気持ちは嘘ではない。
だが、同時に。ほの暗い感情が内に宿る自覚はあった。
そんな澱んだ感情は、深い内側にしまい、主たる命竜王にさえ見せる事はない。
たたえるは柔和で道化な笑み。
それは、何時からか、そうありたいと願った己でもあり。
本来の自分を隠す仮面でもあり。
…お主ならやりそうじゃよなぁ。
[断言するクレメンスの様子に至極納得]
それならば次回も虚竜王様が参加すると言えば可能性はあるじゃろうて。
…可能性は低いじゃろうけどの。
だーれがハンカチ噛むか!
次回も選ばれてみせるわい。
[売り言葉に買い言葉、とまでは行かないだろうが、半ば大見得切る形で言い。それでもその言葉は本気だったりするから見栄でも無いかもしれない]
/*
諸々の理由からエルザはMeyさん候補(ぁ
んでもってクレメンスはたぬさんじゃないかとちと思ったり。
ノリがリコルサーに見えるんd(ぁぁ
ああ頭下げなくていいって。俺は大した事しちゃいないんだし。
[大した事、でもないのだが。
あの時―人間界で自分が命竜王にソコへいくようにと命じられたのは、たまたま自分が居た場所が彼女が眠る場所に近かく、尤も早くたどり着ける者だったからだ。余談だがあの時だけは、王も「たまには役にたつものね」と珍しく褒めていたりする。
それた話を元に戻すと。
つまりはクレメンスにとってエルザを助けたことは偶然にすぎず。そも助けた後は面倒を自主的に見る者たちに任せっきりで省みる事も殆ど無かったので。]
それよか面倒見てくれてるギュンターの爺さんと、ダーヴィットと…あとは、天竜王に感謝しとくといいよ。
王が随分心配していたからな。
[そう過去を懐かしむように口にすれば、あのときの卵の感覚を思い出したのか、またエルザの頭を少し撫でた。今度はすぐに離したが。]
うはは。今度は戻るは戻るにせよ生命の海まで戻んねぇからな。そっち泊めて。
[さり気無く宿を確保しつつ。]
…って、その可能性は考えてなかった…けど。
無いだろう…流石に。
っくくくく。おーけーおーけー。大いに期待してるぜぇ。
[次の会議前には大地の領域に居た方が面白いものが見れるんじゃないだろうか。
本気でそんな事を考えながら、暫くの間談笑は*続いた。*]
なぬっ。
まぁたまには良いか、仕方の無い奴め。
[断ったってどうせ押しかけてくるだろうと、承諾の意を返し]
まぁ、無いと断言は出来ぬが可能性は低いじゃろうな。
多分じゃが。
[こればかりは虚竜王の心一つなため、どっちとも言えない。
期待するとの言葉には、せんで良い!などと言い返したり。暫く談笑が続き、しばし後に会議が始まるとギュンターが告げに来る]
おお、久しいのぅギュンター。
壮健じゃったか?
[現れたギュンターと二言三言会話を交わしてから、会議の邪魔にならぬようにと、皆を促し共に西殿からは離れて*行った*]
向こう…か。
[エルザの視線に、なにかを思い出しながら。]
人の世界は、せわしなく騒がしいが、飽きないもんさね。
彼らはたったの100年で、俺たちの一万年分は生きる。
短命だからこそ、限られた中で何かを残そうとするんだろうね。
危険も多いから無理には勧めないけど…いつかはみせてやりたいな。
あの景色をさ。
[老竜に促されて移動しつつ、そんなことを呟く。]
お!エリィ!
[兄弟共々中の良い、機竜家の末弟を目敏く見つけて。]
また何かやらかしたのか?おまぃはー!
[ガシッとわしゃわしゃ。
年の割には…というより、バージョンがあがるにつれ段々兄達より大人びていくのは機鋼属の特徴なのかもしれず。
気心の知れた若手の竜たちとじゃれあったりしながら時は過ぎたり…*]
[ 影は影。唯、其処に佇むのみ。
故に、例え周囲で何が起ころうとも口を開く事もなく、時の移ろいに従い影が動くように視線を緩やかに漂わせて、黒曜石を模した漆黒の瞳に全てを映していた。瞬きすらしていたかは怪しい程に。
それに変化が起こったのは、翠樹の幼児がノーラの背後に隠れた時だ。
僅かばかり左側に首が傾ぐも、咎める事はない。助け舟を出す事もなかったが。
しがみついて来る幼児に、肩に羽織った黒布の下から伸ばした手が柔らかな金糸へと伸び、指先に絡められた。厭うか否か、反応を見てから撫ぜようというのだ。親が我が子に為すように。]
[ やがて諸王は西殿へと赴くも、会議の場に立ち入ることは許されぬ。
待つ間には自由が与えられるも、それには竜都の内のみという条件が付け加えられた。当然のことではあろうが。
父親と離れ心細いのであろうか、離れぬ翠樹の仔竜は連れて歩くこととなる。硬い床には影の足音はなく、子の足音は小さきものだ。尤も、他の者も居たのだから、例え音がしたとて掻き消されてしまったろうが。
特別行く宛てもなかったが、影は広間に辿り着いた。ソファの傍まで導き、幼児を其処に座らせると、隣に腰を下ろす。
ノーラの手はベアトリーチェの近くへと伸び、仔が求めるならば触れられる距離へと置かれた。仔が他に興味を移すまで――或いは眠りにつくまで、そうしていた。]
[ そして現在、仔竜の姿は傍にはなく。
ノーラは随行者名簿と記された紙束を繰っていた。指が滑りぱらりと音が鳴る。一頁を読み終える度に、黒の瞳は目蓋の内を隠し、再び現した。きっかり十六回、それを繰り返して名簿は閉じられた。同様に眼も閉じ、一時の闇に浸った後、ゆっくりと開いた。常と変わらず、伏しがちに。
宛てはなかれど、緩やかに回廊へと歩みだした。]
[黄蛇の名を問い答えが帰るまでの間、視界の端に黄蛇の舌が閃いた。レンズ越しの紺碧はそれを確かめる為に動く事なくくねる胴体を見つめる]
ナギ殿、此方こそよろしく願います。
[ベアトリーチェの衣服の影へと消える黄のうねりを会釈しながら見送る。
そうして西殿へ王を送る者達と別れ入り口へと足を向け、また新たな一団へと短く自己紹介を交わしたのだった]
―竜都の端―
[青年が向かったのは機鋼のグライダーの無残な姿が晒された地。無闇に触れるものが居ないよう紐の張られた内側に視線を向け、垣間見える機鋼の技術力の一端を刻み込んでいく。
墜落した以上、製作者は機鋼の王達ではないだろうと思考しながら若焔の言葉を思い起こす]
機鋼エーリッヒ殿の作なのかな。
[問題はグライダーではなく操縦の腕前の方かもしれないが心無い残骸からは読み取る事は出来ない。ただ機鋼の随行者の力の一部である可能性を記憶して踵を返した]
― 竜皇殿・テラス ―
[ 竜の長たる者の居城。
この場所からは、竜都がよく見渡せる。賑わいは遠かれど、平和な情景は目に浮かぶようだ。
幼児は此処より飛び立ちもするのではあるまいか。
ノーラの手が手刷りに伸び、滑らかな表面を撫ぜた。]
[まっすぐ目指した行きと異なり、帰りは現在の竜都の状況を確かめつつ歩く。青年の口元に常に浮かぶ笑みは、商売上手な店主達と客との遣り取りにも修理中の酒場の扉にも変わる事がない。
笑みが表情として張り付いているのではなく、喜怒哀楽その他全ての感情が引き起こす心の動きを穏やかに受け取っているだけなのだが、より多く感情の過ぎる眼差しを合わせる事はないから掴み難いだろう]
……賑やかは嫌いではないけれど、少し疲れるな。
[静謐な【心の間】から久方ぶりに出た見に雑多な感情の坩堝である竜都は少々刺激が強く、見事な枝振りの木の幹にもたれ目を閉じる。そこが影輝と疾風の出会いの場であった事は勿論知る事なく]
[ 風に靡くのは淡い闇を薄めた茶の髪ばかりだ。
黒も紫紺も揺らぎはせぬ。
樹上から降り立ったのと同様に、ノーラはテラスより飛び立つ。その背に、薄い靄が一対の翼が如く掠めたのを見たものは居るまい。]
[それは極短い白昼夢。
精神ひいては心を司る竜の領分で『揺らすモノ』は青年の心の奥底に眠る『願い』を覚醒させた。
柔らかな羽根で砂の波を撫でる様にふるい、本人の自覚すら欠片も気付かせる事なく『力』を与えて消えていく]
[ 都の喧騒を通り過ぎ、辿り着くのは賑わいから離れ、緑のさやめきが耳に届く場所。光を浴びる木の葉のつくる陰から生まれるように、ノーラは其処に――樹上に現れた。
よもや眼下に先客が居るとは思わなかったが。
存在の有り様の変化に、木々が葉擦れの音を奏でた。]
[心は揺れるものであり揺れぬ心は砂を噛むように味気ないと青年は考える。けれど選ばれた理由はそこにはない。
事の中心である竜都に在る事もエインシェントである事も、剣の知識を持つ【心の間】の禁書の一冊である事すらも一因に過ぎない。
『揺らすモノ』の目的である剣を持ち出させるのに尤も近しい願いであったからだろう。
その願いとは―――]
影輝殿。
[白い素足と紫紺の布を視界に収め、それ以上視線を上げる事なく声をかける。気配雑多な竜都にあっても、影竜王の影の持つ気配は一種独特に捉えていた。その心の動きが掴み難いという点において。
降ってきたエレオノーレの声は微かながらも青年の耳に確かに届く]
はい。
エレオノーレ殿。
[ 二度の異なる呼びかけに、首は傾げられはせず、頷きが返った。微風に揺れる葉と間違う程、微かに。
疾風の随行者に出会った時と同じく、影は地に降りる。纏う布は先の首肯よりも僅かな動きしか見せぬ。]
散策でもなされていましたか。
[ 黒の瞳がレンズ越しの紺碧を映す。ノーラの視界に入る石と鎖は、木陰と木漏れ日の間で色を移ろわせて見えた。]
[布地から覗く素足のみの理由ではないが視線を上げない青年は、それでも頷きを感じ取った様子で口元の笑みを深めた。
地に降りる影に木に背を預けた持たれた姿は失礼と背筋を伸ばし、レンズ越しの視線を顎の辺りにとどめ相対する]
はい、そのようなものです。
エレオノーラ殿もご休憩でしょうか。
場を邪魔したのであれば申し訳ありません。
[広口の紺に近い黒の袖を持ち上げ、指先だけ覗く手を幹に触れる。こちらに黒の瞳が向けられている事は感じていたが目を合わせぬようその色を確かめる事はなかった]
いえ。
私は影を求め渡っていたのみですから。
先にいらしたのは、貴方の方でしょう。
此方こそ、一時を破ってしまったのではないかと。
[ ノーラは瞳に似た色のショールの下から覗く手を口元に当て、顔を斜めに傾けた。此方に向かぬ眼差し。その紺碧に映る色を、掬うように。]
数多の存在の在る地は、
精神の属にとっては毒とも薬ともなりましょう。
[ 調子は真似るようであり、科白は老獪さを潜ませ、仕草は幼児にも通ず部分があった。]
影を。
[その言葉だけで急に現れた気配の理由が肯定され青年は頷いた。
此処が影輝竜の気に入りの場であれば申し訳なく思いながらも、一時との声を否定し緩く首を振った。斜めに傾けられた手の影の顎の線と掬うような視線の気配から逃れ、しゃらり瀟洒な音が鳴る]
いえ、白昼夢など目を閉じればいつなりと。
それに場を均すあなたの気は毒も薬も和らげましょう。
[顎の線を隠した仕草と裏腹な老獪な台詞に興味を引かれ、逸らした視線を結われた髪の付け根に移す]
[ 音に誘われ眼差しは逸れ、精神の竜が触れた幹に向いた。一、二歩と樹に歩み寄り、幾年もの間大気に晒されて来た木の皮に手を這わす。
傍らに佇むアーベルの僅か覗く指先に視線は留まる。]
何処にも影は在り影の全てに私は在る。
しかし数多の影より一つの影を選ぶ所以があるとすれば、己の欠片が在りし故に。
それ以前に惹かれしは喧騒と静寂の合間が故が、力の存在か。
[ まるで詩を吟ずる者の如き独唱は、真実を語るにも虚実を語るにも聞える。
次いだ言葉は平易であったが。]
……一度、訪れた場所は辿り易い。
そういったことです。
[髪のくびれに留めた視線は前に出る影輝竜の動きにつれて幹を視界に収める。逸れた気配に眼差しを上げると彫像のように整った横顔と幹を這う手が見えた。
吟ずる如き独唱に耳を傾け記憶に刻みつつ、その視線の先と心の動きの気配を辿る。同じ言葉でも言う者の心により意味を違える事を青年は良く知っていた]
では、気に入りの場を邪魔したのは私の方ですね。
目的なく此処に来たのですから。
[最終的に簡潔に述べられた理由に笑みを深めて、見つめられる指先をエレオノーレへと差し出した。半ば以上袖の中に隠し心持ち斜めに上を向けた手は、淑女の手を取るようにも紳士に握手を求めるようでもある]
楽しい時間をありがとうございました。
また会議後の親睦会にでもゆっくりとお話を窺えたら光栄です。
[ ノーラの心、その水面に起こる微かな波紋は、自身を解せぬ疑問を示していた。夜の海に似た水面の奥底は容易には窺えぬ。]
いえ。快いものでした。
[ 流れた視線は深まる笑みを捉え、幹より離れた手はアーベルの差し出した指先に触れた。しかし僅か、指の腹で撫ぜるのみのそれは、壊れぬか確かめるようであった。]
此方こそ。その時を、楽しみにしております。
[ 影の、黒曜石に似た瞳が一時、硬度を放棄して細められた。柔く弧を描く唇も、穏やかな感情を示す。]
[均す事を得意とする影輝の竜から感じる微かな波紋は青年の砂地に波の形を浅く残した。心の揺れる動きを好む精神の竜は奥底を覗き込む無作法はせず、穏やかな笑みと眼差しを差し出された手に向ける。
触れた指先に伝わるのは紙に触れ固くなった手指の感触、微かに耳に届くのは青年の力を押さえる為の装身具である腕輪と指輪を繋ぐ鎖の微かな音だろう]
それならばよいのですが。
ええ、またいずれ。無事に勤め終えるよう祈っております。
[上げた視線はやはり黒曜石に似た瞳に向ける事はなかったが、顎を捕える視線は柔く弧を描く唇と穏やかな感情を受け取った。
青年が此処にいる事実が随行者としての無事を祈る定例句に僅か反語めいたが、言葉自身は偽りなく*告げられた*]
[共に着いてゆきはすれど、途中で別れ、竜皇殿から離れる。
建物を出て、向かう先は本を取り扱う店。]
[賑やかな竜都は、少し浮き足立っているようにもみえる。
先にも通った東西の道を、店舗を探して歩いた。]
……あぁ、ここですね。
[漸く見つけたその店に足を踏み入れる。
先刻までの様子とは違い、いつものような穏やかな表情であった。]
[ 去りゆく青年の姿を瞳に映す。それが消える頃、ノーラは目蓋を下ろした。
述べられた定例の句。十五竜王が一堂に会す場が平穏無事に終わるとは思えねど、今は一時、樹の幹に凭れて憩いの時を過ごす。
木と光の生む陰と一体になった存在は、枝を彩る木の葉の如く、*静かに揺れる*]
[やがて一冊の本を取り、それを購入すると、オトは再び竜皇殿に戻る。
天を見上げると、空はあおく、翠の目は硝子ごしその色を映す。]
[手に持った書物は、古くからの記録の書。
名簿に書かれていた精神の竜の方が、さまざまな事を知っているけれども、そう簡単に向かうわけにもいかない。
さすがに重いその本を持ちながら、立ち止まるはほんの一時。]
[一度、暗闇に隠れた翠の目は、天を見はしない。
手元の本に落ち、それから周りを眺めた。
さまざまな属性の竜が居るこの地の喧騒は、不快ではない。]
――……
[しらず詰めていた息を吐いて、向かう先――戻る場所は*竜皇殿*]
[そう、と、風が吹いたようであった。
天を見た翠の目は、闇色を帯びて。
閉めていた鍵をくすぐり、内側へと入り込む。]
[感情の波のように錯覚させるほど、それは容易く。]
[その目が見たのは、誰の姿か。
否、誰の――などとは、必要もない。そして見たのか否かも、風が流してゆく。
抗うことのできない、優しさに隠された感情。]
オティーリエを選ぶか
オトフリートを選ぶか
選べるものはどちらか
選べぬものは"両方"
片を望めば片は哀しみ
片を失えば片は苦しみ
片割れでは足りないのに
両方が揃っていなければ
二人の"オト"は一人で足りず
昔に望んだのはもう一人の"オト"
[開かれた扉からあふれた、ずっとずっと中にしまっていた願い。
かなうこともないと、割り切っていたはずのそれは、容易く幾つもの鍵を開けてしまった。]
[吹いた風はどこかへ消える。]
[願いが心を巡り、天のあおは閉ざされた。
代わりに開かれたこころが、感情を作り出してゆく。
魔族としての部分を押さえるために、消していたそれは――闇よりもくらく、心の中を駆け巡った後に横たわった。]
[流れていた風のような"何か"の存在など、そこには欠片も残されなかった。
あきらめたはずの願いを叶えるのに、何が必要なのか。]
[オティーリエは、"知っていた"。
すくなくとも、今は。]
方法は、 ――そばに。
[竜皇殿はそこにある。
その願いを、叶えるために必要なものが。]
[願いとともにあふれ出た感情が隠した下で、警告のようにか細い感情が動いた。
それは本人には届かない。
心をつかさどるものには伝わったかもしれないが――意味を成すことはないのだ。
そうしてすぐに、隠され、閉ざされた。]
[暗翠の目がとらえた竜皇殿は、何一つかわらずそこにある。]
[だけれど、それを奪う力は――しっかりと今、体の中に*息づいた*]
中
…昨日の竜王の事思いだすと本気で失踪しそうなのが。
思い出すと吐き気が。
思考固まってまともにログ見れなくて方向転換も出来なかった。今も見れない。
各位、特にノーラとオトにはあらためて謝罪を。
メモでまた謝りたおしたい気持ちでいっぱいです…ウザイしネガいし雰囲気悪くなるからやらないけど。
…ほんとすいません。
もう命竜王は動かさない。
聖霊竜神系、かつ設定がこまかいシリーズは以後自粛する。
今はとにかくクレメンスにだけ集中する。
村に入った以上逃げはしない。が。
久々に立ち直れん。
時間たてば回復するかな…。
[青年の姿は東殿のテラスにあった。気配を消した青年の姿が動く事なく佇めば、宮殿を飾る装飾の一つにしか見えず誰の意識にも留まらない]
………。
[対の西殿を睥睨する瞳は紫紺の色彩を晒し、銀縁の眼鏡は胸元に揺れる。何者の干渉も許さぬ会議場は逆に言えば中から外の様子を知る事を阻み、それが段々と赤味を帯びた紫に変わっていっても王からの咎めの心話は入る事はなかった]
[近付いてくる竜皇殿。
王たちは恐らく邪魔をするであろうと、そのようなことは当然であった。]
[闇を帯びた翠の目は、建物を、歩きながら見据える。]
[本の背を掴む手に、少し力が入った。
王の目をごまかせる自信はない。
今が会議の最中であることに、安堵を覚えた。]
[続けて細い銀鎖で繋がれた腕輪と指輪を外すと、青年の瞳はもはや青玉と言えない色合いになった。
長い青の前髪の間から注意深く会議場の封鎖の算段を試みる。結果は秘なる書である青年の禁断の知識と密やかに息づく力を持ってしても、十五竜王揃い踏みの会議場を封鎖するには少し足りないという結論だった]
せめて一人、出来れば二人。
心の力を……得られるならば、可能なのに。
[先に眼鏡をかけ、次いで腕輪を嵌めようとした手が止まった。
あふれ出た感情の波は引いても大きな波形を残し、精神の竜の心に響く。そのさやけきもう一つの感情の波の形も。
半ば伏せた瞼の陰で紫紺の瞳が揺れる。
幸か不幸か、その感情の主である月闇の竜を青年は見知っていた]
[人と会いたい気分ではなかった。
竜皇殿の敷地に入ることは無く、西殿を見る。
その中を見透かすことはできない。]
[願いを叶える手段はそこか。
だけれど、王たちの力を越えるなど――]
[――こえは、先の風よりも軽く、届いた。]
ちから、を。
願いを叶えるための……
[西を向いていた目は、探すようにそこを離れる。
仄暗い翠の目は、決意を秘めた心は、ためらいもなく願いをこえにした。]
あなたは―― あなたも、なにかを?
願いを叶えるための、ちから。
[青年の『願い』と月闇の『願い』が一致するとは限らない。逆に互いを潰しあう事さえ考えられる。
けれど返した心の声は優しいまでにオトフリート、否、オティーリエに寄り添うものだった]
あなたの願いが叶うかは、私にはわからない。
けれど力なら、与えられるよ。
あなたがその心を私に預けてくれるなら。
[テラスへと歩み出て手すりにもたれ、手を眼鏡のつるにかけながら暗緑の瞳を見下ろす]
私の『願い』は――…自由になる事。
その為には必要な力を得る為に、心の力が足りないんだ。だから、
―― …
[見上げた先、常とは違う目。
己のそれもまた、常と違う色を纏うことに気付かず。
心の中で、願いが揺れる。揺さぶられる。]
[悩む時は、僅かだけ。]
私の心、決意。それだけで、願いがかなうなら。
わたしの願いは、あなたのものと異なりますが、
この決意が、力となり――手に入れられるのなら。
[彼女の願いは、"もう一人"――本当のオティーリエと、オトフリートの存在。
それは心の内に、優しさと寄り添う精神の竜に、形を持たずに伝わる。]
わたしの願いも、あなたの願いも、叶うというのなら――
確かに、貴女の決意受け取りました。
願いが叶うよう力を添えましょう。貴女が私に預けてくれる心と同じだけの重さを持って。
[確かにオティーリエの心を受け取り、青年は眼鏡を元に戻した。彼女の暗翠の瞳を通し覗き込んだ心の奥、その決意が嘘偽りなく記憶を消す必要もないと知ったから。
長居すれば誰かに見られるかもしれないと移動しながら、心の声――心話を続ける]
今はまだ準備が整っていません。
後ほど整ったなら、心話でお願いします。
その時に私が…私の心が強くあるよう願って下さい。
[会議場を封鎖する為の算段は既に付いていた。それを進める為の心の力をと願う]
[彼女の奥底にある暗い悦びの揺らぎに何も感じなかったとは言えないが、全ての感情を知る精神の竜がそれを咎めはしない。
誰にでも秘めた望みは在る。
そして青年とて決して赦されない事をしようとしているのだから]
[場所を変える彼の居た場所から、目をそらす。
向かう先が西の建物になるのは、仕方のないことであった。]
わかりました。
その時には、わたしの決意も、心も、あなたの必要なだけお使いください。
願いは違えど、目的は――
[言葉を切って、足を踏み出す。
竜皇殿の中にいた方が良いだろうということと、無用な疑いを避けるために。]
目的は、おなじ。
わたしも、あなたの願いが叶うように――ときが訪れましたら、力の限りを尽くします。
[再び仰いだ天はあおい。
暗い心は、禁忌に手をつける悦びに満足を覚えたか、双眸から色を消してゆく。]
[外見には何一つ、変化は見られないけれど。]
――準備に、手は必要ですか?
[問いかけは、願いを巻き込んだ心が、そっと押し出した。]
そう、目的は同じ。
願いを叶える為にはまず――『力』ある剣を手に入れなくては。
[東殿を降りて中庭に向かいながら、青年は応えを返す。彼女が何処で禁断の知識であるそれを知ったのか密かにいぶかしみながらも問う事をしなかったのは何故か*わからないまま*]
――ありがとう。
いえ。
[感謝の言葉に、軽く返して。
何故その力がそこにあると知っているのか――どこで知ったのか。
問われていたら、彼女自身にも答えることなどは出来ないのだ。]
[置いていかれた知識、育てられた願い。
容易く絡めとられた月闇の竜は、己のうちにかなしむ心があるのも、それが歪みの影響を受け、他に害を及ぼすようなものになっているなど、気付ける*筈もないのだ*]
[にこやかに、翠樹の王とその仔と話すエルザ、その後からきたクレメンスを眺める王と、その脇の赤い髪の随行者は深く頭を下げてお辞儀をした。
そしてザムエルの姿が見えれば少しばかり口元を緩め、だがぴしと伸ばした背筋は崩さない。
暫し自己紹介と雑談等しただろうか、それから王はのたりふらりと西殿を進みはじめ]
王、エミーリェはこの度参られた竜達の名簿を見てまいります。
きちんとぴしっとしていてくださいね?
[言葉に、蛇は尾をふらりと揺らして返事をする。
その後姿を見届けると、従者は陽光の仔竜とも別れて別の場所へと向った。
随行者名簿を見せてもらい、ペラリ、捲くると頭の中に入れる。]
流水、疾風…殿が、まだ出会って居ない方。
影輝殿は翠樹の仔と一緒におられた方でしょうか。
[ひとりごち、きゅ、と人差し指で眼鏡の中央を押し上げる。]
[準備の手は断り、代わりに仕掛けが闇に隠れるよう願い青年は動き出した。散策するように建物の外をそぞろ歩きながら、東殿テラスから確かめた位置通りに極小さな印を結んでいく]
――…これでいい。後は…心の力を注ぐだけ。
[けれど最後の印をつけ終えた青年には難しい術式を組み上げた疲労が静かに降り積もり、今すぐは行えないと判断する。
静かな場所に移動して目を閉じ思うのは、微かに感じていた月闇竜のかなしむ心。『混沌』の領域を司る青年にはそれもまた大切な感情の一つではあるのだが。
物憂げに長い前髪を払う指先は、酷く*冷えていた*]
―― 竜皇殿 ――
[次々と顔を揃えた初対面の随行者達に簡単な自己紹介をして、後は主に生命竜と月闇竜のどつき漫才?を楽しそうに眺めたりしていた所へ、目にも鮮やかな炎の色が近付いてきて、わしゃわしゃと頭を掻き混ぜられた]
わわっ!ちょ、ダーヴ!!掻き混ぜるの禁止ーっ!髪が減る髪がっ!
てゆーか、やらかしたって何さ?!ダーヴじゃないんだからっ!
……え?墜落?いや、あれはほらっ失敗は成功の母だしっ!
[じたばたしながら、顔は楽しげな笑顔のまま馴染みの顔とじゃれあっていたのが数刻前、大地竜に促されてその場が解散の雰囲気となると]
ちょっと探検してきまーす!
[元気に宣言して駆け出した。西殿の中の出入りを許されている部屋は勿論、普段入る機会の無い庭園を覗いてみたり、本殿の近くに寄っていって眺め回してみたり(挙げ句に警備兵にやんわり追い払われたり)と忙しい]
[カツリ、廊下に踵の硬質な音が響く。
足が進むのと同時、カチャリカチャリと鎖が音を立てる。
暫く歩くと、立派な中庭へと出た。
空を仰ぎ、目を細める。]
あぁ、良い天気ですね。
[独り言は、空へと消える。
上に広い空間が開けている事自体に、安心感を感じる。]
─竜皇殿─
[背が伸びた、と認めてもらえて嬉しかったのか、浮かんだ笑みは常より幼いもの。
竜としては既に、青年と呼べる年頃ではあるのだが、その様子には違和はなく]
ま、きっと兄貴が折れるけどねぇ。
昔っから、そうだったし。
[兄夫婦の仲を案ずるザムエルに軽く返して。
場にいた竜王たちにも、形式に則った礼をした後は]
ん、しばらく自由時間なんだよね。
ちょっと、羽伸ばしてくるぜいっ!
[言うが早いか、駆けていく速度は文字通りの風の如く]
─竜皇殿・中庭─
[中庭に誰かいるかとか、そう言った事は一切気にした様子もなく。
そこに植えられた木の一本へと駆け寄る]
ん、ちょっと低いけど、これでいっか。
[小さく呟き、軽く、身体を屈めて地を蹴る。
常磐緑のマフラーが風をはらんで流れ、直後、その姿は一番高い枝の上へ。
その場に立って見回せばそれなりに広い視界と、吹き抜ける風との接触が確保でき、青の瞳は満足げに細められた]
しっかし、会議の間ヒマだよなあ。
なぁにやって、時間つぶそ?
[枝に腰掛け、独りごちる。
ピアは肩の上で物珍しげに周囲をきょときょとと]
[そうと、闇に彼の竜の味方をするように願い、彼女はもったままの本に目を落とした。]
[後戻りなどする心算もない。
ここで何もしないほうが、後悔に繋がるのだから。]
[彼女の中にたしかにずっと生きていた、片割れの残滓。
それはもう既に無いに等しいものでもあったけれど。
彼女の願いと、その片割れの願いが、重なることはない。]
[そして、大切な人たちもまた同じ。]
[育った願いに彼女は気付かず、そして今度こそ、竜皇殿の敷地の中へ、足を踏み入れた。]
[ 竜の時間の流れは曖昧だ。
揺蕩う影となれば、尚更に。
見えぬはずの巡りゆく風の流れを、開いた眼差しが追う。
布ははためかず、顔を覆う髪は、それを露にする程には靡かぬ。それも影の一つであるが故に。
流れに乗り、ゆっくりと、ノーラの歩は進められた。]
―竜皇殿:入り口―
[本を持ったまま、中へと入る。
どこかで読める場所はあるかとあたりを見回した。]
……どこか椅子があれば良いんですけど。
[そうして壁に沿い、どこかにないかとゆっくりと歩を進める。]
[ふと風が気がして、顔を向ける。
上方に小さな猿と人の姿が見え、思わず表情を崩しかけたけれど、くいと眼鏡をあげて口を引き絞り、そちらへと歩み寄った。]
こんにちは。
ええと…
[随行者名簿を頭に思い出し
該当者を、探して――]
ティル=ビルガー殿でしょうか?
[聞いてみた。]
―竜皇殿−
[ザムエルらに促されはしたが、自身は用があるからと外へ抜け出す。
もっとも敷地内から出ることはせずに。
ふらりと緑のある庭、なるべく竜の気配のないほう、ないほうへと、自然足は向く。
庭にある木。その青葉をなぞる。
触れた若い一葉を常の笑みを湛えたまま、
−―――――ぶつり
音をたてて切り離した。
笑みは絶やさない。]
[毟った葉から感じる、虫より小さな気配とすらもいえぬもの。
常に己の傍に纏わり付くように在るソレと同じものが、この葉の中にもあった。]
…。
[張り付いた笑みはまだ崩れない。]
……ん?
[呼びかける声に、一つ瞬く。
感じる気配は、実はわりと身近なもの。
愛用の武器──『風雷棒』に埋め込まれた、雷の力を込めた金剛石のそれと似ていたから]
そうだけど、だーれー?
[下を覗き込みつつ、問いかける。
常磐緑が、風に揺れた]
[覗き込まれた顔に、真っ直ぐな視線を向ける。
風に揺れた髪が額にかかり、それを指で左右に分けて耳にかける。
邪魔にならぬよう編み下された髪も揺れ、体に巻かれた鎖に触れてカチャリと音をたてた。]
エミーリェ・アパトと申します。
雷竜王がケツァルコアトル様に随行して参りました。
[上へ向け、声を返す。]
[西殿を離れて後は竜皇殿を出、商店街を見て回る]
あの仔らには何を土産とするが良いかのぅ。
[来る時に地竜王と会話した、里の仔竜達への土産物を探す]
読んで学び、触れて学び。
刺激となるものが良いのぅ。
[店主に訊ねたり実際に読ませてもらったりと、ザムエル自身探すことを楽しんでいるようだ]
[ 風の流れに沿い、人の流れを遡り、路は殿に至る。
ぷつり、喧騒の途切れる場所があった。その先は聖なる宮であるから、一般の者の出入りは少ない。
距離を置いて眺める宮殿には清廉な気配が漂う。属こそ違えど、均衡を望むという意味では、影輝にも近しいところがあった。
立ち止まり暫し黒曜石の瞳に映した後、影は敷地内へと入った。]
[一見何も起きてはいない。何時もの様子と変わらない。
だがクレメンスには、傷ついた指先に周囲を漂うソレが集まり、瞬時にその傷を癒すのが、よくわかった。
おそらくソレを知覚できるのは、今はクレメンスのみ。
そしてその様子に何も動じないその様は、それが日常的に行われている事だという事を表していた。]
…っは。
[ため息と共に、変わらない笑みが崩れた。]
やっぱ、戻らないとよかったな。
[そこには常の彼は居ない。]
あ、やっぱり。
[雷竜王の、という言葉に、小さく呟いて、よ、と言いつつ立ち上がる。
とん、と枝を蹴り、ミリィの前へと降り立った]
名前、知られてるっぽいけど。
嵐竜王の随行代理のティル=ビルガーだよ。
こいつは、風獣王の眷族のピア。
[ぴょこり、と礼をしつつ、小猿の名も伝える。
青の瞳は、巻きつけられた鎖を不思議そうに見やっていた]
―― 竜皇殿・門内 ――
怒られちゃったなあ、ちょっと覗いてみたかっただけなんだけど。
[肩の機械竜に愚痴りながら、本殿から門へと向かう道をとぼとぼと歩いている]
次はどこに行こうか?まだ見ていない場所ってあったっけ?
[けれど気分はすぐに切り替わったようで、次の興味の対象を探そうと視線はきょろきょろと辺りを巡る]
―竜皇殿:敷地の内側―
[東の方に向かい、まわりを眺めながらゆこうとして。
そっと感じた気配は対の一つだからこそわかりやすく。]
ノーラ殿
[軽く頭を下げる。
それから上げ、中を見たときに、金色の頭が見えた。]
……エーリッヒ殿も。
自由時間に皆様なにをされているのでしょうか。
[今更気になったというように、少し不思議そうな顔をした。]
えぇ、随行者名簿を先程。
ピア殿、今日は初めまして。
[背を伸ばしたまま、頭を下げる。
顔を上げたあと、人差し指で眼鏡を上げてまたぴしりと背筋を伸ばして]
嵐竜王様には未だこの度お会いしておりませんが、お変わりありませんか?
[ニコリ、口元に硬い笑みを浮かべた。]
あ、こんにちは、オトフリートさん。
[行く手に姿を現した月闇竜に、にこりと笑って駆け寄っていく]
探検してたんです。オトフリートさんは…読書ですか?
[手にした本に目を止めて問い返した]
いえ、本を買って来たのです。
今から読書にしようかと思っておりましたが。
[微笑んで]
探検ですか。
色々な場所にいけましたか?
そっか、名簿あるんだっけ。
[今更のように呟く。
頭を下げられたピアは、肩の上でぺこ、とお辞儀を返した。
一応、風獣王に連なるもの、としての矜持とかあるらしい]
ああ、兄貴?
特に変わってないっぽいよ。オレも、会うの久しぶりだったけど、相変わらずだったし。
[硬い笑みには気づいているのかいないのか。
返す言葉は、大雑把]
オト殿。……エーリッヒ殿。
[ 声を発した当人と同じだけの間を置いて、影は名を紡ぐ。
ゆったりとした歩みで近くに寄る頃には、エーリッヒはオトフリートの元に辿り着いていた。]
私は散歩ですね。
アーベル殿……心竜王様の随行者殿も、そうであったようです。
[ 影の眼差しは対の一から、機鋼の竜へと転じられる。]
探検、それは楽しそうですね。
[想定してないわけではなかった。だか大丈夫だと思っていたし、何より竜王はともかく月闇の竜には会わないかもしれないと、思い込んでいたのかもしれない。
けれど嫌な予感はなんとやら。
見かけた時の内心は、穏やかではなかった。
会えば―嫌でも意識せずにはいられない故に。
遥か過去に置き去りにしたはずの、己が心とその願いに。]
あーあ…。
[がり、と首の後ろをかく。
久しぶりの邂逅は、クレメンスの内側を揺らした。
それでもいつもならば、こうして一人頭を冷やしていれば治まるもので。
だからあの場を離れたというのに。]
ノーラさんも、こんにちは。
[影輝竜にも笑顔を向けて、二人の言葉に頷く]
いつもは入れない場所に近付けるから、面白いですよ。
でも、本殿を覗き見しようとしたら怒られちゃいました。
[ぺろりと小さく舌を出す。機械竜がカシャカシャと羽ばたいて、呆れたように瞳を青く明滅させた]
[自分と同じように頭を下げた猿に、
思わず口元が緩んでしまいそうになり、また、慌てて硬く引き結ぶ。
ティルの口ぶりに、深く頷いて]
お変わりないのは良い事ですね。
翠樹の竜王と陽光の竜王にはお会いになりましたか?
小さなお子を連れておられて、驚きました。
[本人は雑談しているつもりだが、口調はまるで参考書を読み上げるようだ。]
それは怒られるでしょうね。
[エーリッヒの言葉に、小さく笑う。]
今は会議で忙しいでしょうし。
竜王方の邪魔になるような場所は、きっと見られなかったでしょう?
―竜皇殿―
[竜都の心の坩堝と逆の静寂を求め、気配なく青年は建物の外を散策していた。心の動きを押さえれば動く彫像のようなもので、佇めば景色の一部に溶け込んでいただろう。
途中で随行者に出会いそうになれば踵を返していたから、その軌跡は青年の領域に相応しく混沌とも言えるものだった]
……疲れたな。
[事情が事情ゆえに力強い随行者が多く【心の間】とは異なる。
それでもやがて静かな場所を見つけ、目を閉じて佇んでいた]
まあ、兄貴がいきなり気が利くよーになったりしたら、それはそれで気味悪いけどなっ。
[あっけらかん、と言ってのける一言は、身内故の気安いもの]
ん、ちょこっと挨拶はしたと思ったけど、ちゃんと話してないなあ。
んでも、ちっちゃい子とか、会議の間どーすんだろ……。
[会議場には、竜王以外には入れないわけで。
その間の子守はどうするんだろうか、とかある意味余計な事を考えつつ]
……ってゆーか、さ。
おねーさん、なんか、無理してる?
ギュンターさんは、
お怒りになると恐ろしいですからね。
[ 口調は先に似て、けれど僅かな幼さを帯びる。それは歳を経たものと、未熟なものとの差異であろう。
青の眼を明滅させる機械竜に、ノーラの手が持ち上がり、黒布を押えるように折っていた指が伸びた。]
こちらは、エーリッヒさんが創ったものでしたっけ。
[あまり荷物にならないよう、大きなものは買うことはなく。購入も帰りが良いだろうと数もあまり買わなかった]
会議が終わるまではもう少し時間があるしの。
後はのんびり過ごすとするか。
[小さな袋だけを手に、商店街の商品を見回りながら竜皇殿のある方向へと歩み始める。買い物をする姿は孫に土産を買う爺状態だったが、そんなことは気にしない]
ああ。
読書をされるおつもりだったのなら、
お邪魔してしまったでしょうか。
[ 触れる寸前で手は止まり、月闇の竜へと首を巡らせて問を落とす。]
書は知識の集まり。良いものを得られますよう。
―― 竜皇殿前・敷地内 ――
ちょこっとだけ覗けないかなって思っただけなんですけど。さすがに竜都の警備は厳しいですねえ。
[オトフリートの笑みに笑顔で応じて]
そうそう、会議場の近くではギュンターさんが頑張ってて、なんだか俺、廊下の端っこを通っただけで「会議の邪魔はまかりなりません!」て、怖い顔で睨まれちゃったんですよ。
きっと、うちの機竜王が、余計なこと言ったんじゃないかって思うんですけど。
[恐らく機竜王は、事実を告げただけだと思われる]
[閉じていた瞼を上げたのは、対である生命の心の揺らぎを捉えた為。青年はもう一度瞼を閉じて、その心の動きを追いかける。
月闇の竜から感じたものよりもそれは弱く、未だ揺れる余地がある事を感じさせた]
……。
[『感情』を司る月闇の協力は既に得られた。申しかけは施してあり実行するだけの今、声を掛けるかどうか迷う。
その心の動きは青年の消えていた気配を微かに揺らがせた]
ああ、いえ。
場所を探すのも大変で。
どこに椅子があるかと、考えていたのです。
[ノーラにそう告げると、あたりを見回す。
近くに椅子はない。]
ギュンター殿が見張りでしたか。
それは、様子が浮かびます。
[来た時にみた様子を思い浮かべて、くすりと笑う。
それから思いついて、]
エーリッヒ殿、探検の中で椅子など、見かけませんでしたか?
ええ、こいつは俺が産まれて初めて創ったモノなんです。
[ノーラに機械竜について問われると、嬉しそうに紹介する]
ユル、ご挨拶して。
[促された機械竜は、カシャカシャと羽ばたくと、瞳を明滅させた。その色はめまぐるしく移り変わり、最後に影輝の貴紫を映して光る]
会議の間は…何方かと一緒におられるのではないかと。
翠樹のお仔は、もう一方随行されておられたようですし…。
[言いながら、口元に軽いこぶしを当て
続いてかけられた言葉には、ぱちりと目を瞬いて]
いえ、無理など。
このエミーリェ、きちりと全てこなしておりますよ。
[気が緩んだのを気取られたかと、表情を引き締めた。
ちらりとピアの様子をたまに見る様子は、気になる様子を隠しきれていないのだが。]
/*
本当ならミリィのところにでも行きたいんだが、入り口で固まってるからそこで一旦引っかかりそうなw
まぁ引っかかっても良いんだが。
ノーラとちゃんと顔合わせてないし。
―――――――――――。
なん、だ?
[溢れるように。
内側から漏れ、零れるのは遠い記憶の欠片。
クレメンスの願いの、その源。
今の今まで、忘れていたささやかな出来事すらも、鮮明に脳裏を過ぎった。]
椅子、ですか。
広間……にありはするでしょうが、
それでは人の行き来があって落ち着けないでしょうね。
庭に腰を落ち着けて、というのもまた、しかり。
テラスの傍にはあったようにも思いますが。
[ 頭を僅かに斜めへと傾け、言葉を選びつつ、記憶を探る。]
[感情を封じ込めるすべなど、もうこの身に染み付いている。
初めて会った彼らに、付き合いの浅い他の竜たちに、そのあたりは伝わらない。
己のあり方に内心で少し笑った。]
[心は揺れる。
それでも、それは激しい動き方ではなかった。
少し傾いたまま、ゆるくゆるく、うわべに押し隠されて。]
─竜皇殿・中庭─
まあ、何とかできなきゃ、連れてこないかあ。
[そこら辺は人事のためか、特に気にした様子もなく]
んー、きちりとかっていうんじゃなくてー。
[青の瞳と、ピアの茶色の丸い瞳と。
両方がじい、という感じでミリィへ向けられ]
あーうー、なんつーか、押さえてる?
自由じゃないなあ、とか、そんな感じ?
[上手く言葉にできず、何となく物言いは曖昧に]
―― 竜皇殿前・敷地内 ――
椅子ですか?庭にはベンチがありましたけど…
[言いかけて、ノーラの言葉に頷く]
うん、今は警備兵や会議の関係者が沢山行き来してますからねえ、落ち着けないのは確かかも。
落ち着けないのは、困ってしまいますね。
[肩をすくめ、エーリッヒにも礼を。]
ですが、探してみます。
読み終わるとは思えないのですけれどね。
[見せた背表紙は、5センチ以上はあるものだった。]
─竜皇殿西殿・議事場前─
では、主様。私は竜都にて待機しておりますので、御用命がございましたらお呼びくださいませ。
[そう言って一礼し、議場をあとにする。]
―竜皇殿・中庭―
ふふふ。性分みたいなものでしょうからねえ、ミリィのそれは。
[水晶の扇子を片手に、中庭へと現れたブリジット。
幼さの残る風竜へと、穏やかに微笑んだ]
はじめまして、ユル?
[ 一風変わった羽ばたきの音と明滅する色に、ノーラの意識は機械竜に寄せられた。伸ばした指先がその身体に触れる。竜の皮膚とも人の肌とも感触は異なり、体温はやはり、なかろうか。
全ての色を集めた黒の瞳は、踊る色彩を零さず写し取る。終わりには貴紫に留まったのを見、驚きを孕んで、瞬いた。]
属の本質がわかるのかな、賢い子ですね。
―――――――――――。
[顔を伏せ、片手で覆う。
止めろと、己の内かける静止は声にならない。
記憶はまるで嵐のように駆け抜けてゆき。
全てが自分を通り抜けた時に残ったものは。
懐かしさと、後悔と。
愛と、憎しみ。]
[渦巻く乱れた心の中で残ったそれらは、小さな棘のように内側に残り。
長い時をかけて少しずつ、忘れかけていたものが。
過去にもどったかのように、脳裏に焼きついた。
ずると、先ほど手にした葉の元に背を預ける。]
…。
[笑みはない。
ただ、内に蘇った強い願い、想いに、流されないようまだ、抗った。]
……え?
[唐突な声に、きょとり、としつつそちらを振り返る。
視線の先には、先に会った氷竜の姿]
わ、びっくりした……。
って、性分?
[驚きは一瞬、興味の対象はすぐにかけられた言葉へと移る]
─竜皇殿─
[ややあって辿り着く竜皇殿門前。一番最初に目に付くのは、入り口傍で会話する三竜]
自由時間に成すは皆交流かのぅ。
[良きかな良きかな、と笑みを湛えながら竜皇殿敷地内へと足を踏み入れた]
[ティルの言葉に、口元を緩めてしまい
はたと手で隠した。]
自由、というのが疾風竜らしいお言葉ですね。
抑えて…は、はい、そうですね。
全てを平らに見る為には抑える必要があります。
基本的に、感情より理性で動かないと。
[言いながら、チラチラと目はピアの方へ。]
[会議の行われている西殿からできるだけ離れたその場所は、今もまだ静かだった]
ううん、慣れていないだけ。
もう大丈夫。
[クルゥ、と鳴く白鳩を撫でる]
行こうか。中庭なら誰かいらっしゃるかもしれない。
[左腕に白鳩を抱いたまま、背を離して歩き始めた]
― →中庭 ―
そうそう、性分。
自由じゃないとか、意地っ張りとはちょっと違ったりするのよ。
[穏やかな、緩い笑みを浮かべながら]
そこの雷竜さんは、どうやらお連れさんが気になる様子よ、風竜殿の。
[ほんの少しだけ、からかう様に呟くと、疾風竜の傍らのピアにも手を振った]
[かけられる声に片手を挙げ笑みながらそちらへと近付く]
里の子達に土産をと思うてな。
あれこれ眺めて来たが、遊具となると儂では何が良いのが分からぬのでなぁ。
書物で良さそうな物をいくつか目星をつけてきたのじゃ。
じゃが書物は少々かさばるでの、会議が終わってからにすることにしたわい。
[訊ねてくるオトフリートに笑いながら返す。笑ったことで手に少し力が入り、小袋がかさりと小さな音を立てた]
平らに……。
んんと、公平なる裁定、のため?
[雷撃という属、それが表す領域を思いつつ、問う。
向こうは向こうの『律』に即してるのかなあ、などと考えている傍ら。
向けられる視線が気にかかったのか、ピアはぴょい、という感じでミリィへ向けて手を伸ばした。
あわせるよに、尻尾もゆらゆらり]
[感情を抑えた月闇の心は今は遠く。
近く感じるのは生命の大きな揺らぎとそれに抗う心の動き。
今ならば掠め取るのも容易いと精神の手が伸びる]
オティーリエ、あなたの心を。
[一度入り込んだ心は結び付きを生じさせ、間違いなく彼女に心の声は届く]
あぁ、ブリジット殿。
性分、で片してしまうものではないです。
行動には理由があってですね、きちんきちんとしないと後々泣きを見るのですよ?
[口調はぱきぱきとしつつも、
ブリジットに向けるめがねの奥は幾分か柔らかい。]
お久しぶり、です。
――はい。
[届く心の声に、返事をする。
どうすれば良いのか、よくはわかっていない。
しかし、そちらへ力が届くよう、願う。]
[氷竜の言葉に、きょとり、とまた瞬いて]
そうなんだぁ……って、ピアが気になる、て?
[こちらは気づいていなかったようで、改めて、ミリィに手を伸ばすピアを見やる。
ピアは氷竜にこたえるように、そちらへ向けてゆらり、と尻尾を振った]
[『揺らすもの』はただクレメンスの、時と共に培われた殻にひびを入れただけ。
干渉を受けた、など露も知らず。
内の波に飲まれまいと耐える心は、折れはしないが乱れ揺れる。
だから、自身の近くに伸びた手に、気づくのにはいくらか、遅れた。]
さまざまな遊具がありますから。
老君が買い求められたものでしたら、きっと気に入られることでしょう。
[微笑んで、それから音につられるようにその袋を見る。]
……さて。
[そうして廊下を歩きつつ、思案。]
待機していますとは言いましたが……何かが起きる予感がするのですよね。
それこそ、竜都に留まれなさそうな。
さて、困ったものです。
子の興味は何に移るやら、解しがたいからの。
此度の随行者には、諸王様方の御子も居られるようじゃて。
訊ねてみれば、何かしら得られるかもしれんの。
[ 思い出すのは、翠樹の仔と陽光の仔のやりとりであろう。
ザムエルの言う里の子よりも大分幼いのかもしれぬが。]
エーリッヒに聞いてみるのも手かもしれんな。
機械がよいと答えられるかのぅ。
[ 終わりには僅かばかりのからかいが滲んだ。]
ミリィは相変わらずね、本当に。
もう少しゆっくりしても良いでしょうに。
[変わらない様子に、くすくすと笑って]
はい、お久しぶり。変わりがなくて何よりよ。
[久々の旧友との再会に、楽しそうにしている]
ふふふ。そちらの方――ピアさんと仲良くしたいんじゃないかしらね。
[風竜ににこりと微笑みを向けた所で、新しい影に気付く]
おや……天竜の、でしょうかね。
[白い鳩を伴った天竜を見かけ、穏やかに笑いかけた]
[ピアが手を伸ばすのを見て
思わずカチャリと音を立てながら手を伸ばし、その小さな手に指を絡ませようとする。
綻びそうになる表情を引き締めるのに、ぴくぴくと頬は引きつったりする。]
可愛い、ですね。
[中庭へ回ると、一本の木の側に数人の姿が見えた]
ブリジット様。
[向けられた穏やかな笑みに、そちらへ向かいながら、静かに頭を下げる]
エミーリァ様、ティル様も。
ご歓談中であらせましょうか。よろしければ共に話を聞かせていただけると嬉しく。
……ふふふふ。
[ブリジットは水晶の扇子を広げて、口元を隠す。
ミリィが微笑むのを我慢する様子が可笑しかったのだろう]
顔と言葉を一致させても良いのではない?ミリィ。
[オティーリエから向けられた心を引寄せ、広口の袖の内で封印を外す。腕輪に連なる指輪が音もなく揺れた。
心の臓と強く関わり在る生命から掠め取る力と、心に生まれる感情を司る月闇から預けられた決意。両者の心の力を青年は己の力とし、竜王達を封じ込める陣へと注ぎ込む。
揺れる心の共振は知らずクレメンスの心にも結び付きを生じさせ、心話を三人の間で交わせるようになると言う副作用も生んでいた。細心の集中を払う青年は未だそれに気づいては居なかったが]
――…封じよ!
[心の――精神の力を禁忌の陣へ注ぎ込む。
最初の一つに注がれたそれは一つから二つ、二つから三つ、気付かれぬよう緩やかに全ての印に*広がっていくだろう*]
[その場に居た三竜の一人であるノーラに頭を下げられ、こちらも会釈を返す]
お主は……樹竜王様のお子の傍に居った者じゃな。
纏う気配は樹竜のものでは無いが…。
しもた、随行者名簿をまだ見て居らんかった。
[ぺち、と右手で額を叩く。尤もバンダナがあるために音はしなかったが]
儂の感覚で良いのであれば良いのじゃがの。
随分と子達との感覚が違うところもあるから不安なのじゃが。
[オトフリートの言葉に僅か苦笑が漏れる。視線が己が手の袋に向かっているのに気付くと]
おお、そうじゃ。
竜王様達のお子やご兄弟にどうかと飴玉を買ってきたのじゃよ。
里の子達の土産にもなるかと思うてな。
オトフリートも食うかね?
[小袋の口を開け、オトフリートへと見せる。中には色とりどりの飴玉が沢山入っていた]
そう、いろんなことを知ってますから、ユルは。
[影輝竜に賢いと言われると自分のことのように嬉しげな表情になる。そうして、やってきた大地竜の姿に、にこにことまた笑みを見せた]
こんにちは!ザムエルさん。お土産探しですか?面白そうだなあ。
[エルザの姿を見かけると、]
歓談というよりは、何でしょうね。ふふふ。
仲良くなりましょうの会、とか。そういうものかしら。
[楽しそうに、またゆるりと微笑んだ]
[天竜の、とのブリジットの言葉に
目を細め、視線を移す。
認めれば頭を下げてお辞儀をし、顔をあげて眼鏡を指で押し上げた。]
こんにちは。
[己が言葉に対し返すノーラの言葉が見た目と違い老獪なものであるのに僅か驚いたような表情に]
ほむ、不思議なものじゃ。
まるで儂がもう一人居るようじゃの。
[物珍しげに顎鬚を撫でノーラを見つめた]
しかしてお主が申すことも尤もじゃな。
エーリッヒについても、納得じゃ。
[かっかっかっ、と楽しげに笑い上げた]
ピアと?
[氷竜の言葉に、雷竜と相棒とを見比べる。
雷竜に可愛い、といわれたピアは、嬉しそうな様子を見せた]
なら、遠慮しなくてもいーのに。
[軽く言いつつ、やって来た天竜の方を見やり]
や、ども。
[右手を上げつつ、軽い挨拶を一つ]
そうなのですか?
……勉強の本は嫌がられるかもしれませんね
[くすと笑って、それからすすめられた飴に瞬いた。]
飴玉ですか。
たくさんお買いになったのですね。
いただいてもよろしいのですか?
[老君に伺う。
それからやがて、本を読むためにテラスのほうへと足を向けることになるのだった。]
エーリッヒはいつも元気じゃの。
[穏やかな笑みを浮かべエーリッヒに頷き]
商店街には色々な物があるでの、なかなか面白いぞい。
お主も見て回ってみるが良かろうて。
里の子達の土産には何が良いか、一つ案をもらえると嬉しいんじゃが。
お主じゃったら何をもらえたら嬉しいかのぅ?
お子は何やら、お気に召されたようでの。
光栄なことじゃて。
[ 影に隠れ、しがみついてきた幼児。今は眠りの淵であろうか。]
挨拶がまだじゃった。
影竜王の随行を務める、エレオノーレと申す者。
普段はノーラと呼ばれておるが。
[ 胸に手を当て、先程より深く礼をした後、大地竜の視線を受ける。その反応に、ノーラの表情に、微か笑みらしきものが浮かんだ。]
影じゃからのぅ。
今は影でしかない、とも言うべきかもしれん。
[心の力とやらは、それなのか。
どこか彼らと共にいるのに、意識が定まらず。
軽く焦って、その場を辞すことにした。
まだ、こえの使い方には慣れていないけれど、そのまま繋がったもう一人の声を聞くのは、そう遠い話でもない**]
いやだなあ、俺が機械弄りばっかりしてるみたいじゃないですか。してますけど。
[ノーラとザムエルの会話には、屈託なく、あはは、と笑って]
わあ、綺麗な飴ですねえ。どうやって創るんだろう?
[ザムエルの開いた袋の口を覗き込んで、目をきらきら]
創られたものがそうであるのだから、
創ったエーリッヒさんも、そうなんだろうね。
[ 機鋼の竜とは異なり、影の笑みは単純な喜びではなく、包むものだ。
ノーラの齎した情報の通りに足を向けるオトフリートには、よき一時を、との言葉を送り、その後ろ姿を見送ることとなった。]
そこなんじゃよなぁ。
知識を得るは己がためじゃといつも言っておるのじゃが。
[いつも指南する時のことを思い出して苦笑が漏れる。飴玉について訊ねられると]
おお、もちろんじゃ。
食べたい者が食べるが良いしの。
好きなだけ持っていくが良い。
[そうオトフリートに告げて。飴玉のやり取りをしてからオトフリートの姿を見送った]
顔と言葉は何時でも一致していますよ。
[きりと水平に眉をして、ブリジットを睨むように見る。――勿論、怒ってなどいないのだが。
嬉しそうにするピアに緩みそうになる頬を引き絞り、エルザの方へと視線を向けた。
…手は、ピアの咽元を擽ろうと伸びていたが。]
[押し付けられた力は、瞬時掠め取られる。
めまぐるしい己が内の変化に、ついて行く事すらままならず。]
…なんだ、今のは。
何が―――いや。
誰だ?
[思わず、口に出して問う。
その問いの前に聞こえた、「封じよ」と紡がれたあ何者―いや、予感はあった。声の主は知らないが、感じるそれは己と対のもの―かの呪。
それに微か、眉を潜める。
一体何が起こったのかと。
状況を瞬時把握しようとする冷静さは、長い年月が寄越したものだったかも、しれない。]
[ 否定の後の肯定、さらにはその後の幼い反応。
老人でなくとも微笑ましく映るというものであろう。]
機械だけじゃなくて、物の出来よう全てかな?
[ 言いながらもノーラは彼の覗き込むさまを傍で見やり、オトフリートに渡される飴玉にも、視線は移ろうのであった。]
案ですか?そうだなあ…俺なら、見た事のない物を見たいと思いますけど。例えば、この竜都の風景とか。
[大地竜に問いかけられると、少々無理と思われる答えを返して笑う]
ほっほ、気に入られたか。
樹竜王様が会議中の間は、お相手することになるじゃろうかの?
[ノーラが返す言葉には柔和な笑みが浮かぶ。相手から挨拶をされるとこちらも深く頭を垂れて]
なるほど、影竜王様の随行の者じゃったか。
儂はザムエル、地竜王様の随行を務めて居る。
ノーラ殿じゃな、今後よしなに。
ふむ、影じゃから、か。
相対する相手を写し取り己がものとする。
そのようなところじゃろうかの。
[伸びてくる手を茶色のまん丸瞳が見つめ。
小猿はそれを避けもせず、おとなしく受け入れ態勢]
ピアは、撫でられるの好きなんだから、遠慮とかしなくてもいーんだぜ?
まあ、野郎だときーきーうっさいけど。
此処に居ても仕方ないかな。
[ふっと息を吐き青年は歩き出した。木々の影を抜け、逆に気配を辿りながら歩く。その一つに懐かしいものを見つけ、足は自然と中庭へ向いた]
ブリジット殿。
[恩義を感じている相手に視線を合わさぬまま軽く頭を下げ、歓談中の方々にも会釈する]
エミーリァ殿、ティル殿、エルザ殿もご歓談中でしたか。
仲良くなりましょうの会。
どのようなことをすれば良いのでしょうか。
[歓談とは別らしいと考え、真面目に聞き返す。
雷撃竜の視線には軽く首を傾げかける]
お主はいつも機械の話をするじゃろうて。
[エーリッヒの言葉にかか、と笑う]
ほむ、見たことの無いものか。
それは確かに良き刺激ともなり得るのぅ。
しかし竜郷の風景を、か…。
そうなると画集か何かが良いのかのぅ。
[得られた案にしばし考え込む。その後にノーラとエーリッヒが飴玉に興味を向けていることに気付き]
おお、お主達も食べるかね?
[そう言って小袋を差し出した]
アーベル様。
[名を呼ばれて振り返り、小さく頭を下げた。
雷撃竜の視線から意識が外れ、僅かに安堵を覚える。
表に出るほどではないが、気付くものは気付くだろう]
[新たに向けられた、声。
覚えのないそれがごく自然に自分の名を呼ぶのに、きょとり、と瞬き一つ。
もっとも、こちらは知らずとも、相手が知っている事があるのは先のミリィとのやり取りでわかっていたので、気にした様子もなく。
青の青年に向け、軽く一礼]
あら、じゃあ私も大丈夫かしらね。撫でるの。
[若き風竜へとくすりと笑い尋ねていると]
あら、アーベル。
あなたも変わりないようね。
[ひらりと水晶の扇子を振り、にこりと微笑んだ]
レンズの調子も変わりはない?
……ゆら、と。
発端というべきものは、そんな感じの大気の揺らぎ。
力の流れに過敏なもの、或いは多くを識るものであれば、その予兆はつかみ取れたかも知れない。
そして、予兆を感じた直後に──それは、動いた。
天から落ちる、光の塊。
それは西殿へと、まっすぐ、落ちた。
そこで何が起きたのか、外にいる者には知る由もないものの。
直後に発生した力の波は。
西殿全体をすっぽりと覆い尽くしてしまった──。
天聖の竜王の領域内、しばしの間、そこに満ちるノイズらしきもの。
それがはれた時、随行者たちの下には、それぞれの王の声が届くだろう。
声は、外にいる者を案じるか。
西殿が何者かの力と、突然発生した時空の歪みの相乗効果によって生み出されたらしき結界に閉ざされた事を語って聞かせるか。
それは、それぞれの王と*随行者次第*。
そうか、ノーラさんは影なのかあ…
[何やら納得した様子で、うんうんと頷く。そしてその微笑みに照れたように頭を掻いた]
俺の持ってる知識の大半は、俺自身のものじゃないですから。だから自分の目で沢山の物を見て、知りたいって思うんです。
そして何か、新しいものをこの手で創れたら嬉しいなって。
そうしたら、俺に知識をくれた兄弟達や竜王にも、新しい何かが見せてあげられるでしょう?
[夢を語る若者特有の、熱の籠った口調で語る。その肩では機械竜が優しげに青く瞳を明滅させていた]
懐かれるのは嬉しきことながら、
離れて行かれる時を思えば寂しきこととなろうかの。
[ 笑みを湛えたままとは言え、言葉の通りの感情が僅か過ぎる。
返される挨拶と推測を含んだ老爺の科白に、羽織りし黒布をノーラの指が掻き、引き寄せた。先程までの表情も、ついと消す。]
影は影でしかなく、
己のものとはならんし、なれぬのぅ。
他が在らねば在れず、
他より生まれ、他に還るものであるがゆえにの。
真に影たるものは、“己”と呼ぶべきものが生まれる前に消えるものじゃの。
/*
てきとーですか。
てきとーですよ。
だって、こっちで細々と書くと、赤との干渉が怖いんだもんっ!
三演ではやり過ぎたからなあ……。
このくらいなら、多分大丈夫だと思うんだけど。
[その肩に居る機械竜が、ふいにぽうと青い光に包まれた。それは遥か蒼天の色、天青石の青]
……え?
[機械竜の反応から少し遅れて、視線を西殿へと移す]
[ 老いたる者の如く語り終え、ノーラが差し出された飴玉に、幼くも手を伸ばしかけたときのことであった。
均衡を乱す、光――力が堕ちた。
波が起こり、広まりゆく。覚えるのは、包まれるのではなく、覆い尽くされる、ともすれば喰らわれぬばかりの感覚だ。
揺らぐ。]
ん、大丈夫だと思うよ。
[氷竜に頷いて]
いんや、これ、一応、姫。
風獣王の末の娘だから。
[雷竜の問いには、ある意味飛んでもない事をさらりと返す]
[手から離れた木の葉を見送ったのは、ほんの一瞬前の事。
ぼんやり見送った後は樹に背を預けて半ば船をこぎ始めていた。
どれくらいかの後。
覚醒させたのは己が王の声。]
…あー、姐さん?何突然。
今会議中なんじゃ…
[尋ねる声は平時と変わらず。
というか寝起きなのでどこかぼーっとしているのは仕方ないのか。
声色が、一変するのは王が告げた内容が脳に到達してからの事。]
[歓談にも『仲良くなりましょうの会』にも相応しくない青年は必要以上に近づかず足を止める。疲労を押して現れたのは大きく複雑な陣ゆえの発動までのタイムラグを利用する為に他ならない。
だから誰何の声に反応が遅れた。返すべきか否か迷い、既に心が繋がっている事実に静かに息を吐く]
――…願いを叶える為に動く者、ですよ。
貴方は何を望みますか、クレメンス。
[心の揺れを知るが故に、名を返すのでなく生命竜の意思を計るように問いかけた]
……なに?
[呟き。
風が止まったような、或いは裂かれたような──とにかく、不愉快な、違和感]
なんだよ、これ……気持ち、わるっ……。
[呟きと、光が落ちるのは、果たしてどちらが先だったか]
[エルザの顎に視線を向けて頷き、その心の動きに微かに笑む。
そうしてブリジットからかけられた言葉に背筋を伸ばし頷いた]
はい、おかげさまで。
ブリジット殿もお変わりなく何よりです。
[懐かしそうに彼女の作ったレンズ越しの紺碧が細くなり、ふと天を振り仰いだ]
―――…来る…!
[目を覆うほどの光の塊が落ちる]
ちょ。
なに、今の……?
[零れ落ちるのは、困惑した呟き。
違和感は続く。
相容れない感覚。
捕らえ、閉ざし、封じようとするような。
それは、自身の本質とは決して相容れぬ要素。
自由を奪い、束縛しようとする力の流れ]
…エネルギー反応…unknown
出力…計測不能
発生源……追跡不可
[青く光る機械竜の光に照らされて、青白く染まった顔から普段とは異なる冷徹な声が零れる]
それは確かにあるかの。
今まで傍に居った者が離れるのはのぅ…。
[何かを思い出し表情はやや暗く。長く生き、竜郷を渡り歩くが故にその思いは何度も体験している。それらを思い出しているのだろう。
発した推測に返される言葉を聞くと、考えるように顎鬚を撫で]
ふむ、影は影でしかなく己の物と成さず、か。
なればお主は”己”が無く真たる影にも非ず、か?
何やら難しいな。
[今まで遭遇し得ぬ個であるノーラを前に、識ろうとするように考え言葉を紡ぐ]
[それに対し考え込んでいる最中だった。思考は途切れ、飛び込んでくる感覚に俯きがちになっていた顔が上がった]
……何、じゃと?
[引き摺られかかるその感覚に、そこに踏ん張るかのように気を持ち直す。視線が向かうのは──西殿]
[指は小さな猿の咽元に絡めたまま、精神の竜に会釈をし。
目を天竜の方へと向けようとして――ぴたり、動きを止めた。]
……――何か、ありましたね?
[カチャリ]
[視線を空へと巡らせ、胸元に手を置くと硬質な音がした。]
……風が。
乱れてる。
……兄貴の力が、弱くなってる……?
[呟きながら、空を見上げる。
先ほどまで晴れていたはずの空は、いつの間にか暗い曇天に]
ちょ、マジで何が起きてんだよっ!
―竜皇殿・中庭―
[風竜が束縛の力と感じるように。
氷竜であるブリジットは、"封印"とはまた違う力を感じ、眉を顰めた]
仲良くなりましょうの会は一時お預けですね…
幾人か、ついてきて頂けますか?
様子を見に行きます。
[水晶の扇子をしまうと、西殿の方へと見向く]
…非常事態と認識、封印第一段階、解除。
[落ちる光に目を覆うこともなく、左手の手袋を外す。メタルの輝きを放つ左手の人差し指の先がカシャリと音を立てて、ドライバーの先のような形に変わった]
[生命竜からの答えより早く、発動の気配を感じた。術者なのだから当然だ。
会話をしていなければ必要以上に早く気付いたのを気取られていた可能性もあったが、幸い皆驚きに混乱しその余裕はない。
『混沌』を司る竜は失われた心の力が満ちていくのを感じ取る。
青年の手が封印を抑えたのは虹竜王から心話が届いた為だった]
[腕の中から白鳩が飛び出し、どこかへと羽ばたいてゆく]
な、にが。
[左手を右手で握り締め、強く胸に当てる。
震えを止めることもできぬまま、視線が西殿へと動く]
はい、我が王。
全ての出来事は私の記憶に。
[お前の務めを果たせ。
そう短く届けられた心話に返す心に嘘偽りはない。間違いなく青年は全てを記録できる立場に居るのだから]
あ、オレ、行くぜ!
[ブリジットの言葉に即答しつつ、西殿へと視線を向ける]
なんか、絶対、おかしいしっ!
[言いながらも、既に足は視線の先へと向いているのだが]
[ブリジットの声に、こくりと頷いて]
エミーリェが行きましょう。
せっかく風獣の姫君と仲良くなれる会だというのに、お預けですね。
[全く持って冗談ではなく本気で言い、
ブリジットの横へと歩みを進める。
エルザの腕から飛び立つ白鳩へと目を向けて細めた。]
――全く。
[ 淡い闇は光に還りかけ、薄らいだ影を、繋ぎ止める。
広がった波紋のように空を覆いし雲は天の光すらも遮っていた。]
何が起こったのやら。
ただでは済むまいと思っていたが。
[ 肩口に流れる髪を背へと退け、黒布を掻き寄せて腕を組んだ。]
影は覆いに過ぎぬのだ。
“己”を持った影は覆いの役を担わん。
[ 既に耳に入るかは知らぬが、大地の竜に答えを次ぐ。]
願い、を。
[どうやって、などとは問わなかった。
それはクレメンスにも”知りうる事”だったから。
曖昧に混ざりゆく知識。
緩く首を振る。]
そう、か。
あんたにも、何か願うモノがあるって事か。
精神の。
[干渉し感じる力から、声の主をそう呼んだ。]
…俺の願いは。
願い、は。
[口にするには、以前ならば躊躇っていただろう心の願い。
それは何かを恐れてではなく。口にすれば、永遠に叶わないような気がしていた為。
だがいままで秘め伏せられていたそれは、するりと容易く漏れた。]
俺を裏切った、片割れ、に―――。
[言葉の端は、潰れて消えた。
内に宿る感情は、相反するものが渦巻く。
だから、自分でも今どちらを願っているのか分からなかった。
愛したいのか。
憎みたいのか。
それとも、それらを越えた先を望むのか。]
[その器具の先端が通常とは違うXの形の溝を刻んでいることを見て取ったものはいるか…いずれにせよ、他者に見られているかどうかは頓着せぬ様子で、青年は肩に停止している機械竜の眉間にそれを押し当てる]
UNLOCK!
[言葉と同時に、キュルキュルとその先端が回転して、機械竜の額に小さな孔が開く、そしてその孔の内側から、淡い光を帯びた天青石が押し出されてカシャリと三つ目の瞳のようにそこに収まった]
[精神を司る青年は動揺を見せる事なく、虹竜王からの心話に深く頭を垂れる。
そして顔を上げるとブリジットの声に一歩踏み出した]
私でよければお供いたします。
[一番の適任者であろう『封印』を司る氷破竜に歩み寄りながら、会釈半ばに途切れた電撃竜に視線を流す。その重い鎖に僅か目を留め、青年は再び西殿へ向かう背に視線を向けた]
[風竜と雷竜にこくりと頷いて]
向かいましょう。
[そこで、天竜の異変に気が付くと]
……アーベル、折角の申し出、嬉しいのですが。
――彼女の傍にいて上げてくれませんか?
こころを司る貴方に、お願いしたいのです。
[もう一度、心配そうに天竜の様子を見やった]
それと、他竜の随行者が戻られたら、異変を伝えてください。
もっとも……先ほどのような規模の、全員気付きそうではありますが。
[衝撃から、発動までは少し時を経て。
だけれど、その時に届いた心の声に、彼女は驚愕の念を覚えた。]
[聞こえるそれは。]
[ただ、何かをいう前に、アーベルのこえが届く。
そうして、それに対するクレメンスの声も。
彼女はただ聞き、そして、そっとこえを乗せた。]
―― 今ので、竜王方は
[問いが途切れたのは、月闇王のことばが届いたからで。]
―街中―
…っ!!?
[手にした腸詰めの串をくわえたまま、宮殿の方へと振り向いた。
異変に気づき駆け出す背には、鮮やかな赤の三枚の翼。
風を切り、その場所へと!]
はぁっ?ちょ、ま。
…嘘、じゃ無ぇよな。
はいはいスイマセンスイマセン。
[嘘か冗談か。だったらどんなに楽だったことか。
えーと空を見上げながら。
まぁでもほら、すぐ何とかなるでしょとかちらり期待もしつつ。]
とりあえずそっち行くわ。外から何かできるかもしれねぇし。
はいはい、兄さんに宜しく。
[最後に一言付け加えて、向かう先は、西の殿。]
[額に手をあて、しばしの無言。考えるは今の不可思議な現象。今まで体験したことの無い状況に、古き知識を引き出し状態を理解しようとするが、流石に情報が足りず。
ノーラからの返答は辛うじて耳に入っただろうか。尤もそれ以上返す余裕は全く無かったのだが]
[傍で起きるエーリッヒの変化も、ただ視線を投げるだけになる]
…いえ、大丈夫です。
ですが今ご一緒すると、ともすれば足手纏いになりますので。
[氷破竜の言葉に緩く頭を振った]
はい、無理は致しません。
ですからアーベル様もあちらへ。
[精神竜には頷き、スイと目を閉じる]
『ザ…エル、無…か?』
…地竜王様?
[意識に直接飛び込んでくる声。己が竜王である地竜王のもの。ノイズ交じりに聞こえてくるそれに意識を返し、そして齎される西殿の状況]
子らは、それがわからぬものですから。
まだ短き時しか過ごしていないものです。
[老君にわらいかけ、それから飴を受け取る。
そのまま彼らの場所から離れ、――しかしどこかへ到達する前に、壁に手を着くことになった。]
[光が、落ちていたのだ。
西殿にいるのは――王。]
─ →西殿─
[氷竜の言葉に頷くのと同時に、走り出す姿は一陣の風にも等しく。
距離的な近さもあり、西殿にはすぐにたどり着く]
……でもって。
なんだよ、コレ……。
[西殿全体を覆い尽くす、力。
相容れない要素を感じるそれに、声がやや、低くなった]
[そうして思案しつつ足が向かったのが竜都の大図書館なのは、実は彼女の在り方を如実に表すわけで。
自らのチカラで本を宙に浮かし、自分の周りを旋回
→言霊を読み取り本の内容をページを開くことなく読解
→読解済みの本を本棚に戻す
→上に戻る
というルーチンを高速で処理し、知識を蓄えていたのだが、3939冊目に手をつけたあたりでスッと眼を細め、視線を図書館の壁──正確に言うならばその延長上の先にある竜皇殿西殿へ向ける。
それから程なく。外では西殿に光の塊が落ちていたわけで。
それを直接見ることなく、ただし何かが起きたのかはおおよそ把握しながらも、しかし視線は再び本棚に並ぶ本へ。]
……これで序の口。騒動収まることなく、更に膨れる恐れあり、か。
……面倒なことになりそうですね。
[再びルーチンを開始し、周辺を旋回する本に視線を向けつつポツリとそう呟く。]
「エルザ」
[届く皇竜の声]
「狙いはどうやらこれだ。お前達に託す」
は…。
[戸惑いは二振りの剣の共振を介して、もう一人託されようとしている相手にも届くだろうか]
……そうですね、承知いたしました。
[氷破竜の言葉に頷いて足を止める。当の本人は拒否の言葉を紡いでいるが、既に付いていく気に満ちた疾風と雷撃の竜にブリジットの護衛は十分と判断した]
連絡係も必要でしょうから。
どうか私の事は気になさらずに。
[目を閉じるエルザの邪魔をせぬよう静かに告げて、その場に佇む]
…父上!?
[宮殿の前へと降り立ち、(口元のケチャップはさりげなく拭って)その状況に唖然とする。]
…これは……
[閉ざされた空間は、強固な結界?
触媒の香草に火をつける。]
[ 暫しエーリッヒの様子を眺めていたが、眼を閉じる。
乱れた気配が厭わしい。
腕を広げると共に、意識を広げる。黒布が揺らめき、宙を舞う。
雑音の最中に、声を拾った。]
イズマルーム。
[ 知らず、眉根が寄った。]
老。
其方にも、届いたか。
……十五竜王が集っておきながら、何をしているというのやら。
否、集いしが故か。
ありがとう、アーベル。よろしく頼みます。
[心から感謝しながら、天竜と、心竜へ一礼し]
では、行きましょう。
[既に向かった風竜を追うように、ミリィと共に西殿へと駆けて行った]
[やがて、天青石の光が収まり、変わらず西殿を見つめる視線は普段の笑みを消して厳しい色を帯びている]
封印ですね。一体目的は何なのか。
[そこまでの声は静かに凪いでいたが…]
……無事はいいんですけど、適当に頑張れって…丸投げかよっ!?
[唐突な叫びは、言霊を伝えてきた竜王への罵倒らしい]
「――、…リーチェ」
…、ととさま?
[ととさまの声がする。
でもどうしてだろう。 …すごく、遠い。
…言われた通り、ちゃんと良い子で待ってるのに。]
「無事だね、リーチェ」
ととさま。
「――梛、娘を頼む。」
とと さま。
[それからは なにも 聞えない。]
[眠りの底に落ちたままの仔の傍らで如何程時が経過したか。
身に感じる違和感に、とぐろを巻いていた身体をゆるりとくねらす。
今では短し身体では在れど、事の異変を察するに支障などある筈も無い。
況してや我が王の事なれば、尚の事。
届く声を、聞き間違う事などある筈も無い。]
…、とと さま?
[ぽつと響く声の持ち主は、何時から目覚めていたのか。
宥める様にその小さき腕に我が身を巻きつけるも、意味など無かったに等しく。
私の存在など気付いておらぬかの様に、ただ一点を見つめたまま。
――仔が見つめる先は、西。
嗚呼、先ほどの王の声は、仔にも通じていたのだと
安堵すべきか、それとも]
[王に軽く返しながらも、こちら側にも意識を向ける。
命竜王は告げた、何者かに封じられた、と。
声が届くということは、生命の危機はなさそうだが。
だが15揃った竜王が、まるごと閉じ込められた。
容易く用意できるものではない。
準備と、それを実行する力と、担い手が必要だ。
頭の中では色々な、点が繋がり線となり。
さしもの放浪竜の背筋に冷たいものが走る。]
…そっちの仕業かよ。
ってぇと、さっき俺から持ってった力も。
[使われたのかと、その事実に盛大に溜息をついた。
結果、この封印の片棒を担いだ。
内心はあーあ、やっちまったというような思い、だった。]
……なんか、すっげ、気にいらねぇ、コレ……。
[しばし壁を睨んだ後、ぼそりと呟く。
肩にしがみついていたピアが、落ち着いて、と言わんばかりにてちてちと頭を撫でてきたが、ちょっと無理かも知れない]
……っと。
兄貴?
[とりあえず、一発壁を殴ってみようか、と思った矢先、届いたのは義兄の声。
自分以上の苛立ちを帯びた声でなされるのは、大雑把な説明]
[天を仰いだとき、そのあおさを確認してはいた。
光が生じた後より、それが雲に隠されてゆく。]
――これ は。
[僅かの後に届いた声。
西殿を眺めた翠の目が、僅か闇色を帯びた。]
……申し訳ありません。
[一度目を開き、すまなそうに精神竜へと頭を下げる。
だが再び目を閉じると、深く息をしながら届く声に耳を澄ませた]
…。
[アーベルとの会話中、続いて聞こえた声に、ぎくりと身を強張らせる。
そして何てこったいという風に、緩く力を抜きながら。]
あー。オティーリエ?
[呼ぶのは彼女の本当の名。]
…えー…まさか、お前さんもかよ。
[ここに居る、声が聞こえる。
そこから導かれる結果は、易い。]
いつからこんな不良になって…。
おじさんは悲しいぞぅ。
[そう言う口調は。いつもの、彼女に向けるものと同じもの。
再び緩く、道化の仮面を男は被りつつあった。]
[己が竜王の言葉と共に、別の声が滑り込む。
己が託す者として選ばれた理由は、おそらくはもう一人の受託者との関連からであろう]
…己が随行者ではなく、儂に託すとは。
確かにお預かり致します。
剣と、貴方様のお孫様は儂の命に代えてでもお守り致しましょう。
[漏れ聞こえる戸惑いの声。それを補うかのような力強い声が剣の共振を伝った]
―西殿―
[雷竜と共に小走りで向かった先の西殿には、いくつかの影が見えた。
結界らしき壁を睨む様に見つめる風竜の姿と、焔の竜の後姿]
……これは、結界……?
[一歩、また一歩と近づいていく。異質な"封印"の気配に、眉が強く寄せられる]
……ざっけんなぁぁぁぁぁぁっ!
そりゃ、そっちもそっちで動けねぇのかも知れねぇけどっ!
原因もわかんねぇのに、こっちで何とかしろとか、無茶も大概にしやがれぇぇぇぇぇっ!
[自由を奪われた状態に、互いにいらだっていたためか。
事情説明は、いつもの、いや、いつも以上にハードな怒鳴りあいになった。らしい]
[移動するに雷光へと変じようとしたけれど
走る氷竜を見て、同じように走る事にした。
先を走る疾風の竜の後ろから、西殿が見えてくれば目を細めてくいと眼鏡を上げた。]
…これは。
一体誰が、何の為に。
[嫌な予感はしたんですよね…と、溜息をついた後。
きりと背筋を伸ばして睨むように西殿を見る。]
封印を受けていては、仕方無いことであろうよ。
[ 機鋼竜の叫び。何を言われたかは想像に容易い。影竜王は影竜王で、封印の内の場を均すこと、何より、彼女のほうが重要であろう。
……とは言え、とは言え。
思考をしても、それは仕方はあるまいか。]
試練と思うしかあるまい、機竜の仔。
あなたも、とは、思いませんでした。
[実際に口に出されては、その呼び名を止めようとするけれど。
この声では、その言葉はこぼれなかった。
ただ少し、王から届いた言葉に震えた感情が残っていただけ。]
意外です。
[額に当てられていた手が落ちる]
…ノーラ殿にもか。
この様子では皆にも届いて居るじゃろう、この異変は。
何をする暇も無く閉ざされたのじゃろう。
何が原因かまでは、はきとせぬが。
[大きく息が吐かれた。何か起きねば良いが、と話をしていたが、まさか本当に起きてしまうとは。今後如何にすべきかと頭を抱えそうになる]
…む、他も集まり始めたかの。
[風の如く駆けて来るティルの姿、宙より舞い降りしダーヴィッド。異変は須らく皆に届いているらしい]
―西殿―
流石に集まってるよなぁ…。
なぁ、何があったんだ?結界張られたって…。
[言いながら、自身も前へと進み出て、結界のそれに近づき様子を伺う。
流石に触れることはしないが。]
…マジみたいね。
あーあ。えー…誰か、これ解けそうな奴いる?
あ、ちなみに俺は全然全く無理だから。
[威張った。]
ええ、願いがあります。
だからこそ――…禁断の術をもって十五竜王を封じたのだから。
[西殿を見上げ佇む青年の言葉は、いっそ穏やかに心話に響く]
願いを叶える力が欲しいなら、貴方もその手を伸ばすといい。
[愛憎の感情は強い心の動きの一つ。それを感じながら囁く青年の声は生命竜の心の天秤を揺らすだろうか]
あぁ、ティル殿。
落ち着いて下さい?
[傍らの疾風竜に、柔らかめの声をかける。
かけつつも、自身の手の先からはパリ、と雷の音が小さくなった。]
/*
うわぁ。
西側に、行く気がしない…!
[人が多すぎて!]
……い、行かなきゃダメかしら。ダメよね。
…うーん。
[結界の傍に寄ると、頭の中に直接響く声が聞こえてきて]
……中も中で、ごたついているようですね。
[氷竜王の言葉に、ほうとため息ひとつ零した。
ごそごそと袖の辺りを探り、水晶で出来た虫眼鏡を取り出す]
御師様?
[聞こえた声に思わず目を開けた。
丁度のタイミングで外では自分の為に精神竜が残ることとなり。そちらに小さく謝罪すると再び集中し]
了解致しました。
我が全力を持ちまして。
[師の守るという言葉には、嬉しさと悔しさの両方が浮かぶ。だがそれは一瞬のこと。
確りとした意思を持って返すと、深く息を整えた]
意外ってどーいうこっちゃ。
おじさんにもあれが欲しいこれが欲しいくらいはあんのよ?
[けらりと笑うように。
が、普段の快活さからはだいぶ、かけ離れていた。]
[西殿、そこを閉ざす結界の前へ立ち、
揺らぐ紫煙は異国の花の香。
たなびく煙に乗るように、幾つも浮かぶ小さな焔。]
…二つ。それに沿うもの一つ…
それと…
[幾つもの焔がさまざまに色を変え、揺らぎ舞う。]
…ぁー…これ以上は追えねぇ!
[焔は不意に掻き消える。]
王――
そのような報告はどうでも良いです。
[最初は困ったような調子だったのに、王が続けた言葉はとんでもないものだった。
あまりほしがっていないような(少なくとも月闇王にはそう見えたらしい)虚竜王に花束を押し付けただの、
影輝と生命の竜王をからかったら怒られただの、
そんな情報はほしくない。]
/*
……天狐希望だからすっかり忘れていたけれど。
影竜王から剣の譲渡があったことって、
聞いていいのか悪いのか。
> 剣を持っていそう
赤の動機を考えるに、微妙な点。
少なくとも、誰に渡したかは知らない。
まあ、渡した事自体も、影竜王がはっきり示さずとも、
なんとなく悟ったということにしておこう。
表では確定させず、ぼやかす。
ここはぼかすべき点のはずだ。多分。
あんまり納得したくないです。
[影輝竜の言葉に溜め息をついて一度、空を仰ぐ。舞い降りてきた火炎竜、集まってきた他の随行者達を見やって、また溜め息]
…っ、ととさま、…!
[慌てた様な声と共に、仔が寝台から転がり落ちる。
引き摺られる様にして床へと滑り落ちる毛布が、幼子の心中を物語るか。
…四方や私が幼子に振り落とされなどしないが、余程慌てているらしい。
何時もなれば幼いながらも見え隠れする私への気遣いがまるで無い。
否、心中は察するに容易い。我が心とて正直穏やかでは居れぬ。
ぺたと乾いた床を素足が叩く音。そこで漸く私は仔の足に召物が無いと気付いた。
嗚呼、履物すら意識する余裕すら無かったか。
仔が踏んだ跡を辿るように、翠樹の気がその場に草花を咲かし、枯れる。
小さな足跡は、ぱたぱたと西へ。]
―…→西殿―
落ち着けって、落ち着けって……。
[ミリィの言葉に、ふるふるふるふるしつつ、どうにかこう返す]
っとにもう……何なんだよ、これっ!
[苛立ちは結局押さえ切れなかったか。
そこにある結界に向けて、足が出た]
[再び目を開けた時には震えは止まっていた。
戸惑いは未だ消えないが、同時に揺ぎ無い意思も生まれている]
見苦しい姿をお見せしました。
もう大丈夫です。ご一緒致します。
[精神竜の目をじっと見てそう告げた]
後で竜王方にお詫びしなければ……
「何故?」
あなたのせいです。
[疲れたように壁に手をついていたが、しっかりと立ち。]
お戯れになるのも、程々になさってください。
[エルザの謝罪に緩く首を振り、青年は再び西殿を見上げる。天は不吉な現状の象徴のように暗雲渦巻き、本来の竜都の属性均衡が揺らぎを感じさせた。
『混沌』を司る彼には忌むべきものでないけれど、それでも口元の笑みは鳴りを潜めていた]
風が乱れている。
これが竜王を封じた影響なら他にも――…?
[問いは微かに零れ消えていく]
[共振より伝えるは柔らかに笑む気配。相手を安心させるかのようなそれはすぐにきりとしたものとなり]
何やら面倒なことになったのぅ。
干渉により竜王達が集う西殿が閉ざされてしまうとは。
干渉せし者の狙いがこれとなると…。
[託されし剣に視線を向け、僅かな嘆息]
更なる騒動も予測出来るのぅ。
意外で
[だが、こえの調子に気付いたのか。
それとも本当に月闇王に疲れているだけなのか。
言葉は止まり。]
……どうかした
いえ、なんでもありません。
恐らくは。
随行の者達が無事であるのは、
幸とすべきなのか、それとも?
[ 疑問を含んだ言葉は、ザムエルのみに向けたものではない。
答えを出せるものは、現状では居るまい。]
竜王が太刀打ち出来なかった封だ、
今すぐにどうこうも出来なかろうよ。
我は我の為すべきことをするか。
[ 集う者らに視線を注げど、出でる結論はそんなものだ。]
/*
しかしすみません。
実はリーチェが元々何処にいたかも知らn(
……やー。うん。何処だろうね。
地理を全然把握して無いんだ!(ちょっと)
…パッションにも程があるな。
[謝るのはお前のせいでもあるだろうと、月闇王がいう。
わかっているだろうと。]
――ええ。
わかっています。
ですが、王。
わたしは、悔いてはおりません。
[背後から聞こえてきた命竜の呟きには]
"封印"に関してなら、氷破である私が……と、言いたいところなのですが。
まだ、なんとも。式が複雑というか、安定しない、奇妙な、と言いますか。
[未だに虫眼鏡で、結界と睨めっこしている]
"破壊"を司る焔のに、任せるのも手かもしれません。
[といった所で、風竜の蹴りが弾かれたのが目に入った]
したかろうがしたくなかろうが、
起こった事は仕方あるまい。
[ 淡々と告げ、駈けゆく機鋼の竜を見送ると、彼らの行く先とは逆に外へと赴いた。宮殿の内なれば、庭が適当か。]
おーぉ。怖い怖い…。
何だってする、そんな意気込みだな。
実際、大それた事やってのけたわけだけどさ。
[アベールの声に、表面上は平然と。だが内は未だ揺らされ続ける。
被りなおした仮面は、被っただけで彼の顔にはまだなっていない。
精神の、には己が心の動きなど、重々知られているのだろうが。]
…願い、ね。
[望みは在る。だが定まってはいない。
干渉が不完全だったのか。
それとも何か他の影響か。
暫し、考え込むように沈黙する。]
それだけ言えれば十分ですよ。
行きましょう。
[前代未聞の出来事を目にしたまだ若き竜として、旧友の養い娘は十分しっかりしている。青年は口元に微かに笑みを浮かべ氷破竜の消えた方へとエルザを促した]
[蹴りを弾かれ、後ろによろめき。
それでも、勢いは留まらず。
束縛に繋がるものへの苛立ちその他で頭に血が上っているのか、手は背負った銀のロッド──『風雷棒』をがしり、と掴み]
っつーか、わけわかんねぇもんの分際で、蹴り弾くとかっ!
[その理屈も大概無茶すぎます]
[揺れる感覚。実際には揺れては居ないのだが、感じ取るのは『揺れ』。『安定』を司るが故にその変化は如実に感じ取っていて。己を律するがために再び手は額へと向かう]
幸であるか不幸であるか。
今ではまだ分からんな。
「我が成すべきこと」、それは如何なるものや?
[聞こえたノーラの言葉に返すは、やはり問い掛け]
内側からは解けませんか
[一応情報を聞き出して、本を持ったまま、西殿のほうへと足を進める。
だが、ぴたりと足を止め。]
王。楽しんでいないで下さい。
[少し闇を帯びた目は、ついで閉じられ、元に戻る。
そうして今度こそ、西殿へと足を進めた。]
…あぁ。
流石にこの形式は…触れるのは初めてだ。
[多少触媒でぼうっとした頭を押さえ、エリィの言葉に苦々しく首を振る。]
過去のデータの中で似ているのは…
[人間界でいくつか起こった騒乱の原因となった事件の数々。
どれも、長い治世を経た王国を滅ぼしたものだ。]
…まさか、いや…それは。
[まとまりきらぬ、不吉な予感。]
[合わない視線。
そういえばずっと逸らされているような、と頭の隅で思う]
このままでは竜郷全てに影響が出るかもしれません。
そうなる前にどうにかできると良いのですが。
[西殿の方へと足を向けながら、呟く]
我は影。
影輝に属する者。
故に、司るは均衡。
それ以上でもそれ以下でもあらぬよ。
[ 乱れを均す。全てを、とは到底、成るまいが。
歩みを進めながらも振り返り、そういったことだと、翁に示す。]
氷破の。
そっか、そっちでも駄目ですか。
[にらめっこしているブリジットの隣に、結界にべたべた指紋をつけながら近づいて話を聞く。]
焔って事はダーヴィットか。
[と言いながら、ちらりと焔竜を見るが。
いくつもの炎が揺らぎ、叫びと共に消えた結果を見る限りでは、諸々思わしくなさそうだ。]
[別へ向かうノーラは視線で送るだけに止め。己は阻まれる物に怒りをぶつける竜達の下へ]
ティルや、それは儂らにどうこう出来るものではなさそうじゃ。
竜王達でさえどうにも出来んのじゃからな。
[更に食って掛かろうとしているティルの制止に入る]
…いや、何処からか供給されている力で維持されてるから、
たとえ風穴を開けられても、すぐに塞がれるのがオチだろうさ。
[氷竜の声に応じて、集束した息吹きを一点に向かって放つが、
結界へ深く食い込み焦げ目を作るものの、すぐさま薄れて消えるのみ。]
…な?
ほむ、道理じゃな。
[返されるノーラの言葉。彼の者の属を考えれば納得のこと。先に投げた問いは何を危惧してのものだったかはを知るは、問いかけたザムエルのみ]
封印?
中から破れないものでしょうかね?
[声は頭の中へも響く。
かえる声には、溜息をひとつつき、げいんっと音を立てたティルの足をチラリ、見て。
続々と集まる他竜達へも目を向けて、無言のまま手から雷を封へと向けて発した。
バチバチ、と大きな音を立て、白い稲妻が弾かれ、散る。]
…無理、そうですね。
[眼鏡を、片手であげる。]
[ローブの下、気付かれぬように抱えた剣。
それは今は短剣のような形を取っていて]
更なる騒動と申しますと。
「奪いに来る者があるだろうな」
[師のものでも王のものでもない声に、一瞬頭が白くなりかけた]
[緑柱石と金剛石を埋め込んだ精霊鋼のロッド。
それに気を込め、打ちかかろうとした矢先に聞こえた、制止の声]
だってさあ!
これ、なんかイラつくしっ!
バカ兄貴は中でぎゃーぎゃーうるっさいし!
[苛立ちの原因は何なんだ、と突っ込まれそうな事を口走りつつ、それでも動きを止めるのは、相手が慕う相手であるが故か]
何か法則性があると思うのですが、いかんせん歪みのようなものが。
[唸りながら、命竜を見上げて]
今は駄目にしろ、時間があれば……。
そもそも、氷破が司る"封印"とは別の封じる力と言いますか、
封印と言うよりは……"束縛"?ううん……何か違いますね。むう。
[ふと周りを見て、まだ挨拶をしていない者を見れば深く腰を折って頭を下げる。
お辞儀をする度に下がる眼鏡を人差し指であげつつ、ブリジットの横へと体を寄せて]
…こんなこと、初めてですね。
[ザムエルの方へも視線を向けながら
そのまま目は西殿を上まで見上げる。]
…えぇ、その可能性が。
[伝わる言葉に頷きつつ。]
干渉を受け、バイパスとなっている何かが…
いや、十中八九…何者かが居るね。
おそらくは、二つ。
[休職中とはいえ、封印管理の任にあった竜。
結界術に関しては、かなりの知識をもっていた。]
[ぱたぱた、 ぱたり。
乾いた足音と点々と草木の跡を残して、回廊の中央で仔が立ち止る。
何事かと巻きついた腕からゆるりと顔を見上げるも、何と言う事では無かった。
…父も居らぬ、見知らぬ場所で不安であるに違いない。
幼子は、酷く泣きそうな顔をしていた。
涙こそ零しはしないが――平然としているとは言えぬ顔。
先ほどから聞える王の声も、今では不安を助長させるばかりか。
嗚呼、私が姿を取った所でどれ程の慰めに足るか。]
あら心配してくれるの?優しいねぇ。
[何でもない、と言葉を途中で遮ったにも関わらず。
オティーリエに前向きに解釈するのはいつもの通り。
それでもへらりと向ける笑みの気配は、弱いものではあったが。]
…そういうそっちは、何を願ったんだ?
[問いかけは、軽い笑みと共に。]
[混乱は失った青年の力を速やかに補ってくれたが、同時に起こる大きな心の動きは波となり心話の声を遠ざけた。
記録に意識の一部を確実に割きながら後ほど声を返そうと決める]
詳しい話はまたいずれしましょう、クレメンス。
オティーリエも――…無理はせずに。
[返した心は疲れを覚えていますからと労い、*青年の声は消えた*]
[託されし剣はその姿を変え、今は小袋を持つ左腕の腕輪へと変化している。今はローブの袖に隠れ、他からは見えぬようだ]
剣を得ようとして起こしたのなら、
[言いかけて、それを補足するように発される言葉。己はまだその先を語っていない]
……何ともはや。
彼の剣は智ある剣であったか。
[それに遭遇したことが無いわけではないため、直ぐにその可能性が浮かぶ]
実践ありがとうございます、焔の。
[少しだけ熱気に当てられながら、得心したように頷く。
老地竜の発言には、ゆるりと首を振って]
封印の中であれば、力も抑えられてしまっている、というのもありですね。
……といっても、本当に現状対応策が見つからないのもまた事実、なのですけど。
遠くに見ただけだが。
容易に解くことは出来なかろうな。
此方にも同様の言が伝えられた。
もしかすれば――「あれ」の干渉か。
[ 揺らすもの。
口にするのも煩わしいと明示はせぬが。
一度緩めた歩を、再び、外へと向ける。]
[エルザの怪訝な心を感じ取るも、今は説明する時間はないと判断し青年は先を急ぐ。エルザの足に無理がかからぬ程度に様子を見ながら]
そうですね。
傷跡が深くならぬ内に決着をつけないといけません。
[口元の笑みが薄くなり、重い息を吐いて前を向いた。目の前に西殿と封印の壁にレンズ越しの紺碧を細め見上げる]
[ダーヴィットの放つ炎が焦げ消えていくのには小さく溜息を。]
力ずくじゃ駄目って事か。
まー力で解決するんなら、中の姐さんらがめいっぱいふんばれば何とでもなるんだろうけど、それしないってのはそういう事なんだろうな。
[内側からは駄目。外からも力ずくでは駄目っぽい。
えー。これどーするよと若干疲れた様子でいながら。]
法則性ねぇ…。
俺にはさっぱり分からんから役には立てそうにないんだけどさ。
封印じゃない?束縛?
んー…やっぱ難しいのかね。
[ブリジットを丁度見下ろすような位置で見ながら、紡がれる言葉は頭の隅に記憶してゆく。]
そうですか。
……あれ?
[何か思い当たるものがあるようで、そしてすぐには思い出せずに、眉を寄せる。]
ノーラ殿は、影輝王の声をお聞きになりましたか?
[外へ向かおうとする様子に、もう一度、声をなげて。]
――ご機嫌がよろしくないようでしたら、我らが王の責も多にありましょう。
お詫び申し上げます。
心配などしても無駄でしょう
[途切れたこえが伝わっているという事実に、いつものような言葉をかえせど、そちらもどこか力なく]
――わたしの、願いは。
[されど問われたことに、身のうちの願いが、ゆるりと起き上がる。]
あるべき、形に
[そうして届く精神の竜のこえ。
確かに体と心は少し、普段とは違う。]
あなたも、アーベル殿。
わたしは、貸しただけですから……
ゆっくりと、お休みください。
ええい、落ち着かんかい。
苛ついても仕様が無いものは仕様が無いのじゃ。
[ティルを押えるようにその頭に右手を置く]
「揺らすもの」か…。
竜王様達を封じることで世界を揺らすつもりなのじゃろうか。
…全ての竜王様が集まるが故に狙われた、と言うところじゃろうかの。
[エーリッヒとダーヴィッドの言と、ミリィの言葉に思いつくままに言葉を発す]
ふむ、バイパスとなりし者が居るとなれば、それを探し出し干渉を断てばこの結界のようなものは解けるのじゃろうかの。
多分、古き竜の方々はもう気付いているだろうし、王達も考えているよね。
[ダーヴの言葉に、しばし考え]
干渉を受けた者が二人…王達を封じるのに王と無関係の者に干渉するとは思えないな。…て、ことはあ…
あ、あんまり人前でぺらぺら喋らないほうが良かった、かな?
[気付くのが遅い]
[気を使われているのを感じて、速度を上げる。
途端にバランスを崩しかけるものの、すぐに立ち直ってその速度で足を進めて]
ええ本当に。
…決着、ですか?
[問いの形となった部分は西殿に辿り着くタイミングで出た為に、喧騒の中へと紛れていたか]
[青年の願いは竜郷を滅ぼす事ではない。
自由に――それは青年だけでなく全ての竜に願っているのだから]
竜郷が傷付く前に、剣を手に入れなければ。
[十五竜王を封印した今、剣を手に入れるのは不可能ではなくなっていた。決して安易とは言えない、むしろまだ難問が山積しているのだが]
竜郷と引き換えにはしたくないが、差し出さぬなら――…
[既に確実に一人願いを叶えると約束した者が居る。もう一人も巻き込んだ。最早引けぬ位置に青年はいる]
どうかしたのか。
[ 発された疑問の声に、結局は足を止めた。]
……何があったかは、予想がつくが。
そなたが謝罪することではあるまい。
慣れぬイズマルームも悪かろうよ。
そも、身を固めればよいのに。
[ 今、そのような事を言うても仕方あるまいが。
ふと、視線は外ではなく内へと誘われた。心の動きなどは分からねど力の乱れは察せられる。それを均すが、己が役であるが故に。
自然と零れ落つ溜息一つ。向きを変え、オトフリートから返る言葉も待たず、歩を進めた。]
…おうよ、アーベル。
[名はどこで聞いていたのやら。消えゆく青年にはそう返した。
色々と、まずくて面倒で。
それでもほんの少ぉしだけ、面白いかもしれないと。
思うのはこれが記憶にある限り初めての出来事だからか。
それとも渦中に己が関わっているからか。
あるいはオティーリエが関わっているからか。
甘い毒のように、様々な感情は身体に染みた。]
難しいと言うか、面倒そうと言うか。
……まあ、ここで諦めたら、氷破の名が折れる、というものです。
[命竜を見て、一度だけ微笑む。結界に手を当てながら、また虫眼鏡で覗き込ん所で]
『揺らすもの』……とは。久しく聴かなかった言葉ですね。これはまた。
[頭の上に置かれた手。
対なる属の感触に、荒れていた風はやや静まり、ひとまず構えは解いた]
そう、だろっ、けど、さ。
[零れ落ちるのは、小さな呟き。やや伏せた瞳には、微か、不安のかげり]
……「揺らすもの」?
なに、それ?
[それから、覚えのない言葉に一つ、瞬いて。
上げた瞳に、不思議そうな色を宿して、周囲を見た]
翠竜の仔、
――ベアトリーチェ?
[ ざわめきより離れた回廊。
幼児に対する呼びかけとしては相応しくないと、名を紡いだ。
低くも高くもない声は道の先にまで染み渡る。]
智を。意思を持つ剣、ということですか。
「仮初でしかない。だが必要とあれば主の意位は伝えよう」
[淡々とした声が響く]
主とは御君のことですか。
「然り。だが今は主らの意により汝らと共に在る」
―→西殿―
[そのまま、思い当たらずに、本をかかえたままに西殿へ。
そのまわりを囲む結界と、そしてその前の竜たち。]
……矢張り、開きませんか。
「揺らすもの」?
バイパス…
詳しくお聞きしたいですが、誰か詳細をご存知ですか?
[聞きなれない言葉に、一同へと目線を流す。]
無駄とかそんな。俺の精神保養にはなるよ!
[言葉に少しずつ覇気は滲んできていたが。
彼女の願いには、一瞬、沈黙。]
二つに別れたいのか。
[ぽつりと呟く言葉は少しだけ、低い。]
−西殿・廊下−
[じいい、と仔龍は空を見ていた。
空から降ってくる、王の声]
…ヨンのばーかっ。
[ぷりぷりと頬をふくらませて、なんだかやたら楽しそうな声を聞く。
さて、どうしたものかとあたりを見回した。
誰かを探してみようと、ずるずると布の塊は歩き出す]
[物理的に隣に居るのは精神が属の竜だ。感情が揺れないように気を払いつつ、ローブの上から短剣に触れる]
…御師様の預かられた剣も、なのでしょうか。
[届く言葉には、沈黙を。
それは如実な答え。]
[面々を捕らえた目は、確かに一度クレメンスを見たが、そのままに通り過ぎた。]
「揺らすもの」ねぇ。
ってエーリッヒ、あんまそれ口にすんなよ…。
[さも当然の如く話す機竜に肩を竦める。
口を塞ぐには十分すぎるほど、遅かった。
一つ、溜息をつきながら、自分が覚えていた知識を口にする。]
揺らす…天秤を揺らすモノ。
世界を見つめるもの。
揺らすことによる安定を引き起こすもの。
世界の恒久的な安定を嫌い、常に均衡が揺らぐ事を望む存在。
『撹拌者』『促進者』
そんな名前で呼ぶ事もあるな。
[速度が上がると同時によろめいたエルザに手を差し伸べかけ、速やかに立て直された姿勢にその手を下げた]
……えぇ。
[それは無事を願う答えか喧騒の中へと紛れてた声への答えか。
それ以上の説明をする事なく既に集まっている面々へ声を掛ける。
疾風の蹴りと生命の接触と氷破の虫眼鏡あたりを聞き、若焔の炎にはレンズの奥で紫紺の目を眇めた]
/*
つか、あれですね。
中身は全部設定把握してても、外は全然わかってない。
これ、ある意味楽しいけど、ある意味めっさかマゾいwwww
…!
ノーラ、
[廊下へと響く声にか、名を呼ばれた為か。仔の身体が跳ねる。
絡みつく腕からゆるりと視線を向ければ、昨日仔が酷く懐いた者の姿だった。
望む声とは異なったが、幼子に安らぎを与えるには十分ではある様。
ぺたりと床に乾いた音と一寸の翠を残して、影の元へと駆け寄った。
相手の断りも居れず、足元にしがみ付こうとするのは如何な者かと思えど
幼子に声を投げたところで、当人にそれを聞き届ける余裕は無い様だった。]
[何度かぽむぽむとティルの頭を叩き]
気持ちは分かるがの。
しかしそれを繰り返しお主が怪我をしてしまったりしたら、嵐竜王様も心配してしまうじゃろうて。
…クレメンスが居るから直ぐに治せはするじゃろうが。
[視線は一度ちらりとクレメンスへ]
「揺らすもの」は…。
儂も直接その騒動に関わったわけではないから詳細は知らぬのだがな。
古来より度々世界へ干渉を行っておるようじゃ。
[過去に事例があったことは書などにより知を得ているが、それ以上のことは分からず。説明をするクレメンスへと視線が再び向かう]
[口にした『揺らすもの』の説明だけで、各位どれほど理解できるのやら。
場合によっては、ロウやカオスの説明を交えなければならないか。
誰かしてくれるならそれでもいいけどなーとかちらと思ったのは不真面目の極み。]
まあ、過ぎた時間は戻せませんから。
[ため息をつく命竜に、苦笑のような笑みを向けて]
簡単に言ってしまえば、「ふるい」みたいなものでしょうかね。
なんというか、「混ぜることで馴染ませる」というか、ううん。
[そのように呟くが。上手く説明できず、辺りをちらと見回す]
律を守り安定を求める我らとは対極にある者。
[アーベルの答えがどれに対するものかは分からず。
着いたその場でなされる説明を聞きながら、目を細めてクレメンスの後に続けた]
じゃ封印の件、お任せっ。
専門家に任せた方がいいし楽だし。
[さり気無く楽とか言い切りながら。
名折れと微笑むブリジットに、こちらもいい笑顔で親指立てて返した。
実際の所、クレメンスが持つ封印解除の力は無いとは言わないが薄く。
無駄に骨を折るよりは、こうする方が効率はいいはず、だった。]
[やがて大体の状況を把握し、方々で交わされる単語に指先を眼鏡のブリッジに当てて静かに押し上げた。
誰が口にしたかを刻みながら、雷撃竜の問いに一言だけ返す]
『天秤を揺らすモノ』
それは……極秘事項のはずなのですが。
[禁書の意味がないと溜息を零すのは青年の立場からすれば当然]
はてさて。
儂の方は未だ何も変化は無いが…。
[他の者も居るために腕輪に変化したそれに視線をやることは出来ず。反対の手は血気逸る風の竜を抑えるために使用しているために触れることも叶わず]
しかして両方が智ある剣とも限らぬ。
こちらは元より持ち得ぬのやも知れん。
バイパスってのはまー…感覚的なモンなんだけど…
[結界の壁をカツンと小突き、]
コイツを維持している力は、何かを通してどっかから運ばれてる。
…流石に供給源までは追えなかったけど、個別に調べれば…。
―西殿―
[聞こえる言葉。揺らすもの。
知識はあれども、ようやく思い出したそれ。
彼らの輪に入りきらず、そのまま手を封印へと伸ばしかけてやめた。]
[眉を寄せ、その場の面々を見る。
かなりの人数があつまっているのは、当然といえた。]
[義兄の名を出して窘められると、青の瞳はまた、陰る。しかし、それは刹那で振り切り。
周囲の説明に耳を傾ける]
世界を、揺らす……?
んな事してなんになるってゆーか、それとこれと、なんの関係があるんだよ。
竜王押さえ込んで、んで、どーしよってワケ?
[自分なりに情報を整理した後、口をついたのは素朴な疑問]
まかせとけ!
いっくらでも怪我していいぜティル!
[ザムエルの言った言葉をまるっきりぽい投げするような発言をしながら。ちらりと向けられたザムエルにもサムズアップ。びしぃ。]
[ 膝を折り、幼児に近しい高さへと視線を下げる。
ベアトリーチェの残す軌跡。草花が咲いては枯れゆく。土無き故か気乱れし故かとも思ったが、殿の前で会いし時にも垣間見た光景だ。なれば、因は他に在ろう。
足元にしがみつかれる前に、迎えるように手を伸ばすこととなった。]
独りか。
心細かったであろうな。
[ かける声は、前の幼児より包む親の調子に近かったろう。
彼女の腕に絡みつく蛇へと目を向ける。拾い聞いた名は、確か、ナギと言った。]
先の件で、目覚めたか。
はいはい、お任せされました。
といっても、いろいろ協力してもらったりするかもしれませんよ?
実験台とか。生贄とか。
[少しだけからかう様に、親指を立てた命竜へと笑いかけた。
また結界へと見向きながら、周りの話にも耳を傾けている]
/*
何か色々結界について皆様書かれてますが、
禁術ってだけで詳しく書かなかった自分を褒めたくなりました。
これ絶対整合取れないよ!
そりゃまー、そうだけどさ。
[ブリジットの苦笑にも、もう一つ溜息。
しょげるエーリッヒには、軽く頭の上にぽんと、軽く叩くように手を置いた。]
ま、次気をつけろ。
[そしてティルの疑問には、少し黙する。
どこまで話すべきか。珍しく少し考えてはいるようだ。]
……おっちゃん。
なるべく怪我すんな、っつったの、ついさっきじゃねーのかよっ!
[なんか色々ポイ捨てしてるクレメンスの言葉に、思わず突っ込み一つ]
/*
・妖狐側設定
妖狐側は言わば竜王側とでも言うべき第三勢力。天聖と影輝の竜王から剣を押し付けられる立場ですが、天聖・影輝である必要は全くありません。
竜王たちから『天秤を揺らすもの』の干渉について教えられており、その干渉を退ける事を勅命としてうけています。
【開始の時点で『天秤を揺らすもの』が干渉している事を認識している唯一の勢力です。】その点を踏まえて行動してください。
****
>【開始の時点で『天秤を揺らすもの』が干渉している事を認識している唯一の勢力です。】
がっつり崩壊?(ぉ
中:
うはははは。
ptがねぇwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
話せないwwwwww
(現在40pt)
……。
[アーベルの言葉にそっと右手で口を押さえた]
クレメンス様。
出来るならば怪我をしないのが一番ではないかと。
[聞こえた別の声に反応をしてみたり]
−西殿付近回廊。−
…だめだこりゃ。
[近づいてみようとしても、布がいろいろ邪魔だったり、近づくほど王からさっさと戻れとか言われてるので、それが思わず出た言葉。
しかし帰れと言われても]
…すっかり迷子なのだ。
[だめだこりゃ。
空を飛んで誰かを探すという手もあるのだろうけど]
ふむ、ダーヴィッドにはそれが出来るかの?
結界に関しては一目置かれては居るしのぅ。
[個別に調べれば、と言うダーヴィッドの言葉に疑問を投げかけ]
こりゃ、怪我はしない方が良いと言うに。
お主がそれで活躍するのは万一の時だけにしておけぃ。
[調子よく言うクレメンスに窘めの一言。
ティルの疑問には、考え込むようにしばしの沈黙が流れるだろうか]
[それから少し、その場を眺めていたが、
ふと何かを感じて、視線を他へと投げる。]
[そちらに気配があった。]
[そっと離れ、向かう先に、小さな影。]
[アーベルに肩を叩かれて振り返る]
あ、すみません。落ち込んでる場合じゃないですよね。
[カシャカシャと機械竜が羽ばたく]
「意思を介在させずとも共に在ることは可能だ。
――が、汝の場合は、な」
[淡々としつつもどこか苦笑するかのような剣の声。
師の言葉も相まって溜息が出そうになるのを右手で一緒に隠す]
頼りすぎることになどならぬよう、心致します…。
零れた言葉は戻りません。
しかし今は非常事態ですから、通常口にすべきでない言葉が出るのも仕方ないでしょう。
勿論、以後気をつけるとの前提があればですが。
[慰めと叱咤の混じる言葉を若き機鋼竜に告げ、ふと笑みを消す]
しかし――…本当に彼の者が?
[問いかけは内に沈むように静かに、紺碧は結界を*見つめていた*]
ノーラ。
…ととさま、――ととさまが、
[腕に抱かれながら告げる言葉は、混乱の為か言葉にならず。
泣きそうな其れも災いしたやも知れぬ。意図を汲むには中々難儀であった。
前との様子とは聊か異なるが、彼の影竜の今の振る舞いは酷く有り難い。
頼れぬ者が居らぬと、この仔竜は心休まらぬであろうから。]
「承知の通りで御座います――仔を案じてか、王は声のみ飛ばして参りましたが。
…皮肉にも御仔殿の不安を掻き立てる要因になったようで。
――王の身に、何が。 エレオノーレ様は、何か存じておりますか。」
[向けられる視線に、腕からするりと抜け出し。
己の体を幼子の肩へと上らせる。]
[精神竜の、穏やかな戒めの言葉に、こっくりと頷く]
はい、注意します。俺にも役目がありますから。
[その紺碧の瞳の視線に釣られるように、結界へと目を向ける]
[暫く結界と向き合っていたが、薄く息を零して]
焔の……ええと、ダーヴィットでしたか?
その元を辿る方、お任せできそうかしら。
こちらはこちらで、直接封印結界の式を何とかできないか、当たって見ますから。
[自信なさげに呟くのなぞ露知らず。やはり少し遠巻きに、焔の竜へと呟いた]
ふむ…。
お主の予測が正しくあるのならば、その術式により干渉されし者を見つけ出し、何らかの処置を行えば結界は解かれるということじゃな。
問題は誰が干渉されたか、じゃが…。
[考え込み、自信なさげな声を聞く]
やらぬうちに諦めるよりは、納得出来るまでやるのが良い。
お主とて、父君を救い出したかろう?
ええと。
[機竜の発言を聞いて、虫眼鏡を落としかける。
お任せできるかとか言って大丈夫だったものかしらと、機竜と焔竜を交互に見やった]
ととさまに怪我はなかろう。
少し、扉が開かぬだけだ。
そなたが泣いていては、ととさまも哀しくなってしまう。
ととさまに会いたければ、会える手を考えねばな。
[ 床に膝をつくと、抱きつく幼児の小さき背を軽く、調子を取るように叩いてから、掌の温もりを伝えるように撫ぜる。幼児にはやや難しい言葉ではあったかもしれぬが、気休めは言わず、内容を和らげながらも真実を告げた。]
我も多くは知らぬ。
光が堕ち、封印が為された。
そしてそれは、容易には解けぬであろうこと。
その程度だ。
[ 蛇へと眼差しを転じて、答える。]
ベアトリーチェ。
人の多きところへ行きたいか、
それとも、緑近きところが好いかな。
[ 逢えて父の傍へ、とは言わぬ。
声は届けど会えぬに代わりはない故に。
幼児の髪に指を絡めて梳く。
手を繋いでゆくか、抱き上げてゆくかは子次第となろう。]
[青年が長い間心の奥底へ封じ込めていた『願い』を目覚めさせたのは彼の者だろうかとの疑問は拭えない。口伝として秘されて来た世界の理の一つである『天秤を揺らすモノ』が干渉したのならば、今あると感じる力の理由も説明が付いてしまうのだから。
そして、それ以上に――…知ってしまっている事がある]
彼の者が踊れと言うならば、踊るは世界を生かす筋書きの一つ。
それが『願い』を叶える事に繋がるのならば――私は、
[躊躇う理由が、*消えていく*]
やれやれ、彼の剣も心配性のご様子。
皇竜王様の意思も相まっておりそうじゃな。
[紡ぐ言葉はやや軽く]
エルザも。
あまり気張らずに己が出来ることをするが良い。
頼るべき場所では頼った方が、事が進むこともある。
[ダーヴィットの言葉と
それに返すエーリッヒの言葉に、たらり、汗が流れたけれど、ささと手の甲で拭い無かったことにした。]
…こんな事をする者は、裁かないとなりませんね。
[ぽつり
険しい顔で、呟く。]
……んーと。
[周囲の話を聞きつつ、とりあえず、視線は焔の竜へ]
方法あるなら、やった方がいい気がすっけどなあ、オレ。
止まってたって、仕方ないんだし。
[留まるよりは動くを是とする疾風。
その気質故か、言葉は躊躇いなく放たれる]
はっはっは。俺が居る所なら問題あるめ。
ほれ、自己治癒力増進の訓練にもなるぜ。
[後半、すごい適当言った。
だが総出の突っ込みににけらけら笑う様子に少し翳りがあるのは、さしもの命竜もこの状況に多少は疲れを覚えているのか。]
…むー。
[ゆらゆら、と首は左右に揺れる。
そのたびに大きな帽子は右にずれたり左にずれたり]
!
[くるん、と、視線を感じたほうを振り向く。
ことん、と首を傾げる。
視線の先には、月の竜]
…だいじょうぶですか?
[なんだかふらふらしていたような様子に、少し笑った。
それから近付いて、膝を折り目線をそろえる。]
どこかへゆこうと?
[他と会話を続けていた為。通り過ぎるオティーリエには、軽く目を合わせただけに留まる。
沈黙に答えを知れば。彼女を見つめる目が、いつもより微か暗いものに変わる。もっとも見送っていた為、オティーリエがそれに気づくことはないだろうが。]
まぁ、時間かけてやれば…できるとは思うけど、
雑念入ると逸れるからなぁ…
[悪友の言葉は否定しないんですか!?ですか!?]
裁くっつーか、一撃どつかねぇと、気ぃすまねぇけど。
[風が拾った雷竜の呟きに、ぼそりと呟く。
ロッドを握る手に、また、力がこもった]
っつーか、そういう問題じゃねーだろ、おっちゃん。
[適当言うクレメンスには、やっぱり突っ込み一丁]
[ふぅと一旦息をついてから。知識から捻り出した言葉を口にする。]
世界の外の枠には。
いわゆる創生の神様ロウってのと、破壊の神様カオスってのがいて。世界が作られちゃ消されてくのな。
それが規則正しく回ってれば、結果安定した『短命な世界』が多く生み出される。それ自体は万事平和、なーんも問題ねぇ。
だけど、安定ばっかしてると、創生と破壊の巡る周期が狭まってくる。周期が狭まると二人の神様が遭遇しかねない。
創造と破壊が同じ場所に立ったらどうなるか。
まず間違いなく大事になるだろうな。それこそ、世界を跨ぐ規模の偉い騒ぎに。
…てわけで。
事を回避させようって、その規則正しい均衡を揺るがして、世界の促進を導こうとする。
それが、揺らすものだ。
雑念が入るのは集中力が足りん証拠じゃ。
[身も蓋も無く無くばっさりいった。エーリッヒの言葉を否定しないダーヴィッドの頭を拳にした右手で軽く叩く]
裁ける相手なら、いいのだけどね。
[雷竜の言葉には、少しだけ悩ましげに呟き]
……こほん。
まあ、出来るなら、お願いしますね。
[焔竜の呟きには、思わず苦笑のような笑みが零れた]
均衡や安定を保とうとする精霊・竜・獣の王らとは、完全に対極に位置している。
…ああちなみに。
倫理とか善悪とか軽く幅跳びで越えた存在だから、こいつに怒ってもしゃーないのよな。
[一気に、言い切り。
最後のしゃーない、には肩を竦めたり。]
大丈夫だ。
[ゆらゆらしているのは主に大きな帽子による視覚効果のせいだ]
…ヨンが。
たのしそうだったから、あいに行こうとおもったんだけど。
[だめだった。
視線の高さがあったので、眼鏡を取るいたずらをしようと思って両の手を伸ばす]
ダーヴの雑念っていうと、御飯?
竜都の食料危機が心配だなあ…
[地竜にぺしられる焔竜の様子に、くすくすと笑う。どうやらすっかり立ち直ったようだ]
あー、でも。
[大地と火炎ぺしりぺしられを横目に見つつ、クレメンスの説明を聞いて]
んーと、つーまーりー。
世界の理の調整役とか、そーゆーモンなワケ?
で、世界が落ち着いてるから、それをぐらつかせるために、こんなことしでかした、って……。
……善悪超えてるって、にしたって、ただのめーわくじゃん、それっ!
[言い切った。ミもフタもない一言を、きっぱりと]
[ダーヴィッドに突っ込みながらクレメンスの説明を聞き]
儂らのように律を、安定を重んじる者にとって対極に位置する存在、か。
彼の者が干渉せしは世界のためとも取れるが…こちらとしてはたまったもんではない。
善悪を飛び越えた存在となれば、儂らにはどうすることも出来んが、その干渉を防ぐことは出来るじゃろうて。
…ととさまに、あいたい。
――がまんしてれば、あえる?
[幼子にはやはり難しかろう。
しかし泣いてはならぬのだという事は仔にも理解出来たらしい。
影竜からの伝わる手の温もりに安堵したか、変わらずしがみ付いたままなれど
仔竜は幾分か落ち着いたかに見えた。]
「それだけでも、十分に御座います。
…我が王は、仔の安否ばかりを気にしてか詳しくを語って下さいませぬ。
尤も、事を内から把握しているかも判らぬ所ではありますが。
しかし我が王を含む15を統べる方々をこうも容易く封じる力を解くなど
安易な事で無い事は私にも想像つきます故。
――厄介な事に、代わりは御座いませぬね。」
[言葉の通り。此方の声が、聞えているのかおらぬのか。
幾度問いかけても、我が王は仔の安否しか聞こうとせぬ。
――気持ちは判れど、子煩悩にも程があるのではないか。]
……、翠がいっぱいの、とこ。
ととさま、よくいるから。
[しがみ付いたままだった幼子が、影竜の言に僅か身体を離す。
髪を滑る指が心地良いか、真直ぐに影の瞳へと視線を向けながら
投げられる問いにぽつりと短く答えを返す。
幼子とは言え、直ぐに父と会えぬとは薄ら判っている筈だがやはり恋しいか。
するりと仔の肩へと己の身をくねらせた。]
たの、し、……
[言葉は止まった。
もう一度、西殿の封印を見た。]
そうですか、たのしんでるんですか。
我らが王と同じですね。
……影輝王があわれになってきました。
[ぼそりと呟いていたから、背伸びをして手を伸ばしてくる、その様子を見るのが遅れた。]
――ミハエル殿?
[めがねを取ろうとする様子にも、抵抗はなく。翠の目が、小さな陽光の竜を見る。]
[すたすたと焔竜に近付くと、少し声を落として]
ダーヴは、無理をする時は平気な顔で無理するから。気をつけてよ?
[笑顔のままで言った]
生贄はきついな…。
ああでも実験台くらいなら喜んで。
簡単にゃ死なないしバッチリだ。
[どういう基準で前者を選んだのやら。
ブリジットにあっさりそう答えながら。]
…ちうか、ダーヴィットに任せるくらいならそうして欲しいもんなんだけど。
[諸々言いながらも、他所の会話は一応耳に入ってたらしい。]
しゃーない、とか。
[しかもそのクレメンスの説明の最後がまた最後だったりしたので、思わずガクリと肩を落とした。
それが妙に強張っていた力を抜いたとは知らぬまま]
確かに我らとは完全に別の律で動くものであるとは聞いております。ですから間違いではありませんし、直接の理由を考えるのは無駄かとも思いますが。
もう少しこう、言い方が…。
[口に当てていた手を蟀谷へとずらす]
竜郷は律に従い安定している場所。
王の力を抑え、その隙に切り崩そうということでしょうか。
[伝わることはない、その視線の意味。
気付いていたとしても、願いをあきらめるわけもない。]
[あきらめられる、わけもない。]
わはははは。ティル、正解!
おいさんが撫でてやろう。
[きっぱり言い切ったティルを撫でた。]
まぁまぁ。
つまり外で何かあっても、多少の事なら問題ねぇって事だわ。
[突っ込み一丁にも返しつつなでこなでこ。]
たのしそうだ。きゃっきゃしてる。
夏玲をほっといて、あそんでくれないくせに。
ムカつくのだ。
[ぷくー、と頬が膨らむ。
自分の名前を違う音で呼ばれたのがちょっとイラっとしたのか。
その足を遠慮なく踏み台にして、相手が屈んでいるのにそれでも背伸びのせいでプルプルする手で眼鏡をはずし、ご満悦]
夏玲のナマエ、ちゃんといえないのには、かえしてやらないよー!
[あっかんべ。
舌を出したかと思えば、回廊を逸れて銘々が集まっているほうへと走り出す]
は、はい。
心配を掛けずに済むようになりたいものですが。
[剣はザムエルにも苦笑の気配を伝えつつ、何も言わない。
そこから微かに感じる波動は何よりも親しいものを含んでいた]
そうですね。
ダーヴィッド様も何か探る為の力をお持ちのようですし。
頼る所は頼り、力となれる所では力となれるならば。
[何かあったら。
何があるというのか。
外で流血沙汰がおきるとすればそれは。
事を起こしたこちら側と、求めるモノを持つものら、あるいはこの事態を解決しようとする者ら。
その二つの者らとの対立ではないだろうか。
それらに対して。
果たして自分は助力するのだろうか。
疾風の若造を撫でながら、心はそこには、ない。]
……其方の王も似たようなものか。
[ 黄蛇の言葉に漏れた言葉には溜息が混ざる。
子煩悩ではなかれど、愛し人が大切という点では似通う。手は講じてはいるのであろうが。月闇王も封印の心配より、己が為したいようにしていたようであった。……よもや光竜王まで楽しんでいるとは、其の時には知らずにいたが。]
情報を得たければ、後に、他の者に訊くが良かろうな。
知識深きものも居ろう。
[ 簡潔に答え、幼児の問いに、今は紫水晶に変わりし瞳を声の主に向けた。]
なれば、行くとしようか。
[ 僅かに離れたとは言え、手を繋ぐより抱えるほうがよさそうでに思えた。何より気にかかったのは、ベアトリーチェの残した軌跡。
幼児を抱き上げて歩もうと手を伸ばす。]
……イズマルーム。
竜の風邪とは珍しいにも程があるが。
[ 唐突に届いたくしゃみに呟きが漏れた。
噂の所為などとは、やはり知らぬ。]
当たってても、嬉かねぇーよっ!
大体、今の状況の解決には、なんの役にもたってねーじゃんっ!
つか、撫でんなっ!
[上目遣いにクレメンスを睨みつつ、突っ込み一つ。
ついでに、ザムエル以外に撫でられるのはいい気がしない訳で、真顔で文句をいい]
ま、こんな状況じゃ、荒事になる可能性もありそーだし……いちお、アテにはしとく。
あ。ごめんなさい。
[双子の片割れに言葉遣いが似ていると思ったせいか、混じっていたようであった。
普段ならばないこと。]
[走っていった子供を、思わずただ見送って。
困ったように息を吐いた。目を閉じる。]
夏玲殿でしたね。
とんだ失態です。
[軽快な足音。
いくら小さくても体重をかけられれば足が痛いのは当然。
しばらくしてから、かけていったほうへと歩いてゆく。]
何にせよ、何かしらの干渉を受けていることは確か。
「揺らすもの」にせよ、そうではないにせよ、じゃ。
このまま捨て置くことはもちろん出来ん。
ダーヴィッドが辿り判明した、結界のバイパスとやらになっている者を探し出すか、結界の別の解除方法を探し出すのが良さそうじゃな。
竜王様達がこのまま囚われているという事態は、即刻解除せねばならん。
各竜郷への影響も調べてみた方が良いかのぅ。
[先程から感じる『安定』を欠く感覚。右手で顎鬚を撫でながら考え込む。力が籠り、左手に持つ小袋がくしゃりと音を立てた]
[ティルとブリジットの言葉には、深く頷いて。
ダーヴィットの言葉に、また額を一度手の甲で拭く。
それから、ブリジットの言葉に期待を籠めた目で、じっと真っ直ぐ見つめる。]
/*
紫からの情報開示がありますね。
念のため、こちらに転載しておきます。
聖魔剣は仮初の意思を持っています。 -- 天狐A
[感じられる苦笑の気配には、ふぉっふぉっふぉっ、と笑いを漏らす]
儂らがすべきは剣を「揺らすもの」に渡さぬこと。
そして干渉を受けし者達を探し出し事態の収拾をつけること。
探し出すのはダーヴィッドに任せるしかないのぅ。
儂らにはその手段が無い。
……すこーし不安ではあるが、の。
[僅か、遠い目をするような気配]
[疲れ。
その封印を見ると、あのときの疲労感を思い出す。]
[注意力も散漫だと、理解はしていた。]
[片手で目を押さえ、それからそろう場所へと向かう。]
……竜郷への影響……かぁ。
[ザムエルの言葉に、空を見上げる。
突然の曇天。
唐突すぎるそれが何を意味するか]
て、あ。
兄貴の力が、外に届かねぇって事は。
……やっべぇ。
天気の制御、誰もできねーじゃんっ!
[竜郷の天候は、大気の流れを制する嵐竜王によって保たれている。
複雑に交差する属性の干渉を抑え、一定の天気や季節を保てるのは、その力による部分が大きいのだ。
そり制御が失われる、という事は]
……かなり、やべえよーな……。
[旧友の視線を感じ、一度だけ穏やかな笑みを向ける。天竜には、]
そのままの意味ですよ。
[少しだけ、不適に笑う。そしてまた直ぐに結界へと対峙し]
氷破が六花に名を連ねし、ブリジット=S=フルラージュの名の下に――
[瞳を閉じ、意識を集中させる]
冷徹なるは氷……氷がもたらすは封……
――解けよ、融けよ。
[両の手を、封印結界へと押し込むようにする。
微かに、結界が揺らいだように見えたが――]
はい、第一にはそれを。
そして竜王様方を開放するためにも、干渉されし者への対処を。
他の随行者の方々のお力も借りながら。
[確認するように意識を纏めながら]
[ザムエルの言葉には、こくりと頷く]
是非お願いします。俺も見張りますけど。
[それから、ブリジットの始めた術をじっと見つめる。いつもの興味に輝く目と似通ってはいるが、少しだけ真剣味を帯びた視線だ]
「…我が王以外にも、いらっしゃるのですか。」
[影竜の溜息に、ゆるりと頭をもたぐ。
尤も、我が王の心情は判らぬでも無い。意図は容易に掴めた。
それが仔であろうと、他のものであろうと――
内から外を案じる想いは誰であれ変わる物でも無かろうと。
他の者に訊けとの言葉には、尤もだと舌を出し入れして答える。
影竜の持ちえた事も、十二分に有り難くはあったが。]
…?
[伸ばされる手に、幼子は一度不思議げに瞬いたか。
されどそれも一瞬、事を悟れば抵抗無くその腕に抱えられた。
自らの残した跡を知らぬか、意識しておらぬか。
影輝竜の有り難い心遣いなど、幼い竜には知る由も無い。]
…ノーラ、風邪ひいた?
[ティルの様子につられ視線を天へと向ける。あからさまに眉根が寄った]
…あまり悠長なことは言ってられぬかも知れんのぅ。
天候制御が利かぬとなれば、他への影響も多々…。
ことは迅速に行う必要があるが、はたして…。
[解決の糸口が見つかるのだろうか、と視線を地へと戻し、再び顎鬚を撫でながら考え込む]
[青年が選んだのは持つ知識の開示ではなく誰がどの知識を得ているかの記憶を刻む事。説明がある様子に一歩引いて耳を傾け、また同時に方々の会話を拾っていく。
禁書として青年が持つ知識と生命竜の告げた内容に大きな相違はなく、頷く事で肯定を示した]
そうですね、早くどうにかしなくては。
[誰にともなく同意の言葉を述べ、ブリジットのする事に意識を向け掛けて近づく気配に振り向く。
陽光の末弟とその後を付いてくる知己の月闇に会釈を向けた]
あっはっは。解決とか、そんな事俺に期待するほうが間違ってんだぜ。
[疾風竜に撫でるなと言われれば、意外にもあっさりと手を放した。]
はぁぃ、一名様御予約入りまぁ〜す。
[その代わりの嫌がらせだろうか。
裏声はきっと絶対気持ち悪い。]
少しではなく心配なのですが。
[独り言のように小さく呟いた。
それから不敵な笑みを浮かべたブリジットが、力を放つのを見つめていたが]
なっ。
大丈夫ですかっ!
[弾き飛ばされるのを見て、慌ててそちらへと駆け寄った]
ブリジットさん!
[氷破竜の弾き飛ばされる姿に駆け寄る…より前に肩の機械竜が飛んだ。その身体が、ぽうと青い光を帯び、飛ばされた方向へとその光を広げて受け止めようとする]
ん、天気もそうだけど。
……ヘタすると、爺ちゃんとことか、あと、海も色々と危ないんじゃねぇの?
[竜郷の中で占める空間が広ければそれだけ、影響を被る範囲も広い、と読める訳で。
それに危機感を感じるのと、弾けるような音が響くのはほぼ、同時]
って!
だいじょぶっ!?
[飛ばされた氷竜の様子に、やや、声が上ずった]
威張るとこかよ、ってゆーか、予約とか入れなくていいからっ!
目の前、対処しろよ、おっちゃん!
[クレメンスの裏声に一発どついたろか、と思いつつ。
視線が向くのは、ブリジットの方]
仕方の無い事とも言えよう。
王であれど、本質は変わらぬ故にな。
[ 属の本質。少なからず支配され、影響を受ける。我らが存在の所以。]
我はひいておらぬよ。
影には無縁。案ずることはない。
ベアトリーチェこそ、ひかぬよう。
[ 幼児は思うよりも軽く、しかし重くも感じられた。生命の重みだ。
小さき身体を抱えると、来た道を戻り、外へと至る。西殿の騒ぎから離れた其処は静かではあれど、大気は落ち着かず、ざわめいている。天は変わらず厚き雲に覆われていた。
中庭を満たす緑は風に揺れ、木々は囁きあっているようであった。影たる我に、その声は聞こえねど。]
っ!?
[結界に拒絶されるが如く弾かれたブリジットへと駆け寄り。]
無茶すんなって!
内側に居る王たちの手に負えないものを、正攻法で解けるはずないっての…
/*
開示確認しました。
ところで一日目は書く竜王と外部の交信可能、すなわち直接竜王達に剣の問い詰めは不可能になりましたが、何かいい案ございましたら。なければどうなりと考えますが。
[弾かれた身体を、青い光が受け止めてくれて]
――と、と、と。
[ぽてん、と地面へと座り込む。
青い光――機械竜がちかちかと、その瞳でブリジットを見ている。
天竜の声、駆け寄る姿が、視界の端に移った。]
うむ。
一気に崩れることは無いじゃろうが、少しずつ影響は出てくるじゃろうよ。
じゃからこそ、迅速なる解決が必要なんじゃ───。
[ティルに対し言い終えたところで聞こえる弾ける音。見ればブリジットが結界干渉を試み失敗、弾き飛ばされている姿が見える]
ぬぅ、大丈夫かの?
…ブリジットの力をもってしても無理か。
[忌々しげに結界に視線を向けた]
って。
[ザムエルの言葉には、微か表情を曇らせる。]
…姐さんが長いこと居なくなったら、生命の海にも影響出るな。
流石にそれはちょっと、まずいわ。
[『生命』に影響が出たらどうなるか。
嫌な未来を予想していただけに、ブリジットへの対応は少し遅れた。]
っと。
大丈夫か?
[近づき、傷ついた腕に己の手の平を重ね置く。]
急に変わるのだものね……この不機嫌結界。
[不満そうに呟いて、ふるふると頭を振るって]
……助けてくれたのは、貴方?
[青い光を放つ機械竜を撫でようとするが、]
あら。
[手が、というか肘から先が、赤かった]
/*
ええと。
竜王たちがもっていないのは感知できるようです。
なので誰かが持っている、というのまではわたしたちには理解できるとか。
狐だけが「竜王が誰かに渡した」という事実を知れる
狼は「竜王が持ってないから、誰かにわたしたんじゃないか」と考えられる
ということらしいです。
聞いた情報から私なりにまとめたところ。
[焔の竜に、少しだけ情けなさそうに苦笑して]
急ぎすぎたみたいね。
ちょっと行けそうな「ほつれ」があったから、試してみたのだけど。
いきなり結界の式が目まぐるしく動いて、不機嫌になって……。
[情けないなあ、とぼやくように呟いた]
クレメンス様!
[青い光に受け止められたことに安堵の息を零し。
両の手が裂傷を受けているのに気付くと、生命の竜の名を呼んだ]
本当に、無理はなさらないで下さいね…。
[クレメンスが近くに来れば、場所を空けるか]
[てってってっ。
時折長袍の裾を踏みそうになりながら、眼鏡を手に裾を持ち上げて仔龍は走る。
進んで行ったら、何やらオトナがたくさんいるところにでた。
アーベルがこちらを見たので、急ブレーキ]
よっ!
[ぴこん、とオトフリートの眼鏡を持った手を挙げてあいさつ。
礼義なんてそんなものは仔龍の中にはない]
ったー…間に合った。
[光の間に合った様子に、ほう、と息を吐く。機械竜は、カシャカシャと羽ばたきながら、青い光を明滅させてブリジットの周りを一度旋回してから肩に戻ってきた]
怪我はありませんか?
やれやれ、無茶をする者が多いの。
[それは溜息と共に漏れ出て。
気を取り直すかのように息を吸うと]
その干渉されし者が誰であるか。
誰かが言っていたが、おそらくは竜王様達に近しい者へ呼びかけておるのではないかと思う。
皇竜王様及び影竜王様に近付ける者でなければ剣を奪うも難しいしの。
故に随行者達全てを頼るのは難しい。
疑いつつ、信をおける者を探さねばなるまい。
ダーヴィッドは信を置けるとは思うのじゃが…儂らが剣を持つことを知るとうっかり言いそうではあるのじゃよなぁ。
術式を向けられた時の対処は考えておく必要があろうか。
あー、っとに。
なんか、タイミング劣悪な時に戻ってきたなあ、オレ……。
[何となく、大げさなため息をつくものの。
同時に、この場にいたのが自分なのは良かったのか、とも思う。
姉の機嫌が中々直らない理由、未だ、義兄にも明かされていない秘密。
それを思えば、騒動の渦中に姉を送らずにすんだのは行幸。
もっとも、この状況はこの状況で、姉にはよろしくなく]
さっさと……バイパスだっけ?
そいつをみつけて、どーにかしねーと……。
[迅速に、というザムエルの言葉に呟くように言う。
その瞳は、いつになく真剣だった。かも]
[結界の方から生じた弾かれる音に僅か遅れて振り向き、氷破竜が機械竜の青い光に受け止められるのを見た。
裂かれた腕に眉を寄せるも既に数人近づいており、青年より治癒に向く者も居るのを確認して眼差しを向けるに留める]
氷破でも破れませんか。
[各竜王の声はそれぞれの随行者に届いているのとは裏腹な強度を持つ結界に真剣な瞳を向け、レンズの陰で半ば瞼を伏せる。
残る綱は若焔の結界管理能力だが、交わされる漫才めいた会話からは頼りにするとは言いかねた]
/*
めっさシスコンですね、てぃるるん。
まあ、あれだよ、うん。
両親亡くしてる分、ウェイトが大きいんです、姉夫婦には。
[受け止めた機竜と、駆け寄った天竜の邪魔にならないようブリジットに触れ。
ティル、エーリッヒ、エルザには軽く頷くに留めながら。
手はほんの数秒、流れる血には構わずに、傷口をなぞるように動かす。
離れれば、氷破の竜の細腕に残るのは、既に流れた血のみ。
赤いそれを、服の中に入れておいた白いハンカチで拭えば、弾かれる前と同じ状態に戻っていた。
へらと湛えるのは常の笑み。]
おし、大事ないな。服も汚れちゃいないか…?
ティルじゃないんだし、あんま無茶すんなよ。
[それは疾風竜ならいいのかという事ですかそうですか。
そんな軽口たたきながら、自身の手の平に残った血は、面倒なので放っておいたり。]
/*
開示確認。
そう遠くない位置にある、程度は感知できるだろうと。
力が移動するのを感知できれば、誰かに渡したかは予測できるのかな。
一箇所に留まってるのなら、家捜しすればいいわけだし。
[ブリジットのことは若い竜達に任せ。
近付いてきた小さな影に視線を向ける]
おや、これはハリョン殿。
…その眼鏡は?
[光竜王の末弟である仔竜に頭を下げ。上げられた手にある眼鏡に疑問を投げかける]
あらあら。ごめんなさいね。
[手当てしてくれている命竜や天竜、心配そうにする回りの竜たちへと声を掛ける。
そして、結界を少し見た後に]
さっきは惨敗だったけれど……
正攻法でも、外側からなら何とか行けるー……かも、しれないわ。
といっても、まず式の解析だけで10日……か、2週間ほどかかるかも知れないけど。
[また情けなさそうに、息を零した]
ノーラがへいきなら、いいの。
リーチェも、へいき。
[幼子と共に揺られ外へと出でる。西殿の方か、遠く幾つかの属が重なる気配。
その喧騒とは異なった大気の其れが、この身にも感じられる。
感じては居たが、しかと感じる空気は事態が只事では収まらぬと告げる。]
…どうしたの。
――こわい?
[小さく問う声に視線を上げる。仔の視線は、木々へと向けられていた。
意思や気配を感じ取りこそはすれ、確りとした声を聞き取る事は私にも叶わぬ。
王と、この仔らとはまた違う故に。
揺らぐ幼子の瞳には、再び不安の色が過ぎろうか。
事態の掌握まではせねど、木々の告げる言の葉を容易に感じるのは翠樹の属故。]
明 夏玲(ミョン・ハリョン)殿。
[刻まれた記憶から陽光の仔竜の名は滑らかに紡がれる。仔竜の顔ではなく挙げられた手に向けた青年の眼差しが月闇へと流れ、また手の眼鏡へと戻された]
その眼鏡はどうされましたか。
返さねば月闇殿がこけてしまわれるかもしれませんよ。
……それ、どういう意味だよ?
[クレメンスがブリジットに向けた言葉にむう、と眉を寄せ。
それから、ずっと手にしていた『風雷棒』を縮めて背に戻す]
…………。
[青の瞳で再び結界を睨むように見た後、目を閉じて、それに手を触れた]
[悪すぎはしないが、よくもない視力。
普段と違う視界に、歩く足はゆっくりと。
小さな仔が向かう場所は、先に通った場所。]
[一騒動が起きた後のようであった。
仔の姿を探し、立ち止まり、翠の目を一巡させる。
そうして、仔だと思われるほうに、近付いた。]
見つけて、その者達に結界を解除出来るかはまだ分からぬがのぅ。
[ティルの言葉にもう一つの懸念を口にする]
ともかくやるべきことは見えてきておる。
問題は、そのバイパスとなっている者が誰か、じゃ。
[命竜に触れられると、あっという間に痛みが引いて行き]
……いつ見ても、凄いわねえ。
本当にごめんなさいね、お手間を掛けて。
ありがとう、クレメンス。
[自分の腕をしげしげと見つめ、ややあって、命竜の名を呼ぶと共に微笑んだ。
彼の手に残った血を、今度は自分のハンカチで拭ってやって]
無茶は、もうしないわ。
[綺麗に治癒したらしい傷に、ほっと息をつき、クレメンスに笑顔を向ける]
やっぱりすごいですね、クレメンスさん。
[続くブリジットの言葉には、うーん、と首を傾ける]
そんなに長い間十五竜王が閉じ込められていたら、均衡が揺らぐどころの騒ぎじゃなくなっちゃうんじゃないでしょうか?
[また、さらっと不吉なこと言ってます]
/*
ご協力感謝いたします。
お二方のお話を参考に結界に干渉して感知してみます。
勿論、お二方が動きたいならば構いませんので*ご自由に*
おっ、陽光竜の。
何かいいもん持ってるな。
[持ち主が誰であるかは簡単に知れた。
よっと、元気のいい挨拶には、こちらもよっと片手を上げた。
うっかり血まみれだったが。]
結界もかなり複雑なもののようですね。
見ているだけではなく、お止めするべきでした…。
[心配そうにブリジットを見ながら]
そういうことになりますね。
この時期に起きたということは、諸王の方々を封じるだけでなく、そのためにでもあったのかもしれません。
信を置ける方を見極める、ですか。
私は御師様とダーヴィッド様以外の方をこれまで存じ上げませんでした。難しいですが、やってみます。
うっかり言いそう…。
[その部分は鸚鵡返しに繰り返して。
最前のエーリッヒとダーヴィッドのやり取りを思い出して]
………そう、ですね。
……ううん。そうなのよね、本当に。ただでさえ、既にこの天気ですもの。
[機竜のもっともな呟きに、ほぅと息を零す]
他の氷破竜も呼ばないと駄目かしら。
[口元に、治ったばかりの手を当てて、悩ましげに]
― 竜皇殿・中庭 ―
……こわい、か。
ベアトリーチェと同じ様に、
王が居らず、寂しいのかも知れぬな。
傍に居てやると良いよ。
[ それは半ば正しく、半ば異なるのであろう。
怖れるものがあるとすれば、未知の存在と、これから起こり得ることだ。]
さて、今の我に宥められはするか。
少しばかり、此処で待っていておくれ。
[ 中庭を幾らか歩み、草の上、木陰の許に仔を下ろす。]
[陽光竜の仔が、やってきたことに気付いたのは、かなり遅れてだった、生命竜がその手を挙げたのを見て、びくう、と背筋を強ばらせる]
く、クレメンスさん!血!血!血!
拭きましょうよ〜〜〜
[何故か泣きそうな声で訴えた]
…ともかく、早急になんとかしないとなぁ。
[…むぅ、と考えこんだまま。
結界内では、仕切屋の父がなんとかまとめようとしてるが、超個性的な面々の前では無駄な努力だったりしているみたい。]
/*
私も詳細はうまいこと理解してないのですが、
ギュンター襲撃は、もってないようだから側近だしもってるかも的らしいですということだけは。
こちらはきっと後ほど干渉します。
皆で互いに適当にやっちゃっていい気がします。
[青年の眼鏡は力を封印するものであり、月闇竜とは異なる。だからこそ見えぬのではと言う懸念が先に立った]
返していただくよう言っておきますので、どうぞ慌てずに。
[口元に引かれた苦笑は容易く視界に入っている]
[意識を集中させ、周囲の大気流を辿る。
一連の出来事から、ほころびなどはない、と理解はできているものの、一応は確かめたかった]
……一応、風は、行き交ってる……のかな。
ち、でも、中は見れねぇか……。
[風に音を拾わせ、情報を集めるのは人間界での常套手段。
しかし、それはこの結界を相手には、通じないようで。
やや、苛立った様子で結界から手を離す]
……兄貴、あんまり暴れんじゃねぇよ……めーわくだろ、めーわく。
[束縛を何よりも嫌う嵐竜王、物理的にも暴れているようです]
や、ほ!
[ぶんぶん、と、眼鏡を持った手を振る。
クレメンスの真っ赤な手を見てさっと顔が蒼くなったが別に倒れるということはなく]
ん?これはー、ばつゲーム!
夏玲のなまえ、ちゃんとよべなかったからかえしてあげないんだー。
[とたた、とアーベルに近づいて眼鏡を渡しながら大地の竜の疑問に答える]
ほんと、なんとかしないと、心臓に悪い…
[焔竜の言葉を耳にして、疲れたようにぼそり]
頑張ってよ、ダーヴ。
[期待してるんだか、してないんだか]
[結界内もばたついているのかしらと、西殿の中を思う。
もしかしたら外と同じように、氷竜王が無茶して、
命竜王に助けてもらっているかもしれない。
どうしたものかなあと、ブリジットは口元に手を当てたまま考えている。]
男の子は元気が一番って事だな!
[ティルにすごい誤魔化した。]
はっはっは。
まぁ俺の少ない取り得だし。
まー…ほんとに何事もないのが一番っちゃ、一番なんだけどね。
[自分は保険みたいな存在だよなぁとは胸中で。
微笑まれれば、へらりとイイ笑みを返した。]
おう今拭いてもらった。ほーら、きれいきれーい。
…ところでエーリッヒって苦手だったか?血。
[何だかさっきからやたらと情けない声のエーリッヒに、軽く首を傾げた。]
諸王が在られぬとなれば、安定も欠けましょう。
それしか手段が無いとなれば仕方もありませんが、できるならもっと早くに解決したいものです。
それに。
[エーリッヒの言葉に反応しながら。
ティルの声に不安そうに中を見た]
中から無理矢理に破られたりしたら。
竜都が壊れる気がします。
[ポツリ、と、これまた不吉な一言だったかもしれない]
[クレメンスの声にそちらのほうを見るものの、
赤い色はさすがに視認できる。]
[しかし声をかける前に、拭かれたようで。
そのまま、目をそらした。]
何、どのみち一度やらねば気が済まなかったろうよ。
…ティルもまだ気が済んで居らぬようじゃしの。
[結界を睨むようにしている孫のような存在にちらりと視線を走らせる]
全くもって厄介なことよ。
此度のことは「揺らすもの」の役目の一つであるとは言え、こちらとしては迷惑極まりない。
更には同胞に干渉してそれを行おうとしておる。
どうにも癪じゃの。
[何度目かの溜息。頭が痛い思いでもある]
ふむ…長年交流のある者であれば、僅かな変化も感じ取れるやもしれんが。
お主にとっては少々難しいやもしれんな。
かく言う儂も全ての者を知っているわけでは無い故、難しいところではあるが。
かと言ってやらぬわけにも行くまい。
[ダーヴィッドに関してはこれ以上言わないで置いた]
―竜皇殿・中庭―
…、…うん。
[如何に思ったか、仔は影の言葉に一つ頷く。
木陰に下ろされた幼子は、一寸心許無げに影竜へと視線を向けたか。
しかし言われた通りにか動こうとはせず。
代わりにか、樹木の幹へと支える様にして手を触れた。
その腕へと己が身体を滑らせる。
広とした所で足を止める影に、幼子と共に意識を向けた。]
苦手というか、刺激が強過ぎるんです、今は。
[クレメンスの問いに、溜め息混じりに答えると、カシャカシャと羽ばたいた機械竜の額で、わずかに天青石がその輝きを強めた]
[ 一つめの眼を閉じて、仮初の闇の中、二つめの眼を開く。
他者にとっては、単に瞳を瞑っているようにしか見えなかろうが。
仮の世から隔てられた目蓋の裏に映るのは気脈の流れ。
うねり、彷徨い、乱れる。
腕を伸ばすと共に、意識を広げて、掴み取る。吹き抜ける風とは無関係に、羽織った黒のショールが広がり纏った紫紺の布がはためくのが、見ずとも分かった。]
――均衡を。
在るべきものは、在るべき姿に。
己の場所に還り、為すべきを為せ。
[ 語り、謡いかけ、言葉を紡ぐ。
地に向けていた手を捻り天へと向け、掌は風に触れて、素の足は土を踏み調子を取る。親が我が子をあやす如く、撫ぜるように、掌を揺らめかす。
元の流れへと均していく。
自身の動きを見ることは叶わぬが、傍目には掌から闇のような光が生まれ、舞い、散っていくのだと聞いた。竜卿の丘の、螢火が如く。
またそれは、人の界で言う、東の踊り子のようでもあると。装飾の一つや二つ身に付ければ尚の事そう見えようとも言われたが、応ずることはなかった。
影は影に過ぎぬのであるから。]
そーゆー問題かっ!
[誤魔化すクレメンスに呆れたように言うものの。
先ほど、ザムエルに制止されなければ、間違いなく自分もブリジットと同じ──否、もっと酷い事になっていた可能性も高いわけで。
とりあえず、それ以上は言わずにおいた]
……え、えーと。
いちお、周りが押さえてくれる……とは、思うけど。
ウチのバカ兄貴が無茶しようとして、も。
[エルザの一言に、声はちょっと引きつったかもしれない。
何せ、直接血縁がないのが不思議と言われるくらいの似たもの義兄弟なわけで。
やらないと、言い切れないのが怖かったりする]
[ 漣のようなざわめきが止み、
静寂の帳が下りていく。
眼を開き天を仰ぎ見れば、厚き雲は幾らか薄らぎ光が零れていた。
それが陽のものか月のものか、分からぬ程、微かではあれど。]
全く。
広過ぎるな。力が足りぬ。
[ 収まった布を己の身に引き寄せつ、愚痴めいた言葉を落とした。]
[各々の随行者から漏れ聞こえる互いの竜王の様子を聞く限りは、中は元気で宜しい様子。]
…姐さんはほっとこう。
とりあえず、兄さん任せた。
[当然の如く、自分とこの王は影竜王に丸投げだ。
まぁむしろ干渉すると逆に嫌がられるだろうしといい訳。]
[振られる眼鏡に少々心配が過ぎったものの、壊れる事なく陽光の仔竜の手から青年へと渡された。硬い指先に触れる紅葉の柔らかな手に消えていた口元の笑みが蘇る]
名を、そうでしたか。
夏玲(ハリョン)殿の名は響きが美しい分難しいですからね。
けれど月闇殿ならば二度は間違われないでしょう。
[素直に渡された事に感謝の眼差しを視線を合わせぬように向けてから、オトフリートへと少し足早に歩み寄った。どれ程見えているのかわからぬ為に、その手を取って眼鏡を乗せる]
どうぞ。
[氷破竜に手招かれた機械竜は、カシャカシャとはばたきながら、素直にその目の前に飛んでいくと、黄色く明滅する瞳で、問うように細いメタルの首を傾げた]
[困っているのが判っていたから、少し不自然かもしれないと知りつつ足早に眼鏡を届けた]
落さぬよう気をつけて。
[確実に眼鏡を認識するまで待ってから、静かに手を離す]
はい、我らは我らの律に従いて維持するもの。
無理矢理に介入され壊されるは困ります。
しかも、同族を疑うことになるなど。
[憂いが瞳を掠める]
はい、或いは逆に考えれば一から偏り無き視点で見ることも叶うかもしれません。
自信はありませんが、やります。
[自分に言い聞かせるように宣る]
[ その頃。
閉ざされた間の内で、影竜王が竜王間の均衡を保つのに苦労しているなどと、我には知る由もなく。知れども、手助けする手立てもなければ、その気すらなかった。
触らぬ竜王に祟りなし。]
[地竜王は落ち着いてはいるが、暴れる誰かさんを物理的に止めようとしてるっぽい。対だし]
罰ゲーム?
ははぁ…なるほど。
ハリョン殿達のお名前は、慣れぬ者ではなかなか発音も難しいところもありましのぅ。
[眼鏡をアーベルに渡す様子を眺めつつ、納得したように頷く]
ではオトフリートの知己としてお願いしたく。
これを献上致します故、彼の者を許しては頂けまいか。
[言いながらハリョンの傍にしゃがみ、持っていた飴玉の小袋を差し出してみる]
[そうしてから、近付いてくれたアーベルにより手の上に戻る眼鏡。
ようやく微笑みが戻る。]
ありがとうございます、アーベル殿。
こちらにいらっしゃっているのは存じておりましたが、お会いするのがこのような機会になってしまいました。
挨拶が遅れまして。
久方ぶりです。
[受け取った眼鏡を、そのままかけて、目を合わせて挨拶を。]
中から無理矢理とか…まさかそんな…
[エルザの言葉に笑顔が引きつるのは、何事もやってみなければ始まらない、が座右の銘らしい、チャレンジ精神の塊のような一族の王を思い出したからに違いなかった]
[各竜王の動きが言葉の端々に漏れる中、青年は何も言わない。
精神の竜王は、結界内の『混乱』を穏やかに眺めているだろうから]
[陽竜の一瞬怯える様子には、こいつぁ失敬と軽い謝罪を述べ。
こちらを見ていた風に見えた、オトフリートには拭いた手を一度振った。へらりと常の笑みをうかべて。]
んー?刺激ねぇ。
[エーリッヒの声にそちらを向けば、微かに強めた機竜の額の石の光が強まったのに気づいた。
だがそれの意味するところは、未だ分からず。]
[素直に飛んで来た小さな機械竜に、穏やかに笑いかけて]
さっきは、どうもありがとう。
おかげで助かったわ。
[そっと、金属質の頭を撫ぜた。
ついでに、袖から細い水晶の鎖を取り出すと、]
お礼代わりに。貴方に似合いそうだから。
[小さな機械竜へ笑った後に、あげてもいいかしらと、エーリッヒに首を傾げた]
[今ここに居る人々を順番にゆっくりと見てゆく。
それぞれを確認するかのように、静かに]
嵐竜王様は、御気性の激しい方なのですね。
そういう意味ではなく、諸王のお力を思えば、だったのですが。
[ティルの言葉に視線を返し、苦笑を零す]
それはきっと我君も全力で止められるとは思います。
ふむ、偏りなき視点で見ることが出来るというのは確かにあるじゃろうな。
[少し考え込むように沈黙が流れる。己はそのように見ることは少々難しいだろうか。彼らの中には深く交流した者も多い]
ひとまずは様子を見るとしよう。
干渉せし者とて、そうそう尻尾を出すまいて。
[機械竜が、カシャカシャと羽ばたく音に視線を向けると、ブリジットと視線が合った]
それを、ユルにですか?
[ちらと機械竜を見てから、微笑む]
はい、ありがとうございます。ブリジットさんを助けることが出来て、ユルも喜んでるみたいです。
いえ、返して下さったのは夏玲(ハリョン)殿ですから。
此方こそご無沙汰しております。
[月闇の竜の礼に首を振り、眼鏡をかける様子を見ていて視線を逸らすのが遅れた。刹那合った視線で何を覗いたか、それとも封印の眼鏡が防いだかは青年にしかわからない]
ですから、クレメンス様。
[自分の失言だったことにも気付いたが、それ以上に怖い一言が聞こえて、僅かに表情を引き攣らせた。
振り返るその途中、エーリッヒの表情も強張っているのを見て]
…どうか、無事に済みますよう。
[思わず遠い目になって祈っていた]
二人ともお帰り、なのかね?
[一旦結界前を離れていた二人に、へらとした笑みを返す。
幾分、心の調子は戻ってきたようだ。]
[僅かに薄る雲を見上げ、私はゆると頭を垂れる。
さて仔はとその視線を向ければ、その様子をじつと見つめていた。
他の者の感想に漏れず、己とて螢火の様だと感じたが――
さて、幼子にしてみれば郷より外の界を見る事も無ければ、
この様な光景すら初めてに等しかろう。
ただ、闇が散っていった空を見つめるばかり。]
「――仮にも此処は竜都。力及ばずとも、無理はありませぬ。」
[愚痴にも似た影の言葉に、黄の身体を揺らぐ。
…よもや、内では何が起こっているのか、私には勿論知る術など無い。]
ああ、そーゆー意味かぁ。
[エルザの言葉に、一つ息を吐き]
とはいえ、やらねぇ、って言い切れねぇのがウチの兄貴だし。
実際、今も暴れてるっぽいしさぁ。
気性が、っつーよりは、性分かなあ。
兄貴が制するのは、『自由』なる事、それ故の『律』だからね。
束縛されてると、相当きついはずだから。
…さて、如何すっか、ね。
[ふぅっと息をついて、何やらごった返しの結界前を見渡した。]
剣、は。
天と影、件の二王が持っているんだっけか。
[告げるは知りうる事実のみ。]
[アーベルに眼鏡を渡したら、オトフリートの謝る声と屈んだ姿が見えたので]
ん。
[次からは気をつけろと言わんばかりにぷーと頬を膨らませたあと、先ほど思い切り踏んだ足をしゃがんでごめんね?とばかりにちょっとだけ撫でた]
!
[差し出された小袋をあけて仔龍は目をきらきらとさせる]
そ、そーゆーことなら!
[地の竜に対して子供はこくこくとうなずく。
非常に現金だ]
ユル、ね。ごめんなさい、名前を聞きそびれていたわ。
[少しだけ申し訳なさそうに微笑んだ後]
良かった。それじゃあ、はい。
[水晶の鎖――ブレスレットを、小さな機械竜こと、ユルへと付けてあげた。
金属質の首に、ちゃらりと細い水晶の鎖が輝いている]
良い子ね。本当。
[封印のレンズ越しでなく覗いた瞳はあの時と違い、紺碧の影に紫紺は見えてもそれ以上の色までは見えなかっただろう。
それでも逸らしてしまうのは長年の癖のようなものなのだけれど]
えぇ。
[重ねられた謝罪には微かに頷きを返した]
はい。
「だが時間は余り無い」
[師に頷いたところで、それまで沈黙していた剣が声を発した]
「汝の懸念もあながち外れてはいない。結界の中も力が集まりすぎている状況であり、安定しているとは言い難いのだから」
[機械竜は、声を放つことも表情を変えることもない。しかし水晶の煌めきがそのメタルの首を取り巻くと、嬉しげに誇らしげに、くいと胸を反らしてくるりと空中で反転した]
はは、ユル、ご自慢だなあ。
[笑う青年も自分のことのように嬉しそうに見えただろう]
[目をそらす様子に、瞬いて。
それから、すみませんと謝罪の言葉。]
[陽光の仔は許してくれたようで、
その手先がなでてくれるつま先に、小さく笑った。]
いいえ
許していただけて、私の方こそありがとうございます。
老君も、ありがとうございます。
[投げる言葉は、陽光の仔を越えてゆく。]
[嬉しげに頷くハリョンに穏やかな笑みが浮かぶ]
ありがとうございます、ハリョン殿。
[その笑みには、やはり子はこのようなものが好きなのだな、と言う安堵も含まれていた]
確かに、自由なる風が押さえ込まれているのは環境として良くありませんね。
嵐竜王様が苛立たれるのは致し方ない部分もありますか。
[ティルに頷きながら左手を軽く腰に当てて]
…他の竜王様方にも通じますか。
竜都であるがゆえ偏りはまだ少なく在りましょうが。
安定する場所とは言い難いでありましょう。
界を支える力であればこそ。
[それ以上言うとまた不吉な言葉になりそうで、口を閉ざした]
ただいまと返すべきでしょうか。
[心話で届く挨拶に柔らかく返し、続く言葉にしばし沈黙する。
影竜王の伴侶と見なされている命竜王の弟である事を思い出したかのように青年は視線を向けて、また逸らし伝えるのは肯定]
えぇ、その二人と伝えられていますね。
――そうですね。
[結界を見やる]
アーベル殿は、これほどの結界で、お疲れではありませんか?
[心配そうな声で尋ねる。
そして、そっと結界に近寄った。]
時間が無いことも分かっておる。
既に竜郷に対する影響は出始めて居るしの。
じゃが焦っても結果は出ぬ。
相手がどう対処してくるかも分からん。
手がかりが無い以上、まずは手がかりを見つけねば。
[剣の言葉に頷きながらも、己が考えを紡ぎ出す]
ザム爺さん流石。子供の扱い上手な。
よっ、年の功。
[おそらく自分のが遥か年上なのだがそう言う。]
うはは。
まぁ万一、そうなったとしても。
王が無事なら何とかなるもんだ。
[それは不幸中の幸い、と言い換えることかもしれない。
ふと、もし揺らすものがこちらに干渉してきているのなら、ひょっとして目的はそんな所なのか、とか思ったが。
流石に口にはしない。不吉すぎ。]
ん、それにこの壁……外から触ってるオレでも、かなりイラつくっていうか、ムカつくんだよな。
その内側にいるのは、相当なフラストレーションだと思う。
[エルザの言葉に、もう一度結界を軽く、蹴飛ばして]
……ん、まあ、中は中で。
少なくとも、力の均衡自体は取れるんじゃねーの?
欠けてる属がないんだしさ。
[お気楽な口調は、周囲を慮ってか、それとも素の物言いか、それは定かではなく]
どっちにしても、さっさと問題片付けねぇとなあ……。
[ 仔竜の傍に戻り腰を下ろす。
光が無くては影も無い。木陰とは称すれど、漂う仄暗さは周囲と然程変わらぬ。薄らいだ雲に、多少の明暗は分かれていたが。
己の掌に目を落とせば、普段より色を失って、白く見えた。
白い、というよりも無色、透明にも近くなろうか。
今目を閉じれば、周囲の影に溶け込んでしまいそうな気怠けさを覚えた。]
未だ器も幼き故にな。
[ 黄蛇の科白に、首を巡らせた。視界の端に映るは、宮殿だ。]
さて、ベアトリーチェ。
もし、内には人が残されているのに、
扉が開かなくなってしまったとしよう。
閉じてしまったのは、誰かだ。
内からは決して開けない。
斯様な時にはどうしたらよいかな。
[ 指を一本立て、謎かけのように現状を喩え、幼児に問う。]
中:
…というか。
自分も感知組みなの忘れてた(ぁぁぁ
さっき結界触っちゃったよ!
まぁ調べてなかったでいいんだろうがが。
[耳に届く月闇竜の謝罪の声には首を振り、流れた視線は生命竜を通り嬉しげな様子の機械竜と氷破竜へ向かう]
さすがですね。
[既に痛みのないブリジットの様子に頷き、きらきらと結晶のように輝く機械竜の首元に目を細めた]
[嬉しそうに飛ぶユルと、微笑む機竜を見て、同じように微笑んだ後]
……もう一度、じっくり見てみましょうか。
[また虫眼鏡を取り出して、結界を見やった。
先程まで見ていた式とまったく違う様を見て、大き目の溜息を吐いた。
風竜の、さっさと問題を片付けないと、という言葉に同意して]
地道にやっていても、駄目そうね。
焔のに任せるのが一番良いのかしら。
「焦れとは言わない。
だが、結界内で大きな力が動けば、或いはこちらに『揺り返し』があるやもしれない、ということだけは覚えておくが良い」
[それだけ告げると剣は再び沈黙の中に沈んだ]
…困りましたね。
手がかりを得る為には、多少こちらからも情報を出して反応を見るしか無いでしょうか。
[剣に触れていた手を放し、そう考えた]
/*
ギュンター襲撃忘れてt
こちらも干渉とかは適当に。
>アベちん
表現があれでごめん。俺命竜王と血縁者では、ないんだ…!
ヤ○ザ風味に姐さん呼ばわりしてるだけで単なる古参の側近
(返事不要だぜ)
ええ、本当にさすがね。
あっという間のことだったのに、すぐに助けてくれて。
さすがと言えば、彼の力も、さすがだけれど。
[命竜をちらりと見た後、心竜に向かい。自分の腕をぺちぺち叩いて微笑んだ。]
[やがて自慢し終えて満足したのか、肩にもどってきた機械竜の頭を軽く小突いて、また結界へと視線を投げる。氷破竜の言葉に頷いて]
とにかく、すぐにはどうにもならなさそうですね。俺、何か他に方法がないか、探して来ます。
[一体どこにどんな当てがあるというのか、くるりと踵を返して駆け出した**]
[すぅと、
自分の力も入っている結界の向こう側を、探る。
殆どの力は必要にならない。
ただむこうの気配を探るだけだから。]
――……
[集中して、それでも、目当ての気配はなく。
無い、と、心の声が呟いた。]
ほっほ、普段から子と接する機会は多いでな。
まぁ、儂がでしゃばらんでも許しは得られたようじゃが。
ハリョン殿に飴を渡すには丁度良かったでな。
[渡すために買って来たのじゃし、と笑いながらクレメンスへ返す]
さぁて、やるべきは見えたがどうするか。
悠長に構えている時間は無いが、手がかりとなるは少ない。
困ったもんじゃな。
[誰に言うでもなく呟き腕を組み。閉ざされた西殿と、それを取り巻く結界に視線を*向けた*]
ああ、そだねー。
火炎の兄さん頑張ってもらうのが、一番の早道っぽい?
少なくとも、他に探す方法って、ないんだし。
[ブリジットの同意に、こちらも一つ頷いた。
肩のピアも、こくこく頷いて、尻尾をゆらりと]
なんというか、式も、力も、安定していないの。
干渉すると不機嫌になるし。
[月闇竜の呟きを聞いて、先程まで調べていた内容を掻い摘んで説明した]
[早速一粒取り出してほおばり。
ザムエルとオトフリートにそれぞれ刻々と頷く。
ふんわりと薫るのは桃色の飴玉のとろりとした白桃の香り。
いそいそと袋を襷がけにしていた小さなカバンにしまっていたら、こども、と自分を扱うクレメンスの声が聞こえてケツを遠慮なくべしっと叩いた。
意図的にではなく、たまたまその位置になってしまっただけの話]
[オティーリエの問いに咄嗟に返せなかった事が一番の返事だろう]
……えぇ、流石に禁術ですから、苦もなく扱うというわけには。
せめて刻印がなければ――…
[口から零れかけた言葉は詮無く首を振る仕草に掠れて消えた]
[傍らへと腰を下ろす影を真似るように、仔もその身を草の上へと下ろす。
かさりと小さな音を立てて仔の周囲、芝が微かな成長を見せるがそれも一瞬の事。
一度その瞳を瞬いて、じつと影を――正しくは立てられた指を見やった。
口出しはすまい。私が告げるべき事でも無いのは理解に容易い。]
…内はむりなら、――そと。
[謎掛けをゆっくりと噛み砕く様に。
幼子は現状を一つひとつを確認するかの如く、影の言葉に頷く。
投げられた問いにたっぷりと数秒を要して、導き出された言葉の何と幼稚か。
それでも、この御仔には十分な理解と云えた。]
「だれか」をさがしたら、あけてくれる?
干渉すると…?
[氷破の竜の言葉を聴き、目を開け、眉を寄せる。
そのまま話を聞いて、興味がそそられたのか、触れている手に力を込めた。
その分だけ反発が己に戻ってくる。]
……なるほど。
[もう少し込めると、指に痛みが走る。
血が出るまでとはいかないが、その程度で手を止めた。]
[特に深い意味もなく、唐突にオトフリートの背後から抱きつくみたいにして結界に触れた。
本人曰く、調べるついで。
触れえた結界に意識を向ける様だけはまとも、なのだが。]
ですが、痛みはあるのですから。
生命殿も無尽蔵とは限りませんし、貴女も無理はなさらずに。
[腕を叩くブリジットの仕草に柔らかく釘を刺して、元凶である結界へ視線を向けた。ちょうど月闇竜が手を伸ばす様子を見守る]
『揺り返し』か…。
竜王様達には暴れぬようにしてもらうしか無いではないか。
あちらに直接「揺らすもの」の干渉もあるやもしれんかのぅ…。
悠長に構えている暇が無いというのは、先程も言ったように先刻承知じゃよ。
[沈黙する剣にはそのように言葉を返し。エルザの言葉には]
それも已む無しじゃな。
儂らが剣を持つことを知られぬ程度に出して突付いてみるか。
[腕を組んだままその方法を考える。その左手首で、サファイアとアメジストがあしらわれた腕輪が人知れずキラリと*光った*]
だおっと!
こーの。飴貰うぞ!
[再び結界に触れる前。
陽光竜にいい音立ててお尻を触られ、もとい叩かれたので、幼竜が大事に鞄にしまいかけていた飴を一つ奪い、胸のポケットに入れた。
どっちが子供かといわんばかりの対応だ。]
[風竜へこくりと頷いて]
後は、まるっきり別の方法を探すしかないわね。
[口元に手を当てて、むうと呟く。
また、別の方法を探しに行った、若き機竜の背を送った後に]
私も、園の者に連絡を取って、何か良い方法が無いか調べて見ることにします。
……
[されど視線を向けたすぐ後に、後ろから何か来た。]
…………いい加減に、
[注意力散漫とかそういう自己反省は後回しだ。]
――しなさい!
[片手が持ったままだった、厚さ五センチ以上の本の角を、思い切り力を込めて、後ろへ。
即ち、クレメンスの腹当たりめがけて。]
[少しだけ知ってしまった何かに基づき、クレメンスの襟元へ手を伸ばす]
結界に触れるなら幾らでも場所はあります。
他の集中を逸らす真似をするのはおやめなさい。
[月闇竜が結界に触れている姿を見て]
あまりやり過ぎると、酷い事になりますから。
無茶するときは、彼が傍にいる時に――
[少しだけ笑みを浮かべた所で、抱きつくようにした命竜を見て]
大丈夫そうですね。
[楽しそうに微笑んだ]
あー!!!
[盗られた!!
盗られなかった分を鞄にしまい。
ぷっく、と飴玉以上に両の頬をふくらませて]
ばかばかばかーーーー!!!
ひげじじい、玲のあめ、かえせー!!
[べちべちべちと命竜を叩くも、布がバタバタと忙しく、むしろ自分の顔が埋まりそうなピンチ]
アーベル殿。
お一人に、負担をかけてしまいましたね。
[答えを受け取り、申し訳ないとつぶやいた。
そして、結果を尋ねられ――肯定。]
ありません。
力は、ここに。……どこへ?
そうだな。
閉ざした誰かが分かれば、それが一番であろう。
[ 問題は。
閉ざしたものが、手の届かぬ位置に在るものであった場合。]
何せ閉ざした者は、
開く方法を知っているに違いないのだから。
即ち方法が分かれば良い。
[ 情報が足りぬが故に、現状、口に出来るのはその程度だ。]
我は、それを知る為に、動こうと思うよ。
[のしっとオティーリエに圧し掛かったまま。
先ほどとはちがい、結界の奥を探るように触れる。
命竜王の気配はより鮮明に感じられる故。
その傍に居る影竜王の気配もすぐに理解する。
だが肝心なものは、感じない。
さらに深く意識を潜らせるが、それらしき『力』は一つも二つも、この中からは見当たらない。]
だな、無い。
持ってこなかったのか?
ごめんなさい、気を付けるわ。
[少しだけ申し訳なさそうに、アーベルへと笑みを向ける]
……まあなんというか、彼。無尽蔵な気もしますが。
[そう思わせるのは、今まで見た命竜の行動からだろうか]
別の方法、かあ。
[駆けて行ったエーリッヒと、ブリジットの言葉に、むう、と言いつつ腕を組み]
都合よくあるといいんだけど……難しいよなあ。
[呟きつつ。
陽龍の声に何事かとそちらを見やって]
…………。
[オトフリートとは一応旧知だが、その性別は全く気にかけず。
外見通り、額面通りに受け取っている身からすると。
クレメンスの行動は、色々と思う所がある事が多い。らしい]
[精神の竜に襟首をつかまれるのと、分厚い辞書が腹を直撃するのはほぼ同時か。
迷惑なことにアーベルを巻きこんで。
ぐはぁと叫びながらもんどりうって半回転。綺麗に地に伏した。
当然のように自分は3秒で立ち上がるのだが。]
相変わらず激しいなぁオトちゃんは。
…ああごめーん、アベール殿。
[巻き添えくった精神竜に、大丈夫?と首を傾げる。
他意はない。決してワザとでもない。]
いえ、貴女の心を預けていただいたからからこそ成し遂げられたのですから。
[謝罪の言葉を優しく退け、重ねて告げられたクレメンスの言葉に掴んだ首元から精神の力を伝わらせる。結界の作成に絡んだ力三つを重ね探れば、確かに無い事が確認できた。
竜王に気付かれぬ内に速やかに探りは霧散させ、眉を寄せる。
なお、青年に生命竜を引っぺがす気はちゃんとあった。確認次第手に力を入れる。尤も彼女の方が行動は素早かったが]
干渉されし者を探すのは、容易なことでは叶わないと思われます。常に干渉され続けているわけでは無いでしょうし。
寧ろそこまで力が働いているのなら、辿ることの出来る方も多くおられましょう。
[ブリジットと再びティルの言葉を聞いて、小さく首を振る。
ティルの視線を追いかけて、別の意味でも首を振った]
別の方法が無いのなら、別の方法を作るしかない、かしらね。
[風竜へと微笑み告げる。
その後、月闇のと生命のをみやるティルに、微かに首を傾げた]
……うん。わかった。
[唯で低い幼子の背丈が、大人と同様に腰を下ろせば見上げざるを得ぬ。
目一杯に首を向け上げた仔は、影竜の言葉に一つ頷いた。]
――じゃあ、リーチェもそうする。
…そしたら、ととさまに会える?
[…さて、父に会いたいが為の自らの意思か、
それとも懐いた影竜がするのならばという幼心の真似事か。
そこまでは、私には*判らねども*。]
……ま、とりあえず。
オレもオレで、動いてみっか。
じっとしてるのは性にあわねぇし、上手く風を『読めれば』、なんか掴めるかも知れねぇしな。
[左手を立て、拳にした右手をそこに打ち当てる。
それは、気合を入れる時の癖]
って事で、ちょいと走ってくるぜいっ!
[走る事と方法探しにどんな関係があるのか、はさておき。
ともあれ、常磐緑のマフラーを翻しつつ、*風の速度で走り出した*]
[ブリジットの言葉が――なんだかものすごくおぞましく感じた気がした。
が、ただ一度視線を向けるだけにとどめる。
なぜなら巻き添えをくらったアーベルがいるから。]
アーベル殿。
申し訳ございません。
……大丈夫ですか?
[クレメンスは無視である。]
[天竜の言葉に、ひとつ頷く]
そう。そこが、問題。
そうなるとやっぱり、焔ののが確実だったりするわけで。
んんんん。
[水晶の虫眼鏡を片手に、腕を組んで小さく唸った]
わはははははは。いいじゃないか一個くらい。
それとも陽光の竜はそんなケチんぼさんなのか?
[ばしばし叩かれても全く痛まないのは、幼竜にまとわる布効果だろう。
顔がどんどこ埋まっていく様に、へらへら笑いながら一応顔が埋まらないよう手で助けてはやるが、効果はあまり期待できないか。]
/*
ってゆっか。
ティル
60回 残1000pt
……解説とか全然やってないのに、なんだこれは。
ま、ともあれ。
占いが先に出たっぽいし、オレは少しのんびりしよかね。
出るとしたら、2日目の前半かなー?
[タイミングが悪かったのか在る意味ジャストすぎたのか、青年は見事巻き込まれていた。襟首を引き生命竜の首の後ろの記号が目に入るやいなや、下敷きにされたと見えただろう]
……余計な手出しだったようですね。
[月闇竜の表情に微かに苦笑を浮かべ、生命竜からはやや遅れて立ち上がる。軽く裾を払えば黒に近い紺は元の色を取り戻した]
開かれれば、逢えようとも。
[ ゆっくりと一度頷くと、再びベアトリーチェを抱え上げ、赴く先は西殿に他ならぬ。幾許か時があった今なれば、それなりに情報も得られよう。
幼児は腕の中で黙している。幼いなりに思考を重ねているのか、眠りに誘われているのかは、その腕に絡みついた黄蛇のほうが知っておろう。]
大丈夫ですか?アーベル。災難でしたね。
[立ち上がった精神竜の、肩口や背中を払ってやって。
髪に付いた目立ったゴミを、ひょいひょいと取り除いた]
ちがう!
それは玲がもらったの!
陽龍がけちなんじゃなくて、おまえががめつい!
[ぜーはー。
たっぷりした布のせいでいつもよりずっと疲れる。
むすーっとして地べたに座り…込もうとして服が汚れるのでやめた]
モノがモノです。
迂闊な所には隠せないでしょう。
強固な結界の内か、信頼できる何者かあたりでしょうか。
[瞼を伏せて力を引き出し探りを入れる。
自らの内に在るそれが『揺らすモノ』かもしれないと仮定すれば、幾分か滑らかに引き出せた気がした]
――…そう遠くは無いようですね。
少なくとも竜都の内に…
[心の力を使いすぎたか、ふつりと心話が途切れる]
いえ。
引き剥がして下さろうとして下さって、ありがとうございました。
とても感謝しています。
[アーベルに申し訳ないと謝罪をきちんとして。
それから堪えていない様子の生命の竜に、また頭が痛くなってくるのであった。]
― → 西殿 ―
[ 駆けゆく者の遭遇することはなかれど、風の過ぎた痕跡は感じられた。
柔らかな土から硬き床へと移り、回廊を歩み西へ行く。素足なれど、土は纏わりつきはしない。]
……想像していたのとは異なる騒ぎだな。
[ 辿り着いた、多くの竜の集う場所で飛び交う言葉の群れに、思わず漏れたのはそんな感想だった。]
おっと。
氷竜殿、それは正解に近いぜ。
[無尽蔵と言った彼女に、へらりと笑みを向けた。
変わらぬ軽い、常の笑み。
だから告げた言葉の真意は図れないだろうか。]
あぁ、ありがとうございます。
[ブリジットの手の動きに逆らう事なく、子供のように払われる。思えば仔竜の時から他者の心を覗き込む力を封じるレンズの作成で世話になっていたのだから、頭が上がらないとも言えた。髪に付くゴミを取る仕草に頭を下げながら青年は微かに笑む]
あら、影輝の。
[ひらりと手を振って、零れた感想には微かに苦笑を浮かべる]
さすがに多くの竜が集えば、色々と盛り上がったりするもので。
[主に生命と月闇を見やって、くすくすと微笑んだ]
あーらごめんね。
うちの子が迷惑かけて。
[誰がうちの子かと小一時間。
そして原因はお前だと以下略。
アーベルに軽く言いう様には、当然反省の二文字は見当たらない。]
あら、正解者には何かプレゼントがあったりするかしら?
[正解に近いと言われれば、そんな風に軽く告げるだろう。
そうこうしていると、アーベルから礼を告げられて]
ふふふ。もう大丈夫ね。
[ぽんぽん、とアーベルの背を叩いて。柔らかく笑み返した]
氷破。
件の事に関しては、何かしら情報は。
[ 仔竜を腕に抱えているから礼も侭ならず、成る程、親というものは情ありしとは言え、辛抱強きものと知る。尤も、苦にもならぬのかも知れぬが。
月闇の竜の視線の先を辿り、騒ぎの原因が何であるかを知った。]
いえ、役に立てませんでしたから。
[月闇の竜の言葉に首を振る]
次回は間に合えばいいのですが、それ以前に無いのが一番かな。
[なんとなく無理な予感を抱きながら柔らかく告げ、広口の袖から覗く指先を額に当てた。
『混乱』を司るとは言え、これほど立て続けでは過負荷であった事をおぼろげに理解する]
少し、失礼した方が良さそうです。
何も出来ぬまま申し訳ありません。
[面々へ一礼し、唯一は入れるであろう東殿へ*足を向けた*]
[夏玲にがめついと言われようが全く動じない。
わははと果ては殴られてるのに頭を撫でたりしながら。
ぜーはー言ってる様にはぽんと、頭からささやかな癒しを入れておいた。
体力を回復させるにはあまり向いていない癒力だが。
ないよりはマシ。
そうして、幼竜の様子を一旦見、へらりと笑ったあと結界に近づき後は省略。]
[ブリジットに頷いて、そのまま騒ぎを眺めて]
…動じられませんね、皆様。
流石ということでしょうか。
[ノーラに気が付けばそちらにも一礼を送る]
正直、殆ど何も掴めていないのが現状ね。
[影輝竜へ向かい、口元に手を当てながら呟く]
結界は今のとこ、外からも中からも破れない。
それと、少しずつ竜王たちが封印されている影響も出始めているみたい。
後は……「揺らぐもの」の影響かも、ってところかしら。
まだ、なんとも言えないのだけれど。
誰か、ね。
どこかに隠すよりは、預けた方が安全か。竜王にしてみりゃ。
俺ら3人を除いて、残った12…いや、13か?
一番の候補は、天竜と影竜だろうが――と。
アーベル?
[途切れた会話になお名を呼ぶが。返事は果たして返ったか。]
………。
[紡げぬ心話の代わりに刹那、心配そうな感情に心を沿わせる。
大丈夫だからと宥める優しさは夢まぼろしのように*儚く消えた*]
[頭を撫でる手をベシベシ、と叩き返していたらもう一人の仔竜をつれて現れた影の竜。
彼の竜と話しているもう一人の竜の言っていることがわからなくて、難しくて首を傾げる。
でも、なんとなくおもった]
…そとと、なかと、せーのでやってもだめなのかな。
[何となく、西殿の件だということはわかったぞ!
命の竜の傍から逃げて氷の竜へ*たずねてみた*]
まあ、長く生きてれば色々あると言うことで。
[比較的若い天竜へと微笑みかけた]
とはいっても、本当に早めに何とかしないとね。
[結界の奥の、西殿をそっと見やった、その瞬間。
建物の中から、椅子が飛んで行ったのが、遠巻きに見えた]
……風竜の長も、長いこと縛られ続けるのは苦痛でしょうし。
[中の状況を察して、ぽつり呟く]
そうだなぁ。じゃ次会うときまでに用意しとこうか。
[ブリジットにへらりと、本気かどうか笑い告げながら。
後からやってきた影竜と樹竜には、よーぉと手を振る。ひらりひらり。]
おや子守かノーラ殿。お疲れさーん。
[騒ぎの原因はとことんゴーイングマイウェイ。]
天聖、そなたも長く生きればそうなるであろ。
動じていられるのも今のうち、と言うべきか。
[ それが嬉しき事か否かと言えば、果たして分からぬが。
送られた礼に答える代わり、翠樹の仔竜の頭を撫でた。]
……「あれ」か。
永き時を継げどその名を公の場で聞く事になるとは思わなんだ。
余り知られてよいものでもないが、仕方無き事か。
[ 氷破の答えに、独り言に近い呟きを零す。]
多少は均して来たが、保つにも、如何せん影響が広い。
そう、長くは保つまいな。
あら、貴方は陽光帝の。
[幼き陽光竜に、ふわりと微笑みかけて]
それはいいアイデアかもしれませんね。
色々試して駄目でしたら、それも試してみましょうか。
[発案を褒め、そっと陽のにおいのする頭を撫ぜた。
生命竜には、楽しみにしているわと微笑んで]
[アーベルが立ち去際に、悪かったなーと背中を軽く、ぱんと叩く。
そこから先ほど夏玲に注いだものと同じ力を入れるものの、気休めにしかならないだろう。治癒とはそういうものだから。
例外があるとすれば、それは自身の回復力のみ。]
嗚呼。
生命か。
取り敢えず。
黙れ動くな息をするな。
[ 己が道を行く生命の竜に対して、言い放ったのはそんな言葉だった。
彼の知る「ノーラ」は静かに佇み、口真似をする影に過ぎず、斯様な言い様は一度としてしたことはない。]
それほどの非常事態、ということでしょうね。
[翠樹の仔竜の頭を撫でる様子を見ながら、ふるりと首を一度だけ振った]
均して……ああ。先程から、少し日が差すように見えてきたのは、貴方が?
[少しだけ空を仰ぎ、影輝竜へと問いかけた]
[ブリジットの説明に、一度口を開きかけ、結局また閉ざした。続いたミハエルへの言葉にも同じく。一瞬だけ顔を僅かに下へと向けて]
見習うように努めます。
[顔を上げればブリジットの微笑みにようやく笑みのようなものを見せ。つぶやきにはコクリと頷いた]
ふふふ。
気を張らなくても、大丈夫、大丈夫。
[ぽふりと、天竜の柔らかな髪を一度だけ撫でた。
笑みを見せてくれれば、もう一度微笑みを向けただろう]
…中は派手だねぇ。
[飛んでいく椅子を見送りながら。
影竜の変わらぬ物言いにはへらりと笑う。こちらも常。]
わーぉそれ全部実行したら死ぬ死ぬ。
やだぷー。
[返す言葉は適当だ。
もっとも傍に影竜王がいればまた違うのだが。
ノーラ単体相手だとこんな感じ。]
十五竜王とその随行者の力を合わせたのなら、
崩すも叶わぬ事ではなかろうな。
[ 崩すのみに留まるかが問題ではあれど、幼き竜の提案を褒める氷破の竜の姿に、それ以上言葉を次ぐことはせずに置いた。
問いかけには仔竜に影響を与えぬ程度の、僅かな頷きを返す。]
嗚呼。雲すら払うに至らぬとは不甲斐無い話。
風の助力を願った方が良かったか。
何処かへ駆けて行ってしまった後のようだが。
案ずるな。
仮にも司りしは「輪転」、直ぐに復活するであろう。
椅子に縛り付けて真綿でも口に詰めて置けば良いか。
[ 飛び行く椅子を見ながら思案する。
しかし、直ぐ様脱出しそうだ。]
……崩れすぎが心配ではありますね。その他色々も。
[陽光の幼竜へと聞こえないように、影輝竜へと呟いた]
普段ならばその御力も、存分に振るわれたでしょうけれど。
今は、この有様ですから……
あ。
[西殿の、先程椅子が吹っ飛んでいった穴から、
今度は高そうな花瓶が吹っ飛んでいった。割れた。]
……風、大荒れですね。
輪転か。
…俺には縁遠い言葉なんだがな、それは。
[微か笑いながら告げる。
口調は軽いのだが、視線は一瞬、遠く違う所を映す。]
さて真面目な話。
そっちの竜王の様子はどうだ?
多分うちの王も傍にいるんだろうが。
[戻す視線と同時、ノーラに改まったように、王の様子を尋ねた。
少なくとも、影竜王が無事ならうちの王も無事だろう、そんな事を漠然と思いながら。]
[ 思っていた事は矢張り同じであったらしい。氷竜の言葉に、黙して頷く。]
……あれだけ周囲に及ぼす力があってしても、
結界とやらは破れぬということか。
[ 誰が弁償するのであろう。
科白とは別に、そんなことを思考していた。]
…はい。
[髪に触れてくるブリジットへ柔らかく答えるものの、緊張感が全て消えることはなく]
干渉された者は何処に。
[視線を巡らせながら零れた小さな小さな呟きは、ブリジットにのみ聞こえたかどうか]
……竜都を壊されるのは勘弁していただきたいです。
[同じく陽光竜には聞こえないように付け足した声は、ノーラにも届きうるもの*だったが*]
そうだな。
暫く前に嚔らしき声が聞えたきり、途切れた。
[ 変わらず、今は静かな仔竜を撫でながら、クレメンスに端的に述べる。
闇竜王の随行者や、飛び行く物品やらを見れば、原因は厭という程分かったが。]
[思考の海に沈んだオティーリエを残し、心話からは自身も一旦抜ける。
アーベルは去ったが。
あの世界では、何時心の内を知られるか分からない故。
アーベル、オティーリエ、どちらか気づいているか、あるいはどちらとも気づいているか。
まだ、自分は協力するとははっきり告げていない。]
ああ、いえ。
ノーラ様もクレメンス様とお親しいのですね。
[容赦の無い言葉に呆然としていたのがどこか残っていたか。
掛けられた言葉にはゆるりと首を振って*会話を交わす*]
[影輝竜にこくりと頷き返して]
結界自体、複雑というか……変な作りをしているから。
中から氷竜王も試してみたようだけど、駄目だった見たい。
[ほぅと息を零した。
天竜に見向きなおして。微かに緊張感の残った表情から紡がれた言葉には]
……それも、何かしら対応していかねば行けないわね。
落ち着いて、対処して行きましょう。
[微かに首を傾げ、安心させるように微笑みを*向けた*]
無事ならいいんだが。
ところであの短時間で風邪でも引いたのか。
[いや原因は自分だが。自覚は皆無。
大荒れと、言うブリジットの視線を追い、飛び行くモノを見ながらぽつりと。]
竜王15人もいれば、結界の中の方が安全だと。
思った事もあったなぁ。
[今はそれが間違いかもと、思い*始めてきている。*]
王同士の関係故に、知っているに過ぎぬよ。
[ 親しいとの言葉を言外に否定しつつ、天竜の、氷竜へと向ける言葉を聞く。届いたのは竜都を案じる科白のみではあったが。]
せめて竜都以外ならな。
[ 恐らくそういう問題でも無いのであろうが。
十五竜王の力が混ぜ合わさり、外へ漏れるような事態となれば、何処の地よりであろうと、ドラゴンズランド全域にまで被害が及ぶのは必死だ。]
……イズマルームに苦労して貰うか。
過労死しかねないが。
竜王が風邪をひいたとなれば、
ある意味、前代未聞だ。
氷に焔となれば、気温変化は烈しかろうがな。
[ 続いた言葉は明らかに間違いだろう。
幼児の手前、はっきりと口にする事は無かれど。]
……異なる属が一堂に会すというのは、そういう事だな。
[ 会議の時から酷かったのではなかろうか。集合前から、あの有様であったのだから。そんな思いすら、過ぎった。
微か光の零れる外、安定せぬ天気の下の方が平和に思えてくる。]
…願い、か。
そういやアーベルの願いは聞きそびれたな。
[オティーリエの願いは、少し予測していたものだったが。
この会議でほぼ初めて交友を持ったアーベルの願いまでは予測出来ない。]
にしても。
エーリッヒが嘘でもついてなければ、この力は十中八九、揺らぐものの仕業か。
何で俺らに白羽の矢が立った…。それに、奴の目的は何だ?
俺らの願いを叶えさせる為とか、そんな生易しいモノじゃないのは先刻承知なんだが。
[まさか願いにまで干渉されたとは気づいておらず。
揺らぐものの不透明な意図に、途切れた内側は軽く首を捻る。]
[ 連れて来はしたものの、幼児には度し難いであろう言葉の行き交いは、仔を夢路に至らせたらしい。舟を漕ぐ頭を己の胸に寄せて、落ちぬよう抱え直す。
不意に訪れた沈黙に、人の界では天使が通るなどと言うのだったかと思う。生命の竜の軽い口調と、裏腹な視線が思考を掠めた。輪転、その意味は。]
側近殿の見解も御聞きしたいところだな。
[ 思考を払うと同時、此処には居ない者を思い浮かべる。恐らくは、王の不在の間の処理を担って動き回っているのであろうか。
ともあれ仔を休ませる為、そして解れた覆いを編み直す為、*踵を返した*]
俺らに力を求めさせて。願いを叶えさせる利。
…違うな。俺らが願いを叶えるかどうか、なんか『揺らすもの』にとっちゃきっとどうでもいい事のはず。
この世界を揺らす事が目的というなら。今も十分、揺れてはいるわけだが。
それでも足りないのか?
[問いかけに答えるものは居ない。]
安定を嫌う。不安定を望む。
今は、不安定のひとつ。
願いを叶える為の剣は行方不明。
天竜、影竜はじめとして、王らは持っていない。
竜都の外にはない。
側近、または身内の誰か。
候補は天と影の竜だが。
王を介すれば、他の竜に渡る事は可能か。
[言葉を羅列し思考を纏める。
そこまで考えついた所でふと。思いつく事またひとつ。]
それなりに。…ようは俺がパシられてるわけだ。
[天竜から聞こえた言葉にへらりと返す。
命竜王のお使いで影竜王に会いに言った先でまた用事を、といった悪循環は過去何度体験したものか。
そもそも各地を移動する影竜王捕まえるのに一苦労なのだが。
その辺はおそらくどちらの竜王も考慮しちゃいない。]
[遠くを見た帰りに重ねた視線の先の影竜には、にぃと軽薄に笑ってみせた。言葉の真意を隠すように。
ノーラの腕の中で眠る幼児には穏やかな笑みを浮かべる。
可愛いもんだと目を向けるそれはおそらく、新たな生命を歓迎する生命の老竜のそれ。]
ああそうだ、そういやギュン爺何処だ?
[うっかり騒ぎで忘れていた、クレメンス内で3番目の爺さまを思い出しながら。
暫くの後、自身も結界の前から*遠のくのだろうか。*]
ギュン爺か。
…あの天竜の卵っ子よりは、候補としちゃこっちだよな。
[まず渡すのなら、歳若い竜にはしないだろうとは漠然とした予測。
そも竜王がそれらを予見して裏をかく可能性も大いにあるわけだが。
漏らした呟きは、一旦抜け出た心話に零れた。
うっかりしていた為か、それとも、*わざとか。*]
[封じられし西殿から各々散開するのを見送り。己もその場から離れ行く。その先向かい行くは竜都・大図書館]
さぁて、それらしき書はあるや否や。
[向かうブースは竜郷の歴史などに関わるもの。目ぼしい書を見つけると、幾つか手に取り、内容を確認。終わると棚へと戻し、再び探す。それを何度か繰り返した。書の出し入れで伸ばす左手。しわがれたその手首に見慣れぬ腕輪が据えられているのに気付く者は、果たして*居ただろうか*]
[ノーラとクレメンスの否定に、はぁ、と答えて。
困惑こそ顔に出さないものの、そのまま沈黙の内に沈んでしまった]
お休みになられるなら東殿を使われるとよろしいかと。
このままでは西殿の部屋は使えそうにありませんし、あちらにもそう使える部屋はありますので。
誰かに用意を頼んで参ります。失礼。
[翠樹の仔竜を気遣うノーラへと言うと、軽く頭を下げてその場を後にした。東殿へと入れば、丁度そこには手配を進めるギュンターの姿があった]
養父、いえギュンター様。
[他者もいる場所だったので呼びかけを直し、忙しそうにしている養父に近寄る]
「虚竜王様のお力に敵うものはそうない。王ならばまだしも、我らでは干渉に干渉するが精々となってしまう。
だからお前はそれよりも自分の成すべきことを」
…はい。
[ローブの左腰、布の下に慣れない硬い感触。
三度確かめるように触れて、確りと頷く]
[西殿前にまだ人影があるようなら、それらを伝えにも戻ろうか。ギュンターの居場所を尋ねられれば、東殿で出会ったこと、だがあちこち動き回っていることも*伝えるか*]
/*
影竜王と、あと嵐竜王があいされていると把握。
で、そこがそうか……なるり。
ところで、呪狼は早めにでたほがいいと思うんだが……まだ、出てない……よな?(汗)
赤読むのは苦手なのー。
とりあえず、COラッシュになるし。
オレは2日目までおとなしゅしてよ。
―東殿の一室―
[十五竜王の封印による『混沌』は、いっそ見事とも言えるものだった。中も外もである。中に精神の竜王が居る為に平和、というわけでもないのは青年にもよくわかっていた。
必要不可欠と判断した休息を一室で取りながら状況を整理する]
現在時点において内側からは破れる事は無い。
ただし交信は不可能ではない様子。
外側からは単純な物理攻撃は効かず、結界を解くには氷破をもってしても一定時間が必要。
[記憶に刻んだ会話から必要な情報だけを抜き出していく]
/*
さて、基本情報と原動力も手に入れた事だし
そろそろ自分から動こうかな
とは
考えているのだけれど。
…もしかしなくても時間がないな!(仕事中)
というか。
ptはともかく発言数は少ない自覚はあったが
くっそ何あれwwwww60発言とかwwww
どう足掻いても追いつけねぇwww
つまりあれか、仕事放棄すれb(
あと実は玲と少し遊びたい。理由は無いけど。
[その頃、封じられた会議場では十五竜王の暴走による竜都もしくはそれ以上の破壊を恐れた有志により、完全に決着が付くまで開かないよう内部からの強化が行われていたとか。
それに伴い微かに外側から窺えていた備品破壊の様子も曇り硝子で隠されたように見えなくなった。それが竜王の品性の評判を守る為のであったかどうかを知るのは内側に居る十五竜王のみである]
─竜都・大通り→都の外れ─
あー……もう。
[走りながらも、義兄の暴れっぷりは伝わるわけで]
マジでねーさんじゃなくてよかった……胎教悪すぎ……。
[そんな事を考えつつ、たどり着いたのは竜都を巡る城壁の側。
そこまでたどり着くと、周囲と、それから上を見上げ]
よっ、せい!
[掛け声一つ、風を捉えて垂直な壁面を文字通り『駆け上がる』]
[たどり着いた城壁の上に腰を下ろし、やや晴れた空を見やる]
本格的に荒れ始めちまうと、オレにゃどーにもなんないんだよなぁ。
[他の風竜たちよりは多少強い力はあるものの、しかし、エインシェントならざる身には大掛かりな干渉はできず。
それでもできそうな事は一つ、思いついたので、実行しにきたのだが]
……上手くいきゃいーけど。
どっちかっつーと、オレは『風鎮め』よりも『風招き』に向いてんだけど、ま、しゃーないか。
ピア、フォロー頼むな?
[肩の小猿に声をかけると、ピアは任せて、と意識に声を返してくる。
それににい、と笑い返し、音色を紡ぎ始める。
風の流れを鎮める、『風鎮め』の旋律。
少しでも、天気の崩れを遅らせるために、と。
広がる旋律は、多少なりとも風の乱れを鎮めるか。
それと共に自身の気も鎮まり、常にもまして感覚が研ぎ澄まされる事になると気づくのは、*もう少しだけ先の事*]
後は若焔次第のようですが、さて。
[火炎の若竜が封印管理の任についており、その際に怪我を負って今は休職中である事は一部において周知の事実。
二つの力が結界を支えているのは間違いないだろうと目を伏せる]
― 東殿・回廊 ―
[ 忙しなく動き回るギュンターを呼び止め、得られた情報は、西殿で聞いたものとさして変わりはなかった。
ただ、今後の方針として、内側よりの強化、干渉へと干渉する手立て、もしくは「繋ぎ」と成り得るものを捜すこと――それらが挙げられた。結局の所、仔細が判明していないために、無難な案ではあれど妥当でもある。他の者にも同様の事を告げるのだろう。皇竜王の側近は、端的に述べるとまた執務へと向かった。]
……また厭な間に、事が起こるものだ。
[ 声に苛立ちが含まれるのが分かった。
己の顔の右半分に手を当てる。感触は、何とも言い難い奇妙なものだ。
駆けはせねど早足に歩を進める途中、影竜王からの通信が届いて足を止めた。]
/*
あべくんとは絡んでないからあれなのだが、あそこから東殿にりたーんはかけられねぇ!
て、ことで、風鎮めとおまけのみ。
しかし、面白いよーに一部とは絡んでいないオレがいる。
同じ場所にいてるのにねぇ……。
さて。
夜までたおれとこう。あつい。
イズマルーム。
其方は、どうか。
[ 王を呼び捨てにする、などというのは他には有り得ぬ言動であろう。今は互いにしか届かぬ声故に、気にすることもないが。
思念のみなれど、かの者は幾分疲労しているように思えた。無理もないことだろう。あの場に居るとあっては。
簡潔に伝えられる事柄からは、真新しいものは得られず。
しかし或る事について、明言を避けているのは容易に感じられた。]
[若焔が感じ取ったのは二つの力。三つではない。
青年に預けてくれたオティーリエの心は、同じだけの強さを持って結界に組み込まれ、同じだけの結界干渉能力も得たに違いない。
クレメンスの心の力は掠め取っただけなので反応しなかったのか、それとも未だ『願い』に手を伸ばすか決意していなかった分弱かった為か。ただ彼はまだ引き返せる位置に居る事はわかっていた]
………。
[『願い』に手を伸ばす事を強制するつもりは無い。だが邪魔を許すつもりもない。必要ならば事が終わるまで記憶や身を封じる事も厭わないだろう。
既に青年一人の問題ではなく、投げられた賽も零れたミルクも戻らないと幾多の事例を智として刻み続けていた青年には*よくわかっていた*]
[ 暫し言葉を交えていたが、不意に、始まりと同じ様に雑音が混じり、声が遠くなるような感覚が過ぎった。聞けば、封印のみでなく内部からの強化により、そのうちに通信は出来なくなるかも知れぬという。]
なれば矢張り、我等の手で解決せよということか。
[ 返らぬ答えは即ち肯定だ。
完全に途絶える前にと、一つの問いを投げた。
ある物の所在を。
しかし。落とされたのは先程とは異なる沈黙であり、直後に雑ざる音が酷くなった。均衡が、との短い声を最後に、ふつりと声は聞えなくなったのであった。]
……。
[ 内部で何かしら起こったのではあろうが。
蟀谷に力が篭る。声にせぬ代わり、壁に一つ蹴りを入れて歩を再開したのだった。仮にも皇竜の住まう宮殿だ、其の程度では傷はつくまいから。音はさておき。]
[部屋という壁に区切られていても完全に心の動きから離れられるわけでもない。
だが風を鎮める音色は気を静める効果もあるのか、それとも紡がれる旋律の美しさゆえか、再び伏せた瞼はやがて閉じられ短い白昼夢へと*誘われていく*]
[壁を揺らす音。つかの間の眠りに落ちる青年の心が微かに揺れる]
ギュンター…剣の一つは天聖の気を持つと言う。
もう一本は私が探せるかもしれないから、こちらが先かな…
[砂に残る波を辿り生命竜の呟きを掬い上げ*白昼夢にたゆたう*]
―――西殿・外観
……。
[15人もの竜王が集まり、そして、結界により封印されている西殿を、ゆったりと見つめた。
その壁をゆるりと触れてみれば、手の先からはピリピリとした感触]
……「変化」
なるほど。これは、もしかしたら私が望むものだったのかも知れない。
これこそが私がここにいる理由だったのかも知れない。
主様。
このような変化を望んでおりました?
[表情は無表情。
静かな湖面を表すかのような、ただただ静かな表情]
―――そんなはず、無い。
この変化は一時のもの。常に変化し続けるが、我が属性のあるべき姿。
望んで―――いません。
水は流るるもの。
高きから低きへと。
それこそ、我が望み。
[最後まで静かに呟いたまま、ナターリエは*その場を後にした*]
―東殿・客間―
[薄暗く覆われた部屋に灯火を並べ、増幅の陣を組む。
焚かれる香の香りは、廊下にまで漂うだろう。]
…で。
どこからやりゃあいいんだか…
[一番肝心なところをまだ決めかねて迷い中*]
― 竜皇殿・中庭 ―
[ 先に翠樹の仔竜と会話を交えた場所。
微かながら成長の兆しの見えた芝は夢幻だったか、土に膝をついて掌を翳す。対にもあらねば明確には分からぬが、微かな力の痕跡は感じ取れた。]
……ふむ。
[ 先の一撃が及ぼした影響もさておくとして、お陰で多少の気は晴れた。その場に腰を下ろし、そよぐ風と流る音色に眼を細めた。薄らいだ雲、降り注ぐ光は影を作り、心地好さが包む。
久々の目覚めは、幾分か疲れを呼んだらしい。
木の幹に凭れると自然と下る目蓋に逆らわず、*一時の闇に浸る*]
げほっ、ごほっ!ブハアッ!!
―― 竜都の外れ ――
[もぞもぞとグライダーの残骸の中から這い出して来た。顔は煤やら何やらで真っ黒だ。外で所在無げに旋回していた機械竜が、カシャカシャと羽ばたいて寄って来る]
はふ、やーっと見つけた。動力系が完全に溶解してなくて良かったよ。
[残骸に背を預けるようにして座り、機械竜に手にしている小さなキューブを見せて笑う。内側から、淡く天青石色の光を放つキューブは機械竜の額の石と呼応するように明滅した]
ん?心配してるの?ユル。大丈夫だよ、このままユルにだけ力を渡していたら君が壊れちゃうし、俺も不安定なままだし…それに、ダーヴはほっとくと確実に無理するだろ?
[青く瞳を明滅させる機械竜に笑いかけて、左手の革手袋を外すと、その手でキューブを強く握りしめる]
封印第二段階解除…
[メタルの指が制御を緩めてかけた圧力に、墜落の衝撃にも壊れなかったキューブはあっさりと砕け散った]
MEMORY OPEN!
[一瞬、辺りを強い青の光が照らし、機鋼の力が強く脈打つ。しかしそれは見る間に青年の内へと吸収されて、何事もなかったかのように静まった]
検索開始…て、わ!兄さん!?
[僅かに青い輝きを残した腕を空に翳した瞬間、青年はぱちぱちと目を瞬かせる]
あー、うん。状況は伝わってるんだね?わかった、こっちはまだ動けないけど。うん、うん、心配しないで、俺一人じゃないし。え?一人じゃないから心配?酷いよ、それ。
[くすくすと笑う]
うん、それじゃまた。
[兄弟達から受け継いだ、知識以外の「記憶」の解放と同時に、長兄から繋がった通信を終えて、未だ淡く輝くメタルの腕を手袋の下に隠す]
……やっぱりまだデータ不足か。
[その間にも続けていた記憶の検索によっても、即効性のある打開策は見出せず、小さく吐息をついた]
/*
ノーラ 67回 残397pt
……。
対して絡んでいないのに、このpt消費量は酷い。
後、ほぼ絡んでいないのは時空・陽光・雷撃・火炎か。
全体的に薄いけれども。
経験不足ってこういう時響くのかなあ、新しい考えが浮かばないなんてさ。
[ぼやきながら立ち上がって、伸びをすると、カシャカシャと羽ばたく機械竜の首元のクリスタルの輝きに目を細めた]
ま、なんとか頑張るしかないよね?
[明滅する青い光に笑いかけて、煤まみれの顔をごしごしと拭ってから駆け出した**]
[消えていった心に、それでも矢張り心配そうに。]
[暫し、心のこえは無くなる。
そして届く言葉。]
――側近殿ですからね。
アーベル殿、側近殿には、わたしが当たりましょう。
無理を押しては良くないですから。
[純血には劣るが、この力なら大丈夫であろう。
あまり良い手段ではないが、油断をさせられたのならば。
手段を選んでなどいられない。]
[暫くすると、色々なものがとびかったりした。
月闇の竜王のたのしそうな様子が聞こえ、頭が痛くなったのか、頭を抱える。]
王……
[この騒ぎの、間違いなく原因の一人である王。
きっとその分、影竜王は苦労しているに違いないと、途中で会った竜王の姿へ内心で詫びた。]
[そのようなことがあったのでは、内部からの強化は当然であっただろう。]
――本気になれば破れるんじゃないですか?
[強化する、という情報が入るときに、思わずそう問い返していた。
が、その回答は得ることができなかった。]
[くすくすと笑う声。]
[言葉はなくとも、オトには伝わったその感情。]
[そうしたらお前が困るだろう?]
[ぎゅっと拳を握った。]
[結界が強化される前、オトは西殿にいた。
頭も痛かったし、結界の状態も知りたかったのだ。]
[天聖の竜がやってくる。
東殿の話を聞き、そうしてこの状況を一番詳しく理解していそうな竜のことを尋ねた。
東殿と聞いて、そちらに歩を進めていたのだった。]
―東殿・回廊―
[どこにいるのかとギュンターの姿を探す。
と、動き回っているその姿を見つけたのは、回廊の端のほうであった。]
あ、側近殿。
[呼び止めると、忙しそうな彼は止まり。
さまざまな説明を求め、回答が返る。]
そうですか。
目的は、何なのでしょう…?
[詳細の答えはなく、彼の姿はまた離れる。
めぼしい情報もなく、ため息を吐き出した。]
―中庭―
[風が少し落ち着いたようであった。
理由はわからないが、疾風の竜が何かをしたのであろうとあたりをつけ、天を眺める。
重い曇天。]
[本は部屋に置かせてもらった。
長い歴史書だ、この問題が片付くまでには読み終わらなかろう。]
[闇が訪れてはいないが、光の下よりも調子が良いのは確かで、オトはようやく、少し落ち着いた息を零したのだった。]
剣について、答えてはいただけませんでした。
[そのままことばを流す。]
側近殿がお持ちなのか――判別はいたしません。
ですが。
……可能性は低くはないでしょう。
それに
[聞いた今後の方針を伝え、]
彼はおそらく、熱心に探すでしょう。
邪魔になります。
[邪魔を許さないのは、彼女も同じ。
もう、すべては始まった。願いに向けて、転がってゆくばかり。]
[目を伏せて周りの気配を探ると、そばに対の一つがある。
瞬き、そっとその方へ近づく。]
――ノーラ殿。
[少し動けど、眠っているように見えたので、そっと呟くにとどめた。]
ええ。
[少しぼうとしている様子の影輝の竜。
そっと膝を折り、その横へ。
子供に対するようだが、そっと手を頭へ伸ばしていた。]
お早うございます。
このような場所で、ゆっくり休めますか?
風と、木と、いまはやさしいから。
……それに、中の方が混沌としてそーじゃん。
本当に大変なのは中なのだろうけど。
下手すればそのうち何処も同じようになりそうねぃ。
……。…。
お早うございます。……何を?
[思い至る口調はいくつかあれど、あえて口にすることはなく。]
いえ。
とても気持ちよさそうでしたから。
[微笑み、手を離して]
ご不快でしたか?
いえ。
そうする、ものなのでしょうか。
……。
内部の事は、お聞きになりましたか?
手立てが見つかればよいのですが。
待っていても、仕方のないことですね。
そうですね。
寝ている子にはつい……
いえ、ノーラ殿が子供というわけではありませんが。
[問いかけに小さく頷き]
話は聞きました。
そうですね、待っていても。
かといって目的が何かもわからないでは。
――竜王たちの力、でしょうか。
[白昼夢は青年の領域。眠ってはいても月闇の声は聞こえていた。分担を促す労わりの言葉に逆らう事なく受け入れる]
……そうだね。では、お任せするよ。
彼とは古き友だから私では気付かれてしまうかもしれない。
[【心の間】での応対より口調が少し崩れてきているのは、青年が彼自身としての『望み』を叶えようとしているからか]
……内は年月を重ねてはいても、私は未熟。
幼児と大差ないとも言えます、お気になさらず。
単純に力であれば、封じてどうしようと言うのでしょう。
そうすれば竜郷に待ち受けるは何れの滅びの時。
干渉した者が予想する者と相違なければ、
揺らすことは好んでも単に滅ぼすは望みではないはず。
―東殿の一室―
[椅子に座り目を閉じていた青年は閉じた時と同じように静かに目を開いた。
白昼夢は短いようで長く、長いようで短い。青年が再び動き出せる程度に休め、完全な体調とはまだ言えないが如く]
……少しはましになったかな。
[立ち上がる動作も滑らかに呟いてあれからどうなったかと知る為に部屋を出る]
本当に、大事になさってください。
[届く言葉に、こえを返し。]
わたしは、あの方とは親しくしていませんから。
……はい。
[手を貸す、という言葉に、神妙に頷いた。]
その際は、お願いいたします。
未熟とは思えませんが。
[困ったような顔をした。]
……そうですね。
でも竜王方なら、あそこを出ることも出来るのではないかと思いますけれど…
[西の方に目をやった。どこか疲れた顔で。]
あなたは、目的を、何だとお思いですか?
[運がいいのか悪いのか、回廊に旧友の姿はなかった。他者を求め回廊を歩く途中、独特の香りが流れてきた。立ち止まり記録を辿る]
………触媒かな。ならば若焔か。
[離れた場所から扉を見つめ、袖から覗く指先を口元に添える。青年の司る智の中に触媒に関するものはあまり多くは無い。匂いだけでは判別できず、また邪魔をするのはよく無いと判断し足を外へ向けた]
大丈夫だよ。
まだしなければいけない事は多いのだから、無理はしない。
[返す声を柔らかく受け取り、神妙な声に頷く]
いえ。
私が過ごした時間のみで言えば……
貴方よりも、大分、短いかと。
出るだけならば力技でも不可能とは言えないでしょう。
ですが、周囲に与える影響はどうなるやら。
それに長と言えど、必ずしも安定を好むとも限りません。
『聖魔の剣』は聖魔併せ持ち、天聖と流水に属するモノ。
『神斬の剣』は神も斬り倒す、影輝と精神に属するモノ。
そして、『真なる剣』は何者の干渉も許さず退ける。
[それは口伝の一部。『聖魔剣』、『神斬剣』、『真・聖魔剣』について語る青年の言葉は歌うように心話に響く]
[ほっとしたように笑う]
そうですね。
まずは、あれを探さなければいけませんから。
……純血種の方々を探るのは、とても厳しいものがありますし、お任せすることになると思います。
そのときは、宜しくお願いします。
そうなのですか?
[驚いたように尋ねたが、すぐに言葉は止まり。]
……そうですね。
影竜王はおそらく苦労しているでしょう。申し訳ないと思っております。
[そうして傾ぐ顔を見る目は、暗い肌の色をとらえ。]
王を封じることにより――
あなたは、思い当たるふしが?
[引き寄せられるように、手が伸びた。]
―中庭―
…おや、あれは。
[竜の気配を求め今は静かな中庭に出ると、三対の二つである影輝と月闇が座り跪いているのが見えた。大切な話の途中であればと足を止め様子を見守る。影輝の髪の影は遠目からでは見えなかった]
……そうですか。
[少しの間を挟み、呟くようにこたえ。
それから、そっと伸ばした手は、止められずに暗い色の肌へと触れる。]
[視線を追い、顔はそこから、アーベルの方に動いた。]
[口伝はそこまでで途切れ、心の声は夜の砂漠の静けさに満ちる]
自由になる為には、まだすべき事は多いから――…。
[オティーリエのみ囁きを届け、中庭入り口で足を止める。
少し前に感じた安堵したような気配を思い起こし、遠く見守る口元の笑みが微かに深まった]
えぇ、純血種は私が。
ですが、もし荒事になれば本性に返る制約の多い私は一度が限界でしょう。その分、貴女に負担を掛けてしまうのが心苦しいけれど。
[――…刻印がなければ。
それは心の声にもならず、そっと寄り添うように伝わるだけ]
[アーベルを見て、かすかに笑った。]
迷惑など、考えないで下さい。
わたしの望みもあります。
あなたの望みも。
必要なものが一緒なのですから、負担などは気にしないで下さい。
[己の喉にもある刻印を意識する。人の世に降りる時につけたしるしは、少し苦味を持っているようで。]
わたしが助けられることでしたら、いつでもお助けいたします。
荒事になる前に、お声をかけてください。
[ 一時、その色を移ろわす。]
――触れるな。
[ 光の如く温かくも闇のように冷たくもなく、虚無でもない。月闇竜の手には、何かが蠢く感覚が纏わりついたろう。
それすら許したのは一瞬、影の手を、その手を払わんとさせたが。奧に在る眼は見せはせぬ。]
お邪魔してしまったかな。
[視線を合わせぬように、けれど完全に逸らす事なく青年は近づいていく。影輝の纏う衣装と違い、抑えられた風に黒に近い紺の上衣の裾と広口の袖が揺れた]
あれからどうなったか、話を窺える方を探していたのですが。
ギュンター殿とはあいにく会えず此方に。
[ギュンターの事を聞けば納得したように頷いた]
……失礼。
けれどオト殿、影に踏みいっても、
よいことはありませんよ。
[ 一転した声色は、幼児をたしなめる響きを持つ。]
月と輝き、闇と影は近しくも、
異なる存在なのですから。
申し訳ありません。
[触れた感覚は何なのか。
理解することはなかったが。
それは不快であったのだろうと、頭を垂れて。]
お怪我をなさったのでは、ないのですね……?
[僅か心配げな響きをもった声が零れた。]
[近づききる前に起こった光景に青年の口元に浮かぶ笑みは消え、光を反射するレンズの奥で二人の様子を観察するように紫紺が見つめる。
直に何事もなかったかのように近づき、話しかけたのだが]
異なる存在であるとは、存じております。
[声音に何を思うか、まなざしを伏せ。]
知りたいと、わずかに思ってしまったのです。
無作法をお詫びいたします。
[それから近付いてきた精神の竜に頭を下げ、挨拶を。]
側近殿はお忙しそうでしたから。
[そうして聞いた話を、口にした。]
いいえ、そのようなことは。
此処は皇竜王の居城、
誰かが占有出来るものではありません。
[ 訪れたアーベルに答え、ノーラは首を傾ける。問われる侭に、影の語れる事を述べる。
その黒き瞳は、真なる色を知りはせぬ。]
[影輝の竜がいたから完全に月闇の竜の瞳を見る事はなく、けれど視界の端と心の気配でその笑みはわかった。
ありがとうと温かくなる心を返し、だが手を振り払われる様子に口元の笑みは霧散する]
……怪我は?
[見た限りなく、心の動きに痛みが見られない事を確かめて歩みを戻す。そうして何事も無いよう心話でなく話しかけたが、紺碧の瞳は彼女の指先に向いていた]
[訪問を詫びる言葉に返る竜達の言葉に感謝を込めた会釈を向け、それぞれからギュンターや他に見知った事柄を聞く。
その間、何も尋ねはしないけれど青年の指は月闇の竜の払われた指先に向いていた]
………そうでしたか、ギュンター殿がそのように。
若焔殿とはまた別に手掛かりを求めるべきでしょうね。
難しくはありますが。
竜郷を滅ぼす事が目的なら、十五竜王を封じた時点で逃げてしまった可能性もあるかもしれない。
[今は薄曇の、だが不安定さは隠せない天を見て呟く]
[視線がどこへ向いているのか、理解するとそっと指先を曲げ、伸ばす。
心配してくれているのだろうかと、嬉しくもあり。]
――さすがに滅ぼされるようでしたら、いくら王の方々であれ、面白がりはしないのではないかと思います。
若焔殿?
[何故だろうと尋ねる。
名は知ってはいたし、姿を見てもいたが。]
[じっと、何時から心話を聞いていたのか。
二人の話す声を聞きながら、途切れた所で口を開いた。]
アーベル。
聞き忘れたけどよ、そっちの望みってのは何だ?
[口調は存外軽いものの。
探るようなものは隠さなかった。]
[再び戻した視線は月闇の指先を見て、問題ない様子に流れるように問いを向ける彼女の喉元へ移ろう]
……えぇ。
触媒を使って何か――恐らくは結界からの手掛かりを追っているようでしたから。
[若焔が結界の専門家である事と回廊に漂う香りの説明をする。
そうして結界つながりで影輝竜から内側からの強化の話を聞けば僅かに安堵の気配を滲ませて頷き、眼鏡のブリッジを袖から半ば覗く指先で軽く押し上げた。銀鎖と透明な青玉の付いた封印の指輪が煌きを零す]
何を手掛かりに探すにしても、結局は目的次第かもしれませんね。
[呟きは西殿を向いて、夜の砂漠のように静かに*零された*]
[大丈夫である事を確かめて口元に笑みが戻り、不意に届いた生命竜の心話にも変わらず笑み続ける]
――…自由に。
私の『願い』はただそれだけ――…
[探るような響きにも、心の声はいっそ穏やかなまでに*静かに*]
[ゆらゆらと。
たゆたう水の流れに身を任せるがごとく、当ても無く歩いてみれば、その先には、3人の随行者が集まっているのが目に入る]
……誰も彼も、全員お硬そうな人達ばっかりだねぃ。
これもまた流るる水の導きか。
[呟き、その歩みをゆるめることなく、月、影、精神の属性が集まる場所へと進んでいった]
御機嫌よう。みなさぁん。
そちらのほうで、此の方の原因は突き止めておられます?
触媒ですか。
……なるほど。結界からの。
結界から、読み取れるものがあるのでしょうね。
[知らずに光る腕輪に目は動き、]
そうですね。
[そのまま目を離した。
一度西の方へと、つられて向いて。
そこにいるであろう王の言葉は、今はないけれど、内部の様子を思えばため息が零れるのは仕方の無い話だった。]
―中庭―
[やってくる気配に気付くのは、少し遅く。
声をかけられる直前にそちらを向いて、立ち上がると頭を下げた。]
流水の随行者殿ですか?
原因を何であろう、探ろうという話をしておりました。
[今までの話(それにはギュンターからの情報も含まれる)を、ナターリエへと伝える。]
[答えを聞いた後、どれくらい沈黙していたか。
暫くの後、ふっと息をつくと同時に力を抜いた。
それは観念した風にも、何か覚悟した風にも聞こえるだろう。]
…いいだろう。
俺も力を貸そう。
[はっきりと、その一言を口に登らせた。]
だが知ってるだろうが、俺は他人を傷つける事が一切出来ん。例え『本性』になってもな。
だから荒事には手を貸せない。
代わりに俺から引き出せる『力』は、自由に使うといい。
癒し手も、優先的に二人に回す。
尤も他の連中を癒さんわけにはいかんだろうから、そこは目を瞑れ。
イザというときまでは、な。
[それは、万一事が露見した場合、二人以外は癒さないと。
言外に宣言したようなものだった。]
ほっ。なるほどねぃ。
まだ私と同じくほぼスタート地点ってわけですわねぃ。
[オトフリートから返ってくる言葉に、軽い笑い声を上げた]
……通常状態なら、此の方の変化楽しむだけなのだけれど、水を堰き止められるのは、幾分、機嫌が悪くなりそうですわぁ。
ぶっちゃけ、ムカつく。
[感情の変化を止めることなく表情に出す]
嗚呼。
何も無ければ、今頃、貴方にモーションの一つや二つかけたいところなのですけどねぃ。
そこ行く、精神のも、そそる顔立ちしてますわねぃ。
[ぺろり。上唇を舐めて、アーベルを見つめた]
うふふ。
ことが無事に済みましたら、一夜のお相手申し込みましょうかしら?
影のは……ふられましたけれども。
[それでも、ノーラを見つめる目つきはどこか艶かしい]
はい。
まだ、詳細は。
[眉を寄せる。そのまま、すと目を影輝の竜へと移したけれども、言葉を促すことはなく。]
――竜王様方は。
確かに暴れていらっしゃいました。
[こえを聞き、ほっとしたような感情は、心の会話を伝ってゆく。]
――荒事には、あなたを望むようなことはしませんよ。
あなたが怪我をするだけになりますから。
[いつもよりも幾分か、言葉はおとなしい。]
ご遠慮させてください。
[言葉はそう作られた上に、腰が引けているのは、本能ゆえか。
そして影輝の竜に目を移したナターリエの様子に、ほっとため息を吐いたのだった。もちろん、そのすぐ後に、心配そうに見るのだったが。]
……。
暴れて、ね。
竜王様達が暴れて、それでも、結界が外れないということは、よほど、強力な力が絡んでいる、ということですわねぃ。
その原因をつきためたとて、それを解消できうる手段は、此方にあるのかしらぁ?
[少しだけ、目つきが険しくなった。
が。次のオトフリートの言葉を聴くと]
うふふ……。
そう言わずに、何事も試してみるのが良いかもですわよ?
少なくとも、ユーディットとクレメンスは、私の誘いに応じてくれたのですからねぃ。
[笑みを作り、しばし、その時の行為に思いを馳せた]
―中庭―
おす全員。
ナタ、そっちの王様は元気か?
[オトフリートの背後から、彼女の腰にタックルかます風ににょっきり現れた。
片手は離して、ナターリエへひらひら振りながら、さり気無く彼女の王の様子も伺う。
今日も全く反省してません。]
若焔殿――随行者殿ですが。
[アーベルから聞いた話を伝え]
その手段以外、私が知ることはとくに。
[締めくくりはそれだったが、続いた言葉にふるふると首を横に振った。]
……いえ。
私は遠慮します。ええ。
[ほっとするようなオティーリエの安堵の感情がこちら側にも伝わる。いつもより細やかな心情が伝わる気がするのは、精神の竜の影響か。
それに一拍、間を開けてからへらと常の軽薄な笑みで応えた。]
まぁな。負けるつもりは無いが。
[どれだけ痛めつけられようが、クレメンスが本当の意味で倒れる事はない。
たとえ今の肉体が消滅しようとも、復活する―否、復活"させられた"し、実際過去それをやった事は数度ある。
暫く動けはしなかったが。]
エインシェントが二種、本性は一回しか使えない。
そのうち一種が荒事の出来ない俺だし。
オティーリエへの負担は大きいだろうな。
まぁ頑張れ?
[むけた笑みは本当に応援してるのか、軽いまま。]
あらぁ、言っているそばからクレメンスじゃない。
[ひらり手を振る]
私の主様?
さぁ?どうなのかしらぁ?
いつもながら、掴みどころの無い人で、真意は私には分かりかねるわぁ。
―――もっとも。
[そこで、ナターリエが遠くを見つめた]
海が、荒れ始めている。
それが、何かの前兆なのかも知れないですわねぃ。
インドア派ですから、そこまで頼られるのも困りますけれど。
[肘が出たのはもう条件反射だ。
そして、向けられた笑みを睨む。]
そういうことはしないで下さいと何度言えばわかるんですか。
ナターリエ殿に抱きつけばいいじゃないですか。
[誘いに乗ったというのを受けて、心の声で文句をいう。]
焔。
[その言葉を聴いて、ナターリエが苦虫を噛み潰したような顔になった]
此方としては、焔に頼るような手段は、やりたくないですわねぃ。
野蛮な焔に、恩を売るような形にもしたくないですわ。
……此方は此方で、考えたほうがよろしそうですわねぃ。
[水と炎。
当然のことながら、明らかな敵意しか、炎には持っていない]
[その後に続く言葉には]
あらぁ?
遠慮なさらなくてもよろしいですのにぃ。
ま。
流れに身を任せる私としては、嫌がるものに無理強いは出来ませんけれどもねぃ。
それに―――。
[オトフリートとクレメンスの様子に、にぃと目を細めて笑った]
―――仲のよろしそうな方もおられることですし?
[鼻から顔が潰れ、華麗に血を噴きながら倒れ頭から撃墜。]
今日もいいちち…一字違うか。ひじしてるなオトたん。
[言葉間違いは軽くワザとだ。ぎりぎりの地雷を踏んでいる。
ちなみに当然3秒で立ち治るのはもはや通例。
立ち上がればナタにひらりと再び手を振り返す。]
よぉ、数刻ぶり。
変わりないってことは、いい知らせなのかね?
変化の司には訃報になるのかも知らんが。
海って、狭間の滄海か?
…まずいな、こっち側にまで影響出るかもな。
[思うはある意味での己が故郷、生命の海。
滄海と隣接するそれにまで影響が出てはと、僅かに顔を顰める。]
[そこまで火炎のことを嫌っているのかと、驚いたように流水を見た。
対である陽光に対して、少々苦手意識はなくはないが、嫌悪までいかぬから。]
[だが、驚いて言葉を返せずにいると。]
――いえ、それは勘違いです。
ありえません。目の錯覚でしょう。
[淡々と、否定の言葉を次から次へと繰り出した。]
― 竜皇殿・中庭 ―
[ 集う存在が多くなるにつれて口を閉ざし、水竜の艶を含んだ眼差しにも口許に指先を添え首を傾けるばかりで、稚さすら感じさせる態で佇んでいたが、命竜の出現に、ノーラの手が出た。
しかし次の瞬間には先と変わらぬ様子に戻り、被害者たる闇竜の視線にも、黒の瞳を一度瞬かすのみだ。]
はっはっは。俺オティーリエのが可愛いからそっちのがいい。
[あっさり笑って言い切った。
笑みは常。絶やす事があまりないのは、仮面が馴染みつつあるからか。]
ナタは棘どころか牙持ちだから、注意しないと危ねえしな。
[喰われかけた記憶は当然、良いものではない。
思い出すと快楽と酷い目とが交互に現われ、若干、遠い目になった。]
[が、次いだ言葉に、殺意ゲージがぴっとMAXを指した。
それを止めたのは、日ごろからの感情を抑える訓練の賜物だったのだが。]
いつもお変わりなく、あなたは変態ですね
[殺意を抑える代わりに、吐き捨てた。
さすがに理性だけで押さえきれず、掌に爪がくいこむほどに手を握る。]
変化を司るものが、変化に戸惑うようなことはありえませんからぁ。
この先、変化が無く、膠着するようなことのほうが心配ですわぁ。
それこそ、海が荒れ狂う事態になりますわねぃ。
生命のも巻き込んで。
……全く。
何故、このような事態に。
[最後は笑みを含んだままのため息と共に]
わたしはいやです。
それに、かわいいとは何を言ってるんですか。
ついに頭までおかしくなりましたか?……元からでしたか。
[そして流水の竜を見る。
背筋を伝うものを思い出したが、]
嫌がる人には何もしないといっているじゃないですか。
あなたより安全です。
にしてもノーラ殿の一撃も思ったより早いのなぁ。
攻撃力高い竜が多くておじさんは嬉しいぜ。
[叩かれた頭を軽く擦りながら。
他者を傷つける事をしない、正確には『出来ない』自分はへらり笑う。その奥には、微か羨望のようなものも混じったか。が、次の瞬間には消えうせ。]
えー。俺とオトの仲じゃないか。
[前もいったぞこの台詞。
否定の言葉にめげることはない。ええ全く。]
やぁそんな、褒めるな。
[以下略。
オトフリートが力を入れている手に気づけば、遠慮なく触れて開かせる。
動作に反撃を受ける前に、軽く、爪の後の滲む手の平はその時瞬時に癒しておいた。
動作中も、軽薄な笑みは変わらなかったが。]
[驚くオトフリートの様子を見て、ナターリエが不機嫌そうな顔を隠しもせずに言葉を紡ぐ]
炎は。
何も変化をもたらさない。あるのは、破壊、という結果だけ。
破壊されたものは、その後停滞を起こす。長い時間。
変化は、長い時間を経て、ようやく起こる。
そのような存在……好きになれるはずもない。
……水は高きから低きへと流れるけど、炎は低きから高きに登る。
案外、炎のが、高きを目指した結果が、このような事態なのかもねぃ?
[そこで、一息置き、次の言葉を吐き捨てた]
ふん。冗談よ。
[元々の形態が、軟体動物に近いものだった故に、炎を苦手としていたことも、炎が嫌いな要因なのかもしれない]
[まったくもってクレメンスにはこたえない。
何度あきらめることになるのかとため息を吐いたときに手を取られ、]
……たいしたことないんですよ、これくらい。
だいたい、誰のせいだと思ってるんですか。
[疲れたけれど、そのまま手を引いた。感謝の言葉は、なかなか出るものではない。]
[それから、ナターリエの様子に、言葉に、そこまでかと内心奥深く、思いながら。]
申し訳ありませんでした。
…ご気分を害しましたようで。
[*深く礼をした*]
[クレメンスの言葉に、ナターリエがぴくりと反応した]
攻撃力が高いことが、そんなにいいことかしらぁ?
破壊する力が。
……まさか、生命のから、そんな言葉を聞くとは思ってもいなかったわ。
[不機嫌そうな表情も、とげのある言葉も隠しはしない。
水面に移る変化は、誰の目に見ても明らかでなければいけない]
そっちの影響受けて…いや、受けなくてもそもそも姐さんが居ない。
俺らの方が止まれば、全てのものの命の循環が滞る。
止まれば緩慢な死の始まりだ。
さてそいつは困ったな。
[ふぅと、一度天を仰ぐ。]
…向こう、戻れるようなら一旦戻りたいんだが。
今はまだ、駄目なんだよな。さて。
[どうすっかなと、言わんばかりの息をついた。]
何でだろうねぇ?
[ナタの最後の言葉には、こちらも笑みを含んだ言葉で返し。]
攻撃力の問題でもないだろ。
生命力が有り余っているんなら、
ナタに謙譲したらどうだ?
需要と供給が満たされるんじゃないかね。
[ 彼の奥に秘められた色に、ノーラが気づいたかは定かではない。一連の、恐らくは幾度も繰り返されているであろう遣り取りが終わった後、変わらぬ茫とした表情と命竜の口真似で言うと、影は相対する二人の間に入る。一通りの会話が終わるまで、退くつもりはなさそうだ。何処までの効果があるかは知らぬが。]
海が荒れれば湖に浮かぶ島に築かれたこの竜都も、
ただでは済まないでしょうねぃ。
他の属性にも影響は及び、均衡は崩れ、混乱は広まる。
面倒な事ですわぁ。
[ 困ったような写しの口調で言うも、表に出ることはない。
月闇の竜に眼差しを向けると、黒布の下より伸びたノーラの手が、その頭を軽く叩いた。撫ぜるというよりは、土を均すに似た態だが。
そうするのは、影としての役割故か、それとも他のものか。*我も知らぬ*]
[オトフリートが深く礼をする様子を見て、先程までのような笑みを浮かべ]
ええ。
御気分を害しました。
[単刀直入に言った]
ただ、貴方が悪いというわけではないわぁ。
話の道の上に、焔のが陣取っていただけですからぁ。
だから、貴方が気にする必要性は無いのよぅ?
―――それでも、気にするというのなら、今度、一夜の戯れのお相手をお願いしましょうかしら?
それで、私の気分は、確実に晴れるのですから。うふふ……。
[冗談交じりに。しかし、了承が取れれば実行はするだろう]
あっはっは!
俺の意見だけじゃ不満なら、アーベルに同じ事聞いてみればいい。
さてオティーリエは可愛いかどうか?
[おそらく傍観しているだろう精神に振っておいた。
アーベルがどう応えるか。実に楽しみだといった様子。]
別に俺、安全じゃない事は何一つしてないんだけどな。
[そんな台詞をのうのうと吐いた。吐ききった。]
極端に、過ぎたる力は何とやらだ。
[ナターリエの棘にもへらりと笑み返す。]
高すぎれば問題だろうが、無さすぎるのもまた問題、ってな。
それが破壊であれ癒しであれ。
例えば俺は、目の前で王が殺されようとしてもそれを止める事すら出来ん。
俺にあるのは癒しと自分への無限に近い回復力、それだけだ。
姐さんが傷つくだけなら癒せるからいーんだけどよ。まぁ良くないが。
まぁこんな事体だ。
万一まかりまちがって荒事が始まったら、俺じゃそっち面の力にゃなれないからな。
そういうことだ。
ええ。困ったものよ。
此方としても、そのような一時の変化は望んでいませんですからねぃ。
早急な解決が望まれるってところかしらぁ?
そのための、原因―――水が生まれる場所を見つけ出さなければねぃ。
見つけ出したのなら、次は、水を止める手段。
さて、うまい具合にことは運ぶのかしらねぃ?
嗚呼。大変大変。
[言いながらも、顔には笑みが浮かんでいる。
一時とは言え、変化が起こるトラブルというやつはとても楽しいから]
[ノーラの言葉に、また少し笑んだ]
生命のは、浮気ものですからねぃ。
色んなものにちょっかいを出しては、命を芽吹かせているわけで。
……もしかしたら、私よりも性欲旺盛なのかも?うふふ。
…いや、喰われる感覚は慣れないからちょっとな…。
[あの時味わったモノの一旦は、癒せるとはいえどうにも嫌なものらしい。
ノーラに渋面しつつそう告げて。
オトフリートとの間に入られれば、それ以上先へは無理に進まない。]
さって…と。
竜都内なら自由行動OKなんだよな。
少し調べ物でもしてくるわ。
じゃ、またな。
[ひらとそこに居た者に手を振り、中庭を*離れ。*]
何をそんな馬鹿げたことを言ってるんですか。
[クレメンスへ告げると、ため息。
アーベルの答えを聞く前に、そうやって入った。]
あなたが安全だと言い張るのは、竜郷が破壊される可能性と等しいですよ
[つまりほとんどないという話らしい。]
破壊と癒し。
なるほど。極端だわ。
過ぎたる力を守りと、他者と交じり合う力に使えないものかしらねぃ。
……全てが、ただ広がる水の如く一つに混ざり合えば、どんなに良いことか。
[最後は、少し小さな声で呟いた]
―――さて、焔の手段以外に何かあるか、私も探してみますかねぃ。
[一時後、語るのを止めて、また流れる水のように、ふらふらと*歩いていった*]
[アーベルから問いの答えは聞けたかどうか。
どちらにせよ、けらけらとひとしきり笑ってから。]
えー。俺ほら攻撃力ないし。安全安全。
[きっと安全の意味が違う。]
それは可能性はなくないって事だな。
[実際問題結界が強化されるまで、その可能性もあったしとか。
…どちらにせよ、今は無いし、そもそも薄い、という事なのだろうが。]
ああそうだ、剣、の事なんだが。
剣は剣のままで在るもんなのか?
[思い出したように問うこれは、確認の意味も含めた。]
……三秒で戻るのに、何が安全ですか。
[切り捨てた。]
言い方をかえましょうか。
竜王方がまともな状態で、竜郷が破壊されるのと同じくらいの確率、と。
[ため息。]
――剣の形状は。
わかりません。変わるのかもしれません。竜王が守るものですし
[唐突に、クレメンスとの間にノーラが入り込む。
オトは驚いたように、翠の目を瞬かせた。]
[顔がオトへと向く。
ノーラの手は確かに頭を叩いた。撫でたというよりも、あやすようにも感じられた。
思いもよらなかったことに、ただ驚いて見返すしか出来なかったが。]
[手が離れてゆき、ようやく我を取り戻したとき、そっと感謝の言葉を口にして、心底からの微笑を浮かべた。]
まぁ酷い。俺の少ない取り得なのに…!
[芝居じみた声で嘘泣きしたが。すぐ戻る。]
はっはっは、そいつは限りなく薄いな!
それこそロウとカオスがくっつくくらいの確率だ。
それとも揺らすものが直接出張ってくるくらいか?
[どちらも、世界が滅ぶまであり得そうにない。
あ、つまりそういう事と、言ってから気づいたとか。
まぁ気づいた所で態度は毛ほども変わりようがないわけだが。]
[ナターリエは軽く、しっかりと言葉を返してきて。
申し訳なく思ったが――]
――いえ、あの、それは無理ですから。
ええ。
[求められるものに、ふると頭を振った。]
そういうのは、そこの生命のにお任せします。
[ノーラをはさんだ向こう側へと、権利を投げた。]
ふん…ってことは、剣ばかり注視は出来ないんだな。
『聖魔の剣』は聖魔併せ持ち、天聖と流水に属するモノ。
『神斬の剣』は神も斬り倒す、影輝と精神に属するモノ。
そして『真なる剣』は何者の干渉も許さず退ける。
か。
[それは少し前、アーベルが口にした言葉。聞いていたらしい。]
さてノーラとナタからは強い力の感じはまだ受けなかった。
上手に隠してるのか、それとも持ってないか、外から探っただけだと微妙なとこだが。
先にちっと他の奴等を当たってみるわ。
[やる事は一応、あの騒動の最中でやっていた。
よく食えない、と王に言われる所以はこの辺りにもある。
被りきった道化の仮面は浅くない。
へらりと笑い告げながら、向かうは竜殿を離れた先。]
その取り得のせいで、幾度も命は助かったんでしょうね。
[投げる声は、存分に諦念を含んでいた。]
ええ、そういうことですとも。
だから態度を改めてくださいね。
わたしは、…"オトフリート"は男なんですから。
[聞いていたことを咎めはしない。]
ちゃんと探っていたんですね。
…そういったものにはあなたは強そうです。
[自分では気付かれず探ることなど、難しく。]
宜しくお願いします。
わたしは――側近殿を探します。
[本の虫よろしくある本を粗方読み漁り。酷使した目をマッサージするように目頭を揉む]
ぬぅ、少し根を詰めすぎたか。
[大きく息が漏れた。読み終えた本を棚へ戻すと、腰を伸ばすように一度伸びをしてから大図書館を出る]
さぁて、どうしたものかの。
[一言漏らすと、一旦そのまま商店街へと足を向けた]
─大図書館→商店街─
全くだ。俺が望む望まないに関わらずな。
[さらりと言った言葉に、内の感情は乗せず伏せた。
告げた事実には、軽い笑みがついてくるだけ。
続く言葉にも笑みは絶やさず。
それはつまり、隠しているものが少なからずある、という事なのだが。]
相変わらずで。
どう取り繕おうと、生まれ持った性が変わることはない。
そうまでしてでも片割れの代わりになりたいのかね?
[オティーリエが男に、オトフリートに拘る理由。本人から理由を聞いたことは当然無い。
口にする言葉は、命王から伝え聞いた事柄からの予想ではあったが。
軽い笑みは、僅か希薄になった。]
―商店街―
[竜皇殿を出て向かう先は、知の宝庫だったのだが。
その前に通りかかった商店街で見かけた爺その1にひらり手を振る。]
よぉザム爺。また飴でも買いにきたのか?
[少し前、陽光の幼竜に飴玉渡していたのを思い出しながら。]
おお、クレメンス。
ハリョン殿に全て渡してしまったでな。
ベアトリーチェ殿の分も買っておこうと思ってのぅ。
エーリッヒも食べたがりそうじゃし。
[かけられた声にそちらを向いて。振られる手に呼応するように、クレメンスに対して右手を上げた]
―竜都・商店街―
[連絡の後、東殿の一室を借りて僅かな休憩を取り。調べたいことがあったので本殿に向かった。
だが事態の収拾のために常より高いレベルでの立ち入り規制が掛かっており、それならばと街へ出た]
御師様、クレメンス様。
[同じようにそこに居た、或いは向かおうとしているとは知らず。見えた姿に軽く礼をする]
[それは軽い違和感となって。一拍の沈黙。]
少なくとも、わたしは良かったと思いますよ。
同族殺しはしたくありませんから。
[後に出た言葉には、わずかな困惑が秘められて。いつもどおりを装った。]
――…代わりになど、なれるとは思っていません。
[だが突かれた言葉に、僅か遅れて返す。
心の奥で、昔に夢を抑えたその感情は、少し揺れるだけだったが。]
[ザムエルの上げられた、おそらく利き腕には特に気にする風もなく。]
うはは、ちょっとにしとけば良かったのによ。ザム爺気前良すぎだぜ。
ああ、もう一人のおチビさん…お嬢ちゃんだったな。
…そういやエーリッヒもまだチビだっけ。外見それほどでもないからよく忘れるんだけどよ。
[どうにも見た目で相応の青年に見てしまいがちだが。
そういえばまだ25歳と若かったなとは、今更だ。
そんな会話を続けていた最中、かけられた声に振り返り、こちらにも軽く手を振る。]
よ、エルザ。
そっちも買い物か?
[同じように尋ねる。]
まぁ細かい探知になると専門家じゃないから十分た言えんが。
そっちは正直だからなぁ。
性格は行使する力にも現われるぞ。
[笑いを含めいう言葉には、気をつけろと、軽い警告のようなものが含まれた。具体的に口にする事はないのだが。]
…おうよ。まぁ、一番高い可能性はそこだろうし。
上手くいけば一発で当たりだ。頑張れよ、っと。
[そう簡単なことではないだろうが。
軽く―いつもの風に、言葉は紡がれた。]
おお、エルザも。
お主も買い物か?
[見えた姿に軽く右手を上げる。クレメンスへと視線を戻すと]
小分けにする袋が無かったでな。
それに沢山あった方が喜ぶじゃろうて。
うむ、ベアトリーチェ殿は樹竜王様のお子じゃ。
エーリッヒはあの外見じゃが、まだティルより下じゃからのぅ。
ハリョン殿に渡す前に飴を見せたら目を輝かせておったわい。
[孫のことを話すように楽しげに笑いながら言葉を紡ぐ]
そう言うお主はどこへ行くつもりじゃったのじゃ?
買い物と言う柄でもなかろうて。
いいえ、私はこの先に図書館に。
少し調べたいものがありますので。
[ゆるく頭を振ってクレメンスに否定を返し]
御師様の飴。
そういえばよく頂きましたね。
[今よりずっと幼かった頃を思い出し、僅かに眉を下げる]
[オカリナを下ろし、右手をすい、と上に上げる。
青の瞳が見つめるのは、雲と風の流れ]
ん。
ここからできそうなのは、こんなもん、と。
本気でやるとしたら、『座』の力でも借りねーと……って、それはそれで、ねーさんに怒られっかなぁ……。
[ぶつぶつと呟きつつ立ち上がり、オカリナをしまう。
よ、と軽い掛け声と共に城壁を蹴り、その高さをものともせずに下へと飛び降りた]
さぁて、と。
ちょいと歩いてから、戻るか。
─ →商店街─
秩序の王と混沌の王について。
そしてこの剣についてどこまで知られているのかを。
[その言葉は口には出されず、強く意識するだけで]
ふむ…やはり不可思議を知るには過去を記述されし書か?
儂も今行ってきたところじゃ。
[エルザの言葉に頷きながら言葉を発し。続く言葉には表情を崩す]
お主も喜んで食べたおったのぅ。
いつの年代でも、飴は皆好むものじゃった。
参考程度に頭にいれておきます。
[軽く答えて、ついでの警告の意を感じ取る。
少し不満そうに、呟いた。]
……正直ではないと思いますけど。
そうですね、側近殿の可能性はかなり高い。
注意してゆきます。
――大きな騒ぎにするつもりはありませんし。
─商店街─
[先の疾走とは逆に、ゆっくりのんびりと戻っていく。
風が拾うざわめきの声には、異変を察知したものたちの不安げなそれも時折聞こえ]
わはー、本気でめんどーになりそ。
[などと呟きながら進んだ先には、見知った姿がいくつか]
あれ?
みんなして、買い物ー?
[きょと、と瞬き一つした後、そちらへ足を向けつつ声をかけた]
[微かに届いていた音色が途切れたのに気付き、軽く首を傾げた。落ちかかってきた髪を左手で梳き上げる]
ティル様、お疲れ様です。
[やがて通りの向こうから見えてきた姿に、スッと一礼する。
彼が風を宥めてくれていたのだと気が付いたようだ]
儂も読んできたところじゃよ。
秩序の王・混沌の王に関してはほぼ記述なし。
機密事項と言われるくらいじゃからな、これは書かれているとしたら竜皇殿の書庫か、『心の間』と呼ばれる場所くらいじゃろう。
個々人でも、古く長く生きる者は知っておるようじゃが。
[古く長く、のところで向かう意識はクレメンスへと]
剣に関しては存在については知られておるようじゃ。
その力の詳細は書かれておらんがな。
そうそう、そうなんだよなー。言われなきゃうっかり忘れるのが。
うはは、お子様は飴好きだからなぁ。
[けらりと笑いながら、楽しそうに言うザムエルには似たような笑みを返す。それは己も古き竜の一人故か。]
ああ、俺は図っ書館。
…エーリッヒが言った通りに、揺れるものが干渉してきてんなら、目的ってなんなのかねと思ってな。
その前に対応策がありゃ万々歳なんだけどな。
ん、エルザもか。
目的は…似たようなもんか?
[どうじにエルザにも話ながら。]
知識の足りぬ所を埋めるにはそれが一番であろうかと。
御師様もいらっしゃっていたのですか。
[小さく頷いて]
養父はそうしたものを好みませんでしたし。
心待ちにしていたものの一つでした。
[唇が僅かに弧を描く]
[長く大図書館へと籠っていたために流れていたメロディは耳に入っておらず。しかし何かが途切れたことだけは今気付き。ややあって現したティルの姿を見て、途切れた何かを理解する]
ティルか、儂は買い物じゃが、他は違うようじゃよ。
[近付いてきたティルの頭を、労うかのように優しく撫でた]
[お疲れ様、というエルザの言葉に軽く瞬き。
それから、『風鎮め』の事を言われたのだと気づいて、あー、と短く声をあげる]
ま、一時凌ぎだけどね。
あ、ていうかさ。
その、『様』つけんのって、なんとかなんない?
慣れてねぇから、こそばゆくてさー。
[風竜の一族では最年少、更に人間界では流浪の何でも屋。
そんな暮らしをしてきたためか、どうにも慣れないらしい]
そういうことになりますね。
調べたいものについての記述がどこまであるかは、不明なのですが。
[師を見ながら、クレメンスにも肯定を]
ということです。
ティル様は何かお買い物をされてゆかれますか?
お休みになるのでしたら、東殿の部屋が使えるようにもなっておりますので。
[疾風の竜に向き直るとそう続けた]
こそばゆい、ですか?
[様付けをしていたのは、自分より年上の相手にはそうすべきと教えられてきたからだが。当の本人に言われると、軽く口元に手を当てて]
…了解致しました。
それならば、ティル殿と。
[敬称を付け直し、良いでしょうかと小首を傾げた]
[撫でられる感触に、目が細まる。
仔竜の頃に母竜を亡くし、父竜も亡くして久しい身、孫のように可愛がってくれる大地竜の存在は、義兄や姉とはまた違った意味での拠り所であり。
本来、反する形の対である事に、抵抗などはないらしい]
買い物って、お土産かなんか?
あー、オレもなんか探しとかねぇと……。
[姉と、遠くなく増える眷族のための贈り物。
ゆっくり探すのは、先になりそうなのだが]
[全くじゃな、とクレメンスの言葉に同意しながら頷き]
何じゃ、お主も図書館か。
皆考えることは一緒かのぅ。
「揺らすもの」が干渉せしはその役目のため。
此度はそのために我らが竜王様達が捕らえられた。
これだけでも各竜郷への影響は少なからず出るが…果たしてそれだけに留まるか。
これは推測じゃが……竜王様達を捕らえることの他にも、確実に世界を揺らす事が出来る「何か」を狙ってくるとは考えられぬじゃろうかの。
[それはクレメンスだけでなく、この場に居る全ての者に向けた問い掛け]
うはは、オティーリエに殺されるのは悪くないんだけどなぁ?
ま、いっぺんくらいは死んでみたいもんだぜ。
[そのいっぺんは最後なのだが、軽く言い切った。
生命の竜でありながら、自分の命には無頓着もいい所の発言ではある。]
あら違う?
罪滅ぼしかどっちかと迷ったんだけどな。
[希薄な笑みは浮かべたまま。
だが内心予想は遠くなく、と受け取ってはいたが。]
[反する対にも関わらず、目の前の風竜の子に対しては肉親にも似た感情を有していて。相手も懐いてきてくれるために普段は対であることも忘れそうになる。会う度に撫でるのも、その意識がやや薄れつつあるためであろうか]
正しくは竜皇殿に戻るための土産、かの。
飴玉を調達しようと思うてな。
[ティルの問いには何を買いに来たかも口にする]
そちらに関してはやはりそうなりますか。
本殿は今、立ち入ることが出来ませんので、そちらから調べるのは諦めることと致します。
[クレメンスに向いた意識に、納得を示して]
はい、昨日の様子ではご存知の方々もいらっしゃいました。
それにエーリッヒ殿もご存知のようでしたし、私もその記憶を持ってはおりましたので、古代種であれば同じく。
剣の存在は知られている。
…図書館まで足を伸ばす理由が無くなったかも知れません。
[苦笑のような波動が広がった]
お、よおティル。ああ、さっきから聞こえてた音はお前だったのか。
あー、いいな。ここからでも風なら何とか抑えはきくのか。
こっちは何にするにも、一旦戻らねぇと拙いのがなぁ。
[もっとも自分は王とはちがう。戻って何をするにも、どこまで知から及ぶかは分からないが。
元々少ない生命竜、手が足りないよりはましだとは思った。
尤も今は、まだ帰れないが。]
ん、ま、買い物は後から、かな。
東殿で休めるんだ、あんがとね。
[別に野宿でも気にしないけど、とは一応言わず]
んー……別に、敬称なくてもいいんだけど。
ま、様よりはそっちのがいっかな。
[正直、エーリッヒに『さん』づけされるだけでも大概こそばゆかったりする]
ふむ、そちらは封鎖されたか…。
竜王様達があのような状態では、厳戒態勢になるの無理はあるまい。
存外知る者が多くて驚いたわい。
干渉されし故に知り得たのか、元より知り得る事なのかまでは判別がつかぬがの。
剣の所在がどこまで周知かは分からぬが、干渉されし者は「揺らすもの」から智を得ている可能性も否めまい。
果てさて、向こうはどう動いてくるやら。
[伝わる相手の苦笑にはこちらも苦笑が漏れるか]
飴玉かあ。
爺ちゃんの定番だもんな、それ。
今は、ちっちゃいのも多いし、あるといいかも。
[問いの答えに納得しつつ。
ザムエルが場に向けて投げた問いには、やや、思案の素振り。
肩のピアも一緒に腕組みポーズ]
ん、いちお、『風鎮め』をねー。
抑え、っつっても、こっからじゃ一時的。
本気でやるなら、蒼天の座までいかねーと。
[クレメンスには、ちらりと空を見やりつつ、こう返す]
いっぺんだって殺したくはありません。
あなたのせいで自分の手を汚すなど。
[いつもどおりの装いは、まだ被ったまま。
それでもどこか、いつもよりも少し深い場所から、感情があふれ。]
……わかっていても、割り切れないだけですよ。
本物が二人でなければ、意味はなかったのに。
[最後の言葉は、闇の中に消えるように、ほんのかすかに零れた。]
「何か」ね…。そんな大事なモンってあったっけ?
少なくとも俺は聞いた事無いんだが。
[知識はそれなりに持ち合わせてはいるはずだが。
知らないと、肩を竦めるさまは本当に知らぬよう。]
爺さん心当たりねぇのか?
[んーと、先ほどまで図書館にいたと言うザムエルに、成果を尋ねる。]
まぁ年の功の言う事はたまには素直に聞くといいんだぜ。
[感じる不満の色にもへらり、軽く告げ。]
まぁ今現在大嘘ついて竜都騒がしてる張本人だからなぁ。
騒ぎの方は…まぁ結果次第だ。
適当に気をつけれ。
あなたのいう事を素直に聞いては、自分がだめになる気がします。
[軽く言い切った。
それから少しの間をおいて、すこしわらう。]
嘘はつきなれていますから。
――はい。気をつけます。
そうした呼び方には慣れておりませんもので。
よろしければこれでご容赦下さい。
[僅かな困惑の色を瞳に浮かべながら、ティルに謝った]
[三人三様の反応を見てから、言葉を発すために小さく息を吸う。エルザの返答には一つ頷き]
……竜王様達が所持せし「力ある物」。
数ある中でも強大すぎるが故に分かたれた二つの剣。
「力ある剣」の存在を、聞いたことは無いかの?
[再びの問い掛け。目の前に居る三人を順繰りに見る]
あら愛されてるわ俺。
[真逆の意味をさらに回転させて良い向きにして受け止める。
オティーリエから溢れかける感情には気づいたか。
気づいたところで、態度は薄ら笑みのそれを崩さないが。]
そんな二人に拘るものかね。
片割れと一つである事はそんなに不服か?
『本物』が、何を指すかは知らんけど。
俺は――――
[と、口にしかけた言葉に、笑みとは違うものがまざりかけて。]
…っと。何でもない。
[再び、へらと笑いの感情をのせて、言いかけた言葉を閉じた。
混ざった感情は、波のように今は引いた。]
― 竜皇殿・中庭 ―
……また。
[ 投げられるそれぞれの科白に、ノーラは首を縦に振るか横に振るかで応じて、一人、また一人と離れ行くを、再会を願う別れの言葉を短く告げ、見送った。
誰の――対の一たる闇竜オトフリートの感謝に対しても、それは同じだった。
異なる様子を見せたのは、心竜アーベルのレンズ越しの紺碧へと向けた、物問いたげな眼差しくらいなものだったが、問いが明確に発される事はなく、合わぬ視線故に、彼が察したかも分からぬ。
話し相手が去ろうと、影は其処から動く様子もなく、樹の傍らに、再び*腰を下ろすのだった*]
や、謝らなくてもいいんだけどー。
[エルザに向け、困ったように言って。
ザムエルの言葉に、軽く、首を傾げる]
力ある……剣?
人間界の伝説で、たまーに聞いたりする、あれの事かな。
……あれって、竜王管理だったんだぁ。
[場違いなくらいしみじみと言ってみたり]
……そうですか。
[もうそれ以上言葉を重ねたくないというように。
その話題は切って。]
一人は、半分でしかありませんよ。
[彼の事情など知らない。ただ、身のうちを見るように、下を見て。
ふと、続く言葉が途切れ、考えずに言葉はついて出た。]
――あなたは?
[何でもないと言われ、問いを重ねることもないけれど。]
本殿には、それこそ禁書に類するものもありますし。
竜都の礎となる場でもありますから。
[息を整え、再び意識を戻す]
ええ、ですがブリジット様などは確証はないというお口ぶりでした。なので話としては知っているが、ということではないかと。
干渉の有無は分かりませぬが。
剣?
…………あー!あるある。聞いたことくらいは。
興味ないからド忘れてた。
[元々、長き時により蓄えた知識は膨大。故に多い引き出しから該当するものを選びだす事は容易ではなく。
また傷をつけるものにはあまり興味をしめさなかったからか、奥底にしまわれた知識はすっかり忘れられていた。
ぽんと手を叩いて。]
…で。
それを揺れるものが狙ってるってことでいいのかね?
/*
今みたら精霊3の一日目の赤ログより30も多いことを知りました。
ログ、大変なことになってるんじゃないかな。
ご、ごめんなさい><
はい、私は我君より聞いたことが。
その力は半端な者では支えることもできないと。
[ティルやクレメンスの反応を見ながら*そう答えた*]
[再び三人の反応を確認してから]
「揺らすもの」が狙っているかの確証は無いが、影響を与えるに十分な代物ではないかと思うて居る。
分かたれた二つの剣の片方だけでも大きな力を有する。
そして「分かたれた」と言うことは、元は一つであったと言う事。
仮にそれが一つとなり揮われたとしたら……。
[一度言葉を切るが、直ぐに調子を戻し]
と、そこまで行くのは考えすぎやも知れぬが。
しかして強大な力を有する物が奪われるは事実大事。
狙うに値するものなのではないかとは思うのぅ。
んでも便利っちゃ便利だよな。
こっちは向こうの、生命の海の詳しい様子も不明瞭だし。
1日2日で腐るようなもんでもないが。
ちと他の奴等にも状況話してやらんと、姐さん信者が悲鳴あげてるだろうし。
[信者=側近だが。
ティルが見た空を、こちらもちらりと見上げる。
今は疾風竜が吹いた笛の音の為か、見える範囲で変容は見当たらない。]
長く生けし者はその分智を蓄えて居るもの。
しかして古代種でもなければ話としてしか聞いたことはあるまい。
機密事項であるなら詳細を知らぬは尚更。
儂とて長く生きては居るが、はきとした智は持ち得ておらんかったのぅ。
[伝う言葉に頷く気配を見せる]
[基本的に剣は使わないせいか、やっぱり興味は薄かった。
更に、伝説の類にもさほど興味があるわけではないため、必死で記憶を辿りつつ]
んー……。
人間界で聞いた伝説じゃ、最終兵器扱いだったしなぁ。
っつか、そーゆーのが飛び込むとか、それだけで人間界とか大揺れだし。
世界揺らすのが目的なら、それ狙いってコト、なのかなぁ。
[薄い笑みは続いていたが。オティーリエの問いに、それはゆっくりと消えていった。
代わりにゆらりと、首をもたげるのはほの暗い。乾き。]
それでも始めから一つなら。失ってから苦しむ事はない。
[それから再び、笑みが浮かぶ。
だがいつもの軽薄で軽いそれとは違い、暗く深い、どろりとしたもの。
仮面の下の、その一部。]
…俺も、双子に近い『片割れ』が居たって事だ。
[告げた言葉はそれだけだった。
告げ終えれば、暗いものは引いていき、沈黙の後、再び常の彼にもどった。
正確には双子、ではない。
自分と片割れの関係を、この世界の言葉にするのは少し難しかった。
半身であり、妻であり、子であり、そして己でもある。
今は裏切りにより失われた、己が真の対。]
影輝ほどじゃねーけど、どこにでもあるのが疾風の特徴だしな。
つか、やっぱどこも騒ぎになるよなぁ……。
あー、事情説明とか、頭いてぇ……。
[クレメンスに返して、ため息一つ。
そも、風竜の一族は竜郷各所に散らばっているわけで。
それぞれが風聞を拾い集めたら、どれだけ尾ひれがつくのかとか、考えると、ちょっと頭が痛い]
[大通りでは。剣を探す為の布石は打っておいた。
以後、それについて語り易くはなったろうか。
見えぬ粒子がさざめく。ゆっくりと、探るように竜らをまとわる。]
―中庭―
[流水の竜が現れた時も一歩引き、青年は口元に穏やかな笑みを浮かべ話に耳を傾けていた。唇を舐める妖艶な誘いは短くも丁重にお断りしたが。
その間にやって来た生命竜の二度目見かける暴挙を止める事は出来ず、しかし見事に凹まされた顔面からすれば手出し無用であったかもしれない。
やがて去っていく者達を見送り、影輝竜の物問いたげな眼差しに無言のまま樹の傍らに腰を下ろす姿を見下ろした。目を合わせる事はなく彼女の髪に隠れた右に焦点を合わせながら]
……何か?
そう言うことじゃの。
[ティルの言葉に頷いて]
尤も、これはあれこれ書を読んでみての儂の推測に過ぎんが。
当たっているのであれば、それなりに対策も立てれようかの。
[何度か頷いたために額のバンダナが徐々にずれてきた。おっとっと、などと言いながら左手でバンダナの上から額を押さえ、右手で後ろの布端を絞るように掴む。上げた左手の手首に、黒光りする何かが僅かにローブから覗いた]
[聞いてはならない、ふれてはいけない部分に触れた。
そう悟った時に、ことばは止まり。]
[謝罪は、出なかった。
哀れみも、出なかった。
伝わる暗い、その感情。]
わたしは
兄が、たしかに存在していた事を、おぼえています。
[彼の苦しみは、理解できない。
自分のものを、ほかの誰にも理解できないのと同じように。
だから、そっと問いかける**]
―― あなたの、望みは。
そのひとですか?
―街角―
[集中力尽きたし、お腹すいたし。
サボ…いやいやいや補給に街へ。
流れから力を得ることは身につけたものの、肉体の維持とかほらそのへんが。]
あ、師父。
教えを請おうと探しておりました。
[老竜の姿に声をかけて。
真面目にやってるふりしても、手にはかじりかけの林檎があるから説得力皆無。]
[きゅ、とバンダナを締め直したところでもう一人の教え子の姿を目にする]
おお、ダーヴィッド。
……それが教えを請おうとする態度か。
[その姿勢は評価出来るが、齧りかけの林檎で上がった評価はすぐさま下がる]
そいつを手にして何かに使って、こんな世界揺れちまえ!
ってやるつもり、なのかねぇ。
[ザムエルの言葉に、そういう流れなのかねと頭の中で整理していたが。
ザムエルの、ローブの中から、何かが見えた。
よく見れば黒い腕輪。
老竜にはいわゆるハイカラに見えて。ちょっとにやりと笑いながら。]
おーお、ザム爺なんだこれ。
カッコイイのつけてるじゃねぇか?
爺さんが買ったわけじゃないよなぁ。
どこぞの婆さまからの贈り物か?
[しげしげと、それを眺めた。]
[問われた答えを返してからクレメンスが覚悟を決めるまでの時間がどれほどであったかは青年には関係ない。必要なのは生命竜のその決意。
そこに至るまでの心の動きを感じながらも、口にしたのはただ一言]
………ありがとう。
[だがその一言は青年の心が深く刻まれた重厚な響きだったろう]
そりゃそうだろ。15竜王、どれが欠けても世界は安定しねぇだろうし。
あー、同じく。面倒だろなぁ…。
[ティルと同じように軽い頭痛を感じるのは決して気のせいではない。
おそらく、おおよその事情だけは宮殿に伝わっているはずだが。
それでも戻れば姐さん命の竜らに何を問い詰められるか分かったもんじゃない。
泣きつくで済めばいいが。
度がすぎて殺傷沙汰にならなきゃいいなとこっそり遠い目で思った。]
んーんーんー……。
だとしたら、騒動起こしたヤツの狙いはそれで……。
んでも、閉じ込めちゃったら、とてもじゃないけど剣とか奪えないよねー。
一対一だって、ふつーに考えたら勝てる相手じゃないじゃん、王って。
なんか、すっげー本末転倒な気がするんだけど、封印するのって。
……王の手元に、剣がない、ってんなら、話は別だけどさぁ。
[素朴な疑問を口にしたところで、目に付いたのはザムエルの手首の腕輪。
先ほどはなかったような気がするそれにきょとり、としつつ]
あ、火炎の兄さんだ。
[興味は、現れた若焔の方へと向いていたり]
[しどろもどろしながら紙袋に林檎をしまって、]
あ、いや、これは、そのっ。
ええと…アレなんすよ。結界側から辿ろうにも、巧妙にごまかされてて…
干渉されてる可能性のある方を個別に読み解く方がわかりやすいかなと思ったのですが…。
誰から調べるべきか迷ってるもんで。
[教えて?せんせー、と縋る目。]
詳しいところは儂も分からんわい。
剣の所在もどうなっておるやら。
力あるもの故にぞんざいには扱っておらんはずじゃが。
[クレメンスに返しながら指摘される腕輪を目の前へと掲げて]
…数居る教え子からの贈り物じゃ。
儂には合わんと言うたのじゃが、どうしてもと言うのでな。
[答えを返すまでに微妙な一拍が挟まる。気恥ずかしいためか、はたまた別の理由があるのか。
良く見るならば、その装飾にはサファイアとアメジストが一つずつ、対極に位置するようにあしらわれているのが分かるだろう]
……、いえ。
[ 問われるとは思っていなかった様子で、黒の瞳を瞬かせた。
暫し、思考の沈黙を落とした後、手を持ち上げ、無作法にも伸ばした指先が銀縁の眼鏡の奥を指す。視線は彼ではなく、影自身の指を見詰めていた。]
其処には何が映るのだろうか、と。
うあー、なんつーか。
命竜さんたちにゃ、落ち着いててほしいんだけど、今のオレ的には。
[どこか遠い目をしているようなクレメンスの様子に、思わず呟いた。
こちらは、刃傷沙汰にはなりはしないだろうが。
やっぱり、身重の姉の事とか考えると、そこは落ち着いててほしいらしい。
ちなみに、クレメンスの遠い目の真の理由にはさっぱり気づいていない]
[その後は基本的に月闇と生命の心話に口を挟む事はなく、必要と思われる場所で言葉を発する程度だった。
その裏側では新たにクレメンスの協力を得た事による今後の剣の捜索や、オティーリエがギュンターから奪えるかの試み、また成否に関わらずその後の旧友をどうするかの殊遇等について冷静に思考を刻んでいたのだが。
ただオティーリエが可愛いかどうかというクレメンスの問いには]
そうだね。オティーリエは可愛いと言うよりも――…
[と言いかけた所で本人からの割り込みが入ったので、それ以上語られはしなかった]
さて…何を思いこのような状況にしたのかはさっぱり分からぬ。
閉じ込めて尚奪う算段があったのやも知れぬしのぅ。
[ティルの疑問に答えつつ、軽く肩を竦めた。
おろつくダーヴィッドに小さく嘆息を漏らしつつ、訊ねられることには顎鬚を撫でながら]
ふむ、結界からは辿りにくいとな。
個から結界からの干渉を読み解く方が良いと。
…誰から、と言われてものぅ。
儂とてさっぱり目星はついておらん。
その可能性があると思える者を調べるのが良いじゃろうが…。
[縋る目に流石に困り顔]
おー、孝行な教え子もいたもんだな。
見せて見せて。かーっくいー。
[ザムエルの静止は入ったろうか。
だがその前に、腕につけていた、サファイアとアメジストのそれに、触れた。
いつもの軽いへらりとした笑みを浮かべたまま。
だがその笑みの下、思い出すのは昨日の飴を握っていた爺の左手。
あの時は確かに"これはなかった”
ダーヴィットを始めとした、竜皇殿で久しぶりに会った竜らの可能性は無くはない。だが。
その事実に気づいた事はおくびにも出さない。
何時もの軽薄な笑みに様々なものを隠したまま、ザムエルが止めるまで『綺麗な黒い腕輪』に触れ観察しているだろう。]
[ザムエルの言葉に、むう、と言いつつ眉を寄せ]
そんだけの事ができる自信があった、って事かなあ。
だとしたら、そんだけ力があるって事?
[呟きつつ、しばし考え込むものの]
あー、やっぱわっかんねぇ!
つか、考えるのはオレの担当じゃねぇよー!
[考えるより動くが信条の疾風属性、結局投げました]
ええ、そうですね。
一番良くご存知そうだったのはクレメンス様ですか。
そのどちらにも該当する方ですから、おかしくはない…。
私は、どこまで覚えていた?
これをお預かりする前までなら、どこまで知っていた…?
[気をつけてはいたのだが、意識は現実から離れがちになっていた。他より多く持つ知識があれど、それはまだ彼女の中で系統立つところまで来ていないがゆえに]
ええい、纏わりつくなっ。
[腕輪を見るために触れてくるクレメンスの手から逃げるように左手を引っ込める]
お主に触られてしまえば、贈ってくれた教え子のありがたみが減ってしまいそうじゃ。
[何気に酷いことを言ってたり]
[会話を聞きながらも、どこか心ここにあらず。
ダーヴィッドが来ても軽く頭を下げて礼を送るだけなのは、彼女を多少なりと知る者には不審にも映ろうか]
[影輝竜の無作法な指の動きより視線を決して合わせぬ青年の方が失礼ではあるけれど、どちらにも何も言わずその指を見つめた。
答えるまでの時間、青年の口元に少しだけ困ったような苦笑が浮かんで消える]
映るのは見たままのものだよ、エレオノーレ殿。
木を見れば木が映り、天を見れば天が映る。
そして竜を見れば――…
[今まで決して合わせようとしなかった視線をエレオノーレの左の黒曜石のような瞳に向けて]
竜が見える、その心に抱くものと共に。
…なんすかそれ?
[腕輪を触られる姿にきょとり。]
ん…、師父さまにも見当つかないかぁ…。
干渉されそうなのは…元々弱いものか、誘惑に乗りやすいもの…でしたっけ?
[刹那の時を経て、視線は動かさないまま瞼だけが静かに下りる。
黒曜石の中の彼女は何を青年に見せただろう]
尤もブリジット殿の封印のレンズのおかげで、この眼鏡を掛けていればそれほど奥まで見てしまう訳ではないのだけれど。
それでも、心覗かれる可能性を快くは思えないだろうから。
[投げ出すティルに苦笑が一つ]
ともかく様々可能性はあるということじゃ。
「揺らすもの」の狙いについては儂の推測じゃし、仮にそれが合っていたとしても、狙いである剣がどこにあるかははきとせぬ。
注意は必要と言うことじゃな。
[喚くようなティルを宥めるように、その頭を右手で一度ぽむと撫でた]
あームリムリ。
あいつらほぼ全員姐さん命で、ちょっとこれ神格化されてんじゃね?ってくらい傾倒してるからなぁ。
一応、姐さん不在時のまとめ役くらいはいるけど。
あいつ落ち着いて対応出来てっかな…。
あーいかん。なんか真面目に心配になってきた。
[ティルが命竜を心配する理由はまだ知らないが。
流石に刃傷沙汰になりますとは、公言しないしできないのは幸いだったかもしれない。余計な不安を煽りかねない。
さて遠い目は俄然現実味を帯びて返ってきた。
真面目に長引くようなら一旦は帰るべきだと真摯に思った。
そういえば命竜王に不遜な態度をとるのは自分一人なのかもしれない。
とはまぁ今更だ。]
―――東殿・浴室
[流れる水に従うかのように歩き続ければ、浴室についたようで。
渡りに船とばかりに、その中へと入り込む]
さて。
手段を見つけるとか言ったものの、如何しましょうかねぃ。
[言いながら、衣服を脱いで、適当なところに投げ捨てた。
やる気があるなら、自身の中に衣服をしまいこむことも可能だが、別にそこまでする必要も無い。
全裸になると、隠すことも無く歩いて、浴槽へとざぶん]
はぁあ……あ。
やはり、水の中に体をたゆたわせるのは、気持ちが良いわぁ……。
[目を細め、天井を見上げた]
[剣についての問いにはオティーリエに同意し、ただ可変だろうとだけ伝えた。
口伝では真実の姿は語られているが、そうで無い姿まで全て網羅しているわけではない。他に記憶すべき大切な事柄は限りなくあるのだから。
そしてオティーリエとクレメンスの『願い』についての話は耳にしていても口を挟む事はなかった。
思う所はあれど、彼等の、そして青年の『願い』を叶える為に今は動かねばならないと*わかっていたから*]
[頭を撫でてもらうと、やっぱり落ち着く訳で。
うー、と唸りながらもこくり、と頷いた]
注意するのはいいんだけど、何にどう注意すりゃいいのかわっかんねぇのがきついんだよなぁ。
あの結界できてから、なんつーかこう……妙にざわざわー、と気持ちわりぃ感じするしさぁ。
[ザムエルの言葉に、小さくため息をついて]
……神格化って、そこまでなんだ……。
[クレメンスの言葉に、ちょっとぼーぜん。
自分にとっての王は義兄であり、どつきあいの相手、という事もあってか、色々な差は驚きだった]
心配はみんなそーだろっけど。
今は。竜都出るな、っつわれてるしなぁ。
……。
[しばし、快感に身を震わせていたが、気が落ち着いてきて、考察へと頭を巡らせる。
顔の下半分まで湯船に入れて、空気ぷくぷく]
結界。
そう。結界を外すということが主目的。
だけど、それが出来たら苦労しない。
何が、もしくは、誰がそんなことをやったのか、何をしたいのかという目的が計り知れないのですからねぃ。
[そこまで考えて、はたと思い当たった]
……目的?
何を。したいのか。
[ 黒曜石を模した瞳にその揺らめきを映して、ノーラは微かに笑みを作ったようだった。それは、微笑というには足りないものであったが。
青年の目蓋が下り、影の眼差しは雲の覆う天に向けられた。]
そう。
……気になったものだから。
避けていたのでしょうに、申し訳ありません。
[ 再び視線を転じて、座った侭に頭を下げる。]
クレメンスはあれでいて儂より長く生きて居るじゃろうからのぅ。
…儂を爺と称しおるが。
[意識が離れがちになっているエルザに気付くと、低く、落ち着かせるような声色で]
…エルザ、少し落ち着け。
どこまで覚えていたかは順序立てて整理するが良かろう。
こちらばかりに意識を向けていると、不審がられるぞい。
教え子からの贈り物じゃ。
クレメンスめ、べたべた触りおって…。
[触られるのが少々嫌だった模様。ダーヴィッドにそう返しながら、続く言葉に]
儂も万能ではないからのぅ。
…心揺らされやすくあれば、干渉を受ける可能性も強かろう。
時に立ち話もなんじゃ。
一度竜皇殿へ戻らぬか?
それに……ここで声高に話すことでもなかろうて。
[粗方話し終えてから言うのもなんではあるが。移動を促すように周囲へと語りかける。エルザにはその背中をぽんと叩くようにして促す]
[語り何が欲しかったわけではない。
――特に、オティーリエには語る気は無かった。
相容れないことは始めから分かっている。
おそらくは一生、彼女だけでなく誰にも、王にすら伏せる予定であった内側。
そこまでするのにどれだけの年月をかけたか。もっとも揺れるものには僅か時であったに違いないのだが。
内側の綻びは、気を抜けば外に漏れ出る。
それを今更ながら身をもって思い知った故。
続いた問いかけには、常の笑みを浮かべ軽く返すことになる。]
さてなぁ。今んところ3つはあるんだよなこれが。
どれにしようか考え中。
[兄が居た事を覚えていると。
その言葉には少しだけ驚きがあった。]
へぇ…何もしらずに重なり合ったのかと思ってたんだがな。
[呟きは、ぽつり一つだけ。
そこに乗った感情は、笑みに隠され読むことは出来ない。]
[パチパチと目を瞬く。
そうすれば恩人がすぐ目の前で手を振っていたりするわけで]
っ、失礼を!
少々考え事に耽っておりました。
[慌ててダーヴィッドに頭を下げた。
顔が赤くなっていたかもしれない]
―――本気で、竜王様達を封印しようという気は、無いわよねぃ。
世界の混乱、破壊、変容を望むのだとしても、一気呵成に15竜を封印しようなんてのは、大雑把過ぎる計画。
封印するべき器としても、あの場所はか弱すぎる。
[考え事をしたまま、体を仰向けにぷかりとうかせた。
なんかもう、色んなところが見え隠れしているが、気にもしないようだ]
つまり、一時的に閉じ込めることを最初から考えていた。ということかしらぁ?
それをすることにより、何を為そうとしているの、か?
ちぇー。そんな減るもんじゃねぇだろうが。
ちうか俺が触ったくらいで減るようなありがたみなんざ、大したもんじゃねぇんだってば。
[酷い言葉には失礼な言葉を返しながら。
ザムエルに引き剥がされてぶーぶー口を尖らせたり。
指紋はいっぱい着いただろうね。
促されれば、ああと、一旦迷いかけたが従うようにして足をもと来た場所へと向ける。図書館へ行く必要は無くなってしまった為に。]
えぇ、そうですね…
[師の言葉に頷きつつも、不安定な様子の天姫が気にかかる。]
じゃ戻り…
あ、あれ買ってから…
[コロッケの屋台に目が向くあたりは…やはり相変わらず食欲先行らしく。]
[さわり。粒子が何かを感じ取ったように、微か騒いだ。]
…。
[一旦、眉根を寄せる。
粒子が感じ取ったものは確かにこちらにも伝わった。
が、確信は、持てない。
心話の中で伝えるのは、未だ探る気配のみ。]
[戻る、と促す言葉にん、と頷いて。
それから、火炎竜の視線の先に自分も目を向けて]
あー、オレも買ってくー!
『風鎮め』やってたら、腹減ったー!
[風からの力の供給なんて、まだまだ出来ません。
ここにもいます、食欲旺盛]
[頬赤らめる様にくすくす笑い、]
疲れてはないか?
こういう立場は初めてだろ?エルザ。
[されど、か弱く不安定なこの姫は、揺らせばたやすく流され揺らぎそうにも思えた。
違えばよいとの言葉は、唇には乗らず。]
[ザムエルに背中を叩かれれば、若干肩を落として。
共に居た他の者たちへも頭を下げ直す]
もう少し落ち着けば、戻られても大丈夫になるかと思います。今はまだ本殿の方でも状況の把握に手一杯のようでしたから。
[ティルの話の最後だけは聞き取れたらしく、自分の知り得た状況を語り]
足りぬを書の知に頼ろうかと思ったのですが、それよりは皆様の智慧にお縋りした方が良さそうですね。
戻られるのなら、ご一緒致します。
[クレメンスとの距離を僅かに離しながら、ザムエルに向けて頷いた]
気持ち悪い、とな?
『安定』を欠くような、不安を掻き立てるような感覚なら儂も感じて居るが…。
それとはまた別の物を感じておるのじゃろうか。
[ティルを撫でながらもその言葉に首を傾げ。撫でていた手を下ろすと、皆と戻りがてら飴玉を調達する。
クレメンスの指紋だらけになった腕輪はきゅっきゅとローブの袖で拭いてたり]
…ダーヴィッドは相変わらず食い意地が張っとるのぅ。
[林檎を買っておきながら尚コロッケを買いに行く様子に何だか溜息が漏れた。仕方ないこととは理解していても、どうにも嘆息は禁じえない]
―西殿・結界前―
[内側からも結界を張られ、今や西殿の中の様子を窺う事は出来なくなっていて]
……むう。
[結界へと微かに干渉しては、手を痺れさせて。
毎回の術式を手帳に纏めては、再度結界に干渉を行っている]
本当に、こういう時。氷破の出不精には頭が痛いものね。
[都から出れないものだから、都の中に居る氷破の者を尋ねてみようとするものの。
夏季が過ぎ去ったばかりで暑さの残る都には、
氷竜の姿はまったく見かけることが出来なかった]
まぁ、うちん所が特殊なんだと思ってくれ。
命竜は、扱うモノがモノだし、数も少ないしな。
なんだよな。いつまでここに奉じられんのか…。
[ティルの言葉に溜息、ひとつ。]
おーお、皆食欲旺盛だぁな。
[露天に駆け込んでいく風と焔をへらへら笑って見送った。
こちらは食べ物に、全く興味示さない様子。]
―竜皇殿:東殿―
[彼らと別れ、東殿に戻る。
何か匂いの名残があり、それからすっと離れた。]
[悩みながら、部屋へ向かう。
途中水の音が聞こえた。
のぞくつもりなど、ない。]
見えぬのは見ないからだよ。
この目には貴女の姿が映り、淡い闇にも似た影と螢火の如き光が見えた。
[眼鏡を外せば青年の瞳は真実の色を取り戻し心の奥まで覗けるけれど、今それは必要ではない。再び瞼を上げて影輝の竜の姿をレンズ越しの瞳に映す]
貴女は影と言うけれど、影が全て貴女ではないでしょう?
知りたいと思い私に問うたのはエレオノーレ殿、貴女だよ。
[青年の口元に笑みが戻り、彼女の心に『声』を滑り込ませる]
『貴女は何を思い、そして……何を願うのかな』
[優しい問いはエレオノーレの心を揺らすだろうか]
焔竜 ダーヴィッドは、天竜 エルザ を能力(占う)の対象に選びました。
例えば――― 一時的とは言え、海や、風などが荒れることを願っていた。
例えば―――竜王様の誰かに束縛されている者が、逃げようとしていた。
例えば―――他の干渉を受けないように追い込み、随行者を狙っていた。
例えば―――竜王様の動きが取れないうちに、なんらかの道具を奪おうとしていた。
いえ、疲れてはおりません。
ただ、私はまだ己の中に眠る知識を引き出すにも時間が掛かりますがゆえに。お話の最中にするようなことでは無かったのですが。
[顔を赤くしたまま目を伏せる]
確かに初めてのことではありますが。
私も天聖が属、律を担うものであればこそ、そう容易に揺らされは致しません。…そのために、養父に預けられ、我君よりの刻印を受けているのですから。
[それでもそう続けたときには、視線を上げて恩人の顔を確りと見ることが出来た]
ん、そっか、戻れるようにはなるんだ。
[エルザの言葉に、ほっとしたよに息を吐く]
こんな状況じゃ、ねーさん一人にしたくねぇからなぁ……。
オレがしっかり支えてやんねーと。
[呟くのは、ささやかな決意]
んー、結界の束縛で『自由』が奪われてるから、それもあるかもだけど。
それとはなんか……違う感じがするんだよね。
[ザムエルにはこくん、と頷いて、言葉に出来ない感覚を伝えようと試みる]
何もしらないのなら、わたしはわたしでした。
[それ以上、踏み込みはしない。
逆に、踏み込まれないようにと。
それだけを呟いて。]
[探っている様子が、伝わる。
声をかけることはなかった。]
えいくそ、クレメンスめ。
剣をべたべた触りおって…。
腕輪と変えていたのが徒になったかの。
あやつの属では無いとは言え、あれだけ触られては何かしら感じ取ったやもしれん…。
腐っても古代種じゃしの。
色々、大変なんだなぁ。
[クレメンスの言葉に、妙にしみじみと返して]
だって、食べなきゃいざって時に動けねーし。
オレはまだまだ成長期だから、直接の熱量摂取は重要なんだよっ!
[袋いっぱいコロッケ買い込んで、きっぱり言い切った。
肩のピアは、やや、呆れ顔ではあったけど]
本当に失礼を致しました。
少し急ぎすぎていたようです。
[焦らずに急ぐ。それは容易なことではなく]
クレメンス様は此度の随行者の皆様の中でも特に永きを生きてこられた方でしたね。御師様より更に長くでありましたか。
…何かをご存知なのでしょうか。
[腕輪に触れていたということで、微かな警戒を覚える]
私も同じように姿を変じてもらうべきかと思いましたが。
そうしない方が良さそうでしょうか。
[師の苛立ちを今度はこちらが宥めるように、静かに尋ねる]
お、本当か?ならよかった。
許可が貰えれば、俺は一旦生命の海の様子見に帰るわ。
と、一応不在時の行き先確認をしとくぜ。
[エルザの言葉に浮かべた笑みは、軽薄なものではなく、安堵。
さり気無く取られた距離には気づいたが、特に気にならない。]
あぁ、そういえば…
確かに、君の刻印は特別製だったっけ。
[揚げたてコロッケの包みを手にして、エルザの言葉に頷く。]
それがきちんと働いてるなら、君は大丈夫か。
[ふむ…と暫く考えながら、宮殿へと足を向ける。]
[今、この中はたいして人がいるようではなかった。
台所を借りる旨を伝え、紅茶を入れる。
ふわりと香りが立ち上った。]
[ミルクを取り出し、注ぎ、蜂蜜を混ぜ。
作られたミルクティーは、自分の分だけだったけれど。]
―→広間―
……考えうる限りの可能性はこの程度かしらねぃ。
はてさて。
どれが当てはまるのやら。
[ざぷりと、頭の上まで湯水の中へと潜り込み、そして、顔を出す]
―――あー……。
でも、気持ち良すぎてどうでも良いような気がしてきますわぁ……。
[とろんとした目つきで、ナターリエが思う存分たゆたった]
影と、光。
かの地のようですね。
[ 呟きが零れる。
心竜の語る、ノーラの姿。
それは影輝が竜郷――螢火の丘の光景を思わす。
眼を閉じて目蓋の奥に浮かべるは懐かしきその地であろう。]
影として在り、影として潰えん事を。
[ 笑みを絶やさず、影たる者は答えた。
揺れしことも、真意ならぬことも、は明らかにも関わらず。]
……このような時に、私事を申して、すみません。
焔竜 ダーヴィッドは、陽光竜 ミハエル を能力(占う)の対象に選びました。
―西殿・結界周辺―
[既に薄曇に覆われてか、中を窺い知る事は適わぬ。
此処に来た時には、まさか無茶をしまいかと私の心中を脅かしもした
(万が一仔に大事が在ったと王の知る所になれば、私が只事では済まぬ)が、
その様な心配は杞憂に終わった。仔はただその封じられた境の周囲を幾度も辿るのみ。
肩から頭の上へと巻きついた勢のまま、幼子の辿る跡へと視線をやれば
…嗚呼案の定、小さな足跡を残すように芝が一寸伸びては枯れゆく。
何周もしておるものだから、それが既には所彼処と残っていた。
幾度と無く云えど、幼子はだいじょうぶと一点張りで私の声を聞こうとせぬ――…何が大事無いのか私に今一度ご鞭撻願いたい。]
[暫し離れた場所へと人影が視界に入り、ゆるりと頭をもたぐ。
昨夜お見かけした姿なれば、あれは氷竜殿か――時折弾かれるような音が微かに混じる。場を解く探査中であるだろうと容易に知れた。
邪魔をするのは拙かろうと、この場を離れるよう仔竜に促すも
…仔は何に夢中なのか、私の声に気付く様子も無い。]
ご不便をお掛け致しまして。
各領域もこのままでは安定を失うばかりとなりましょうから、そちらの対策も必要となるでしょう。
ただその場合も不測の事態に備えるため、可能であれば竜都との連絡手段は確保していただけると有難く存じますが。
[堅苦しく話すものの、焔竜と二人、山盛りコロッケを買い求めたりしているのを見れば、どこか張り詰めたものも溶かされてゆく]
司りしものの妨害ではなく、それとはまた違ったもの、か。
[返されるティルの言葉にしばし考え込む。『ざわつくような気持ち悪さ』と表現されたそれを噛み砕くには未だ至らないか]
ううむ、結界から感じるのか、それとも別の場所から感じるのか。
結界から感じているとするならば、干渉せし力に反応しているのやも知れんのぅ。
[思い当たることを口に出しつつ。ややあってその足は竜皇殿へと辿り着くことだろうか]
─竜都・商店街→竜皇殿敷地内─
[また結界へと干渉を行い、その反応を手帳に記す。
何回か繰り返した後、思い切って両手で干渉し――
――ばちん、と弾かれる。
裂傷こそ負っていないものの、両の手の平は赤くなり、ひりひりしている事だろう]
姐さんいる限りは安定してんだけどな。
[ふと、自身の王と影竜王がくっつかないのは、この辺の問題もあるのかねとはちらり、ひとつ。
まぁ今はどうでもいいことだからポイなげ。]
うはははは。こーどーもー。
[ティルにワザと揶揄するように言いながら。]
俺には分からん感覚だぁな。
産まれてこの方、物食った事ねぇし。
[さらりと言いつつ、足は竜皇殿へと向けて歩きだす。]
揺らすもの。
結界。
[幾つか知ったことを、続けて口に出してゆく。
甘い、紅茶の香りが広間の端に流れる。]
何か、知っているのでしょうか。
[影の様子を思い出し、目を伏せた。]
……この式でも駄目ね。
[唸るように、口元に手を当てて。
ややあって、手帳に今の術式を書き込んで、薄く息を零した]
焦り過ぎやら、根詰め過ぎやら……と?
[集中力が途絶えたところで、漸く回りに気を回せるようになった様で。
少し離れたところに、小さな人影が見えたのに気付いた]
あの子は……翠樹の?
随行の仕事はまだ終わってねーし、連絡とか、そこんとこはだいじょーぶ。
[揚げたてのコロッケかじりつつ、エルザに軽く返し]
んー、風が落ち着いてないんだよなぁ。
もしかしたら、例の、干渉されたヤツ、とかに反応してんかもしれねぇけど……。
[ザムエルの言葉に返すのは、曖昧な予測]
なぁに、無理もあるまいて。
儂とて焦っておらぬは表面上のみじゃ。
[時間が無いことは明らかなために。如何に西殿の結界を内から強化したとて、時間がかかってしまえば剣を奪われずとも竜郷各地への影響は大きくなってしまう]
儂より見た目が若うても、刻長く生きて居る者も多々居る。
クレメンスがその良い例じゃ。
剣についても記憶の奥底に仕舞っておっただけのようじゃしの…。
何かしら知って居ってもおかしくはない。
が、何じゃろうな。
ちぃとばかり警戒はしておいた方が良いかもしれん。
杞憂でなければ良いのじゃが。
剣は目に付きにくい状態で持っておくが良かろう。
誰がその正体に気付くとも知れん。
有難う御座います。
そうしていただけると助かります。
[クレメンスに軽く頭を下げ]
幼き仔。確かにその可能性は…。
[以前の自分のことを考える。あれほど酷いことはそう無いと知ってはいても、一抹の不安が過ぎった]
そーなんだ。
ウチの兄貴とか、行方不明になってもいつもの事で流されるからなぁ……。
[それは気質を承知されているからです]
……るっせぇなあ……しっかたねぇだろ、そーゆーモンなんだからっ!
[揶揄の口調にはむくれて返し。
続いた言葉に、きょとん]
……ナニソレ?
んじゃ、どやって生きてんの?
[呟きはなく、そのまま台所に戻り、それを下げる。
俯いた口唇が幾つか音を作り出したけれど、それは洗う音に掻き消えた。]
ふうん。
[おそらくは、知らなかった事を一つ知ってしまった為か。
言葉にはそれだけ返す。
感情はそこにはない。
いや、あるが、隠した。
それ以上は、今は語らず。
探った内容、その結果も。今は、黙す。]
[それは軽い呪文。
呪文というよりも、感情をひたかくしにするために、ずっと親に囁かれていたこと。]
[嘘をつくのは、慣れているのだ。ずっと、ずっと]
[螢火の丘のようと言うエレオノーレの言葉には頷いたけれど、続いた言葉に青年の眼差しにどこか哀しそうな色が過ぎった。謝意に力なく首を振り、小さく溜息を零す]
いえ、お気になさらずに。
けれど私は…貴女が自由であればよいのにと、そう思います。
[哀れみではなく、ただ哀しそうな色で変わらぬ笑みを見る。
そうして眼差しを伏せた会釈を向け、踵を返した]
[それから台所で湯を沸かし、紅茶を作る。
温かいようにしておいて。]
―東殿:台所→廊下―
さっき音を聞いたのはこのへんでしたっけ。
[水温が聞こえるかと、耳を澄ませた。]
[一等大きな弾く音。仔はようやく気付いたか驚愕にか小さく眼を瞬いた。
きょろりと音の出所を探るように周囲を見渡して、内に一点へと視点が定まる。
嗚呼、この時漸くにして氷竜殿の存在に気付いたようであった。
さて氷竜殿はといえば、仔へと笑み掛ける様子を見るに
此方に気付いたのは一目瞭然であった。やはり作業の妨害をしたに違いなかろう――申し訳ない事をした。後に確りと言い含めておかねばならぬ。]
…。
[一度、慣れぬ者への躊躇いにか左へと首を傾いだが、
昨夜影と話す姿を思い出してか無言のままはたと駆け寄った。
点々と仔竜の踏みしめた跡には、芝が一寸に伸び枯れる。]
…? いたそう?
だいじょうぶ?
[赤い掌へと眼を留めたか、短な問い。]
むしろお前んとこの兄さん王がずっと城にいたら大問題な気もするんだが。
[さくっと言いつつ、むくれるティルにはおおいに笑う。]
うははは。むなやけすんなよ。
さてどうやってだろうな?
『気がついたら生きている』…終始そんな感じだわ。
[己の意図とは関係なしに癒える体。
死ぬことのない体は、飢えすら勝手に満たしてゆく。
ともすれば不死に近いこの体を、クレメンスは少し持て余していたのだが。
そんな思いはおくびにも出さずに、片目をつぶって、軽く返すのだが。]
―― 竜皇殿・西殿近く ――
[ちょっと煤けた顔のまま、とっとこと、と駆けてくる]
うーわー、強化されちゃってるよ。
[それが内側から、あれやこれやの事情で為された事とはまだ知らず、あんぐりと口を開けて眺める]
ありがとうございます、……アーベル殿。
[ 黒の瞳は感情の色を映して、応じるように笑みも少しばかり形を変えたようだ。口真似の、此度は感謝を告げ、座った侭なれど会釈を返してその後ろ姿を見送る。
彼が去って間もなく、複数の力ある気配が竜皇殿の敷地内に至るのを感じ取り、漸く腰を上げた。]
…ダーヴィット、お前食い物に釣られて揺らされるなよ…?
[哀れんだ目に、逆に遠い目を返してやった。
一 番 物 欲 見えてるのはお前だ!
とは目が語っていた。]
―西殿・結界前―
[幼き翠樹の仔も、ブリジットに気付いたようで。
はたはたと駆け寄る姿を見て、自然と柔和な笑みとなる]
こんにちは、翠樹のお姫様。
[屈んで、にこりと微笑んだ。
先に彼女の口から出たのは、己の手を心配する声で]
あらあら。見つかっちゃったわね。
大丈夫よ、これくらい。へいきへいき。ありがとうね?
[心配してくれている幼き樹竜へと、穏やかに答えた]
―――ああ。そうですわぁ。
「揺らすもの」
確か、そのような存在の干渉とか、誰か言ってましたわねぃ。
[ざぱりと、あぐらをかく格好で、座りなおした]
干渉され、何かを為そうとするならば、ここにある何かが目的。ということですわねぃ。
ここにあるもの。
それが何か分かるのなら、我らも何をすべきか、ということが分かるかしらぁ。
…驚きました。
最初から気だけで身体を維持できる方がいらっしゃるとは。
[古代種とはいえ、そうも違うものなのか。
今でも彼女は取り入れに間に合わぬ分を食事の形で摂っている]
…ダーヴィッド様などには、絶望的な世界となりましょうね。
[軽口というよりは、思わずというようにそう呟いてた]
――そういえば、ギュンターさんの姿はありませんね。
どこに行ったのでしょう。
[少し困ったように、そう告げた。
そのこえは、今までとは違い、軽い調子。]
…いやまぁ、それとこれとはまた別腹?
[食べかけだった林檎を齧りながら命竜の視線に肩を竦める。
…まぁ、欲求にはとてもとても素直ではあるのは否定できない。]
干渉された者に、か?
もしそうなのであれば、誰であるか特定出来そうなものだが…。
[ティルの言葉に、ふむ、と声を漏らし、顎鬚を右手で撫でる。
ティル達三者の間でなされる食の話には、耳を傾けるだけで、元気じゃのぅ、とのほほん気味]
ま、そーとも言うけど。
[留まらず、駆け巡る事で循環を生み出す疾風。
それが一箇所に留まる事が好影響を与える事はなく。
……故に、現状は心配極まりないのだが]
『気がついたら生きてる』、かあ。
なんかよくわかんねぇけど、たいへんそー。
[軽い言葉の真意など、気づく由もなく。
返す言葉は、どこか人事めいたもの]
―東殿:浴室前廊下―
失礼します。
何かお食べになるようでしたら、お頼みしておきますけれど。
どうなさいますか?
[誰かはわからず、ただ言葉を投げる。]
……あらぁ?
[考え事に終始していて、何者かが浴室の外にいる気配にやっと気づいた]
誰かそこにいるのかしらぁ?
[ちゃぷんと、上半身を浴槽から乗り出して、外へと問いかけの言葉を発した]
[ザムエルの言葉に、むう、と小さく唸り]
んー、オレ、元々そういうのに向いてないし。
今は、なんか色々と『拾えてる』けど。
相手が隠してるなら……って、まあ、ふつーに考えても隠してんだろうけど、それだとちょっとわっかんねぇかなあ。
[というか、もし特定できたらとっくにしばきにいってます]
[ 入り口の方まで寄った所で、見た目も属性も多様な集団の姿が見えた。火炎、天聖、精神、相反する大地と疾風までもが共に在る。竜王達よりも余程纏まって見えるというのは、如何なものであろうか。
まだ幾分遠き者達の進路の先に佇み、宮殿の召使にも似た態で、迎えるように影は頭を垂れた。]
御師様でも、ですか?
[きょとり、となった。表で衝撃を受けているからか、仔竜の頃のように感情が素直に浮かんでは消える]
ええ、クレメンス様は何と申しましょうか…掴み所が無い?
終始そんな印象をお受けします。
警戒は忘れないよう心掛けます。
目に付きにくい形ですね。
本来の姿形とは異なっているとはいえ、剣の形では万一目についた時にも予想されやすいでしょうか。
[とはいえ、今ここで形を変えて欲しいと頼むわけにも行かない。手を触れはせずに、暫し考える]
?
よく聞こえないわぁ?
[ざぱりと浴槽からあがり、何も身につけない全裸の姿のまま、廊下へ通じる扉をがらり]
あらぁ。
オトフリートじゃなぁい。
それで、何の御用でしたの?
[上の立派なふくらみと、下の立派なものをさらしたまま、羞恥心などどこに捨ててきたのやらという感じで、普通にたずねた]
―西殿・結界横―
[遠目に氷破竜の姿を見つけたものの声はかけず、翠樹の仔竜が駆け寄る姿に口元に笑みを浮かべながら離れた位置で結界に近づいた。
青年はまだ結界に触れては居なかった為、少し試してみるつもりで広口の袖から覗く指先を伸ばす]
………。
[『混沌』を司る青年は溜息を一つ零して手を下ろした。もし気付いたものが居るなら、首を振る仕草が見えただろう]
『拾えてる』か。
受動的なものと言うことかのぅ。
ダーヴィッドのように能動的に探すことは出来そうにも無いと言う事かの。
[分かっていたら、この子のことだし直ぐに捕まえて行っているか、と思い当たったのは少し後のこと]
こん、にちは。
[眼の高さが、彼の竜と等しくなる。
幼竜は真直ぐに相手の眼を捕らえながら挨拶を返した。
――父に促されなければ言すら発さなかった事を考えれば進歩か。
…王は、成長を喜ぶか、それとも子煩悩に他の者に懐く事を嘆くか判らぬが。
後者で無きことを願いたい限りだ。]
「氷竜殿、探査の邪魔を――申し訳有りません。」
[四方や妨害した可能性など仔竜には思い当たる筈も無く、
代わりにと言うには失礼だが、陳謝の言葉を述べる。
この事態を考えるなれば、そのような陳腐な言葉で済む事ではなかろうが]
へいき?
でも、いたかったらいわなきゃダメなんだよ?
ととさまが、いってた。
[唐突に扉が開いて出てきた姿は――]
え。
[見る心算なんて もちろんなかった。
けれど、さすがにこの唐突さには、目を閉じるだけの隙もなかった。]
[つまりばっちりみてしまったわけで。
その瞬間、かぁっと血が上った。]
せめて隠してください…!!
[慌てて、後ろを向いた。問いに答えてなどいない。]
―― 竜皇殿・結界傍 ――
[ぽてぽてと、結界の回りを一巡りするように歩いていると、行く手に氷破竜と小さな翠樹の仔の姿を見つけた]
あれえ、ブリジットさん、まだここを調べていたんですか?
おや、ノーラ殿。
[先に見えるは此度の随行者の一人。頭を垂れる様子はまるで出迎えに来たようにも見えたが]
わざわざ出迎えに来た、と言うわけでも無かろうかの。
どこかにお出でかな?
[歩む先近付いてから挨拶と共に声をかけた]
あ、エレノオーレさんだっけ?
[宮殿の入り口まで近づいたところで見かけた姿に、
どうも、とぺこりと会釈して。]
そっちは…何か変わったこととかはありました?
あらぁ。
いいじゃない。
生まれてきたものは、最初は全て裸だったのよ?
それに隠すってどちらを?
女性としてのほう?男性としてのほう?
[こういうとき、両性であるということはややこしい]
[用事を片付けていない――といっても尋ねるだけだったのだが――ので、なんとか逃げずに留まったのは、己の忍耐力を褒めればいいのか、それとも嘆けばいいのか。
そんなこと、今は考えていないが。]
ああ、連絡に関しては。
…多分何とかなるだろ。
[早く戻ってくれば問題ないかとか思ってはきっと、ないはず。
エルザにそう言いながら、ようやく竜皇殿にはたどり着いた。]
そうだなぁ、俺もびっくりだ。
[エルザにもティルにも、へらりと笑って返す。
実の所、自分の産まれ、もとい『始まり』は、所特殊なものがあったのだが。
それを知るのはおそらく命竜王のみ。]
んー、火炎の兄さんのとは違うっぽい。
自分でもよくわかんないし、後で、ねーさんにも聞いてみるよ。
こういうの、母さんが得意だったっぽいしね。
[ザムエルに返して。
影竜の姿が見えたなら、やー、と言いつつ手を振った]
ふふ、良いお返事です。
[返された挨拶に微笑んだ所で、彼女とはまた別の声が聞こえてくる。
黄蛇の姿を確認すれば、あらあらと]
ご挨拶が遅れてしまいました。
氷破が一人、ブリジットと申します。
全然邪魔になんて、なっていませんよ。
[声の主へと、ゆるりと首を振るった。
その後のベアトリーチェの言葉には、また笑みを浮かべて]
大丈夫ですよ。痛かったら、命の竜さんに診てもらいますから。
[そういって優しく髪を撫でると、微かに新緑の心地よいにおいが薫った気がした]
んな甘いものみたいな言い様して…。
[ダーヴィットに嘆息したが、実の所揺れるかどうかなど、今判断できる所ではないのが。
まぁとりあえず欲に忠実なのは、分かったが。
入り口の所で見かけたノーラの姿には、よぉと片手をあげた。]
ん。
実は結構、服を着るのって嫌いなんですけどねぃ。
まあ、いいわぁ。
えーと、タオルタオル……。
[ゆったりとした動作で、周りをきょろきょろと見渡し]
あらぁ。
そう言えば、急に思い立って浴槽につかったから、持ってきてないのだわぁ。
ちょっと、持ってくるわねぃ。
[言いながら、全裸のまま外を歩こうとする]
[遠くに精神竜の首を振る仕草が見え、声を掛けようとしたが。
それよりも前に、機竜の若竜に声を掛けられた]
あら、機竜の……エーリッヒ。
[ひらりと、赤くなったままの手の平で手を振った。
機械竜――ユルにも、同じようにひらひらと]
里の者と、今は連絡が取れなくて。
図書館などは地のが当たってくれているようだから、私は直接。ね?
あ。
[どこかへゆこうとするのを感じて――むしろ音を聞いて、あわてて振り返る。
もろに見てしまった。
が。]
さすがに、それは ダメですから……!!!
今からもってくるので、ちょっと待っていてください。中で!
ザムエル殿。いや、そうではない。
中庭で休んでおったところ、お主らの気配が感じられたでの。
随分大勢だったようじゃて、何か得られたのかと思うてな。
[ 顔を上げ、問いに首を左右に振る。
火炎の竜に会釈をされて、返した後、矢張り首は傾ぐのだが。]
変わったこと……ですか。
結界が内部から強化された後は多少鎮まったようで、
それ以降、特別な事はないですね。
……休息をとってたから、確実な事は言えないけど。
気が急かぬよう気をつけては居るがの。
あまり表に出しては他の者も不安に思うてしまうやも知れん。
じゃから出来るだけ表に出さぬようにはしておる。
[伝わる素直なエルザの感情に小さく笑う気配が漂う。昔を思い出しているようだ]
クレメンスの奴が掴み所が無いのは常のことではあるが…。
それ故に隠れているものもあるやも知れんからの。
奴を警戒すべきと思うも、感覚的なものでしかないが。
護身用の剣であるなどと偽ることは出来ようが、目をつけられる可能性は否めんな。
今は隠し通し、後に形を変えた方が良いやもしれん。
[届いた言葉に返す声。こちらも常のものに戻る。]
さぁ、だが竜皇殿の中にゃ居ると思ったんだが。
頭の固い爺さまだ。そう簡単に、15王の傍は離れないだろうよ。
…んぁ、どうかしたか?
[微か、焦るような気配が混じった気がして怪訝そうに尋ねる。]
[影輝竜と別れ西殿――結界へ向けて歩きながら、これからの事を考えて。ギュンターを探す為に離れて行った月闇の竜、彼女の視線が右袖口の煌きを映していた事を思い起こし、青年は密やかに袖の内で自らの戒めである二つに触れた。
そうして結界が今も機能を果たしている事を確認した所で感じた心の動き。逡巡は短く、オティーリエへと心の声を投げた]
――何かあった?
[ 見れば、他の者とは異なりエルザには困惑の色が窺え、それを悟ったノーラの首の傾ぐ角度が、少し深くなった。]
……どうかされましたか? お疲れ、でしょうか。
[かえってきたこえに、思わずびくーんと反応してしまう感情。
おさえこむことは出来るわけがないけれど]
いえ、なに、もっ…
[関係を持っているならいってもいいのだろうか。
いやしかしさすがにこれを表に出すのは。]
[これあつかいしているとは、本人、まったく気付いていない。]
[歩き出そうとした一歩目でオトフリートに止められ]
あらぁ。
でもそれはさすがに貴方に御迷惑だわぁ。
私が忘れたのですもの。
私が持ってくるものじゃないかしらぁ?
[いつまで、誰もが通るような廊下で全裸でいるつもりなのやら]
[幼子の足を伝って、地へと降りる。
氷竜殿の名を呼ぶ声にふと頭をもたげば、声の持ち主は直ぐに知れた。
仔も気付いたか、少年…否、幼子の眼には青年に映っているか――へと
視線を向けて、一度傾いだ首を反対へと向けた。]
…ぶりじっと?
[――嗚呼、幼子にはそこからであった。
目の前に居る氷竜の名とは知らず、問うような声が落ちる。]
「此方こそご挨拶が遅れ――翠樹の王、側近に御座います。
名乗る程の名も在りませぬが…ナギと、ご記憶下されば。」
[己らが交わす言葉で、それが名を示す言葉だと気付いたか
「ブリジット?」と今度は氷竜を見て、再び問うた。
髪を撫でる手は心地良かったか、僅かに眼を細む。]
うん、ちゃんと、みてもらってね?
リーチェはね、痛かったらすぐととさまに言うの。
いまは、ととさま…このなかだけど。
いえ、
その格好のほうが、ダメですからっ…!!
[もう考えるのが色々面倒になって、思わず手を掴み、浴室の扉をあけて、中におしこもうとする。]
―― 竜皇殿・結界前 ――
[反対側にいる精神竜には気付かずに、そのままブリジットに近付いていく。手を振られた機械竜は、肩から飛び立って、ブリジットの上をくるりと旋回した。嬉しそうだ]
直接は判りますけど、ずっとかかりきりなんじゃないですか?なんだか強化されちゃってるみたいだし、無理せずに少し休まれないと。
[心配そうに言いながら、小さな陽光の仔に視線を向ける]
こちらは陽竜王様のお仔ですね。こんにちは。
[自分より小さな竜に出会うことは珍しいので、自然に満面の笑みが浮かんでいた]
[ノーラに中へと促され移動しつつ]
そうであったか。
得られた事は得られたが、確証とは至らぬ。
図書館にて書を読み、そこより得られた智より組み立てた推測ならば携えて来たが。
母さんの事、ねーさんに聞くのはいい気しねぇけど。
場合が場合だし、使えるようならはっきりさせねぇとなんないしねー。
[頷くザムエルに、ほんの少し苦笑する。
幼い頃に亡くした母の事はよく覚えてはいないが。
その死因に、自身が関わっている事だけは知っていたから。
それが、姉への引け目になっている事は、否めなくて]
[急に手を引っ張られれば]
あら?
あらあらあら?
[バランスを崩してすってんころりん。
大股開きで、頭を抑える形で転んだ。
きっと、オトフリートが転びそうなのに気づいて手を離さないことには、一緒にからみつくように倒れることだろう]
いえ、疲れてはおりません。
…いいえ、少しは疲れているのかもしれませんが。
[首を傾げられれば、曖昧な表情で答える。
先ほどのティルはこんな気分だったのだろうかと、頭の隅でぼんやりと思った]
先達たる方に頭を下げられるのは、慣れておりませんがゆえ。
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